花の溜息松島詩子 | 松島詩子 | 服部鋭夫 | 林伊佐緒 | | 月のほほえみか 星の吐息か そよ風に やさしく匂う 白いくちなしの花よ ひめやかに ひめやかに 人知れぬ 愛の想いに咲く ああ 夢の花 白いくちなしの花 夜のしずけさに 花の溜息 そよ風に やさしく匂う 白いくちなしの花よ 清らかな 清らかな 短夜(みじかよ)の 愛の夢にも似た ああ 匂う花 白いくちなしの花 白い花びらに 愁(うれ)いかくして そよ風に やさしく匂う 白いくちなしの花よ うるわしき うるわしき 衣ずれの 甘き仄かな香り ああ 愛の花 白いくちなしの花 |
緑の風に誘われて松島詩子 | 松島詩子 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 緑の風に 誘われて 一人で旅に出たのです こうして瞼 閉じてると 私のそばに 寄り添った 暖(ぬく)みがそっと 包みます 心(こころ)の中(なか)に 抱(だ)きしめた 貴方(あなた)といつでも 二人(ふたり)です 心(こころ)の中(なか)に 抱(だ)きしめた 貴方(あなた)といつでも 二人(ふたり)です 別れた夜の 涙さえ ずいぶん遠く なりました それでも胸の 小箱から 思い出一つ 採(と)り出して 昔の頃に 戻ります 心の中に 抱きしめた 貴方とお話 するのです 心の中に 抱きしめた 貴方とお話 するのです 車の窓を 流れてく 若葉の蔭が 素敵です 知らない山の 湯の宿に ふらりと降りて みませんか あの日の夢が こぼれます 心の中に 抱きしめた 貴方と今でも 一緒です 心の中に 抱きしめた 貴方と今でも 一緒です |
母恋吹雪氷川きよし | 氷川きよし | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 石倉重信 | 酔ってくだまく 父(とと)さの声を 逃げて飛び出しゃ 吹雪(ふぶき)の夜道 つらい気持は わかっちゃいるが 俺(おい)らばかりに あゝ なぜあたる こんなときには 母(かか)さが恋し なんで俺らを 残して死んだ 呼んでみたって ちぎれて消える 星のかけらも あゝ 見えぬ空 徳利(とくり)かこった 凍(しば)れる指に 岩手おろしが じんじとしみる たったふたりの 親子であれば 涙ぬぐって あゝ もどる道 |
青春の並木路小畑実 | 小畑実 | 結城ふじを | 林伊佐緒 | | 青い並木路(みち) シネマの角(かど)よ ほらね あそこだよ すてきじゃないか 風にからんで ネクタイ赤く 誰れを待つやら 煙草のけむり 青い眼鏡が いきなこと 恋の並木路 広告塔よ ほらね 向うだよ きれいじゃないか 白いスカート 青葉に映(は)えて 映画スターに 似たよな娘 可愛いえくぼが 照れている 夢の並木路 銀座の角よ ほらね スクラムで 楽しじゃないか 何か囁(ささや)く 唇燃えて 咲いたふたつの 明るい花を 月が見ている ビルの窓 |
母恋吹雪福田こうへい | 福田こうへい | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 川上英一 | 酔ってくだまく 父(とと)さの声を 逃げて飛び出しゃ 吹雪(ふぶき)の夜道 つらい気持は わかっちゃいるが 俺(おい)らばかりに あゝ なぜあたる こんなときには 母(かか)さが恋し なんで俺らを 残して死んだ 呼んでみたって ちぎれて消える 星のかけらも あゝ 見えぬ空 徳利(とくり)かこった 凍(しば)れる指に 岩手おろしが じんじとしみる たったふたりの 親子であれば 涙ぬぐって あゝ もどる道 |
リンゴ村から氷川きよし | 氷川きよし | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | おぼえているかい 故郷の村を 便りも途絶えて 幾年過ぎた 都へ積出す 真赤なリンゴ 見る度辛いよ 俺らのナ 俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 切なく揺するよ 俺らのナ 俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山小川 昔とちっとも 変っちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に |
リンゴ村から三山ひろし | 三山ひろし | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 伊戸のりお | おぼえているかい 故郷の村を たよりもとだえて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積み出す まっかなリンゴ 見るたびつらいよ 俺(おい)らのナ 俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 せつなく揺するよ 俺らのナ 俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山・小川 昔とちっとも 変わっちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に |
草原をゆく男林伊佐緒 | 林伊佐緒 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 真赤な夕陽が 燃えつきて 落ちてく遥かな 地平線 何時の日にはてるやら さすらいの旅 オーイゝ 泣かすな 草原をゆく風が 呼んでるゝ 遠い日の夢 夜霧が泌みこむ ジャンバーの 切ない重さを 知った肩 抱きしめるあてもない 愛(いと)しあの人 オーイゝ 泣かすな むらさきの空の涯 揺れてるゝ 遠い星影 砂地を刻んで 行く馬の ひづめの音だけ 続く夜 たどたどと口ずさむ 想い出の唄 オーイゝ 泣かすな 荒れ果てた胸底に 浮かべるゝ 遠いふるさと |
リンゴ村から福田こうへい | 福田こうへい | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 川上英一 | おぼえているかい 故郷の村を たよりもとだえて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積み出す まっかなリンゴ 見るたびつらいよ 俺(おい)らのナ 俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 せつなく揺するよ 俺らのナ 俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山・小川 昔とちっとも 変わっちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に |
旅路林伊佐緒 | 林伊佐緒 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | はるばると 一人旅ゆく あの空の 星を目指して その下に 何があるやら ひとすじに 夢を探して 今日もまた 明日もまた この旅路 果はいずこか 喜びの 出逢い幾度 悲しみの 別れ重ねつ この胸を 過ぎし面影 思い出となりて 痛むを 今日もまた 明日もまた この旅路 果はいずこか 夕焼けの 彩(いろ)もうすれて また空に 星がまたたく 虚しくも 選びたる道 ひたすらに 夢を追いゆく 今日もまた 明日もまた この旅路 果はいずこか |
東京ナイト若原一郎 | 若原一郎 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 銀座は雨も 虹の色 溶けたネオンを 踏んで行こ 小さい傘が 只ひとつ 世界は 僕とあなただけ あゝ ワンダフル ワンダフル東京 東京ナイト 六区の空が 映ってる 隅田パークの 柳かげ もつれてからむ 三味の音 世界は 僕とあなただけ あゝ ワンダフル ワンダフル東京 東京ナイト 屋台が並ぶ 暗い露地 新宿(ジュク)の谷間のノスタルジャ ほろりと酔って 組んだ腕 世界は 僕とあなただけ あゝ ワンダフル ワンダフル東京 東京ナイト |
夕陽に走る汽車津村謙 | 津村謙 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 赤い夕陽の 光りを分けて 汽車は行く行く 汽笛は叫ぶ シュッポ シュッポ シュッポ シュッポ シュッポー 何だか 旅に出たくって 一人でやって 来たものの さぞや今頃 銀座の街にゃ 灯るネオンが 呼ぶだろな 煙草くわえて ライターつけりゃ 何故か心も ちろりと燃える シュッポ シュッポ シュッポ シュッポ シュッポー なんでもないと 聞かせたが やっぱり恋を してたのか すがりつくよな あの娘の瞳 いつか揺れてる 浮んでる 迷う思いを 抱えた俺に 知らぬふりして 轍がきざむ シュッポ シュッポ シュッポ シュッポ シュッポー なんにも言わず このままで どこまで逃げて 見たとても 影とつれだつ あてない旅の 山の湯宿は 淋しかろ |
霧雨のけむる道津村謙 | 津村謙 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 霧雨が 煙る道 何処までも 何処までも 明日はいずこの 空の下 別れ別れの 運命(さだめ)なら あゝ せめて せめて この一刻(ひととき)を 街の灯も にじむ道 泣きながら 泣きながら そっとからんだ 指先も 離す嘆きを 知るゆえに あゝ せめて せめて あの夢だけを あゝ せめて せめて その果てまでを |
長崎の女清水博正 | 清水博正 | たなかゆきを | 林伊佐緒 | | 恋の涙か 蘇鉄の花が 風にこぼれる 石畳 噂にすがり ただひとり 尋ねあぐんだ 港町 ああ 長崎の 長崎の女(ひと) 海を見下ろす 外人墓地で 君と別れた 霧の夜 サファイヤ色の まなざしが 燃える心に まだ残る ああ 長崎の 長崎の女 夢をまさぐる オランダ坂に しのび泣くよな 夜が来る 忘れることが しあわせと 遠くささやく 鐘の音 ああ 長崎の 長崎の女 |
リンゴ村からレーモンド松屋 | レーモンド松屋 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | おぼえているかい 故郷の村を たよりもとだえて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積み出す まっかなリンゴ 見るたびつらいよ 俺(おい)らのナ 俺(おい)らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 せつなく揺するよ 俺(おい)らのナ 俺(おい)らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山小川 昔とちっとも 変わっちゃいない 帰っておくれよ 俺(おい)らのナ 俺(おい)らの胸に |
若い旅愁林伊佐緒 | 林伊佐緒 | 藤間哲郎 | 林伊佐緒 | | 白い雲 わいてくずれる あのあたり青い地平に 誰か呼ぶ あゝ馬車よ行こ 今日も旅 若い愁いは 鈴の音に 鈴の音に ラララ 散らして 閑古鳥 なにを啼くやら たそがれの涙ささえた つりランプ あゝ去りし日の 夢きざむ 馬車のわだちに おもかげが おもかげが ラララ 揺らめく 星ひとつ 西へ流れて 求めゆく旅は淋しい ことばかり あゝいつの日ぞ 幸福(しあわせ)に めぐり逢うやら この命 この命 ラララ 愛しや |
ダンスパーティーの夜美輪明宏 | 美輪明宏 | 和田隆夫 | 林伊佐緒 | | 赤いドレスが よくにあう 君と初めて 会ったのは ダンスパーティーの 夜だった 踊りつかれて 二人で ビルのテラスに 出てみたら 星がきれいな 夜だった 燃える想いを 秘めながら そっと唇 ふれたのも ダンスパーティーの 夜だった 甘くせつない ブルースよ 何んにも云わずに 頬よせて 二人いつまでも 踊ったね 熱い涙を ためながら 君が別れを 告げたのも ダンスパーティーの 夜だった はかない夢と あきらめて 忘れましょうと 言った君 星がつめたい 夜だった |
涙呼ぶブルース三条町子 | 三条町子 | 高橋掬太郎 | 林伊佐緒 | | 夜の街角流れて消える 唄は涙のブルースよ 一人もえれば吐息も悲し あゝ更けて淋しくかえる影 逢えぬ人ならあきらめましょうか くらいひとみに霧がふる 思い積もればまぼろし悲し あゝなぜか今宵も浮かぶ影 すゝり泣くのかネオンの色も 涙よぶよなブルースよ 一人かえればペーブも悲し あゝ夜の街角むせぶ影 |
若い心よ旅に出よう林伊佐緒 | 林伊佐緒 | 東條寿三郎 | 林伊佐緒 | | 青い地図をむねにひろげ 旅に出よう 悲しみの 地平の果てに 今日も亦 誰かが招く 哭(な)くのは お止め 哭くのは お止め 若い心よ 旅に出よう スーツケースに夢をつめて 旅に出よう 思い出は 瞼をぬらし はるばると 雲間に光る 哭くのは お止め 哭くのは お止め 若い心よ 旅に出よう 山の彼方に祈りささげ 旅に出よう 白い星 両手でかこい あてもなく さまよいながら 哭くのは お止め 哭くのは お止め 若い心よ 旅に出よう |
長崎の女里見浩太朗 | 里見浩太朗 | たなかゆきを | 林伊佐緒 | 小杉仁三 | 恋の涙か 蘇鉄(そてつ)の花が 風にこぼれる 石畳 噂にすがり ただ一人 尋ねあぐんだ 港町 ああ 長崎の 長崎の女 海を見下ろす 外人墓地で 君と別れた 霧の夜 サファイヤ色の まなざしが 燃える心に まだ残る ああ 長崎の 長崎の女 夢をまさぐる オランダ坂に しのび泣くよな 夜が来る 忘れることが 幸せと 遠く囁やく 鐘の音 ああ 長崎の 長崎の女 |
てなもんや三度笠氷川きよし | 氷川きよし | 香川登志緒 | 林伊佐緒 | 石倉重信 | 雲と一緒に あの山越えて 行けば街道は 日本晴れ おいら旅人(たびにん) 一本刀 「お控えなさんせ」「お控えなすって」 腕と度胸じゃ 負けないけれど なぜか女にゃ チョイと弱い 南風吹きゃ 花さえ咲くに 可愛いあの娘は 薄なさけ おいら旅人(たびにん) 一本刀 「お控えなさんせ」「お控えなすって」 口惜しまぎれに 言うのじゃないが あんな女は ザラにある 捨てた故郷に 未練はないが 忘れられよか 母の顔 おいら旅人(たびにん) 一本刀 「お控えなさんせ」「お控えなすって」 祭り囃子を しみじみ聞いて 男泣きする こともある |
夜の緋牡丹林伊佐緒 | 林伊佐緒 | 東條寿三郎 | 林伊佐緒 | | 燃える陽炎(かげろう)か あの日の夢か 仄かに銀の 星が降る ああ 君恋し 狂おし胸に 幾度も 切なくひらく 夜の緋牡丹 乙女ごころに 足音すれど 面影遠い 愛の窓 ああ 君恋し 涙に濡れて 呼び交わす 初恋の春 いまは何処 来る日去る日の 夢かき抱く 我ゆえ忍ぶ この嘆き ああ 君恋し 炎のなかに ひとり見る 哀しく咲いた 夜の緋牡丹 |
ダンスパーティーの夜三山ひろし | 三山ひろし | 和田隆夫 | 林伊佐緒 | 伊戸のりお | 赤いドレスが よく似合う 君と初めて 逢ったのは ダンスパーティーの 夜だった 踊りつかれて ふたりで ビルのテラスに 出てみたら 星がきれいな 夜だった 燃える思いを 秘めながら そっと唇 ふれたのも ダンスパーティーの 夜だった 甘くせつない ブルースよ なんにもいわずに ほほ寄せて ふたりいつまでも 踊ったね 熱い涙を ためながら 君が別れを 告げたのも ダンスパーティーの 夜だった はかない夢と あきらめて 忘れましょうと いった君 星が冷たい 夜だった |
大地よ三船浩 | 三船浩 | 宇川確 | 林伊佐緒 | | 春の息吹に 目覚めた大地 水あふれ 川になり 音になり 草木を飾り 地を走る 季節を刻(きざ)む 歌が聞こえる 全ての生命(いのち) 夢の大地よ 地球を護る 無限の力 太陽(ひ)が昇る 海も陸(ち)も 豊かなり 年輪(とし)を重ねて 止めどなく 自然の愛は 耐えて応える 全ての生命 夢の大地よ 大事(こと)が起きれば 戦(おのの)くばかり 天(そら)も地も 逆らうは 愚かなり 生きる者々(ものもの) ひたすらに 自分(おのれ)と語れ 明日の未来を 全ての生命 夢の大地よ |
初恋りんごっこ小宮恵子 | 小宮恵子 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 一人こっそり 抜けて来た リンゴ畑は 風ばかり リンゴッコ リンゴッコ なぜなぜ うれた 青いまんまで 放って置けば 涙なんかは 知らずにいたろう 空を飛んでく ちぎれ雲 遠い都は あのあたり リンゴッコ リンゴッコ なぜなぜ 呼んだ 赤い頬っぺを 両手ではさみ とても可愛いと 言ったはうそか 燃えた夕陽が 沈んでも 胸の炎は きえやせぬ リンゴッコ リンゴッコ なぜなぜ 泣いた じれて結んだ お下髪のもつれ 誰も知るまい 解かれもすまい |
リンゴ村から天童よしみ | 天童よしみ | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | おぼえているかい 故郷の村を 便りも途絶えて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積出す 真赤なリンゴ 見る度辛いよ 俺らのナ俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 切なく揺(ゆす)るよ 俺らのナ俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山小川 昔とちっとも 変わっちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ俺らの胸に |
ロザリオの島三山ひろし | 三山ひろし | たなかゆきを | 林伊佐緒 | 松井タツオ | 静かにひびく 鐘の音(ね)に 君をいとしむ 夜の海 二度と逢えない 微笑みは 銀のマリヤに 偲ぶだけ さよなら天草よ ロザリオの島 泪でつづる 思い出は 好きとはじめて 告げた夜 何も云わずに 教会の 坂を上(のぼ)って 行った女(ひと) さよなら天草よ ロザリオの島 まことの愛が ある限り 君は心の 中に住む いのちはかない 不知火(しらぬい)は たとえこのまま 消えるとも さよなら天草よ ロザリオの島 |
裏町の詩人林伊佐緒 | 林伊佐緒 | 藤間哲郎 | 林伊佐緒 | | 何を書こうと 裏町にゃ 派手に浮かれる うたもない 俺は淋しい 詩人だよ 袋小路の この露路は 空が四角に 見えるだけ 風に消された 灯のように なぜに散ったか あの花は 俺はあれから 詩人だよ 石油ランプの すす壁に すがる想いを また一つ 誰も知らない 裏町じゃ 誰に気がねも 要らぬこと 俺は哀しい 詩人だよ 黒く汚れた 運河にも 夜は泣きたい 夢がある |
傷心の夜三船浩 | 三船浩 | 高橋掬太郎 | 林伊佐緒 | | ひとり生きれば 都もさびし 暗い露地裏 仮の宿 思い出しても かえらぬ夢に 更けて涙の 星が散る 忘れたいのに まぼろし浮かぶ いまは人妻 遠い君 思い諦(あきら)め しあわせだけを 祈る心が なぜ痛む 古い手紙は 読むさえ悲し どうせはかなく 消えた恋 思い出すほど せつない胸に 吹くな都の 夜の風 |
灯影の兄妹三船浩 | 三船浩 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 暗い灯影に さしうつむいて 夜毎やつれる 横顔いとし むくな心を だまして逃げた あんな男が あゝ 何故忘られぬ 同じふところ 子守の唄を 聞いて育った 兄ではないか わけておくれよ お前の悩み じっと黙って あゝ 見ている辛さ 胸に刻んだ 面影ならば 消せと責めても そりゃ無理だろな 判る判るぜ 何にも言うな せめて一緒に あゝ 泣こうじゃないか |
すすきのロマン長谷川桂子 | 長谷川桂子 | 宇川確 | 林伊佐緒 | 高田ヒロシ | 雨がみぞれに みぞれが雪に 待てば季節の 花になる ファンタジックな すすきのは ネオンが飾る 水たまり 今日が明日に つづく街 恋はすすきの 夜明けまで 空を染めてる 盛り場あたり 調子はずれの 演歌をきく 眠り忘れた すすきのは 風にちぎれた 朝が舞う 今日が明日に つづく街 恋はすすきの 夜明けまで 酒を振るまう 祭りの様に 飲んで騒いで 夢の中 はめをはずした すすきのは 雪の化粧で 時節を知る 今日が明日に つづく街 恋はすすきの 夜明けまで 恋はすすきの 夜明けまで |
夜霧のハンブルグ大津美子 | 大津美子 | 和田隆夫 | 林伊佐緒 | | 白夜の空の 北極を 越えてはるばる 逢いにきた 夜霧の街よ ハンブルク 君はいるかと さまよえば セントペトリの 鐘が鳴る あゝ夜霧の 夜霧の ハンブルク ハイネの詩集 ひもといて これが好きよと 口ずさむ はかない恋の 物語 長いまつげの 横顔に 船のあかりが ゆれていた あゝ夜霧の 夜霧の ハンブルク ミモザの花が 散りかかる エルぺのほとり 青い径 さよなら白鳥 湖よ にじむガス燈 石だたみ 遠く汽笛が 泣いている あゝ夜霧の 夜霧の ハンブルク |
長崎の女西方裕之 | 西方裕之 | たなかゆきを | 林伊佐緒 | 高田弘 | 恋の涙か 蘇鉄(そてつ)の花が 風にこぼれる 石畳 うわさにすがり ただひとり 尋ねあぐんだ 港町 ああ 長崎の 長崎の女(ひと) 海を見おろす 外人墓地で 君と別れた 霧の夜 サファイア色の まなざしが 燃える心に まだ残る ああ 長崎の 長崎の女 夢をまさぐる オランダ坂に しのび泣くよな 夜が来る 忘れることが しあわせと 遠くささやく 鐘の音 ああ 長崎の 長崎の女 |
リンゴ村から西方裕之 | 西方裕之 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 白石十四男 | おぼえているかい 故郷の村を 便りも途絶えて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積出す 真赤なリンゴ 見る度辛いよ 俺らのナ 俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 切なく揺(ゆす)るよ 俺らのナ 俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山小川 昔とちっとも 変っちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に |
長崎の女福田こうへい | 福田こうへい | たなかゆきを | 林伊佐緒 | | 恋の涙か 蘇鉄の花が 風にこぼれる 石畳 噂さにすがり ただ一人 尋ねあぐんだ 港町 あゝ 長崎の 長崎の女 海を見下ろす 外人墓地で 君と別れた 霧の夜 サファイア色の まなざしが 燃える心に まだ残る あゝ 長崎の 長崎の女 夢をまさぐる オランダ坂に しのび泣くよな 夜が来る 忘れることが 幸せと 遠く囁やく 鐘の音 あゝ 長崎の 長崎の女 |