わたし以外のひととどんな熱をもって惹かれ合うのか。

 2021年7月28日に“西片梨帆”が新曲「愛は4年で終わる」を配信リリース!同曲は、バンドサウンドが炸裂したアップテンポチューン。人類学者ヘレン・フィッシャー博士が提唱した“愛は4年で終わる”という説をタイトルに掲げ、愛の価値観について独自の視点から描かれた歌詞では「love or Lie? 愛を選びたい」と軽快に歌う1曲となっております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“西片梨帆”による歌詞エッセイをお届けいたします。綴っていただいたのは、新曲「愛は4年で終わる」に込めた想いです。わざわざひどいことを言ってしまった理由。本当は素直に謝って、泣いてみたいという本音。歌の中の<わたし>の感情がより鮮明に伝わってくるこのエッセイ、是非、歌詞と併せて受け取ってください。

~歌詞エッセイ:「愛は4年で終わる」~

愛は4年で終わる

昔のことばかり思い出す

初めてあったときに交わした言葉や表情
取り戻すように今 関係を修復しようと試みても
日々は戻ってこない

「愛情はとてもあるよ」
そんなこと言われた
ただ 痛かった

わざと嫌がる言葉を選んで
最後にね 吐き捨てるようにつぶやく
覚えていてほしい それだけだよ

毎日ピンクが似合う女の子でいたいけど
失った日は黒い服を着て
ひとり 祈る

諦めたふり 忘れたふり
あの行の文字変換だけ 
はやく はやく 打たなきゃ
はやく はやく 忘れなきゃ

あなたが新しい誰かをおもうときに
ピンク色の気持ちではありませんように



その色はわたしのために
いつまでもとっておいて

ときどきポッケから取り出しては
悲しくなったり 嬉しくなったりしてね

何にも感じない人には ならないで

いい大人に出会うと あなたを想います

あなたも何年か経ったら きっとこんなような人に
なっているんだろうと なっていてほしいと

「やさしくされたいから
やさしくするわけじゃないよ」

いつか言ってたっけ

隣には別の誰かがいて 日曜日には公園を
ふたりで散歩したり おだやかに 暮らすのだろう

遠く 想像する
想像する

やだなぁ 
やだなぁ

覚えてて
わざわざ言ったひどいこと

一番聞いてほしい 見てほしい
ひとりのひと あなたには届かない

この文章もこの曲も

皮肉ばかりだよ

わたしをどこかで見かけたら
他人みたいに挨拶をするのだろう

まるでなにもなかったように
はじまってすらいなかったように

素直に謝って泣いてみたい
寂しかっただけなのと
泣いてみたい

あなたの一部を少しずつ 食べては
わたしの全てにしていたけど

これからは 取り戻していかなくちゃ
わたしがわたしを選ぶ練習

わたし以外のひとと
どんな熱をもって惹かれ合うのか

やだなあ
やだなあ

覚えてて
わざわざ言ったひどいこと



恋が音を立てて終わったとき
きちんと教えて欲しかったけど

そのころあなたは いない
ふたりの思い出とあなたのこれからに
最大の愛と少しの軽蔑を

愛は4年で終わる 


<西片梨帆>

◆紹介曲「愛は4年で終わる
作詞:西片梨帆
作曲:西片梨帆