シンガーズハイ
PLAYBACK
2026年8月5日に“シンガーズハイ”が新作EP『PLAYBACK』をリリースしました。新体制始動後初となるフィジカル作品となる今作には、バンドの現在地とその先を見据えた全4曲を収録。シンガーズハイらしい言葉とメロディー、ライブハウスで磨き上げられた熱量を凝縮しながらも、新しいフェーズへの進化を感じさせる内容となっております。
さて、今日のうたではそんな“シンガーズハイ”の内山ショートによる歌詞エッセイをお届けします。音楽を続けるなかで、ひとりの人間として少しずつ変わってきた日々。大人になればなるほど抱くようになった葛藤と、それでも音を鳴らし続ける理由とは…。
音楽を始めた当時は社会にマトモに出たこともない、右も左も分からないような若者でした。「どうせロックバンドなんて大したことない」なんて歌ってきましたが、音楽しか取り柄のないような生活でも続けていればそれなりの社会性を持つようになるものです。
あの頃より日常的な挨拶や、「ありがとう」、「ごめんなさい」をちゃんと言えるようになったと思うし。初対面の人を目の前に顔が引き攣ることもなくなった気がする。家庭を持ってからは情けない飲み歩き方をすることもなくなりました。
自分はこれでないと社会で食っていけない。そう思って飛び込んだ音楽の世界でしたが、それもまた立派な社会だったんだなぁとしみじみ思いますし、そういうコンプレックスを抱えがちな業界だからこそ、尚更“真人間”でありたいと思う気持ちが大きくなったのかもしれません。
これだけ前を向けているというのに歌っていることは全く変わりません。ネガティブな感情が僕の音楽の基盤にあるので、「幸せになると今までのように歌えなくなるのではないか」とよく言われたものだし、自分自身思ってもいましたが、大人になったらなったで怒りや悲しみは付き纏ってくるものでした。
視野を広げていけばいくほど、届かない場所や人がこちらからでも見えてくるということ。信じていたミュージシャンや、自分の音楽を好きだと言ってくれた人間をリスペクトできなくなってしまうようなこと。そしてそんな人たちに傷つけられたこと。思い出したくないことも、自分自身の原動力にしなくてはと常にジタバタもがき続けなくてはなりません。
音楽を嫌いになってしまいそうなときこそ、自分たちがそもそも音楽で何をしたかったのかを思い出します。初めてメンバーたちと誰に見せるわけでもないスタジオで鳴らしたときのこと。音の海の中を泳ぎ回るような感覚。どれだけネガティブな感情を拭いきれなくても、五月蝿くなるほど音を鳴らせばそれだけで自然と笑えてくるものでした。
今回リリースした「PLAYBACK」は、あの頃見ていたものを思い出しながら、それと同時にこれから自分たちが見ていきたい景色に目を向けている一枚になっています。それぞれの瞬間が切り貼り絵のようでなく、グラデーション的に織りなしている。それが常に無理のないスピードで歩き続けて、その時その時を忘れないで居続けた自分たちのようで、今となってはとても愛おしい音楽です。
<シンガーズハイ Vo.Gt内山ショート>
◆新作EP『PLAYBACK』 2026年8月5日発売 <収録曲>
1 FIRE
2 見上げたあの空は
3 アンプリファー
4 B.O.LIE