水仙岬小宮恵子 | 小宮恵子 | 木下龍太郎 | 吉田矢健治 | | 振り向くたびに 爪立ちすれば 足袋の鞐が 痛くなる あなたを 見送る 女 越前 水仙岬 春呼ぶ花が 咲き競うのに 私の心は 春知らず―― 女のいのち 三日に込(こ)めて 燃えて乱れた いで湯宿 別れに選んだ 女 越前 水仙岬 命を賭けた この恋だけに 大事にしたい 想い出は―― 手櫛(てぐし)でやっと まとめた髪を 風がひと吹き また解(ほど)く 未練がからまる 女 越前 水仙岬 春呼ぶ花が 咲き競うのに 私の胸は 冬つづき―― |
白い花言葉小宮恵子 | 小宮恵子 | 星野哲郎 | 吉田矢健治 | | 蓼科山(たてしなやま)の 山蔭に 仄(ほの)かに咲いた 白い花 これを私と 思ってと 胸に飾って くれたきみ おぼえているよ いつまでも 一人静(ひとりしずか)の 花の言葉を 傾(かし)げた傘の その下で 肩ふるわせて 無くきみに せめて怨みを 言われたら 旅へ発(た)つ身も 軽かろうに 黙っておれを くるしめた 一人静(ひとりしずか)の 花の涙よ 信濃の里に 咲く花は 信濃の里で 散るさだめ 旅に荒(すさ)んだ おれよりも こころやさしい その人に 与えておくれ 迷わずに 一人静(ひとりしずか)の 花のこころを |
少年の悲しい唄バーブ佐竹 | バーブ佐竹 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | | ひとりぼっちで 裏通り 夢を爪弾く フラメンコギター アー 少年の淋しい唄は かあさん かあさんを呼ぶ 涙ちょっぴり 夜のうた 愛を求めて 今日も又 町をさまよう フラメンコギター アー 少年のかすれる声は とうさん とうさんを呼ぶ 淋しがりやの 夜のうた 唄い疲れて 夜が更けりゃ 影が泣いてる フラメンコギター アー 少年の悲しい唄は にいさん にいさんを呼ぶ 細いトレモロ 夜のうた |
さよならも言わないで松島詩子 | 松島詩子 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | | さよならも言わないで 笑顔(えがお)を見せて 思いきらせた あなたはさすが いきな男 ふり向けば ふりかえり 気まぐれなものね さよならも 言わないで さよならも言わないで つれないそぶり 胸で呼んでる わたしはしょせん やぼな女 手を振れば 手をあげて 憎らしい人ね さよならも 言わないで ふり向けば ふりかえり 憎らしい人ね さよならも 言わないで |
さよなら故郷さん三船浩 | 三船浩 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | | ながながお世話に なりました 悲しいけれど 今日限り あなたの側を 離れます 後は何んにも 何んにも言えません さようなら ふるさとさん さようなら 涙をみせて ごめんなさい 夕焼け雲を 見るにつけ どこかに母が いるようで 胸のつぶれる つぶれる想いです さようなら ふるさとさん さようなら お便りきっと ねがいます はなれて遠く 暮らす日に 昔の歌の かずかずを どうかそれでは それではご機嫌よう さようなら ふるさとさん さようなら |
サハリンの空は遠く高英男 | 高英男 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 若松正司 | サハリンの冬は別離のように長く サハリンの夏は恋に似て短い いつになったら帰れるの 異国になったあの島へ サハリンへ帰りたい サハリンへ帰りたい フレップの花の咲く頃 チエーホフの町で涙に濡れた人と チエーホフの町でもう一度逢いたい 愛はいまでも燃えている 心の中にあかあかと サハリンへ帰りたい サハリンへ帰りたい 幸せに逢えるふるさと 忘れられない いつまでも ホロナイ川のあの誓い サハリンへ帰りたい サハリンへ帰りたい この願いみのる日はいつ |
ごめんヨかんべんナ春日八郎 | 春日八郎 | 伊吹とおる | 吉田矢健治 | | 待っていたのか 今日まで一人 そんなかぼそい 体で胸で そうかい そうだろう せつなかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 勝手気ままな 俺らの意地が 好きとひと言 いわせなかった そうかい そうだろう 泣きたかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 待っておいでよ 死ぬんじゃないぜ きっと俺らが 治してみせる そうかい そうだろう 淋しかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ |
ごめんよかんべんナ西方裕之 | 西方裕之 | 伊吹とおる | 吉田矢健治 | 小町昭 | 待っていたのか きょうまでひとり そんなか細い からだで胸で そうかい そうだろう せつなかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 勝手気ままな おいらの意地が 好きとひと言 いわせなかった そうかい そうだろう 泣きたかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ 待っておいでよ 死ぬんじゃないぜ きっとおいらが なおしてみせる そうかい そうだろう 淋しかったろネ ほんとにごめんヨ かんべんナ |
故郷は遠い空春日八郎 | 春日八郎 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | 吉田矢健治 | 熱い涙に頬を濡(ぬら)し じっと見つめてる 忘れもしない 淋しいひとみ 何故にこうまで 故郷は遠い 雨の都の片隅は 片隅は 暗い嘆(なげ)きの 夢ばかり 誰が忘りょう 指を結び誓った一言(ひとこと)を 変らず今も 待ってるのやら 丁度(ちょうど)あの日も 小雨の降る夜 我慢してくれ今暫(しば)し 今暫(しば)し 胸に希望を 抱く日まで 遠い故郷の空は いつも重たいなまりいろ 想いはめぐる 幼い日ごろ どおせ戻らぬ 夢とは知れど 更けて都(みやこ)に降る雨に 降る雨に 俺もかくれて 泣いている |
恋椿バーブ佐竹 | バーブ佐竹 | 横井弘 | 吉田矢健治 | | もしも愛して いたのなら 夜に別れて 欲しかった 縋りたくても 縋れずに 街の真昼に 散って行く 女の胸の あゝ 恋椿 ひとり暮しが 侘びしくて 甘い台詞に 弱かった 尽し続けた だけなのに なんであなたは 遠くなる 紅さえ薄い あゝ 恋椿 街で見つけた 倖せは 消える運命(さだめ)の 虹だった 酒で傷(いた)みは 堪(こら)えても 肌のほてりに また泣ける 女の胸の あゝ 恋椿 |
玄海太郎新川二朗 | 新川二朗 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 白石十四男 | しぶきの牙が 船底に がぶりかみつきゃ 夜が明ける ドブを飲み干せ 玄海太郎 女と別れる 覚悟はいいか 朝日が昇りゃ 出船だぞ 行かにゃならない 対馬沖 みれんきれたか 玄海太郎 荒波育ちの 土根性見せろ はげしく船を 揺らす海 足を滑らしゃ 地獄ゆき 波にかじ取れ 玄海太郎 命を張るのは 承知じゃないか |
ギター流し春日八郎 | 春日八郎 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 春が来たとて 行ったとて 旅の流しにゃ 知らぬこと ギター泣かせて 俺も泣く どうせはかない 恋の歌 好いちゃいけない 好けぬ身は いっそせつない 胸のうち 閉じた瞼(まぶた)の 裏側に せめておまえを 抱いて行こ 故郷(くに)を出たときゃ この俺も 夢も希望(のぞみ)も あったもの 街(まち)のあかりが 消えるよに 今じゃやつれた 影ひとつ |
ギター鴎清水博正 | 清水博正 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 夜の裏町 ネオンの海に 今日もただよう かもめ鳥 淋しくなんか 淋しくなんか あるもんか 俺らにゃギターが 残ってる ここは都の 波止場じゃないか 逢えば別れが あたりまえ あきらめちゃいな あきらめちゃいな あの娘なら 俺らのギターが そういった 波のしぶきに つばさを濡らし どうせとべない かもめ鳥 明日があるぜ 明日があるぜ 本当さ 俺らとギターが 唄うだけ |
君恋いさのさ大津美子 | 大津美子 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | ただひとり 故里(くに)をはなれて 他国のはてを 流れ浮き草 風まかせ 瞼とじれば ネェ 目にうかぶ 山よなつかし 君恋し おとこなら いつかひと花 咲かせてみたい 意地があるから 夢もある 広い世界に ネェ ただひとり 妻と呼びたい ひともある おもい寝の 夢に見てさえ しがない恋は とかく涙で 覚めやすい ままになるなら ネェ なれるなら 晴れて添い寝が してみたい |
寒流春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | 吉田矢健治 | 海の暗さが 侘(わ)びしゅうてならぬ 風は冷たく ほほたたく 胸に浮かぶは あの娘(こ)の港 ほれて ほれて ほれていりゃこそ 思い出す 波が牙(きば)立つ 寒流はるか 行かにゃならない かじ枕 凍りつくよな 星影見れば なぜか なぜか なぜか心が 痛くなる 待っていなよと いうては来たが いつの日にまた 逢える身か 船が揺れれば 思いも揺れる 泣けて 泣けて 泣けてくるよな 海の果て |
広東エレジー菅原都々子 | 菅原都々子 | 藤間哲郎 | 吉田矢健治 | | 想い出すほど 辛さがつのる 追われ追われた 北の国 あゝ あの日から 泣いて泣いて つぶれた目 今じゃ流れて 広東の 夜毎にひらく 水の花 生きているとは 名のみの命 ともし灯消えた 胸のうち あゝ こんな世は 泣いて泣いて 忘れたい だけど逢いたい ただ一度 顔さえ知らぬ お母さん 粉を挽き挽き 李を食べた 昔のあたし どこへ行った あゝ サンパンで 泣いて泣いて 弾く胡弓 人を待つ間の なぐさみに くずれた夢を そっと抱く |
枯葉よ語ろう松島詩子 | 松島詩子 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 木枯(こがら)しの笛の音に 誘われて ペーブを踊って行く 枯葉よ 枯葉 若いみどりの あの夢は どこになくして しまったか わたしといっしょに あてもなく 探して行こう 枯葉よ 枯葉 街で別れた あの人の うしろ姿が 忘られず わたしはひとりで 泣きながら いつまで待つやら 枯葉よ 枯葉 暗い小路(こうじ)の 吹きだまり しばし休んで 寄せ合って わたしとおまえの 消え去った 嘆きを語ろう 枯葉よ 枯葉 |
加奈子の雨バーブ佐竹 | バーブ佐竹 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 加奈子 加奈子よ あの夜は雨 そぼ降る雨 別れにゃならぬと 知りながら ただひとことの さよならを 言えずに 濡れて歩いたな 加奈子 加奈子よ 今夜も 加奈子の雨が降る 加奈子 加奈子よ あの夜は雨 つめたい雨 からんでそむけた 瞳の中で にじんで溶けた 街の灯が せつなく俺を 呼んでいる 加奈子 加奈子よ 今夜も 加奈子の雨が降る 加奈子 加奈子よ あの夜は雨 涙の雨 愛しているから 好きだから つれないそぶり したけれど 泣いてはせぬか 今ごろは 加奈子 加奈子よ 今夜も 加奈子の雨が降る |
カタカナ便り佐々木新一 | 佐々木新一 | たなかゆきを | 吉田矢健治 | | 暑さ寒さの 変り目ごとに きっと受取る カタカナ便り 暗い灯影に 背をまるめ 鉛筆なめなめ おふくろが 書いてる姿が 恋しいナ たった便箋 一枚だけど やけに嬉しい カタカナ便り 俺が東京へ 来てからは イガグリ頭の 弟も すっかり藁打ち 馴れたそナ 遠く離れた おふくろさんが そばにいるよな カタカナ便り 嫁の話も したいから 祭りの頃には 忘れずに 帰っておいでが 泣かせるナ |
かすりの女と背広の男三橋美智也 | 三橋美智也 | 黒田すゝむ・横井弘 | 吉田矢健治 | | かすりの女(むすめ)と 背広の男 指切りしていた 別れの港 小島の鴎も 椿の花も 見て見ぬふりした その涙 都と小島に 三年過ぎた 泣き泣きかすりは お嫁に行った 来なけりゃいいのに 背広の男 今ごろひょっこり やって来た 浮世(うきよ)の常さと 汽笛が鳴った 諦(あきら)めなされと 南(みなみ)風が吹いた どうなることかと 世間は騒ぎ かすりと背広は また涙 |
カクテル小唄バーブ佐竹 | バーブ佐竹 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | おれとおまえの ふたつのグラス 離れ離れは 淋(さび)しいネ 振ってみようか シェーカーに入れて 恋のカクテル 甘い味 そっとふれれば すぐ散りそうな かわいあの娘の 片えくぼ だますつもりが ついだまされて 乗ったあぶない サイドカー 恋の終わりは お金の切れ目 ノック・アウトで さようなら やけであおった ミリオン・ダラー せめてさめるな いつまでも 東京_大阪 ふたりをつなぐ 恋のルートの 新幹線 遠く別れて 一日だって とてもマティニー 深い仲 燃えるお酒と 冷たい氷 なかで身をもむ この私(わたし) ほれちゃいけない バーテンさんに どうせ振るのは お手のもの おいら土産子(どさんこ) おまえは博多 今じゃ東京の どまん中 ピンク・レディーと マンハッタンの グラス合わせて 夢を見る |
女心の唄五木ひろし | 五木ひろし | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 宮下博次 | あなただけはと 信じつつ 恋におぼれて しまったの 心変わりが せつなくて つのる思いの しのび泣き どうせ私を だますなら だまし続けて ほしかった 酔っている夜は 痛まぬが さめてなおます 胸の傷 うわべばかりと つい知らず ほれてすがった 薄情け 酒がいわせた ことばだと なんでいまさら 逃げるのよ 女ですもの 人並みに 夢を見たのが なぜ悪い 今夜しみじみ 知らされた 男心の うらおもて 逃げた人なぞ 追うものか 追えばなおさら つらくなる 遠いあの夜の 思い出を そっと抱くたび ついほろり 散って砕けた 夢の数 つなぎあわせて 生きてゆく いつか来る春 幸福(しあわせ)を のぞみすてずに ひとり待つ |
女心の唄 バーブ佐竹 | バーブ佐竹 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | | あなただけはと 信じつつ 恋におぼれて しまったの 心変わりが せつなくて つのる思いの しのび泣き どうせ私を だますなら だまし続けて ほしかった 酔っている夜は 痛まぬが さめてなおます 胸の傷 うわべばかりと つい知らず ほれてすがった 薄情け 酒がいわせた ことばだと なんでいまさら 逃げるのよ 女ですもの 人並みに 夢を見たのが なぜ悪い 今夜しみじみ 知らされた 男心の うらおもて 逃げた人なぞ 追うものか 追えばなおさら つらくなる 遠いあの夜の 思い出を そっと抱くたび ついほろり 散って砕けた 夢の数 つなぎあわせて 生きてゆく いつか来る春 幸福(しあわせ)を のぞみすてずに ひとり待つ |
お呼びじゃないのね二宮ゆき子 | 二宮ゆき子 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | | あの手この手で 私を口説き いつかその気に させといて なんでこの頃 お見限り 今日のおめあて ネエ 誰なのさ アラ お呼びじゃないのネ お呼びじゃないなら いいのよ どうせ私は 刺身のつまよ 海老で鯛釣る つもりでしょ ずばり図星ネ ずぼしでしょ ちゃんとお顔に ネエ 書いてある アラ お呼びじゃないのね ネ お呼びじゃないなら いいのよ 君と一緒に なれたら僕は なんて幸せ者だろう 甘い言葉は でまかせね 今日のおめあて ネエ 誰なのさ アラ お呼びじゃないのね ネ お呼びじゃないなら いいのよ 昨夜あなたに 寄り添いながら 酔った振りして 甘えてた あの娘あなたの いい人ね ちゃんとお顔に ネエ 書いてある アラ お呼びじゃないのネ お呼びじゃないなら いいのよ |
男の舞扇三橋美智也 | 三橋美智也 | 服部鋭夫 | 吉田矢健治 | | 親の恩より 師の恩と 父に言われた あのことば 忘れねばこそ 踊りにかけた 男いのちの 舞扇 からむ鹿(ひが)の子 紅鹿の子 かけちゃならない あだなさけ 芸のきびしさ 恋路の闇に 迷やみだれる 足拍子 花のほまれを 人とわば 男冥利の 晴れ舞台 意地の紋付 意気地の袴 今宵まぶしや 金屏風 |
男心の唄二宮ゆき子 | 二宮ゆき子 | 山北由希夫 | 吉田矢健治 | 小町昭 | 愛しているさ 君だけを 信じておくれ これだけは 僕の瞳に 少しでも 嘘のくもりが どこにある ぜったい君は 僕のもの 離しはしない 握った手 いつも一緒に いるときが 僕はとっても 幸せさ やさしく肩を 抱き寄せりゃ ふるえているね 今日の君 たまにゃやきもち やきながら すねて甘えりゃ なお可愛い わきめもふらず 君ひとり 真底慕う この心 僕の気持を 写し出す 恋のテレビが いま欲しい 逢うたびごとに 思うのさ 前よりずっと きれいだよ 嬉しがらせで なぜ言える こんな言葉を いまさらに 好き好き好きさ 大好きさ 誰より君を 愛してる そっと合わせる くちづけの 男心に 裏はない |
大阪無情バーブ佐竹 | バーブ佐竹 | たなかゆきを | 吉田矢健治 | | 好きでかなわぬ 女(ひと)だとて 思い出したら あかんでギター 新地暮しと 暖簾(のれん)に生きる 身分違いの こいさんは 所詮とどかぬ 恋やもの お為ごかしの御寮はんに どない言わりょと 恨むなギター 返す言葉も ぎようさんあるが 明日は嫁入る こいさんの 晴れの衣裳に しみがつく わては泣いたり しやへんに なんで泣くんや 弱虫ギター こないしがない 流しの身でも 心あずけた こいさんに 夢で船場へ 逢いに行く |
岩手の和尚さん三橋美智也 | 三橋美智也 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 大寒(おおさむ) 小寒(こさむ) 山からこがらし 降りて来た 岩手の和尚(おしょう)さん 寒がりで すっぽりかぶった 白頭巾(ずきん) それではお里で 踊ろかな トッピキピーヒャラ ピーヒャラリ 笛ッコ吹き吹き やって来た 大寒 小寒 山から小僧が 逃げて来た お寺はひっそり 冬ごもり おかあがしみじみ 恋しゅうて 念仏あげるも うわのそら ナンマイダーブツ ナンマイダー 木魚(もくぎょ)をかついで 抜け出した 大寒 小寒 山からいっしょに 降りて来た 墨染め衣に 風入れて 来てみりゃお里は お祭りだ 吹きゃんせ打たんせ 踊りゃんせ スッテンテレツク テレドンドン 頭巾をぬぐまで 泊まりゃんせ |
一筆しめし参らせ候津村謙 | 津村謙 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 一筆しめし参らせ候 そなたの去った 長崎は 恋のむくろの 港街 暮れて出島に 灯る燈(ひ)も 泣いているよに 泣いているよに あゝ うるみ候 そなたと聞いた 浦上の 鐘が消えゆく 夜の空 燃える想いを とどけてと サンタマリヤに サンタマリヤに あゝ 祈り候 そなたを呼べば 丸山に 今日も降る降る 涙霧 せめて愛(いと)しい 面影を 抱いてあきらめ 抱いてあきらめ あゝ 暮し候 あらあらかしこ |
雨降る街角 春日八郎 | 春日八郎 | 東篠寿三郎 | 吉田矢健治 | | つらいだろうが 野暮な事言うでない これきり逢えぬ 二人じゃないさ せめて震える 肩を引き寄せ 揺れて歩けば 雨が降る ああ 別れ街角 あれもこれも ひとときの夢ならば 今さら俺が 泣けたりするか 洩れる吐息に うるむ青い灯 なぜか今宵も 雨が降る ああ 馴れた街角 思い出して ただ一人待っていな 忘れずきっと 迎えにゃ来るぜ 未練きれずに 濡れてたたずむ 影に嘆きの 雨が降る ああ さらば街角 |
あの雲の下島津悦子 | 島津悦子 | 八島義郎 | 吉田矢健治 | | 辛く尾を引く別れの汽笛 押さえる程にはらはらと 掌濡らす切ない涙 私の心捧げ尽した あなたが遠くかすみ行く 胸に無情の潮風が 二人っきりの小部屋の中で 語り明かした思い出を 印して行くよ心の底へ あなたのいないこれからの日を 幻だけを追って行く 恋しい名をば呼び乍ら かすかに残る航跡追いて 眺める行手淡路島 あの雲さえもあなたの姿 飛んで行き度い鴎の様に 又逢う日迄唯一人 冷たい風に染む涙 |
あなたと共に大月みやこ | 大月みやこ | 矢野亮 | 吉田矢健治 | 小町昭 | あなたと共に 行きましょう 恋の甘さと 切なさを はじめて教えて くれた人 それが 私の運命(さだめ)なら あなたと共に 行きましょう あなたと共に 泣きましょう 辛い浮世の 波風に 破れた翼の はぐれ鳥 それが 女の弱さなら あなたと共に 泣きましょう あなたと共に 呼びましょう 胸に灯った このあかり 消さずにかばって 抱きしめて それが 本当の希望(のぞみ)なら あなたと共に 呼びましょう |
あなたと共に津村謙・吉岡妙子 | 津村謙・吉岡妙子 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | あなたと共に 行きましょう 恋の甘さと 切なさを はじめて教えて くれた人 それが 私の運命(さだめ)なら あなたと共に 行きましょう あなたと共に 泣きましょう 辛い浮世の 波風に 破れた翼の はぐれ鳥 それが 女の弱さなら あなたと共に 泣きましょう あなたと共に 呼びましょう 胸に灯(とも)った このあかり 消さずにかばって 抱きしめて それが 本当の希望(のぞみ)なら あなたと共に 呼びましょう |
あなたと共に倍賞千恵子 | 倍賞千恵子 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | 小川寛興 | あなたと共に 行きましょう 恋の甘さと 切なさを はじめて教えて くれた人 それが 私の運命(さだめ)なら あなたと共に 行きましょう あなたと共に 泣きましょう 辛い浮世の 波風に 破れた翼の はぐれ鳥 それが女の 弱さなら あなたと共に 泣きましょう あなたと共に 呼びましょう 胸に点った このあかり 消さずにかばって 抱きしめて それが 本当の 希望(のぞみ)なら あなたと共に 呼びましょう |
明日天気になあれ小宮恵子 | 小宮恵子 | 葉山浩二郎 | 吉田矢健治 | | 鳴らしてごらん 吹けるだろ 麦笛呉れた いがぐり坊主 「明日天気になあれ」 思い出します お下髪の頃の 手と手つないだ わらべ唄 梢に逃げた ひぐらしを 登って捕った わんぱく坊主 「明日天気になあれ」 娘ごころの 瞼に消えぬ 陽焼け頬っぺの 片えくぼ すすきの道で 手を振って 別れて行った いじわる坊主 「明日天気になあれ」 便り欲しさに 都の空を 見れば日暮れの 千切れ雲 |
足摺岬春日八郎 | 春日八郎 | 高橋掬太郎 | 吉田矢健治 | | つらい別れも 男であれば 涙見せずに 行く俺だ 土佐の高知の あの娘(こ)の声が 呼んで 呼んでいるよな 足摺岬(あしずりみさき) 思い残せば 港もかすむ 揺れるマストに 風が鳴る 胸に形見の かんざし抱いて つきぬ つきぬなごりの 足摺岬 鯨潮吹く 潮路をはるか 涙こらえて 行く俺だ 恋も情(なさけ)も また逢う日まで 捨てにゃ 捨てにゃならない 足摺岬 |
青い月夜の並木路大津美子 | 大津美子 | 東條寿三郎 | 吉田矢健治 | | 並木(なみき)の路(みち)は 青い月 ゆらりゆらゆら 涙がにじむ 待ってみたとて 帰る人でも ないものを ないものを だれか遠くで 呼ぶような 呼ぶような 青い月夜の 並木路 並木の路は 青い月 ゆらりゆらゆら 夢みるところ 閉じた瞼(まぶた)に 浮かぶ姿の わびしさよ わびしさよ ひとり送った あのときも あのときも 青い月夜の 並木路 並木の路は 青い月 ゆらりゆらゆら 面影ばかり 残る一言(ひとこと) 胸にせつなく 抱きながら 抱きながら なにもいわずに 泣いてましょう 泣いてましょう 青い月夜の 並木路 |
青い月夜だ春日八郎 | 春日八郎 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 波止場(はとば)離れりゃ 未練は捨てな 陸にゃ住めない 海の鳥 あすはどこかの 異国の港 待っているだろ 一夜(ひとよ)の夢が 青い月夜だ 甲板(デッキ)で語ろ 呼んでいたのか 故郷の空を わかるおぼえが ないじゃなし 帰りたいとも 思わぬくせに たまにゃ夢見て いまでも泣ける 青い月夜だ 甲板で語ろ 濡(ぬ)れてしょんぼり 小雨(こさめ)の浜で 送るあの娘(こ)を 俺(おれ)も見た 昔しのんで ついつまされて やけに痛むぜ 心のきずが 青い月夜だ 甲板で語ろ |
青いアンブレラ大津美子 | 大津美子 | 横井弘 | 吉田矢健治 | 小町昭 | 青いちっちゃな アンブレラ ちょいとかざせば いそいそと 浮気男が 声かける 「お嬢さん どちらまで 雨の散歩は 如何です」 いいえ男は 恐いもの なンで傘なぞ 貸せましょう わたしは つンとお澄ましで くるりと傘を 廻すだけ それでとても お得意だったの 青いちっちゃな アンブレラ いれてあげましょ あなただけ ぬれたソフトが 気にかかる 「お嬢さん ありがとう 僕はあなたを 忘れない」 いいえ恐いと 知りながら いつか夢みる この心 わたしは ひとりこっそりと 冷たい傘に 頬よせた それでとても 幸せだったの 青いちっちゃな アンブレラ いらなくなった アンブレラ 野暮で可愛い あの人は 虹と一緒に 消えちゃった 涙あふれる 水たまり 数えて街を 歩くだけ |