暴れん坊若様三波春夫 | 三波春夫 | 猪又良 | 長津義司 | | 三ツ葉葵に 旭が映えて 天下御免の 旅姿 まかり通るぞ 六十余洲 暴れ若様 浮世のよごれを 斬り捨てに 金も要らなきゃ お城も要らぬ 恋と情けに 泣くもよし 花を散らして 長七郎が 別れつらさを 振り切る小袖に ひとしぐれ 空を流れる 無情の月に むせぶ流転の 葵笠 若い血潮の 捨て場はどこか ゆくぞ島原 徳川魂 火と燃えて |
名月綾太郎ぶし三波春夫 | 三波春夫 | 藤田まさと | 長津義司 | | 芸道修行の 辛さより あかぬまなこは 尚辛い いとし女房の 三味線が 今日も壷坂 霊験記 泣いて語れと 泣いて語れと 背をうつ 妻は夫をいたわりつ 夫は妻に慕いつつ 頃は六月中の頃 夏とはいえど片田舎 木立の森も いと涼し 風が冷たく 身を責める まして俺らは 目無し鳥 知らぬ他国の 旅の宿 やせた女房の 手をとって 何度泣いたろ 何度泣いたろ 拝んだろ 夢の十年 ひとむかし お里沢市 壷坂の 語り文句を そのままに 今宵三すじの 糸の音も さえて心に さえて心に 返る春 |
元禄名槍譜 俵星玄蕃 島津亜矢 | 島津亜矢 | 北村桃児 | 長津義司 | | 槍は錆びても 此の名は錆びぬ 男玄蕃の 心意気 赤穂浪士の かげとなり 尽す誠は 槍一筋に 香る誉れの 元禄桜 姿そば屋に やつしてまでも 忍ぶ杉野よ せつなかろ 今宵名残りに 見ておけよ 俵崩しの 極意の一手 これが餞(はなむ)け 男の心 涙をためて振り返る そば屋の姿を呼びとめて せめて名前を聞かせろよと 口まで出たがそうじゃない 云わぬが花よ人生は 逢うて別れる運命とか 思い直して俵星 独りしみじみ呑みながら 時を過ごした真夜中に 心隅田の川風を 流れてひびく勇ましさ 一打ち二打ち三流れ あれは確かに確かにあれは 山鹿流儀の陣太鼓。 「時に元禄十五年十二月十四日、 江戸の夜風をふるわせて、 響くは山鹿流儀の陣太鼓、しかも一打ち二打ち 三流れ、思わずハッと立ち上がり、 耳を澄ませて太鼓を数え、おう、 正しく赤穂浪士の討ち入りじゃ、 助太刀するは此の時ぞ、 もしやその中にひるま別れた あのそば屋が居りわせぬか、 名前はなんと今一度、 逢うて別れが告げたいものと、 けいこ襦袢(じゅんばん)に身を固めて、 段小倉の袴、股立ち高く取り上げし 白綾たたんで後ろ鉢巻き眼のつる如く、 なげしにかかるは先祖伝来、 俵弾正鍛えたる九尺の手槍を右の手に、 切戸を開けて一足表に踏み出せば、 天は幽暗地は凱々たる白雪を 蹴立てて行く手は松坂町…」 吉良の屋敷に来て見れば、 今、討ち入りは真最中、 総大将の内蔵之助(くらのすけ)。 見つけて駆け寄る俵星が、 天下無双のこの槍で、 お助太刀をば致そうぞ、 云われた時に大石は 深き御恩はこの通り、 厚く御礼を申します。 されども此処は此のままに、 槍を納めて御引上げ下さるならば有難し、 かかる折しも一人の浪士が雪をけたてて サク、サク、サク、サク、 サク、サク、サク、――、 『先生』 『おうッ、そば屋か』 いや、いや、いや、いや、 襟に書かれた名前こそ、 まことは杉野の十兵次殿、 わしが教えたあの極意、 命惜しむな名をこそ惜しめ、 立派な働き祈りますぞよ、 さらばさらばと右左。 赤穂浪士に邪魔する奴は何人(なにびと) たりとも通さんぞ、 橋のたもとで石突き突いて、 槍の玄蕃は仁王立ち。 打てや響けや 山鹿の太鼓 月も夜空に 冴え渡る 夢と聞きつつ 両国の 橋のたもとで 雪ふみしめた 槍に玄蕃の 涙が光る |
出世佐渡情話島津亜矢 | 島津亜矢 | 北村桃児 | 長津義司 | 池多孝春 | お国訛(なま)りを嗤(わら)われて なんど楽屋で泣いたやら 浮かぶふるさと あの山小川 飾る錦が男の誓い 今宵 血を吐く寒稽古(かんげいこ) 泣いて別れたあの人に 熱い想いを通わせて 島の娘の黒髪恋し 唄うおけさも米若ぶしに 乗せて出世の 佐渡情話 佐渡へ佐渡へと草木もなびく 佐渡は居よいか住みよいか 唄で知られた 佐渡ヶ島 寄せては返す浪の音 立つや鴎か群千鳥 浜の小岩に佇(たたず)んで 若き男女の語り合い 晴れの舞台に七彩(いろ)の 夢を呼ぶよな名調子 恋の四十九里 たらいの舟も 今は昔よ お光と吾作 涙 輝やく 金屏風(びょうぶ) |
桃中軒雲右ヱ門島津亜矢 | 島津亜矢 | 藤田まさと | 長津義司 | 池多孝春 | 芸道一代 男のいのち… 意地と情けの からみ合い たとえ形は 女夫(みょうと)で居ても 芸のためなら 死ぬ覚悟 泣いて鬼にも 泣いて鬼にも 仇敵(かたき)にも 艱難辛苦 その甲斐あって… 晴れの花道 都入り 泣くなお浜よ 涙は不吉 天下無双の 幕びらき かげの三すじも かげの三すじも 意地で弾け 花は桜木 山なら富士よ… 浪花ぶしなら 桃中軒 雲をつらぬく あの紋どころ 女房あれ見よ 大幟(のぼ)り 二つ巴に 二つ巴に… 春の風 |
チャンチキおけさ島津亜矢 | 島津亜矢 | 門井八郎 | 長津義司 | 池多孝春 | 月がわびしい 露地裏の 屋台の酒の ほろ苦さ 知らぬ同士が 小皿叩いて チャンチキおけさ おけさせつなや やるせなや ひとり残した あの娘 達者で居てか おふくろは すまぬすまぬと 詫びて今夜も チャンチキおけさ おけさ おけさで 身をせめる 故郷(くに)を出る時 持って来た 大きな夢を 盃に そっと浮べて もらす溜息 チャンチキおけさ おけさ泪で 曇る月 |
大利根無情島津亜矢 | 島津亜矢 | 猪又良 | 長津義司 | 池多孝春 | 利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる これが浮世か 見てはいけない 西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛 あかね雲 「佐原囃子が聴えてくらあ想い出すなア…、 御玉ヶ池の千葉道場か、うふ…。 平手造酒も、今じゃやくざの用心棒、 人生裏街道の枯落葉か。」 義理の義理の夜風に さらされて 月よお前も 泣きたかろ こゝろみだれて 抜いたすすきを 奥歯で噛んだ 男男泪の 落し差し 「止めて下さるな、妙心殿。 落ちぶれ果てゝも 平手は武士じゃ 男の散りぎわは知って居り申す、 行かねばならぬそこをどいて下され、 行かねばならぬのだ。」 瞼瞼ぬらして 大利根の 水に流した 夢いくつ 息をころして 地獄まいりの 冷酒のめば 鐘が鐘が鳴る鳴る 妙円寺 |
チャンチキおけさ 三波春夫 | 三波春夫 | 門井八郎 | 長津義司 | | 月がわびしい 露地裏の 屋台の酒の ほろ苦さ 知らぬ同士が 小皿叩いて チャンチキおけさ おけさせつなや やるせなや 一人残した あの娘 達者で居てか おふくろは すまぬ すまぬと 詫びて今夜も チャンチキおけさ おけさ おけさで 身をせめる 故郷(くに)を出る時 もって来た 大きな夢を 盃に そっと浮べて もらす溜息 チャンチキおけさ おけさ涙で 曇る月 |
大利根無情 三波春夫 | 三波春夫 | 猪又良 | 長津義司 | | 利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる これが浮世か 見てはいけない 西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛(はけ) あかね雲 「佐原囃子が聴えてくらあ、想い出すなア…、 御玉ヶ池の千葉道場か、うふ…。 平手造酒も、今じゃやくざの用心棒、 人生裏街道の枯落葉か。」 義理の義理の夜風に さらされて 月よお前も 泣きたかろ こゝろみだれて 抜いたすすきを 奥歯で噛んだ 男男泪(なみだ)の 落し差し 「止めて下さるな、妙心殿。落ちぶれ果てても平手は 武士じゃ男の散りぎわは 知って居り申す、 行かねばならぬそこをどいて下され、 行かねばならぬのだ。」 瞼(まぶた)瞼ぬらして 大利根の 水に流した 夢いくつ 息をころして 地獄まいりの 冷酒のめば 鐘が鐘が鳴る鳴る 妙円寺 |
百年桜三波春夫 | 三波春夫 | 宮田隆 | 長津義司 | | ハァー 花か蝶々か春風さんか ハアヨイヨイトナー 袖にそよろと 舞いかかる ハア、ヨイショ 明治大正昭和の御代を かけて三代 日の本の ソレ 意気もうれしや 百年桜 咲いてかがやく 六十余州 シャシャントネー ハァー 笠の紅紐 横っちょで結び ハアヨイヨイトナー そろう姿で 総おどり ハア、ヨイショ 親は子を連れ 子は孫抱いて お家ますます 大繁昌 ソレ 祝えめでたと 手を打ちならしゃ 鶴も来て舞う わが家の空へ シャシャントネー ハァー 人に踏まれた 小草(おぐさ)でさえも ハアヨイヨイトナー やがて芽をふく 花ひらく ハア、ヨイショ つらい涙の 幾年月も すぎてしまえば 夢の夢 ソレ 打てや太鼓に 景気をそえて 海のむこうへ とどけとばかり シャシャントネー ハァー 梅が誘えば 桜が招く ハアヨイヨイトナー 黄菊白菊 勢ぞろい ハア、ヨイショ 明治このかた ことしでちょうど 星はめぐって 三代を ソレ 伸びて栄えた 百年桜 花よ実となれ 実よ花と咲け シャシャントネー |
君忘れじのブルース石原裕次郎 | 石原裕次郎 | 大高ひさを | 長津義司 | | 雨ふれば 雨に泣き 風ふけば 風に泣き そっと夜更けの 窓をあけて 歌う女の 心は一つ あゝ せつなくも せつなくも 君を忘れじのブルースよ 面かげを 抱きしめて 狂おしの いく夜ごと どうせ帰らぬ 人と知れど 女ごころは 命も夢も あゝ とこしえに とこしえに 君を忘れじのブルースよ |
玄海ブルース三門忠司 | 三門忠司 | 大高ひさを | 長津義司 | | 情け知らずと わらわば笑え ひとにゃ見せない 男の泪 どうせ俺らは 玄海灘の 波に浮寝の かもめ鳥 紅い灯(ほ)かげの グラスに浮ぶ 影が切ない 夜更けのキャバレー 酔うて歌えど 晴れない胸は ドラよお前が 知るばかり 嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 往く道ゃひとつ 雲の切れ間に キラリと光る 星がたよりの 人生さ |
大利根無情三門忠司 | 三門忠司 | 猪又良 | 長津義司 | | 利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる これが浮世か 見てはいけない 西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛 あかね雲 「佐原囃子が聴こえてくらあ想い出すなア…、 御玉ヶ池の千葉道場か、うふ…。 平手造酒も、今じゃやくざの用心棒、人生裏街道の枯落葉か。」 義理の義理の夜風に さらされて 月よお前も 泣きたかろ こゝろみだれて 抜いたすすきを 奥歯で噛んだ 男男泪の 落し差し 「止めて下さるな、妙心殿。 落ちぶれ果てても平手は武士じゃ男の散りぎわだけは知って居り申す、 行かねばならぬそこをどいて下され、行かねばならぬのだ。」 瞼瞼ぬらして 大利根の 水に流した 夢いくつ 息をころして 地獄まいりの 冷酒のめば 鐘が鐘が鳴る鳴る 妙円寺 |
君忘れじのブルース淡谷のり子 | 淡谷のり子 | 大高ひさを | 長津義司 | | 雨ふれば 雨に泣き 風ふけば 風に泣き そっと夜更けの 窓をあけて 歌う女の 心は一つ ああ せつなくも せつなくも 君を忘れじの ブルースよ 面かげを 抱きしめて 狂おしの いく夜ごと どうせ帰らぬ 人と知れど 女ごころは 命も夢も ああ せつなくも せつなくも 君を忘れじの ブルースよ 君を忘れじの ブルースよ |
大利根月夜三山ひろし | 三山ひろし | 藤田まさと | 長津義司 | | あれを御覧と 指差すかたに 利根の流れを ながれ月 昔笑うて 眺めた月も 今日は今日は 涙の顔で見る 愚痴じゃなけれど 世が世であれば 殿の招きの 月見酒 男平手と もてはやされて 今じゃ今じゃ 浮世を三度笠 もとをただせば 侍そだち 腕は自慢の 千葉仕込み 何が不足で 大利根ぐらし 故郷(くに)じゃ じゃ故郷じゃ 妹が待つものを |
玄海ブルース氷川きよし | 氷川きよし | 大高ひさを | 長津義司 | 石倉重信 | 情け知らずと 嘲笑(わら)わばわらえ ひとにゃ見せない 男の涙 どうせ俺らは 玄海灘の 波に浮き寝の かもめ鳥 紅い灯かげの グラスに浮かぶ 影がせつない 夜更けのキャバレー 酔うて唄えど 晴れない胸は 銅鑼(ドラ)よ お前が 知るばかり 嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 往く道ゃひとつ 雲の切れ間に きらりと光る 星がたよりの 人生さ |
ふるさとの燈台清水博正 | 清水博正 | 清水みのる | 長津義司 | | 真帆片帆(まほかたほ) 歌をのせて通う ふるさとの 小島よ 燈台の岬よ 白浜に 残る思い出の いまも仄かに さざなみは さざなみは 胸をゆするよ 漁火の 遠く近くゆるゝ はるかなる 小島よ 燈台のわが家よ なつかしき 父のまた母の 膝はゆりかご いつの日も いつの日も 夢をさそうよ 歳(とし)ふりて 星に月にしのぶ むらさきの 小島よ 燈台の灯(あかり)よ そよ風の 甘き調べにも 想いあふれて 流れくる 流れくる 熱き泪よ |
チャンチキおけさTemiyan. | Temiyan. | 門井八郎 | 長津義司 | | 月がわびしい 路地裏の 屋台の酒の ほろ苦さ 知らぬ同士が 小皿叩いて チャンチキおけさ おけさ せつなや やるせなや ひとり残した あの娘 達者で居てか おふくろは すまぬすまぬと 詫びて今夜も チャンチキおけさ おけさ おけさで 身をせめる 故郷(くに)を出る時 もって来た 大きな夢を 盃に そっと浮べて もらす溜息 チャンチキおけさ おけさ泪で 曇る月 |
元禄名槍譜 俵星玄蕃神野美伽 | 神野美伽 | 北村桃児 | 長津義司 | | 槍は錆びても 此(こ)の名は錆びぬ 男玄蕃の 心意気 赤穂浪士の かげとなり 尽す誠は 槍一筋に 香る誉れの 元禄桜 姿そば屋に やつしてまでも 忍ぶ杉野よ せつなかろ 今宵名残に 見ておけよ 俵崩の 極意の一と手 これが餞(はなむ)け 男の心 涙をためて振り返る そば屋の姿を呼びとめて せめて名前を聞かせろよと 口まで出たがそうじゃない 云わぬが花よ人生は 逢うて別れる運命とか 思い直して俵星 独りしみじみ呑みながら 時を過した真夜中に 心隅田の川風を 流れてひびく勇ましさ 一打ち二打ち三流れ あれは確かに確かにあれは 山鹿流儀の陣太鼓 「時に元禄十五年十二月十四日、 江戸の夜風をふるわせて、響くは山鹿流儀の陣太鼓、 しかも一打ち二打ち三流れ、思わずハッと立ち上り、 耳を澄ませて太鼓を数え 「おう、正しく赤穂浪士の討ち入りじゃ」 助太刀するは此の時ぞ、 もしやその中にひるま別れたあのそば屋が 居りはせぬか、名前はなんと今一度、 逢うて別れが告げたいものと、けいこ襦袢(じゅばん)に身を固めて、 段小倉の袴、股立ち高く取り上げ、 白綾たたんで後ろ鉢巻眼のつる如く、なげしにかかるは先祖伝来 俵弾正鍛えたる九尺の手槍を右の手に、 切戸を開けて一足表に踏み出せば、 天は幽暗地は凱々たる白雪を蹴立てて行手は松阪町…」 吉良の屋敷に来て見れば、今、討ち入りは真最中、 総大将の内蔵之助。見つけて駆け寄る俵星が、 天下無双のこの槍で、お助太刀をば致そうぞ、 云われた時に大石は深き御恩はこの通り、厚く御礼を申します。 されども此処は此のままに、 槍を納めて御引上げ下さるならば有り難し、 かかる折りも一人の浪士が雪をけたてて サク、サク、サク、サク、サク、サク、サク 『先生』『おうッ、そば屋か』 いや、いや、いや、いや、襟に書かれた名前こそ、 まことは杉野の十兵次殿、わしが教えたあの極意、 命惜しむな名おこそ惜しめ、立派な働き祈りますぞ、 さらばさらばと右左。赤穂浪士に邪魔する奴は何人(なんびと)たりとも 通さんぞ、橋のたもとで石突き突いて、槍の玄蕃は仁王立ち… 打てや響けや 山鹿の太鼓 月も夜空に 冴え渡る 夢と聞きつつ 両国の 橋のたもとで 雪ふみしめた 槍に玄蕃の 涙が光る |
銀座尾張町東海林太郎 | 東海林太郎 | 藤田まさと | 長津義司 | | 昔おもえば なつかし恋し 粋な手厘に 秘め模様 かわいかわいと ほめはやされて 花の銀座を 初島田 それもひととき 一夜の想い つもる月日や 年の数 ごらん今宵も 柳の街に つむじ曲りの お月さま ゆれる瓦斯等 ちるちる柳 肌につめたい 風のこえ 忘れましょうよ 昔のことは うわさばかりの 尾張町 |
霧の港の灯がうるむ東海林太郎 | 東海林太郎 | 東條寿三郎 | 長津義司 | | 霞む港よ 思い出よ 名残り切なく 振り返りゃ 胸に津軽の 灯が見える あゝ 霧の港の 灯がうるむ さらば函館 青い灯よ 恋は夜毎に 燃えるもの リラの葉かげで 見つめてた やさしあの目が 忘られぬ あゝ 霧の港の 灯がうるむ さらばまた逢う その日まで アカシヤ並木の 鈴の音よ 馬車にゆられて 札幌の 月に唄った わが姿 あゝ 霧の港の 灯がうるむ さらば函館 青い灯よ |
紅い燃ゆる地平線楠木繁夫 | 楠木繁夫 | 島田磬也 | 長津義司 | | 逢えば別れる 空の雲 若い二人の 呼び交す 愛の谺の かなしみが いつかは結ぶ 青春の夢 霧の都を 彷よえば 揺れてうるむか 街の灯も 忘れられない 君ゆえに 男の胸も すすり泣く 春はまた来る 人の世も 花と小鳥の めぐり逢い 明日の光に ほのぼのと 紅い燃ゆる 地平線 |
山鳩の唄菊池章子 | 菊池章子 | 田中千恵子 | 長津義司 | | ほろろ ほろほろ あの鳩は 今も昔も 山の唄 若いあの日の あなたは何処に 月の荒野か 海の果て 「あなた…あなたは 何処でお聞きになっていらっしゃるかしら 今日は朝から山鳩が啼いているんですよ。 小さい子どもたちを連れて あなたをお送りしたあの日と、 まるで同じように」 経てば短い 十年は 夢の浮世の 破れ傘 荒れた両手に 頬すりよせて 父の無い子と 泣きました 「子どもたちは立派に成人してくれました。 ありがたいと思っています。 悲しい戦争の思い出も、 もう遠いことなんですね。 あなた、安心なさって下さいね。 母ひとり子ども三人、力を合わせて みんなで幸福になって参りますわ」 母と呼ばれて ひとすじを 強く生きたも あなたゆえ 紅も忘れた 悲しい妻に やがて 希望の夜明けです |
俵星玄蕃三山ひろし | 三山ひろし | 北村桃児 | 長津義司 | | 吉良家にほど近い本所横網町に宝蔵院流の槍 を取っては天下の名人と云われた俵星玄蕃が 居た。上杉の家老千坂兵部(ひょうぶ)は二百五十石の高 禄を以って召抱えようと使者を立てた、勿論 吉良家の附人としてである。だが夜なきそば 屋当り屋十助こそ赤穂浪士の世を忍ぶ苦心の 姿と深く同情を寄せていた玄蕃は之を決然と 断った。 玄蕃 「のうそば屋お前には用の無いことじゃがまさかの時に役に立つかも知れぬぞ 見ておくがよい。」十六俵の砂俵の前にすっくと立った俵星、 思わず 雪の大地に正座して 息をころして見つめる杉野 あゝこれぞ元禄名槍譜(めいそうふ) 一. 槍は錆びても 此の名は錆びぬ 男玄蕃の 心意気 赤穂浪士の かげとなり 尽す誠は 槍一筋に 香る誉れの 元禄桜 二. 姿そばやに やつしてまでも 忍ぶ杉野よ せつなかろ 今宵名残りに 見ておけよ 俵くずしの 極意の一手 これが餞(はなむ)け 男の心 涙をためて振返る。 そば屋の姿を呼びとめて、 せめて名前を聞かせろよと、 口まで出たがそうじゃない 云わぬが花よ人生は、 逢うて別れる運命とか 思い直して俵星 独りしみじみ呑みながら、 時を過した真夜中に、 心隅田の川風を 流れてひびく勇ましさ 一打ち二打ち三流れ あれは確かに確かにあれは、 山鹿流儀の陣太鼓 「時に元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風 をふるわせて響くは山鹿流儀の陣太鼓、しか も一打ち二打ち三流れ、思わずハッと立上り、 耳を澄ませて太鼓を数え「おう、正しく赤穂 浪士の討ち入りじゃ」助太刀するは此の時ぞ、 もしやその中に昼間別れたあのそば屋が居 りわせぬか、名前はなんと今一度、逢うて別 れが告げたいものと、けいこ襦袢(じゅばん)に身を固めて、 段小倉の袴、股立ち高く取り上げ、白綾た たんで後ろ鉢巻眼のつる如く、なげしにかか るは先祖伝来、俵弾正鍛えたる九尺の手槍を 右の手に、切戸を開けて一足表に踏み出せば、 天は幽暗地は凱々たる白雪を蹴立てて行手は 松坂町……」 吉良の屋敷に来て見れば、 今、討ち入りは真最中 総大将の内蔵之助。 見つけて駆け寄る俵星が、 天下無双のこの槍で、 お助太刀をば到そうぞ、 云われた時に大石は深き御恩はこの通り、 厚く御礼を申します。 されども此処は此のままに槍を納めて 御引上げ下さるならば有難し、 かかる折しも一人の浪士が雪をけたててサク、 サク、サク、サク、サク、サク、サク― サク― 「先生」 「おうッ、そば屋か」 いや、いや、いや、いや、 襟に書かれた名前こそ まことは杉野の十兵次殿、 わしが教えたあの極意、 命惜しむな名をこそ憎しめ、 立派な働き祈りますぞよ さらばさらばと右左。 赤穂浪士に邪魔する奴は、 何人(なんびと)たりとも通さんぞ、 橋のたもとで石突き突いて、 槍の玄蕃は仁王立ち…… 三. 打てや響けや 山鹿の太鼓 月も夜空に 冴え渡る 夢と聞きつつ 両国の 橋のたもとで 雪ふみしめた 槍に玄蕃の 涙が光る |
還らぬ白衣東海林太郎 | 東海林太郎 | 石松秋二 | 長津義司 | | つわもの達は 銃をとり 君は担架と 弾丸の中 愛の天使は 赤十字 真白い腕(かいな) 血に染めて あわれ黒髪 還らぬ白衣(びゃくえ) 病院船の 揺れる燈に 乳房おさえて 呼子鳥 愛の天使は 赤十字 みくにのために 母の身を 海の果て行き 帰らぬ白衣 サルビアの花 ほろと散る 野戦病舎の夜の窓 愛の天使は 赤十字 看護(みと)るその身を 看護られて 純情(まこと)捧げて 還らぬ白衣 女は弱し 弱けれど 紺の制服 健気にも 愛の天使は 赤十字 召された君が 勲(いさおし)を とわに讃えん 還らぬ白衣 |
北満警備の唄美ち奴 | 美ち奴 | 佐藤惣之助 | 長津義司 | | ここは満州 最北の 流れは凍る 九百余里 吹雪もくらき 黒竜江 国境警備の 銃(つつ)執りて 雪にくらすも 早や三月 鷲や狐が 昼も啼く たゞ一本の 煙草でも わけて仲間と のむときは 国の話で 花が咲く 歩哨勤務も なんのその わしら男子の 本懐じゃ 国境警備の この誉れ |
長編歌謡浪曲 豪商一代 紀伊国屋文左衛門三波春夫 | 三波春夫 | 北村桃児 | 長津義司 | 長津義司 | 惚れた仕事に 命をかけて 散るも華だよ 男なら 怒濤逆巻く 嵐の中を 目指すは遙か 江戸の空 花の文左の みかん船 肝の太さと 度胸の良さに 勇み集まる 十二人 力合せて 乗り出す船は これも故郷の 人の為 征くぞ夜明けの 和歌の浦 浜辺に送る妻や子が、別れを惜しんで呼ぶ声も風に悲しく千切れ飛ぶ、 まして文左の新妻は、今年十九のいじらしさ、 せめても一度もう一度、背伸びしながら手を振れど、 雨と嵐にさえぎられ、かすむ良人の後ろ影、 これが別れになりゃせぬか、女心の切なさよ。 「白装束に身を固めて、梵天丸に乗り移った文左衛門。 時に承応元年十月二十六日の朝まだき。 此の時、遥か街道に駒のいななき、蹄の音は、連銭芦毛に鞭打って、 パッ、パッ、パッパッパッパー。 馬上の人は誰あろう、歌に名高き玉津島明神の神官、高松河内。 可愛い娘の婿どのが、今朝の船出の餞けと、 二日二夜は寝もやらず、神に祈願をこめました。 海上安全守りの御幣背中にしっかりとくくりつけ、 嵐の中を歯を喰いしばり親の心の有り難さ。 婿どのイヤ待ったと駆けつけた。」 涙で受取る文左衛門。未練心を断つように、 波切丸を抜き放ち、切ったとも綱、大碇は、 しぶきを上げて海中へ、ザ、ザ、ザ、さぶん――。 眺めて驚く船頭に、せくな騒ぐな此の船は、神の守りの宝船じゃ。 張れよ白帆を巻き上げよ、船は忽ち海原へ、疾風の如く乗り出す。 寄せくる波は山の様、嵐はさながら息の根を、止めんばかりの凄まじさ。 舳に立った文左衛門は、両の眼をらんらんと、 刀を頭上に振りかざし、無事に江戸まで、 八大竜王守らせ給えと念じつつ、 熊野の沖や志摩の海、遠州相模の荒灘も、 男一代名をかけて、乗り切る文左のみかん船。 沖の暗いのに白帆がサー見ゆる あれは紀の国ヤレコノコレワイノサ みかん船じゃエー 八重の汐路に 広がる歌が 海の男の 夢を呼ぶ 花のお江戸は もうすぐ近い 豪商一代 紀伊国屋 百万両の 船が行く |
玄海ブルース山内惠介 | 山内惠介 | 大高ひさを | 長津義司 | | 情け知らずと 嘲笑(わら)わばわらえ ひとにゃ見せない 男の涙 どうせ俺らは 玄海灘の 波に浮き寝の かもめ鳥 紅い灯(ほ)かげの グラスに浮かぶ 影がせつない 夜更けのキャバレー 酔うて唄えど 晴れない胸は 銅鑼(どら)よお前が 知るばかり 嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 往く道ちゃひとつ 雲の切れ間に キラリと光る 星がたよりの 人生さ |
僕の恋愛設計図榎本健一 | 榎本健一 | 島田磬也 | 長津義司 | | 好きだからとてイチャイチャと 色気のぼせりゃ よしなさい 恋の手管はただひとつ 好きな人ほど好かぬふり ラランラ ララララ 僕の恋愛設計図 いつも彼女と会うたびに 愛の言葉を目で言って じっと心を掴んだら それで万事はOKさ ラランラ ララララ 僕の恋愛設計図 野暮なレターで袖をひく ちょいとその手は古臭い 知らぬ顔すりゃ彼女から 焦れて想いをなびかせる ラランラ ララララ 僕の恋愛設計図 月の光に事寄せて 君にささやくローマンス 頬を真っ赤にバラのよに 染めてうなずきゃシメたもの ラランラ ララララ 僕の恋愛設計図 |
チャンチキおけさ清水博正 | 清水博正 | 門井八郎 | 長津義司 | 長津義司 | 月がわびしい 露地裏の 屋台の酒の ほろにがさ 知らぬ同士が 小皿叩いて チャンチキおけさ おけさせつなや やるせなや 一人残した あの娘 達者で居てか おふくろは すまぬすまぬと 詫びて今夜も チャンチキおけさ おけさ おけさで 身をせめる 故郷(くに)を出る時 もって来た 大きな夢を 盃に そっと浮べて もらす溜息 チャンチキおけさ おけさ泪で 曇る月 |
大利根月夜川中美幸 | 川中美幸 | 藤田まさと | 長津義司 | 伊戸のりお | あれを御覧と 指差すかたに 利根の流れを ながれ月 昔笑うて 眺めた月も 今日は今日は 涙の顔で見る 愚痴じゃなけれど 世が世であれば 殿の招きの 月見酒 男平手と もてはやされて 今じゃ今じゃ 浮世を三度笠 もとをただせば 侍そだち 腕は自慢の 千葉仕込み 何が不足で 大利根ぐらし 故郷(くに)じゃ故郷じゃ 妹が待つものを |
チャンチキおけさ福田こうへい | 福田こうへい | 門井八郎 | 長津義司 | 山田年秋 | 月がわびしい 露地裏の 屋台の酒の ほろにがさ 知らぬ同志が 小皿叩いて チャンチキおけさ おけさせつなや やるせなや ひとり残した あの娘 達者で居てか おふくろは すまぬすまぬと 詫びて今夜も チャンチキおけさ おけさおけさで 身をせめる 故郷(くに)を出る時 もって来た 大きな夢を 盃に そっと浮べて もらす溜息 チャンチキおけさ おけさ泪で 曇る月 |
大利根無情福田こうへい | 福田こうへい | 猪又良 | 長津義司 | 伊戸のりお | 利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる これが浮世か 見てはいけない 西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛 あかね雲 『佐原囃子が聴こえてくらァー、思い出すなァ……、 御玉ケ池の千葉道場か。 うふ……平手造酒(ひらてみき)も、今じゃやくざの用心棒、 人生裏街道の枯落葉か。』 義理の義理の夜風に さらされて 月よお前も 泣きたかろ こころみだれて 抜いたすすきを 奥歯で噛んだ 男男泪の 落し差し 『止めて下さるな、妙心殿。落ちぶれ果てても平手は武士じゃ。 男の散りぎわだけは知って居り申す。 行かねばならぬ。そこをどいて下され、行かねばならぬのだ。』 瞼瞼ぬらして 大利根の 水に流した 夢いくつ 息をころして 地獄まいりの 冷酒のめば 鐘が鐘が鳴る鳴る 妙円寺 |
歌謡劇場 大利根無情三山ひろし | 三山ひろし | 猪又良 | 長津義司 | 伊戸のりお | 利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる これが浮世か 見てはいけない 西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛(はけ) あかね雲 「佐原囃子が聴こえてくらァー想い出すなァ…、 御玉ヶ池の千葉道場か うふ…。 平手造酒 も、今じゃやくざの用心棒 人生裏街道の枯落葉か。」 義理の義理の夜風に さらされて 月よお前も 泣きたかろ こゝろみだれて 抜いたすすきを 奥歯で噛んだ 男男泪(なみだ)の 落し差し 「止めて下さるな、妙心殿。落ちぶれ果てても 平手は武士じゃ男の散りぎわだけは知って居 り申す。行かねばならぬ、そこをどいてくださ れ、行かねばならぬのだ。」 瞼(まぶた) 瞼ぬらして 大利根の 水に流した 夢いくつ 息をころして 地獄まいりの 冷酒のめば 鐘が鐘が鳴るなる 妙円寺(みょうえんじ) |
長編歌謡浪曲 元禄名槍譜 俵星玄蕃三山ひろし | 三山ひろし | 北村桃児 | 長津義司 | 伊戸のりお | 槍は錆びても 此の名は錆びぬ 男玄蕃の 心意気 赤穂浪士の かげとなり 尽す誠は 槍一筋に 香る誉れの 元禄桜 姿そばやに やつしてまでも 忍ぶ杉野よ せつなかろ 今宵名残りに 見ておけよ 俵くずしの 極意の一手 これが餞(はなむ)け 男の心 涙をためて振返る そば屋の姿を呼びとめて せめて名前を聞かせろよと 口まで出たがそうじゃない 云わぬが花よ人生は 逢うて別れる運命とか 思い直して俵星 独りしみじみ呑みながら 時を過した真夜中に 心隅田の川風を 流れて響く勇ましさ 一打ち二打ち三流れ あれは確かに確かにあれは、 山鹿流儀の陣太鼓 「時に元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風をふるわせて、 響くは山鹿流儀の陣太鼓、しかも一打ち二打ち三流れ。 思わずハッと立上り、耳を澄ませて太鼓を数え、 おう、正しく赤穂浪士の討ち入りじゃ、助太刀するは此の時ぞ、 もしやその中に昼間別れたあのそば屋が居りはせぬか、 名前はなんと今一度。 逢うて別れが告げたいものと、けいこ襦袢(じゅばん)に身を固めて、 段小倉の袴、股立ち高く取り上げ、白綾たたんで後ろ鉢巻眼のつる如く、 なげしにかかるは先祖伝来、俵弾正鍛えたる九尺の手槍を右の手に、 切戸を開けて一足表に踏み出せば、 天は幽暗地は凱々たる白雪を蹴立てて、行手は松坂町…」 吉良の屋敷に来て見れば 今討ち入りは真最中 総大将の内蔵之助 見つけて駆け寄る俵星が 天下無双のこの槍で お助太刀をば致そうぞ 云われた時に大石は深き御恩はこの通り 厚く御礼を申します されども此処は此のままに 槍を納めて御引上げ下さるならば有難し かかる折しも一人の浪士が雪をけたてて サク、サク、サクサクサクサクサクサク、 「先生!!」 「おゝ、そば屋か!!」 いや、いや、いや、いや 襟に書かれた名前こそ まことは杉野の十兵次殿 わしが教えたあの極意 命惜しむな名をこそ惜しめ 立派な働き祈りますぞよ さらばさらばと右左 赤穂浪士に邪魔する奴は 何人たりとも通さんぞ 橋のたもとで石突き突いて 槍の玄蕃は仁王立ち 打てや響けや 山鹿の太鼓 月も夜空に 冴え渡る 夢と聞きつつ 両国の 橋のたもとで 雪ふみしめた 槍に玄蕃の 涙が光る |
ふるさとの燈台三山ひろし | 三山ひろし | 清水みのる | 長津義司 | 南郷達也 | 真帆片帆 歌をのせて通う ふるさとの小島よ 燈台の岬よ 白砂に 残る思い出の いまも仄かに さざなみは さざなみは 胸をゆするよ 漁火の遠く近くゆるゝ はるかなる小島よ 燈台のわが家よ なつかしき 父のまた母の 膝はゆりかご いつの日も いつの日も 夢をさそうよ 歳(とし)ふりて 星に月にしのぶ むらさきの小島よ 燈台の灯(あかり)よ そよ風の 甘き調べにも 想いあふれて 流れくる 流れくる 熱き泪よ |
大利根無情椎名佐千子 | 椎名佐千子 | 猪又良 | 長津義司 | 杉山ユカリ | 利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる これが浮世か 見てはいけない 西空見れば 江戸へ江戸へひと刷毛(はけ) あかね雲 「佐原囃子が聴こえてくらあ 想い出すなア…、御玉ヶ池の千葉道場か、 ふふ…。 平手造酒も、今じゃやくざの用心棒、人生裏街道の枯落葉か」 義理の義理の夜風に さらされて 月よお前も 泣きたかろ こゝろみだれて 抜いたすすきを 奥歯で噛んだ 男男泪(なみだ)の 落し差し 「止めて下さるな、妙心殿。落ちぶれ果てても平手は武士じゃ。 男の散りぎわだけは知って居り申す。行かねばならぬ。 そこをどいて下され、行かねばならぬのだ」 瞼(まぶた)瞼ぬらして 大利根の 水に流した 夢いくつ 息をころして 地獄まいりの 冷酒のめば 鐘が鐘が鳴る鳴る 妙円寺 |
大利根月夜北島三郎 | 北島三郎 | 藤田まさと | 長津義司 | 萩敏郎 | あれを御覧と 指差すかたに 利根の流れを ながれ月 昔笑うて 眺めた月も 今日は今日は 涙の顔で見る 愚痴じゃなけれど 世が世であれば 殿の招きの 月見酒 男平手と もてはやされて 今じゃ今じゃ 浮世を三度笠 もとをただせば 侍そだち 腕は自慢の 千葉仕込み 何が不足で 大利根ぐらし 故郷(くに)じゃ故郷じゃ 妹が待つものを |
ふるさとの燈台北島三郎 | 北島三郎 | 清水みのる | 長津義司 | 池多孝春 | 真帆片帆 唄をのせて通う ふるさとの小島よ 燈台の岬よ 白砂に 残る思い出の いまも仄(ほの)かに さざなみは さざなみは 胸をゆするよ 漁火(いさりび)の 遠く近くゆるる はるかなる小島よ 燈台のわが家よ なつかしき 父のまた母の 膝はゆりかご いつの日も いつの日も 夢をさそうよ 歳ふりて 星に月に偲ぶ むらさきの小島よ 燈台の灯(あかり)よ そよ風の 甘き調べにも 想いあふれて 流れくる 流れくる 熱き泪よ |
玄海ブルース木村徹二 | 木村徹二 | 大高ひさを | 長津義司 | 蔦将包 | 情け知らずと 嘲笑(わら)わばわらえ ひとにゃ見せない 男の涙 どうせ俺らは 玄界灘の 波に浮き寝の かもめ鳥 紅い灯かげの グラスに浮かぶ 影がせつない 夜更けのキャバレー 酔うて唄えど 晴れない胸は 銅羅(ドラ)よお前が 知るばかり 嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 住く道ちゃひとつ 雲の切れ間に キラリと光る 星がたよりの 人生さ |