ひかりのなかに

過去に縋りたくなるし、現実なんて見てられなくて、逃げたくて。

 2020年10月14日に、東京出身スリーピースロックバンド“ひかりのなかに”が新曲「タイムマシン」をリリースしました。今作は6ヶ月連続配信リリースの第四弾です。大人になるに連れて制限がかかったり、現実なことばかり考えてしまいそうになるけれど、自分の頭の中で膨らむ妄想ぐらいは、もっと夢を見てもいい…。楽しいことだけではない大人に向かって歩き出し始めている心情を歌った楽曲となっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ひかりのなかに”のヤマシタカホによる歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届けいたします。今回は第1弾に続く、第2弾!綴っていただいたのは、新曲「タイムマシン」にまつわるお話です。現実の不安や怒り、苦しみと向き合わなくてはならないと、自分を追い込みすぎているあなた。是非、このエッセイと歌詞を受け取ってください…!

~歌詞エッセイ第2弾:「タイムマシン」~

肌寒いですね、お元気ですか?

今月は「タイムマシン」という新曲が出たのでそれについてのお話です。

今年の夏頃、まだまだ家から出て何処かへ行ったりだとか、ライブを人前でするとか、何もなく、何もないまま6カ月連続配信リリースに向けて平坦な日々の中で必死に絞り出す、という作業をしてゆく中で、思うことといえばただ一つ「あ~~~あ過去に戻れんかな~~~」というなんとも非現実的な願望たった一つでした

これは多分読んでくださってるあなたも同じだと思います。

歌詞の内容はこの時期にしかかけない曲を書きたい、と思ったので、日々何もない不自由さだとか、目に見えないものへの不安からくる怒りだとか、なんかみんな余裕がなくて苦しくて目に飛び込んでくるもののほとんどに、目新しいものも何もなくて。

そんな中で音楽を辞める人、辞めざるを得なくなってしまった人、場所、もううんざりだったんです、やっぱりね。

それにこの時期に、私の大好きだった場所がなくなるって出来事もありました。それが冒頭の<都市開発で思い出は消えた>という歌詞。きっともうじきなんとも思ってなかった人の記憶の中ではパッと消えて

「あれ?ここ工事してるけど前なんだっけ?」

って会話をするんだろうな、と考えるとものすごく虚しくなったというか。時の流れの残酷さ、というのを大袈裟かもしれないけど感じました。

そうなるともう気持ちだけでも過去に縋りたくなるし、現実なんて見てられなくて、逃げたくて。それならこの気持ちを曲にすれば何かが変わるかも、と思い「タイムマシン」という楽曲が生まれました。

ものすごく落ち込むことがあった日だとか、もう何もかも捨てたい、と思う日に、過去の楽しかったことにすがることや、何か別のことに逃げることって、なんとなく「悪」のような気がしてしまうと思うんです。

少なくとも私はそうで。

逃げずに向き合わないといけない、ともっと自分を追い込んで、追い込む前よりできなくなったりして落ち込むことも今までたくさんありました。

でもなんか今になって、別に逃げても良いんじゃないかな、って思えるようになったんですよね。逃げた先で得たものがやらなきゃならないことに良い影響を与えることだってあるし、一度逃げたからこそ狭くなっていた視界がもう一度フラットになって新しい視点で見れるようになることだってある。

それに、心をすり減らして壊れてしまっては意味がないんです

私はタイムマシンという楽曲を通して、身動きの取れない毎日への怒り、不安、不満、時の流れへのやるせなさ、それと、「逃げ」に対しての肯定を書きました

この曲はもう書き手の私の元を離れてもうみなさまのものなので、正直どう解釈してもらっても構わないですし、別の解釈だったとしてもそれが全てだし、それが正解です。

なのであくまで参考程度に。


何かを変える力はないけど誰かに寄り添えたら嬉しいです

それでは。

<ひかりのなかに・ヤマシタカホ>

◆紹介曲「タイムマシン
作詞:ヤマシタカホ
作曲:ヤマシタカホ
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