お別れ公衆電話西尾夕紀 | 西尾夕紀 | 藤間哲郎 | 袴田宗孝 | 丸山雅仁 | 何もいわずに このままそっと 汽車に乗ろうと 思ったものを 駅の喫茶の公衆電話 いつかかけていた 馬鹿ね馬鹿だわ 私の未練 さようなら さようなら お別れ電話の せつないことば 好きでないなら 何でもないわ 好きでいりゃこそ 苦しくなるの 飛んで来ないで そのままいてよ 逢えばもろくなる ほんとほんとよ 私の気持 さようなら さようなら お別れ電話の せめてのことば 先があるのよ あなたの身には こんな女は 忘れるものよ ベルが鳴る鳴る プラットホーム ここが切れめ時 出てはいけない 私の涙 さようなら さようなら お別れ電話の 最後のことば |
明日から明日から小畑実 | 小畑実 | 藤間哲郎 | 利根一郎 | | 明日から 明日から 夢がたよりで 生きてゆく 涙に 涙に 濡れたエンジの ハンカチーフ ああ いつの日に 逢えるやら 再び さよならと それさえも 心せつなく 星が降る 夜霧は 夜霧は 青いネオンの 飾り窓 手をとり 手をとり ともにわかちし ペーブメント ああ 今はとて すすり泣く 我が胸 弾くはたれ ブルースの 調べたかなる 夜の空 今宵が 今宵が なんで別れと 思えよう 街の灯 街の灯 いつも変わらぬ プラタナス ああ 若き日の 数々を なごりに ひと言も 言えぬまま 君がマフラーの いとしさよ |
番場の忠太郎水城一狼 | 水城一狼 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | 「旅の鳥でも烏でも母の乳房が忘られず、せめてひと目と面影を、 瞼に描いて旅の空、たづね歩いて十五年。どこにどうしていなさるか。 逢いてえ。」 姿やくざな 番場の鳥も 人の顔見りゃ 涙ぐせ 生きておいでか お達者か 昔恋しい 母の顔 「ア? その顔は? おかみさんは覚(おぼ)えがあるんだ。 所は江州馬場宿(しゅく)で、六代続いた旅籠(はたご)渡世(とせい) の置長屋(おきながや)。あんたがそこへ嫁(かた)づいて生んだ子が、 あっしでござんす。忠太郎でござんす。お母さん ええ?人違いだと仰っしゃるんでござんすか」 来てはいけない 水熊横丁 愚痴じゃないけど なんで来た 親と名乗れず 子と言えず これも浮世の 罪とやら 「そうでござんすか………瞼と瞼をピッタリ合わせ、 じっとこうして考えてりゃア、いつでもどこでも瞼の底に、 母の姿が浮んで来るんだ。それでいいんだ。 逢いたくなったら眼をつぶらア………」 呼んで呉れるな 情の声よ 河原すすきも とめたがる どこへ飛ぼうと 忠太郎 母は瞼に 御座います |
披露宴中村美律子 | 中村美律子 | 藤間哲郎 | 富田梓仁 | 佐伯亮 | 祝いごとなら 数々あれど めおと結びの 上はない 今日は二人で 招かれた 披露宴 ハアめでためでたや めでためでたや 思い出すのは あの日のおまえ 若い門出に やさしい笑みを 贈るおまえは きれいだよ 俺にあわせて 控えめな いい女房 ハアめでためでたや めでためでたや 上げる盃 祝いのお酒 こんどこの世に 生まれて来ても 私を貰って くれますか 広い背中に 身をあずけ 甘えたい ハアめでためでたや めでためでたや あなたそろそろ 手〆(てじめ)の支度 |
結城ばやし谷島明世 | 谷島明世 | 藤間哲郎 | 藤本琇丈 | | 西は日光 東は筑波(つくば) 結城よいとこ 紬処(つむぎどこ) (コラサット) 鬼怒(きぬ)の流れも エー 筬(おさ)の音 筬(おさ)の音 (ソレ ヤットコ ヤットコ)筬(おさ)の音 結城むすめは 御城下育ち 道を開かりょと 姿(しな)のよさ (コラサット) 桑を摘み摘み エー 眼で知らす 眼で知らす (ソレ ヤットコ ヤットコ)眼で知らす 結城殿さん 鎌倉参り 紬小袖に 花の雨 (コラサット) わしも乗りたや エー 春駒に 春駒に (ソレ ヤットコ ヤットコ)春駒に |
三味でダンスをなでしこ姉妹 | なでしこ姉妹 | 藤間哲郎 | 白石十四男 | 山田年秋 | 踊っておねがい お座敷だって あなたと踊れば すてきなクラブ ひと目みてから 好きなの好きよ うーんうーん せつないこの気持 踊って踊って 三味でダンスを 踊っておねがい 島田もとって 女はよわいの やさしいひとに 忘れられなく させてよさせて うーんうーん うれしいこの気持 踊って踊って 三味でダンスを 踊っておねがい まだよさないで ふたりになるまで こうしていてね 燃えるわたしが わかるのわかる うーんうーん 泣きたいこの気持 踊って踊って 三味でダンスを |
別れの波止場氷川きよし | 氷川きよし | 藤間哲郎 | 真木陽 | 石倉重信 | そんなに泣きたきゃ泣くだけお泣き あとで笑顔に 変るなら 変るなら 俺とお前にゃ これが別れだ 最後の夜だ やがて霧笛の 鳴る夜だ そんなに行きたきゃ 行こうじゃないか いつも歩いた 波止場道 波止場道 俺とお前にゃ これが別れだ 愛しい道だ 今日は出船の 待つ道だ そんなに呑みたきゃたんまりお呑み 呑めば辛さも まぎれよう まぎれよう 俺とお前にゃ これが別れだ 淋しい酒だ あかの他人に なる酒だ |
おんな船頭唄レーモンド松屋 | レーモンド松屋 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | | 嬉しがらせて 泣かせて消えた 憎いあの夜の 旅の風 思い出すさえ ざんざら真菰(まこも) 鳴るなうつろな この胸に 所詮かなわぬ 縁(えにし)の恋が なぜにこうまで 身を責める 呼んでみたとて はるかなあかり 濡れた水棹(みざお)が 手に重い 利根で生れて 十三、七つ 月よわたしも 同じ年 かわいそうなは みなし子同士 きょうもおまえと つなぐ舟 |
奄美恋しや田端義夫 | 田端義夫 | 藤間哲郎 | 櫻田誠一 | 小谷充 | 波に夕日を 大きく染めて 名瀬は日暮れる かもめは帰る わしも帰ろう あの島へ 奄美恋しや なつかしや 幼な馴染みの 面影追えば ぬれて優しく 黒髪におう きっと抱こうよ またの日は 奄美恋しや なつかしや 母が丹精の 大島つむぎ 頬にあてれば 涙がにじむ せめて歌おうよ 島ぶしを 奄美恋しや なつかしや |
一本刀土俵入り真山一郎・二葉百合子 | 真山一郎・二葉百合子 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | [男性] 山と積まれた お宝さえも 人の情けにゃ 代えられぬ なんで忘れよ 花かんざしに こもる心を 受けて茂兵衛の こらえ泣き [女性] 「取的さん お前本当に精出して 立派な関取りにおなり、 一生懸命おやりよ、 そうして故郷のおッ母さんの お墓の前で 横綱の土俵入りを きっとやるんだよ」 [女性] 厚い化粧に 涙をかくす 茶屋の女も 意地はある まして男よ 取的さんよ 見せてお呉れな きっと明日の 晴れ姿 [男性] 「ああお蔦さん、棒ッ切れを 振り回してする 茂兵衛のこれが十年前に、櫛(くし)、笄(かんざし)、 巾着(きんちゃく)ぐるみ、 意見をもらった姐(ねえ)さんへ、 せめて見てもらう駒形の、 しがねえ姿の、土俵入りでござんす」 [男性]逢えてうれしい 瞼(まぶた)の人は [女性]つらい連れ持つ 女房雁 [二人]飛んで行かんせ どの空なりと これがやくざの せめて白刃の 仁義沙汰 |
東京アンナ青江三奈 | 青江三奈 | 藤間哲郎 | 渡久地政信 | | ライトの虹を 踏みながら 銀座の夜を ひらく薔薇 ああ誰か呼ぶ 舞姫の その名はアンナ 東京アンナ 噂のアンナ 重ねる酒の 激しさは 耐えた恋の しわざやら ああ誰が知ろ くずれ咲く その名はアンナ 東京アンナ 吐息のアンナ |
関東一本〆市川由紀乃 | 市川由紀乃 | 藤間哲郎 | 千木良政 | | やると決めたら どこまでも いのち一つの 筋一つ 関東気質(かたぎ)の 意地一つ お受けしました 〆(しめ)の手も 一本〆で参ります お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 酒は千樽 万の樽 お山颪(おろ)しも そよろ風 阪東太郎は 男です お受けしました ニッコリと 一本〆でつとめます お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 祝いごとなら 数あれど 夫婦(めおと)契りの 上はない 二人が一つに なる祝い お受けしました 仲だちを 一本〆で願います お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 |
美智也さのさ三橋美智也 | 三橋美智也 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | | 聞かせてネー 今夜はジックリ ほんとの胸を 聞けば言やせぬ 無理なんぞ こんなあたしが ネエ 重荷なら 好きなあたしも あきらめる あきらめるー そりゃァいけない よく聞いてごらん 時節来るまで この辛さ たとえ離れて ネエ 暮らそうと ほかに気はない 夫婦(めおと)松 許してネー 悲しいときには こらえちゃいても 嬉しいときには 泣けるもの やはり女は ネエ 愚痴ッぽい 愚痴で日も照る 日も曇る |
広東エレジー菅原都々子 | 菅原都々子 | 藤間哲郎 | 吉田矢健治 | | 想い出すほど 辛さがつのる 追われ追われた 北の国 あゝ あの日から 泣いて泣いて つぶれた目 今じゃ流れて 広東の 夜毎にひらく 水の花 生きているとは 名のみの命 ともし灯消えた 胸のうち あゝ こんな世は 泣いて泣いて 忘れたい だけど逢いたい ただ一度 顔さえ知らぬ お母さん 粉を挽き挽き 李を食べた 昔のあたし どこへ行った あゝ サンパンで 泣いて泣いて 弾く胡弓 人を待つ間の なぐさみに くずれた夢を そっと抱く |
おんな船頭唄福田こうへい | 福田こうへい | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | 小町昭 | 嬉しがらせて 泣かせて消えた 憎いあの夜の 旅の風 思い出すさえ ざんざら真菰 鳴るなうつろな この胸に 所詮かなわぬ えにしの恋が なぜにこうまで 身を責める 呼んでみたとて はるかな灯り 濡れた水棹が 手に重い 利根で生まれて 十三七つ 月よわたしも 同じ年 かわいそうなは みなしごどうし 今日もお前と つなぐ船 |
おれのおまえ島津ゆたか | 島津ゆたか | 藤間哲郎 | 伊藤雪彦 | | 朝の味噌汁 さしだす指の かぼそさ痛い おれの目に なまじ笑顔の やさしさに ひがむ心が つい負けて 別ればなしも かたつむり おまえ おまえ おれのおまえ 夜の盛り場 気強く生きて 男は多く 見ただろうに なんでしたがる 恋苦労 夢にはじけた やけ酒の こんな背中が いいのかい おまえ おまえ おれのおまえ 星の相性 素直に信じ かけがえないと またも云う おれに埋もれる バカな奴 せめて銭湯へ 二人して なみだ洗いに たまの日は おまえ おまえ おれのおまえ |
東京の灯よいつまでも氷川きよし | 氷川きよし | 藤間哲郎 | 佐伯としを | 石倉重信 | 雨の外苑 夜霧の日比谷 今もこの目に やさしく浮かぶ 君はどうして いるだろか ああ 東京の灯よ いつまでも すぐに忘れる 昨日もあろう あすを夢みる 昨日もあろう 若いこころの アルバムに ああ 東京の灯よ いつまでも 花の唇 涙の笑顔 淡い別れに ことさら泣けた いとし羽田の あのロビー ああ 東京の灯よ いつまでも |
裏磐梯よいつまでも仲宗根美樹 | 仲宗根美樹 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | 若いこころの あこがれに 旅はすすきの 山ふところを 君とふたりで 夢わけた 径(みち)のいとしさ なつかしさ 裏磐梯よ いつまでも 愛の誓いの よろこびを 泣いて交わした 高原ホテル 落葉降りしく あの窓に 今日も飛べ飛べ 白い雲 裏磐梯よ いつまでも 飽かぬ別れを つらくした 秋の日射しの 桧原湖(ひばらこ)恋し ルリか紫紺か たまゆらの 忘れられない 水の色 裏磐梯よ いつまでも |
めおと恋中村美律子 | 中村美律子 | 藤間哲郎 | 富田梓仁 | 佐伯亮 | オーイと呼ばれて 万事が一耳 わかる女房に 少しはなれた 昔恋しい 相合傘が 今も なぜかしら あなたの 机の横に 表は冬でも しあわせな めおと恋 苦労するたび 私が笑う みょうなやつよと あなたが笑う 世帯やつれも できない侭の バカを ありがとう やさしい 大黒ばしら あなたがいるから しあわせな めおと恋 こんど行こうか 想い出旅行 言葉だけでも うれしく泣ける 何も要らない だいじな男に 会えて めぐまれた 女は 私がひとり 死ぬまでふたりで しあわせな めおと恋 |
おんな船頭唄氷川きよし | 氷川きよし | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | 石倉重信 | 嬉しがらせて 泣かせて消えた 憎いあの夜の 旅の風 思い出すさえ ざんざら真菰 鳴るなうつろな この胸に 所詮かなわぬ 縁の恋が なぜにこうまで 身を責める 呼んでみたとて 遥かなあかり 濡れた水棹が 手に重い 利根で生まれて 十三、七つ 月よあたしも 同じ年 かわいそうなは みなし子同士 きょうもおまえと つなぐ舟 |
お座敷ワルツ二宮ゆき子 | 二宮ゆき子 | 藤間哲郎 | 佐伯としを | | 飲んでいいでしょ お酌をしてね めんどくさけりゃ ひとりにしてね いくらツトメのお人形だって たまにゃ振りたい 首を振りたい わけがある 恋の苦労は 利口にゃできぬ バカな女にゃ なおさらできぬ だじゃれ小唄の 文句をよそに 泣いております 燃えたわたしの あかい血が こんで生まれて 来たそのときは 島田かつらを あなたにつけて 男らしさを わたしが見せて すがりつかせて あとを追わせて あげましょう |
放浪竹越ひろ子 | 竹越ひろ子 | 藤間哲郎 | 不詳 | | 月は東に 夕日は西に 旅を行く身は 曠野の中に 今日もとぼとぼ さすらい暮し どこに埋めよう はかない夢を 恋に泣くのは 若さのためよ 空に唄うも つらさのためよ 捨てた故郷に 未練はないが 人の子ゆえに あわれを想う 何を求めて ひろった旅か 長い砂丘の ひとすじ道よ 嵐吹け吹け 地をまき立てて 愛(いと)し人待つ あゝ身ではなし |
王将真山一郎 | 真山一郎 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | 西脇功 | 露地に飛び出りゃ 夜空の星が 駒に見えるよ この目には 馬鹿よ阿呆と 言われても 将棋ばかりが なぜ止められぬ 「わいは今 女房や子供にわかれるか 将棋の駒にわかれるか ギリギリ結着のとこまで来てしもてるんや」 小春済まぬな 夫のために 愚痴もこぼさず 苦労する 浪花根性を 二人して 明日の勝負に かけよやないか 「今日の将棋はわてが勝ったんやない。 関根はんの方で負けてくれはったんや… 八年間なにくそなにくそと思もて来た 相手に勝ちながら ちっとも嬉しいことあらへん」 西の坂田と もてはやされて 行けばきびしい 茨道 どこにこころの 駒がある 神よ仏よ 教えておくれ |
三味でダンスを二宮ゆき子 | 二宮ゆき子 | 藤間哲郎 | 白石十四男 | | 踊っておねがい お座敷だって あなたと踊れば すてきなクラブ ひと目みてから 好きなの好きよ うーんうーん せつないこの気持 踊って踊って 三味でダンスを 踊っておねがい 島田もとって 女はよわいの やさしいひとに 忘れられなく させてよさせて うーんうーん うれしいこの気持 踊って踊って 三味でダンスを 踊っておねがい まだよさないで ふたりになるまで こうしていてね 燃えるわたしが わかるのわかる うーんうーん 泣きたいこの気持 踊って踊って 三味でダンスを |
筑波の鴉三波春夫 | 三波春夫 | 藤間哲郎 | 清水ひでお | | たかがひとりの 身軽な旅も 故郷(くに)の近くじゃ 気が重い はぐれついでの 筑波の鴉 寄ろか寄ろか過ぎよか 諸川宿は 生まれ在所へ ひとっ飛び 一宿一飯軒下三尺借りうけましてと、あれから三年経った。 手前勝手と、わかっちゃいるが一目逢いてえ、 逢いてえなア、お袋さんにヨー なまじやくざに 惚れさせまいと 心ならずも 袖にした あの娘恋しい 境の渡し 利根の利根の河原に 風立つ頃は 夢にまで見た 夜がある おちょぼ口のやさしい娘だったお千世坊、 今頃はお歯黒染めて堅気のいいおかみさんになっているかもしれねえ、 フン、俺らァ阿呆鴉だぜ 逢えば逢(お)うたで 不孝がつのる どうせ俺らは 親泣かせ 莫迦が莫迦なり 思案を決めりゃ 月の月のお山の 男体女体 片手拝みの 眼に痛い |
東京アンナ水森かおり | 水森かおり | 藤間哲郎 | 渡久地政信 | 石倉重信 | ライトの虹を 踏みながら 銀座の夜を ひらく薔薇 ああ 誰か呼ぶ 舞姫の その名はアンナ 東京アンナ 噂のアンナ 柔らな肌を 黒髪に 隠せど甘き 流し瞳(め)よ ああ 誰ゆえに 情熱の その名はアンナ 東京アンナ 妖(あや)しきアンナ 重ねる酒の 激しさは 耐(こら)えた恋の しわざやら ああ 誰が知ろ くずれ咲く その名はアンナ 東京アンナ 吐息のアンナ |
龍馬は生きる鳥羽一郎 | 鳥羽一郎 | 藤間哲郎 | 山崎幸蔵 | 佐々永治 | 維新回天(いしんかいてん) やらねばならぬ 時代の跫音(おと)が 俺を押す 八つの策(さく)を 八つの策(さく)を ふところに この身は一つ 敵七つ 龍馬は燃える 龍馬は奔(はし)る 都はるかに 長崎くれて おんなの意地に 花を見た 笑顔のおりょう 笑顔のおりょう わがおりょう 男に細身(ほそみ) なお刻(きざ)む 龍馬は決めた おまえを妻と 斬るも斬らるも 人間どうし きさまの国も 俺の国 今こそ闇も 今こそ闇も むらさきに 明けぞと朝の 星ひとつ 龍馬は生きる 七つの海に |
トチチリ流し春日八郎 | 春日八郎 | 藤間哲郎 | 江口夜詩 | | 何を好んで しがない稼業 浮世ぶらぶら ばちさばき 声は晴れても トチチリチン 芯は淋しい 芯は淋しい 流し唄 恋の口説(くぜつ)じゃ ケッたいけれど 聞いてくんなよ おねえちゃん ひとりもんなら トチチリチン 夢もちょっぴり 夢もちょっぴり 三の糸 男泣かせの 夜風や雨は 遠い野で吹け 山で降れ 三味はここらで トチチリチン 露路の灯りに 露路の灯りに 花咲かす |
奄美恋しや仲宗根美樹 | 仲宗根美樹 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | 櫻田誠一 | 波に夕日を 大きく染めて 名瀬(なぜ)は日暮れる かもめは帰る わしも帰ろうよ あの島へ 奄美恋しや なつかしや 幼な馴染の 面影追えば ぬれてやさしく 黒髪におう きっと抱こうよ またの日は 奄美恋しや なつかしや 母が丹精の 大島つむぎ 頬にあてれば 涙がにじむ せめて歌おうよ 島ぶしを 奄美恋しや なつかしや |
刃傷松の廊下鏡五郎 | 鏡五郎 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | 勅使下向(ちょくしげこう)の 春弥生(やよい) いかに果さん 勤めなん 身は饗応(きょうおう)の 大役ぞ 頼むは吉良(きら)と 思えども 彼(か)の振舞の 心なき 「各々方(おのおのがた) 各々方! お出合い そうらえ! 浅野殿 刃傷(にんじょう)にござるぞ!」 積る遺恨(いこん)を 堪忍(かんにん)の 二字で耐えたる 長矩(ながのり)も 武士には武士の 意気地あり 刃(やいば)に及ぶ 刃傷の 血涙(けつるい)悲し 松の廊下 「おはなし下され 梶川殿。 五万三千石 所領も捨て 家来も捨てての 刃傷でござる。 武士の情を ご存じあらば その手はなして 今一太刀(ひとたち) 討たせて下され 梶川殿…」 花の命を さながらに 赤穂三代 五十年 浅野の家も これまでか 君君(きみきみ)たらずとも 臣は臣 許せよ吾(われ)を この無念(むねん) |
刃傷松の廊下氷川きよし | 氷川きよし | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | 石倉重信 | 勅使下向(ちょくしげこう)の 春弥生(やよい) いかに果さん 勤めなん 身は饗応(きょうおう)の 大役ぞ 頼むは吉良(きら)と 思えども 彼(か)の振舞の 心なき 「各々方(おのおのがた) 各々方! お出合い そうらえ! 浅野殿 刃傷(にんじょう)にござるぞ!」 積る遺恨(いこん)を 堪忍(かんにん)の 二字で耐えたる 長矩(ながのり)も 武士には武士の 意気地あり 刃(やいば)に及ぶ 刃傷の 血涙(けつるい)悲し 松の廊下 「おはなし下され 梶川殿。 五万三千石 所領も捨て 家来も捨てての 刃傷でござる。 武士の情を ご存じあらば その手はなして 今一太刀(ひとたち) 討たせて下され 梶川殿…」 花の命を さながらに 赤穂三代 五十年 浅野の家も これまでか 君君(きみきみ)たらずとも 臣は臣 許せよ吾(われ)を この無念(むねん) |
それが男というものさ竹越ひろ子 | 竹越ひろ子 | 藤間哲郎 | 佐藤富房 | | 一度決めたら 二度目はいらぬ それが男と いうものさ 惚(ほ)れたかたまり かなぐり捨てて 恋はこれきり あきらめた 花のあの娘(こ)は 汚(けが)れを知らぬ 俺がいたんじゃ 棘(とげ)を持つ 未練ごころは さらさらないが なぜか涙が 出てならぬ 酒は飲んでも のまれちゃならぬ それが男と いうものさ あすは他人の あの娘(こ)のために ひとりしみじみ 飲んでやる |
アンコ悲しや松山恵子 | 松山恵子 | 藤間哲郎 | 増田幸造 | 増田幸造 | 赤い椿の花びら噛めば じんと眼に泌むちぎれ雲 アンコ悲しや 都は遠い 噂ばかりを残しつつ 今日はあなたはアアア… どのあたり 島の娘は他国のひとに 惚れちゃならぬとみな言うた アンコ悲しや 瀬の瀬の想い あなたひとりを信じます きっと迎えにアアア… 来てお呉れ 帰る帆影をあなたと思い 見れば夕日の鴎どり アンコ悲しや 飛ぶにも飛べず 胸に写真を秘めながら 島のお山にアアア… 手を合わす |
一本刀土俵入り二葉百合子 | 二葉百合子 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | 山と積まれたお宝さえも 人の情けにゃ 代えられぬ なんで忘れよ 花かんざしに こもる心を 受けて茂兵衛の こらえ泣き (セリフ) 「取的さん、お前本当に精を出し て立派な関取りにおなり、いっしょう懸命お やり、そうして故郷のおッ母さんのお墓の 前で横綱の土俵入りを、きっとやるんだよ」 厚い化粧に 涙をかくす 茶屋の女も 意地はある まして男よ 取的さんよ 見せてお呉れな きっとあしたの 晴れ姿 (セリフ) 「おおお蔦さん、棒ッ切れを振 りまわしてする茂兵衛のこれが十年前 に、櫛・笄・巾着ぐるみ、意見をもらった 姐さんに、せめて見てもらう駒形の、し がねえ姿の土俵入りでござんす」 逢えて嬉しい 瞼の人は つらい連れ持つ 女房雁 飛んで行かんせ どの空なりと これがやくざの せめて白刃の 仁義沙汰 |
番場の忠太郎真山一郎 | 真山一郎 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | 「水熊のおかみさんは お浜ってのか 俺のおっかさんと同じ名前だ おっかさん おっかさんならいいがなあ」 姿やくざな 番場の鳥も 人の親見りゃ 涙ぐせ 生きておいでか お達者か 昔恋しい 母の顔 「おかみさんは 憶えがあるんだ。 その顔はまともじゃねえ、 あっしは江州番場の宿の、おきなが屋の せがれ忠太郎でござんす。 おっかさん えッ 違うッてえんですかい」 来てはいけない 水熊横丁 愚痴じゃないけど なんで来た 親と名乗れず 子と言えず これも浮世の 罪とやら 「上下の瞼を合せ、じいッと考えてりゃ 逢わねえ昔のおっかさんの姿が 浮かんでくるんだ。 それでいいんだ 逢いたくなったら、逢いたくなったら 俺ぁ眼をつぶるんだ」 呼んでくれるな 情けの声よ 河原すすきも とめたがる どこへ飛ぼうと 忠太郎 母は瞼に 御座います |
女の酒森若里子 | 森若里子 | 藤間哲郎 | 高野かつみ | | 命もあげた 女です 何が私に 残ります 今はさいごに ただひとつ あげる言葉の さようなら 女が女を捨てました お酒をください お酒を お酒を 鬼にも蛇(じゃ)にも なりきって 生まれかわろう かわりたい 憎いあなたを 撲(ぶつ)よりは ひとり手酌の ひとりごと 女が女を捨てました お酒をください お酒を お酒を あなたの胸に 誰かいる どうせ私は 過去のひと 風にさみしく さりげなく 夜のちまたに 花が散る 女が女を捨てました お酒をください お酒を お酒を |
関東一本〆二葉百合子 | 二葉百合子 | 藤間哲郎 | 千木良政 | | やると決めたら どこまでも いのち一つの 筋一つ 関東気質(かたぎ)の 意地一つ お受けしました 〆(しめ)の手も 一本〆で参ります お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 酒は千樽 万の樽 お山颪(おろ)しも そよろ風 阪東太郎は 男です お受けしました ニッコリと 一本〆でつとめます お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 祝いごとなら 数あれど 夫婦契(めおとちぎ)りの 上はない 二人が一つに なる祝い お受けしました 仲だちを 一本〆で願います お手を拝借 「お手を拝借 ヨーオ!」(ポン!) 祝い〆 |
男のブルース三船浩 | 三船浩 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | 白石十四男 | ネオンは巷(まち)に まぶしかろうと 胸は谷間だ 風も吹く 男ならばと 耐(こら)えちゃみたが 恋の傷手(いたで)が 命とり 涙がじんと にじんで来たよ 俺もやっぱり 人の子か たかがひとりの 女のためと 向けた背中で ジャズが泣く 夜更けの風に 流され押され くぐる酒場の はしご酒 いいよ いいんだ 今夜は呑もう 呑めば辛さも 晴れようもの |
別れの波止場春日八郎 | 春日八郎 | 藤間哲郎 | 真木陽 | | そんなに泣きたきゃ 泣くだけお泣き あとで笑顔に 変るなら 変るなら 俺とおまえにゃ これが別れだ 最後の夜だ ああ やがて霧笛の 鳴る夜だ そんなに行きたきゃ 行こうじゃないか いつも歩いた 波止場道 波止場道 俺とおまえにゃ これが別れだ 愛(いと)しい道だ ああ きょうは出船の 待つ道だ そんなに飲みたきゃ たんまりお飲み 飲めばつらさも まぎれよう まぎれよう 俺とおまえにゃ これが別れだ 淋しい酒だ ああ あかの他人に なる酒だ |
東京アンナ大津美子 | 大津美子 | 藤間哲郎 | 渡久地政信 | | ライトの虹を 踏みながら 銀座の夜を ひらく薔薇 ああ 誰か呼ぶ 舞姫の その名はアンナ 東京アンナ 噂のアンナ 柔らな肌を 黒髪に 隠せど甘き 流し瞳(め)よ ああ 誰ゆえに 情熱の その名はアンナ 東京アンナ 妖しきアンナ 重ねる酒の 激しさは 耐えた恋の しわざやら ああ 誰が知ろ くずれ咲く その名はアンナ 東京アンナ 吐息のアンナ |
お別れ公衆電話松山恵子 | 松山恵子 | 藤間哲郎 | 袴田宗孝 | 斎藤恒夫 | 何もいわずに このままそっと 汽車に乗ろうと 思ったものを 駅の喫茶の公衆電話 いつかかけていた 馬鹿ね馬鹿だわ 私の未練 さようなら さようなら お別れ電話の せつないことば 好きでないなら 何でもないわ 好きでいりゃこそ 苦しくなるの 飛んで来ないで そのままいてよ 逢えばもろくなる ほんとほんとよ 私の気持 さようなら さようなら お別れ電話の せめてのことば 先があるのよ あなたの身には こんな女は 忘れるものよ ベルが鳴る鳴る プラットホーム ここが切れめ時 出てはいけない 私の涙 さようなら さようなら お別れ電話の 最後のことば |
刃傷松の廊下真山一郎 | 真山一郎 | 藤間哲郎 | 桜田誠一 | | 勅使下向(ちょくしげこう)の 春弥生 いかに果(はた)さん 勤めなん 身は饗応の 大役ぞ 頼むは吉良と 思えども 彼(か)の振舞の 心なき <セリフ(梶川)> 「各々(おのおの)方 各々方 お出合いそうらえ 浅野殿 刃傷(にんじょう)にござるぞ」 積(つも)る遺恨を 堪忍の 二字で耐えたる 長矩(ながのり)も 武士には武士の 意気地(いきじ)あり 刃(やいば)に及ぶ 刃傷の 血涙(けつるい)悲し 松の廊下 <セリフ(浅野)> 「おはなし下され 梶川殿 五万三千石 所領も捨て 家来も捨てての 刃傷でござる 武士の情を ご存じあらば その手はなして 今一太刀(ひとたち) 討たせて下され 梶川殿」 花の命を さながらに 赤穂三代 五十年 浅野の家も これまでか 君(きみ)君たらずとも 臣は臣 許せよ吾を この無念 |
おんな船頭唄三橋美智也 | 三橋美智也 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | | 嬉しがらせて 泣かせて消えた 憎いあの夜の 旅の風 思い出すさえ ざんざら真菰(まこも) 鳴るなうつろな この胸に 所詮かなわぬ 縁(えにし)の恋が なぜにこうまで 身を責める 呼んでみたとて はるかなあかり 濡れた水棹(みさお)が 手に重い 利根で生まれて 十三、七つ 月よわたしも 同じ年 かわいそうなは みなし子同士 きょうもおまえと つなぐ舟 |
東京の灯よいつまでも新川二朗 | 新川二朗 | 藤間哲郎 | 佐伯としを | | 雨の外苑 夜霧の日比谷 今もこの目に やさしく浮かぶ 君はどうして いるだろか あゝ 東京の灯よ いつまでも すぐに忘れる 昨日もあろう あすを夢みる 昨日もあろう 若い心の アルバムに あゝ 東京の灯よ いつまでも 花のくちびる 涙の笑顔 淡い別れに ことさら泣けた いとし羽田の あのロビー あゝ 東京の灯よ いつまでも |