『ユイカ』
夏が嫌いだ。
2026年6月8日に“『ユイカ』”が新曲「 青春は見えない 」をリリースしました。学生時代をコロナ禍で過ごした世代である『ユイカ』が、当時を今の視点で振り返り描いた楽曲。“過ぎた後に初めて気付く青春の日々“が歌詞に込められた、“青春は若者だけのものではない”というメッセージを歌った1曲となっております。
さて、今日のうたでは“『ユイカ』”による歌詞エッセイを3か月連続でお届けします。今回が最終回です。夏という季節ならではの記憶や衝動。夏は嫌いなはずなのに、なぜか新しい一歩を踏み出したくなる。そんな季節への複雑な愛情を綴っていただきました。
夏が嫌いだ。
そんな夏が来る。
てか来た。暑い、暑すぎる、溶ける。
今年は涼しいかも~なんて思っていた3週間前の自分が馬鹿らしい。
昔はもっと過ごしやすかったよなあとか、もっと夏が楽しみだったのになあとか、夏になるといつも過去と比べてしまう。
まだ21回しか夏を経験していないのに、私が知らない夏がもっと沢山あるのに、夏を知りつくした気でいる。
夏は、あの頃を思い出させてくれる。
実家の庭にプールを引っ張り出して、ホースをぐるぐる引き出して水を張る夏。
去年も同じ水着を着ていたから、今年は新しいのを買ってほしくて大して背は伸びてないのにやれ肩が窮屈だの丈が足りてないだの母に必死にプレゼンする夏。
夏休みの宿題を配られたときは7月中に終わらせるぞと意気込んでいたのに、時間のかかる自由研究とか工作を最後まで残しちゃって、8月が終わるギリギリに完成したと思ったら1行日記とかいう先生も別にぜんぶチェックしてないだろって思う地味にめんどくさいやつをカレンダーを振り返りながら最終日に20行くらい書く夏。
旅行に行ったり、海に行ったり花火を見たり、夏の思い出といえばってことはパッと思いつくけど、真剣に考えて思い出すと、意外と些細な出来事の方が夏らしかったりする。
夏を振り返るたびに、私は夏を嫌いという割に、夏を謳歌してたんだと気づく。
何かに挑戦したり、取り組んだりすることに季節なんて関係ないけど、なんとなく夏って始めやすい気がする、冬に音楽活動を始めた私が言うのは嘘みたいだけど。
夏だから薄着になるしダイエットしようとか、夏だから家にいるし新しいゲームしてみようかなとか、夏だからなんか楽器始めてみようかなとか。
何か挑戦してみたいけど、なんかなーって思ってるなら、夏のせいにすればいい。
夏になったから、で色んなことしちゃえばいい。
夏は嫌い、だって色んな好奇心が湧き出てくるから。
色んな私が、何かに挑戦し始めてしまうから。
貴方も、この夏のせいにして何か新しいことしたくなったでしょ。
夏は、始まったばかりだ。
<『ユイカ』>