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  • ひかりのなかに
    過去に縋りたくなるし、現実なんて見てられなくて、逃げたくて。
    過去に縋りたくなるし、現実なんて見てられなくて、逃げたくて。

    ひかりのなかに

    過去に縋りたくなるし、現実なんて見てられなくて、逃げたくて。

     2020年10月14日に、東京出身スリーピースロックバンド“ひかりのなかに”が新曲「タイムマシン」をリリースしました。今作は6ヶ月連続配信リリースの第四弾です。大人になるに連れて制限がかかったり、現実なことばかり考えてしまいそうになるけれど、自分の頭の中で膨らむ妄想ぐらいは、もっと夢を見てもいい…。楽しいことだけではない大人に向かって歩き出し始めている心情を歌った楽曲となっております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ひかりのなかに”のヤマシタカホによる歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届けいたします。今回は 第1弾 に続く、第2弾!綴っていただいたのは、新曲「 タイムマシン 」にまつわるお話です。現実の不安や怒り、苦しみと向き合わなくてはならないと、自分を追い込みすぎているあなた。是非、このエッセイと歌詞を受け取ってください…! ~歌詞エッセイ第2弾:「 タイムマシン 」~ 肌寒いですね、お元気ですか? 今月は「タイムマシン」という新曲が出たのでそれについてのお話です。 今年の夏頃、まだまだ家から出て何処かへ行ったりだとか、ライブを人前でするとか、何もなく、何もないまま6カ月連続配信リリースに向けて平坦な日々の中で必死に絞り出す、という作業をしてゆく中で、思うことといえばただ一つ「あ~~~あ過去に戻れんかな~~~」というなんとも非現実的な願望たった一つでした これは多分読んでくださってるあなたも同じだと思います。 歌詞の内容はこの時期にしかかけない曲を書きたい、と思ったので、日々何もない不自由さだとか、目に見えないものへの不安からくる怒りだとか、なんかみんな余裕がなくて苦しくて目に飛び込んでくるもののほとんどに、目新しいものも何もなくて。 そんな中で音楽を辞める人、辞めざるを得なくなってしまった人、場所、もううんざりだったんです、やっぱりね。 それにこの時期に、私の大好きだった場所がなくなるって出来事もありました。それが冒頭の<都市開発で思い出は消えた>という歌詞。きっともうじきなんとも思ってなかった人の記憶の中ではパッと消えて 「あれ?ここ工事してるけど前なんだっけ?」 って会話をするんだろうな、と考えるとものすごく虚しくなったというか。時の流れの残酷さ、というのを大袈裟かもしれないけど感じました。 そうなるともう気持ちだけでも過去に縋りたくなるし、現実なんて見てられなくて、逃げたくて。それならこの気持ちを曲にすれば何かが変わるかも、と思い「タイムマシン」という楽曲が生まれました。 ものすごく落ち込むことがあった日だとか、もう何もかも捨てたい、と思う日に、過去の楽しかったことにすがることや、何か別のことに逃げることって、なんとなく「悪」のような気がしてしまうと思うんです。 少なくとも私はそうで。 逃げずに向き合わないといけない、ともっと自分を追い込んで、追い込む前よりできなくなったりして落ち込むことも今までたくさんありました。 でもなんか今になって、別に逃げても良いんじゃないかな、って思えるようになったんですよね。逃げた先で得たものがやらなきゃならないことに良い影響を与えることだってあるし、一度逃げたからこそ狭くなっていた視界がもう一度フラットになって新しい視点で見れるようになることだってある。 それに、心をすり減らして壊れてしまっては意味がないんです 私はタイムマシンという楽曲を通して、身動きの取れない毎日への怒り、不安、不満、時の流れへのやるせなさ、それと、「逃げ」に対しての肯定を書きました この曲はもう書き手の私の元を離れてもうみなさまのものなので、正直どう解釈してもらっても構わないですし、別の解釈だったとしてもそれが全てだし、それが正解です。 なのであくまで参考程度に。 何かを変える力はないけど誰かに寄り添えたら嬉しいです それでは。 <ひかりのなかに・ヤマシタカホ> ◆紹介曲「 タイムマシン 」 作詞:ヤマシタカホ 作曲:ヤマシタカホ

    2020/10/26

  • MACO
    女の子の子宮まで届く曲を。
    女の子の子宮まで届く曲を。

    MACO

    女の子の子宮まで届く曲を。

     2020年10月23日に“MACO”が、4ヶ月連続配信リリースの第2弾となる新曲「再恋愛」を配信リリースしました。同曲についてMACOは「最終的に「あはは」って笑えたらオッケー。みんなもそんな風に気楽に恋を楽しんで欲しいな、とも思いました。この曲は沢山の人に聴いてほしいし、沢山口ずさんで欲しいなって思います。みんながほんわかハッピーでいられますように。愛を込めて作りました」とコメント。是非、曲を聴きながら、一緒に口ずさんでみてください…!  さて、今日のうたコラムではその4ヶ月連続配信リリースと連動して、MACOによる歌詞エッセイを4作連続でお届けいたします!今回は第1弾に続く第2弾。綴っていただいたのは、新曲「再恋愛」についてのお話。今の恋に対して自信が持てない方、周りからの声に惑わされてしまう方、ネガティブな予想ばかりしてしまう方。そんなあなたにこのエッセイと歌詞が届きますように。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 再恋愛 」 ~ 「再恋愛」 ゆるい恋愛ソングだけど、 女の子の子宮まで届いたらいいな。 発売前までは私の曲なんだけど、 リリース日を過ぎた瞬間から “みんなのもの”になる。 他の作品もそんな風に思いながら作ってる。 夏風邪に続いてまた漢字で三文字。 特に寄せにいってないんだけどまぁ偶然。 “再恋愛、いいんじゃない”ってフレーズが ぽっと降りてきたり、 思ったこと捻らずに素直に書けたことが 制作当初本当に嬉しかった。 歌詞にギミックなんて一つも無し。 ただただ聴いてほしい。 あと、みんなに歌って欲しい。 <誰がどうとか別に考えなくていいんじゃない> って歌詞はSNSで謎にたくさん反響をもらって、 嬉しかったし内心、 「あぁここがちゃんと届いて良かった。」 って思った。 私は多分、いつどんな時も 軽くて気の抜けたこの言葉を みんなに伝えたかったりするんだと思う。 恋愛相談のDMが月に何通もきたりするけど このフレーズが全て(全ては言い過ぎかも)のことを 解決してくれるよーな、気が…する。 誰がどう、じゃなくて 二人がどうか、だけ。 友達に そんな人やめときなよって言われる恋で 「そうかなぁ……」って無駄に悩むより、 あなたが好きなら貫き通せばいい その女やめときなよって周りに言われる恋でも あなたが「好きなんだよなぁ…」って思うなら すり減るまで愛せばいい。 恋愛に対して「傷つく準備」を考えるんじゃなく、 「幸せになる覚悟」と前向きに考えられたら もっとこの世界も二人も平和でいいじゃんって思う。 「一緒に幸せになりたい」を通り越して 「この人となら一緒に不幸になってもいい」 まで思えちゃったら、 それが最終的に凄く素敵だな、なんて いまの私は思っちゃったりする。 恋人のことを知るとか愛するとか そんなん何年あっても足りないわ、と よく今まで自分の曲の中で散々歌ってきたけれど 今回この曲で初めて <愛すのには沢山時間はあるわ>って歌詞が 自然と書けててそんな自分に嬉しかったり。 恋蛍では<長いようで短い人生>と歌っていたし 好きな人と過ごす時間は短くて儚いと、 永遠に思っていた節があったけれど。 好きな人との「時間」や「価値観」は 二人で作るもの、って思えたから この曲が生まれたのかもしれない。 いま毎月リリースする曲に対する想いを その都度SNSに綴っていて その中でもう既に言った言葉なんだけど 「最終的に「あはは」って笑えたら それでオッケー◎」って思うんです。 そのくらい肩の力抜いて生きたい。 恋愛も、人生も。 そして、何事も再放送でなく 本編にすることはいくらでもできる。 <MACO> ◆紹介曲「 再恋愛 」 作詞:MACO 作曲:Wiggy

    2020/10/23

  • 川村結花
    たとえどんなにボロボロになってもそれでも。
    たとえどんなにボロボロになってもそれでも。

    川村結花

    たとえどんなにボロボロになってもそれでも。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第10回をお届けいたします。 第10回歌詞エッセイ:「 それでも夢見ずいられない 」 渡辺美里さん。言わずと知れた大歌手。My Revolution。10 Years。サマータイムブルース。数々のヒット曲とジャケットに見覚えのあるアルバムたち。西武球場での20年連続コンサート。数え切れないほどの輝ける足跡。早い頃にデビューされていてわたしが物心ついた時にはもう大スターだった方なので、わたしは1967年の早生まれとはいえ学年は同じ、と知った時には衝撃でした。早い時期から活躍されている方なので勝手に年上な気がしていたのと、同じ学年だと知った後でもやはり変わらずこの世界での先輩中の先輩、尊敬する大先輩です。 ですのである時、彼女から「学年同じなんだからお互いちゃんづけで呼び合いましょう~、結花ちゃん美里ちゃんで!」と提案された時、いやいやいやいやとんでもないとてもじゃない無理無理そのような恐れ多いこと、、、、とひっくり返ったのですが、あれから3年ほどしてようやくLINEやメール上のみ「美里ちゃん」と呼べるところにまでたどり着きました。 ちなみに先日リモートでミーティングしましたが、顔をあわせるとやはりなんとなくモジモジしてしまい、お互い「さん」になってしまうのでした。なんだか付き合いたてのカップルみたいな初々しい気持ちだったりもしますが、なにしろ顔を合わせて「ちゃん」で呼べるようになるまでには、やっぱりまだ時間がかかりそうです。ゆっくり自然に距離が近づくごとにそうなれたら素敵だなと思います。 そんな美里さんとのご縁は、2006年にリリースされたシングル曲「 青い鳥 」の作曲をさせていただいて以来10年以上になります。その後も何曲か書かせていただいていたのですが、1曲だけ作詞作曲両方手がけた「 また、明日 」という作品を除いてはわたしは全て作曲のほうの担当でした。 それがなんと昨年、美里さんの35周年記念アルバム『ID』に収録される予定のとある曲の制作ご依頼をいただき、予想外に作詞のご依頼であったということが、わたしにとってすごく新鮮で嬉しいお話でした。 作曲はSuperfly元メンバーの多保孝一さん。メジャーキーのミディアムアップで全体的に元気で力強い曲調なのだけれど時折胸が「きゅん」となる切なさを携えたドラマチックで素敵な曲でした。 その「きゅん」は、トキメキ類の「キュン」ではなく、今日まで生きてきた中で失くした恋や変わってしまった景色や環境に思いを馳せた時に生じる「きゅん」であり、「ああ、なんだかんだ自分ここまでなんとか生きてきたなあ」としみじみする時に生じる「きゅん」であり、「あの頃はなんだって出来ると思っていたのだなあ、若かったなあ」と同世代の友人と語り合う時に生じる「きゅん」であり、、、て、もうええか。なにしろこの曲の肝である「きゅん」はそういう、ある程度年齢を重ねないとわからない心情な気がしたのです。そしてそこにとても心惹かれました。 人生を経て来た大人にしかわからないそんな切ない気持ち。もう若い頃と同じだけのやみくもな情熱は持てないけれど、だからといって全てを達観できるような域までは行っていない。今もこれからも何かに憧れていたい、何かを追い求めていたい、明日を夢見ていたい、という気持ちは変わらない。 そんなことをイメージしていたら「いくつになっても夢見ずにはいられないのだなあ」というような気持ちを表現したい、と思い至り、「それでも夢見ずいられない」というタイトルが浮かんだのでした。色々あったしこれからも色々あるだろう。現実を見れば肩を落として膝を抱えていたくなることばかり。今までも何度もこんなことがあった。絶望も経験した。そしてそのたびまた思い直して歩いて来た。なぜなら明日を夢見ずにいられないから。どんなに大人になってもそこだけは変わらない、たとえどんなにボロボロになってもそれでも、それでも夢見ずいられない。 そんな気持ちを込めた歌詞。喜びも痛みも光も影もきっとありあまるほどに知っていらっしゃるであろう美里さんの歌は、説得力に満ち溢れ本当に素晴らしく感涙でした。 くしくも今日は久々の秋晴れです。こんな日に好きな服を着て外へ出て思いっきり街の空気を吸うと、理由もなく希望的で優しい気持ちが溢れてくるのを感じます。世の中はまだ不安定で先がわからない状況が続いていますが、今日のこの気持ちの良い風のように、たとえさりげないことでも何か心が喜ぶことに日々一つでも出会えますように。そして1日も長く秋が続きますように。というわけでまたちょっと外の空気吸いに出かけて来ます。ではまた来月。 <川村結花> ◆紹介曲「 それでも夢見ずいられない 」 作詞:川村結花 作曲:多保孝一 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】

    2020/10/22

  • Kitri
    たった一つのフレーズが自分を奮い立たせてくれることもある。
    たった一つのフレーズが自分を奮い立たせてくれることもある。

    Kitri

    たった一つのフレーズが自分を奮い立たせてくれることもある。

     姉のMonaと妹のHinaによる、ピアノ連弾ボーカルユニット“Kitri”が、3作連続配信シングルをリリース!6月には第1弾、初のバラードシングル「Lily」を配信リリース。8月には第2弾、シャッフルビートでロックな味わいのシングル「人間プログラム」をリリース。そして10月23日にはKitriのユニット名の由来でもある、文学『ドン・キホーテ』の主人公像からインスピレーションを受けて制作された「赤い月」をリリース!是非、彼女たちの心の奥底に刺さるリリックと癒しの歌声をご堪能ください。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“Kitri”による歌詞エッセイを第1弾~第3弾でお届けいたします。今回は 第1弾 、 第2弾 に続く最終回!ファイナルでは、第3弾シングル「 赤い月 」にまつわるお話と音楽への想いを、Mona目線、Hina目線、それぞれで綴っていただきました。是非、楽曲と併せて彼女たちの言葉を受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回:「 赤い月 」~ <Mona> 子どもの頃から、机の引き出しにはいつも物語を書くためのノートを入れていた。学校帰りや休日の朝、何かの息抜きにも、暇さえあれば物語を書いていた。小学生の頃、友達と交換するプロフィール帳には「趣味:シール集め」と書いたかもしれないが、本当は空想物語を作るのが好きだったことは、妹Hinaだけが知っている。 今月、配信シングル3作連続リリース企画の第3弾「赤い月」がリリースになる。去年の冬頃からアストル・ピアソラの情熱的な世界観に魅了され、ラテンのエッセンスのある曲を作りたいと思っていて、ようやく形にすることができた。楽曲に参加して下さったのは、礒部智さん、武嶋聡さん、河野広明さん、水永康貴さん。イメージしていたものを遥かに超えるアレンジと演奏で、ほかにない世界観を実現することができた。 この曲を制作するにあたり、密かな情熱があった。古典的な歌詞の内容、歌劇風な構成、クラシカルなピアノフレーズ。それらをいかにポップスに落としこめるかという挑戦である。J-POPの流行からはみ出すようなこの曲をシングルとして選んでくれるスタッフの人たちが周りにいることは、当たり前ではない。心からKitriの音楽を広げようとしてくれている、その強さが嬉しかった。 時は2020年。歌手の方々によって今年もさまざまな等身大の歌が生まれている。そんな中で、<四六時中 疼く痛みは鬼火か?悪魔か?>と空想的に歌ってしまうのはこの曲の主人公である。歌詞を書いた私、Monaでもある。 空想の世界には不可能がない。現実で自分には成し得ないことができたり、実際には言えないセリフを言えたり、誰にも負けない自分に変身できたりする。なぜ幼い頃から空想に惹かれていたのか。今思えば、空想の世界を作り出すことは、誰にも遮られずに自分自身を肯定できる方法だったのかもしれない。ここではありえない夢を描いてもいいよ。そんな、日常の隅にある秘密の居場所だったのかもしれない。 将来、音楽で生きていきたいと思い始めた頃のあるノートを見返すと、「誰かの居場所になるような音楽を作りたい」とあった。相変わらず、そんなことを夢に描きながらこの曲を世に送り出す。ふと誰かの日常で「赤い月」を聴きたいと思ってもらえることがあれば、それが何より嬉しい。 3作連続配信、そしてカバーアルバム『Re:cover』リリース。今年は何も活動ができないかもしれないと覚悟していたところから、少しずつ小さな蕾が膨らみ、聴いてくれる人の笑顔で希望が咲いた今。音楽に出会ってくれた全ての人と、制作に関わってくれた全ての人に心から感謝の気持ちでいっぱいだ。 音楽は形を持たないけれど。たった一つのメロディーが「まぁ大丈夫か」と思わせてくれることもあるし、たった一つのフレーズが自分を奮い立たせてくれることもある。Kitriの歌も誰かの人生のささやかな彩りになれるなら。Hina、次は何を描こうか。扉をあけたらいつでも入れる、日常の隅にあるもう一つの世界。Kitriの空想と音楽の旅はまだまだ続く。 <Hina> 季節はすっかり秋めいて、金木犀の香りがどこからともなく漂ってくる今日この頃。昼は読書に勤しみ、夜は美しい月を眺めるのが私の日課となりつつある。そんな中、音楽というものは、ごく自然に私の日常の一部として存在している。秋になってもそれは変わらないままだ。しかしながら、私たちのつくる音楽は日に日に変化を遂げているように思われる。 6月から隔月でリリースしてきた配信シングルも、もうじき第三弾目のリリースを迎える。「赤い月」と題した新曲だ。リリースするにあたり、この曲を取り巻くエピソード、そして自らの心に秘めた思いを、ここにしたためておきたい。 この新曲を一言で表すとすれば、見知らぬ国の物語、とでも言うべきだろうか。聴いているうちに、自分自身が物語の主人公となり旅をしてしまうのである。知らない街を練り歩き、知らない人々に出会い、知らない言葉を交わし、知らない踊りを踊る。ここは、摩訶不思議な夢の中だろうか。とにかく驚きの連続である。それでいて、ずっと待ちわびていたような気もするのである。 曲が終わった後は狐につままれたようにして、ほんの一瞬放心する。その余韻によって空想の旅が続く。まるでドン・キホーテだ。彼は空想をすることにおいて、ひときわ優れている人物である。もしかすると彼の右に出る者はいないかもしれない。 というのも、この「赤い月」という曲は『ドン・キホーテ』という文学小説をテーマに書いている。それ以前に、私たちのユニット名こそ、そこに登場する少女の名前が由来になっているのであるが。だからというわけではないが、この曲はまた特別な一曲になったと感じている。 なにしろ──読書好きの私からすれば信じられない話であるが──Monaは本からインスピレーションを受けて曲を作ることが滅多にない。これまでの曲作りでは、Mona自身の頭の中で空想を広げ、物語の世界を描いていることが多かった。少なくとも横で見ている分には。ところが、この「赤い月」では小説『ドン・キホーテ』を一から読み、それを拠り所に作詞を始めたのである。空想による物語のような音楽ではなく、物語による空想のような音楽を作った、ということになる。 一足先に聴いてくれた人たちが、また聞いたことのない音楽だ、と言ってくれるのがとても嬉しい。私自身、歌う側としても聴く側としても、それと同様のことを感じている。 新しいことばかりが良いとは限らないが、それでも私たちは新鮮な音楽というものをいつも求めている。それが聴く人のためなのか、自分たちのためなのか、今となっては分からない。新しさは世界を広げてくれるきっかけなのではないだろうか。世界が広がれば見える景色が広がる。物事に対する考え方やアイディア、感情さえも広がっていくのだと思う。その役割を音楽が果たすことができるのであれば、私もその一端を担いたい。そうなれたら、一人前の音楽家として今よりもっと胸を張っていよう。 気づけば、空は紺色に染まっている。日の短さに、ますます秋を感じずにはいられない夕暮れ時である。季節の移り変わりとともに、こうして3作連続リリース企画の幕を閉じる。そのことに、ほっとするような寂しいような、なんとも言えない気持ちが残っている。充足感と安堵感でいっぱいになった心に呟く。変化を恐れず、勇気を持って音楽を届けていこう。同じ時代に生きる全ての人に届けていこう。 私たちは今日も音楽の旅をしている。それはこれからも続いていくだろう。黙々と歩く二人の道。まだ見たことのない景色。そして、そこで出逢ってくれる人々に感謝しながら。 <Kitri> ◆紹介曲「 赤い月 」 作詞:Mona 作曲:Mona

    2020/10/21

  • 手嶌葵
    ユーミンさんのラララと歌う声を聞いていて…
    ユーミンさんのラララと歌う声を聞いていて…

    手嶌葵

    ユーミンさんのラララと歌う声を聞いていて…

     2020年10月14日に“手嶌葵”がニューシングル「散りてなお」をリリースしました。タイトル曲は、監督・角川春樹と豪華俳優陣が夢のタッグを実現した10月16日公開の映画『みをつくし料理帖』主題歌として書き下ろされた1曲。また、昨年10月から11月にNHKラジオ深夜便「深夜便のうた」としてOAされていた「真夜中のメロディ」も待望の初CD化。  是非、彼女の優しく寄り添う歌声をご堪能ください。さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“手嶌葵”による歌詞エッセイを2週に渡り、お届けいたします!今回はその【前編】です。綴っていただいたのは、タイトル曲「 散りてなお 」のお話。今作の作詞作曲を手掛けたのは、松任谷由実。そのデモを始めて聴いたときの気持ち、歌詞を読んで広がった光景、歌声に込めた想いを、明かしてくださいました…! ~歌詞エッセイ【前編】:「 散りてなお 」~ この曲は、映画『みをつくし料理帖』の主題歌なのですが、その歌唱依頼を頂いた時、ついに大好きな時代劇の歌が歌える!と、とても嬉しかったです。次に、曲を作って下さるのが松任谷由実さんだと聞き、監督が角川春樹さんで曲がユーミンさんで…と、一気に緊張感がピーンと体を走りました。楽しみと緊張と他にも沢山の感情が溢れてきて、どんな曲になるのかと本当に楽しみにしていました。 そして、ユーミンさんからデモ音源が届きました。まだ詞も曲名も付いていませんでしたが、ユーミンさんのラララと歌う声を聞いていて、なんだかとてもあたたかく懐かしい気持ちになり、大きな木が風に揺れている様なイメージも浮かんできました。 この美しい曲にはどんな詩がつくのか、何度も何度もデモを聞いて、ドキドキしながら過ごしていると、松任谷正隆さん編曲のオケと共に詩も届きました。 風がふわりと流れていく曲のイメージとぴったりくる、そして時代劇に合う、しっとりした落ち着きと柔らかな華やかさを感じる編曲だなぁと感じ、その素敵なオケを聴きながらユーミンさんの詞を読んでいると、大事に想っている人がいるという幸せと切なさ、そして故郷への愛しさを感じ、古風な日本語の言い回しも相まって本当に美しい曲だと改めて思いました。 レコーディングをしながら、どんな映像にこの曲が流れてくるのか楽しみになりましたし、映画の主題歌を歌う事が出来る幸せを噛みしめました。 歌詞の中には、川や風や春の木々たちが、故郷の懐かしい香りや風景、愛しい人達を思い起こすとあります。私自身、お仕事の為に東京にいてスタジオに向かっている時、コンサートの為に地方を訪れてミュージシャンの皆さんとリハーサルに向かう時、ふっと優しい川の流れや風の音が聞こえる、みずみずしい緑や花が香ってきて、大事な人の姿を思い出す、はっとする瞬間があります。そんな時は少し幸せな気分になり、優しくなれる気がします。 この『散りてなお』を聞いていただく時、私の愛しい気持ちを込めた歌声で、皆様を少し幸せに出来たら嬉しいなと思っています。 <手嶌葵> ◆紹介曲「 散りてなお 」 作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実 ◆ニューシングル「散りてなお」 2020年10月14日発売 VICL-37560 ¥1200+税 <収録曲> 1. 散りてなお 2. 真夜中のメロディ 3. 海を見つめる日 (Live at Sichuan Grand Theatre, Chengdu on November 17, 2019 4. こころをこめて (Live at Sichuan Grand Theatre, Chengdu on November 17, 2019 5. 散りてなお (instrumental) 6. 真夜中のメロディ(instrumental)

    2020/10/20

  • LAMP IN TERREN
    自分を見つめてどうなる。鏡を見てみる。
    自分を見つめてどうなる。鏡を見てみる。

    LAMP IN TERREN

    自分を見つめてどうなる。鏡を見てみる。

     2020年10月14日に“LAMP IN TERREN”がニューアルバム『FRAGILE』(読み:フラジール)をリリース。今作には、昨年リリースされた「ホワイトライクミー」や会場&通販限定e.p.収録曲「いつものこと」、今年5月に配信リリースされた「Enchante」に加え、新型コロナウイルスによる自粛期間だからこそ生まれた新曲を含む全10曲が収録されております。表現者としてのアイデンティティが今まで以上に詰まった1枚を、是非ご堪能あれ…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“LAMP IN TERREN”の松本大(Vo.)による歌詞エッセイをお届けいたします。今回は 【前編】 に続く【後編】です。タイトルは「見つめるべきもの」。緊急事態宣言の最中、彼の心にとまった、ひとつの言葉。あなたはこのエッセイを読んで何を感じますか? そしてそれぞれの想いを胸に、改めて今のLAMP IN TERRENの歌詞を味わってみてください。 ~歌詞エッセイ【後編】:見つめるべきもの~ どんぐりがそこら中に転がっていて、それってもう秋なんだっけ、どんぐりで秋を感じるの初めてだなあ、と雨の中呑気に歩いている私です。締切を大幅に遅刻しています。この記事の。こんな時の自分の言葉の出なさ加減と、締切遅刻の申し訳なさと、「いやぁ、今ちょっと忙しいんすよぉ」という言い訳の気持ちと、その情けなさと、でどんぐりにでもなりたい気持ちです。この場を借りて謝罪します。歌ネットさんごめんなさい。 緊急事態宣言の約2ヶ月を覚えていますか。個人的にはいつも通りコンビニに行く以外は漫画読むか映画観るか曲作るか風呂入るかという選択肢しか持ち合わせていない人間なので特に変化はなかったけれども、ひとつだけ確実に私を変えたことがあった。テレビ、ラジオ、SNS、どこからでも聞こえてくる「自分を見つめ直す期間にしましょう」というポジティヴっぽい言葉。この言葉が自分を180°変えた。 自分を見つめてどうなる。鏡を見てみる。気に入らないところばかりが目につく。例えば見た目は化粧で塗り潰せたとして、心まで化粧できるのか。それが“直した”ことになるのか。いや、改善なんてひとりでやるもんじゃない。ただただ自分を傷付ける行為になる。語弊を恐れず言えば、俺は、言葉や景色や誰かに心が動いた時、それらと手を取り合うために悩めることが改善に繋がると思っている。 あなたと心を通わせるために、自分に何が足りなくて、どう伝えたらいいのか考えることが。孤独の中で自分と向き合うことはある意味、自傷行為に近い。そしてそれを、音楽を始めた時からずっと続けてきていた。自分を見つめ直すばかりで生きてきた。そういう歌をたくさん書いてきた。だから他人に言われた時、初めて思い知った。「自信がないから自分を小さな世界の話ができなかった」と、さも美談のように話してきたが、ずっと孤独であろうとしただけだったこと。誰かと手を取り合って生きていきたいと歌う気持ちを持ちながら、自ら壁を作ってきたこと。 世界はありのまま回っている。僕らもまた、ありのまま回っている。全て。人はありのまま悩みたがっているし、僕はありのまま自分を見つめ直してきた。そうすることが正しいと信じていた。間違っていないとも思う。時に衝突が生まれ、この文章も誤解されることがあるだろう。わざわざ「ありのまま」なんて意識しなくても、皆ありのまま背伸びして、格好つけて、見栄張って、愛して、悩んで生きている。わざわざ見つめ直す必要なんてない。自ら壁を作ってきたこともまた、ありのままの自分だった。間違っていないとも思う。そして今、長い間作ってきた壁を壊した自分がいる。間違っていないと思う。 ただ、愛したものと手を取り合っていられますように。 どんぐりが秋を連れてきた。秋が好きだ。 <LAMP IN TERREN・松本大> ◆New Album『FRAGILE』 2020年10月14日発売 初回盤 AZZS-111 ¥4,500(tax out) 通常盤 AZCS-1096 ¥3,000(tax out) <収録曲> 1. 宇宙船六畳間号 2. Enchante 3. ワーカホリック 4. EYE 5. 風と船 6. チョコレート 7. ベランダ 8. いつものこと 9. ホワイトライクミー 10. Fragile

    2020/10/19

  • Helsinki Lambda Club
    作詞における3つの柱と、その柱に影響を与えた歌詞たち。
    作詞における3つの柱と、その柱に影響を与えた歌詞たち。

    Helsinki Lambda Club

    作詞における3つの柱と、その柱に影響を与えた歌詞たち。

     2020年11月25日に“Helsinki Lambda Club”が全13曲入りのセカンドフルアルバム『Eleven plus two / Twelve plus one』をリリースします。コンセプトは【ヘルシンキの過去から現在、そして未来】です!実験精神と冒険精神が溢れる今作、是非ご堪能あれ!尚、歌ネットでは収録曲の全歌詞も先行公開中なので、併せてチェックを。    さてに、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“Helsinki Lambda Club”の橋本薫による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、彼の歌詞における3つの柱についてのお話です。さらに、その柱に影響を与えたアーティストとその歌詞についても明かしていただきました。是非、こちらのエッセイを読んだ上で、Helsinki Lambda Clubの歌詞をお楽しみください…! ~歌詞エッセイ:作詞における3つの柱~ 初めまして、Helsinki Lambda Clubの橋本薫です。今回“歌詞”という大きなテーマについてエッセイを書かせていただくことになりました。色々と考えた結果、僕が歌詞を作る上での大きな3本の柱について、そして、それぞれの柱に影響を与えた歌詞について書いていこうと思います。というわけで、改めて歌詞について考えてみた後に自分のバンド名を見てみると、全然歌詞のこととか重視してなさそうな名前だなと思ってしまった。絶対誤解されてるよな。大丈夫かな、名前変えようかな?笑 まず1つ目の柱は、「余白」。 もう少し具体的に言うなら解釈の余地があるということ。小説などでも行間を読むとか言うように、紡がれた言葉と言葉の間にある感情や情景を受け取り手がそれぞれの形で思い巡らすことができるということ。ポピュラーミュージックである以上、聴き手が共感して満足する世界を描ければそれで良いのかもしれないが、アートを産み出すということは、産み出されたものがそのままの形で静かに永遠に横たわっているべきではなく、受け取った人たちの中で姿を変え未来にも何らかの形で息づいていくのが理想だと個人的には思う。ありのままの出来事をそのままの形で伝えるなら日記や会話で済むもの。そういった考えに一番影響を与えたのはゆらゆら帝国、中でも「空洞です」の詞だ。 “なぜか町には大事なものがない それはムード 甘いムード 意味を求めて無意味なものがない それはムード とろけそうな” 「 空洞です 」/ゆらゆら帝国 大人になるにつれ、仕事でも何でも結論や意味を求めたがってしまうが、日々を彩るものや深い感動を覚えるものは、無意味なものというか理解を超えたもの、言葉で説明できないものだったりする。そんな甘いムードを作るのが音楽であり、アートの役目の一つだと考えている。 2つ目の柱は、「開き直り」。 これもなかなか語弊がありそうな書き方なのでもう少し具体的に説明すると、世の中的に正しいとされていることとは違う価値観でもそれで良いんだと言い切ること。また、こういう考え方もあるんだというオルタナティブな選択肢の提示ということとも言える。正しさって何だろう。絶対的な正しさなんて存在せず状況や立場で目まぐるしく変わるはずなのに、その都度考えるなんて面倒で疲れるから誰かが決めた多数決的な正義を常識として日々を過ごしてしまう。 基本的にあらゆる状況においてマイノリティであると感じてしまう僕にとって、こういった何となく刷り込まれた価値観や常識というものに時折、息が詰まって仕方がなくなる。だからせめて歌の中だけでもしがらみから解放されたいし、清廉潔白になんて生きられなかった自分のことも肯定してあげたいと思う。僕の作品の中でそういった気持ちが特に色濃く出たのは「 引っ越し 」という曲だが、こうした価値観に一番影響を与えたのはTOMOVSKYだと思う。その中でも「SKIP」という曲はニュアンスが近い部分もあると思うので一部挙げてみる。 “途中でやめるのは あきらめって言うけど 最初の最初なら ただのスキップだ 順応ってなんだ? それ本当に 必要なのか? きまずい空気を 吸い続ける努力が 報われた歴史を 僕は知らない” 「 SKIP 」/TOMOVSKY 物事の見方を変えて考えるというのはこれから僕が生きていく上でも曲を作っていく上でもとても大切なことだなと思う。 最後に3つ目の柱は、「生と死とセックス」。 それぞれで3つの柱になっちゃうじゃんってくらいでかい命題を一つにまとめてしまっているがそこはご愛嬌で笑。何なら更に恋も加えてもいいかもしれない。 年齢的にもロックおじさんになりかかっている手前、やはり連綿と続くロックの歴史を愛する者としては、ロックはすべからくセクシュアルであって欲しいと昔から思っている。それは直接的な歌詞じゃなくて、ビートやメロディでも何でもいいので性的な雰囲気を感じさせて欲しいという。生と死というテーマを強く意識することになったのはここ3年くらいのことで、ここにセックスも絡むようになったのは更に最近の話。 もちろんこの柱において強く影響を与えているのはスピッツ、草野正宗氏だ。ファンの方には周知のように、スピッツの詞世界といえば生と死、そして愛やセックスというものが根底にある。このテーマについて上手く言葉で伝えられる自信はないのだが、まず曲を作る、自己実現をするという原動力の根底には恋愛、突き詰めればセックスがある。モチベーションであると同時にやり切れない思いを歌にすることでどうにか自分を慰めるというかプラスのエネルギーに昇華する。 それはもっと若い頃からやってきたことなのだが、最近はそこに生と死を重ねることが増えてきた。生きたいという欲望はセックスの欲望と根元で繋がり、死にたいという欲求もしくは生きることの意味、目的などを考えることはセックスという行為における生々しさへの躊躇いや満たされると同時に感じる虚無、老いへの恐怖、絶対的なもののように感じていた愛が薄れていく恐怖などを重ね合わせてしまう。 やっぱり上手く説明できなかったが、草野正宗先生の詞のお言葉を借りてそのニュアンスを伝えられれば。個人的にとても生と死とセックスが混ざり合ったフレーズだと思うのが、「愛のことば」のこの一節。 “焦げくさい街の光が ペットボトルで砕け散る 違う命が揺れている 今 煙の中で 溶け合いながら 探しつづける愛のことば もうこれ以上 進めなくても 探しつづける愛のことば” 「 愛のことば 」/スピッツ 凄すぎて、恥ずかしながらどれだけ理解できているのか自分でもわからないが、全てが表裏一体というか、混じり合いながらもがきながら生へと、はたまた死へと向かっているように感じる。生=ポジティブ、死=ネガティブということではなくて、どちらにも両方の側面があって絶えずそのバランスを変えながら人生は進んでいるのだと思う。だからこそこの答えのない生と死というものについて、その時々の感情や価値観で歌っていくことで、その真理のようなものを一欠片でも見つけられたらなと願ってしまう。 以上が僕の作詞における3つの柱でした。よかったらじっくり僕の歌詞も読んでみてください。それではまた。 <Helsinki Lambda Club・橋本薫> ◆『Eleven plus two / Twelve plus one』 2020年11月25日発売 <収録曲> 01 ミツビシ・マキアート 02 Debora 03 それってオーガズム? 04 Good News Is Bad News 05 パーフェクトムーン 06 Shrimp Salad Sandwich 07 Mind The Gap 08 午時葵 09 IKEA 10 Sabai 11 眠ったふりして 12 Happy Blue Monday 13 you are my gravity

    2020/10/16

  • 西片梨帆
    元カノの成分ができるまで。
    元カノの成分ができるまで。

    西片梨帆

    元カノの成分ができるまで。

     2020年9月23日に“西片梨帆”が最新ミニアルバム『彼女がいなければ孤独だった』をリリースしました。彼女は、透明感のある声と、女性の恋愛心情の機微を表現する歌詞で同世代女性の共感を呼んでいるシンガーソングライター。今作でメジャーデビューを果たす。今後、年内は全国でのライブ展開を計画、年明けには待望のフルアルバムリリースも予定しているとのことなので、まずは是非、このミニアルバムをご堪能ください…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“西片梨帆”による歌詞エッセイを【前編】と【後編】でお届け!今回は 【前編】 に続く【後編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲であり、とくに歌詞人気の高い楽曲「 元カノの成分 」についてのお話。あなたは、今の自分に“元恋人の成分”や“片想いをしていた人の成分”がどれぐらい含まれていると思いますか…? 是非、歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 歌詞エッセイ【後編】:元カノの成分ができるまで。 この曲は、18歳の時に書いた曲です。 作家の燃え殻さんが書かれた 「男はみんな元カノの成分でできている」という コラムを読んだ時に、自分の経験と重なる部分が多く、 感銘を受けて書いた曲です。 私が影響を受けた音楽や本のほとんどが、 「好きな人が好きだった」という 理由から好きになったこと。 人づてに、またはネットを通して、 昔好きだった人の今の彼女の話や、 彼自身の今の状況を知ったとき、 私とその人が過ごした日々が確実に 過去になっているんだなと思うと、 当然だと思う反面、寂しくも感じました。 この曲を公開した時、有難いことに たくさんの方に聞いて頂いたのですが、 ほとんどが未練の強い曲だと解釈されていて、 聴く人によって、自分の想像していた意味とは 違うものになるんだなあと びっくりしました。 私がこの曲を作ったのは、未練が強くあって、 また自分のところに戻ってきてほしいために 作ったわけではなくて、 生きているとたくさんの人と出会うと思います。 恋に落ちたり、友達になったり、形はさまざまですが、 学生時代に初めて 「この人、好きだなあ」と思えた人が自分にとっては ずっと大切で、社会人になり、歳を重ねていっても、 これから好きになっていく人が、 自然とその人とどこか似た雰囲気を持っている人だったり 出会いは繋がっていると感じたから作った曲です。 今の恋人からすれば、 この話はきっと嫌だと思うのですが、 今のその人を作ったのは、 家族や、初恋の人、初めてできた友達だったり、 たくさんの人が関わって、今があり、 そしてこれからまた誰かと出会っていく、 そうやって人が生きること、 運命が私はとても美しく思えて、書いた曲、 それが「元カノの成分」でした。 <西片梨帆> ◆紹介曲「 元カノの成分 」 作詞:西片梨帆 作曲:西片梨帆 ◆最新ミニアルバム『彼女がいなければ孤独だった』 2020年9月23日発売 COCB-54301 ¥2,300+税 <収録曲> 01. 黒いエレキ 02. リリー 03. 片瀬 04. 嫉妬しろよ 05. 23:13 06. 元カノの成分

    2020/10/15

  • Hi Cheers!
    本当は君のこと好きだったんだ。なんてね。
    本当は君のこと好きだったんだ。なんてね。

    Hi Cheers!

    本当は君のこと好きだったんだ。なんてね。

     2020年9月18日に“Hi Cheers!(読み:ハイチーズ)”が、初のEP『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』をリリースしました。Chie(vo/gt)と月川玲(vo/ba)の女性二人が切なく歌うバラード「親愛なる遠い君へ」や、メンバー全員がメインボーカルとして歌うスペシャルバージョン「ABCがワカラナイ ~The 4 Tones Edit~」など、新たにロック、ファンク、R&Bと様々なスタイルの楽曲を加えた全6曲を収録。Hi Cheers!の音楽の多様性と魅力が存分に詰まった作品になっております…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hi Cheers!”による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回は 第1弾 、 第2弾 に続く最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 陳腐なラブソングのせいにして 」に通ずるお話です。本当のことを伝えたいのに、別の言葉で誤魔化したり、遠回りしたりすることってありませんか…? 連載のラスト回、是非、歌詞と併せてご堪能ください。 ~歌詞エッセイ最終回:「 陳腐なラブソングのせいにして 」~ 本当は君のこと好きだったんだ。なんてね。 一文目だけだと、深刻さがあるが「なんてね」をつけた途端、ちょっと肩の力が抜ける感じは何なんだろう。冗談めかしくして誤魔化しているが、この発言をしている人は、確実に相手のことが好きなのだろう。いわゆる「匂わせ」というやつだ。相手に「自分も好きだよ」と言って欲しいのであろう。 話に聞いたことがあるが、女の子はやたらと「かわいい」を連呼するが、その場合は大抵自分が「かわいい」と言われたい場合らしい(自分は男の子なので本当かわからないけれど)。たしかに男の子で面と向かって相手に対して「かわいい」を連呼する人は、少なくとも自分の周りにはあんまり見ない。 恥ずかしいのか!? 男の子は照れ屋なのか!? 案外、男の方が女々しいのかもしれない。少なくともうちのバンドは、女子メンバーの方がかっこよくて、男子メンバーの方が全体的にヘナっとした感じがある。 ちなみに自分は「かっこいい」と言われた経験がほとんどない。背が小さくて子供っぽい性格をしてるから「かわいい」と言われることはあるが「かっこいい」と言われたことが記憶の限り本当にない。ポジティブな性格でいたいので褒め言葉として受け取るが、大抵の場合、自分より明らかにかわいい女の子に「かわいい」と言われても多少困惑するわけである。「あなたのほうがかわいいじゃん」と心の中では思っているのだが、口にすることはできない。 ある時、女の子に対して「かわいい」を伝えれば「かっこいい」が返ってくるのかと思い、「かわいい」を連呼していた時期があるのだが、それはそれで逆効果のようであり、裏で「あいつ実はチャラい」と言われていた経験がある。つまり「かっこいい」人が言う「かわいい」には説得力があるが、そうでない人の「かわいい」はあまり効果を持たないようだ。世知辛い世の中である。 何の話をしたかったのかまるでわからなくなってしまったが、自分も「かっこいい」と言われるように何かしらの努力をしたいと思ったこの頃です。そこに対してはなんの努力をすればよいのかは全くわからないけれども。なんてね。 <Hi Cheers!> ◆紹介曲「 陳腐なラブソングのせいにして 」 作詞:高村風太 作曲:上野正明・高村風太 ◆『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』 2020年9月18日配信 <収録曲> 01.ABCがワカラナイ 02.(not)just for show 03.親愛なる遠い君へ 04.恋はケ・セラ・セラ 05.陳腐なラブソングのせいにして 06.ABCがワカラナイ~The 4 Tones Edit~

    2020/10/14

  • Hi Cheers!
    情報の90%が視覚から得られるものだというが本当にそうなのだろうか
    情報の90%が視覚から得られるものだというが本当にそうなのだろうか

    Hi Cheers!

    情報の90%が視覚から得られるものだというが本当にそうなのだろうか

     2020年9月18日に“Hi Cheers!(読み:ハイチーズ)”が、初のEP『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』をリリースしました。Chie(vo/gt)と月川玲(vo/ba)の女性二人が切なく歌うバラード「親愛なる遠い君へ」や、メンバー全員がメインボーカルとして歌うスペシャルバージョン「ABCがワカラナイ ~The 4 Tones Edit~」など、新たにロック、ファンク、R&Bと様々なスタイルの楽曲を加えた全6曲を収録。Hi Cheers!の音楽の多様性と魅力が存分に詰まった作品になっております…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hi Cheers!”の高村風太による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回は 第1弾 に続く第2弾。綴っていただいたのは今作の収録曲「 恋はケ・セラ・セラ 」に通ずるお話です。目に見えないからこそ、わからなくて怖い。目に見えないからこそ、可能性は無限大で面白い。このエッセイからも言葉の奥に込められている“見えない想い”を感じてみてください。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 恋はケ・セラ・セラ 」~ 情報の90%が視覚から得られるものだというが本当にそうなのだろうか。 ふりかけののりたまにはこしあんが入っているらしい。見た目じゃ微塵もわかんないじゃん。つまりのりたまでご飯を食べるということは間接的におはぎを食べているということなのか!?調理された料理に対して見た目だけで何が入っているかを当てるなんて無理だろう。うちの母はカレーを作る時にチョコレートを入れていた記憶がある。すごいびっくりした。まあ同じ色だからそういうことなのだろうか。どういうことなのだろうか。 目の前にいる人が何を今考えているかなんて本当はわからない。今何考えてるの!?なんて聞くのも突飛なことだし、答えてくれたことが本当だとも限らない。周りにいる人が今までどんな経緯を歩んできたのか、大体は知ったつもりでいるが、それはあくまで表面的なことに過ぎないのではないのか。 大体の場合、本音は口にしづらいことの方が多い。どこで生まれ育ってどんな学校を出たのか、といったことより、一体その人が何を考えているのか、何を考えていたのかを知ることが、本当の意味でその人を知るということなのではないか。知ったつもりでいるけれど本当はわからないことがまだまだたくさんあるのであろう。 第一、音楽というものは一切目に見えないではないか! 波形に記すことはできるが、波形から読み取れる情報などほとんどないと言っても過言ではない。ある意味、音楽は見えない情報をそれぞれの感性で感じることで楽しむことができるのであろう。スティービーワンダーやレイチャールズがそうであるように。 ちなみにコンソメパンチのポテチには梅肉が入っているらしいです。梅といえばおにぎりも割ってみないと中身がわからないね。。。。。おにぎりはおかかが好きです。うちのChieちゃんは高菜のおにぎりが好きなようです。 <Hi Cheers!・高村風太> ◆紹介曲「 恋はケ・セラ・セラ 」 作詞:高村風太・月川玲 作曲:高村風太 ◆『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』 2020年9月18日配信 <収録曲> 01.ABCがワカラナイ 02.(not)just for show 03.親愛なる遠い君へ 04.恋はケ・セラ・セラ 05.陳腐なラブソングのせいにして 06.ABCがワカラナイ~The 4 Tones Edit~

    2020/10/13

  • Hi Cheers!
    僕は何もわからない。
    僕は何もわからない。

    Hi Cheers!

    僕は何もわからない。

     2020年9月18日に“Hi Cheers!(読み:ハイチーズ)”が、初のEP『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』をリリースしました。Chie(vo/gt)と月川玲(vo/ba)の女性二人が切なく歌うバラード「親愛なる遠い君へ」や、メンバー全員がメインボーカルとして歌うスペシャルバージョン「ABCがワカラナイ ~The 4 Tones Edit~」など、新たにロック、ファンク、R&Bと様々なスタイルの楽曲を加えた全6曲を収録。Hi Cheers!の音楽の多様性と魅力が存分に詰まった作品になっております…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hi Cheers!”の高村風太による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回はその第1弾。綴っていただいたのは今作の収録曲「 ABCがワカラナイ 」に通ずるお話です。歌詞の<僕には僕の、君には君の 押し付けないでお互いに>といったフレーズがより響くエッセイ。是非、楽曲と併せてご堪能ください。 ~歌詞エッセイ第1弾:「 ABCがワカラナイ 」~ 僕は何もわからない。 自分が知っていることなど限りあって、それはこの世界の中のほんの一部でしかなくて、全部を理解することなど不可能だ。 みたいな自分でもよくわかんないことをたまに夜中にパンツ一枚で思ったりする。そういうことを思う時は、決まって何か嫌なことがあったときだ。友達に言われた他愛のない冗談の一言がひどく胸に刺さったり、逆にそんなつもりじゃないのにみたいな一言で相手にいやな想いをさせてしまったりなど。 いちいち気にしてちゃキリがないよと言ってしまえばそれまでなのだろうが、なぜか夜中にそういった場面がフラッシュバックすることありませんか!? そう言う時は決まって自分は誰に話す訳でもない、答えが出る訳でもない「この世界は…」みたいな大袈裟なことを考えたりする。 人間誰しも生活しているテリトリーみたいなものがあって、それは場所もそうだし、興味関心を抱いてる事柄、仕事や学校などである。そのテリトリーの中のことは詳しいが外のことはよく知らないというのが普通だろう。 だがTwitterやネットなどを見ていると、その自分のテリトリーの外の事柄に対して、議論をしてる場面を目にすることが多々ある。全く興味がない訳ではないので覗いてみるが、お互いがお互いの主張のみを投げ合いマウントを取り合っているようにしか見えない。結局のところなんにもわかんない。何か特定の事柄を指している訳ではないが、100%間違っている人間などいないと信じたいし、そもそも正しさなんて人それぞれ過ごしてきた環境によって変わるものなのではないのか。 情報伝達の手段が発達した現在は、便利であると同時に、不便であると僕は思う。文字から読み取れる本音の量が減ってしまっていると考えるからだ。画面の向こう側でどんな顔をしているかなんてわからない。ただ、自分たちが音楽という手段で何かしらの発信をできるのであれば、それは受け取ってくれる人に対して、前向きな表現を孕んでいるものでありたいなと思う。 みたいなことを夜中に一人でぐるぐる考えていつもよくわかんなくなります。とりあえずだんだん寒くなってくるので、皆さんくれぐれもご自愛ください。 <Hi Cheers!・高村風太> ◆紹介曲「 ABCがワカラナイ 」 作詞:高村風太 作曲:高村風太 ◆『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』 2020年9月18日配信 <収録曲> 01.ABCがワカラナイ 02.(not)just for show 03.親愛なる遠い君へ 04.恋はケ・セラ・セラ 05.陳腐なラブソングのせいにして 06.ABCがワカラナイ~The 4 Tones Edit~

    2020/10/12

  • LAMP IN TERREN
    言葉は箱だと思う。
    言葉は箱だと思う。

    LAMP IN TERREN

    言葉は箱だと思う。

    2020年10月14日に“LAMP IN TERREN”がニューアルバム『FRAGILE』(読み:フラジール)をリリース。今作には、昨年リリースされた「ホワイトライクミー」や会場&通販限定e.p.収録曲「いつものこと」、今年5月に配信リリースされた「Enchante」に加え、新型コロナウイルスによる自粛期間だからこそ生まれた新曲を含む全10曲が収録されております。表現者としてのアイデンティティが今まで以上に詰まった1枚を、是非ご堪能あれ…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“LAMP IN TERREN”の松本大(Vo.)による歌詞エッセイをお届けいたします。今回はその【前編】です。タイトルは「言葉は箱」。最近「歌詞」を書くよりも「文章」で説明するほうが難しくなったと明かす彼。それは、自身の中でどのような変化があったからなのでしょうか…。 ~歌詞エッセイ【前編】:言葉は箱~ 先に言っておくと、こういうのは苦手だ。苦手になった。昔はたくさん書いたし(そのほとんどは今読むとすごく凹む)、無限に書きたい気持ちがあった。それは僕の作る音楽がまだ空想の産物で、自分の世界でのみ起こった事柄で、物語で、悩みで、ひとりあそびの延長にあったからだと思う。曲を紐解いてもらいたくて、面白いと思ってもらいたくて、理解されたくて無限に書けた。おそらくは「不安」といった類の燃料で動いていた心だった。 今回は歌詞を書くよりも難しい。いや、今後ずっと文章を書く事は苦手になるだろう。なるべくその意識は持たないようにしたいが。 音には魔法があった。そこで説明していない感情がメロディであったり、情景はアレンジによって見えたりする。自分の曲の引用になるが「 ベランダ 」というテーマの中で、そこで書いた物語の中で、曲のアレンジが醸す情景の中で、メロディに乗せて<この雨を見下ろす星になれたら>と歌うのはとても素敵な事だと思ったのだ。ベランダからふわっと浮かんで、ぐんぐん空にのぼって、小さな街の光がキラキラしたり重なる雲を見下ろす、そんな景色が見えた。きっと同じ景色を聴いている人にも見てもらえると思えたのだ。 他に言葉にしたかった事はたくさんある。以前は「もっと切ないんだ」という感情を説明したがっていた。説明に全てを賭けていた。わかってもらいたい気持ちがとても強かった。だから、自分の小さな世界を、平凡な日常を歌にする事にとても臆病だった。生き方について考えてばかりだった。だけど今ここに記した全ての事や感情は、その小さな世界や平凡な日常に全て閉じ込められるように思う。わざわざ説明する必要がないくらい、同じ時代に生きている。小さな世界の中にある一節の可能性と強さがある。 言葉は箱だと思う。同じ言葉でも違う想いが入っていたりする。伝えたい事は以前とほとんど変わっていない。最近、箱を選ぶ事がずいぶん柔軟になったな。という話。 伝わるんだろうかこんな話。メロディがないのは不安だな。すっかり以前とは真逆の感じになってしまった。次回、何を書けばいいんだろう。 <LAMP IN TERREN・松本大> ◆New Album『FRAGILE』 2020年10月14日発売 初回盤 AZZS-111 ¥4,500(tax out) 通常盤 AZCS-1096 ¥3,000(tax out) <収録曲> 1. 宇宙船六畳間号 2. Enchante 3. ワーカホリック 4. EYE 5. 風と船 6. チョコレート 7. ベランダ 8. いつものこと 9. ホワイトライクミー 10. Fragile

    2020/10/09

  • アイラヴミー
    頑張れない自分が嫌いだった。周りと違う自分が嫌いだった。
    頑張れない自分が嫌いだった。周りと違う自分が嫌いだった。

    アイラヴミー

    頑張れない自分が嫌いだった。周りと違う自分が嫌いだった。

     2020年9月30日に“アイラヴミー”が2nd Mini Album『そのまんま勇者』をリリースしました。今作は【そのまんま生きる】がテーマ。強い自分も弱い自分も両方自分だと笑いたい。自分を自分としてちゃんと生きていきたい。せっかく自分として生まれたんだから。人生一回しか無いんだから。そんな想いが込められたアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“アイラヴミー”のさとうみほの(Vo.&Gt.)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作に込めた想いです。どんなに周りに合わせようとしても、みんなみたいにできなくて、ちゃんとした人間になれなくて、自分の性格も生き方も愛することができない。そんなあなたに届いて欲しいエッセイ。是非、歌詞と併せて、受け取ってください。 ~歌詞エッセイ~ 「なんでみんなみたいに、できないんだろう」 中学に入学した頃から今まで、ずっと悩んでいた。 こんな気持ちでいっぱいだった。 「みんなみたいにクラスに馴染めない」 「みんなみたいにバイトが上手くできない」 「みんなみたいにちゃんとできない」 「みんなみたいに頑張れない」 クラスのみんなの仲間に入りたくて ちゃんとした人になりたくて 話を合わせたり、 コンビニでバイトしたり、 第二ボタンまで開けたり、 ギャル文字を練習したこともあった。 大人になってからは みんなみたいにちゃんと仕事ができず 頑張らなきゃ、ちゃんとしなくちゃ、と思って どんどん生きづらくなって どんどん自分のことをいじめるようになった。 「なんでこんなこともできないの」 「なんで頑張れないの」 「そんな人間に価値はない」 そうやって自分で自分のことを責めるようになった。 頑張れない自分が嫌いだった。 周りと違う自分が嫌いだった。 そんな時、涙がポツリと落ちた。 「もっと自分らしく生きられたらいいのに」 これはずーーーーっと私が無視してきた私の本音。 学生の頃からずっと思ってたのに、 周りに置いて行かれるのが怖くて 無視してた私の気持ち。 じゃあ「自分らしく生きる」ってなんだろう。 どういうことだろう。 怠けること? 鼻をほじったり、おならをプッてすること? そんなことを考えるようになった。 それが「そのまんま勇者」ができる きっかけになったストーリーだ。 「そのまんまの自分を生きるとはどういうことなのか」 を考えながら作ったミニアルバム。 私なりの答えの数々を散りばめた。 もちろん、それは 鼻をほじったり、おならをプッとすることではない。 もっと、勇気がいることだ。 自分らしく生きるというのは難しい。 すごく辛い時もある。 周りに合わせていた方が楽な時の方が多い。 それでも。 「自分らしく生きていく」ということは 未来をこの手で作るということだ。 自分の言葉で話すということだ。 どんな自分も自分だと認めることだ。 ずっと人に合わせてきた私にとって それは、ものすごく怖いことだった。 でも「そのまんまの自分」を生きるのは刺激的で。 心が動くようになった。 感動が多くなった。 悲しくなることも多いけど、 それでも心が動くようになったのだ。 このミニアルバムの タイトルチューンにもなっている「 そのまんま勇者 」 「強い私も弱い私も両方私だねって笑える勇気」 その勇気が欲しい。 そして、私みたいに今も悩んでる人に このアルバムを届けたい。 自分を助けられるのは自分しかいない。 それでも、そのお手伝いができたら幸せだ。 一緒に乗り越えていきたい。 頑張らなくていい。そのまんまの自分が一番良い。 私は絶対そう思う。それを伝えたい。 リード曲などない。 どの曲もそんな想いを込めて作った大切な曲達だ。 <さとうみほの> ◆紹介曲「 そのまんま勇者 」 作詞:さとうみほの 作曲:さとうみほの ◆2nd Mini Album『そのまんま勇者』 2020年9月30日発売 TECB-1013 ¥1,909+税 <収録曲> 01.ナイフ 02.ケンカしようぜ! 03.そのまんま勇者 04.らぶ・ゆー・べいべー 05.はずかしい 06.答えを出すのだ

    2020/10/08

  • The Songbards
    上野と松原の二人で「ある挑戦」をしてみようかなと思います。
    上野と松原の二人で「ある挑戦」をしてみようかなと思います。

    The Songbards

    上野と松原の二人で「ある挑戦」をしてみようかなと思います。

     神戸発4人組バンド“The Songbards”が、新たな挑戦として三部作を始動させることを発表しました。そして2020年9月23日、その第一章を飾る3rd Mini Album『SOLITUDE』(ヨミ:ソリチュード)をリリース。タイトルは“孤独”を意味する“SOLITUDE”です。誰しもが経験のある、他人と自分を比べた瞬間に訪れる“孤独”にぶつかった時、それを打ち破るキッカケを与えてくれるような内容となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“The Songbards”の歌詞エッセイをお届けいたします。 第1弾 、 第2弾 に続く最終回は、メンバーの上野皓平&松原有志が執筆。今回はなんと、うたコラムでも初の“連詩”に挑戦してくださいました。まずは生まれた詩を味わい、そしてお二人の「のちの会話と補足」をお楽しみください…! ~歌詞エッセイ最終回:初めての“連詩”挑戦~ The Songbardsとして3回目のエッセイは、上野と松原の二人で「ある挑戦」をしてみようかなと思います。それは、“連詩”です。二人で交互に詩を書いていく試み。1人2行ずつを4回でひとつの詩を完成させます。「部屋」と「ご飯屋さん」と「公園」の3つのシチュエーションで書いていきました。二人ともにとって初となる「連詩」スタートです! ①部屋編 楽曲制作のために上野の部屋へ。先行は松原。 松原  初めてではない馴染みのない部屋     まじまじと見る恥のない部屋 上野  そこにいた物の古株は     被った塵が語っている 松原  暮らしの証ということにして     もっと集めてやろうか 上野  人にとっての誇りとは     それくらいのものかのように のちの会話と補足 松原 「男の一人暮らし特有の細かいところまで掃除しきれていない感じから書き始めてみたんやけど」 上野 「自分の部屋のことを書かれていることをわかりつつも、自分も来客者として部屋に来ている気持ちになって俺も続けたわ」 松原 「初の連詩やったから、お互いに共有できているイメージを探りつつ、これでしょみたいな感じで進めたけど。その中でも“塵”を“暮らしの証”って言ったり、“ホコリ”とかけたんやと思うけど“誇り”って言ってみたりそういう部分のおもしろさはあったよな(笑)」 上野 「そうやな、まあ探り探り作っていった感じはあるかな(笑)」 ②ご飯屋さん編 楽曲制作終了後、夜ご飯を食べに駅前のご飯屋さんへ。今回も先行は松原。 松原  ファミレスの進化系     ファミレスト 上野  飾られた渋い陶器たち     テーマパークの父親のよう 松原  アラサー男二人     店のルールに従います 上野  ご飯大盛り出来ずとも     最上級の笑顔でもって のちの会話と補足 松原 「まず最初に店に入って皓平が言った「ファミレスの進化系みたいやな」って言ったのから書き始めたんやけど、こういうのやる上では相手が言ったことに影響されているっていうのも面白いなと思って」 上野 「たしかに、なるほどなとは思った(笑)。次のセクションのイメージは、有志の後ろにある飾られているお皿やけど、すごい綺麗でおしゃれなお店に渋い陶器が飾ってあって、なんとなくミスマッチな感じがして、“テーマパークの父親のよう”って例えをしたな」 松原 「そこは上手いなとは思った(笑)。そういうコンセプチュアルなところにいる浮いているものってなんか愛おしいよな」 上野 「そうそう、わかる」 松原 「ほんで最後はノンフィクションやな。皓平のメニューはご飯大盛りにできたけど、俺はメニュー的に大盛りにしようとしたけどできなかったという(笑)。でも最後を笑顔で終われたのはこのお店がええお店やったからやと思うな(笑)」 上野 「それはある、ご飯も美味しかったし(笑)。そういう影響で結末の表現が変わったりするもんやねんな」 ③公園編 公園編は、前日上野が行った公園を想像しての連詩に。先行は上野。 上野  金木犀の風が吹いて     僕は芝生に溶けてしまった 松原  残ったのは鼻だけ     それは花へと変わって香りを作った 上野  そして遠くで鈴虫たちが     歓迎の歌を奏でています 松原  身体と楽器が一緒なんて羨ましい     次は鈴虫になろうかな のちの会話と補足 上野 「これはもともと、このエッセイで連詩をするってなる前に書いていた詩やねん」 松原 「なるほど、じゃあ自分で書いた続きの詩とどう変わってゆくのかていう感じやったんか。そんなことも知らず、ダジャレで攻めてしまったわ(笑)。でも“溶けてしまった”っていう表現は普段は比喩として使われるけど、目で見える表現として使ってみようと思って、本当に体が溶けるっていう表現をしてみた」 上野 「最初に想定してたこうなってほしいなっていう方向がファンタジーな感じやってんけど、自然とそうなっていくのはびっくりして結構イメージが共有できているなとは思ったな」 松原 「はじまりのキザな印象を崩したいなとは思って。部屋編では割と作品を完成させよう!っていう意識が2人ともにあって。でもせっかくこの二人でやっているから、ふざけてもう一人の方を笑かしたろかなって気持ちは働いてたな(笑)」 上野 「確かにそれはあった(笑)。お互いに全体のバランスを取り合っているていうのは、曲作りでも共有している部分やとは思うし」 松原 「あと今回の連詩の中で、どこかで最終的には音楽と関係ある部分を入れたかったから鈴虫とかが出てきて偶然にもうまく入れれたなとは思った」 上野 「うまく偶然が重なったな(笑)」 連詩をしてみての感想 客観的に自分たちで一連の詩と会話を見返すと少々仲の良さが気持ち悪くは感じるところではありますが…笑。でも普段の歌詞を書く感じとは違って、気の抜けた感じで楽しめたことと、ある程度共有している世界が多い二人で連詩をするという部分で、実際のところかなり楽しめました。 そして詩とは関係ありませんが、お互いに笑かしたり、おっと唸らせたろうという気持ちは対人関係おいてとても大切なことだと改めて感じることも。 そこで使われる言葉の持つ力というのは、間違いなく人生をより豊かにしうる存在で、さらにその中で詩という表現は日常会話における表現の枠の外に出て、使い慣れた言葉、そしてそれに付随する思想の枠から飛び出すことのできるものとして、あらためて価値のある形態だと感じました。ぜひ興味のある方は試してみてほしいです! おまけ 二人でそれぞれの詩にタイトルをつけました。 部屋編 「ひとんち」 ご飯屋さん編 「歯並び」 公園編 「10月生まれ」 <The Songbards・上野皓平&松原有志> ◆3rd Mini Album『SOLITUDE』 2020年9月23日発売 完全限定生産盤CD+書籍 VIZL-1783 ¥2,300 +tax 通常盤CD VICL-65406 \1,500 +tax] <収録曲> 1.孤独と海 2.リトル・ヴァンパイア 3.Dream Seller 4.夏の重力 5.窓に射す光のように

    2020/10/07

  • THE BEAT GARDEN
    夢に一歩近づいた日。君が一歩遠のいた日。
    夢に一歩近づいた日。君が一歩遠のいた日。

    THE BEAT GARDEN

    夢に一歩近づいた日。君が一歩遠のいた日。

     2020年9月28日(月)に“THE BEAT GARDEN”が配信限定楽曲「 夏の終わり 友達の終わり 」をリリースしました。今作は、メンバーのMASATOが作曲を、Uが作詞を担当した、「花火」以来となるサマーナンバー。友達のはずの<君>への恋心が綴られた切ない1曲となっております。歌詞先行公開時、歌ネットの『注目度ランキング』では首位も記録…!    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“THE BEAT GARDEN”のUさんによる歌詞エッセイをお届けいたします!綴っていただいたのは、新曲「 夏の終わり 友達の終わり 」にまつわるエピソード。みなさんは、ずっと友達だったはずのひとに恋をしたことはありませんか? その恋が実った方も、実らなかった方も、その恋の真っただ中の方も、ぜひ想いを重ねながらこのエッセイを、歌詞を、受け取ってください。 ~歌詞エッセイ「 夏の終わり 友達の終わり 」~ 「夏の終わり 友達の終わり」という曲は 友達への恋心が生まれる瞬間を切り取った曲です。 今回のエッセイは自分の中で正直あまり思い出したくなかった、もはや無かったことにしていたあの頃の思い出や想いを覚えている限り、そのままに綴りました。 是非お時間のある時に読んでいただけたら幸いです。 -------------------- 「へー!夢なんだね。」 夢、と言葉にされると突然 恥ずかしくなる。 夢じゃない、目標だ。 芸能人になって、有名になって 君を見返して、迎えにいく。 今に見てろ。 中学2年、夏。 このバンド初めてのライブ。 新所沢の 島村楽器のスタジオ。 チケット30枚は思ったよりもすぐにハケた。 ライブ後、 楽器屋のおじさんも 「このまま頑張ればプロになれる」と言ってくれた。 すぐに本気にした。 ライブ中、 君は僕の親友のMとずっと話してた。 君も僕の親友だから、 傷つくのもおかしい。 腹が立つのもおかしい。 帰り道、チャリ。 君は迷わずMの後ろに飛び乗る。 「武道館ライブは呼んでね!」 Mの腰に手を回して嬉しそうな、 君が言った。 夢に一歩近づいた日。 君が一歩遠のいた日。 -------------------- ミッキーとミニーのストラップを交換するのが流行った。流行んなよ。 男の子がミニーを 女の子がミッキーをつける。 僕はだれのミッキーにもなれず宙ぶらりんのまま、君の学生鞄を見て少し安心する。 僕は背が低い。 背の順は前から二番目で ギリギリ前に習える。 君は背が高くて ちょうど自分の目線は 君の胸辺りに来る これをラッキーだと思える余裕もない。 掃除の時間 体育祭の予行練習 下駄箱や廊下 家の鏡 ベッドの上 階段。天井。 どこにでも君がいる。 頭がおかしくなる前に もうおかしいけど これ以上進行する前に 電話をかけた。 今日も 何も聞き出せなかった。 やっぱり 君の恋事情は聞けない。 恋をしていても していなくても 落ち込んでしまうから。 -あとがき- あの数日後に Mが君とは違う子のミニーを ぶら下げるようになったのを覚えています。 それでも 僕は君のミッキーにはなれませんでした。笑 バンドもギターの転校や 受験で1年足らずで解散したし、 今君が何をしているのかも知らない。 迎えにいきたいなんて 当然もう思っておりません。 ただ、 島村楽器のライブのあの日に、 この歌があったら もう少しだけ 良かったのかな なんて 思ったりします。 「夏の終わり 友達の終わり」 また一つ思い出を歌にできました。 歌ネットさん このコラムに出会ってくれた皆さん Beemerのみんな 最後まで読んでくださり ありがとうございました。 ライブで歌詞で また再会できることを願っています。 <THE BEAT GARDEN・U> ◆紹介曲「 夏の終わり 友達の終わり 」 作詞:U 作曲:U・MASATO

    2020/10/06

  • 坂口有望
    送られてきたエンディングの完成映像を見て胸が熱かった。
    送られてきたエンディングの完成映像を見て胸が熱かった。

    坂口有望

    送られてきたエンディングの完成映像を見て胸が熱かった。

     2020年11月4日に“坂口有望”がニューシングル『セントラル』をリリース!タイトル曲は、TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』ED曲として書き下ろされた1曲です。儚さと力強さを併せ持った歌声で彩られ、柿澤秀吉(秀吉)による疾走感溢れるアレンジも魅力のシリアスロックチューン。また、コロナ禍をテーマにしたEDMナンバー「2020」、寒くなる季節にぴったりのセンチメンタルなバラード「クリスマスエレジー」、2曲のカップリングにも注目…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“坂口有望”による歌詞エッセイを、3ヶ月連続でお届けいたします!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、タイトル曲「セントラル」についてのお話です。主人公・ボルトのイメージや生き方をどのように歌詞に昇華させたのか。是非、エッセイでその想いを受け取ってから、楽曲を聴いてみてください…! ~歌詞エッセイ第1弾:「 セントラル 」~  さて、19歳にして2度目のエッセイ。中学の時、国語の授業で「エッセイとは何か?」を習ったその日、自分なりのエッセイに挑戦してみようという課題が出た。授業の本題、エッセイとは何かはもう忘れてしまったけど、宿題でつくった自作「分数の線に定規を使うような小学生だった。」という書き出しが、我ながらお気に入りで、今でも覚えている。  今月から3回にわたって、何を書こうかと悩んだ末、11月4日リリースの4th Single「セントラル」の収録曲について綴ることにした。ライブや取材の機会も制限される今、この場をお借りして、毎月1曲ずつ、たっぷりと伝えさせてください。わたしのこんがらがった頭の中を、読者の皆様に面白がってもらえたら嬉しいな。  聴けばすぐにわかる。今回のシングルは、性格も見た目も全く違うような3曲が詰まった1枚になっている。それらを引っ張っていく、表題曲「セントラル」について。  この曲は、10月からのTVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマである。BORUTOのために書き下ろした曲だが、サビの1行目<飛び込んでいけ>のフレーズだけは既にストックしていたものだった。    小さい頃から、兄の影響でNARUTOは身近な存在だったし、BORUTOについても人並みの知識は持っていた。そんなわたしが、ボルトに対して抱いたイメージは、「自ら台風に飛び込むような無鉄砲な少年」だったので、その「飛び込んでいけ」という言葉はあまりにもマッチしてしまったのだ。ただ、その1行から肉付けていくとはいえ、わたしにはまだ十分な理解がなかったので、NARUTOシリーズの大ファンであるマネージャーさん(ここからは愛称のダイナさんと表記)から入念にヒアリングを行った。    まず、ボルトが親(ナルト)の七光りを煙たがっていることに目をつけた。彼は、本来なら危険を犯す必要などないのだ。それでも、自ら飛び込んでいく、これがポイントになった。そして、タイトルになっている「セントラル」。これは「中心の」という意味だが<セントラル 目を奪いに走る>という歌詞は、飛び込むだけで終わらず自らが台風の目になって、周りをいい意味で巻き込んでいくボルトの生き方を描いた。    ダイナさんと、原作に照らし合わせながら筋が通っているか修正を重ねた分、これまでの曲の中で一番時間をかけた歌詞かもしれない。完成後、わたしたちは送られてきたエンディングの完成映像を見て胸が熱かった。歌詞を一つ一つ噛み砕いて、描いて頂いた絵に違いなかったからだ。さらにわたしは、自分がダイナさんに夢の一部のようなものを見せることができたのかもしれないと思ったから。そしてその時、まさにボルトのように、もっと沢山の人たちを巻き込んでいける大人になろうと誓った。 <坂口有望> ◆紹介曲「 セントラル 」 作詞:坂口有望 作曲:坂口有望 ◆ニューシングル『セントラル』 2020年11月4日発売 初回生産限定盤 ESCL-5448~49 ¥2,000(tax in) 通常盤 ESCL-5450 ¥1,300(tax in) 期間生産限定盤 ESCL-5451~52 ¥2,000(tax in) <収録曲> 1.セントラル 2.2020 3.クリスマスエレジー 4.セントラル -TV Size-(期間生産限定盤のみ収録)

    2020/10/05

  • MACO
    「恋愛するとMACOの曲が聴きたくなるの」と私はいつでも言われたい。
    「恋愛するとMACOの曲が聴きたくなるの」と私はいつでも言われたい。

    MACO

    「恋愛するとMACOの曲が聴きたくなるの」と私はいつでも言われたい。

     2020年9月25日に“MACO”が新曲「夏風邪」を配信リリースしました。同曲は、秋に振り返りたくなる夏の思い出が描かれた切ないラブソングです。歌詞先行公開時には注目度ランキングの1位も記録!さらにこの新曲を皮切りに、異例の4ヶ月連続配信リリースが決定。MACOから届くフレッシュな新曲たちを、じっくりとご堪能ください…!    さて、今日のうたコラムではその4ヶ月連続配信リリースと連動して、MACOによる歌詞エッセイを4作連続でお届けいたします!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、新曲「 夏風邪 」についてのお話。治らない風邪みたいな、ひどい恋煩いが、どうしようもない愛おしさが、長引いているあなたへ。その想いを重ねながら、このエッセイと歌詞を読んでみてください…! ~歌詞エッセイ第1弾:「 夏風邪 」~ 治らない風邪みたいだな これはひどい恋煩いなんだな 「 love letter 」/MACO love letterの歌詞を書いているときに ふっと浮かんだフレーズ。 当時、多分この風邪は一生治らないんだと思ったし 治らなくていいし、 なんならずっとこのままでいいと思った。 仕事の移動で見る新幹線からの景色はいつも同じで 嫌気がさしていたのに、 ある日その景色が素晴らしく思えて この世界はなんて美しいのだろうと思った。 移動中眠るのがもったいないと思った。 それなら今思ったこと全て 文字におこしておきたいと思った。 目の下のクマさえも愛おしく思った。 「恋は麻薬である」 と脳科学的にも証明されているらしい。 どうりで寝不足でも 元気に仕事に行けるわけで。 新曲のタイトルはなつかぜ、 表記は「夏風邪」にしよう。 だって大事な人を差し置いて 憧れの人に本気になりそうだったって 何考えてたんだろうこの主人公は。 長引かせずに早めに気付いてね。 プリプロ(仮歌)の日、 このタイトルと歌詞が印刷された紙を見て スタッフ一同引っかかっている様子。 私の予想通り。 歌詞の中で夏の風と歌っているから、 無難に「夏風」と思ったよね。 カタカナで「ナツカゼ」とかね。 でもそれじゃなんか違うし今の私の気持ちにリンクしないんだよなぁ爽やかだしありきたりだし。 「夏風邪」だからこじらせてる感が出せる。 いつだって真っ白な恋に一直線! と思っていても次の日に心変わりすることだってある。輝いていた世界は元通りの色に戻ったり、もう一人の自分が自分を見てバカだなと思うこともある。でもまた次の日には小さな出来事に心動かされ、花が咲くこともある。 私はその心に生まれた小さな想いやトゲに気付いて、切り取って歌にして、笑う人生がいい。 私の想いが届いて夏風邪が通り、 みんなの元へ夏風邪が届いた。 この後3ヶ月みんなの元には私の新曲が届く。 4ヶ月連続リリースはとっても嬉しい出来事。 あまり時差なく新鮮なまま音楽を届けられることの幸せ。私の日記。 「恋愛するとMACOの曲が聴きたくなるの」 と私はいつでも言われたい。 恋と私は切っても切り離せない。 <MACO> ◆紹介曲「 夏風邪 」 作詞:MACO 作曲:湯原聡史

    2020/10/02

  • Thinking Dogs
    青春時代×やりたいことをやる為の反骨心=ロック。
    青春時代×やりたいことをやる為の反骨心=ロック。

    Thinking Dogs

    青春時代×やりたいことをやる為の反骨心=ロック。

     2020年9月23日に“Thinking Dogs”がニューシングル「Heavenly ideas」をリリースしました。今作は、ドラマ『映像研には手を出すな!』の主題歌。大童澄瞳が『月刊!スピリッツ』で連載している同名原作は、“最強の世界”を夢見てアニメ制作に情熱を注ぐ女子高生たちの姿を描いた作品。齋藤飛鳥(乃木坂46)、山下美月(乃木坂46)、梅澤美波(乃木坂46)が実写版にキャスティングされたことでも話題となった作品です。  さて、今日のうたコラムではそんなドラマ主題歌の最新作を放った“Thinking Dogs”のTSUBASAによる歌詞エッセイをお届けいたします!綴っていただいたのは、今作「 Heavenly ideas 」の核となっている“ロック”についてのお話。そして、歌詞に込められた強い想いです。是非、楽曲と併せて、このエッセイを受け取ってください…! ~歌詞エッセイ:「 Heavenly ideas 」~ 今回「Heavenly ideas」という楽曲のテーマのひとつ、“ロック”について少しお話しします。 「Heavenly ideas」の中でのロックというのは、『青春時代×やりたいことをやりたいようにやる為の反骨心』。 ドラマ版『映像研には手を出すな!』の主題歌という話をいただいてからの制作だったので、作品の世界観と自分の世界観がリンクするような楽曲にしたい!というところからのスタート。真っ先に思い浮かんだ、僕自身の高校生時代と重ねながら作詞をしていきました。 高校生時代は夢と現実が交互に見えてくるもので、例えばパイロットになりたい!と思っても自分には勉強ができないから無理だ。。とか。プロの野球選手になりたい!と思ってもプロになっていった選手と比べて自分の実力が見合ってないなーとか。日を追うごとに諦めるのがうまくなってしまうような時期でもあったと思っています。僕自身も小さい頃からやっていたゴルフでプロになることを諦めたり、高校に入学してから所属したバスケ部でも思うように成績が残せなくてやめてしまったり。 そんな背景があるなかで始めたバンド。僕にとっては歌詞の中にある“未知の扉”であり“巻き戻せない今”を感じられる場所でしたが、いろいろな壁にぶつかったりして諦めようと思ったことが何度もありました。 2番の歌詞の中に<ヤツらに塞がれた空を塗り替え Flapping>とあるのですが、この一節は当時の状況からイメージしたこと。空っていうのは僕にとってはバンドのことで、“ヤツら”っていうのは「そんなもん続けてどうする」って言われたりとか、学校の規則で突然「バンドは禁止!」って言われたりとか、メンバーが楽器を親に取り上げられたりとか、チケットが売れなくてライブハウスにお金が払えなかったりとか。。。立ちはだかってきたすべてのモノのことです。 それらの壁を乗り越えていった“向こう側の世界”へ行くためのあらゆる手段だったり方法がタイトルにもある「Heavenly ideas」。ぶっ飛んだアイデアというよりは抗う心そのもの。 映像研の中でも3人の高校生が好きなことを形にする為に様々なことに抗いながら進んでいくので、自分自身の経験と“ロック”というキーワードでリンクさせることができたのではないかなと思います。 「Heavenly ideas」は、僕らの楽曲の中でもかなりライブを視野に入れて制作しました。新型コロナウイルスの影響で今までの様にライブをすることはまだできませんが、はやく皆さんともライブで、それぞれの“ヤツら”に抗うように一緒におもいっきり叫べる日がくることを心から願っています。 <Thinking Dogs・TSUBASA> ◆紹介曲「 Heavenly ideas 」 作詞:TSUBASA 作曲:Jun・TSUBASA ◆9th Single「Heavenly ideas」 2020年9月23日発売 初回生産限定盤 SRCL-11477~11478 \1,500 + tax 通常盤 SRCL-11479 \1,136 + tax

    2020/10/01

  • The Songbards
    歌詞が体感に変わる時。
    歌詞が体感に変わる時。

    The Songbards

    歌詞が体感に変わる時。

     神戸発4人組バンド“The Songbards”が、新たな挑戦として三部作を始動させることを発表しました。そして2020年9月23日、その第一章を飾る3rd Mini Album『SOLITUDE』(ヨミ:ソリチュード)をリリース。タイトルは“孤独”を意味する“SOLITUDE”です。誰しもが経験のある、他人と自分を比べた瞬間に訪れる“孤独”にぶつかった時、それを打ち破るキッカケを与えてくれるような内容となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“The Songbards”の歌詞エッセイをお届けいたします。 第1弾 に続く、第2弾を担当したのは、メンバー・松原有志。綴っていただいたのは“歌詞のある音楽”と“歌詞のない音楽”についてのお話。一体“歌詞のある音楽”とは、どんな力を持つものなのでしょうか…。是非、エッセイを読んだ上で、彼らの『SOLITUDE』の歌詞もじっくりお楽しみください。 ~歌詞エッセイ第2弾:歌詞が体感に変わる時~ この世の中には、“歌詞のある音楽”と“歌詞のない音楽”しかありません。 これはとても意外なことです。なんとなく、音楽にはたくさんのジャンルがあって複雑なものだという認識はありませんか。ロックやポップス、ファンクやヒップホップ、さらには雅楽やクラシックなど…様々に細かく説明できます。しかし、もっと広く見ていけば必ずその二つのどちらかに当てはまるという見方もできるはずです。 このことについて考えるきっかけとなったエピソードがあります。 音楽を始めるかなり前、僕は一人の音楽好きとして洋楽ばかりを聴いていました。友達との会話の中で“好きなバンド”の話に。その友達はとある日本のロックバンドが好きらしく、そしてそのバンドの歌詞が好きだということを熱く語り始めました。そんな友達を見て僕は羨ましく思ったのと同時に意地悪な気持ちにもなり、こんなことを聞いてみました。 「メロディーなしで歌詞を読むだけでも好きなん?」 その友達の反応は、 「いや、それやと別になんとも思わんな」 なるほど。この答えは意外でした。意地でもその歌詞の良さを説明してくると思っていたからです。つまり“詩”が“歌詞”になるにはメロディーがないといけない。細かく言えば、サウンドや歌声のキャラクターまでもが関わっているということです。よく考えれば、僕が洋楽を好きな理由には歌詞の良さは入っていませんでした。英語を話せないという単純な理由で。 それ以来僕は、どんなに当たり前のことを歌詞にしていても音楽に乗って心まで届くなら。その逆に、素晴らしい詩であっても歌にするせいでその良さが届かないなら。“言葉”の持つ能力を、音楽が生かすことも殺すこともできることを知りました。 “ただの音”と“ただの言葉”が人に届くということは、“記号としての言葉”が音楽と組み合わさることによって、“体感”する次元に引き上がることなのではないでしょうか。 <The Songbards・松原有志> ◆3rd Mini Album『SOLITUDE』 2020年9月23日発売 完全限定生産盤CD+書籍 VIZL-1783 ¥2,300 +tax 通常盤CD VICL-65406 \1,500 +tax] <収録曲> 1.孤独と海 2.リトル・ヴァンパイア 3.Dream Seller 4.夏の重力 5.窓に射す光のように

    2020/09/30

  • Kitri
    父が「シンギュラリティって聞いたことある?」と言った。
    父が「シンギュラリティって聞いたことある?」と言った。

    Kitri

    父が「シンギュラリティって聞いたことある?」と言った。

     姉のMonaと妹のHinaによる、ピアノ連弾ボーカルユニット“Kitri”が、3作連続配信シングルをリリース!6月には第1弾、初のバラードシングル「Lily」を配信リリース。8月には第2弾、シャッフルビートでロックな味わいのシングル「人間プログラム」をリリース。10月にはどのような楽曲がリリースされるのが、お楽しみに…!さらに、9月23日には初のカヴァーアルバム『Re:cover』も配信リリース!是非、彼女たちの癒しの歌声をご堪能あれ…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“Kitri”による歌詞エッセイを第1弾~第3弾でお届けいたします。今回は 第1弾 に続く第2弾!初のカヴァーアルバム『Re:cover』に込めた想い、そして第2弾シングル「 人間プログラム 」にまつわるお話を、Mona目線、Hina目線、それぞれで綴っていただきました。是非、楽曲と併せて彼女たちの言葉を受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 人間プログラム 」~ <Mona> 全ては偶然なのだろうか。気に入っているあのメロディーも、どうしても入れたかったあの歌詞も、あの時に作っていなければ、きっと生まれていない。あの一言がなければ、きっと生まれていない。 とある夏の時期、私はある曲を書いていた。これまでのKitriにはない無機質な面白さを表現出来る曲を作ろうと思い、メロディーとピアノアレンジを考えていた。順調に進んでいたはずが、肝心の歌詞が浮かばない。自分が何を歌いたいのか考えれば考えるほど分からなくなって、何日間か険しい顔をして過ごした。 そんな、困った私を誰かが空かどこかから見ていて、そろそろヒントをあげようと思ったのだろうか。何かの会話の流れで父が「シンギュラリティって聞いたことある?」と言った。話を聞いていくと、どうやら人工知能によって私たちの未来に変化が生じるという概念のようだ。普段ならその話を素通りしてしまっていたかもしれないが、とっさに言葉が出た。 「あ、それだ!ありがとう。」 何への「ありがとう」なのかは言わないまま、急いで作詞に取りかかった。宙ぶらりんになっていたメロディーが探していた歌詞はこれだと思った。そうして、ずっと見つからなかったパズルの最後のピースを見つけ、完成したのが「人間プログラム」だ。ふとしたきっかけから、近未来的な世界観の一曲が生まれた。 無事に人間プログラムの作業も終わりに近づいていた今年の初夏、静かにもう一つの作業を進めていた。春のライブツアーが延期になって様々な予定が白紙になった後、この期間に何か自宅で出来ることはないだろうかと探していた。ライブで音楽を届けられない分、ほかの方法で音楽を届けたい。Hina、スタッフと話し合った結果、私たちはカバーアルバムの制作を始めることになった。 過去にライブや動画サイトでカバー曲を披露すると「カバーを音源化してほしい」「カバーアルバムを作ってほしい」そんな声をいただくことがあった。 「いつか作れたら」 そう思いながらもなかなか実現することができなかった。自分以外の誰かの思いがつまった大切な曲を、Kitriの声で歌ってリリースすることは、私にとって勇気のいることだった。だが、今年に入ってそういった言葉をもらうと、心の中で今までとは違った返事をしていた。 「いつかではなくて、今こそ作ろう。」 思うような活動ができずに戸惑っていた時、私自身さまざまな歌に心を動かされた。いつまでも色褪せずにそばにいてくれる名曲がどれほど勇気をくれたか。希望になっていたか。カバーを聴きたいと言ってくれた人の気持ちがよく分かった気がした。 カバーアルバム『Re:cover』のジャケットを眺めながら、リリースできた喜びを噛み締めてみる。あの時に作っていなければ、きっと生まれていない。あの一言がなければ、きっと生まれていない。日常の思いがけないところから、今度はどんな音楽を生み出せるだろう。 <Hina> 更け行く秋の夜、眠れずに永遠のリズムを刻んでいる。もう戻れない昨日のこと、そして楽しい明日のことを考えようか。いつか目的地に辿り着いた時、これが私の旅だったと振り返りたい。 先日、配信アルバム『Re:cover』をリリースした。念願だった初めてのカバーアルバムである。いつか作りたいねと話し、ぼんやりとは思い描いていたが、自粛期間中に急速に話が進み、まさかこんなに早く完成するとは。周りの方の尽力のお陰である。 この春から、多くの人の生活が一変した。より忙しくなった人もいるだろうし、暇を持て余した人もいる。気持ちが落ち込んだ人もいれば、少し心に余裕ができた人もいただろう。その全ての人に、ささやかなプレゼントを贈りたいと思ったのだ。私たちの音楽で少しでもみんなを励まし癒せたら…そんな願いがあった。 ところが、プレゼントをもらったのは私たちの方だった。なんと有難い誤算だろう。たくさんの応援や嬉しい感想の声が届き、その一言一言が私たちを喜ばせてくれる。私たちの音楽をより輝かせてくれる。このアルバムをリリースすることができたのは、紛れもなく、そうやって聴いてくれる人がいるからだ。音楽というものは、聴き手がいて初めて音楽になるのである。 そしてまた、私たちが選んだ9曲には、それを作った人や歌った人たちの大きな愛が詰まっている。そんな大切な作品たちを歌うことができた。そのことだけで頭が下がる思いだ。 沢山の人からもらった応援という名前のプレゼントは、かけがえのない宝物としていつも心の片隅に置いてある。それを眺めながら、この感謝の気持ちを歌に変え届けていけたら、と思う。 さて、そんなカバーアルバムより一足先に発表したオリジナル曲がある。「人間プログラム」だ。 日常にちょっとした快適さを求める時、AIと呼ばれるそれらに、気づかぬうちに助けられていると感じる今日この頃である。今朝はお気に入りの音楽を流してくれた。言葉を教えてもらったこともあれば、迷った時の道しるべとなってくれたこともある。 それらは、人間の知能に最大限近づけて造られているそうだ。いや、彼らが進化しながら私たちに近づいていると言った方が適切だろうか。人間の知能を完全に超えた人工知能は果たして誕生するのか。私には到底知り得ないことであるが、そんな空想の未来のようなものを歌った曲こそが、この「人間プログラム」である。 これは、リリースに至るまでかなりの時間を要した一曲である。初めてこの曲を聴いた時、Monaが既に歌詞も書いてくれていた。無論、後々ブラッシュアップという形で私も作詞に参加するわけではあるが。 <完璧を求めてみよう>から始まる歌詞に惹かれ、この近未来的な世界線にどんどん引っ張られていく感覚だった。少し怖いようで面白く、情熱と冷静さを同時に持ち合わせたこの曲は、さまざまな想像を掻き立ててくれる。私が好きな日本の小説家の一人、星新一を想起させる…と言ってしまうのはおこがましい話だが、私個人の主観では、どうしても重なってしまうのだ。彼の物語を読み終えた後、人間って良いな、と素直に感じることがよくある。この「人間プログラム」という曲も、聴き終えた後にそれとよく似た感覚をもたらしてくれる気がしている。 人間は面白い。人間には想像し創造する力がある。ただ感情の赴くままに、自分がやりたいことをし、作りたいものを作り上げることができる。何もないところから新しいものを生み出すことができる。また、感情は目まぐるしく変化し、いつどこで誰がどうなるか、全く分からない。それもまた面白いことだ。 近い将来、シンギュラリティという言葉の通り、AIが人間の能力を超える日が来たとする。それでも私は自分の意志で行動し、自分のこの手で作ることをやめたくない。心を込めるという作業を厭わず、音楽を作り続けたい。そんな暗黙の約束をMonaと交わすことができた気がするのである。この「人間プログラム」という曲を通して。 それにしても、AIというものは本当に便利である。私だけではなく、多くの人の生活を助けているに違いない。現代社会には欠かせないものだ。もっと言えば、これからもっと技術が発達し、より重要な役割をAIが担うことになるかもしれない。それも大いに素晴らしいことだ。しかし私はその恩恵に与りながらも、やはり人間らしい音楽なるものをやっていきたい。この先もずっと、それは変わらないはずである。いや、変わらずにいたいと思っている。 最後に、星新一のこんな言葉を思い出したのでここに記しておきたい。 「自分の一日を、そして一生を、人間というりっぱなおごそかな生命現象にふさわしい生き方で、足どりたしかに、かがやかしく、生きなければならない」 <Kitri> ◆紹介曲「 人間プログラム 」 作詞:Mona・Hina 作曲:Mona

    2020/09/29

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