須澤紀信

ひょっとすると世の中パセリだらけなんじゃないか。

 2021年7月21日に“須澤紀信”が最新EP『遠近法-Reconstruction of perspective-』をリリース!1年前から続く新型コロナウィルスによって新しく生まれた、肘でのタッチ、マスク越しの会話、オンラインでの授業やテレワークなど、コロナ禍の「ニュースタンダード」とよばれる新しい「距離感」の中で、過去の常識との間で生まれる「孤独」を須澤紀信の独自の視点を通して再構築した5曲が収録されております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“須澤紀信”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回はその第2弾。綴っていただいたのは、今作に収録されている新曲「パセリ」のお話。彼がこのタイトルで歌を作ろうと思った理由、込めた想いを明かしてくださいました。みなさんにとってパセリとは、どんな存在ですか…?

~歌詞エッセイ第2弾:「パセリ」~

唐突なんですが、パセリのことが好きだという人にお会いしたことはありますか? ちなみに僕はないです。「人生の最後にパセリをお腹いっぱい食べたい!!」なんて聞いたことも、もちろん言ったこともありません笑。

そもそも、お弁当や主菜の彩りにちょこんと添えられるのが定位置のパセリ。とりあえず入れといたら見栄え良くなるよね、みたいな感覚で、決してメインには成れないし、さらには、食卓に上っているにもかかわらず「えー、それ食べられるの?」と言われるパセリ。クラスに一人はみんなの残したパセリを食べて回る食いしん坊キャラいませんでした? それくらいみんな食べないパセリ。食べると好奇の眼に晒されるパセリ。なんと不遇な野菜なんだろうか、と同時に僕らはパセリの何を知っているんだろうか。

パセリの魅力を隅々まで知ってほしくて歌を書いた訳でも、このエッセイを書いている訳でもありませんが、ここまで蔑ろにされると逆に応援したくなってしまうもので、今回はぼくが「パセリ」というタイトルの歌を書いた理由も踏まえて書いていこうかなと思います。

もし野菜の世界に学校があったとしたら、まず間違いなくパセリはクラスの隅っこで静かに過ごすタイプのやつだったと思うんです。休憩時間にトイレに行って、帰ってきたら自分の席に人気者のトマトくんが座っていて、後ろのバジルちゃんと仲良さそうに話している。でも、どいてとは言えずにチャイムが鳴るまで遠くで待っているタイプ。

…実は栄養満点の緑黄色野菜なんですよ、美容と健康にいい栄養素が含まれていて、どの成分も野菜の中ではトップクラスなんだそうです。そんなわけでポテンシャルはすごい。でもちょっと見た目が地味で、好まれる味じゃない。自分からアピールすることもなく、ただ隣に置いておくと主役を引き立たせてくれるから居場所がない訳じゃない。都合のいいやつ。

ある日のお弁当、メインの肉料理に添えられたパセリを見て、なんか他人事じゃない気がしたんです。本当は美味しくなれるレシピもあるのに、諦めかけている。自分の可能性にそもそも気づけていないんじゃないか。それって、もしかしたら自分もそうかもしれないし、あの人もこの人もそうかもしれない。ひょっとすると世の中パセリだらけなんじゃないか、と。気づいたら歌にしていました。

もともと食べる派でしたが、歌を書いてからパセリのことがずっと好きになりました。人生の最後に食べたいとはまだ思えませんが…。

<須澤紀信>

◆紹介曲「パセリ
作詞:須澤紀信
作曲:須澤紀信

◆『遠近法 -Reconstruction of perspective-』
2021年7月21日発売
YCCW-10387 ¥1,650(税込)/¥1,500(税抜)

<収録曲>
1.ドライフラワー
2.パセリ
3.希望のうた
4.一匙の魔法
5.アソート -remix-
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