今日のうたコラム - 歌ネット|歌詞検索サービス「歌ネット」

  • アーティスト
  • 曲名
  • 作詞者
  • 作曲者
  • 歌詞
  • タイアップ
ユーザー登録ログイン
  • ホーム
  • 歌詞検索
    • アーティスト名インデックス検索
    • 作詞者名インデックス検索
    • 作曲者名インデックス検索
    • 編曲者名インデックス検索
    • レーベル名インデックス検索
    • 歌詞全文(フレーズ)検索
    • アニソン検索
    • アルバム検索
    • タイムマシン検索
  • 新曲歌詞情報
    • 新曲歌詞情報(総合)
    • 新曲歌詞情報(演歌・歌謡曲)
    • リクエストフォーム
  • ランキング
    • 総合ランキング
    • 演歌・歌謡曲ランキング
    • 歴代人気曲ランキング
    • 注目度ランキング
    • お気に入りアーティストランキング
    • カラオケランキング
  • コトバのキモチ
    • 新規投稿フレーズ
    • コトバのキモチ
    • コトバのキモチ検索
    • コトバのキモチBEST10
    • 歌詞フレーズ投稿
  • タイムマシン
    • タイムマシンTOP
    • 今月のスポットライト
    • 歌謡界50年史1960-2000年代
    • 年代別テレビドラマ主題歌
    • 年代別日本レコード大賞
    • 年代別アニメソング特集
    • 年代別歌詞検定
  • 音楽番組情報
    • 音楽番組情報TOP
    • TVドラマ主題歌
    • TVアニメソング
    • MUSIC STATION放送曲目リスト
    • 新・BS日本のうた放送曲目リスト
  • 動画プラス
  • 歌詞ショート
  • 今日のうた
  • インタビュー
  • アニメ
  • 特集ピックアップ
  • 言葉の魔法
  • 言葉の達人
歌詞検索サービス「歌ネット」

今日のうた

検索ボックスを開く
メニューを開く
  • アーティスト
  • 曲名
  • 作詞者
  • 作曲者
  • 歌詞
  • タイアップ

MENU

  • ホームホーム
  • 動画プラス動画プラス
  • マイ歌ネットマイ歌ネット
  • 歌詞閲覧履歴歌詞閲覧履歴
  • ランキングランキング
  • 新曲歌詞情報新曲歌詞情報
  • 今日のうた今日のうた
  • ニュースニュース
  • 歌ネットピックアップピックアップ
  • コトバのキモチコトバのキモチ
  • 言葉の達人言葉の達人
  • 言葉の魔法言葉の魔法
  • 歌詞ショート歌詞ショート
  • アニメアニメ
  • 音楽番組情報音楽番組情報
  • リクエストリクエスト
  •  
  • X
  • facebook
  • line
今日のうた
ニュース

TODAY SONGS

今日のうたニュース
  • 川村結花
    たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。
    たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。

    川村結花

    たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第11回をお届けいたします。 第11回歌詞エッセイ:「 あとひとつ 」 近所の駅前に年末恒例の巨大クリスマスツリーが運ばれ先日から設営が始まっています。毎年それを見るたび「ああもう来月はクリスマスで年末ですぐに年も明けるのだなあ」と、過ぎて来た今年とこれからに思いを馳せながら、冷たい風の中でそっと目を閉じたくなるような、なんか幸せでなんかせつなくてあたたかなそんな気分に浸るのが常です。 今現在はとてもじゃないけどまだそんな気分にはなれていませんが、来月ツリーに灯りが点灯すれば、いつものようにそんなあったかせつない気持ちになるのかな。なるんだろうな。そして「来年きっといいことがありますように」と願うのかな。願うんだろうな。 考えてみればそんなふうに願わなかった年はなかったなあと思います。今までいろんな願いをしてきましたが、たぶん人生で最初に己自身のことで強く願ったのはやはり高校受験の時だったと思います。「あの高校に受かって次の春には笑えていますように」とかなんとか。吐くほど願った15の冬(←結局落ちた。人生初の挫折)。 <あとひとつの坂道を ひとつだけの夜を 越えられたなら 笑える日が来るって> これは2010年にFUNKY MONKEY BABYSに提供(共作)した「あとひとつ」の2番のサビです。ほんと、受験生の時ってまさにこれでした。思えばあの頃はわかりやすかったなあ。いつも課題があって、これをクリアすれば次、これをクリアすれば次。ゴールは合格。そういう意味で高校野球も似ていて、日々の課題日々の練習を重ねて、地方大会で試合に次ぐ試合。それをクリアしてクリアしてゴールは甲子園。そして全国優勝。 青春ってある意味わかりやすいものなのだなあ。だから大人は高校野球が好きなのか。わたしも含め。だって大人になればなるほど、ひとつなにかを越えたって次にまた同じような課題が来るとは限らない。ましてやゴールなんてないのだから。だからこそ、あんなふうにゴールに向かってひたすらまっすぐ熱く戦える彼らがうらやましくもあり、自分にもあんな頃があったと思い出させてもらいチカラをもらうのね。もちろんわたしも。 というわけで普段スポーツはNBAと大相撲しか見ないわたしですが、高校野球は結構見ます。なのでファンモンが歌う「熱闘甲子園」のテーマ曲制作のお話が来た時はかなり燃えました。 まず歌詞を先に考えていたのですが、なんだか煮詰まって昔のノートなんかをあさっていたところ、ふと昔書き留めておいた走り書きの「あと100粒の涙を流せば」とか「あと99のドアを開けば」とかそんな言葉があったのを見つけたのでした。そしてその時思ったのです。「あと100もあと99もなんぼなんでも多すぎるわ。せめてあとひとつでしょ、、あれっ、あとひとつ???そういえば野球の応援で『あっとひっとつ~』とか『あっと一球~』とか言うやん、そうやわ、これやわ!!!!!」ということでめでたく「あとひとつ」が生まれたのでした。 ちなみにカラオケでこの歌を歌うとFUNKY MONKEY BABYSのMVが出てくるのですが、なんか胸がいっぱいになって泣きそうになります。加藤くん、モンちゃん、ケミちゃんの絶妙なバランス。あらためて素敵なグループだったなあ。大好きだったなあ。解散した今もわたしは彼らのファンです。そして彼らのおかげでたくさんの素敵な曲を書く機会をいただきました。本当に感謝しています。 そう、それにあの伝説の2013年の日本シリーズで当時楽天の選手だった田中将大投手がマウンドに登場した時に、会場中が大合唱になった「あとひとつ」。プロ野球の名場面のひとつと言われているあの瞬間に、少しでも貢献できたのではないかと思えることが素直に嬉しく幸せです。 今こんな世の中で音楽業界もなかなかに厳しくて、わたし自身もそりゃ何かと色々心に抱えていて、一体あとひとつの何を越えたらお腹の底から笑える日が来るのか、さっぱりわからないけれど、変化の激しいこの世の中で、変化に振り回されることなく変わらずやれることだけを真面目に続けていれば、いつかそんな日が来るとわたしは信じています。たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。 ということで長々書いて参りましたがこの連載も残すところそれこそあとひとつとなりました。最終回になります来月もどうぞぜひ読んでくださいませね。 <川村結花> ◆紹介曲「 あとひとつ 」 作詞:FUNKY MONKEY BABYS・川村結花 作曲:FUNKY MONKEY BABYS・川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】

    2020/11/26

  • Helsinki Lambda Club
    これは偶然が運んできた必然だなと腑に落ちる瞬間がある。
    これは偶然が運んできた必然だなと腑に落ちる瞬間がある。

    Helsinki Lambda Club

    これは偶然が運んできた必然だなと腑に落ちる瞬間がある。

     2020年11月25日に“Helsinki Lambda Club”が全13曲入りのセカンドフルアルバム『Eleven plus two / Twelve plus one』をリリースしました。コンセプトは【ヘルシンキの過去から現在、そして未来】です。実験精神と冒険精神が溢れる今作、是非ご堪能あれ!  さてに、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Helsinki Lambda Club”の橋本薫による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作のタイトルについてのお話。そして、そこに込められている想いの軸となるような楽曲「 you are my gravity 」についてのお話です。是非、このエッセイを読んだ上で改めて、収録曲の歌詞をじっくり読んでみてください…! ~歌詞エッセイ:「 you are my gravity 」~ 先日こちらで 作詞における3つの柱 というテーマでエッセイを書かせていただきましたが、再度書く機会をいただきました。おかわりありがとうございます。今回は11月25日リリースの我々の2ndフルアルバム『Eleven plus two / Twelve plus one』について、その世界観を最後の収録曲である「you are my gravity」という曲を軸に紐解いていきます。 “love”という英語は和訳すると愛だ。もしくは恋だ。似ているけれど少し違う。それでは“gravity”はどうか。和訳すると引力だ。もしくは重力だ。似ているけれど少し違う。この“同じようでほんの少しずれていること”というのも本作の裏テーマみたいなところがある。 アルバムタイトルの話。『Eleven plus two / Twelve plus one』それぞれの文を、単語をジッと見てみよう。きっと見てもわからないだろう。なので説明すると、この二文はアナグラムになっていて、どちらも同じ種類と数のアルファベットで構成されている。本質的には同じものも見る角度でまったく別のものに見えることもある。どちらも足すと13なのにね。 遠心力にやられて話はビュンビュン飛んでいく。必然と偶然の話。昔から運命みたいなものは嫌いじゃない節があったけれど、最近は特に必然と偶然を意識することが多い。それが必然か偶然かなんて、神のみぞ知るだ。その神というのも人間の必然や偶然が創り出したものかもしれない(ちょっとデリケートな話なのでイエローカード)。「you are my gravity」の歌詞の中に “祈るためのステンドグラス 作りものの神は言う” という一節が出てくるのだが、これは10年近く前にイギリスに留学をしていた時の経験が元になっている。イギリスには歴史の古い教会が沢山あり、色んな由緒ある所に足を運んで硬い木製の椅子に腰掛けてジッと天井を眺めたりしていたのだが、舞台装置と言ってもいいくらい完璧なシチュエーションの中にいると本当に神様はいるのかもしれないなという気持ちになってくるのだ。神がいそうな雰囲気を極限まで人為的に作り出して、そこに偶然完璧な角度で日が差して完璧なタイミングでパイプオルガンの音色が響いたりすると、神の存在が必然になる気がする。 必然ととるか偶然ととるかというのは、基本的には自己の解釈でしかないけれど、時々ストンとこれは偶然が運んできた必然だなと腑に落ちる瞬間がある。昨今のコロナ禍においては、心が挫けてしまいそうなことばかりだけれど、この作品においては沢山の必然が舞い降りて表現の説得力や強度が増したように思う。 最初は12曲の予定だったけれど結局13曲になったしね。偶然からアルバムタイトルとの必然が生まれた。これ以外はないなってくらいに。 話を“gravity”に戻そう。和訳すると引力であり重力であると先ほど述べたが、その違いってわかるだろうか? どうやら引力は「物体が互いに引き合う力」で重力は「地球の引力と自転の遠心力を合わせた力」だそう。重力がちょっとわかりづらいね。地球上のすべての物体にかかる力、圧って感じ? 「you are my gravity」、引き合う二人というロマンチックな響きにもとれるし、自由を奪う足枷のようにもとれる。“you”が誰を・何を指すのか、“gravity”がどっちの意味なのかは人によってその時によって解釈が違うでしょう。同じようで違うこと。物事の二面性。君のもとへ戻りたいのか、それとも戻ってしまうのか。はたまたそのどちらもなのか。 “雨が止んで 家を出た 昨日までの二人とは違うってこと” 外側から見てもきっと二人は昨日と何ら変わらない様子なんだけれど、二人の中では何か変化が起きている。同じようで違うこと。 この作品は「過去、現在」そして「未来」という二つのテーマに分かれている。タイトルも然り。曲を聴いてもその二つでは全然違うアプローチに見えるかもしれないけれど、結局歌いたいことであったり世の中で起きていることっていうのは、あまり変わらなかったりするのかもしれない。真っ直ぐ歩き続けたつもりが気付いたら円を描いていたのかもしれない(地球は丸いしね)。だけど、ほんの少しだけ円の端っこと端っこがズレていたとしたら? 外側から見たら気付かない二人のように。もう一周したらまた少しズレて、更にもう一周したらまた少しズレて。 それが希望なのか絶望なのかは人それぞれというか世の中次第。少なくとも完全な堂々巡りよりは希望があるんじゃないかな。 この作品を一周して聴いたあとに、次の一周で少し感じ方が変わったりしたら面白いし嬉しいなと思う。CDショップの棚で、ストリーミングのプレイリストの中で、偶然手にする人たちが沢山いますように。既に好きでいてくれているあなたたちの必然に少しでも関われますように。 <Helsinki Lambda Club・橋本薫> ◆紹介曲「 you are my gravity 」 作詞:橋本薫 作曲:橋本薫 ◆『Eleven plus two / Twelve plus one』 2020年11月25日発売 <収録曲> 01 ミツビシ・マキアート 02 Debora 03 それってオーガズム? 04 Good News Is Bad News 05 パーフェクトムーン 06 Shrimp Salad Sandwich 07 Mind The Gap 08 午時葵 09 IKEA 10 Sabai 11 眠ったふりして 12 Happy Blue Monday 13 you are my gravity

    2020/11/25

  • ましのみ
    ナースだってシンガーだって、全員1人の人間だしね。
    ナースだってシンガーだって、全員1人の人間だしね。

    ましのみ

    ナースだってシンガーだって、全員1人の人間だしね。

     この春、賀来賢人主演のドラマ『死にたい夜にかぎって』OP主題歌「7」がスマッシュヒットし、注目を集めている“ましのみ”と、海外でも人気を誇る“Nyarons(ニャーロンズ)が初のコラボ!2020年11月13日には第1弾「French Toast / ましのみ & Nyarons」を、11月20日には第2弾「Nurse and Singer / Nyarons & ましのみ」をリリース!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ましのみ”による歌詞エッセイを2週に渡りお届けいたします。今回は【前編】に続く【後編】です。綴っていただいたのは、新曲「 Nurse and Singer 」に込めた想いです。あなたにも、何にも出来なくて、何にもならなくて、虚しくなるときはありませんか? 是非、このエッセイを読んで、この曲を聴いて、ほんの少しでもその心が軽くなりますように…! ~歌詞エッセイ【後編】:「 Nurse and Singer 」~ ないものねだり、して当然だと思う。 自分が持ってるもの 自分に出来ること ちゃんとここにあるとわかっていても、持っていないものや出来ないことばかり目について、落ち込んだりやるせなくなったり。 無駄な悩みだって分かっていても、考えない方が難しい時だってある気がしている。特にまっすぐな人ほど。 自分にしかないものなんて本当にあるのかなとか、ここにいる意味あるのかな、とか、頭で考えはじめたらわからなくなることばかりだけど、本当は誰もが自分のために暮らしていくべきで、感覚的な幸せを最優先していいはずで。 だから意味とか意義とか理由とか、そういう勝手に背負ってるものもっともっと軽くして、みずからの心と対話しながら気楽に進んでいけたらいいよなって思う。 ナースだってシンガーだって 全員1人の人間だしね。 ポップでキュートなメロに昇華されたリアリティのある歌詞、こんな曲Nyaronsとのコラボじゃなきゃ絶対に完成しなかった。 ぜひ聴いてほしいです、 踊るように楽しんでみてね!! <ましのみ> ◆紹介曲「 Nurse and Singer 」 作詞:chika・ましのみ・bassy 作曲:bassy

    2020/11/24

  • 熊木杏里
    かつて「宇宙人」だった私は恐らく今、間違いなく「人間」であろう。
    かつて「宇宙人」だった私は恐らく今、間違いなく「人間」であろう。

    熊木杏里

    かつて「宇宙人」だった私は恐らく今、間違いなく「人間」であろう。

     2020年11月11日に“熊木杏里”がニューアルバム『なにが心にあればいい?』をリリースしました。思うように外にも出られず、不安や焦燥を感じてしまう世の中になってしまった今だからこそ、レコーディングというものにライブを込め、アルバムとして届けよう。そんな想いが強く形となって出来た今作。珠玉の11曲をじっくりとご堪能ください。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“熊木杏里”による歌詞エッセイを3週連続でお届けいたします。今回は 第1弾 、 第2弾 に続く最終回。一体、このアルバムの根底にあるものは何なのか。その核の象徴となるような新曲「 秤 」に込めたメッセージとは…。是非、エッセイを読んだ上で今作の歌詞たちを改めて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回~ 最初にマネージャーとして一緒に、お仕事をしていた方に言われたことがある。 「熊木さんは宇宙人でいいんですよ」 20歳そこそこの、私の歌詞は、その言葉の様にもしかしたら、どこか地に足のついていない、不思議な宇宙からのセリフのように聞こえていたのかもしれない。当時のマネージャーは、その感じをとても面白がってくれていた。 自分の中の言葉を抽出する仕組みは、変えたつもりはない。だけど、日々の中で少しずつ変わってきたのだろうと思う。今作では、言葉よりも、それに伴うメロディの方に心が波打っていた気もする。メロディの持つ、希望感が先にあって、言葉の狼煙をあげる様な。それ位に、躍動のあるアルバムにしたいと思っていた。 メロが先立つ感覚のままスルスルと言葉も合体して出てきた。その場合、私は書き直さない。そして10曲が、その様にして出来た。ふと、このアルバムの根底にあることとは何だろうかと考える時間がやってきた。これは毎回、アルバムの曲を一頻り書き終えた頃に、湧いてくる問いだ。 優しくも強い、自分にしか書けない「今」だからこそ聞いてもらえる様な、この気持ちを総括した曲にしようと思った。そして胸に問いかけた。それは「想い」だった。見えないから分からないのだけれど、だからこそ愛に満ちることができるものだ(逆に悪にもなる、、ではあるが)。 迷いや恐れ、悲しみ、喜び。自分だけのものなら、その正体は分からないのだ。その想いに行先があるからこそ、実感するものだと私は思う。 「 秤 」はそうして最後にできた曲だ。1行目の<「ひとり」を崩して「ふたり」を作り 人は人になることにしたのだろう>が書けるまで、とんでもなく体力が減った。 強い言葉とは人を傷つける様な言葉ではない。その人の想いが多く含まれているのがわかる言葉のことだと思う。アレンジを務めてくれた森田晃平くんがデモを聴いて言った。「杏里さんらしさが1番ある」と。 かつて「宇宙人」だった私は恐らく今、間違いなく「人間」であろう。それはこの人間界に対しての愛着が増えているからだと思うのだ。 <熊木杏里> ◆紹介曲「 秤 」 作詞:熊木杏里 作曲:熊木杏里 ◆『なにが心にあればいい?』 2020年11月11日発売 初回限定盤 YCCW-10376/B \4,800+ 税 通常盤 YCCW-10377 \2,727+ 税 <収録曲> 1. life 2. 幸せの塗り方 3. ことあるごとに 4. 星天の約束 5. 光のループ 6. 一輪 7. 見ていたいよ 8. ノスタルジア 9. 青葉吹く 10. 雪~二人の道~ 11. 秤

    2020/11/19

  • 瀧川ありさ
    その傷たちは、側から見るとその人を輝かせているように見える。
    その傷たちは、側から見るとその人を輝かせているように見える。

    瀧川ありさ

    その傷たちは、側から見るとその人を輝かせているように見える。

     2020年11月18日に“瀧川ありさ”が2nd mini Album『prism.』をリリース!2015年にメジャーデビューを果たし、『七つの大罪』『終物語』『ドメスティックな彼女』など数々のアニメテーマソングを自身の力で生み出し続け、今年5周年の節目を迎えた彼女。今作には、コロナ渦の中、本人が作詞作曲を手掛けた未発表曲が5曲収録されております!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“瀧川ありさ”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回は 【前編】 に続く【後編】です。綴っていただいたのは、今作のタイトルに込められた想いと収録曲5曲それぞれの誕生のきっかけ。是非、このエッセイを最後まで読んでいただいた上で、歌詞と楽曲をじっくりご堪能ください…! ~ミニアルバム『prism.』が出来たきっかけ~ 本日、瀧川ありさの2nd mini AL『prism.』がリリースになりました。ミニアルバムとしては、前回生まれ育った街をコンセプトに『東京』を出しましたが、今回のアルバムタイトル『prism.』の意味合いと、5曲を書いたそれぞれのきっかけを話していこうと思います。 M1.「 メリーゴーランド 」 冒頭の<廻って廻って綺麗なメリーゴーランド>という言葉が最初に出来ました。廻るメリーゴーランドと、人間関係を掛け合わせた曲にしようと思い、サウンドは軽やかに街を歩けそうな雰囲気ですが、<返事のない金曜 予報にない雨>と、楽しい金曜の夜になるはずだったのに振り回されてしまう主人公がいます。これまでの作風にはなかった、同年代の社会人の人々のプライベートを見聞きしていて書けた曲です。 M2.「 MAGIC 」 この曲は、言葉の魔法をテーマにしました。「大丈夫」という言葉は、自分で何度唱えても心許ないのに、“君”が言ってくれると本当に「大丈夫」だと思える。これは<透明な魔法>だと感じ、解けないで欲しいと願う曲です。この5年間で特に気付かされたテーマであり、自分の言葉もまた、誰かの魔法になってほしいと思うようになりました。 M3.「 嫌いだ 」 昨今「自己肯定感」という言葉をよく見るようになりましたよね。そして並べて「自己肯定感を上げるには」「自己肯定感が低い人あるある」など、幸せになるには自己肯定感というものが必要不可欠な雰囲気です。それで言ったらわたしも「自己肯定感が低い」に分類されるわけで、確かに自己肯定感が高そうな人はなんだか人生楽しそうに見えます。ただ、本当に自己肯定感が高い人はそんな言葉さえ持ち合わせていない気がします。そして自分自身の嫌いな部分にしっかり「嫌いだ」と示して変わっていってるように見えるのです。自分をジャッジするのはどの指標でもなく自分であり、そんな自分と向き合う曲です。 M4.「 Tonight 」 そんなこんなで、生きていくことはあれこれ考えすぎて疲れるでしょう。考えないようにするほど暗闇が襲ってくる夜もあると思います。そんな気分の時に、すべてを忘れてどうか何の不安もなく眠りについてほしいという想いを込めて書きました。<幾千の星が君のそばにある>、ただそれだけですが、わたしはいつもそうして安心するようにしています。 M5.「 夢 」 そうして見る夢は、どんな世界でしょう? 夢占いがあるように、夢はいつも何か気付かせてくれます。夢を見ることと、音楽を聴くことは少し近いような気もします。<このまま永遠に醒めなきゃよかった> そんな夢と現実的の狭間で、それでもやってくる明日に向かって、夢は記憶の整理とも言いますが、過去の受け止め方も曲の中でラストに向かって変わっていく曲です。 この5曲が揃った時に感じたのが、人々は傷付きながらも希望を見出し進んでいくということでした。そしてその傷たちは、側から見るとその人を輝かせているように見える。そうして『prism.』というタイトルが生まれました。光の屈折を増やしていくと思えば、傷付くことも少し悪くないと思ってもらえたらいいなと思います。prismについているピリオドは、これまでの作品もそうですが、ここにそれまでのすべてを置いていく証のようなものです。区切りを付けることで、また次に真っさらな状態で進んでいけるように。 あなたにとってこのアルバムがそんな光のかけらたちとなってくれたらと思います。 <瀧川ありさ> ◆2nd mini Album『prism.』 2020年11月18日発売 通常盤 SECL-2634 \1,500+税 初回生産限定盤 SECL-2632~2633 ¥5,000+税

    2020/11/18

  • ましのみ
    言葉は、必要になった時に必要な分だけ受け取ってね。
    言葉は、必要になった時に必要な分だけ受け取ってね。

    ましのみ

    言葉は、必要になった時に必要な分だけ受け取ってね。

     この春、賀来賢人主演のドラマ『死にたい夜にかぎって』OP主題歌「7」がスマッシュヒットし、注目を集めている“ましのみ”と、海外でも人気を誇る“Nyarons(ニャーロンズ)が初のコラボを果たしました。2020年11月13日には第1弾「French Toast / ましのみ & Nyarons」を、11月20日には第2弾「Nurse and Singer / Nyarons & ましのみ」をリリース!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“ましのみ”による歌詞エッセイを、2週に渡りお届けいたします。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、新曲「 French Toast 」に込めた想いです。あなたには“自分が自分であるために大切にしていること”はありませんか? たとえそれを誰かに否定されても、この曲のような気持ちで過ごしてゆけますように…! ~歌詞エッセイ【前編】:「 French Toast 」~ “そういう自分に酔っているだけ” それの何が悪いんだろう?と思うよ それで軽くなる心があるなら 満たされる何かがあるなら いくらでも自分に酔ってしまえば いいんじゃないかって。 “丁寧な暮らし”が見せかけだって良いのよ、きっと。暖かい紅茶を飲んで、深呼吸をしているその瞬間だけでも自分を大切にできている実感が持てるのであれば、自分を素敵だと思える心がそこに生まれるのならば、救いをそこに見出せるのであればね。 コロナの期間に入って、身の回りの環境や自分の人生のこと、人との関わり方、考える機会がより一層増えたような気がしてる。 色々な決断もしたし、決断しきれなかったこともあったし、別れもあれば出会いも例年以上に多かった。 なんだか、意味のある喜怒哀楽、とめいいっぱいに抱き合い続けた2020年だったな。 「French Toast」は、そんな中で当然のように触れ合うことになった苦しみや虚しさを“なるべく麗しい自分で清々しく乗り越えていきたい”と考えていたあの時の自分に向けて、あの時の自分のような全ての人に向けて書いた曲(本当をいうと動機はもっと複雑に絡み合っているけれど)。 異常なくらい自分を大事にしてみることが、 何かを笑い飛ばすきっかけになったりするし いざという時にそれが頭によぎるだけで 全然違ったりするのかもなって。 きっかけは多いに越した事ないんじゃないかなって思いながら書いていたよ。 どう?とってもクールなダークメルヘンでしょう…? 私はすごく気に入っている。ぜひあなたにも日常のBGMとして、心地よく面白がって聴いてみて欲しいな。 言葉は、必要になった時に必要な分だけ受け取ってね。 それではまた、第二弾で! (そういえばNyaronsのchikaさんとも今日と似たような話をしたな。スカイツリーの見えるカフェで、丁寧っぽいドリンクを飲みながら。) <ましのみ> ◆紹介曲「 French Toast 」 作詞:ましのみ 作曲:ましのみ

    2020/11/17

  • 武藤彩未
    離れていても気持ちは繋がっていて、みんながいるから私も頑張れる。
    離れていても気持ちは繋がっていて、みんながいるから私も頑張れる。

    武藤彩未

    離れていても気持ちは繋がっていて、みんながいるから私も頑張れる。

     2020年11月25日に“武藤彩未”が最新ミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』をリリース。80年代の楽曲を小さい時から聞いてきた彼女だからこそ、どこか懐かしさを感じるレトロポップな楽曲がつまった1作に。今作も本人が作詞に携わり、女の子のリアルな気持ちが描いております…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“武藤彩未”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は 【前編】 に続く【後編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「センチメンタルスカイ」に込めた想いです。あなたにとっての大切な存在、どんなときでも支えになる存在、そんな誰かを思い浮かべながら、このエッセイを読み、楽曲を受け取ってください。 ~歌詞エッセイ:「センチメンタルスカイ」~ 今回皆さんに紹介させてもらう曲は、「センチメンタルスカイ」という楽曲です。 11月25日(水)に発売のミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』に収録されている曲で、発売前なので皆さんはまだ聴いたことがない曲。それをあえて今回紹介させてもらうのは、この曲にすごく大切な想いが込められているからです。 この曲は今だからこそ伝えたい、私にとって大切な仲間たちに向けてのメッセージを込めて作詞しました。 私は以前、さくら学院というグループで活動していました。さくら学院のおかげで私は歌の楽しさを覚えて、卒業した今でもこうして歌を歌っています。そんなさくら学院は10周年を迎えて、来年の8月に閉校することに。私が卒業したあともこんなにもバトンを繋げ続けてくれた後輩がいること、感謝の気持ちでいっぱいです。私は初代卒業生だったので、一緒に活動してないメンバーの子たちも沢山いますが、36人みんなで同じ思いを持ってさくら学院を築き上げてきた仲間だと思っています。 今、私がステージに立つ時は一人ですが、それでもどこかいつも仲間たちの存在が私を支えてくれています。離れていても気持ちは繋がっていて、みんながいるから私も頑張れる。そんなかけがえのない仲間たちに、今回歌を通して気持ちを伝えたいと思って書きました。 今日はなんか ちょっとだけ センチな気分で そんな時は 君の声 ふっと思い出すよ あの日 交わした約束 夢の話 今は 大人になったけど 忘れたくない 忘れちゃいけない 確かめてみたい 明日の空が映す世界 指切りしたから 立ち止まらない 諦めない まだ君に見せてない 未来があるから それぞれの道で、それぞれの形で幸せを見つけてほしい、叶えてほしい。そして私の決意、これからもみんなにいろんな景色を見せられる人でありたいなという思いもこの曲に込めています。 レコーディングもこの歌詞がちゃんと伝わるように、いろんなニュアンスで試しながら歌を録りました。曲自体も私の曲には今までになかったテイストで、新たな私を感じてもらえるかと思います。 コラムを読んで、この曲を聴いてもらえたらよりストーリーが想像しやすいと思います。そして、こういう思いや経験が誰しもにもあるのではないかと思います。そんな自分の中にある思いをのせて聴いていただけたら嬉しいです。 ライブでこの曲を披露できることを楽しみにしています。 <武藤彩未> ◆ミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』 2020年11月25日発売 タワーレコード限定盤 TRNW-0168 ¥3,300(税抜) 通常盤 TRNW-0169 ¥2,500(税抜) <収録曲> 1.Flower 2.ベティ 3.oshan 4.ミルクコーヒー 5.センチメンタルスカイ 6.マーマレード

    2020/11/16

  • マルシィ
    何もかもを忘れて、夢の中に溺れることができたらどんなに楽だろうか
    何もかもを忘れて、夢の中に溺れることができたらどんなに楽だろうか

    マルシィ

    何もかもを忘れて、夢の中に溺れることができたらどんなに楽だろうか

     2020年11月9日に“マルシィ”が新曲「雫」を配信リリース!彼らは昨年1月に結成の福岡発4人組バンド。その楽曲の特徴は、恋の切なさ、歯がゆさ、苦しさが混じり合う“失恋系ラブソング”です。そして、今作もまたマルシィらしさ全開の1曲。SNS、サブスクで話題の「Drama」や「絵空」を超える恋の葛藤ソングを是非、ご堪能ください…!    さて、今日のうたコラムではそんな“マルシィ”の作詞作曲を手掛ける、メンバーのうきょう(Vo.)による歌詞エッセイをお届けいたします!彼が音楽を始めることになったきっかけ。小さい頃のこと。今、抱くこの先への意志。そして新曲「 雫 」をリリースするにあたっての想い。様々な気持ちを綴っていただきました。 ~歌詞エッセイ:「 雫 」~ 会いたいよ 全て忘れて 夢の中で溺れていたかった 何もかもを忘れて、夢の中に溺れることができたらどんなに楽だろうか。今、僕はありのままの現実と向き合えているだろうか。 初めてのエッセイ。こんにちは、うきょうです。マルシィのボーカル、作詞作曲を担当しています。どうぞ、お手柔らかに。 高校の友達に要らなくなったからと、ギターをもらった。それは部屋の隅で長い間埃をかぶっていた。ある日、別の友達に貸したのだが1ヶ月足らずで曲を弾けるようになっていて何故か悔しかった。それと丁度その頃、初めて観た弾き語りのライブに色んな意味で胸を打たれたことが引き金となって、すぐさまギターを返してもらってから、指が痛くなって弾けなくなるまで弾いていた。その後、自然と曲を作るようになっていて、今では毎日言葉と、一行の歌詞と睨めっこする日々を送っている。 小さい頃から歌うことが好きでよくお風呂に浸かりながら歌っていた。余程大きな声で歌っていたのだろうか、、、近所の同級生からは、いつも歌が聞こえてくるけど、下手だとよく笑われていた。でも漠然と歌手になりたいとその頃から思っていた。 今でこそ少しマシにはなったと思うが、歌うことも、作詞と作曲も、そして人間としても成長していきたいと思う。今も音楽をしていて、エッセイというものを書いていることもそうだが、人生は本当に分からないなあとつくづく思う。5年後何をしているだろうか。これからも曲を書き続けていたいし、音楽を続けていきたい、沢山聴いてもらえているととても嬉しい。そのためにも、一日一日をもがいていこうと思う。諸々あるけど抗っていこうと思う。 最後に、今回の「雫」でマルシィが世に送り出した曲は3曲目になる。この曲の世界観に存分に浸って、自由に解釈して欲しい。そして、これからより多くの曲を出していきたい。 楽曲を通して、誰かの日常の一部になって、人の弱い側面に少しでも寄り添えたらいいなあ、と思っている。そして日常という波を泳いでいく中で、湧き出る想いや感じること、自分の中を渦巻く何かを表現していきたい。 <うきょう> ◆紹介曲「 雫 」 作詞:うきょう 作曲:うきょう ◆MV: https://youtu.be/h2D8jCewijo ◆Streaming&DL: https://marcy.lnk.to/Shizuku

    2020/11/13

  • 熊木杏里
    私はZOOMをおそらく20分で切り上げ、翌日早々に、この曲を作った。
    私はZOOMをおそらく20分で切り上げ、翌日早々に、この曲を作った。

    熊木杏里

    私はZOOMをおそらく20分で切り上げ、翌日早々に、この曲を作った。

     2020年11月11日に“熊木杏里”がニューアルバム『なにが心にあればいい?』をリリースしました。思うように外にも出られず、不安や焦燥を感じてしまう世の中になってしまった今だからこそ、レコーディングというものにライブを込め、アルバムとして届けよう。そんな想いが強く形となって出来た今作。珠玉の11曲をじっくりとご堪能あれ…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“熊木杏里”による歌詞エッセイを3週連続でお届けいたします。今回は 第1弾 に続く第2弾。綴っていただいたのは、新曲「 青葉吹く 」に通ずるお話。皆さんには、時を経たからこそわかる“失ったかもしれない気持ち”と“手にした気持ち”はありますか…? あの頃の自分と今の自分を思い浮かべながら、このエッセイと歌詞を受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾~ 心が振り出しに戻ったようだった。スタジオで、みんなの演奏を聴きながら歌った時、嬉しくて涙がこみ上げた。(秘密) デビューの頃、初めて自分の曲が盛大にアレンジされ、プロのミュージシャン達がスタジオでそれを奏でるのを聴いた時、20歳の私は泣いたのだ。その時のことは今でも覚えている。感覚はそれに似たもので、何だか自分でも驚くほどに、そうか。。私は音楽が好きなのだなと感じた。(秘密、、) 高校時代の苦い日々が、私に音楽への道を照らしてくれたのだが、暫くは、それを引きずって生きていたように思う。デビューしてからも周りの人達との付き合いが上手く行かない日々だ。言葉が萎縮したり、この人に言っても仕方あるまい、と心の中の自分だけが友達のように過ごしていた。 曲作りは、そのせいもあって、悲しいほどに捗った。歌詞にしてゆくことで報われる気がした。ひとり暮らしの日々は、親や友達にも中々会うこともなく、そうして遮断された人間関係と孤独に勤しむ曲作りで、ある意味充実していた。 今年、自粛が言い渡されてから、一度だけ、高校の友人たちに誘われてZOOM飲み会に参加した。それまでも、時々会ったりはしていたが、いつもほんのり躊躇する自分がいた。だけどこの日は驚くほどに、和やかな自分がいた。画面の向こう側には、子供たちが映り込み、すっかり家族の風景になった友人達がいた。あぁもうあの頃の荒んだ気持ちはどこにも吹いていない。みんないい顔しているなぁと心が暖かくなった。 同時に、失ったかもしれない気持ちと、手にした気持ちがあるだろうと、そう感じた。私は、私たちはあの頃、どんな言葉を話していたか。なにに傷つき、痛んでいたか。その時の声は、もう聞こえない。 けれど、今だから聞こえる声が確かにある。それを簡単な言葉に置き換えるのは好きじゃない。だってそれなりに、時間がかかって辿りついてきたのだから。 私はZOOMをおそらく20分で切り上げ、翌日早々に、この曲を作った。 「 青葉吹く 」 <熊木杏里> ◆紹介曲「 青葉吹く 」 作詞:熊木杏里 作曲:熊木杏里 ◆『なにが心にあればいい?』 2020年11月11日発売 初回限定盤 YCCW-10376/B \4,800+ 税 通常盤 YCCW-10377 \2,727+ 税 <収録曲> 1. life 2. 幸せの塗り方 3. ことあるごとに 4. 星天の約束 5. 光のループ 6. 一輪 7. 見ていたいよ 8. ノスタルジア 9. 青葉吹く 10. 雪~二人の道~ 11. 秤

    2020/11/12

  • 瀧川ありさ
    わたしが作詞をする理由。
    わたしが作詞をする理由。

    瀧川ありさ

    わたしが作詞をする理由。

     2020年11月18日に“瀧川ありさ”が2nd mini Album『prism.』をリリース!2015年にメジャーデビューを果たし、『七つの大罪』『終物語』『ドメスティックな彼女』など数々のアニメテーマソングを自身の力で生み出し続け、今年5周年の節目を迎えた彼女。今作には、コロナ渦の中、本人が作詞作曲を手掛けた未発表曲が5曲収録されております!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“瀧川ありさ”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回はその【前編】となります。タイトルは『わたしが作詞をする理由』です。彼女が自ら歌詞を書くようになった理由とは? そして、音楽を活動のなかで見つけた、ひとつの“わたしが作詞をする理由”とは? 是非、最新作と併せて、エッセイをご堪能ください…! ~歌詞エッセイ【前編】~ 小さい頃から気付けば鼻歌を歌っていました。とにかく音楽が好きだったので、その頃はきっと歌詞はメロディーの飾りくらいにしか捉えていなかったと思います。 少し大きくなって、小学生高学年くらい。カラオケに行ったりして、歌詞をちゃんとなぞって歌うようになると、なぜかむず痒さを感じるようになりました。例えると人様の作文を勝手に我が物顔で音読している感じというか、歌っていても以前のように素直に楽しめなくなっていました。恐らく歌詞の意味も大体わかるようになって、その歌詞の重みが途端にプレッシャーになるようになったからです。 そこで歌手の方々の凄さにも気付き、作詞家さんの歌詞をしっかり自分のものにして歌っているということに感銘を受けるようになりました。 それと同時に、言葉を紡ぐことも好きになって、原稿用紙があるとその決まった文字数の中でぴったりに話をまとめる事にとても快感を覚えるように。ただ、別に何か言いたい事があるわけではありません。そこに空白があると、埋めたくなるだけです。 そうして、気付けば中学生でバンドを組んでいました。初めはコピーを何曲かやりましたが、案の定“何かに縛られている感”があり、すぐ自作曲をやるようになりました。するとびっくり、幼い頃の心から音楽を楽しんでいた気持ちが戻ってきました。更にまた、音に対して自分の言葉を当てていく事がとても面白かったのです。 不思議なことに、作詞を始めると、カラオケに行ってもあまりむず痒くならなくなりました。今度はそれが勉強になったからです。「ここで韻を踏んでいるんだ」「この人は自分で作詞しているから、自分の歌がおいしくなる母音がわかっているんだ」とか、急に分析目線になって楽になりました。 そこから作詞を続けていくと、人それぞれ音楽をどこ中心に聴いているかが違う事を知ります。日本人は歌詞に重きを置いている方が多い印象で、さらに共感性が重要であり、「これは私の歌だ」と思ってもらえる事が大事だったりします。海外だと自分の主張を歌詞にしている方が多いですよね。 これまでもいつも話してきたのですが、“シンガーソングライター”という肩書きはどうしてもその人のノンフィクションが歌詞になっていると思われがちです。もちろんその場合も曲によってはあると思いますが、わたしは物語を作るのが好きで、自分じゃない人生を空想しながら歌詞を書くタイプです。役者さんが役を通じて自己表現するのと近いでしょうか。フィクションの中に本質を見出すことが一つのエンターテイメントだと思っています。 わたしが作詞をする理由、なんて大それたようなタイトルですが、言葉に対するイメージというのもそれぞれ違い、生きている環境も別々の中で、やはり自分の歌詞が誰かのこころの光になった時が一番の喜びであり、わたしが作詞をする理由です。 <瀧川ありさ> ◆2nd mini Album『prism.』 2020年11月18日発売 通常盤 SECL-2634 \1,500+税 初回生産限定盤 SECL-2632~2633 ¥5,000+税

    2020/11/11

  • yonawo
    あの体験が「私」について考えるきっかけになったのだと思います。
    あの体験が「私」について考えるきっかけになったのだと思います。

    yonawo

    あの体験が「私」について考えるきっかけになったのだと思います。

     福岡発・新世代ネオ・ソウル・バンド“yonawo(ヨナヲ)”が、2020年11月11日にファーストフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』をリリース。今作についてメンバーは「yonawoとして初めてのフルアルバムは、作品全体の雰囲気や曲順に対するアレンジなど、新たな挑戦が詰まった作品になっているので、一つ一つの曲としてもアルバムとしても楽しめる作品になっていると思います。ぜひ聴いてください」とコメントしております…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“yonawo”の荒谷翔大による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作『明日は当然来ないでしょ』の主題である「私」についてです。このテーマを考えるきっかけとなった記憶とは…? まずは、最近の彼がハマっている、あるモノのお話から、ご堪能ください! ~歌詞エッセイ~ 初めまして、yonawoのボーカル、荒谷翔大です。 最近僕は、yonawoのベース、さとしが教えてくれた、元祖ラーメン長浜屋(以下「元祖」という)に惚れ込んでいます。 昨夜もyonawoのドラム、のもりんと夜中のベタ生(是非お店に行った際は頼んでみてくださいね)を喰らいに行ったのですが、元祖に向かう途中、のもりんが「元祖って大衆浴場みたいじゃない?」と言ってきました。 そしてその夜、僕は元祖ラーメン長浜屋で見たのです。 お店に足を運んだ御客さんが、湯に溺れるときのように無防備で、一心不乱に麺を啜り、束の間のワンネスを分かち合うところを。 はい!茶番はこのくらいにして、本題に入ります! 僕の記憶が正しければ、まとまった文章を書くのは高校時代に小論文を書いた以来なので、少し戸惑いながらキーボードをポチポチしています。 今回は僕たちのファーストフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』の主題について書きたいと思います。 この作品を製作するにあたって、最初から具体的なイメージを話し合った訳ではないのですが、メンバー4人で一つ一つ楽曲を作り上げていく中で、なんとなく僕が抱いているぼんやりとしたイメージを、製作を通して、メンバーみんなと共有できたかなと思っています。 その主題というのが「私」です。 五十音順をやっと覚えたぐらいの僕は「私」というのが、如何にあやふやで危うい存在かという考えに取り憑かれ、眠れないことがありました。 家族で川の字になり眠ろうと目を瞑るのですが、自分以外の世界中の人々は全て、ロボットのようにプログラミングされた作り物なのではないかと思うぐらい、他者が遠く冷たく分かり合えない存在だと思い込み、子どもながらに一生懸命、途方に暮れたのを覚えています。 今ではそんな風に悲観的に捉えてはいないのですが、きっとあの体験が「私」について考えるきっかけになったのだと思います。 そんな今現在の僕が「私」について考えたときに抱く想いは昔とは全く異なり、希望に溢れているのです!!! 「私」の坩堝の中で、生と死、此処と其処、そして僕とあなたも、いつかまた溶けて一つになる。 「明日は当然来ないでしょ」は、そんな想いが詰まった作品なのです! <yonawo・荒谷翔大> ◆1st Full Album『明日は当然来ないでしょ』 2020年11月11日発売 初回限定盤 WPZL-31783~4 ¥3,600+tax 通常盤 WPCL-13245 ¥2,800+tax  <収録曲> 01. 独白 02. 逢えない季節 03. トキメキ 04. rendez-vous 05. good job 06. cart pool 07. 蒲公英 08. 202 09. 天神 10. ムタ 11. 麗らか 12. close to me 13. 生き別れ 14. 告白

    2020/11/10

  • 武藤彩未
    主人公のそんな願いが叶うと信じながらこの曲を書きました。
    主人公のそんな願いが叶うと信じながらこの曲を書きました。

    武藤彩未

    主人公のそんな願いが叶うと信じながらこの曲を書きました。

     2020年11月25日に“武藤彩未”が最新ミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』をリリース。80年代の楽曲を小さい時から聞いてきた彼女だからこそ、どこか懐かしさを感じるレトロポップな楽曲がつまった1作に。今作も本人が作詞に携わり、女の子のリアルな気持ちが描いております…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“武藤彩未”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲であり、歌詞先行公開もスタートしている新曲「 ベティ 」のお話。今、恋をしているあなた。理想の女性像を思い描きながら、自分なりの“魔法”を楽しんでいるあなた。是非、この歌詞とエッセイをご堪能ください! ~歌詞エッセイ:「 ベティ 」~ 前作のミニアルバム『MIRRORS』から作詞を始めました。 私は小さい頃から両親の影響で、松田聖子さんの大ファンでした。聖子さんの名曲の歌詞をたくさん書かれている作詞家の松本隆先生。あんなに情景の浮かぶ歌詞を書く人は、今の時代なかなかいないです。もちろん私もそこに憧れ、そんな歌詞を書きたいなぁと思ってやっているのですが、いざ自分が書くとなると到底そんなお洒落な言葉選びなんてできず、自分の言葉の引き出しの少なさに怒りすら覚えました。改めて松本隆先生の凄さに驚かされてばかりなのです。 私の作詞スタイルとしては、自分の体験談を語るより、友達から聞いた話やドラマや映画で見た話を想像で膨らませて歌詞を書くことが多いです。歌詞を書く場所は、電車の中が一番好きで、よく電車に乗って考えています。 さて、今回お話しさせてもらう「ベティ」という楽曲は、そんな今までのスタイルとは違って、想像ではなく結構自分の体験談に近くなっています。私も昔はこんな感じだったなぁと思いながら作詞を進めていました。 女の子になること、はにかんでたあの頃 リュックにスニーカーで一番早く走った でも本当は私もスカートがよく似合う あの娘に憧れてた無い物ねだりだよね 1番のAメロの歌詞なのですが、これはまさに私が小さい頃感じたこと。女性の方は共感してくれる方もいるかなと。 小さい頃はボーイッシュなタイプで、スカートなんて履く女の子ではなかったので。それが自分のスタイルだったとしても、やっぱり自分にないものを持ってる子に憧れちゃった経験ってありませんか? しかもやっぱりスカートを履いている女の子がモテるんですよね(笑)。母親に「あんな洋服が着たい」と頼もうと思ったことが何度あったことか…。それすら恥ずかしくて言えなかったですが…。 そんな女の子がどんどん女性へと変化していきます。その理想の像として「ベティ」という言葉を使いました。なぜ「ベティ」なのかというと、この曲はまずメロディから先にできていました。曲先ですね。作曲は御供信弘さんです。御供さんがこの曲を私にバトンタッチしてくれた時には、仮タイトルで「ベティ」とついていたのです。ベティってなんだろう? と思い調べたら、英語で書いて「Betty」=「魅力的な女性」という意味でした。それが私の中のヒントになって、自分が思い描いていた憧れの女性像、魅力的な女性へと変化していく女の子の話を書こうと…。 この曲の主人公の女の子は、初めてお化粧をすることや香水をつけることをして、その楽しさを覚えていきます。そんなところも、最近やっと自分で化粧品を買って集めるようになった私と同じだったり。 やがて主人公は恋に憧れます。今まで恋とは無縁の男の子のような女の子だったので。素敵な人、そう、白馬の王子様を待っているのです。「白馬の王子様」をあえて使用することで、ピュアな女の子を一言で伝えたかったのです。 そしてお化粧や着飾ることを「仮面」と例え、仮面が取れてしまっても、あなたは好きでいてくれる? といった気持ちを込めつつ「あなたは…」以降の歌詞はあえていれていません。「あなたは…」の後は皆さんの想像でいろんな世界を創っていっていただければと思います。可愛くなるメイクや洋服、そんな「魔法」を覚えるけど自分らしくいたい。そんな私も愛してくれる人と出会えますように。ずっとずっと待っている。 やっぱり女性は愛された方がいいですよね。ありのままの自分でも好きって言ってくれる人を見つけたい。主人公のそんな願いが叶うと信じながらこの曲を書きました。 <武藤彩未> ◆紹介曲「 ベティ 」 作詞:武藤彩未・御供信弘 作曲:御供信弘 ◆ミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』 2020年11月25日発売 タワーレコード限定盤 TRNW-0168 ¥3,300(税抜) 通常盤 TRNW-0169 ¥2,500(税抜) <収録曲> 1.Flower 2.ベティ 3.oshan 4.ミルクコーヒー 5.センチメンタルスカイ 6.マーマレード

    2020/11/09

  • 熊木杏里
    ことあるごとに、乗り越えて行くには「心」を大事にすることだ。
    ことあるごとに、乗り越えて行くには「心」を大事にすることだ。

    熊木杏里

    ことあるごとに、乗り越えて行くには「心」を大事にすることだ。

     2020年11月11日に“熊木杏里”がニューアルバム『なにが心にあればいい?』をリリース。思うように外にも出られず、不安や焦燥を感じてしまう世の中になってしまった今だからこそ、レコーディングというものにライブを込め、アルバムとして届けよう。そんな想いが強く形となって出来た今作。珠玉の11曲をじっくりとご堪能ください。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“熊木杏里”による歌詞エッセイを3週連続でお届けいたします。今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の制作に至るまでの心情と、コロナ禍で日毎変わってゆく情勢とともに進めた曲作りに対する想いです。今も不安や悲しみのなかにいるあなたへ、このエッセイと今作の歌詞が届きますように…! ~歌詞エッセイ第1弾~ アルバムを作りたかった。 それは心の自動的な欲求のような気もする。 初夏にアコースティックツアーをしようと決めていた。私がピアノを弾き、ベース、ギターと2、3人編成の形で各地行けるように。昨今、東京を軸に活動していると思われているかもしれないが本意ではない。幾らだって全国へ行き歌いたい。秋にリリースをして、年内に発売ライブもしようと。アルバムを作る事で、歌いに行ける。それが今年初めの頃の目論見だった。 3月あたりに、世間と世界に「コロナウィルス」と言うワードと事態が散らばり始めた。他人事にしていたが次第に音楽業界全体にも散らばり、ライブは厳しそうだとなった。 4月には、音楽は世界の果てに置き去りにし、生きるために生きようと「自粛」が始まった。何の心の準備もないまま、今まで会えていた人達に会えなくなり、遮られた行き場のないエネルギーは、鬱々と穴蔵に溜まっていくようだった。 けれど私は切り替えが早い。それは自分でも気に入っているポイントで、どんな事があろうとストンと今を受け入れてしまえば、新たな道も見えるのだと思っている。 予定通り曲を作ろう。日毎変わってゆく情勢と共に。そうして、机に向かう時間が増えた。私よりも悲しんでいる人がいたら、声をかけてあげたかった。私よりも不安な人がいたら、話を聞いて大丈夫だと言ってあげたいと思った。不思議なことに自分への不安はなかった。この先どうなるかは、今綴りゆく歌たちが教えてくれるだろうと思った。ことあるごとに、乗り越えて行くには「心」を大事にすることだ。例え、世の中が不穏だとしても、自分で自分を穏やかにできる術を知っておけたらいい。 私の心は曲を作ることでも穏やかでいられた。それをヤマハのディレクターやアレンジを務めてくれている森田くんにメールで届けて、少しずつ形にしてゆく。道は生きていた。 ライブの光景には、ファンのみんなの顔や拍手や声援がある。それが思い出された。この関係が途絶えないように願いと希望を込めた。みんなが心を傷めた時間を、みんなで取り戻すのだ。ことあるごとに私たちは強くなりながら。 そうしてアルバム制作は、 水面下から徐々に進んで行った。 <熊木杏里> ◆『なにが心にあればいい?』 2020年11月11日発売 初回限定盤 YCCW-10376/B \4,800+ 税 通常盤 YCCW-10377 \2,727+ 税 <収録曲> 1. life 2. 幸せの塗り方 3. ことあるごとに 4. 星天の約束 5. 光のループ 6. 一輪 7. 見ていたいよ 8. ノスタルジア 9. 青葉吹く 10. 雪~二人の道~ 11. 秤

    2020/11/06

  • 坂口有望
    漠然とした怒りを漠然としたまま終わらせないでよかった。
    漠然とした怒りを漠然としたまま終わらせないでよかった。

    坂口有望

    漠然とした怒りを漠然としたまま終わらせないでよかった。

     2020年11月4日に“坂口有望”がニューシングル『セントラル』をリリース!タイトル曲は、TVアニメ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』ED曲として書き下ろされた1曲です。儚さと力強さを併せ持った歌声で彩られ、柿澤秀吉(秀吉)による疾走感溢れるアレンジも魅力のシリアスロックチューン。また、コロナ禍をテーマにしたEDMナンバー「2020」、寒くなる季節にぴったりのセンチメンタルなバラード「クリスマスエレジー」、2曲のカップリングにも注目…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“坂口有望”による歌詞エッセイを、3ヶ月連続でお届けいたします!今回は 第1弾 に続く第2弾!綴っていただいたのは、今作の収録曲「 2020 」のお話です。2020年、世界中を変えてしまったウィルス。わたしたちの心に広がっていった怒りや不安、無力な想い。彼女がコロナ禍で抱いた本音を明かしてくださいました。是非、歌詞と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 2020 」~ さて、エッセイ第二弾。前回のエッセイ「セントラル」が好評でとても嬉しい。媒体は違えど、わたしの作品であり、わたしの一部だから。 物心つく頃には、誰にも見せない秘密のポエムノートがあった。そこには、汚い字で「今日のそらは今日しかみれない」と短い詩がいくつも書き留めてあった。わたしは人より「思いを言葉にする」という作業に時間がかかる性分で、その場で言えなかったことは、後でじっくりノートに書いた。わたしが言葉にこだわるようになったのは、その習慣からかもしれない。時間をかけて、複雑な感情を文字におこしていく。 「2020」という楽曲も、その工程の連続だった。3月から予定していた全国ツアーが中止になり、ライブが生きがいであるわたしは余命宣告されたような気分だった。得体の知れないものに対する爆発的な怒り。それがこの曲のテーマであり、その怒りとはどういうことか?と自分の気持ちを紐解いていく中で、すらすらと筆が進んだ。 2020年、東京オリンピックに日本中が歓喜と賑わいに溢れるはずだった。権力がある人も、海を越えた先でも、みんな、生活の不自由を余儀なくされた。特に、エンターテインメント業界は公演の実施に関して、あくまで政府からは強制ではなく自粛要請、中止の道を自ら選択するしかなかった。そうして、自粛生活がはじまり約1ヶ月がたった頃、一人暮らしの小さな部屋で、ぶつける場所のない鬱憤はとうとうキャパオーバーしかけていた。「今日は本当ならあのライブハウスで歌ってたんやなぁ」「リハーサルで試したこのフレーズがすごく良かったんやけどなぁ」沢山のことを考えたけれど、わたしがなにか行動しても変わる状況ではないと気づいていた。 ずっと感傷に浸るわけにはいかない。家でできることをすればいいという発想に何とか辿り着いた。そして、わたしのツアーを楽しみにしていた人のためにもSNSで歌を届けるようにした。色んなミュージシャンに声をかけて、リモートでコラボしたり。それと同時期に、ミュージシャンとして、今の気持ちを歌にしようと思った。異常な年、2020。読み方を「ニーゼロニーゼロ」にしたのは、東京オリンピックで定着した、希望に満ちたはずの「トーキョー!ニーゼロニーゼロ!」を皮肉る形にしたかったからだ。サビのメロディーは歌詞と一緒に降りてきたもので、「怒り」が音になって消化されたような気がした。いつかこの曲をライブでお客さんと一緒に歌える日が来たら、少しはコロナが嫌いにならないかもしれないとさえ思った。 そして完成したこの曲は、11月4日のCD発売から先行で7月に配信が始まった。それは、自粛中の人々にいち早く届けなければと、わたしの曲に込めたメッセージを汲み取ってくれたスタッフチームと出した答えだった。ついに、地元大阪での有観客ライブを11月6日・7日に控えた今、この曲は既に懐かしい感情になっている。漠然とした怒りを漠然としたまま終わらせないでよかった。 この曲は歴史の教科書の1ページのように、わたしの2020年を表現した作品として残る。ちゃんと「言葉にする」ことをこれからも続けていきたい。 <坂口有望> ◆紹介曲「 2020 」 作詞:坂口有望 作曲:坂口有望 ◆ニューシングル『セントラル』 2020年11月4日発売 初回生産限定盤 ESCL-5448~49 ¥2,000(tax in) 通常盤 ESCL-5450 ¥1,300(tax in) 期間生産限定盤 ESCL-5451~52 ¥2,000(tax in) <収録曲> 1.セントラル 2.2020 3.クリスマスエレジー 4.セントラル -TV Size-(期間生産限定盤のみ収録)

    2020/11/04

  • eill
    愛や恋、そんなものより今の私がなによりも愛おしく感じた。
    愛や恋、そんなものより今の私がなによりも愛おしく感じた。

    eill

    愛や恋、そんなものより今の私がなによりも愛おしく感じた。

     2020年11月4日に“eill(エイル)”がミニアルバム『LOVE/LIKE/HATE』をリリース!昨年、1stフルアルバム『SPOTLIGHT』をリリースし、注目を浴びた彼女。今年の前半は、韓国の人気女性グループEXIDやNEWSへの楽曲提供、m-flo、さなりとのコラボなど自身のリリース以外で話題を届けました。新たなチャレンジで進化を遂げた、今、注目のシンガーソングライターの最新作。じっくりとご堪能ください…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“eill”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回は 【前編】 に続く【後編】です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 FAKE LOVE/ 」にまつわるお話。赤い糸が“プツン”と切れてしまい、誰のために綺麗になるのか、何のために生きるのか、わからなくなってしまっているあなたへ、この歌詞とエッセイが届きますように。 ~歌詞エッセイ【後編】:「 FAKE LOVE/ 」~ “プツン” 赤い糸が切れかけた瞬間 愛や恋、そんなものより 今の私がなによりも 愛おしく感じた。 … 冷たい風を切って 彼の家を飛び出す。 スキップしながら涙を流す。 私はイカれたクイーン。 追いかけてくる 彼の腕を振り払い 睨みつけた二人の過去 “プツン” 二度目の糸が切れた時 私は全てを断ち切った/ … 終わりに乾杯 その夜は、親友3人でホームパーティーをした。 赤いリップにキラキラしたアイシャドー 誰のために、綺麗になるの? 私のため。 この人生は誰のもの? 私のもの。 顎を少し上にあげて 鏡に映るわたしは いつもより少し強く見えた リアルラブ? それは私の中でしか生まれない。 <eill> ◆紹介曲「 FAKE LOVE/ 」 作詞:eill 作曲:eill・Ryo'LEFTY'Miyata ◆ミニアルバム『LOVE/LIKE/HATE』 2020年11月4日発売 DDCB-12368 ¥2,300+Tax <収録曲> 1 踊らせないで 2 片っぽ 3 Into your dream 4 FAKE LOVE/ 5 Night D 6 夢の続き 7 2025 8 SPOTLIGHT - Kan Inoue (WONK) Remix - 9 with U

    2020/11/04

  • チャラン・ポ・ランタン
    小春が足りない。
    小春が足りない。

    チャラン・ポ・ランタン

    小春が足りない。

     2020年10月28日に、歌とアコーディオンの姉妹ユニット“チャラン・ポ・ランタン”がニューアルバム『こもりうた』をリリースしました。今作のコンセプトは、自粛期間中に制作した「こもりうた」。全ての収録曲を宅録にてチャラン・ポ・ランタン2人で完成させた作品となっております。是非、その楽曲と歌詞をご堪能ください…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“チャラン・ポ・ランタン”による歌詞エッセイを2週連続でお届け! 【前編】 はももが執筆を担当。そして今回は小春が執筆を担当!綴っていただいたのは、作品作りに対する様々な想いです。2009年に結成、2014年にメジャーデビューを果たし、今に至るまで、常に新しいものを生み出し続けている彼女のこれまでと今とこれからの気持ちとは…。 ~歌詞エッセイ:小春が足りない。~ 髪の毛千切ってフッてやって わいわいわいと小春が沢山できたら それもそれで恐ろしい世界だろうけど 1日くらい体験してみたい。 1人で作業するには多すぎるような気もしている。 こうした作業ができる人間がもう1人居たら どれくらいの作品とイベントを作ったり できるだろうとか思ったりしている。 時間は無いようで有って、だからといって 寝ないでやったら似たようなものができたり ミスっている。 体力が欲しいとかとはなんだか違う。 脳内キャパの話なんだろうか。 おそらく人に何かを任せるのが苦手なんだろうから そんなような発想にたどり着くのだろうけども 多分他人に期待しすぎているんだよ、と 言われたことがある。間違いない。 私が行っていることってずっと 自分の頭の中にあるものを 具現化するという作業を淡々とこなしているだけ。 この頭にあるものをもっと早く出せたら楽なのに。 とか思うけど割と時間がかかったり 譜面にするのに手こずったりするもんだから 10あるものの中から2くらしいか出ない日もある。 実にもどかしい。もどかしい上に腹も立ってくる。 自分に。 助手みたいなのが居たら良いのかな。 こういう系が得意な人がいいな… LogicとfinaleとIllustratorと FINAL CUTが分かる人… そしたらもっと沢山作れるのに、なんて。 トップに立つ人って多分 人を動かすのが上手い人なんだろう。 私にはそれがなかなかできなかったりで だから世界を大きくできないのではないかとか ぼんやり思う。 あとどれくらい何かを作ることができるんだろう。 あとどれくらいの人に作品を 聴いて観てもらえるんだろう。 頭の中を印刷したい。 プランが自分でも読めてこない。 別に路頭に迷っているわけではない。 作品を作るという気持ちが芽生えてから 今日までずっと、似たようなことを考えている。 本当はもっと頑張れる。 沢山やりたいこともある。 いつのまにか人生が過ぎていきそうで怖い。 満たされないままずっと時が流れている。 でもこれが正解なんだろうと思う。 ずっと不満のまま、次はこれが作りたいんだ これが本当はやりたかったんだ、と 新しいものを作るの繰り返しが 生きるということなのかもしれない。 未練の塊である。 髪の毛千切ってフッ はらはらはら <チャラン・ポ・ランタン 小春> ◆ニューアルバム『こもりうた』 2020年10月28日発売 AL+DVD AVCD-96587 ¥3,700+税 AL+Blu-ray Disc AVCD-96588 ¥5,000+税 AL AVCD-96589 ¥2,500+税 <収録曲> 1. 空が晴れたら   2. 進捗インジケータ  3. 透明の恋  4. ゆううつなデイ  5. おとなの螺旋階段のマーチ 6. ハッピーマイサマーダーリン  7. 新宿で映画を観る 8. あの丘の向こう 9. ルージュの伝言 (bonus track)  10. Bonetrousle (bonus track)

    2020/11/02

  • WEAVER
    CARRY ON ~それでも、僕らが生きる世界は美しい~
    CARRY ON ~それでも、僕らが生きる世界は美しい~

    WEAVER

    CARRY ON ~それでも、僕らが生きる世界は美しい~

     2020年10月21日に“WEAVER”が新曲「CARRY ON」をリリースしました。9月20日に大阪城音楽堂にて開催された『KANSAI LOVERS 2020』に出演した彼ら。そのステージ上でメンバーの口からリリースを発表。デビュー日である10月21日に配信リリースし、11年目を迎えるWEAVERとして歩み続ける決意を楽曲に込めております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“WEAVER”の河邉徹(Dr.)による歌詞エッセイをお届けいたします!自身で作詞を手掛け、ジャケットの写真も撮影した彼。バンド10周年となる大切な年、誰もが想像もしなかった状況となった世界、そんな今だからこそどんなことを伝えたかったのか。その想いを綴っていただきました。是非、歌詞と併せて受け取ってください…! ~歌詞エッセイ:「 CARRY ON 」~ 新曲「CARRY ON」のジャケット写真を撮るために、車で移動していた。作詞をした僕が、自分でジャケットの写真を撮ることになった。頭に浮かべていた構図のイメージは、続いていく道の手前に三輪車が置いてあるものだった。CARRY ON━━続けていく。その意思を表現するために。 今年は、WEAVERが10周年を迎えた年だった。一歩一歩踏み締め、なんとか続けてきた10年。メジャーの世界でバンドを続けるのは、大変とか、そんな一言で片付けられるものではない。すり減らし、それでも希望を抱いてやってきた。いつか、願った未来にたどり着けると信じて。 今年はきっと大切な年になる。そう思いながら迎えた春の日、街は静かだった。急速に世界は変容し、予定していたライブは全てなくなった。どうしようもないざわめきが、心の中で鳴り響く日々だった。 現実的な問題もある。暮らしのこともある。大きな声で嘆けばよかったかもしれない。助けてくださいと言えばよかったかもしれない。その方が、注目されたかもしれない。だけど、ネガティヴな発信はしたくなかった。バンドが持つ役割を考えてみる。現状が辛い。わかってください。いや、違う。そんなこと伝えるためのものじゃない。 僕らがずっとやってきたバンドは、誰かに希望を与えてきたはずだ。その音楽は、誰かの傍にいて力になってきたはずだ。こんな世界の中で、何を書けばいいのか悩んだ。そして考えて書き落とした言葉が、CARRY ONだった。10年続けてきた僕らだから、今の時代に歌える言葉。 <続きを選ぶ僕らが 未来を紡ぎ出せる> 続ける者だけに、見える景色がある。見せられる景色がある。あなたに渡せる希望がある。そう信じている。 続いていく道の手前に置いた三輪車は、WEAVERの三人が進んでいく姿を現したものだ。僕は構図を決めてシャッターを切った。切り取られた瞬間が、作品となる。今この場所から、また車輪は音を立てて進んでいく。紡ぎ出すメロディと言葉が、あなたの力になれると信じて。 <WEAVER・河邉徹> ◆紹介曲「 CARRY ON 」 作詞:河邉徹 作曲:杉本雄治

    2020/10/30

  • eill
    歌い終わり、涙の原因はすぐにわかった。
    歌い終わり、涙の原因はすぐにわかった。

    eill

    歌い終わり、涙の原因はすぐにわかった。

     2020年11月4日に“eill(エイル)”がミニアルバム『LOVE/LIKE/HATE』をリリース!昨年、1stフルアルバム『SPOTLIGHT』をリリースし、注目を浴びた彼女。今年の前半は、韓国の人気女性グループEXIDやNEWSへの楽曲提供、m-flo、さなりとのコラボなど自身のリリース以外で話題を届けました。新たなチャレンジで進化を遂げた、今、注目のシンガーソングライターの最新作。じっくりとご堪能ください…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“eill”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回はその【前編】です。綴っていただいたのは新曲「 片っぽ 」にまつわるお話。歌詞先行公開中であり、注目度ランキングの最高位2位も記録しているこの曲。誕生には、どのような想いと背景があるのでしょうか…。 ~歌詞エッセイ【前編】:「 片っぽ 」~ 2020.5.31 今日も眠れないまま朝が来る 生暖かい風 眩しい朝日 窓を開けて息を吸った瞬間 突然、大粒の涙が崩れ落ちた。 … 曲がかけない私は、ただの抜け殻で、無意味だ。 大嫌い。 と同時にいつも感じてしまうのは ひとりぼっち。という感情。 私のことを待ってる人なんていない。 信じてくれるひとなんて誰もいない。 きっと本当は、沢山の人が側にいてくれて 私を信じてくれてると思う。 でも、一番大事なのは 自分が自分を信じられてるか、なのだろう。 … もう朝の9時。 頑張って寝ようと、ベッドに入る。 止まれ、止まれ、 全然止まらない。 雨のように泣き続ける自分に 嫌気がさして、手垢がついた鍵盤の前に座ってみる。 「怖い。」 サビ前のコードを鳴らすと 今日も、きっといいサビはできない。 そんな気持ちがよぎって怖くなる。 大きく息を吸った。 「痛くて、甘いのさ 君の抜け殻が いつかの今日を完璧に作り出してる。 ああ、願わくば、気づかなきゃよかった。 片っぽな恋に心が破てる前に。 …ねぇ、、、ねぇ、、、。 … 飾った向日葵、花びらが落ちて落ちて 止まらないの。」 歌い終わり 涙の原因はすぐにわかった。 ずっと目を逸らしてきた、片っぽな恋。 蓋をしてきた、あの夏。 止まらない涙と、止まらないメロディーが 片っぽに鳴り響いた。 <eill> ◆紹介曲「 片っぽ 」 作詞:eill 作曲:eill ◆ミニアルバム『LOVE/LIKE/HATE』 2020年11月4日発売 DDCB-12368 ¥2,300+Tax <収録曲> 01.踊らせないで 02. 片っぽ 03. Into your dream 04. FAKE LOVE 05. Night D 06. 夢の続き 07. 2025 08. SPOTLIGHT - KanInoue (WONK) Remix - 09. with U

    2020/10/29

  • チャラン・ポ・ランタン
    みちみちしているところが、好きだ。部屋の話である。
    みちみちしているところが、好きだ。部屋の話である。

    チャラン・ポ・ランタン

    みちみちしているところが、好きだ。部屋の話である。

     2020年10月28日に、歌とアコーディオンの姉妹ユニット“チャラン・ポ・ランタン”がニューアルバム『こもりうた』をリリースしました。今作のコンセプトは、自粛期間中に制作した「こもりうた」。全ての収録曲を宅録にてチャラン・ポ・ランタン2人で完成させた作品となっております。是非、その楽曲と歌詞をご堪能ください!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“チャラン・ポ・ランタン”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!今回はももが執筆を担当。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ゆううつなデイ 」に通ずるお話です。みなさんにも、自分だけがわかる、自分の好きなもの、好きな感覚ってありませんか…? ~歌詞エッセイ:「 ゆううつなデイ 」~ みちみちしているところが、好きだ。 部屋の話である。 六畳一間のあの部屋が、過去住んだ部屋の中で、一番のわたしのお気に入りだった。服や物に囲まれて、それはもう、みちみちの最上級だったからだ。ごちゃごちゃしていたかった。ガラクタだらけのゴミ屋敷に見えるかな、その部屋でだらだらする時間こそわたしにとって贅沢なものだった。自分の居心地の良さに、息のしやすさに、こんなにも当てはまる空間は他には無かった。 生活もおんなじだ。ちょっとも、すかすかしたくない。みちみちした、忙しない日々が一番に心地良い。その中でだらだらとしていたかった。矛盾のかたまりかな、落ち着きのない生活の中で不意にでるため息ほど、気持ちいいものは無いと思っていた。 そんなふうにこんな感じに好きな物を好きだと分かっていながらも、新しいものを好きになってもみたかったわたしは、みちみちした日々をくぐり抜けながら、お洒落なマンションにも住んでみたことがあった。新しくて広くて綺麗な部屋だった。友達を招くとみんな羨ましがった。こんな部屋に住んでみたいと、みんながそう言ってくれた。実際確かにいい部屋だった。わたしもみんなとおんなじように、そう思っていたんだ。それでも一年も満たないある日、ふとした瞬間に思った。 「たいくつ」 壁も、床も、ドアや、照明に天井まで、なにからなにまで全部、全部綺麗で素敵だった。でもなんだろう。そのひと言しか出てこなくなったのだ。一度、退屈だと思ったその瞬間から、今度は憂鬱が押し寄せてくる。この、心にヒューっとすきま風が吹く感覚が分かるだろうか。退屈ほど、憂鬱なものは無い。どこからなのか分からない、すきま風の止まない心は、確実なる、すっかすか、だった。すかすかした空間で、だらだらとしたところで、それはただ何でもない、何でもないそれでしかない。興味がなかった。 しかし、そんな時に限って、不思議なことにびっくりするほどの運命的な出逢いをしたりもする。築50年のその部屋は初めて入ったその瞬間から鈴の音が鳴った。心がときめくと鈴が鳴るのは小さな頃からずっと変わらない。一瞬で心にみちみちを取り戻したのである。何がどう、とかは言葉にはできない。とにかく自分の中の「好き」がはっきりと分かった出来事だった。 すかすかしているところは、好きではない。 部屋の話である。 <チャラン・ポ・ランタン もも> ◆紹介曲「 ゆううつなデイ 」 作詞:もも 作曲:小春 ◆ニューアルバム『こもりうた』 2020年10月28日発売 AL+DVD AVCD-96587 ¥3,700+税 AL+Blu-ray Disc AVCD-96588 ¥5,000+税 AL AVCD-96589 ¥2,500+税 <収録曲> 1. 空が晴れたら   2. 進捗インジケータ  3. 透明の恋  4. ゆううつなデイ  5. おとなの螺旋階段のマーチ 6. ハッピーマイサマーダーリン  7. 新宿で映画を観る 8. あの丘の向こう 9. ルージュの伝言 (bonus track)  10. Bonetrousle (bonus track)

    2020/10/28

  • 手嶌葵
    ゆっくり休んで下さいねという気持ちで歌いました。
    ゆっくり休んで下さいねという気持ちで歌いました。

    手嶌葵

    ゆっくり休んで下さいねという気持ちで歌いました。

     2020年10月14日に“手嶌葵”がニューシングル「散りてなお」をリリースしました。タイトル曲は、監督・角川春樹と豪華俳優陣が夢のタッグを実現した10月16日公開の映画『みをつくし料理帖』主題歌として書き下ろされた1曲。また、昨年10月から11月にNHKラジオ深夜便『深夜便のうた』としてOAされていた「真夜中のメロディ」も待望の初CD化。  是非、彼女の優しく寄り添う歌声をご堪能ください。さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“手嶌葵”による歌詞エッセイを2週に渡り、お届けいたします!今回は 【前編】 に続く【後編】です。新曲「 真夜中のメロディ 」のお話。どのような気持ちでこの歌を受け取り、どのような想いを込めて歌ったのか。また、同曲の作曲を手掛けた兼松衆さんと作詞を手掛けたいしわたり淳治さん、それぞれの魅力についても綴っていただきました…! ~歌詞エッセイ【後編】:「 真夜中のメロディ 」~ 「真夜中のメロディ」この曲は、NHK『ラジオ深夜便』の為に作って頂いた曲です。作曲は兼松衆さん、作詞はいしわたり淳治さんです。沢山の方々に長く愛されている番組、ラジオ深夜便の素敵さを表現出来るのはお二人だと思い制作をお願いして、「真夜中のメロディ」というノスタルジックで美しい曲を歌う事が出来ました。 第一印象は、新しく歌う歌なのに、どこか懐かしく一緒にハミングしたくなる曲だなと感じ、歌詞を読みながら練習していると、学生の頃の淡い記憶や、ラジカセでツマミを調節する時の心地よいノイズが一緒に聞こえてくる様な気がして、本当にラジオにぴったりな曲だなと思いました。 『ラジオ深夜便』ですから、ラジオを聴きながら眠りに落ちる方々もいらっしゃるかなと、ゆっくり休んで下さいねという気持ちで歌いました。 制作して下さった兼松衆さんといしわたり淳治さんは、オリジナルアルバムを作る時に必ずお願いする大好きなお二人です。 兼松衆さんが作って下さる曲は、ロマンチックな雰囲気と海風の様な柔らかくて爽やかな風を感じます。『青い図書室』というアルバムで兼松さんの曲に歌詞を書かせて頂いた時に、ほんの少し白波が立った静かな海と裸足で歩きたくなる砂浜や可愛い貝殻が見えてくる美しい曲を書いてくださって、「 海を見つめる日 」という歌ができました。この歌のお陰で、歌詞を書ける事は素敵だなと実感しました。 そして、いしわたり淳治さんが作って下さる歌詞は、素敵な物語の様に読む事ができて、曲に合わせて口ずさんだ時に魔法にかかり、より歌詞の意味がスーっと体に入ってくると感じる、そんな不思議な感覚を覚える歌詞だなと思っています。一緒に口ずさんで欲しいなと思う素敵なものばかりです。『Ren'dez-vous』というアルバムの「 1000の国を旅した少年 」という曲と歌詞は、歌っていて本当に楽しい!と毎回ワクワクします。 そんなお二人と作った今回の『真夜中のメロディ』は、懐かしさや青春のあたたかで淡い気持ちを表現していると思います。是非この美しいメロディと歌詞を一緒に口ずさんでみませんか。 <手嶌葵> ◆紹介曲「 真夜中のメロディ 」 作詞:いしわたり淳治 作曲:兼松衆 ◆ニューシングル「散りてなお」 2020年10月14日発売 VICL-37560 ¥1200+税 <収録曲> 1. 散りてなお 2. 真夜中のメロディ 3. 海を見つめる日 (Live at Sichuan Grand Theatre, Chengdu on November 17, 2019 4. こころをこめて (Live at Sichuan Grand Theatre, Chengdu on November 17, 2019 5. 散りてなお (instrumental) 6. 真夜中のメロディ(instrumental)

    2020/10/27

前の20件
次の20件

デイリーランキングDAILY RANKING

  1. 夏の影
    夏の影
    Mrs. GREEN APPLE
  2. 革命道中
    革命道中
    アイナ・ジ・エンド
  3. らしさ
    らしさ
    Official髭男dism
  4. 366日
    366日
    HY
  5. 賜物
    賜物
    RADWIMPS
もっと見る

歌ネットのアクセス数を元に作成
サムネイルはAmazonのデータを参照

新着歌詞情報NEW RELEASE

  • 修羅 / ヨルシカ
    【ヨルシカ】ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』主題歌「修羅」歌詞公開中!!
  • 夏の影 / Mrs. GREEN APPLE
    夏の影 / Mrs. GREEN APPLE
  • 未確認領域 / Number_i
    未確認領域 / Number_i
  • Topping / ILLIT
    Topping / ILLIT
  • PUNKS / カメレオン・ライム・ウーピーパイ
    PUNKS / カメレオン・ライム・ウーピーパイ
  • ゾンビ / shallm
    ゾンビ / shallm
  • カーマイン / ELLEGARDEN
    カーマイン / ELLEGARDEN
  • おやすみTaxi / MON7A
    おやすみTaxi / MON7A
  • I Wish to See You Again / 感覚ピエロ
    I Wish to See You Again / 感覚ピエロ
  • いつも隣で / FANTASTICS
    いつも隣で / FANTASTICS
もっと見る
TOP
  • アーティスト名インデックス
  • アニソン検索・索引
  • アルバム検索
  • 歌詞全文(フレーズ)検索
  • タイムマシン検索
  • 新曲歌詞情報
  • 新曲歌詞情報(演歌・歌謡曲)
  • アニメ
  • 動画プラス
  • 音楽番組情報
  • 総合ランキング
  • 演歌歌謡曲ランキング
  • カラオケランキング
  • 歴代人気曲ランキング
  • 注目度ランキング
  • 歌詞ショート
  • 今日のうた
  • ニュース
  • 特集ピックアップ
  • インタビュー
  • コトバのキモチ(ワタフレ)
  • 言葉の魔法
  • 言葉の達人
  • その他(バックナンバー)
    • 大人の歌ネット
    • ストリーミング
    • ライブレポート
    • キラ☆歌発掘隊
  • 運営会社
  • メディア掲載情報
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • お問い合わせ・リクエスト
  • コンテンツ
  • 広告掲載
  • スタッフ募集
各ページに掲載されたジャケット画像、歌詞に関する著作権は、各レコード会社、アーティストなどに帰属します。

(C)2001 PAGE ONE All Rights Reserved.

このページの先頭へ

MENU

  • ホーム
  • 動画プラス
  • マイ歌ネット
  • 歌詞閲覧履歴
  • ランキング
  • 新曲歌詞情報
  • 今日のうた
  • ニュース
  • ピックアップ
  • コトバのキモチ
  • 言葉の魔法
  • 言葉の達人
  • 歌詞ショート
  • アニメ
  • 音楽番組情報
  • その他
    • ・大人の歌ネット
    • ・ストリーミング
    • ・ライブレポート
  • 運営会社
  • メディア掲載情報
  • ご利用規約
  • お問い合わせ
  • 検索ヘルプ
  • プライバシーポリシー
(c) 2025 Copyright. PAGE ONE All Rights Reserved.()