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  • 川村結花
    今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。
    今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。

    川村結花

    今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。

    2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は連載ラスト・第24回をお届けいたします。是非、最後までお楽しみください。 第24回歌詞エッセイ:乾杯のうた 今年もいよいよド年末。この文章がUPされるのは23日なので、もうあと1週間と1日で2021年は終わり、なのであります。そしてここ最近は日が暮れると、近所のビルの広場にある巨大クリスマスツリーにスマホ片手の人たちやカップルに子供たちが集まり、今を味わい尽くせとばかりに賑わっています。赤に青に緑にとめまぐるしく変化する光をキラキラ放つ大きなもみの木。みんなの夢を乗せた光の束。その場所にいてぼんやりしているだけで、なんだかハッピーな気分としみじみした気分が交互にやって来て、切なくて幸せなキュンとする何かでわたしの心はいっぱいになるのです。   それが26日になると、まるでそれまでが幻だったかのように灰色の足場が組まれて、ハイ来年までサヨウナラ、と撤去されます。その淡々とした撤去作業の中、鳴り響く鉄骨の無表情な音を聞いていると「ああなんだか夢って儚いなあ、、、」という気持ちになって、また色々物思い始め言葉やメロディが湧いてくる、、、のもつかのま、「いや浸っとる場合やないがな、おせちの用意の買い物いかな。」という現実に引き戻され、バタバタ動いているうちに年が変わって行く、というのが年末の常です。今年もそうなることでしょう。   などと思いながら、昨年の12月のこのエッセイを読み返してみたら、「なんか今年は実感湧かん」と書いてありました。そう、2020年は1年丸ごとワープしてしまったかのようであったなあとこないだも音楽仲間と話したばかりです。それを思えば、今年2021年は僅かではあったけれどとても心に残る幸せなライブができたこと、そして夏ごろは刺激的なCo-Writeでの歌作りを結構な曲数リモートで行えたことなど、やれたことがあったということで、いつもならそれほど感じ入ることもない巨大クリスマスツリーの風景も年末への思いもことさらだったのかもしれません。   今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。この先どうなるかわからないことこの上ない世の中で、音楽業界でわたしも年を取って行くけれど、これからも音楽を生業として生きて行きたい生き残りたいぶちかましたい大笑いしたい。今ほどそう強く感じている時はなかったかもしれません。     よくぞ今日まで よくぞ今日まで わたしたち 生き抜いて来たよね 乾杯 ここにいるわたしたちに 乾杯 たたえあおう     これはわたしの曲「 乾杯のうた 」の一節です。わたしは来年55になります。そんなどえらい年齢になってもまだ全然、もがいて悩んでやっかんで羨んで凹んで倒れてもうあかんのかなあと泣いてまた思い直してピアノに向かって。そんなこんなを続けながら時々、本当に時々、「続けて来てよかった」と幸せで眠れない夜があります。そんな夜にこれからもまだ何度も出会いたいのです。だから来年も歩き続けよう。そして大好きな人たちとお互いを讃えあって乾杯したい。   そんなわけでー。 2020年1月よりこのページにて連載エッセイを続ける機会をくださいましたこと、この場をお借りして歌ネット様へ感謝申し上げます。そしてこのページを読んでくださった方、いつも楽しみにしてくださっていた方へ。これからもどうぞ信じる道を歩いていてください。お互いの道の途中で出会うことがあったらきっと讃えあって乾杯しましょう。その日が訪れることを楽しみにこの2年間のエッセイを終わらせていただくこととします。本当にありがとうございました。ではまたいつかどこかで。   川村結花より。 ◆紹介曲「 乾杯のうた 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花  ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【 第1回 】 【 第2回 】 【 第3回 】 【 第4回 】 【 第5回 】 【 第6回 】 【 第7回 】 【 第8回 】 【 第9回 】 【 第10回 】 【 第11回 】 【 第12回 】 【 第13回 】 【 第14回 】 【 第15回 】 【 第16回 】 【 第17回 】 【 第18回 】 【 第19回 】 【 第20回 】 【 第21回 】 【 第22回 】 【 第23回 】

    2021/12/23

  • 川村結花
    悲しみは悲しみのままでいい。チカラになんてしなくていい。
    悲しみは悲しみのままでいい。チカラになんてしなくていい。

    川村結花

    悲しみは悲しみのままでいい。チカラになんてしなくていい。

    2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第23回をお届けいたします。 第23回歌詞エッセイ:思いの正体 11月。大好きな月。そのせいか気のせいか、11月というのはなにかしらわたしにとって、意味のある大事な事や良き事が訪れる月だったように思います。   先日開催した1年10ヶ月ぶりのワンマンライブも11月13日。最高のバンドとともに久々にアンサンブルを奏でる事ができ、お客様もあちこちからいらしてくださり、とても幸せな1日でありました(いらしてくださった皆さま、あらためてありがとうございました!)。それに4年前、Darjeelingのおふたり(佐橋佳幸さん&Dr.KyOnさん)のプロデュースで、アルバムをリリースするなんていう素敵な事が叶ったのも2017年の11月。   そしてそして。音楽家になって初めて、自主制作というやり方でピアノと歌だけのスタジオ録音アルバムを制作&リリースしたのも8年前2013年の11月でした。タイトルは「private exhibition」。意味は「個展」。これは数あるわたしのアルバム(いや、そないにないか、、、)の中でも最も個人的で内省的な作品であると思われます。   その中の「 歌なんて 」という曲。この曲は書き上げるのに5年かかりました。というとえらい大仰に聞こえますが、本当にそれだけ要しました。理由はその表現したい内容というのが生まれて初めて自分の中に芽生えた思い、人生観が変わってしまったほどの思いだったからです。   その思いの正体が何なのか。この叫びは何なのか。それがわかるまでに書いては捨て書いては捨てを繰り返しました。勿論5年の間この曲だけを書いていた訳ではありませんので、時々取り組んではしばらく忘れて、の繰り返しだったのですが。そんなこんなで5年目のある日、ようやく時が満ちて心と言葉が一致したのでした。3拍子の旋律と共に。   歌なんて 歌なんて なんの役に立つものか 歌なんて 歌なんて ただの絵空事じゃないか   この2行は、わたしが齢41にして経験した大きな悲しみを表すに最も適したものでした。それまでのわたしは、悲しみというのは越えて行くものだと―、越えてチカラにしてまたひとつ強さを手に入れ生きて行くものなのだと―、そう信じ込んで大人になりました。乗り越えられない時は努力が足りないせいだ。と自分を責め立て叱咤しました。そうやって生きて来ました。その生き方しか知りませんでした。   それが41歳の時、今まで経験したことのない大きな悲しみに出会い、抗えど抗えど太刀打ちできず、音楽さえも聴く事ができなくなり疲れ果て塞ぎ込み、ついに「嗚呼もう無理だ乗り越えられない」と膝をつき降参したのでした。そして知ったのです。この世には乗り越えられない悲しみがあることを。またそれは乗り越えられなくても構わないということを。なにより乗り越えられない自分を許していいんだということを。   何を知ったカオをして わたしは生きて来たんだろう   まったくその通りでした。何をわかったような気で偉そうに歌なんて作って歌って来たのだろう。本当の悲しみも知らないで。なんと自分は傲慢であったのだろう。そのことに気づかされた時、わたしの人生観もがらっと大きく変わりました。そして。   信じられない悲しみは ある日私の一部になった 信じられない悲しみを 越えずとも抱きしめてゆけばいいと   ―これがわたしのたどり着いた答えでした。   乗り越えなくてもいい。抱きしめていてもいい。ずっとともに生きていたっていい。悲しみは悲しみのままでいい。チカラになんてしなくていい。   あの頃のわたしの状態を、もしかしたら絶望と呼ぶのかもしれないなあと最近思います。絶望と無力感の日々。それでもまた歩き出すことができたのは、悲しみを乗り越えたからではなく、ずっと悲しくたっていいんだと自分に許しを与えたからです。そんな生き方もあると知りました。そして今日もわたしは生きています。できない自分をできないと認めながら許しながら。   、、、なんだか重たいハナシになってしまいましたが、、、最終回を前にどうしてもこのことだけはお話ししておきたかったのでした。そう、次回ついにラストとなりますこのエッセイ。うわー。さびしいな。そんで、1年、早ッ。なのでせめて最後は思いっきりHappyなお話がしたいな。できるかわからんけど。ということで~、ではまた来月、最終回でお会いしましょう!   <川村結花> ◆紹介曲「 歌なんて 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【 第1回 】 【 第2回 】 【 第3回 】 【 第4回 】 【 第5回 】 【 第6回 】 【 第7回 】 【 第8回 】 【 第9回 】 【 第10回 】 【 第11回 】 【 第12回 】 【 第13回 】 【 第14回 】 【 第15回 】 【 第16回 】 【 第17回 】 【 第18回 】 【 第19回 】 【 第20回 】 【 第21回 】 【 第22回 】

    2021/11/25

  • 川村結花
    Liveはおっきなひとつの曲。
    Liveはおっきなひとつの曲。

    川村結花

    Liveはおっきなひとつの曲。

    2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第22回をお届けいたします。 第22回歌詞エッセイ いきなり真夏日がやって来たかと思えば、翌日には12月並みの寒さだったりというジェットコースターのような気候も過ぎ去り、やっと待ち焦がれた本格的な秋の訪れであります。開け放した南北の窓から抜けて行く夕風がなんと心地良いことでありましょう。ていうか窓を開けていられるなんて。エアコンいらないなんて。そんな日が来るなんて。嬉しすぎ。とはいうものの、世の中的には何だかんだと気が抜けずマスクも取れずで、なかなかもどかしい日々ではありますが、それでも亀の歩みながら少しずつ光が差して来ていると信じたい。そんな気持ちにさせてくれる初秋。10月であります。皆さまいかがお過ごしでしょうか。 わたしはといえば、来月13日開催予定であるところのひーっさびさのバンドLiveの準備にそろそろ取り掛かかろうとしているところです。なにしろなにをおいてもともかくプログラムの曲決め。これがまあ悩むことこのうえなく。自分一人のピアノ弾き語りなら本番直前まで(さらに本番中でさえも、いや曲が始まってからでさえも)曲目変更可能ですが、バンドとなるとある程度事前に確定しなくてはなりません。リハあるし。楽譜書かなあかんし。なので今からきちんと準備しとかなあかんので、日々曲を並べて眺めたり鳴らしたりしてみては流れを考えているといったところです。 思えば前回のLiveは半年前の5月、その時は斎藤有太さんと2人での2台ピアノライブだったので(←むちゃくちゃ楽しかった)ワンマンとしては1年と10ヶ月ぶりなのです。そら悩むわ~。あれもやりたいしこれは外されへんしこれも意外とええかもやし、、、など。 だいたいにおいてわたしはLive全体を「ひとつのおっきな曲」のように捉えています。クラシックのオーケストラ曲のような感じというとわかりやすいでしょうか。正攻法的なところで言えば、たとえば全体を4つに分けて出だしの第1楽章はPOPでわかりやすく。続いて第2楽章はスロウ、第3楽章はちょっとハズして異国情緒だったり意外なものだったり、で第4楽章は総まとめ、の如き構成だったり。ラフマニノフのように何分かに1回の割合でなにがなんでも涙を促されるかのような展開を想定した構成であったり。モーツァルトのようにどこをとってもひたすら美しく全体がサビのようであったり。 等々ちょいと大仰に書いて参りましたが、そんなわたし自身の今度のLiveのテーマは「Happyそしてちょっと涙ホロリ」。であります。なんだかんだいっても人生っていとおしいな。なんだか胸の真ん中があったかいな。そんなふうに感じていただけるようなひとときが作れたらいいな。わたし自身も歌いながら奏でながらそんなHappyな思いに包まれながら心で涙ホロリとしたいな。 そのためには曲調的な流れももちろんだけれど、歌詞の内容もものすごく大事なのは言うまでもなく、です。イケイケでノリノリ(しょ、昭和っぽい表現、、、)だった毎日が次第にうまくいかなくなり、行き詰まりうなだれてヤサグレて涙も枯れ果てた頃、偶然出会った誰かの存在に救われて、まただんだんと前を向けるようになって、、、という物語のために4、5曲要することもあれば2、3曲のこともある。何なら1曲で行けるときもあったりして。なにより一番大切なのは聴いてくださる方の心が自然に自由に気持ちよく旅できること、なのでそのために日夜考察を重ねるのであります。それはとても幸せな時間です。 そんなわけでー、来月11月、1年10ヶ月ぶりのワンマンLiveに向けて邁進したいと思います。お心&お時間がお許しであればどうぞ御運びいただけましたら嬉しいです。そしていよいよあと2回となりましたこちらのエッセイ。来月もどうぞ皆さまお元気で、ぜひまたこのページでお会いできますよう楽しみにしております。 <川村結花> ◆information 東京・丸の内のジャズクラブ「コットンクラブ」にて 川村結花 Special Band Live 「25(+1)年目の4重奏」の開催が決定! 2021. 11.13.sat [1st.show] open 2:45pm / start 3:45pm [2nd.show] open 5:30pm / start 6:30pm MEMBER 川村結花 (vo,p) 石成正人 (g) 有賀啓雄 (b) 玉木正昭 (ds,per) 詳細 http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/yuka-kawamura/ ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【 第1回 】 【 第2回 】 【 第3回 】 【 第4回 】 【 第5回 】 【 第6回 】 【 第7回 】 【 第8回 】 【 第9回 】 【 第10回 】 【 第11回 】 【 第12回 】 【 第13回 】 【 第14回 】 【 第15回 】 【 第16回 】 【 第17回 】 【 第18回 】 【 第19回 】 【 第20回 】 【 第21回 】

    2021/10/28

  • 川村結花
    みんな、それぞれの「今だからこそ」がきっとあるはず。
    みんな、それぞれの「今だからこそ」がきっとあるはず。

    川村結花

    みんな、それぞれの「今だからこそ」がきっとあるはず。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第21回をお届けいたします。 第21回歌詞エッセイ:今だからこそ 9月ももう第4週の週末となりました。2021年も残すところ3ヶ月ほどだなんて。と毎年この時期言っているような気がしますが、皆さま如何お過ごしでしょうか。今回はいつものコラムとはちょっと違うけど、歌詞作りにも通ずるお話をしたいと思います。 ここのところのわたしはといえば、ひたすらに曲を制作し続ける日々です。そんな中で自分でもびっくりなのは、離れた場所の方とリモートで曲作りをしていることです。ていうかそれが自分に出来ていることです。 はぁ?今頃何言うとん?な話ですよね、ええそうでしょうそうでしょう。しかしながらこのアナログ人間&ものぐさ大王のわたしが、「送られて来たトラックに新しいフレーズ足したり楽器足したり差し替えたり」「トラック別々にしてそれぞれwavファイルで送る」などという、以前だったら「ちょっと何言ってるかわからない」なことが出来ている、ということ自体、大事件大進歩なのであります。 いやいや人って、必要に迫られ倒されまくりあげられたら、ちょっとは進歩するのですね。送られて来た音源ファイルを自分とこの音楽制作ソフトにブチこんで、ぶわーっと波形になって画面に出て来た時、おおお!って声出ましたもん。むちゃくちゃ感動したんやもん。それと同時に「今まで何やって来たん自分」とも。 20代30代の若い頃から、新しいこと覚えるのが億劫という基本形が根底にあるが故に、誰かから「そんな面倒なシステムでやってるの。こうこうこう変えてみれば?」などとアドバイスされようものなら「こ、この人なんだか複雑なことやらせようとしてるに違いない」とコンマ1秒で耳をふさぎ、心の扉をガシャーンと締めて来た頑ななわたし。 あほやーーーーーーーーーー。と今なら思えますが、前だったらそれらを身に付けなくても、自分古来のやり方でやれて来たので、きっと新しい作り方を身につけることは出来なかったでしょう。何回かチャレンジはしましたが、途中で「やっぱめんどくさー。今のやりかたでいけるし、まあしばらくはこのまんまでええわ」と挫折。しかも「だいたいそんなん憶える時間あったら曲書くし」という大義名分付き。そら覚えられへんよなー。ラクな方選んでしまうもん。 でも。結局のところ、新しいやり方の方がラクであり、やれることも広がるということを体感してしまった今。もう前のやり方には戻らないだろうなあと思った時、ああ物事のタイミングにはすべて意味があるというのは本当なのだなあ、これら全てコロナ禍の今だからこそ出来たことなのであろうなあ、と、思ったのです。他の人には些細なことかもしれないけれどわたしには大きなことでした。 何が言いたいかというと、停滞しているように見えても、ちゃんと地下茎はその根を成長させていて、地上に出るタイミングを今か今かと待ち構えているのだなあ、ということです。今だからこそ書ける歌詞がきっとあるはず。今だからこそ書ける曲がきっとあるはず。みんな、それぞれの「今だからこそ」がきっとあるはず。そう思うのです。 閉塞感でどうにかなってしまいそうな世の中だけれど。タダでは起きない精神で、お互いにしなやかで逞しく歩んで行けたらいいなと思うのです。今日はなんだかそんなお話を無性にしたかったのでした。歌詞とは直接関係ないけど。それでも。なにしろ元気でまた来月このページにてお会いできますように。そしてここひと月ほどは、来たる秋の味覚を存分に味わいお過ごしくださいね。 <川村結花> ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】 【第16回】 【第17回】 【第18回】 【第19回】 【第20回】

    2021/09/23

  • 川村結花
    聴きましょう。そして連れて行かれましょう。
    聴きましょう。そして連れて行かれましょう。

    川村結花

    聴きましょう。そして連れて行かれましょう。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第20回をお届けいたします。 第20回歌詞エッセイ:きっかけは『言葉の達人』 窓外の緑道では今日も朝から蝉たちが命の限りとばかりに鳴きたおしており、嗚呼やたらと長かった8月ももう終わりなのだなあ、と猛暑でおかしなってしもた頭でぼんやり考えております昨今。皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 わたしはといえば、外へ出るたびあの蝉たちの叫ぶような鳴き声に囲まれては、その命の短さに思いを馳せ切なくなり、はあー、と溜息をついて視線を足元に落とすと半透明で黄土色した彼らの抜け殻たちに遭遇してぎょえええ、と震え上がる。そんな残暑の頃を過ごしております。 最近、本当にほんの少しですが夕方の風がベタッ、からもわっ、へと変化した気がします。暑さ寒さも彼岸まで、というほどではありませんが、明らかにお盆の前後で風の感触は変わると思うのです。この温暖化により昔ほどではないにせよ、不思議に毎年それは感じるのです。ということで今年も無事に秋がやって来てくれるのでしょう。ああよかった。 というような、ちょこっとした近況から書き始めるのがデフォルトになって参りましたこのエッセイ。昨年の1月より毎月書かせていただいておりますが、そのきっかけになったのは、というか歌ネットさんとの初コンタクトは、このサイト内の『言葉の達人』というページでした。 その内容は、作詞家をはじめ音楽プロデューサーやミュージシャン全般において作詞をする人達が、歌ネットさんからのいくつかの質問にお答えすることで、作詞に対する己の考えをお話しするという趣旨で、今も続いているコーナーです。さっき見たらもう第210回になっていました(すごい!)。ちなみにわたしは 第187回 に出させていただきました(その節はありがとうございました!)。 そう、そんな『言葉の達人』の質問の中で「自分が思う『良い歌詞』とは?」というのがあったのですが、それに対してわたしは「その世界へ連れて行かれてしまうもの。トリップさせてくれるもの。自分にそんな経験がなくてもあるような気になったり、経験のあることは痛いくらい共感できるもの。」と答えています。今でもそう思っています。要はわたしが思う素晴らしいな、っていう作品はどれだけその世界へ連れてってくれるか、どれだけトリップさせてくれるか、ということなのだろうなあと思うのです。 ただ「歌」なのですからメロディがあります。サウンドがあります。歌っている人の声があります。その作品の繰り広げる世界への案内人は歌詞だけでは勿論ありません。ですから中には「歌詞なに言うてるんかさっぱり聴き取られへんけどなんかめっちゃ連れてかれる~」というような素晴らしい作品も数え切れないほどあります。 そしてそれと同じように「どうしたってここの歌詞が胸きゅぅってなるねん」「この歌詞聞いたらなんかむっちゃ恋愛したくなるねん」等々、歌詞のフレーズがかなり重要な曲が多数存在することも確かです。ていうか9割がたそんなええ歌詞にはむちゃくちゃええメロディついてますが(歌詞最高やねんけどなんじゃこのメロディ、みたいのはあんま出会ったことないので、、、)。 ちなみに、さっきの歌ネットさんからの質問のわたしの答え「自分にそんな経験がなくてもあるような気になったり」ということで言えば、ぱっとすぐ思いつくのは、 「 真夏の果実 」 です。 わたし海なんか全然行かへんけど、ゼッタイ砂に恋人の名前書いたことあるわ!と思わせてくれる(ないけど)。四六時中「好き」って言われて海辺のコテージで夢見心地やったことあるわ!と思わせてくれる(ないけど)。ロマンティックでどこか刹那的でダルな真夏だけの恋の世界に思いっきりトリップさせてくれる等々、なーんの実体験もないのにこの歌詞の世界に思いっきり連れて行かれてしまう。サビでハモッてしまったりなんかした日には涙ぐみさえしてしまう。そんな経験全然ないのに(何回も言わんでええわ)。 そして言うまでもなくとろけるような美しいメロディ。こらもうたまらん、、、。ていうか、そうやわ、夏の終りかけの今にぴったりハマるやん、、、。と今気付きました。聴きましょう。そして連れて行かれましょう。経験ある人は痛いくらい共感を。ない人もとろける真夏の恋の世界にトリップさせてもらいましょう。そして今年の夏の終わりをともに味わいましょう。 では今回はこの辺りで。また来月-、とはいうものの、1ヶ月先さえも読めない世の中ですが、皆様どうかこの閉塞感に負けないで。何より心も体も負けないで。時々はアホなこと言ったり見たりしてクスッと笑っていてくださいね。わたしも日々努めてそうしています。どうぞお元気で。また来月。です。 <川村結花> ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】 【第16回】 【第17回】 【第18回】 【第19回】

    2021/08/26

  • 川村結花
    会えるのかなあ。会えるよね。次の世で。
    会えるのかなあ。会えるよね。次の世で。

    川村結花

    会えるのかなあ。会えるよね。次の世で。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第19回をお届けいたします。 第19回歌詞エッセイ:「 星の果て 」 暑中お見舞い申し上げます。連日の猛暑にわたしはもちろん、我が家のワンコもお散歩帰りはヘトヘトにへばっております。なるたけ涼しい時間に行くのですがやはりどうしたって暑い。帰ってくるとゼーゼーハーハー。イヤほどわかってるのに何故そう毎日行きたがるのでしょうか。しかも後半ほとんど抱っこ、、、。彼女はフレンチブル←11キロ。どんなエクササイズやねん、と毎日参っております。 ところで。いきなりですがお好きな邦画は何ですか?ーって、そんなの考え出したらキリがないと思いますし、わたしも然り、なのですが、1番は?と考えると『時をかける少女』かもしれません。あの描かれている世界の全てが好き。ストーリーも映像も原田知世さんもキャストの方々もそして物語の舞台である尾道も。目に映るもの耳に届く音包み込まれる空気、なにもかもが静かでゆっくりで懐かしくて、そして何よりどこか物哀しくて儚い。 最後の方のシーンのひとつ、深町くんが未来へ帰る時。「未来で必ず別の人になって君の前に現れる」「でもそのとき君も僕もお互いがお互いであることがわからない。記憶は消されてしまうから」というようなことを原田知世さんに言う。それに対して「わかるわ、わたしには」と言いながらふわ~っと気を失ってゆく。 その後何年かしてどこかの研究室ですれ違う2人。深町くんを見て首を傾げながらすれ違ってゆく知世さん、、、。そこへチャ~ッ、チャチャチャッ、チャッチャッチャ~、とテーマ曲のイントロが。あかん。胸がいっぱいになってきた。いや、とにかくさっきも書きましたがその作品全体に漂う物哀しさと儚さがわたしの胸を打ちまくり倒すのです。 前回も同じようなこと書いた気もするのですが、どんなに長く一緒にいられたとしても100年にはとても足りない、と「 Travels 」(←わたしの曲です。すみません、つい)で歌っておりますように、どんなに愛し合っていてもどんなに大切な人でも、いつか必ず天に召されるか土に還る時がやって来る、これは生きとし生けるものの宿命です。そればっかりはしょうがない。 でもだからこそわたしは信じていたいのです。大切な誰かとは、また次の世で会える、ということを。父がこの世を去ってからもう13年になりますが、今でも時々「ああ、会いたいなあ、、」と思います。会えるのかなあ。会えるよね。次の世で。とも。その場合、わたしは父を見て父とわかるのだろうか。それ以前に父と娘という関係性ではなく、近しい者同士として再会するのだろうか。などなどー、こういう輪廻転生的なことを昔から信じているところがあって、そういう意味でわたしはヒンドゥー教なのであろうかと思うのですが、そない言うほどカレーめっちゃ好きでもないし、そうでもないんかな。知らんけど。 まあそんなわけで、わたしの曲の中にはそんな思想がいつも根底にあると言ってもいいと思われます。顕著なものとしては、2011年リリースの、観月ありささんへの提供曲(作詞作曲)「星の果て」。 いつか この目が閉じて ふたりが遠く話されても 星の果てで 虹のふもとで あなたのこと きっと見つけるよ どこにいても 時を越えても その手のひら ずっと憶えてる この曲の MV を見た時、まずもう観月ありささんのあまりの美しさにうっとりしてしまいました。その美しいありささんが澄んだお声で心込めて歌ってくださることで、より壮大にロマンティックな音楽となって世に出ることになってくれて、本当に嬉しく光栄でした。 そして観月ありささん、今年で歌手活動30周年なのですね(おめでとうございます!)。それに伴って、過去のリリース曲の何曲かが各種音楽サブスクリプションサービスにて配信されているそうです。ありがたいことに「星の果て」も入っているようです。このコラムを読んでくださっている皆さまもどうぞお聴きになってみてくださいね。この儚い人生の中で出会えた愛しい人達へ想いを馳せてみてくださいね。書いていてなんだか、わたしも優しい気持ちになってきました。今日も一歩一歩&愛情持ってがんばってこう。 <川村結花> ◆紹介曲「 星の果て 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】 【第16回】 【第17回】 【第18回】

    2021/07/22

  • 川村結花
    なんだか今、イラ立っていたり心がトゲトゲしてるなーと思っている方
    なんだか今、イラ立っていたり心がトゲトゲしてるなーと思っている方

    川村結花

    なんだか今、イラ立っていたり心がトゲトゲしてるなーと思っている方

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第18回をお届けいたします。 第18回歌詞エッセイ:「 Travels 」 「にんげん~50ねん~~」と本能寺の変の折炎の中で舞う織田信長公、というシーンをよく時代劇で目にします(特に大河ドラマ)。あの舞は古い能、正確には能の原型にあたるものらしいですが、その演目であるところの「敦盛」の中の一節、ということはよく知られている歴史的知識だと思われます。ちなみにこれは当時の人間の平均寿命が50年という訳ではないそうですね(わたしはすっかりそう思っていましたが)。 なににせよ、「人間50年 下天のうちをくらぶれば 夢幻の如くなり」というこの一節。人生なんぞ夢幻の如きもの。ほんまそうやわ。なんかもう胸にグッと来ます。それと同じようなことで言えば豊臣秀吉公の辞世であるところの「露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」てこんなん泣いてまうやん。 そら信長公も秀吉公も生前偉大なことと同じくらい否それ以上に酷いこともさんざんしはったやろうけど、今はとりあえずそういうことは置いといて。なにしろどれだけ有名な歴史上の人物でさえ「人の一生とはなんと儚いものであろうか」という歌を舞ったり詠んだりする訳であります。 そう、人の一生とはなんと儚いものなのであろうかと感じる気持ちは、古今東西同じなのだなあと思います。そしてそのことを思うたびに、こんな儚い一生やのに日々イラついたりしてばっかりでなんでもっと優しく穏やかに生きれんもんかいな、と反省しきりなのであります。 ということも含め、わたしの曲「Travels」の出だし。 どんなに長く 一緒にいれたとしても 100年にはとても足りない どうしてもっと早く出会わなかったの 大好きな人がいる。家族、友人、仲間。100年どころか永遠に一緒にいたい。けれどそんなこと叶わないとわかっている。永遠なんて無理だから。一生は儚いから。ならば、そんな儚い時間なら、争ったり疑ったり奪いあったりせず、お互い相手に優しくいたい。本当にそう思うのです。 巡る星の意味さえ知らずに いつかこの目が閉じられる たとえば1日だけでもいい 旅が長く続きますように あなたとずっといられますように そう、巡る星の意味もエジプトのピラミッドの謎も坂本龍馬の真の暗殺犯もわからないまま、多分わたしもこの目を閉じる時が来るのでしょう。今などこんなコロナ禍ゆえ1日1日がやたら長く感じる気がしますが、実際のところ時間は平時と同じに流れているのですよね。同じ1日ならば気持ちよく過ごせたほうがどんなにいいことでしょう。大好きな人とならなおさら。 そんな気持ちを込めて作った1999年リリースの「Travels」。ここ最近わたしのYouTubeチャンネルにて当時NYにて撮影した MV が公開になっています。自分でもとっても好きな作品です。ぜひご覧になってみてくださいね。 そしてなんだか今、イラ立っていたり心がトゲトゲしてるなーと思っている方。大切な人に優しい言葉をかけてみるとかメールなどしてみてはいかがでしょうか。かく言うわたしはこれを書いている最中に思い立ち、たった今ある人にご機嫌伺いの電話をしました(←ほんまよ)。気持ちが柔らかくなりました。笑顔にもなりました。相手もいっぱい笑ってくれました。よかった。今日はいい日。儚い一生のうちのほんの小さないい日。あなたも是非ね。ではまた来月! <川村結花> ◆紹介曲「 Travels 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆「Travels」MV https://www.youtube.com/watch?v=igRXpI26Bd0 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】 【第16回】 【第17回】

    2021/06/24

  • 川村結花
    わたしにとって叫びとは歌を作る上でなくてはならないものなのです。
    わたしにとって叫びとは歌を作る上でなくてはならないものなのです。

    川村結花

    わたしにとって叫びとは歌を作る上でなくてはならないものなのです。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第17回をお届けいたします。 第17回歌詞エッセイ:叫びたがる心 西の方から梅雨入りが始まりつつあるせいで、曇天率が高く朝から重たーい気圧に心も身体もやられがちな最近。親しい誰かとどっか飲みに行こうにも、叶わずの日々は長きに渡り。故に自宅でハイボールをちびちびやりながら、ひとりピアノと五線紙に向かう静かな日々を送っております、シンガーソングライター・川村結花であります。 でもね、今月初めには1年3ヶ月ぶりにライブというものが出来たのでした。それも大好きなピアニストでありシンガーソングライターの斎藤有太さんと。グランドピアノを2台、向かい合わせて交互に弾き歌いセッションし、という至福の時間。あの夜のシアワセとお客様からいただいたエネルギーが新しい曲を作りたいと願う燃料となって、今のわたしを動かしてくれているのです(大感謝!)。 そんなわけで久しぶりに本当に本気で新しい曲が書きたいと、魂が欲しているのをひしひし感じ、喜びを噛みしめているわたしです。例えるならばそれは、あっついあっつい温泉のあっちこっちで茶色いお湯の玉がボコボコ弾けている状態です。湧き上がって来るあっつい泡はココロの叫びです。 叫び、と言ってしまうとどうしても激しい感情を思い浮かべてしまいがちですが(そしてそれも大いにありなのですが)それだけじゃない。いとおしさや尊さ大切さ安らぎといった優しく静かな感情。もー、挙げればキリがないけれど、なにしろ表現せずにはいられない。外に出さずにはいられなくて、溢れ出す感情全てを叫びと呼んでいます。そしてそれこそを言葉にしメロディにしピアノに託すというのが、わたしの歌づくりにおける信条です。 なので、そういう状態=心の中にあっつい温泉の泡ボッコボコしてる状態、にいる時は、とにかく文字でも音符でも書いていたい。歌いながらピアノ弾いていたい。その世界に浸っていたいのです。今も5つくらいその泡が湧いて来ていて、毎日少しずつあっちに手をつけこっちに手をつけ、というのを繰り返している最中です。すべて自分のための歌であります。 それと同時に、ご依頼いただいている提供楽曲の歌詞も進めています。そちらの方は勿論アーティストさんやスタッフさんからのご要望がありますので、そこから外れないように指定された内容の範囲内であれやこれや物語の場面を考えます。 たとえば、失恋の歌にしてほしい、というオーダーだったとしたならば、サヨナラした3日後なのか。1年後なのか。今自分はどこにいて何を見ているのか。などなど。そのうち、あ、こういう場面がいいな。だとしたら自分はどんな気持ちでいるだろうか。そしたらきっとこんな感情が湧いてくるだろうな。ああ心が叫んでるわ、、、となって叫びに辿り着き書き始める。逆の方から攻めて行くやりかたをしているんやわ、と今初めて気づきました。 なににせよ、わたしにとって叫びとは歌を作る上でなくてはならないものなのです。それは言葉にならない時だってあります。心のままに弾いていたピアノの響きがただただ美しかった。そこに無理やり歌詞をつけるよりこのままインストの曲にしてしまおう。メロディが、コードがもう叫びを代弁してくれている。それもわたしにとっては歌なのであります。 なので、よく「なんにもないところから作る」という言い方をしますが、なんにもないなんてことはないのです。これまでの生きて来た道がある。喜び悲しみがある。感じる心がある。叫びがある。そこから作るのです(わたしは)。 なんだか語ってしまいましたが。久しぶりのライブで物凄く初心に立ち帰ったせいでしょう。50を過ぎて25年+1年やっていても、本質は変わらないのですね。今でも叫びが心に生まれてくれることがわたしにはただただうれしく、ちょっとほっとしていたりします。ああよかった、心は枯れてなかったわ。また歩いて行ける。よし作り続けよう。 <川村結花> ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】 【第16回】

    2021/05/27

  • 川村結花
    受け取り方は人それぞれ。
    受け取り方は人それぞれ。

    川村結花

    受け取り方は人それぞれ。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第16回をお届けいたします。 第16回歌詞エッセイ:受け取り方は人それぞれ 昨日ぼんやりTVをつけっぱなしにしていたら、1時間くらいのうちに2度、同じ昭和の歌謡曲をCMで耳にしました。しかもそれぞれ別の企業のCMで。当然別のバージョンで。その曲の名は「 黄昏のビギン 」。言わずと知れた永六輔先生作詞&中村八大先生作曲の黄金コンビによる昭和の大名曲であります。わたしも大好きな曲です。 以前、ちあきなおみさん歌唱バージョンを聴いた時、あまりの素晴らしさに意識が遠くなりました。というか、現実を離れて夢の中を漂っているかのような感じがしました。ちあきなおみさんがなぜそこまですごいすごいと言われるのかが、この時本当の意味でわかったのでした。 そんなちあきなおみさんの代表曲「 喝采 」。あの曲はご本人の悲しい経験とも重なるらしい、というエピソードを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。曲中の<あなた>はある説では恋人のこと。ある説ではお父上のこと。など、本当のところは勿論わたしには知る由もありませんが、そんなふうに諸説ある曲は、他にも色々と存在します。 他に有名なところでは「 なごり雪 」。あれは父親目線で巣立ってゆく娘への思いを綴った歌であるという説や、旅立って行く女の子を見送る幼ななじみの男の子の歌であるという説。他にもあるかもしれません。 なににせよ、聴き手によって色々に受け取ることができるのは、歌の醍醐味の一つなのではないかなあと思います。真実はどうであれ、作者の思惑がどうであれ、聴いた人が感じたことがその人にとっての真実であり、その人だけの想いや場面がそこに重なってその人だけの物語を持った歌になるのです。それってなんて素敵なことだろうと思うのです。 わたしが2015年に自分の創業20年記念歌として作った「 五線紙とペン 」という歌の中にも、<わたしの物語が 誰かの物語になる日を夢見て>というフレーズが出て来ます。自分の作った歌を聴いてくださった方が、ご自身の想いや場面を重ねてくださる。それはシンガーソングライターであるわたしにとって、それ以上幸せなことなんてないくらい幸せなことなのです。 などというお話をした後にこんなお話をするのもなんなんですが、昨年世の中を席巻した瑛人さんの「 香水 」。ド~ルチェア~ンドガッバーナ~、の、あの強烈なフレーズに瑛人さんの魅力的な歌声と出だしから最後までフォーキーながら華のあるメロディが相まって、知らない人はいないヒット曲となったあの曲。勿論わたしも大好きな曲で、家事をしながらなどご機嫌に歌っていました。 ただ、初めて聴いた頃、すごいいい歌だなと思いながらも、どうもそのド~ルチェア~ンドガッバーナ~のところでいきなり混乱して脳みそがグニャッとなってしまっていたのでした。 「ドルチェ&ガッバーナの香水、て、あのバブルの頃のあれ? ていうか瑛人さんてハタチそこそこでなんでそんな香水知ってんの? あ、そうかこれはもしや、君、とかいうて昔の彼女のハナシみたくなってるけど、ほんまは離れ離れになってしまったお母さんていう設定なん?」とー。 、、、なに言うてんのこの人、とお思いになられたでしょうか。ですよね。あほですわ、わたし。どういうわけかドルチェ&ガッバーナの香水が脳内でディオールのプワゾンという香水に変換されていたのです。ディオールのプワゾンとは、バブル時代を席巻したかなり個性的な香りの香水で、シリーズ自体はまだあるのかもしれませんが、当時流行った緑のボトルのはもう今は多分販売されていないと思われます(知らんけど)。 その緑のボトルがバーンと頭に浮かんでいたわたし、、、バブルといえばワンレンとボディコンとジュリアナと緑のプワゾンが浮かぶわたしとしては、もう、どえらい「君」が浮かんだわけです。そら混乱するわ。ていうかどんな勘違いやねん。なのですが。だいたいド最後に<僕がフラれるんだ>て言うてはるのに。どう考えても恋愛の歌やのに。ごめんなさい瑛人さん。 ただ、、、世の中にお一人くらいは、わたしと同じ勘違いをされた方もいてはるんちゃうやろかと思うのですがいかがでしょうか。特にバブルの頃、青春だった世代の方。「わかるわー」と思ってくださった方、もしいらっしゃいましたらどうぞご一報ください。 ということでこんど5月3日にはなんと1年3ヶ月ぶりのライブも予定しておりますわたくしです。嗚呼うれしい。もう、1年分の思いを胸にめいっぱい歌って弾いて音楽にまみれたいと思います。それではまた来月、です。 <川村結花> ◆LIVE 2021年5月3日(月)青山 月見ル君想フにて開催される 2PIANO4HANDS「川村結花×斎藤有太」に出演決定! ・会場チケット 前売り ¥4,000 (75名限定) | https://2105032.peatix.com ・配信チケット ¥2,000 | https://www.moonromantic.com/2105032 ◆NEWS 1999年4月1日リリースのアルバム『Lush Life』のミュージック・ビデオ4曲をYouTubeにて公開! 「Every Breath You Take」: https://youtu.be/a1pXqyTJCaw 「ヒマワリ」: https://youtu.be/8WLVFRRaWGc 「home」: https://youtu.be/9p43CoS8zCk 「遠い星と近くの君」: https://youtu.be/DN9JH3-83CA ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】

    2021/04/22

  • 川村結花
    心の中で聴いていたい。
    心の中で聴いていたい。

    川村結花

    心の中で聴いていたい。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第15回をお届けいたします。 第15回歌詞エッセイ:心の中で聴いていたい 3月ももう残りあと少しとなりました。日々大きく変わる気温のせいで何着たらええのかようわからん状態の真っ只中であります。昨日も信号待ちの交差点にてスギちゃんと見まごうような袖なしデニム&短パンの男性と、冬物ロングコートにナマ足の女性が同時に目に突き刺さってきました。こういう光景を目にするたび「いやわかるわあほんまこの時期着るもんどないしてええか困るよね~」、と一方的に親近感と仲間意識を抱いてしまいます。そしてもちろん今日のわたしも上下の季節感も素材感もバラバラ、かろうじて色だけは合わせたくらいの格好でおります。ほんと苦手、季節の変わり目。 そんなことより何よりこの原稿がUPされるのは25日木曜日。ということはもうドラマ『天国と地獄』は最終回を迎えた後なのですね。まあ寂しい。 何が寂しいかって、劇中最後の方のシーンに流れる手嶌葵さん歌唱の挿入歌「 ただいま 」、あの曲が聴けなくなることだったりします。と書きながら今心の中で流しているところです。切ないです。うーーーってなります。いやそんな聴きたいんやったら実際に音源流して聴いたらええやん、と思うでしょ、でも違うねんな~。あくまで心の中で流していたいんです。なんとなくわかっていただけるでしょうかこの感じ。 あのドラマ、気まぐれに見始めたのは、男女が入れ替わった綾瀬はるかさんと高橋一生さんの演技に興味があったから。それにサイコパスのシリアルキラーと刑事のサスペンス的な物語だったら、そう情緒的になりすぎず面白く見られそうでいいな、という気持ちからでした。なのでまだ物語が序盤の頃は先述の挿入歌が流れても、正直「ええ曲やなー」くらいに感じていたのです。しかし、後半に差し掛かったあたり、予想外に物語が哀しみを帯びてくると急激にあの曲が心に深く沁み入って来るようになっていたのでした。 完璧に美しいメロディ、儚く清楚な手嶌葵さんの歌声。情緒的で上品なアレンジ。そして、このなんとも物寂しく静かな歌詞。言葉一つ一つがしんしんと胸に積もってゆくような心ざわり。愛する人との別れなどというそんな悲しいシチュエーションなのに、あえて全体的に湿気が少なく淡々としている表現、そしてそのことがかえってこの歌の悲哀をぐんと増しているように思うのです。 言葉静かであるほど美しい旋律が映えそして哀しい。そんな曲なので、ドラマの中で堪能する以外は心の中で鳴らしていたいというこの気持ち、なんとなくわかっていただけたでしょうか。音楽と場面を心に浮かべながら一人浸っていたい。わたしにとってそんな曲なのです。時々そんな曲に出会います。 作詞はいしわたり淳治さん。やっぱりすごいです。こんなんも出来はるんですね。て、失礼か!いや、ほんまに素晴らしいです。脱帽。そして作曲の村松崇継さん。めっちゃ美しいメロディ書きはるわ、、、。脱帽。あかん、どんだけ帽子あっても足らんわ、、、。 さてもうあと1週間もしないうちに4月。わたしも脱帽ばかりしている場合ではないのであります。少しずつですが動き始めています。しっかり地に足つけてがんばってこ。 <川村結花> ◆紹介曲「 ただいま 」/手嶌葵 作詞:いしわたり淳治 作曲:村松崇継 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】

    2021/03/25

  • 川村結花
    今のこの状況の世の中で見る桜。どんなことを感じるだろうか。
    今のこの状況の世の中で見る桜。どんなことを感じるだろうか。

    川村結花

    今のこの状況の世の中で見る桜。どんなことを感じるだろうか。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第14回をお届けいたします。 第14回歌詞エッセイ:春は感情の坩堝(るつぼ) 2月だというのに4月並みの陽気が訪れた先日。ワンコを連れて訪れた公園にて「さっくらっがさっいてっるよ~イェイイェイイェ~イ」と大きな声でほがらかに歌いながら自転車にゆられ走り去って行く個性的な紳士に遭遇しました。とても幸せそうでした。春の陽気、生暖かな風、そして桜。それらには何かしら人の心をウズウズさせる何かがあるのでしょう。ちなみに彼の走っていたのは梅の花咲く道でしたが。 それにしても春というのはなんとめまぐるしい季節なのでしょう。雪解け、芽生え、巣立ち、別れ、出会い、入学、進級、卒業、就職、人事異動、年度末、決算、確定申告、、、ちょっと思い浮かぶだけで人生の節目やスタートといった普遍的なハナシからどえらい現実的なハナシまで盛り沢山。出来事が盛り沢山なぶん生まれる感情も盛り沢山。そら歌も出来るわけです。春の名曲多いですもんね。 なんといっても相反する二つの事象と感情「出会いと別れ」「嬉しさと寂しさ」「嬉しい涙と悲しい涙」などがペアになっているということが、こう、心をぎゅーっと切なくさせる一因ではないでしょうか。そんなこと言い出したら何にでも光と影があって嬉しさと寂しさがあるやないかい、なのですが、それを表現するのに最も適しているというか、わかりやすく、そしてなにしろ書きやすいという点で、春に勝る季節はないように思います(当社比)。 卒業して友達と離れ離れになる悲しさと次の場所新しい出会いへの希望。成長して家から巣立って行く我が子を頼もしく見送りながらも溢れて止まらない寂しさ。夢が叶った嬉し涙とそれにより起こりうるであろう恋人との別れの予感。などなど。 こうして箇条書きにしているだけでも色々な場面が浮かんで来て色々な切ない感情が沸き起こってくるのです、そこへ桜なんか絡んできたらもう書くしかないでしょ、って、、なるんじゃないでしょうか。 そう、桜の歌にしてもどんだけというほど世の中にあるのは、やはりあれほど短い期間しか咲かない桜だからこそ「美しく咲いては一瞬で散る」という、人生の素敵さ美しさと共に儚さ切なさ、もっと言えば諸行無常を誰もが心の根底に感じているからだと思うのです。 春の陽光と桜。あんな美しい景色の中に居ながらどこかしら切ない気持ちになるのは、散った後のまるであれは夢だったのかとさえ感じてしまう時が来るのを知っているから。それでも今年も見たい。窓から見える近所の桜でもいい。それこそ文頭に出した公園の桜でもいい。今年の桜を見たいと思うのです。今のこの状況の世の中で見る桜。どんなことを感じるだろうか。何か新しい感情は生まれるだろうか。特に何も感じないかもしれない。それならそれでいい。そう歌にすればいい。 なんだか春について予想外に熱く語ってしまいました。わたしも先日の陽気にちょいとやられてしまったのでしょうか。だいたいこんなん書きながらまだ2月。これから寒の戻りもあるでしょう。そして桜が咲くにはまだちょっと遠く。ここから1ヶ月くらいはまた「近づきつつある春のテンションについて行けない感」にやられて暗~く落ち込んでしまうのが毎年の常、なわたしであります。 ただ、心が不安定なぶん揺れやすいぶん書きたい音楽が湧いてくるのも事実です。この時期そういう方が多いと聞きます。春待ちのこの時期。心はヨワヨワだけどだからこそ創作にはいいのかな。またピアノに向かおう。今しばらくまた相変わらずそんな日々を重ねて行きます。いいの作るからね。ではまた来月。です。 <川村結花> ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】

    2021/02/25

  • 川村結花
    「過去の作品を磨いてキラキラに生き返らす」ということ。
    「過去の作品を磨いてキラキラに生き返らす」ということ。

    川村結花

    「過去の作品を磨いてキラキラに生き返らす」ということ。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第13回をお届けいたします。 第13回歌詞エッセイ:リメイクもよきかな 2021年になりました。今年もまた月イチでこちらのページに歌詞コラムを書かせていただけることとなりました。本年も毎月第4木曜日18時頃に更新してまいりますので、どうぞゆらりぶらりお付き合いくださいませ。 さて、今回のテーマは「リメイク」=過去に作ったものを新たに作り直すこと。当エッセイにおいては、既にリリースされた作品のリメイクというお話ではなく、まだ世に出る前の制作段階において、自分の昔書いた未発表作品を引っ張り出してきて手を加え作り直して新作とする、という意味での“自分内リメイク”のお話です。 ちなみにわたしは、つい数年前までこのリメイクということに多少の抵抗感がありました。20代30代の頃は「全力で書く。そして書いたら忘れる。そして次へ!」という方針で書いては投げ捨てて、を繰り返し突き進んでいた自分。それは後ろを振り返りたくないというよりも、過去の作品に今の作品が負けたような気がするのが許せなかった、今新たにイチから書いた方がもっといい作品が書けるに決まってる、というような頑固な思い込みによるものでした。 しかしながら、40代半ばあたりからだんだんとその考えも変わっていきました。そのくらいだと作詞作曲を始めて20年を過ぎたあたりということもあり、自然と書きかけのフレーズそのまんま放置したものや、ボツになったまるまるワンコーラスぶん、そんな作品のカケラたち、いわゆるストックがそこそこたくさん溜まっていました。 その中には何年も忘れられない美メロがあったり、ひさびさに聴いてみたらあの時はピンとこなかったけど今は妙に心に響く切ないフレーズがあったり。たとえ当時フィットしなかったからといって今もしないとはかぎらないんだな、ダイヤの原石(なのかもしれないカケラたち)がいっぱいあったんだな、それをずっと邪険にして来たんだな、自分、あほやな、、、。と。 試しに引っ張り出してきた過去の曲を今聴いていただいた折、とても気に入っていただけたり、サビだけ生かして他を書き直したものが、やはりすごく褒めていただけたり。なにより自分自身で「ええやん、、、」と思える作品に仕上がるのだということが実感できるようになったのでした。 なので今ではわたし“自分内リメイク”をおおいに推奨している次第であります(←自分に)。もちろん書き下ろし中心ではありますが、カケラちゃんたちの「そろそろ外、出して~」という声も聞きつつ。その時の時代感や自分の気分とも相談しつつ。 なにしろ“自分内リメイク”それは「過去の作品を磨いてキラキラに生き返らす」ということ。この考え方に行き着いてから、とてもラクになったし曲作りの幅も広がりました。20代の頃の自分の作品に50代の今の自分が「あのな、ここはな、こないしてこないしたほうがええんちゃうか」と赤ペン入れてく感じ、でしょうか。なにしろそれでいい作品が生まれればもう万事OKなのであります。そして実際生まれているのであります。 ということで今年もまだLiveの予定は立てられないでいますが、そのぶん作品づくりのための時間とし、ひたすら曲作りに邁進、そして1曲でも多く世の人に届けることができますよう精進して参りたいと本当に本当に思います。がんばろう自分! <川村結花> ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】

    2021/01/28

  • 川村結花
    あああああライブがしたい。心ゆくまで弾き歌いまくりあげたい。
    あああああライブがしたい。心ゆくまで弾き歌いまくりあげたい。

    川村結花

    あああああライブがしたい。心ゆくまで弾き歌いまくりあげたい。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年アニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてきました。更新は毎月第4木曜。そして今回が、今年の最終回となります。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださったのか。ぜひ改めて、バックナンバーから全12回のエッセイを読み返してみてください!  さらに、ユーザーのみなさまからの好評の声にお応えし、なんと2021年も引き続き連載が決定!来年も月に1度の歌詞エッセイをお楽しみに…! 第12回歌詞エッセイ:「 Oh, Yes 」 今年の1月から1年間、歌詞にまつわるエッセイを、ということで毎月書かせていただいて参りましたこちらの連載も今回ついに12回目を迎えいよいよ最終回となりました。皆様お過ごしでしょうか。 、、、という出だしになるはずだったのでありますが、読んでくださる皆様のご好意、そして歌ネットさんのご厚意により、なんとあと1年連載を続けさせていただくこととなりました。わーい。なんてありがたい、、、。いつも読んでくださる皆様、歌ネット関係者の皆様ありがとうございます。そしてここからまた1年、よろしくゆるゆるお付き合いくださいませ。 それにしても今年もあと1週間。誰がなんと言おうと年の瀬まっしぐら、ザ・年末なわけですが、なんだか実感がわきません。わたしの場合、毎年のことではあるのですが、だとしてもいつもとは段違いな実感のなさであります。理由はもうそりゃあコロナによるものに決まっているわけなのですが。人で混み合った街に心ウキウキとクリスマスのお買い物をしに行くなんてことをする気になれず。そもそも混んだとこ行くの自体ちょっとなあ、と考えた時点で元気なくなるし。なのでなんか今年はもうええわー、という気分であります。 ただ、おせちだけは毎年必ず家で作っているので、そこだけは死守する所存であります。全然豪華なものでなくていいから、とにかくお重箱を出したい。そして今年一年良い年でありますようと願いながら、ひとつひとつ詰めていく時のちょっぴり厳かでぴしっとした気持ちになるのが好きなんです。まあそんな感じで、オシャレして冬のイルミネーション灯る夜の街へ出かけて云々、などというのはナシにしても、お雑煮と数の子さえあればお正月はええねん。あと美味しいお酒と。あ。ついハナシがお正月に飛んでしまいました。ということで今年に戻して。 そう、先日気づいたら、今年リキッドファンデーションずーっと同じの使っていました。パウダーもしかり。リップのひとつもキラキラ系アイメイク用品なんかもぜーんぜん新調していません。これはひとえにライブがなかったから。あるはずだったのに次々中止になったから。加えてマスク生活の中すっかりきちんとメイクをすることもなくなって、ライブのお洋服を選ぶこともなくなって。そら元気なくなるっちゅうねん。 だからというわけではないですが、それも含めてあああああライブがしたい。心ゆくまで弾き歌いまくりあげたい。いらしてくださった皆様と音楽で心つながり合い響き合いたい。あのかけがえのない時間をともに過ごしたい。安心してその幸せな時間を持てるよう今しばらくはそのための曲作りや自己鍛錬に引き続き励もう。 夢など描いてる場合じゃないこんな時代に 相変わらず僕は 愛の歌を歌ってる 君が笑うだけで僕の世界に風が吹いたから まだ信じてていいような気がしたんだ なにか変えて行けるような気がしてるんだ これは2007年、藤木直人さんに提供(作詞作曲)させていただいた「 Oh, Yes 」という曲のサビ部分。 今から13年も前に書いた、この曲の歌詞メロディともに、なんだか今の自分自身の状況及び心境にリンクしすぎていてちょっとびっくりするくらい。<君が笑うだけで>の<君>は、ライブにいらして笑顔をくださるお客様であり、わたしの曲で感動したとか力を得たなどメッセージくださる方々であり、提供させていただいた曲を喜んでくださるアーティストの方やスタッフの方でありー、身近にいてわたしの音楽を愛してくれる家族やマネージャーやミュージシャンや友人であり。わたしが音楽を紡ぐこと奏でることで、たとえほんの少しでもどこかの誰かのお役に立てることー。それがあるかぎりまだ信じてていいような気がするし進んで行けるような気がするのです。 今年は途中からライブなどの動き自体は止まってしまっていたけれど、心は強く音楽を欲し、ひたすら淡々とインプットに励む一年でした。それらが今体の中でグツグツ煮えています。 とはいうものの現実的なところ、年が明けたら急に劇的に変わるわけではないと思いますがそれでも少しずつでも、音楽家として音楽に邁進し、外に発信して行けるような状況になりますようにと願うばかりです。どうか皆さまにおかれましても来たる2021年が良き年でありますようお祈りいたします。そしてそしてなにとぞ。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 <川村結花> ◆紹介曲「 Oh, Yes 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】

    2020/12/24

  • 川村結花
    たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。
    たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。

    川村結花

    たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第11回をお届けいたします。 第11回歌詞エッセイ:「 あとひとつ 」 近所の駅前に年末恒例の巨大クリスマスツリーが運ばれ先日から設営が始まっています。毎年それを見るたび「ああもう来月はクリスマスで年末ですぐに年も明けるのだなあ」と、過ぎて来た今年とこれからに思いを馳せながら、冷たい風の中でそっと目を閉じたくなるような、なんか幸せでなんかせつなくてあたたかなそんな気分に浸るのが常です。 今現在はとてもじゃないけどまだそんな気分にはなれていませんが、来月ツリーに灯りが点灯すれば、いつものようにそんなあったかせつない気持ちになるのかな。なるんだろうな。そして「来年きっといいことがありますように」と願うのかな。願うんだろうな。 考えてみればそんなふうに願わなかった年はなかったなあと思います。今までいろんな願いをしてきましたが、たぶん人生で最初に己自身のことで強く願ったのはやはり高校受験の時だったと思います。「あの高校に受かって次の春には笑えていますように」とかなんとか。吐くほど願った15の冬(←結局落ちた。人生初の挫折)。 <あとひとつの坂道を ひとつだけの夜を 越えられたなら 笑える日が来るって> これは2010年にFUNKY MONKEY BABYSに提供(共作)した「あとひとつ」の2番のサビです。ほんと、受験生の時ってまさにこれでした。思えばあの頃はわかりやすかったなあ。いつも課題があって、これをクリアすれば次、これをクリアすれば次。ゴールは合格。そういう意味で高校野球も似ていて、日々の課題日々の練習を重ねて、地方大会で試合に次ぐ試合。それをクリアしてクリアしてゴールは甲子園。そして全国優勝。 青春ってある意味わかりやすいものなのだなあ。だから大人は高校野球が好きなのか。わたしも含め。だって大人になればなるほど、ひとつなにかを越えたって次にまた同じような課題が来るとは限らない。ましてやゴールなんてないのだから。だからこそ、あんなふうにゴールに向かってひたすらまっすぐ熱く戦える彼らがうらやましくもあり、自分にもあんな頃があったと思い出させてもらいチカラをもらうのね。もちろんわたしも。 というわけで普段スポーツはNBAと大相撲しか見ないわたしですが、高校野球は結構見ます。なのでファンモンが歌う「熱闘甲子園」のテーマ曲制作のお話が来た時はかなり燃えました。 まず歌詞を先に考えていたのですが、なんだか煮詰まって昔のノートなんかをあさっていたところ、ふと昔書き留めておいた走り書きの「あと100粒の涙を流せば」とか「あと99のドアを開けば」とかそんな言葉があったのを見つけたのでした。そしてその時思ったのです。「あと100もあと99もなんぼなんでも多すぎるわ。せめてあとひとつでしょ、、あれっ、あとひとつ???そういえば野球の応援で『あっとひっとつ~』とか『あっと一球~』とか言うやん、そうやわ、これやわ!!!!!」ということでめでたく「あとひとつ」が生まれたのでした。 ちなみにカラオケでこの歌を歌うとFUNKY MONKEY BABYSのMVが出てくるのですが、なんか胸がいっぱいになって泣きそうになります。加藤くん、モンちゃん、ケミちゃんの絶妙なバランス。あらためて素敵なグループだったなあ。大好きだったなあ。解散した今もわたしは彼らのファンです。そして彼らのおかげでたくさんの素敵な曲を書く機会をいただきました。本当に感謝しています。 そう、それにあの伝説の2013年の日本シリーズで当時楽天の選手だった田中将大投手がマウンドに登場した時に、会場中が大合唱になった「あとひとつ」。プロ野球の名場面のひとつと言われているあの瞬間に、少しでも貢献できたのではないかと思えることが素直に嬉しく幸せです。 今こんな世の中で音楽業界もなかなかに厳しくて、わたし自身もそりゃ何かと色々心に抱えていて、一体あとひとつの何を越えたらお腹の底から笑える日が来るのか、さっぱりわからないけれど、変化の激しいこの世の中で、変化に振り回されることなく変わらずやれることだけを真面目に続けていれば、いつかそんな日が来るとわたしは信じています。たとえ、あとひとつ、とはいかないとしても。 ということで長々書いて参りましたがこの連載も残すところそれこそあとひとつとなりました。最終回になります来月もどうぞぜひ読んでくださいませね。 <川村結花> ◆紹介曲「 あとひとつ 」 作詞:FUNKY MONKEY BABYS・川村結花 作曲:FUNKY MONKEY BABYS・川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】

    2020/11/26

  • 川村結花
    たとえどんなにボロボロになってもそれでも。
    たとえどんなにボロボロになってもそれでも。

    川村結花

    たとえどんなにボロボロになってもそれでも。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第10回をお届けいたします。 第10回歌詞エッセイ:「 それでも夢見ずいられない 」 渡辺美里さん。言わずと知れた大歌手。My Revolution。10 Years。サマータイムブルース。数々のヒット曲とジャケットに見覚えのあるアルバムたち。西武球場での20年連続コンサート。数え切れないほどの輝ける足跡。早い頃にデビューされていてわたしが物心ついた時にはもう大スターだった方なので、わたしは1967年の早生まれとはいえ学年は同じ、と知った時には衝撃でした。早い時期から活躍されている方なので勝手に年上な気がしていたのと、同じ学年だと知った後でもやはり変わらずこの世界での先輩中の先輩、尊敬する大先輩です。 ですのである時、彼女から「学年同じなんだからお互いちゃんづけで呼び合いましょう~、結花ちゃん美里ちゃんで!」と提案された時、いやいやいやいやとんでもないとてもじゃない無理無理そのような恐れ多いこと、、、、とひっくり返ったのですが、あれから3年ほどしてようやくLINEやメール上のみ「美里ちゃん」と呼べるところにまでたどり着きました。 ちなみに先日リモートでミーティングしましたが、顔をあわせるとやはりなんとなくモジモジしてしまい、お互い「さん」になってしまうのでした。なんだか付き合いたてのカップルみたいな初々しい気持ちだったりもしますが、なにしろ顔を合わせて「ちゃん」で呼べるようになるまでには、やっぱりまだ時間がかかりそうです。ゆっくり自然に距離が近づくごとにそうなれたら素敵だなと思います。 そんな美里さんとのご縁は、2006年にリリースされたシングル曲「 青い鳥 」の作曲をさせていただいて以来10年以上になります。その後も何曲か書かせていただいていたのですが、1曲だけ作詞作曲両方手がけた「 また、明日 」という作品を除いてはわたしは全て作曲のほうの担当でした。 それがなんと昨年、美里さんの35周年記念アルバム『ID』に収録される予定のとある曲の制作ご依頼をいただき、予想外に作詞のご依頼であったということが、わたしにとってすごく新鮮で嬉しいお話でした。 作曲はSuperfly元メンバーの多保孝一さん。メジャーキーのミディアムアップで全体的に元気で力強い曲調なのだけれど時折胸が「きゅん」となる切なさを携えたドラマチックで素敵な曲でした。 その「きゅん」は、トキメキ類の「キュン」ではなく、今日まで生きてきた中で失くした恋や変わってしまった景色や環境に思いを馳せた時に生じる「きゅん」であり、「ああ、なんだかんだ自分ここまでなんとか生きてきたなあ」としみじみする時に生じる「きゅん」であり、「あの頃はなんだって出来ると思っていたのだなあ、若かったなあ」と同世代の友人と語り合う時に生じる「きゅん」であり、、、て、もうええか。なにしろこの曲の肝である「きゅん」はそういう、ある程度年齢を重ねないとわからない心情な気がしたのです。そしてそこにとても心惹かれました。 人生を経て来た大人にしかわからないそんな切ない気持ち。もう若い頃と同じだけのやみくもな情熱は持てないけれど、だからといって全てを達観できるような域までは行っていない。今もこれからも何かに憧れていたい、何かを追い求めていたい、明日を夢見ていたい、という気持ちは変わらない。 そんなことをイメージしていたら「いくつになっても夢見ずにはいられないのだなあ」というような気持ちを表現したい、と思い至り、「それでも夢見ずいられない」というタイトルが浮かんだのでした。色々あったしこれからも色々あるだろう。現実を見れば肩を落として膝を抱えていたくなることばかり。今までも何度もこんなことがあった。絶望も経験した。そしてそのたびまた思い直して歩いて来た。なぜなら明日を夢見ずにいられないから。どんなに大人になってもそこだけは変わらない、たとえどんなにボロボロになってもそれでも、それでも夢見ずいられない。 そんな気持ちを込めた歌詞。喜びも痛みも光も影もきっとありあまるほどに知っていらっしゃるであろう美里さんの歌は、説得力に満ち溢れ本当に素晴らしく感涙でした。 くしくも今日は久々の秋晴れです。こんな日に好きな服を着て外へ出て思いっきり街の空気を吸うと、理由もなく希望的で優しい気持ちが溢れてくるのを感じます。世の中はまだ不安定で先がわからない状況が続いていますが、今日のこの気持ちの良い風のように、たとえさりげないことでも何か心が喜ぶことに日々一つでも出会えますように。そして1日も長く秋が続きますように。というわけでまたちょっと外の空気吸いに出かけて来ます。ではまた来月。 <川村結花> ◆紹介曲「 それでも夢見ずいられない 」 作詞:川村結花 作曲:多保孝一 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】

    2020/10/22

  • 川村結花
    御婦人3人組の楽しげなおしゃべりが耳に届いてきたのですが…。
    御婦人3人組の楽しげなおしゃべりが耳に届いてきたのですが…。

    川村結花

    御婦人3人組の楽しげなおしゃべりが耳に届いてきたのですが…。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第9回をお届けいたします。 第9回歌詞エッセイ:「 初めての君 」 1年のうちでわたしが最も苦手な猛暑の8月が過ぎやっと9月、、、と思っていたらもう第4週でした。びっくり。それでもまだ湿度もそこそこあり半袖でいることには変わりなく秋モノを着る気にはなれずなんとなくどっちつかずで中途半端な格好をしている昨今であります。そういえばいつだったか、「麻の白シャツに心ときめかなくなったら秋」と思ったことがあり、それを周りに言うと割と同意してくれた記憶があります。今まさにその感じ、そしてさっきキャメルの薄手ニットを見てほんのちょっとだけときめいたので、ほどなく秋風が気持ち良い季節がやってきてくれるのでしょう。まあでも多分引きこもり生活が続きそうなのでわたしにはあまり関係ないかもですが。 そう、まだ暫くはライブ活動再開の見通しが立てられないでいる状況なのですが、大変ありがたいことに作品提供の御依頼を続けて頂戴し、先月先々月同様に楽曲制作メインの毎日を過ごしております。 そんな中、先月リリースのアルバムー、ミラクルボイスの持ち主と称される新進気鋭の若手演歌歌手、中澤卓也さんのオリジナル・ファーストアルバム『歩み Part1』にわたしの提供作品(作詞&作曲)である「初めての君」という曲を収録していただきました。 2017年にデビューされ、今年活動4年目となる中澤卓也さん。NHKの歌謡番組などでよくその歌声を拝聴するのですが、トーンが明るくのびやかできらびやかでなにより爽やか。それでいてけっして大味にならず繊細な肌触り感もあり、ミラクルボイスという形容がぴったりという印象でした。加えて24歳の素敵好青年ということで、巷ではマダムキラーとも呼ばれていらっしゃるらしく、わたしも一度コンサートにおうかがいさせていただいたのですが、その呼び名に違わず客席中それはそれは華やいだ御婦人がたによる乙女の花園でありました(そしてコンサートとっても楽しかった)。 その日、開演前にちょっと寄ったカフェで、隣のテーブルにちょうど今から中澤さんのコンサートに参加される70代とおぼしき御婦人3人組の楽しげなおしゃべりが耳に届いてきたのですが、もう本当に中澤卓也さんのことが大好きで大好きでというのが伝わって来て、それがもう本当に乙女のようで、ああ、なんかいいなあ、こういうの、そしてこの方々がうっとりしてしまうような歌、夢見心地になってしまう歌、とにかく幸せな気持ちになっていただける歌を書かなければ!とすごい使命感が湧いてきたのでした。 そして出来た「初めての君」。3連のロッカバラードというのでしょうか、♪オンリ~~ユ~~~、みたいなオールディーズ感溢れるそんな曲がいいな、というのはもう最初からイメージとしてありました。そして歌詞はベテランの男性プロデューサーから「女性が言われてうれしくなる言葉がいいなあ」というリクエストがあり、それなら、ということで 初めてなのさ 初めてなんだ そんなにまぶしい 瞳に出会ったのは というフレーズが浮かんだのでした。 可愛いとか優しいとかセンスがいいとか、ほめられるのはもちろんうれしいこと。でももっとうれしいのはその人にとって自分は特別ということを感じさせてくれた時なんじゃないだろうかという考えに至ったからでした。「そんなこと言ったの君が初めてだよ」「そんな考え方もあるんだね、初めて知ったよ」などなど。 それは恋愛においてだけじゃなく、友人関係でも上司と部下の関係でも、同じことなんじゃないかと思うのです。もちろん恋している相手から言われたらめちゃくちゃうれしいでしょう。ただ、そんなこと言われてすっかりその気になってしまったものの、相手は別に恋愛感情で言っていたワケじゃない場合も多々あるので、そこは注意が必要なのですが。 しかし、なにしろ今回の場合は絶対的に恋愛感情でなければならず、なのでどっからどう見ても相手に恋しているということがわかる出だしの2行にしたのでした。 ということで生まれたこの曲、先述の3人組の御婦人は聴いてくださったのでしょうか。どうか聴いてくださいましたように、そして幸せな気持ちになってくださいましたようにー。 <川村結花> ◆紹介曲「 初めての君 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】

    2020/09/24

  • 川村結花
    間違えてはいけないのは「夢が叶わなかったら敗者」ではないこと。
    間違えてはいけないのは「夢が叶わなかったら敗者」ではないこと。

    川村結花

    間違えてはいけないのは「夢が叶わなかったら敗者」ではないこと。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第8回をお届けいたします。 第8回歌詞エッセイ:「 One-Way 」 残暑お見舞い申し上げます。未だかつて経験のない夏、でしたか何でしたかとにかく人類が初めて経験する非常事態であったこの夏。この8月。みなさまにおかれましてはいかがお過ごしでしたでしょうか。 わたしはといえば、楽曲提供のお仕事をいただいておりましたことを理由にこれ幸いと引き続きステイ・ホームな毎日を過ごしておりました。そして今やもう巷では当たり前になっているリモート・ミーティングにも最近では「つ、つながらへんかったらどないしよ」などとドキドキしなくなり(←まだここ)やっと慣れては来たものの(そないに慣れてないがな)それでもやっぱり顔を突き合わせて同じ空間で同じ空気吸って生声でお話をしたいものだなあ、そういう意味では人恋しいなあと切に感じます。 それにしても人生なんだか想像したこともなかった、思ってもみなかった、そんなことばかりなのかもしれないなあと最近とみに感じます(としてもここ何年かのその度合いは酷いと思いますが)。小さなことから大きなことまで思い通りにはいかないことが多々あるのが人生。「がんばろう。がんばればきっと夢は叶う」ってよく言われる言葉。でもそれって本当? その答えは「叶う人もいれば叶わない人もいる」。当たり前かもだけれど。 だけど間違えてはいけないのは、「夢が叶わなかったら敗者」ではないということです。絶対的にそう叫びたいのです。その夢は叶わなかったけれど別の夢を見つけることもあれば、思ってもみなかったことが後で気付けば夢になっていた、ということもあるでしょう。 プロ野球の選手になりたくて、毎日ゲロ吐くほど練習して誰よりも努力したとしてもなれない人だっている。その人がたとえば子供達の野球のコーチをすることでこれが天職だったんだと気づくかもしれない。たとえばスポーツ用品の開発に携わることで創るという喜びを見出すかもしれない。たとえば夢が叶わなくて落ち込んでいる時に出会った女性と結婚して彼女の実家の家業を継いでみたら予想外な夢が生まれるかもしれない。それこそまさに人生いろいろ、なのだと思うのです。 “くじけたからこそ 出会えた笑顔も なくしたからこそ 見つけた光も 地図にはなかった そんななにもかもが 宝物” これは2年前の2018年、JUN SKY WALKER(S)のデビュー30周年記念のベスト・アルバムに入れる新曲としてメンバーの森純太さんと一緒に作らせていただいた「 One-Way 」の歌詞の一節です。 「ファンの皆さんを主人公に、ジュンスカのメンバーの思いや道程とも重ねた歌詞にしたい」という純太さんからのリクエストでまず思ったのはそこでした。きっとジュンスカの長年のファンの方々の中には夢が叶った方も叶わなかった方もいらっしゃるであろう。叶った方は叶った方なりの喜びや苦しみがあり、叶わなかった方も失望とともにだからこそ出会えた光があると言える方がたくさんいらっしゃるのではないだろうか、と思ったのです。 ジュンスカの皆さんにしてみても、あれだけ輝かしい道を歩いて来られた中にも思い通りに行かなかったことだってたくさんあったに違いないと思います。だけどうまくいかなかったことがあったからこそ得られた大事な宝物のようなことがきっと山ほどあると思うのです。メンバーの方々もファンの方々もそうして歩んで来られた30年。若かりしホコテン時代の姿も収められた MV も相当涙腺に来ます。 そんな大切な楽曲の歌詞を共に書かせていただけたことは本当に幸せでした。お話をいただいた折<10年先もきっと 一緒に眺めようよ 素敵な夜空を>というフレーズは、もう絶対に最後の最後に入れたいと決めていました。「 すてきな夜空 」というのはご存知ジュンスカ初期の代表曲。その一節が浮かんだ瞬間我ながら胸にキューンと来たのでした(今も来る)。ですのでこの楽曲が初お披露目となった中野サンプラザでの30周年コンサート、アンコールで歌ってくださった宮田和弥さんの歌声に爆発的に感動、大感涙でした。 ちなみに宮田さんのソロ弾き語りLiveシリーズ「Slow Camp」にゲストで呼んでくださった時、この「One-Way」をわたしのピアノ一本と宮田さんのヴォーカルでやらせていただきました。また絶対やりたいな。その日を夢見てまた今日も引きこもってがんばろう。と思います。 <川村結花> ◆紹介曲「 One-Way 」 作詞:森純太・川村結花 作曲:森純太 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】

    2020/08/27

  • 川村結花
    いつも「ああ大阪に帰ってきたなー」と思う瞬間は…。
    いつも「ああ大阪に帰ってきたなー」と思う瞬間は…。

    川村結花

    いつも「ああ大阪に帰ってきたなー」と思う瞬間は…。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第7回をお届けいたします。 第7回歌詞エッセイ:「 Welcome home 」 毎日毎時間世の中の状況が変わるここ最近。なので今書いていることももしかしたら記事になる頃には的外れな内容になっているかもしれない、などとちょっと気にしつつもまた今月も書かせていただいております歌詞エッセイ。 ただこちらの場合はまだ〆切後ほどなく掲載されるのでそこまで極端ではないにせよ、これが楽曲だったらもうえらい不安です。例えて言うなら冬リリース予定でクリスマスをテーマにした曲を夏から制作していざリリースとなった時、クリスマス禁止条例が可決されて歌はボツ、となるようなもの。あくまでわたしの下手クソな例えですが、それに近いことー、昨日までは良しとされていたことが今日はいきなり口にするのもどうか、みたいな変わりよう、そういうことが日々加速して増えているように思えてなんだか心が閉塞感で疲弊してしまうのです。 そんな中、今何かと話題のGoToキャンペーン。今この記事を書いている数時間前にも、東京都を目的とする旅行と東京都に在住の人の都外への旅行は対象外にすると政府決定された、という報道が流れたばかり。今の新型コロナ感染拡大状況を考えたら妥当な方針にせよ、たとえGoToキャンペーンがあろうがなかろうが、夏といえば帰省、故郷、お盆、というような大切な情緒ごと否定されてしまったような気がして寂しい気持ちになったのは正直なところ。 そんなわたしなので故郷への思いを書いた作品はいくつかあります。例えば <なつかしいイントネイションが あふれてる地下鉄のホーム> という出だしで始まるこの曲。2012年にSCANDALへ提供(作詞&作曲)した「 Welcome home 」という楽曲です。 その時のテーマが「宝物」だったので、メンバーのみんなが思う宝物って何?というミーティングをしたところ、「ふるさと」「育った町」「地元」というようなキーワードが出てきたのでした。なんだかみんな綺麗でかわいくて強気でカッコイイ女の子たちでありながら、素直に東京へ来たばかりの頃の不安な気持ちや地元のお友達のことやー、なにしろたくさんの素敵な優しい繊細な思いを語ってくれて、同じ上京組であるわたし(年も見た目も全然違いますが)も大いに共感、お呼びせずとも「お迎え」(←バックナンバー 【第5回】 を参照してね)はすぐやって来て筆は進みまくり一気に書き上げることができたのでした。自分の中でもとても好きな曲の一つです そんなわたしの故郷は大阪なのですが、いつも「ああ大阪に帰ってきたなー」と思う瞬間は先述の<なつかしいイントネイションが~>の1行目に集約されています。新幹線のホームではなく地下鉄のホームでなければいけなかったのは、新大阪駅のホームから改札へ降りて行くエスカレーターでは標準語の人もいれば、「あれ、立ち止まるのは右側でええんかな」という戸惑いもあるカオスなエリアだからです。 それが改札を出て地下鉄御堂筋線へ向かう地下道から次第にポツポツと濃い目の大阪弁が聞こえ始め、ホームにたどり着き電車に乗り梅田を過ぎ難波へ着く頃には見事にネイティブな大阪の懐かしいイントネイションで溢れかえっています。この、新大阪から難波駅までへのほんの15分間で、最初ウィスパーくらいだった「あー、やっと大阪着いた」という感情が駅ごとにどんどんクレッシェンドして行き、難波に着く頃には大爆音で「帰って来たでー!」と叫ぶのです。(←心が。)あの感じ。地下鉄の音。車内の話し声。書いていてちょっと胸の奥がキュンとなりました。 生まれ育った町。親兄弟や気のおけない友達がいる町。縮こまった心を解放してくれる町。そんな大切な町へ、何にも誰にも気兼ねすることなく帰ることのできる日がどうかどうか1日も早くわたしに、そして全ての人の元に戻って来ますように。 <川村結花> ◆紹介曲「 Welcome home 」 作詞:Yuka Kawamura 作曲:Yuka Kawamura ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】

    2020/07/23

  • 川村結花
    湿度高めな藤木さんの歌を聴いてみたい、歌詞の内容も、そして声も。
    湿度高めな藤木さんの歌を聴いてみたい、歌詞の内容も、そして声も。

    川村結花

    湿度高めな藤木さんの歌を聴いてみたい、歌詞の内容も、そして声も。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第6回をお届けいたします。 第6回歌詞エッセイ:「ATOKATA」 6月も残りあとほんの僅かとなりました。なんだかやたらと変化の激しい不安定なひと月だったせいか、日にちの経つのが例年よりも早かったように感じます。 前回の記事から今日までの間に東京アラートなるものが点灯してはあっという間に消え(結局何だったんだ、、、)ロードマップのレベルがステップ3へ移行し町に人も増え始めマスクや除菌スプレーなどもだんだん元通りお店に並んできたな、と思っていたら今度は夏へ向けてのクール仕様マスクの争奪戦。気候も極端に暑かったり雨だったり。何から何まで目まぐるしすぎ。 ただでさえこの時期は気圧の変化と湿気にやられ、心身ともにダメダメ続きなわたし、年齢を経るごとにそれが特に酷くなってダメダメ加減が更に加速している昨今であります。 とにかく今はあのギンギンの猛暑に至る前のウダウダした雨の季節。そんなこの時期を意識して書いたわけではないのですが、2004年に藤木直人さんへ提供(作詞&作曲)させていただいた「 ATOKATA 」という曲があります。失恋したわりと直後、2週間以内くらいでしょうか、その頃の心情を書いたミディアムスロウの曲なのですが、この曲の持つ湿度がちょうど今のこの気候の感じにマッチする気がするのです。 思えば藤木直人さんが初めて楽曲制作を依頼してくださったのがこの2004年でした。どっから見ても圧倒的に素敵な男性である藤木さん。爽やかで性格が良くてカッコイイ藤木さん。ライブではギターかき鳴らして爽やかに歌ってみんなを魅了してしまう藤木さん。そんな藤木さんにわたしはあえて繊細で内省的な、未練たっぷりの失恋の歌を歌ってほしい、弱さを吐露するようなどこか女々しいような歌が聴きたい、と思ったのでした。 ここで先述の話と繋がるのですが要は、「湿度高め」な藤木さんの歌を聴いてみたい、歌詞の内容も、そして声も、ということだったのだと思います。けれど決してじめじめしたくはないので、全体的に悲しみや寂しさよりもただただぼう然としている、といった様子を表す空虚感を大事にしました。そうすることで湿度は高いけど温度は低め、というわたしの望む理想的なバランスが出来上がったのでした、というー、温度だ湿度だとややこしい話になってしまいましたが、確かにあるのです、曲には温度も湿度も。そしてその2つは似ているけど全然違うものなのです。ことに歌では。 ともあれ、そんなこんなで、ほどよく女々しく内省的な曲が出来上がり、空虚であるほど切なさも増し、藤木さんのファンの方々からも評判が良く(これがすごく嬉しかった)、ライブではこの曲をピアノで弾き語りしてくださる藤木さんも拝見することができてとっても幸せだったのでした。 ちなみに、今まで自分が書いてきた曲の中で「好きな出だしの2行」を挙げるとしたら、5本の指に入るであろうと思うくらい、この曲の出だしは気に入っています。 “寂しさは 忙しさには まぎれない 足音の気配は ただの勘違い” 、、、なんか雰囲気伝わるでしょうか。湿度高め、温度低め。機会がありましたらお聴きになっていただけたら、そして確認していただけましたら嬉しいです。そして来月のこの原稿を書いている頃にはどうぞ梅雨が明けていますようにー。 <川村結花> ◆紹介曲「 ATOKATA 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】

    2020/06/25

  • 川村結花
    あの状態のことをわたしは「お迎えが来た」と呼んでいます。
    あの状態のことをわたしは「お迎えが来た」と呼んでいます。

    川村結花

    あの状態のことをわたしは「お迎えが来た」と呼んでいます。

     2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!    シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第5回をお届けいたします。 第5回歌詞エッセイ:「お迎えに来てね」 こんばんは。また今月も書かせていただきます歌詞エッセイ。ご縁あってこのページを読んでくださっているあなたは今、どこの町のどんな場所にいらっしゃるのでしょう。かくいう私はいまだ外出自粛要請の解除されていない東京にて、先月と同じく自宅自部屋の机に向かってこの原稿を書いています。特段代わり映えのしない先月と今月なのであります。が。 そんなこの1ヶ月の中で何かしら変わったことといえば、若干(ほんま若干ね)酒量が増えたということでしょうか。それでもやはりカロリーは気になるので糖質オフの黒糖焼酎を、選んではいますが量が増えたことには変わりなく。せやけどほんま酒でも飲まなやってられんわ、という気分でもあり。ええわこんな時やもんしゃあないがな、と己に言い訳する日々であります。黒糖焼酎に梅干し入れて水割りにして氷浮かべて。いやもうこの季節には最高です。 ちなみに黒糖焼酎といえば奄美大島。奄美大島といえばたくさんの素晴らしい歌手の方々がいらっしゃいますが、その中でもわたしが今日お話ししたいのは同じく奄美ご出身の城南海さん。彼女のデビュー曲の「 アイツムギ 」を書かせていただいたのは2009年でした。 昨年は10周年を迎えられ、オーチャードホールでの記念コンサートに、わたし川村結花もゲストとして出演させていただく幸せに預かりました。城南海ちゃんー、初めてお会いした時はまだ彼女はそれこそお酒も飲めない初々しい18歳だったというのに。時は流れ今や30歳。愛くるしい笑顔は変わらずとも、歌い手として何倍もたくましく美しくなった彼女は今も進化し続けていらっしゃいます。 そんな城南海ちゃんのデビュー曲「アイツムギ」を書かせていただいたことは、わたしにとって大きな光栄であり、なにより10年経った今でもずっと彼女がこの曲を大切に歌い続けてくださっているという事実ー、それほど作者冥利につきることがあるでしょうか。本当に感謝しかありません。 それにしてもこの曲ー、書いた時のことがほとんど思い出せないのです。要は、わたしで言うところの「お迎え状態」にあった、ということです。お迎え状態というのは、よくいろんなアーティストがインタビュー記事で「メロディや歌詞が降って来た」というような表現をしている、あれです。あの状態のことをわたしは「お迎えが来た」と呼んでいます。 わたしの場合、降って来るというよりは何かに強く引っ張られる感じ、「なんかようわからん思いのカタマリみたいなものが急にやって来て引っ張られるままにペンを走らせていたら気づいたらこんなん出来てた」というのがいつものお迎えパターンです。だからそういう曲が書けた時は、その時の記憶が全くありません。しかしもうそのことについては考えずただただ逆らわずいることにしました。お迎え状態の途中に自我が入って来て「あ、ここはこうしようかな」などとやってしまうと、もうその時点で「引っ張るチカラ」が途切れてしまう、正気に戻ってしまう、ということがたびたびあったからです。 そんな状態で書き上げた曲の中でも一層強烈なお迎えがやって来て一気に書き上げた曲、「アイツムギ」。特にⅡコーラス目の “高い枝を見上げるあまり 足下の花を踏んでないか 誰かにとって大事なものを はかりにかけて汚してはないか 強さの意味を違えてないか 守ることで奪ってないか 勝ろうとしてひざまづかせて あなたに一体何が残ろうか” というこの4行は、なぜこんな言葉が一気に出て来たのかいまだに謎であり、逆にわたしが教えられたような気がしているフレーズでもあります。 そんなわけで、わたしにとって「お迎え」とは曲作りにおいてなによりも尊く有り難く、それでいて得難いものであり、なので、日々出会えるのを切望してやまない奇跡のようなものなのであります。そしてそろそろでかいお迎えが来てくれる予感がしています。知らんけど。いや、どうか来て。お願い。というわけで今月も地味にがんばろー。 <川村結花> ◆紹介曲「 アイツムギ 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花 ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】

    2020/05/28

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