天津羽衣の歌詞一覧リスト  15曲中 1-15曲を表示

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曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
五ッ木くずし赤い椿の花ひとつ 咲いて哀しい 五ッ木村  おどろき盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと 遠いふる里 恋しい人も 盆が早よ来りゃ 盆が早よ来りゃ 早よ逢える  夜なべ仕事の貧しさに 母は達者か 妹は おどま勧進勧進 あんひとたちゃよか衆 娘ざかりを きれいな帯で かざる夢さえ かざる夢さえ ままならぬ  峠細道 地蔵さん 誰があげたか 山椿 おどんが打死んだちゅうて だいがにゃいてくりゅうか 背なで泣く子に また泣かされて 節も哀しい 節も哀しい 子守唄天津羽衣山手みどり村沢良介赤い椿の花ひとつ 咲いて哀しい 五ッ木村  おどろき盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと 遠いふる里 恋しい人も 盆が早よ来りゃ 盆が早よ来りゃ 早よ逢える  夜なべ仕事の貧しさに 母は達者か 妹は おどま勧進勧進 あんひとたちゃよか衆 娘ざかりを きれいな帯で かざる夢さえ かざる夢さえ ままならぬ  峠細道 地蔵さん 誰があげたか 山椿 おどんが打死んだちゅうて だいがにゃいてくりゅうか 背なで泣く子に また泣かされて 節も哀しい 節も哀しい 子守唄
お吉ざんげ国のためだと 騙されました こんなお吉に なりました 銀鋲緞子(ぎんびょうどんす)の 飾り駕籠 死ぬ気で通った 玉泉寺(ぎょくせんじ) 惨(みじ)めな 惨めな女に なりました  「みんないつの間にか居なくなってしまった。 わたしひとり生きてるなんて、まるでボロ布れだけが 残って入るようなもんだよ。もう、なにも言いっこなしさ。 女の過去なんて、明日になりゃ消えてしまう…… わたしなんか、その明日さえないんだからねぇ………」  赤い椿が ぽとりと落ちた 花の運命(さだめ)の はかなさは わたしの鏡が 知っている 十八 十九の おもいでを 返して 返しておくれよ もう一度  「世の中信じられなくなったら、なにもかもおしまいだよねぇ……… もう、泣くのも飽いた。生きるのも飽いた。生まれて育って 死んでく街……下田のお月さん、お願いだから二度と 「お吉」のような女は生まないで下さいよねぇ……」  下田港の厄介ものと 陰で嗤(わら)われ 罵(のの)しられ どうすりゃいいのさ この先は わたしの心の かくれ場所 教えて 教えて下さい お月さま天津羽衣藤田まさと伏見龍二国のためだと 騙されました こんなお吉に なりました 銀鋲緞子(ぎんびょうどんす)の 飾り駕籠 死ぬ気で通った 玉泉寺(ぎょくせんじ) 惨(みじ)めな 惨めな女に なりました  「みんないつの間にか居なくなってしまった。 わたしひとり生きてるなんて、まるでボロ布れだけが 残って入るようなもんだよ。もう、なにも言いっこなしさ。 女の過去なんて、明日になりゃ消えてしまう…… わたしなんか、その明日さえないんだからねぇ………」  赤い椿が ぽとりと落ちた 花の運命(さだめ)の はかなさは わたしの鏡が 知っている 十八 十九の おもいでを 返して 返しておくれよ もう一度  「世の中信じられなくなったら、なにもかもおしまいだよねぇ……… もう、泣くのも飽いた。生きるのも飽いた。生まれて育って 死んでく街……下田のお月さん、お願いだから二度と 「お吉」のような女は生まないで下さいよねぇ……」  下田港の厄介ものと 陰で嗤(わら)われ 罵(のの)しられ どうすりゃいいのさ この先は わたしの心の かくれ場所 教えて 教えて下さい お月さま
お吉物語GOLD LYLIC泣いて昔が 返るなら なんで愚痴など言うものか 花のいのちは 一度だけ よしておくれよ気休めは  なにもかもお仕舞いなんだ でもさ わたしにゃ 判ったのさ どんなに男を憎んだって 女は女 女ひとりじゃ暮せないってことがさ 世の中を渡り歩いて しみじみそう思ったんだよ わたしだって女だものねぇ…  夢も見ました 恋もした 二世を誓った 人も居た 娘ごころの 紅つばき どこで誰方が折ったやら  ハリスさんも死んだ鶴さんも死んだ 今度はわたしの番なんだ 今のわたしは穴のあいた三味線 みたいなものなんだ どんなに繕ってみたって もう昔の音なんか出やしない …お酒だよお酒をおくれッー  辛い浮世の 路地うらで 毒と知りつつ 呑むお酒 下田港の お月様 明るすぎます お吉にはGOLD LYLIC天津羽衣藤田まさと陸奥明福島正二泣いて昔が 返るなら なんで愚痴など言うものか 花のいのちは 一度だけ よしておくれよ気休めは  なにもかもお仕舞いなんだ でもさ わたしにゃ 判ったのさ どんなに男を憎んだって 女は女 女ひとりじゃ暮せないってことがさ 世の中を渡り歩いて しみじみそう思ったんだよ わたしだって女だものねぇ…  夢も見ました 恋もした 二世を誓った 人も居た 娘ごころの 紅つばき どこで誰方が折ったやら  ハリスさんも死んだ鶴さんも死んだ 今度はわたしの番なんだ 今のわたしは穴のあいた三味線 みたいなものなんだ どんなに繕ってみたって もう昔の音なんか出やしない …お酒だよお酒をおくれッー  辛い浮世の 路地うらで 毒と知りつつ 呑むお酒 下田港の お月様 明るすぎます お吉には
おけさ人生ハ、アリャアリャアリャサ まいどね まいど皆様 ご存知の おけさ おけさで まいります「ハ、 アリャサ」 佐渡は四十九里 波の上 とかく恋路と 世の中は 思うようには ゆかいなものよ アリャアリャアリャサで ままならぬ 「ハ、アリャ アリャ アリャサ」  チビリね チビリチビリと 冷もよし トクリトクリと燗もよし「ハ、 アリャサ」 あの娘この娘の お手拍子 姿(しな)のよいのは 可愛いものよ アリャアリャアリャサで ひと踊り 「ハ、アリャ アリャ アリャサ」  ハ、アリャアリャアリャサ 花をね 花をひと片(ひら) 盃に うけて千両の 酔い心地「ハ、 アリャサ」 天下泰平 後生楽 泣いて笑って 風まかせ おけさ人生 気ままなものよ アリャアリャアリャサで うれしいね 「ハ、アリャ アリャ アリャサ」天津羽衣池田充男春川一夫ハ、アリャアリャアリャサ まいどね まいど皆様 ご存知の おけさ おけさで まいります「ハ、 アリャサ」 佐渡は四十九里 波の上 とかく恋路と 世の中は 思うようには ゆかいなものよ アリャアリャアリャサで ままならぬ 「ハ、アリャ アリャ アリャサ」  チビリね チビリチビリと 冷もよし トクリトクリと燗もよし「ハ、 アリャサ」 あの娘この娘の お手拍子 姿(しな)のよいのは 可愛いものよ アリャアリャアリャサで ひと踊り 「ハ、アリャ アリャ アリャサ」  ハ、アリャアリャアリャサ 花をね 花をひと片(ひら) 盃に うけて千両の 酔い心地「ハ、 アリャサ」 天下泰平 後生楽 泣いて笑って 風まかせ おけさ人生 気ままなものよ アリャアリャアリャサで うれしいね 「ハ、アリャ アリャ アリャサ」
黒船哀歌赤い椿の 花かんざしは 下田芸者の 心中立て せめても一度 鶴松さんの 膝で泣きたや さめざめと ああ 恋の涙が 涸れるまで  沖の黒船 三本マスト はぐれ千鳥が 啼いて飛ぶ 二世を契った 二人の夢も 所詮果敢ない 明烏 ああ これが浮世の 運命やら  駕籠が行く行く お吉を乗せて 下田港は おぼろ月 青いランプの 窓辺にもたれ すすり泣いてる影法師 ああ 花が散る散る 玉泉寺天津羽衣渋谷郁男久慈ひろし久慈ひろし赤い椿の 花かんざしは 下田芸者の 心中立て せめても一度 鶴松さんの 膝で泣きたや さめざめと ああ 恋の涙が 涸れるまで  沖の黒船 三本マスト はぐれ千鳥が 啼いて飛ぶ 二世を契った 二人の夢も 所詮果敢ない 明烏 ああ これが浮世の 運命やら  駕籠が行く行く お吉を乗せて 下田港は おぼろ月 青いランプの 窓辺にもたれ すすり泣いてる影法師 ああ 花が散る散る 玉泉寺
恋の田原坂雨にぬれても 逢いたい思い なんで指さす 噂する 今宵田原の 恋しぐれ 情あるなら この肩に 着せておくれよ かくれみの  雨は降る降る人馬は濡れる 越すに越されぬ田原坂。 人目しのんで 切ない思い 雨も泣いてる 合戦情 昔なごりの 碑(いしぶみ)に 祈る私の 恋の道 越すに越せない 坂ばかり  心ぬらすな虫の音しぐれ ここは田原の古戦場。  好きなあなたに 添いたい思い 胸に面影 抱きしめる 草のしとねに 泣く虫の 声もあわれな 田原坂 夢も儚い 恋ひとつ天津羽衣山手みどり村沢良介雨にぬれても 逢いたい思い なんで指さす 噂する 今宵田原の 恋しぐれ 情あるなら この肩に 着せておくれよ かくれみの  雨は降る降る人馬は濡れる 越すに越されぬ田原坂。 人目しのんで 切ない思い 雨も泣いてる 合戦情 昔なごりの 碑(いしぶみ)に 祈る私の 恋の道 越すに越せない 坂ばかり  心ぬらすな虫の音しぐれ ここは田原の古戦場。  好きなあなたに 添いたい思い 胸に面影 抱きしめる 草のしとねに 泣く虫の 声もあわれな 田原坂 夢も儚い 恋ひとつ
長篇歌謡浪曲 九段の母上野駅から 九段まで 勝手知らない じれったさ 人とくるまに 追いかけられて 伜来たぞや 逢いに来た  「ほんに十年振りじゃのお。淋しかったろのう、堪忍して呉れや、 女手一つじゃで、そう ちょくちょくと来てもやれんのでの」  空を突くよな 大鳥居 見れば落ちます 一ト雫 遠いあの日の 道途(かどで)の朝が 今もこの目にありありと  「あの時御子息名誉の戦死ですよと、村長さまに頭下げられて… 両手をつかれて…伜も、これで一人前、 肩身が広うございます。 わたしゃ満足でこざいます。と言っただが… 一人息子が死んだのに、嬉しいなどとはそりゃ大嘘じゃ…」  いくら心が辛かろうと 口がさけても 人前で 泣いちゃいけない 軍国の 母の掟の 切なさよ 裏の畑に 馳け込んで 他人(ひと)に見せじと ため涙 窃と流した 親ごころ  「返してお呉れーおらの大切な伜を、返してお呉れ!」  おらに伜を 返してと 朝は朝星 夜は夜星 叫び続けた ふた昔 隣り村から 嫁もろて でんでん太鼓の 孫だいて 一家揃うて 倖せに わたしゃ気軽な 御隠居さまで 無事に暮らせて 居たものを  「お前と一緒に出征した、新田の三やんを見ろや、村会議員に納って、 えろう羽振りきかして居なさるわな。 五人の子持ちでの、上の娘っこは来春、嫁に行くだとよ、 村長さまの孫さんだとよ」  愚痴はよしましょ 折角の 十年振りの対面じゃ…  「ほら、ここへ鎮守様のお神酒(みき)を もろて来たで、 母子見ず入らずでよ、 ここで一杯やり乍ら、つもる話でもしようかの それにしても東京はえらくひらけたもんだのう。 おッたまげただよ。戦争には負けても、お前の働きは無駄じゃ なかったと、人は知らぬが、母はかとう信じるとるぞ、 今年は村も豊年万作で、大よろこびじゃった、二日二晩も、 ヨイヨイヨイヨイと、村の衆総出で踊り明かしたぞ。 こんな手振りでよ、たっぷり踊ってやったぞネ、 おらが村さの馬鹿踊りをよ…」  余り長居は別れが辛い。また逢う日をたのしみに、 待っててお呉れよ これ伜、  「そいじゃ…おッ母(かあ)は…もう行くぞよ…」  名残り惜しさに 振り返る 赤い夕陽の 九段坂 空を群れとぶ 親鳩子鳩 老いの瞼が また濡れる天津羽衣石松秋二能代八郎上野駅から 九段まで 勝手知らない じれったさ 人とくるまに 追いかけられて 伜来たぞや 逢いに来た  「ほんに十年振りじゃのお。淋しかったろのう、堪忍して呉れや、 女手一つじゃで、そう ちょくちょくと来てもやれんのでの」  空を突くよな 大鳥居 見れば落ちます 一ト雫 遠いあの日の 道途(かどで)の朝が 今もこの目にありありと  「あの時御子息名誉の戦死ですよと、村長さまに頭下げられて… 両手をつかれて…伜も、これで一人前、 肩身が広うございます。 わたしゃ満足でこざいます。と言っただが… 一人息子が死んだのに、嬉しいなどとはそりゃ大嘘じゃ…」  いくら心が辛かろうと 口がさけても 人前で 泣いちゃいけない 軍国の 母の掟の 切なさよ 裏の畑に 馳け込んで 他人(ひと)に見せじと ため涙 窃と流した 親ごころ  「返してお呉れーおらの大切な伜を、返してお呉れ!」  おらに伜を 返してと 朝は朝星 夜は夜星 叫び続けた ふた昔 隣り村から 嫁もろて でんでん太鼓の 孫だいて 一家揃うて 倖せに わたしゃ気軽な 御隠居さまで 無事に暮らせて 居たものを  「お前と一緒に出征した、新田の三やんを見ろや、村会議員に納って、 えろう羽振りきかして居なさるわな。 五人の子持ちでの、上の娘っこは来春、嫁に行くだとよ、 村長さまの孫さんだとよ」  愚痴はよしましょ 折角の 十年振りの対面じゃ…  「ほら、ここへ鎮守様のお神酒(みき)を もろて来たで、 母子見ず入らずでよ、 ここで一杯やり乍ら、つもる話でもしようかの それにしても東京はえらくひらけたもんだのう。 おッたまげただよ。戦争には負けても、お前の働きは無駄じゃ なかったと、人は知らぬが、母はかとう信じるとるぞ、 今年は村も豊年万作で、大よろこびじゃった、二日二晩も、 ヨイヨイヨイヨイと、村の衆総出で踊り明かしたぞ。 こんな手振りでよ、たっぷり踊ってやったぞネ、 おらが村さの馬鹿踊りをよ…」  余り長居は別れが辛い。また逢う日をたのしみに、 待っててお呉れよ これ伜、  「そいじゃ…おッ母(かあ)は…もう行くぞよ…」  名残り惜しさに 振り返る 赤い夕陽の 九段坂 空を群れとぶ 親鳩子鳩 老いの瞼が また濡れる
長篇歌謡浪曲 恋の松井須磨子女盛りの 柔肌に たぎり血汐を 何としょう 義理も人情も 恋には勝てぬ それが誠の 恋の道  「妾は舞台に生きる女優です。妾は見せてやりたい。 妾と先生の恋愛が、どんなに素晴らしいものか、 世間の人たちの目に見せてやりたい。いいえ。 先生の奥さんに見せつけてやりたいんです」 「ああ、君という人は困った人だ。だがこれだけの情熱を 舞台ばかりでなく、現実でも人目を怖れず、偽わらず に演じることの出来る君は、矢っ張り、わが芸術座を 背負って立つ大女優だ。私は君に負けた。性格の弱い、 実行力のにぶい私が、はげしい君の灼熱の情火に 負けてしまったのだ」  戸山ヶ原の 中空に 仰げば哀し 十日月 ああこの恋に あれくるう ああこの恋に ほとばしる 渕に瀬もあれ 抱月は 須磨子をぐっと 抱き寄せる 燃える情火は 草を焼き しばし声なし 天も地も あるは悲しい 虫の声  回り舞台の 雪に泣く あわれ須磨子よ カチューシャよ 人のさだめは 恋ゆえ変わる 浮世ドラマの 恋無情  「先生死なないで、死なないでー。 わたし一人をおいて、なぜ死んでしまったのです」 舞台の台詞そのままの、身も世もあらぬ絶叫慟哭は、 月にこだまし、月もまた泣いた。 「先生、妾も参ります。若しもあの世に三途の川が あるならば、待ってて下さい渡らずに。 せめてやさしい先生の、背に負われて渡りたい」  生きて骸(むくろ)に なるよりは 死んで咲かそう 恋の花 蓮のうてなの あの世とやらで 共に行きましょ いつまでも天津羽衣門井八郎久慈ひろし女盛りの 柔肌に たぎり血汐を 何としょう 義理も人情も 恋には勝てぬ それが誠の 恋の道  「妾は舞台に生きる女優です。妾は見せてやりたい。 妾と先生の恋愛が、どんなに素晴らしいものか、 世間の人たちの目に見せてやりたい。いいえ。 先生の奥さんに見せつけてやりたいんです」 「ああ、君という人は困った人だ。だがこれだけの情熱を 舞台ばかりでなく、現実でも人目を怖れず、偽わらず に演じることの出来る君は、矢っ張り、わが芸術座を 背負って立つ大女優だ。私は君に負けた。性格の弱い、 実行力のにぶい私が、はげしい君の灼熱の情火に 負けてしまったのだ」  戸山ヶ原の 中空に 仰げば哀し 十日月 ああこの恋に あれくるう ああこの恋に ほとばしる 渕に瀬もあれ 抱月は 須磨子をぐっと 抱き寄せる 燃える情火は 草を焼き しばし声なし 天も地も あるは悲しい 虫の声  回り舞台の 雪に泣く あわれ須磨子よ カチューシャよ 人のさだめは 恋ゆえ変わる 浮世ドラマの 恋無情  「先生死なないで、死なないでー。 わたし一人をおいて、なぜ死んでしまったのです」 舞台の台詞そのままの、身も世もあらぬ絶叫慟哭は、 月にこだまし、月もまた泣いた。 「先生、妾も参ります。若しもあの世に三途の川が あるならば、待ってて下さい渡らずに。 せめてやさしい先生の、背に負われて渡りたい」  生きて骸(むくろ)に なるよりは 死んで咲かそう 恋の花 蓮のうてなの あの世とやらで 共に行きましょ いつまでも
長篇歌謡浪曲 十三夜河岸の柳の ゆきずりに ふと見合せる 顔と顔 立ち止まり なつかしいやら 嬉しやら 青い月夜の 十三夜  「下らない事を云って何時までめそめそ泣いているんだいね、 お雪、幾ら気の長い私だって終いにゃ腹を立てるよ」 「お母さん それだけは それだけは堪忍して その代り、他の事ならなんでも聞きます」 「判らない子だねえ本当に、私しゃね お前の為を思って 云ってるんだよ、何時まで半玉(おしゃく)でいられるもんじゃア なしそれにゃ良い機会じゃないか。鶴田の旦那に 可愛がって貰ったら、襟(えり)変(か)へどころか一生お小遣いにも 困らないし、 お前の親達だってそれこそ大扇(うちわ)で暮らせるんだよ」 「お内儀さん、それじゃ家の親達もそれを 承知だと云ったんでしょう?」 「―そりゃアま、未だ聞いちゃいないけどさ、お父つあんは あの通りの永患(わずら)いでおッ母さん独りの手内職じゃ どうにも成りゃしないだろう、考えても御覧親孝行を されて怒る親ァ有りゃしない、ほんの僅かの辛抱だし、 女はみんな黙って通る道なんだよ」  お白粉つけて紅差して、 銀のかんざしゆらゆら 笑えば弾(はず)むぽっくりに 何の苦労も無い様な、 花の半玉の愛らしさ、 けれども裏を覗(のぞ)いたら こんなみにくいからくりが 有って泣かせる夜の街  「―可哀想に、お雪ちゃん」 「あ、染香姐さん」 「…又あの欲張りお内儀が、阿漕(あこぎ)な金儲けを 仕様と云うんだろ、今まで幾人の女達が同じ手で 泣かされて来たか…あ、そうそう、ほら、 何時だったかの、東京の学生さんがお雪ちゃんに、 会い度いって云ってるよ」 「でも、姐さん―」 「構うもんか、お内儀は私が誤魔化しとくから、 さ、直ぐにお行き、柳の河岸の船着場だよ―」  桜の花には来だ早い 風が冷たい春の夜 そっと抜け出て裏街を 行けば柳の河岸通り、 土堤を背にした船着場、 薄い灯りにたたずんで 待っているのかあの人は、 会えば別れが悲しかろ、 啜り泣くよな川の音  「…あら、こんな所へしゃがみ込んで、 どうしたのお雪ちゃん、可哀想にねえ」  初恋は破れ易いと誰が云う 一年前にお座敷でたった一回会ったきり 二本貰った絵葉書に 抱いて温(ぬく)めた想い出も 消してゆきましょ今日限り  「お雪ちゃんそれじゃアせめてさよならを」 「いいえお姐さん、もう何も云わないで」  空を千鳥が飛んでいる 今更泣いて 何としょう さようならと こよない言葉 かけました 青い月夜の 十三夜天津羽衣石松秋二長津義司河岸の柳の ゆきずりに ふと見合せる 顔と顔 立ち止まり なつかしいやら 嬉しやら 青い月夜の 十三夜  「下らない事を云って何時までめそめそ泣いているんだいね、 お雪、幾ら気の長い私だって終いにゃ腹を立てるよ」 「お母さん それだけは それだけは堪忍して その代り、他の事ならなんでも聞きます」 「判らない子だねえ本当に、私しゃね お前の為を思って 云ってるんだよ、何時まで半玉(おしゃく)でいられるもんじゃア なしそれにゃ良い機会じゃないか。鶴田の旦那に 可愛がって貰ったら、襟(えり)変(か)へどころか一生お小遣いにも 困らないし、 お前の親達だってそれこそ大扇(うちわ)で暮らせるんだよ」 「お内儀さん、それじゃ家の親達もそれを 承知だと云ったんでしょう?」 「―そりゃアま、未だ聞いちゃいないけどさ、お父つあんは あの通りの永患(わずら)いでおッ母さん独りの手内職じゃ どうにも成りゃしないだろう、考えても御覧親孝行を されて怒る親ァ有りゃしない、ほんの僅かの辛抱だし、 女はみんな黙って通る道なんだよ」  お白粉つけて紅差して、 銀のかんざしゆらゆら 笑えば弾(はず)むぽっくりに 何の苦労も無い様な、 花の半玉の愛らしさ、 けれども裏を覗(のぞ)いたら こんなみにくいからくりが 有って泣かせる夜の街  「―可哀想に、お雪ちゃん」 「あ、染香姐さん」 「…又あの欲張りお内儀が、阿漕(あこぎ)な金儲けを 仕様と云うんだろ、今まで幾人の女達が同じ手で 泣かされて来たか…あ、そうそう、ほら、 何時だったかの、東京の学生さんがお雪ちゃんに、 会い度いって云ってるよ」 「でも、姐さん―」 「構うもんか、お内儀は私が誤魔化しとくから、 さ、直ぐにお行き、柳の河岸の船着場だよ―」  桜の花には来だ早い 風が冷たい春の夜 そっと抜け出て裏街を 行けば柳の河岸通り、 土堤を背にした船着場、 薄い灯りにたたずんで 待っているのかあの人は、 会えば別れが悲しかろ、 啜り泣くよな川の音  「…あら、こんな所へしゃがみ込んで、 どうしたのお雪ちゃん、可哀想にねえ」  初恋は破れ易いと誰が云う 一年前にお座敷でたった一回会ったきり 二本貰った絵葉書に 抱いて温(ぬく)めた想い出も 消してゆきましょ今日限り  「お雪ちゃんそれじゃアせめてさよならを」 「いいえお姐さん、もう何も云わないで」  空を千鳥が飛んでいる 今更泣いて 何としょう さようならと こよない言葉 かけました 青い月夜の 十三夜
壺坂小唄恋のいろはを 手さぐりに 書いておしえて 三年(みとせ)越し 杖になりたや 心のつえに 三つ違いの えーえまあ 兄(あに)さんの  「あんまりです。あんまりです。沢市っあん、お目が見えないばっかりに、 世間の口に欺されて、夫の為なら、命までもと誓っている女房まで、疑う なんて、それではあんまりこの里が可哀そうです。え、可哀そうです。」  人の噂を 真にうけて 愛憎ずかしや 悋気沙汰(りんきざた) わけがあるなら 撲(ぶた)れもするが 割って見せたい えーえまあ この胸を  今日も聞える 壺坂の 諸行無常の 鐘の声 鏡に情けが 若しあるならば せめて夫を えーえまあ 元の身に天津羽衣藤田まさと陸奥明恋のいろはを 手さぐりに 書いておしえて 三年(みとせ)越し 杖になりたや 心のつえに 三つ違いの えーえまあ 兄(あに)さんの  「あんまりです。あんまりです。沢市っあん、お目が見えないばっかりに、 世間の口に欺されて、夫の為なら、命までもと誓っている女房まで、疑う なんて、それではあんまりこの里が可哀そうです。え、可哀そうです。」  人の噂を 真にうけて 愛憎ずかしや 悋気沙汰(りんきざた) わけがあるなら 撲(ぶた)れもするが 割って見せたい えーえまあ この胸を  今日も聞える 壺坂の 諸行無常の 鐘の声 鏡に情けが 若しあるならば せめて夫を えーえまあ 元の身に
涙の九段坂鳥居くぐれば 思わず知らず あつい涙が こみあげる ああ お父さん はるばると 逢いに来ました 逢いに来ました 九段坂  「お父さん。あなたが戦死なさったのは、やけつくような 裁くの戦場だったとか……水が欲しい、水を呉れと叫びつづけて 死んでしまった可哀相なお父さん…… 今年はネ、おじいちゃんやおばあちゃんや皆んなで、ホラ、 こんなにたくさん裏山のお水を持って来てあげましたよ……」  砂にやかれて 乾いた咽喉(のど)に のんで下さい この水を ああ お父さん 長かった 辛い月日の 辛い月日の 二十年  戦さなんかは もうたくさんよ せめて倖せ いつまでも ああ お父さん 来年も 逢いに来ますよ 逢いに来ますよ 九段坂天津羽衣門井八郎久慈ひろし鳥居くぐれば 思わず知らず あつい涙が こみあげる ああ お父さん はるばると 逢いに来ました 逢いに来ました 九段坂  「お父さん。あなたが戦死なさったのは、やけつくような 裁くの戦場だったとか……水が欲しい、水を呉れと叫びつづけて 死んでしまった可哀相なお父さん…… 今年はネ、おじいちゃんやおばあちゃんや皆んなで、ホラ、 こんなにたくさん裏山のお水を持って来てあげましたよ……」  砂にやかれて 乾いた咽喉(のど)に のんで下さい この水を ああ お父さん 長かった 辛い月日の 辛い月日の 二十年  戦さなんかは もうたくさんよ せめて倖せ いつまでも ああ お父さん 来年も 逢いに来ますよ 逢いに来ますよ 九段坂
母と子の窓泣いて歩んだ人生を 暗い侘しい並木路 風も冷たく空見れば 煌(きら)めく星よ あゝ母と子の窓  負けちゃいけない手を組んで 行けば開ける茨ら路 夢と希望の丘越えりゃ 僕等の光り あゝ母と子の窓  冬が終れば春が来る 泣く日ばかりが有るものか 元気で行こうと胸張れば 泪に浮かぶ あゝ母と子の窓天津羽衣房前智光山下五郎泣いて歩んだ人生を 暗い侘しい並木路 風も冷たく空見れば 煌(きら)めく星よ あゝ母と子の窓  負けちゃいけない手を組んで 行けば開ける茨ら路 夢と希望の丘越えりゃ 僕等の光り あゝ母と子の窓  冬が終れば春が来る 泣く日ばかりが有るものか 元気で行こうと胸張れば 泪に浮かぶ あゝ母と子の窓
稗つきくずし青い月夜に いま鳴る鈴は あれは恋しい 大八様か 人目忍んで 表に出れば 庭の山椒にゃ ヨーホイ 風ばかり 風ばかりヨ  馬塞棒(ませんぼう)ならして 嘶(いななく)く黒馬(あお)よ 拗ねて一ト節 稗搗(ひえつき)くずし 更けて燦(きら)めく 椎葉(しば)の星は 花の鶴富 ヨーホイ 泣く涙 泣く涙ヨ  固い契りも 一夜の夢か ままにならない 源平しぐれ 又も鳴るかよ 未練の鈴が 娘ごころに ヨーホイ 濡れて鳴る 濡れて鳴るヨ天津羽衣伊野上のぼる山下五郎青い月夜に いま鳴る鈴は あれは恋しい 大八様か 人目忍んで 表に出れば 庭の山椒にゃ ヨーホイ 風ばかり 風ばかりヨ  馬塞棒(ませんぼう)ならして 嘶(いななく)く黒馬(あお)よ 拗ねて一ト節 稗搗(ひえつき)くずし 更けて燦(きら)めく 椎葉(しば)の星は 花の鶴富 ヨーホイ 泣く涙 泣く涙ヨ  固い契りも 一夜の夢か ままにならない 源平しぐれ 又も鳴るかよ 未練の鈴が 娘ごころに ヨーホイ 濡れて鳴る 濡れて鳴るヨ
明治一代女浮いた浮いたと 浜町河岸に 浮かれ柳の はずかしや 人目忍んで 小舟を出せば すねた夜風が 邪魔をする  「巳之さん堪忍して下さい 騙すつもりじゃなかったけど どうしてもあの人と別れられないこのお梅の気持 騙したんじゃない 騙したんじゃない… ア 巳之さんお前さん何をするの 危い! 危い! 堪忍して か…… ア 巳之さん巳之さん あたしは大変なことをしてしまった。」  怨みますまい この世の事は 仕掛け花火に 似た命 燃えて散る間に 舞台が変わる まして女は なおさらに  意地も人情も 浮世にゃ勝てぬ みんな儚い 水の泡沫 泣いちゃならぬと 言いつつ泣いて 月にくずれる 影法師天津羽衣藤田まさと大村能章浮いた浮いたと 浜町河岸に 浮かれ柳の はずかしや 人目忍んで 小舟を出せば すねた夜風が 邪魔をする  「巳之さん堪忍して下さい 騙すつもりじゃなかったけど どうしてもあの人と別れられないこのお梅の気持 騙したんじゃない 騙したんじゃない… ア 巳之さんお前さん何をするの 危い! 危い! 堪忍して か…… ア 巳之さん巳之さん あたしは大変なことをしてしまった。」  怨みますまい この世の事は 仕掛け花火に 似た命 燃えて散る間に 舞台が変わる まして女は なおさらに  意地も人情も 浮世にゃ勝てぬ みんな儚い 水の泡沫 泣いちゃならぬと 言いつつ泣いて 月にくずれる 影法師
山川慕情巻雲かかる 開聞(かいもん)の 夕べのすそ野に 野やきの煙 あれは砂鉄か 釣舟か 今日もくれゆく 山肌に キジの鳴く声 山川慕情  乙女の姿 さつま富士 いのちもやすか 桜島 出船入船 灯台の 沈む夕日に 光る海 恋しき港 山川慕情  青い静かな 夜の海 涙でうるむ 月あかり 長崎鼻の 岬の灯 もゆる想いを 消さないで あつい情の 山川慕情天津羽衣坂元政徳坂元政徳巻雲かかる 開聞(かいもん)の 夕べのすそ野に 野やきの煙 あれは砂鉄か 釣舟か 今日もくれゆく 山肌に キジの鳴く声 山川慕情  乙女の姿 さつま富士 いのちもやすか 桜島 出船入船 灯台の 沈む夕日に 光る海 恋しき港 山川慕情  青い静かな 夜の海 涙でうるむ 月あかり 長崎鼻の 岬の灯 もゆる想いを 消さないで あつい情の 山川慕情
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