ハッピーアイスクリームFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | あなたの在りかたに想いを馳せるわたしは綺麗でいられるかしら。 融け落ちても夢は甘いままで、真昼の月をねだり続けてる。 預けた未来が茨の向こうで手招きした。 意地悪な夜に苛まれて、 誰もが誰かにため息をつかせてる。 突然のベルに揺さぶられて、 まともになれないラブユーが膨らんだ。 気まぐれな天使は曖昧を愛し、 口元を汚すデザートを食べ尽くす。 恋するあなたは横顔ばかり―― 遠い稲妻に夢中だ。 そのうち隣を見てくれるような光り方を見つけてやる。 信じきれぬような言葉を集め、 素敵な首輪でおのずから繋がれた。 映画のようにはいかなくても、 それなりのストーリーで進めたらいいのにな。 未知の美しさを教えてくれたら、 苺の香りの歌をしたためるのだ。 恋するあなたは横顔ばかり―― それでも見つめてたいや。 輝ききらない希望もいつか特別な季節になる。 |
麦の海に沈む果実For Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 「最低」ってじゃれ合って、過ぎ去って安心して、 drifting, falling, drifting and falling and laughing. 偽った愛憎とくすぶった感傷で、 dreaming, scheming, dreaming and scheming and sighing. 背伸びしてねだる日射しに爪弾いて歌う君以外に、 no one else! チョコレートを頬張って、退屈を投げ合って、 drifting, falling, drifting and falling and laughing. いつだって愛そうとうそぶいた反動で、 dreaming, scheming, dreaming and scheming and sighing. 口紅を引いて、振り向きざまに微笑んで。いまは君以外に、 no one else! 背伸びしてねだる日射しに爪弾いて歌う君は、 ずっともう薄れないでいてくれよ。 血迷えば幸せと見まごいそうなそれは、 いちど沈めば取り戻せはしないから。 水のない海で見つけた青さが煩わせるままに、 no one else! no one else! |
ハル、ヨル、メグル。For Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 眠れない夜。 持て余した眠れなさに酔いしれて、 窓からそっと抜け出したら風の匂いも君の季節で。 誰にも伝えきれない青い記憶のトーチで照らした、 宇宙の隅っこを探ってる―― 愛されるような理由を求めて。 泣きじゃくる君に困らされて、ときめいてどうかしちゃった! いまはただ君を笑わせる言葉が欲しい。 重ねた手や撫でた髪、突然の優しいささやきでさえも、 幻だったと恐れては泣きたいくらいに想いが巡って、 花の降る坂道を駆け上がったって海とサーチライトが消えない! 街の灯が眩いこんな夜も毎度最初で最後とわかってる。 |
繋ぐ日の青For Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | あれが空で、あれが海と、はじめて知ったみたいでさ、 あなたとならなにもかもが不思議なくらい鮮やかで新しい。 バニラの街を走り抜けた色めく風を捕まえたら、 後ろ髪がなびき出すから、 ねえ、見ていて。 あなたは今日も生きていて、それだけで嬉しくなって、 あなたにはまだ見えない心の青を繋ぐの。 胸に咲いた歪つな花は、その息やその言葉を吸い込んで育ってゆくよ。 秘密まみれで汚れた手を重ねて知った脆い強さ。 その涙の清らかさを怖いくらいまっすぐに信じてる。 変わろうとも変えようともわかろうともわからせようともせず、 見つめていたいよ。 それじゃダメかな? わたしは今日も生きていて、それだけで切なくなって、 晒せどもまだ冷めない微熱に身をゆだねるの。 わたしだけの痛みになってくれるような甘い明日をまぶたの裏側で見るよ。 あなたは今日も生きていて、それだけで嬉しくなって、 あなたにはまだ見えない心の青を繋ぐの。 胸に咲いた歪つな花は、その息やその言葉を吸い込んで染まってしまうよ。 わたしは今日も生きていて、それだけで切なくなって、 晒せどもまだ冷めない微熱に身をゆだねるの。 わたしだけの痛みになってここにいて! あなたとなら間違えてしまってもいいよ。 |
ミルキーウェイの岸辺からエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | 昨日まで憎んでた顔さえ忘れちゃうし そのくせに残された痛みは消えないし あきらめた将来は今でも覚えてるし 欲しかった今日だって平気で捨てちゃうし つまるところそうか、どこまでもわたしだ 誰を思っても何を歌っても 海を渡る星もいつか空を昇っていくんだなって 君はただ水平線を見てた その目があまりにも綺麗で同じ夢見てみたくなったよ 言葉にしたら消えちゃいそうで言えないけどね ここじゃないどこかまで行きたいと君は言う 「一緒ならどこにでも」なんて、柄じゃないけど 強がりも後悔ももうやめてこっちへおいで もう一度進むにもまだ遅くないから 「こんなはずない」って何を願ってたの? 思いがけないくらいがいいんじゃない そうでもない? 海を渡る星もいつか空を昇っていくんだなって 君はただ水平線を見てた その目にいつか宿る影もこれからは晴らしてみせるから 終わりまで一番近くで見ててほしいよ ずっと前から決まっていたって思ってもいいかな 君の息が見えなくなって春が来たって知る 何度だって 海を渡る星にいつか僕たちもなれるだろうかって君はまだ水平線を見てる やさしくなんてない世界で性懲りもなく夢を描くさ 約束の旗を掲げようか この場所で今 「どこか」はここだった 「誰か」は君だったんだ! ミルキーウェイの岸辺からあの日の青に愛を込めて |
花とか猫とかエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | 君の足音が栞になった もう一度孤独を知る旅だった わかってるわ そんなにたくさんいらないよ 今だけ君だけ全部欲しいだけ 一番こわいこととか 一番きもちいいこととか 花とか猫とか雲とか波とか頬を切る風だとか 君と眠るたび新しくなれたらよかったな どこにも行けないまま確かめ合うの 開いたら最後 終わりに向かってるって知っている 目を閉じてそっと流れていくだけ 一番こわいこととか 一番きもちいいこととか 花とか猫とか雲とか波とかあの子の涙だとか 二度とない冬 花とか猫とか雲とか波とか来なかった夏だとか |
イノセンスエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | 君の瞳はとりとめのない青 覗いたらあの海も見えるの? 話したいことはとっくのとうにないよ だけどきっとそばにいてあげるよ サッドエンドだって知ってたって響く恋がやまない ふいに触れたくなって汚れた手伸ばすけどやっぱ違う! ひっこめてひとりぼっち眠れない夜に祈りを 君の耳にはいつも流れる白 重ねたら心まで聴こえるの? 話したいことが本当はあるんだよ 呆れて、笑って、そばにいてほしいよ サッドエンドだって知ってたって響く恋がやまない 足跡たどってどこまで歩けるかな なんだかくすぐったくて「届くかも」って見上げたら にじむ月の色 話したいことは思い出せそうにないよ その時まで二人でいようよ サッドエンドだって知ってたって響く恋がやまない 隠す手をどけて知らない顔見せてよ ほんのちょっとためらって汚れた手をつないだら 解ける君の糸 |
運命の人エイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | ゆれるろうそくの灯は 誰かの心まで映してるみたい 目の奥の正しさだって 見つめるほどにまたわからなくなるの 一番優しいキスをしよう 長い眠りから覚めるように 大丈夫よ 煙が目にしみてるだけ 一番優しいキスをしよう 終わりさえ食べ尽くしたいから 暗い部屋に鍵をかけて ここから出なくちゃ 夜明けより前に 結ばれる運命だって背負えたらよかったのにね 運命の人 一番優しいキスをしよう 閉じていたページ開くように バースデイケーキの味は忘れちゃったけど どんな言葉を話しただとか どんなふうに手を振っただとか せめて今日の日だけは 抱きしめてようか 忘れないように 記憶の中だけで愛し合おう 思い出す数さえ減ったけど わかるでしょう 一番優しいキスをしよう ほかの誰にも渡さないから 呪いみたいな恋を全部君にあげよう いいでしょう |
サンデーエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | いい子なんかじゃないの 我慢なんてニガテなの 君が思うよりもずっと 昨日また恋しちゃって 君のこと忘れちゃって わたしどうかしてたみたい もう全部捨てたら 子どもみたいに 君と見つめ合えるかな 名前を呼んで頬寄せても まだ夢ならば醒めないで 呼ぶ声に目が覚めた ひとしずくこぼれ落ちた ぎゅっと握ったはずなのに パジャマと夢を脱いで 君のこと思い出して わたしどうかしてるみたい でも 並んだ影が遠くなったって あの日の続きの今日だ 澄み渡る目で こんな未来さえ きっと見ていたのでしょう 忘れたくなくって いっそ恨んじゃうの ごめんね まだ「好き」と「嫌い」を繰り返してる 君にも聞こえてるかな いつの日かきっとからっぽになったら もう一度会いに来て その日まで待っててね |
朝エイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | もう少しだけ、と止まりそうになる足 右肘をつつく 笑顔がくすぐったいなぁ いつもよりちょっと低くて甘い声がこだまするの 目をこすって「今日は晴れるかな」なんて 交わらない一日を思う 過ぎてみたらありふれてる朝だった 居ないはずのあなたが居ただけ |
ベイビーブルーエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | ベイビーブルー、君はどこへ こんな夜誰と眠るの あぁベイビーブルー、僕はここで歌う こんな夜も ベイビーブルー、君がどうして こんな夜頭よぎるの ねぇベイビーブルー、僕はここで歌う こんな夜だから こぼれ落ちそうな月から 鼻をかすめる匂いよみがえるようだよ あの夜のことなんて忘れていいから できるだけ優しい場所にいてよ、ベイビー 君の名前は呼べないから せめて聴いておくれよ こんな僕の歌を ベイビーブルー、フライデーナイト もう重ならないビート ひとりきり彷徨うエモーション くすぐる甘い匂いが、また もう重ならないビート ひとりきり彷徨うエモーション もう一度なぞるメロディー 声にならないアイミスユー 思い出すのはブルーだけれど 今はできるだけ優しい目をしていてよ、ベイビー 君の名前は呼べないから せめて聴いておくれよ こんな僕の歌を ベイビーブルー、フライデーナイト もう重ならないビート ひとりきり彷徨うエモーション 叫ぶようになぞるメロディー 声にならないアイミスユー |
スターライトエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | 偽物の星を纏って踊る君 眩しくて羨ましいんだよ きっと今日はうまく笑えないな 恋をした それだけ? ああ、もうずっと足りないから ああ、今せめて歌って欲しいよ ああ、ただありふれた嘘でもいいから 花束に目もくれずに踊る君 真似してみてもどこ吹く風だね 昨日より色っぽく映るな すれ違いの数だけ ああ、ただ朝はやってくるけど ああ、まだほんのちょっと切ないや ああ、でもちょっとずつぬるくなってくの いつの間に欲張りになっちゃったんだ? 追いかける 君だけ ああ、もうシアワセだって欲しいし ああ、でもずっと切なくいたいよ ああ、まだ踊らせて嘘だらけでも |
エイプリルブルーエイプリルブルー | エイプリルブルー | 船底春希 | 管梓 | | 花は咲く 当たり前を知る 人の気も知らないで 近道は内緒にしててね 遠回りしたいだけ 切なさは醒めない 繰り返す春に君を探してた 生まれた日のこと思い出せるから 見つけちゃったらきっと 一人きりよりずっと独りかな 焦がれることさえも 色めくことさえも まだ後ろめたいのかも 花が散る美しさを知る君のこと知りたいよ 歓びも醒めない 繰り返す春に君を探してた さよならの前にもう一度会えたら 確かめるようにそっと 忘れないようにぎゅっと 焼きつけよう 波を打つ視線を 震える指先を ただ見つめていたいだけ その目に映るのはわたしじゃなくていいよ どうか綺麗なままでいて 繰り返す春のどこかで迷っても わたしをとりまくすべての季節が 切実であって、と切実に願うよこれからも どんなに怖くたって確かな不確かささえ愛しちゃうんだから |
スロウボートのゆくえFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 心の岸辺を発つ日はいつだってこんなふうに、 とめどない寂寥の風が旗を翻していた。 小麦の穂が鳴らした頼りないリズムで、 ささやかに祝福をしよう――僕らの舟出を。 涙の川をスロウボートは進む。 愛が照らしているあの大きな街へ。 限りあるストーリーから逃れようとしても、 いつかは命の果てが大口で僕らを喰らうんだ。 愛は戦いだった――手に入れたり手放したり。 目を逸らすな、その血の跡から花が咲くまでは。 夜明けの空をスロウボートは進む。 赤・白・青のたなびく彼方まで。 |
Sister CarrieFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 連なってるテールライトを夕闇に溶かした君の涙が乾ききるまでのあいだ、 じゃれあった日々が胸によみがえるような優しいメロディを探してみたけど、 ないな。 Sister Carrie 葉桜の頃、海岸線を君の歩幅で測ってた。 Sister Carrie 枕とマシュマロ――なにを願ってもずっと前に 答えは出ていたんだろう。 街の灯りが助手席を照らして、遠くで響いたベースボールのナイター。 預けた想いをぬるい風が持ち去った。 なにもない僕はその行き先をじっと、じっと、見つめていた。 Sister Carrie 色あせてゆくのも朽ち果ててゆくのもみんな同じだと 笑ってた。 Sister Carrie 朝の傷跡――なにを嘆いてもきっと愛に焦がれて 生きてたいんだろう。 |
OrcaFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 透明でまだ名前のない夜明けを呼ぶように、在りたい。 忘却と罪を巡っては、あたらしい心で愛し合いたいだけ。 完璧な眠りは知らないままで、始まりも終わりも持たない波は深い青。 水面が形を歪めて、それでもなお見失わないもの。 暁光を越えたその先で、まだあなたは待ち続けている。 |
ヘヴンリイFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 甘いだけの星が巡って、夜に歌うソングバーズ―― ただ重なりあうために生まれたみたい。 誰もがためらいながらほんとうは知っている、 愛すべき光の網、海に煌めいて。 ジュークボックスに託した熱が醒めないままでいる君を、 静かに濡らす慈愛の雨。 髪先にくすぶる匂い、ビートに揺らいで、 視線を交わす刹那、弾ぜたデイジー・チェイン。 その手に触れるたび、 その目に見つめられるたび、 澄みきる星空もいずれは雨を呼ぶと知る。 その身を寄せるたび、 その匂いに近づくたび、 雨の煙る果てに月は確かにあって、 君はそこから来たと知る。 |
City LimitsFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | We're out of the city limits Our bottles running dry And on the bridge we're sitting, There's no one passing by The distant highway roaring Will never take us far So you go do your dreaming Of girls and classic cars And sure, the birds are pretty They shine in the moonbeams But never trust the big birds They're never what they seem And she was all I needed The water and the air But don't you go look for her 'Cause she will not be there |
Chewing Gum USAFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 整然と金言を並べて、飾り立てたガラスの天井。 陶然と仰ぐ青空は本物かどうかもわからない。 痙攣とサイレン、それから神様の代わりのテレヴィジョン。 喧伝する商品すべてが緩やかな安楽死。 噛みつぶして、飽きて、吐き捨てて、繰り返す。 がらんどうの喜びだけが脳を満たしては、また抜け落ちてゆく。 漫然と手を動かすだけ――月曜日から金曜日まで。 雄弁家がそそのかすままに捨て去るアイデンティティ。 噛みつぶして、飽きて、吐き捨てて、繰り返す。 味気ない哀しみさえも飼い馴らすだけで日々は過ぎてゆく。 証言台から注射器まで、案内列は曲がりくねる。 青年の最期の辛苦は言うまでもなく合法。 噛みつぶして、飽きて、吐き捨てて、繰り返す。 がらんどうの人形だけが残される。 噛みつぶして、飽きて、吐き捨てて、繰り返す。 味気ない命の群れを飼い馴らすだけで金が増えてゆく。 |
Desert BloomFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | See me bloom where the sand's a golden blanket See no gloom as we ride into the sunset Phoenix fades to a blur in a movie backdrop We fix gaze way ahead 'cause we'll never back off Bleeding skies will be pleasing the eye as they melt away Where the wind blows, we'll save our troubles for another day Hear that song? California is calling for us To come along in the season's gentle chorus Through the lens, you're America's favorite daughter Mercedes bends twisting minds as you walk on water Sugar highs will be fueling our dreams as we get away Smash the past, 'cause we know rock'n'roll is here to stay |
Radio DaysFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 三文詩人が起き出すのはいつも日の出過ぎのスケート・パークで、 ドーナッツ・ショップでコーヒーを買って家路を辿る気ままな生活。 店内で耳にしたあれはPavement。 そういえば髪でも切ろうか、なんて思ったり。 早朝のシフトを切り上げてウェンディはバスに乗り、大学へ。 イヤフォンに響く高らかなヒット・ソング―― 聴いちゃいないし、すぐに忘れる。 「気分よくやり過ごすことが大事」 そんなことを思う彼女もきっと、誰かが見てる。 興味ないようなふりをしてても、忘れられなくなる日々のことを 期待していた。 損はない、けれど得もしないような、ありきたりな特別に捧ぐ、 偉大なレイディオ・デイズ。 テレパスのケイティは恋の結末もプロローグもお見通しだ。 盗み出した電波で熱を上げながら追い越してゆくアイスクリーム・カー。 シネプレックス通いの回数で現実逃避指数を計っては、夏を待った。 どうしたいなんて考えてるとき、街の雑踏も移ろいゆくサウンドトラック。 正気じゃいられなくなるくらいに日差しが焼きつけてゆくのは、 あの眼差しだ。 「恋の記憶をかき集めたらこの国になる」と誰かが言ったらしい。 夕方になってジャクソンはジェーンとベースボールへ出かけて行った。 ポケットに隠した指輪の行方をホームの勝利に託してるのはここだけの話 。 そうはない美しい瞬間や、絵になるような日々のことを期待したいんだ。 しょうがないほどに輝いてるのは、ありきたりな特別に捧ぐ、 偉大なレイディオ・デイズ。 「アイスクリーム・カーを打ち捨ててあいつは西へ旅に出たぜ」 |
Interdependence Day (Part I)For Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 僕らは静脈を委ね合って、濁った血を交わしてハイになった。 17歳の7月、退屈な僕らのそれは愛に似ていた。 死にたがりは死ねずに歳を取って、恐怖心にすがって生き残った。 ブロックバスターとコークとピザと“I love you”―― ありふれた祝祭だ。 破裂した空へ駆け出した君の背中を追いかけていた―― 眩さと煙に酔いしれながら。 遠い戦争の幻が、極彩色で駆け巡るんだ。 いっそなにもかも終わればいいのに。 バスケットボール・コートに立つ君ひとりだけが天使だった―― 褪せたアスファルトを旋回しながら。 赤い血潮、白い素肌と、青い虹彩のミス・アメリカ。 プラスチックに包まれて眠るだけ。 |
Just Like FirefliesFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | ハイウェイを夜闇が包んで、僕らは少し自由になれたみたい。 盗んだ白い車で砂漠を抜け出して、海へ向かう。 名もなき灯りたちが、近づいては離れていく―― まるで蛍みたいに。 聡明なふりに慣れたら、幸せのネクタイも結べるのかな。 そうしたら大人の王国が大口で僕らを食らうのかな。 誰もが自分だけの在りかの目を探してる―― まるで蛍みたいに。 夜の終わりも怖くない場所がないことが怖かっただけ。 ハイウェイを朝日が照らして、僕らは少し自由になれたかな。 気づいたらみんな眠っていて、煙草をすり消して独りごちる。 「まるで蛍みたいだ」 |
Dream Baby Dream (Theme for Ethernity)For Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | ベイビー、まだどこへも行かないで。 ベイビー、ただわたしとまどろんで。 光の素粒子と、優しい波音。 愛と自由の見果てぬ夢も、この腕と胸のなかに。 (たとえ夢でしかなかったとしても) |
Leave The PlanetFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | テーブルの上に星図を広げて、意味ありげに線を引いていくだけ。 途方もない夜をまさぐる指で、ほんとうの嘘を暴いてやろうぜ。 資料館に収まる運命でさえも今日は、 どうだっていいよ、もう知らないよ。 錠剤ひとつの、孤独の革命。 すべてを置き去りにして、水晶の船はただ行く。 航跡を追ってほどける闇へ、電子の雨が降り注いでゆく。 紙屑になったレポートを捨てて、流れに任せて消失点まで。 飽きるほどの退屈が死ぬまで続いていったって、 どうだっていいよ、もう寝てたいよ。 毛布のなかの孤独の発明。 明日を置き去りにして、昨日のただなかを進む。 揺らいだスープに浮かべた未来でいつか、 すさんだルールがふやけて生まれ変わる。 どうだっていいよ、もう知らないよ。 錠剤ひとつの、孤独の革命。 すべてを置き去りにして、水晶の船はただ行くのさ。 どうだっていいよ、もう寝てたいよ。 毛布のなかの孤独の発明。 明日を置き去りにして、昨日のただなかを進む。 |
Subway Station RevelationFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 人混みのなかで置き場さえも見失いそうな心ひとつだけ提げて、 手ぶらで飛び乗ってしまえよ。 「会いたい」を告げる閃光のなかへ! 搦めとられては立ちすくんで、 無駄になりそうな日々の詩編たちが散らかされた、広告の街を急ぐよ。 トンネルの闇を超音速で! 終末だとしてもかまわないし、 擦り傷を増やしてもどうでもいい。 今を生きていると思いたいだけ。 君と生きていると思いたいだけ。 (永遠みたいな一瞬が、火を灯せばはじまる) |
MilkshakeFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 水泡とありふれるものすべて 空想のシュガー・ハイで美化して、 滞る指で、歪んだ唇で、 ふれる季節は否定の向こうで瞬いている。 偶像とたわむれて踊るだけ。 空洞をその白夜で満たして。 ただ凍る罪で、淀んだ祝福で、 ゆれる季節は既定の向こうで輝いている。 意味なんて一切もない、 信じたって実体もない、 つながらない言葉だけ。 狂気だって実感もない、 正気なんて存在しない。 ふさがらない想いだけ。 滞る指で、歪んだ唇で、 ぬれる季節の未定の向こうで欺いてやる。 |
SirensFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | Windows, open curtains, morning Whatever's been stolen was never hers to begin with Watching as the wind blows Open eyes beholding remnants of the fire A stillborn revolution Sea change? You see a change I don't see Your alphabet, I don't speak It breezes away in indifference I just want to stay alive standing in the sunrise Knowing that I won't freak out in the wild for good riddance The sirens call for me, but I refuse 'Cause what I do is all for me to choose I won't rely on booze to drown the blues The sirens call for me, but I refuse Courage, gilded blue and yellow I doubt you'd ever felt hope the way I feel in my own heart Tell me all your stories of your trials and glories Of the souls that you sold You'll never penetrate my art |
NatalieFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 長い映画の最後の安堵のように、ただ君はそこで待っていてよ。 くだらないことだとしても、君のいる街まで行こうと決めたんだよ。 術はもうなんでもいい。 君へたどり着けばいい。 海の冷たさを、 地平の虚ろさを、 君と知ってみたいだけ。 ため息より儚い光華をソーダ水の縁でにじませながら、 エチュードの日々を歩く君の明日を照らす歌を口ずさむよ。 誰も知らなくていい。 君に届くだけでいい。 空の深さすら、 夕日の赤さすら、 君をふちどりたいだけ。 綴る言葉を追い越すような速さで過ぎゆく、夏を彩る花を。 術はもうなんでもいい。 君へたどり着けばいい。 海の冷たさを、 地平の虚ろさを、 君と知ってみたいだけ。 君を知ってみたいだけ。 |
FriendsFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 駐車場の壁に書き殴られたメッセージ――愛と平和のやつ。 剥がれ落ちそうな言葉を素通りして、それぞれの朝を急いでゆく。 いつから僕らこんなふう? 繋いだはずの手もいまは遠く白飛びして。 記憶のなかのフレンズ、夏の日の匂いだ―― 幼い僕らは全問正解だった。 鈍色の電車で退屈してるのかい? あのプレイリストの歌はいまもきっと続いてるよ。 タイム・カプセルに埋もれたままの夢を摩天楼が見下ろす。 探そうともせずに寝ぼけた目をこじ開けるように、 苦いコーヒーで今日をやり過ごす。 死ぬまで僕らこんなふう? 腐してた世界にいまはもう身を任せて。 記憶のなかのフレンズ、遠のく陽炎だ―― 理由もなくただ一生懸命だった。 海をよぎるとき、その目が向く先は? あのプレイリストの歌はいまもきっと、 次のサビを待ってる―― 高鳴るビート、重なる声を、眩みそうなほど。 耳をふさいでたのは誰かじゃなく僕らだった。 押すべきボタンはすぐそこだろ? 記憶のなかのフレンズ、夏の日の匂いだ―― 幼い僕らは全問正解だった。 鈍色の電車で退屈してるのかい? あのプレイリストの歌はいまもきっと、これからもずっと続いてるよ。 |
BleachersFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 遠くの明滅、煙るアフターグロウ、 袖を通して使い果たした涼風。 非在のブリーチャーズ。 不透なユースは融けてスプライトを薄めた。 偉大なドリーマー、視界の収差。 君の正しさは触れも、悟れもしない。 散瞳に染みてゆく花の姿を忘れた頃に、 言葉以前の声でその美しさを伝えたいと願っている。 |
EstuaryFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 照らした陽を指で遊んで、忘れかけた歌を口ずさむ。 流れ着いた陸の果てで、彼女はきっと夏をくゆらせて、誰かを待つ。 アイス・キャンディの欠片が、溶け出す前の夢のよう。 ありふれた日のアイロニー。 痛みを知った――痛みを知って、そこから息をしはじめた。 鉛色の命を抱いたおぼつかない鳥が飛び立てば、 向こう髪を空に透かして、防波堤で砂を噛みしめて、裾を濡らす。 少女性を紐解いては、潤んだ目で、濁す口で、描いたフィクション。 遠く鳴るジムノペディ。 冷たい手で、竦む足で、水平線をたぐって夜を引き寄せた。 灯台はただ揺れるケーキ・キャンドル。 「今日も、誰かのバースデイ」 シーグラスの欠片が、形にならない形を成した夢のよう。 吹いて消して帰る哀の火。 痛みを知った――痛みを知って、そこから息をしはじめた。 痛みを知って。 |
LungsFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 映写室で少女は死んだ――名前がないまま。 許されたバイスタンダー、夢見るテクニカラー。 厭世観は天性だった。肺を満たした論理。 ヒロインだってひとりになって、最期は這ってロンリー。 水のなかで見つけたエデンのラダー。 揺れる光に溶けるだけの縁の花。 愛や憎悪のすべても、幕の裏側のおとぎ話。 プールサイドの乱反射は意味に影をかざした。 立ちすくんだバイスタンダー、褪せていくテクニカラー。 正気だって狂気だった恋の季節のように、 救われたって、行く当てなんて切り捨て去ってロンリー。 巻き戻したら蘇る気がした、触れる未来に透けるだけの頬の赤。 点と線で繋がっていた言葉もサラウンドを回るだけ。 水のなかを沈み続けるフィルム。 眩む視界に愛や憎悪も歪む。 そして最期は静寂の深みで、 名前がないままのあの子に口づける。 |
KodiakFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 白い夜を越えて、顔のない月を仰いで、雪のなかをゆく。 利口でなんかいられない悲哀すら色がつくまで、旅はまだ続く。 捨てられた祈りをくべて灯した道のりの果てには、 屑のきらめきがあると、声高く響かせろよエコー。 ひどい冬を終えて、花のない時をまたいで、意味を目指してゆく。 不凍でなんかいられない慈愛すら抱えたままで、地平へと進む。 秘められた昨日の夢を晒した風が吹く先には、 希望の嵐が待つと、声高く響かせろよエコー。 いつかどうせ朽ちるだけ。 そんなもんだって知ったって、 乗りこなして悪ふざけ。 捨てられた祈りをくべて灯した道のりの果てにも、続きがある。 秘められた昨日の夢を晒した風が吹く先には、 希望の嵐が待つと、声高く響かせろよエコー。 |
The First Time (Is The Last Time)For Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | I remember autumn days When the two of us would gaze at the skyline In and out our words would fade As the browning foliage swayed, and we felt fine And all the world was mine Those days have long since passed As they say, good things don't last But still, after all these years There's this echo in my ears “Say welcome to love This is your first time And it's your last time So you better be wise Say welcome to life This is your first time And it's your last time So you fall or you fly” May the jangles and the chimes forever ring out For love and for life In the pocket of my jeans Are the pieces of our dreams and our future You and me at seventeen Straight out of a movie scene, feeling so sure But we were amateurs Those days have long since passed Left behind amidst the grass Even so, the thought of you Springs to mind out of the blue “Say welcome to love This is your first time And it's your last time So you better be wise Say welcome to life This is your first time And it's your last time So you fall or you fly” May the jangles and the chimes forever ring out For love and for life Sipping coffee on a Sunday At the park we used to stroll Maybe you'd be coming my way And the words I'd say, you'll know “Say welcome to love This is your first time And it's your last time So you better be wise Say welcome to life This is your first time And it's your last time So you fall or you fly” May the jangles and the chimes forever ring out Oh, let the jangles and the chimes forever ring out For love and for life |
UndulateFor Tracy Hyde | For Tracy Hyde | 管梓 | 管梓 | | 惑う時間の膜の向こう、テレビの奥のほうで宇宙旅行。 羅列された悪と不幸を飾ろうとしてポケットに入れ、持ち帰る。 型落ちの現実は青く滲んでまん丸い。 僕より先に老いてゆく君に会いたいな――地上管制。 意味を剥がされた表象。 無理のない方向へ思考はフロウ。 視線と執着と焦燥を巡る波は、水のない海を満たすよう。 火星の歌声が遠く響いて胸が騒いだ。 僕より先に老いてゆく君に会いたいな――地上管制。 |