人は前に進むためにちゃんとお別れをするのだ

 2021年4月7日に“Hi Cheers!”が新曲「monologue」を配信リリースしました。同曲は、白石聖が主演のドラマ『ガールガンレディ』主題歌、Hi Cheers!としては初の書き下ろし楽曲です。月川玲(Ba&Vo)とChie(Gt&Vo)がメインボーカルを務める、儚くも切ないドラマの世界観とマッチしたミディアムバラード楽曲となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hi Cheers!”の高村風太による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「monologue」に通ずるお話です。誰にでもいつかは必ず訪れる別れ。だからこそわたしたちが大事にすべきものとは…。是非、大切なひとを思い浮かべながら、このエッセイと歌詞を読んでみてください。

~歌詞エッセイ:「monologue」~

いつの間にか時は過ぎて気付かぬうちに僕らの前を通り過ぎている。ハッと振り返った時には、祭りの後で残り香のようなものだけが漂っている。

人はやたらと別れというものを明確にしたがると僕は思う。いつの時代も失恋のうたがあって、式典としての卒業式のようなものがあったり。また絶対会おうね!!と言って別れるが、果たして本当にまた会えるのだろうか。

正直、いろんな便利なものを使えば、何年も連絡を取っていない人に対してもコミュニケーションをはかれるし、ましてや共通の友人等がいれば、嫌でも何かしらの近況のようなものを小耳に挟む機会は何かとある。

ただひとつ死別というものを除いて。

僕はまだ強烈な体験としての死別というものに対峙したことはない。祖父、祖母との別れは経験として持ち合わせているが、基本的に年長の家族というものは自分より先に旅立ってしまうし、そうあって然るべきだ。

ただ、全く予期せぬ別れというものに遭遇した時、自分の感情はどうなるのであろうか。自分の中に確かにその人というものが存在していた分、ぽっかりと穴が空いてしまい、そして、その穴が二度と埋まることはないのであろう。ましてちゃんとお別れができず、いつの間にか目の前からいなくなってしまうこともあるだろう。さよならとありがとうも伝えられずに。

僕らは生活の中で明確に別れというものを意識すべきなのだと思う。出会った時点で確実にその終着点は別れなのだ。だからこそ、寄りかかりあう心地よさをより一層感じることができ、お互いがお互いをより一層分かろうと努力できるのではないかと。そして、いつの日か、ここから先は一緒には行けないということに気づきお別れをする。その別れの先にまた新しい出会いがある。

あたらしい自分
あたらしい世界

歩んできた道のりに対して、まったくの未練がないといえば嘘になるだろうが、道が切り替わったのではなく、確かに続いている決して途切れることのない道を歩いているのだから。

人は前に進むためにちゃんとお別れをするのだ。もう今までのようにそばにいることはできないかもしれないけれど、そこまで大切に思える人に出逢えたことがなによりも幸せなことだと思って、ただ先の見えない道をこれからも一人歩いていく。

終わってしまうその日まで。

<Hi Cheers!・高村風太>

◆紹介曲「monologue
作詞:高村風太
作曲:高村風太