ごめんよかんべんナ西方裕之 | 西方裕之 | 伊吹とおる | 吉田矢健治 | 小町昭 | 待っていたのか きょうまでひとり そんなか細い からだで胸で そうかい そうだろう せつなかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 勝手気ままな おいらの意地が 好きとひと言 いわせなかった そうかい そうだろう 泣きたかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 待っておいでよ 死ぬんじゃないぜ きっとおいらが なおしてみせる そうかい そうだろう 淋しかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ |
山の吊橋西方裕之 | 西方裕之 | 横井弘 | 吉田矢健治 | 伊戸のりお | 山の吊橋(つりはし)ァ どなたが通る せがれなくした 鉄砲うちが 話相手の 犬つれて 熊のおやじを みやげにすると 鉄砲ひとなで して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ァ どなたが通る 遠い都へ 離れた人を そっとしのびに 村娘 谷の瀬音が 心にしむか 涙ひとふき して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ァ どなたが通る 酒がきれたか 背中をまるめ のんべェ炭焼き 急ぎ足 月をたよりに 枯れ葉のように くしゃみ続けて して通る ホレ ユーラユラ |
夕焼とんび西方裕之 | 西方裕之 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | 小町昭 | 夕焼け空が マッカッカ とんびがくるりと 輪を描(か)いた ホーイのホイ そこから東京が 見えるかい 見えたらここまで 降りて来な 火傷(やけど)をせぬうち 早くこヨ ホーイホイ 上りの汽車が ピーポッポ とんびもつられて 笛吹いた ホーイのホイ 兄(あん)ちゃはどうして いるんだい ちょっぴり教えて くんないか 油揚げ一丁 進上(しんじょう)ヨ ホーイホイ 一番星が チーカチカ とんびは意地悪 知らぬ顔 ホーイのホイ 祭りにゃ必ず 帰るって 俺らをだまして 置いてった 兄ちゃもおまえも ばかっちょヨ ホーイホイ |
山の吊橋天童よしみ | 天童よしみ | 横井弘 | 吉田矢健治 | | 山の吊橋ゃ どなたが通る せがれなくした 鉄砲うちが 話相手の 犬つれて 熊の親父を みやげにすると 鉄砲ひとなで して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ゃ どなたが通る 遠い都へ はなれた人を そっとしのびに 村むすめ 谷の瀬音が 心にしむか 涙ひとふき して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ゃ どなたが通る 酒が切れたか 背中をまるめ 呑んべェ炭やき いそぎ足 月をたよりに 枯葉のように くしゃみつづけて して通る ホレ ユーラユラ |
あなたと共に津村謙・吉岡妙子 | 津村謙・吉岡妙子 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | あなたと共に 行きましょう 恋の甘さと 切なさを はじめて教えて くれた人 それが 私の運命(さだめ)なら あなたと共に 行きましょう あなたと共に 泣きましょう 辛い浮世の 波風に 破れた翼の はぐれ鳥 それが 女の弱さなら あなたと共に 泣きましょう あなたと共に 呼びましょう 胸に灯(とも)った このあかり 消さずにかばって 抱きしめて それが 本当の希望(のぞみ)なら あなたと共に 呼びましょう |
一筆しめし参らせ候津村謙 | 津村謙 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 一筆しめし参らせ候 そなたの去った 長崎は 恋のむくろの 港街 暮れて出島に 灯る燈(ひ)も 泣いているよに 泣いているよに あゝ うるみ候 そなたと聞いた 浦上の 鐘が消えゆく 夜の空 燃える想いを とどけてと サンタマリヤに サンタマリヤに あゝ 祈り候 そなたを呼べば 丸山に 今日も降る降る 涙霧 せめて愛(いと)しい 面影を 抱いてあきらめ 抱いてあきらめ あゝ 暮し候 あらあらかしこ |
月夜の笛津村謙 | 津村謙 | 横井弘 | 吉田矢健治 | | 村はお祭り お山は月夜 私はぴいひゃら 笛自慢 高い櫓(やぐら)で 笛吹くときは 三里ひびいて ええ風となる 旅の一座の お下髪(さげ)の娘 紫蘇(しそ)の実かみかみ 月をみる 吹いてあげよか 故郷の唄を そばの花咲く ええ里の唄 村はお祭り こころは月夜 祭がすんだら 嫁も来る 月に横笛 浮かれて吹けば 思いばかりか ええ灯も揺らぐ |
広東エレジー菅原都々子 | 菅原都々子 | 藤間哲郎 | 吉田矢健治 | | 想い出すほど 辛さがつのる 追われ追われた 北の国 あゝ あの日から 泣いて泣いて つぶれた目 今じゃ流れて 広東の 夜毎にひらく 水の花 生きているとは 名のみの命 ともし灯消えた 胸のうち あゝ こんな世は 泣いて泣いて 忘れたい だけど逢いたい ただ一度 顔さえ知らぬ お母さん 粉を挽き挽き 李を食べた 昔のあたし どこへ行った あゝ サンパンで 泣いて泣いて 弾く胡弓 人を待つ間の なぐさみに くずれた夢を そっと抱く |
玄海太郎新川二朗 | 新川二朗 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 白石十四男 | しぶきの牙が 船底に がぶりかみつきゃ 夜が明ける ドブを飲み干せ 玄海太郎 女と別れる 覚悟はいいか 朝日が昇りゃ 出船だぞ 行かにゃならない 対馬沖 みれんきれたか 玄海太郎 荒波育ちの 土根性見せろ はげしく船を 揺らす海 足を滑らしゃ 地獄ゆき 波にかじ取れ 玄海太郎 命を張るのは 承知じゃないか |
ギター鴎清水博正 | 清水博正 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 夜の裏町 ネオンの海に 今日もただよう かもめ鳥 淋しくなんか 淋しくなんか あるもんか 俺らにゃギターが 残ってる ここは都の 波止場じゃないか 逢えば別れが あたりまえ あきらめちゃいな あきらめちゃいな あの娘なら 俺らのギターが そういった 波のしぶきに つばさを濡らし どうせとべない かもめ鳥 明日があるぜ 明日があるぜ 本当さ 俺らとギターが 唄うだけ |
あの雲の下島津悦子 | 島津悦子 | 八島義郎 | 吉田矢健治 | | 辛く尾を引く別れの汽笛 押さえる程にはらはらと 掌濡らす切ない涙 私の心捧げ尽した あなたが遠くかすみ行く 胸に無情の潮風が 二人っきりの小部屋の中で 語り明かした思い出を 印して行くよ心の底へ あなたのいないこれからの日を 幻だけを追って行く 恋しい名をば呼び乍ら かすかに残る航跡追いて 眺める行手淡路島 あの雲さえもあなたの姿 飛んで行き度い鴎の様に 又逢う日迄唯一人 冷たい風に染む涙 |
ひとり待ってるわ三条町子 | 三条町子 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | | 離さないで今一度 何も言わず抱きしめて 海に青い霧が降る ゆらゆらとゆれながら 三本マストいる港 つらいけれどただ一人 泣いて待ってるわ 望むままになるのなら 別れないで暮したい 暗い船の灯がともる ゆらゆらと頬寄せて 三本マストいる港 さよならまた来てね じっと待ってるわ 忘れないで 消さないで 強い胸にいつまでも 海のむせび寄せてくる ゆらゆらと霧の中 三本マストいる港 思い出して変らずに 一人待ってるわ |
カタカナ便り佐々木新一 | 佐々木新一 | たなかゆきを | 吉田矢健治 | | 暑さ寒さの 変り目ごとに きっと受取る カタカナ便り 暗い灯影に 背をまるめ 鉛筆なめなめ おふくろが 書いてる姿が 恋しいナ たった便箋 一枚だけど やけに嬉しい カタカナ便り 俺が東京へ 来てからは イガグリ頭の 弟も すっかり藁打ち 馴れたそナ 遠く離れた おふくろさんが そばにいるよな カタカナ便り 嫁の話も したいから 祭りの頃には 忘れずに 帰っておいでが 泣かせるナ |
明日天気になあれ小宮恵子 | 小宮恵子 | 葉山浩二郎 | 吉田矢健治 | | 鳴らしてごらん 吹けるだろ 麦笛呉れた いがぐり坊主 「明日天気になあれ」 思い出します お下髪の頃の 手と手つないだ わらべ唄 梢に逃げた ひぐらしを 登って捕った わんぱく坊主 「明日天気になあれ」 娘ごころの 瞼に消えぬ 陽焼け頬っぺの 片えくぼ すすきの道で 手を振って 別れて行った いじわる坊主 「明日天気になあれ」 便り欲しさに 都の空を 見れば日暮れの 千切れ雲 |
白い花言葉小宮恵子 | 小宮恵子 | 星野哲郎 | 吉田矢健治 | | 蓼科山(たてしなやま)の 山蔭に 仄(ほの)かに咲いた 白い花 これを私と 思ってと 胸に飾って くれたきみ おぼえているよ いつまでも 一人静(ひとりしずか)の 花の言葉を 傾(かし)げた傘の その下で 肩ふるわせて 無くきみに せめて怨みを 言われたら 旅へ発(た)つ身も 軽かろうに 黙っておれを くるしめた 一人静(ひとりしずか)の 花の涙よ 信濃の里に 咲く花は 信濃の里で 散るさだめ 旅に荒(すさ)んだ おれよりも こころやさしい その人に 与えておくれ 迷わずに 一人静(ひとりしずか)の 花のこころを |
水仙岬小宮恵子 | 小宮恵子 | 木下龍太郎 | 吉田矢健治 | | 振り向くたびに 爪立ちすれば 足袋の鞐が 痛くなる あなたを 見送る 女 越前 水仙岬 春呼ぶ花が 咲き競うのに 私の心は 春知らず―― 女のいのち 三日に込(こ)めて 燃えて乱れた いで湯宿 別れに選んだ 女 越前 水仙岬 命を賭けた この恋だけに 大事にしたい 想い出は―― 手櫛(てぐし)でやっと まとめた髪を 風がひと吹き また解(ほど)く 未練がからまる 女 越前 水仙岬 春呼ぶ花が 咲き競うのに 私の胸は 冬つづき―― |
故郷はいいなァ小宮恵子 | 小宮恵子 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | あの山も この川も みんな昔と そのまゝに 迎えてくれる 懐しさ つきない夢を 秘めている 故郷はいいなァ あゝ やっぱり いいなァ あの人も この顔も 幼なじみの 仲間なら 語れば胸も 溶けてゆく 心に沁みる くになまり 故郷はいいなァ あゝ やっぱり いいなァ 悲しさも 嬉しさも そっと包んで 只ひとり 抱かれて泣けば 気も晴れる いついつまでも 変らない 故郷はいいなァ あゝ やっぱり いいなァ |
サハリンの空は遠く高英男 | 高英男 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 若松正司 | サハリンの冬は別離のように長く サハリンの夏は恋に似て短い いつになったら帰れるの 異国になったあの島へ サハリンへ帰りたい サハリンへ帰りたい フレップの花の咲く頃 チエーホフの町で涙に濡れた人と チエーホフの町でもう一度逢いたい 愛はいまでも燃えている 心の中にあかあかと サハリンへ帰りたい サハリンへ帰りたい 幸せに逢えるふるさと 忘れられない いつまでも ホロナイ川のあの誓い サハリンへ帰りたい サハリンへ帰りたい この願いみのる日はいつ |
青い月夜だ春日八郎 | 春日八郎 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 波止場(はとば)離れりゃ 未練は捨てな 陸にゃ住めない 海の鳥 あすはどこかの 異国の港 待っているだろ 一夜(ひとよ)の夢が 青い月夜だ 甲板(デッキ)で語ろ 呼んでいたのか 故郷の空を わかるおぼえが ないじゃなし 帰りたいとも 思わぬくせに たまにゃ夢見て いまでも泣ける 青い月夜だ 甲板で語ろ 濡(ぬ)れてしょんぼり 小雨(こさめ)の浜で 送るあの娘(こ)を 俺(おれ)も見た 昔しのんで ついつまされて やけに痛むぜ 心のきずが 青い月夜だ 甲板で語ろ |
足摺岬春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | つらい別れも 男であれば 涙見せずに 行く俺だ 土佐の高知の あの娘(こ)の声が 呼んで 呼んでいるよな 足摺岬(あしずりみさき) 思い残せば 港もかすむ 揺れるマストに 風が鳴る 胸に形見の かんざし抱いて つきぬ つきぬなごりの 足摺岬 鯨潮吹く 潮路をはるか 涙こらえて 行く俺だ 恋も情(なさけ)も また逢う日まで 捨てにゃ 捨てにゃならない 足摺岬 |
雨降る街角 春日八郎 | 春日八郎 | 東篠寿三郎 | 吉田矢健治 | | つらいだろうが 野暮な事言うでない これきり逢えぬ 二人じゃないさ せめて震える 肩を引き寄せ 揺れて歩けば 雨が降る ああ 別れ街角 あれもこれも ひとときの夢ならば 今さら俺が 泣けたりするか 洩れる吐息に うるむ青い灯 なぜか今宵も 雨が降る ああ 馴れた街角 思い出して ただ一人待っていな 忘れずきっと 迎えにゃ来るぜ 未練きれずに 濡れてたたずむ 影に嘆きの 雨が降る ああ さらば街角 |
寒流春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | 吉田矢健治 | 海の暗さが 侘(わ)びしゅうてならぬ 風は冷たく ほほたたく 胸に浮かぶは あの娘(こ)の港 ほれて ほれて ほれていりゃこそ 思い出す 波が牙(きば)立つ 寒流はるか 行かにゃならない かじ枕 凍りつくよな 星影見れば なぜか なぜか なぜか心が 痛くなる 待っていなよと いうては来たが いつの日にまた 逢える身か 船が揺れれば 思いも揺れる 泣けて 泣けて 泣けてくるよな 海の果て |
ギター流し春日八郎 | 春日八郎 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 春が来たとて 行ったとて 旅の流しにゃ 知らぬこと ギター泣かせて 俺も泣く どうせはかない 恋の歌 好いちゃいけない 好けぬ身は いっそせつない 胸のうち 閉じた瞼(まぶた)の 裏側に せめておまえを 抱いて行こ 故郷(くに)を出たときゃ この俺も 夢も希望(のぞみ)も あったもの 街(まち)のあかりが 消えるよに 今じゃやつれた 影ひとつ |
故郷は遠い空春日八郎 | 春日八郎 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | 吉田矢健治 | 熱い涙に頬を濡(ぬら)し じっと見つめてる 忘れもしない 淋しいひとみ 何故にこうまで 故郷は遠い 雨の都の片隅は 片隅は 暗い嘆(なげ)きの 夢ばかり 誰が忘りょう 指を結び誓った一言(ひとこと)を 変らず今も 待ってるのやら 丁度(ちょうど)あの日も 小雨の降る夜 我慢してくれ今暫(しば)し 今暫(しば)し 胸に希望を 抱く日まで 遠い故郷の空は いつも重たいなまりいろ 想いはめぐる 幼い日ごろ どおせ戻らぬ 夢とは知れど 更けて都(みやこ)に降る雨に 降る雨に 俺もかくれて 泣いている |
ごめんヨかんべんナ春日八郎 | 春日八郎 | 伊吹とおる | 吉田矢健治 | | 待っていたのか 今日まで一人 そんなかぼそい 体で胸で そうかい そうだろう せつなかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 勝手気ままな 俺らの意地が 好きとひと言 いわせなかった そうかい そうだろう 泣きたかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 待っておいでよ 死ぬんじゃないぜ きっと俺らが 治してみせる そうかい そうだろう 淋しかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ |
旅の燈台春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | どうせ波間の 渡り鳥 啼(な)き啼き行くのが 旅ならば 呼ぶな他国の 燈台あかり 男瞼が なお濡れる 海の暗さよ 夜(よ)の寒さ マストが揺れれば 身も揺れる 裂いて捨てよか 形見の写真 それで未練が 消えるなら そらを仰げば 流れ星 流れて消えれば また哀し 呼ぶなよふけの 燈台あかり 思い切る気で 行くものを |
月の嫁入り舟春日八郎 | 春日八郎 | 横井弘 | 吉田矢健治 | | 舟がゆくゆく 嫁入り舟が 祭り囃子の その中を おさななじみが 思いをこめて 打てば太鼓も 月の流れを 泣いて行く 木の実ふるふる 社(やしろ)のかげで きいた子守の 唄のかず ばちの重さを 悲しくこらえ 打てば太鼓に 浮ぶあの日の 風ぐるま 舟がゆくゆく 嫁入り舟が つらい伏目の 人のせて 月に涙を さらしたままで 打てば太鼓は 川面(かわも)三里を 流れゆく |
街の燈台春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | 夜の巷(ちまた)の 小ぬか雨 なぜに男の 胸濡(ぬ)らす 流れ流れの しがない生命(いのち) せめて一夜(いちや)は 愛の灯(ひ)に 折れた翼に 風が吹く そんな気がする はぐれ鳥 どこが心の やどり木なのか 涙ばかりが ただ熱い よるべなければ なお淋し 街(まち)のあかりよ なぜうるむ 愛の燈台 照らしておくれ せめて希望の わが夢を |
山の吊橋 春日八郎 | 春日八郎 | 横井弘 | 吉田矢健治 | | 山の吊橋(つりばし)ァ どなたが通る せがれなくした 鉄砲うちが 話相手の 犬つれて 熊のおやじを みやげにすると 鉄砲ひとなで して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ァ どなたが通る 遠い都へ 離れた人を そっとしのびに 村娘 谷の瀬音が 心にしむか 涙ひとふき して通る ホレ ユーラユラ 山の吊橋ァ どなたが通る 酒がきれたか 背中をまるめ のんべェ炭焼き 急ぎ足 月をたよりに 枯れ葉のように くしゃみ続けて して通る ホレ ユーラユラ |
別れの燈台春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | 別れ 別れ辛さに 唇かめば 啼いて渡るか 空とぶ鳥も 今宵かぎりの ふたりの影を 照らす岬の 燈台あかり どこへ どこへ行こうが 逢わずにいよが 変らないのが 男のこころ つきぬ思いの その思い出に ともれ岬の 燈台あかり ないて ないてはるばる 旅ゆく鳥も いつか帰るよ 故郷の空へ 明日は他国で 夢見る海を 照らせ岬の 燈台あかり |
深川しぐれ橋鏡五郎 | 鏡五郎 | 松井由利夫 | 吉田矢健治 | | 帯の結び目 逆手で締めて 霧をひと吹き 潔め酒 情け着流し 男の道は 胸に三寸 ぶちこんだ 義理の楔が 義理の楔が 守り札 (セリフ)生きるのも けじめ 死ぬのも けじめ けじめだけはきっちりとつけて 男の道を歩いて行こうと思っております 男いのちの 観音開き 好いた惚れたじゃ 閉じられぬ 酒の力を 借りてじゃないが すがる片袖 ふりはらい 涙ひとつぶ 涙ひとつぶ 反古にする (セリフ)涙は瞼でとめて 言いたいことは呑みこんで それでいいんだ それがあいつのあいつのためなんだ 一度かぎりで 二度ない浮世 濡れりゃ躓く 戻り雨 花は散るから その実が残る 意地のけじめは きっちりと つけて辰巳の つけて辰巳の しぐれ橋 |
雪の桜田門~あゝ井伊大老鏡五郎 | 鏡五郎 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 白石十四男 | 黒船前にして 江戸城は 攘夷開国(じょういかいこく) 揺れ動く たとえ刺客に 出逢うとも 男大老 決意する あ…… 明日の日本を 救える道は 開国以外に 道はなし (セリフ) 宵節句というに季節外れの雪ではござらぬか。 水戸の白梅が彦根の赤鬼を斬るには持ってこいの雪だ。 おのおの方、革新の大義をはたすには……「雨でもない」 ……「風でもない」……大雪あるのみじゃ めざすは大老(たいろう) ただ一人 水戸の浪士(ろうし)は 斬るという 時は三(さん)月 登城日と かたい約束 誓う酒 あ…… 菊は二度咲く 葵は枯れる 西からくつわの 音がする (セリフ) 諸大名の行列がと絶えたあとである。 めざす彦根の一隊が一本道具を先に立て、 およそ同勢六十人、いずれも赤合羽にかぶり笠、 「下にー下にー」と進み出た。 見物するように 見せかけて 彦根行列 駕籠(かご)を待つ 不意をつかれた 大老は 桜田門の 雪と散る あ…… 花の生涯 白刃の舞いに むなしく天誅(てんちゅう) 受けて死す |
青いアンブレラ大津美子 | 大津美子 | 横井弘 | 吉田矢健治 | 小町昭 | 青いちっちゃな アンブレラ ちょいとかざせば いそいそと 浮気男が 声かける 「お嬢さん どちらまで 雨の散歩は 如何です」 いいえ男は 恐いもの なンで傘なぞ 貸せましょう わたしは つンとお澄ましで くるりと傘を 廻すだけ それでとても お得意だったの 青いちっちゃな アンブレラ いれてあげましょ あなただけ ぬれたソフトが 気にかかる 「お嬢さん ありがとう 僕はあなたを 忘れない」 いいえ恐いと 知りながら いつか夢みる この心 わたしは ひとりこっそりと 冷たい傘に 頬よせた それでとても 幸せだったの 青いちっちゃな アンブレラ いらなくなった アンブレラ 野暮で可愛い あの人は 虹と一緒に 消えちゃった 涙あふれる 水たまり 数えて街を 歩くだけ |
青い月夜の並木路大津美子 | 大津美子 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | | 並木(なみき)の路(みち)は 青い月 ゆらりゆらゆら 涙がにじむ 待ってみたとて 帰る人でも ないものを ないものを だれか遠くで 呼ぶような 呼ぶような 青い月夜の 並木路 並木の路は 青い月 ゆらりゆらゆら 夢みるところ 閉じた瞼(まぶた)に 浮かぶ姿の わびしさよ わびしさよ ひとり送った あのときも あのときも 青い月夜の 並木路 並木の路は 青い月 ゆらりゆらゆら 面影ばかり 残る一言(ひとこと) 胸にせつなく 抱きながら 抱きながら なにもいわずに 泣いてましょう 泣いてましょう 青い月夜の 並木路 |
君恋いさのさ大津美子 | 大津美子 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | ただひとり 故里(くに)をはなれて 他国のはてを 流れ浮き草 風まかせ 瞼とじれば ネェ 目にうかぶ 山よなつかし 君恋し おとこなら いつかひと花 咲かせてみたい 意地があるから 夢もある 広い世界に ネェ ただひとり 妻と呼びたい ひともある おもい寝の 夢に見てさえ しがない恋は とかく涙で 覚めやすい ままになるなら ネェ なれるなら 晴れて添い寝が してみたい |
あなたと共に大月みやこ | 大月みやこ | 矢野亮 | 吉田矢健治 | 小町昭 | あなたと共に 行きましょう 恋の甘さと 切なさを はじめて教えて くれた人 それが 私の運命(さだめ)なら あなたと共に 行きましょう あなたと共に 泣きましょう 辛い浮世の 波風に 破れた翼の はぐれ鳥 それが 女の弱さなら あなたと共に 泣きましょう あなたと共に 呼びましょう 胸に灯った このあかり 消さずにかばって 抱きしめて それが 本当の希望(のぞみ)なら あなたと共に 呼びましょう |
なみだ星大月みやこ | 大月みやこ | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 小町昭 | 星が泣いてる 泣いている 涙をほろり 湖に 大きくひろがる 水輪の中に 愛していると 書きながら 星が呼んでる 呼んでいる 想いをこめて 何回も 小さな光りを 夜どうし点(とも)し 面影そっと 偲ぶのか 星が消えてく 消えてゆく 夜明けの空に しょんぼりと そよならさよなら 哀しい声が かすれていつか 遠ざかる |
ひとり泣く夜のワルツ江利チエミ | 江利チエミ | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 花が咲いても 淋しくて 花が散ったら なお悲し 誰が私を こうさせた 夜が 夜が泣かせるの 好きと何度も 書いた文字 いつか涙で 溶けてゆく どうせ貴方にゃ とどかない 夜が 夜が泣かせるの 酔って忘れる お酒さえ 思い出させる 苦い味 胸にせつなく なぜ沁みる 夜が 夜が泣かせるの とぎれとぎれの 夢にまで 追えば遠のく じれったさ 醒めりゃやつれた 影ばかり 夜が 夜がなかせるの |
女心の唄五木ひろし | 五木ひろし | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 宮下博次 | あなただけはと 信じつつ 恋におぼれて しまったの 心変わりが せつなくて つのる思いの しのび泣き どうせ私を だますなら だまし続けて ほしかった 酔っている夜は 痛まぬが さめてなおます 胸の傷 うわべばかりと つい知らず ほれてすがった 薄情け 酒がいわせた ことばだと なんでいまさら 逃げるのよ 女ですもの 人並みに 夢を見たのが なぜ悪い 今夜しみじみ 知らされた 男心の うらおもて 逃げた人なぞ 追うものか 追えばなおさら つらくなる 遠いあの夜の 思い出を そっと抱くたび ついほろり 散って砕けた 夢の数 つなぎあわせて 生きてゆく いつか来る春 幸福(しあわせ)を のぞみすてずに ひとり待つ |