本当は君のこと好きだったんだ。なんてね。

 2020年9月18日に“Hi Cheers!(読み:ハイチーズ)”が、初のEP『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』をリリースしました。Chie(vo/gt)と月川玲(vo/ba)の女性二人が切なく歌うバラード「親愛なる遠い君へ」や、メンバー全員がメインボーカルとして歌うスペシャルバージョン「ABCがワカラナイ ~The 4 Tones Edit~」など、新たにロック、ファンク、R&Bと様々なスタイルの楽曲を加えた全6曲を収録。Hi Cheers!の音楽の多様性と魅力が存分に詰まった作品になっております…!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hi Cheers!”による歌詞エッセイを3日連続でお届け!今回は第1弾第2弾に続く最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「陳腐なラブソングのせいにして」に通ずるお話です。本当のことを伝えたいのに、別の言葉で誤魔化したり、遠回りしたりすることってありませんか…? 連載のラスト回、是非、歌詞と併せてご堪能ください。

~歌詞エッセイ最終回:「陳腐なラブソングのせいにして」~

本当は君のこと好きだったんだ。なんてね。

一文目だけだと、深刻さがあるが「なんてね」をつけた途端、ちょっと肩の力が抜ける感じは何なんだろう。冗談めかしくして誤魔化しているが、この発言をしている人は、確実に相手のことが好きなのだろう。いわゆる「匂わせ」というやつだ。相手に「自分も好きだよ」と言って欲しいのであろう。

話に聞いたことがあるが、女の子はやたらと「かわいい」を連呼するが、その場合は大抵自分が「かわいい」と言われたい場合らしい(自分は男の子なので本当かわからないけれど)。たしかに男の子で面と向かって相手に対して「かわいい」を連呼する人は、少なくとも自分の周りにはあんまり見ない。

恥ずかしいのか!? 男の子は照れ屋なのか!? 案外、男の方が女々しいのかもしれない。少なくともうちのバンドは、女子メンバーの方がかっこよくて、男子メンバーの方が全体的にヘナっとした感じがある。

ちなみに自分は「かっこいい」と言われた経験がほとんどない。背が小さくて子供っぽい性格をしてるから「かわいい」と言われることはあるが「かっこいい」と言われたことが記憶の限り本当にない。ポジティブな性格でいたいので褒め言葉として受け取るが、大抵の場合、自分より明らかにかわいい女の子に「かわいい」と言われても多少困惑するわけである。「あなたのほうがかわいいじゃん」と心の中では思っているのだが、口にすることはできない。

ある時、女の子に対して「かわいい」を伝えれば「かっこいい」が返ってくるのかと思い、「かわいい」を連呼していた時期があるのだが、それはそれで逆効果のようであり、裏で「あいつ実はチャラい」と言われていた経験がある。つまり「かっこいい」人が言う「かわいい」には説得力があるが、そうでない人の「かわいい」はあまり効果を持たないようだ。世知辛い世の中である。

何の話をしたかったのかまるでわからなくなってしまったが、自分も「かっこいい」と言われるように何かしらの努力をしたいと思ったこの頃です。そこに対してはなんの努力をすればよいのかは全くわからないけれども。なんてね。

<Hi Cheers!>

◆紹介曲「陳腐なラブソングのせいにして
作詞:高村風太
作曲:上野正明・高村風太

◆『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』
2020年9月18日配信

<収録曲>
01.ABCがワカラナイ
02.(not)just for show
03.親愛なる遠い君へ
04.恋はケ・セラ・セラ
05.陳腐なラブソングのせいにして
06.ABCがワカラナイ~The 4 Tones Edit~