アヤハラヨウ
Don't Look Back
2025年5月21日に“アヤハラヨウ”が新曲「ドラマソング」をリリースしました。したたかに、誰よりも強く日々を生きている人々に捧げる楽曲。深みのある優しくも力強い歌声と、誰の物でもない自分の人生(ドラマ)を自分らしく生きていくことの喜びを込めた1曲となっております。
今日のうたではそんな“アヤハラヨウ”による歌詞エッセイをお届け。この歌が生まれたのは、自身が高校生のとき。当時、どんな日々を過ごし、何を考え、何に悩んでいたのか。そして大人になった今、思うことは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
「ドラマソング」という曲は今から数年前、僕が高校生の頃に生まれた曲
そして、この話は僕が高校生の頃に遡るところから始まる。
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正方形の箱の中、全員が同じ方向を向いて座り、同じことに時間を費やす
あの「教室」という場所を
当時の僕は牢獄の様に感じていた。
授業をサボって、保健室のベッドでエッチな空想に耽ることにも
屋上で「人生」について想いを馳せることにも飽きた挙句、
結局、教室という牢獄で科される「オトナ製造カリキュラム」を
ただぼんやりと窓の向こうを眺めて、やり過ごしていた僕は、
夢の中に片足を突っ込みながら眺めていた、戦闘機のように滑空する鳥を
やけに羨ましく感じたことを覚えている。
あの頃の僕は「自分らしさ」を見出すことに躍起になっていた。
“自分にしか出来ないこと”
“自分が胸を張って誇れること”
周りは口を開けば、就職、進学、将来の話
それもある意味、僕のケツを叩いていたのかもしれない。
本当に色んなことをした。
小説を書いたり、絵を描いたり、興味はさほどなかったがスポーツもした
全ては“自分らしさ”を見つけるために。
その度に「お前には無理だ」と言われたし、
「もっと自分らしくさあ笑」なんて鼻で笑われた。
そんな刺々しい言葉たちをニコニコとした顔で聞き流しながら、
心の中では幾度となく中指を立てたものだった。
そんな“自分さがし”の毎日から、数年が経ち
僕は大人になり、音楽に出会った。
その音楽は誇れるモノとして胸の中で輝くようになった。
「あの日々は決して無駄なんかじゃなかった」
今では、本当に今だからこそ、
やっと、そう思えるようになった。
手のひらに収まる機械の中で全てが完結する時代、
それでも人生はまるでドラマのように
起承転結、忙しなく転がっていく。
時に涙を流し、誰かを愛し
その愛は泡の様に消え、
眠れない夜を幾度となく過ごす。
そんなことを繰り返すうちに、本当に大切なものだけが手に残る。
そうして、いつかこの人生の最後のカットを
「ああ、楽しかった」と終えられることを
切に願いながら、
前を向いて、今日も生きていく。
僕も、貴方も
Fin.
<アヤハラヨウ> ◆紹介曲「 ドラマソング 」 作詞:アヤハラヨウ 作曲:アヤハラヨウ