川村結花

間違えてはいけないのは「夢が叶わなかったら敗者」ではないこと。

 2020年は、シンガーソングライター“川村結花”のCDデビュー25周年のアニバーサリーイヤー!そこで、今日のうたコラムでは、その記念企画として1年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けいたします。更新は毎月第4木曜!
 
 シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この1年の連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第8回をお届けいたします。

第8回歌詞エッセイ:「One-Way

残暑お見舞い申し上げます。未だかつて経験のない夏、でしたか何でしたかとにかく人類が初めて経験する非常事態であったこの夏。この8月。みなさまにおかれましてはいかがお過ごしでしたでしょうか。

わたしはといえば、楽曲提供のお仕事をいただいておりましたことを理由にこれ幸いと引き続きステイ・ホームな毎日を過ごしておりました。そして今やもう巷では当たり前になっているリモート・ミーティングにも最近では「つ、つながらへんかったらどないしよ」などとドキドキしなくなり(←まだここ)やっと慣れては来たものの(そないに慣れてないがな)それでもやっぱり顔を突き合わせて同じ空間で同じ空気吸って生声でお話をしたいものだなあ、そういう意味では人恋しいなあと切に感じます。

それにしても人生なんだか想像したこともなかった、思ってもみなかった、そんなことばかりなのかもしれないなあと最近とみに感じます(としてもここ何年かのその度合いは酷いと思いますが)。小さなことから大きなことまで思い通りにはいかないことが多々あるのが人生。「がんばろう。がんばればきっと夢は叶う」ってよく言われる言葉。でもそれって本当? その答えは「叶う人もいれば叶わない人もいる」。当たり前かもだけれど。

だけど間違えてはいけないのは、「夢が叶わなかったら敗者」ではないということです。絶対的にそう叫びたいのです。その夢は叶わなかったけれど別の夢を見つけることもあれば、思ってもみなかったことが後で気付けば夢になっていた、ということもあるでしょう。

プロ野球の選手になりたくて、毎日ゲロ吐くほど練習して誰よりも努力したとしてもなれない人だっている。その人がたとえば子供達の野球のコーチをすることでこれが天職だったんだと気づくかもしれない。たとえばスポーツ用品の開発に携わることで創るという喜びを見出すかもしれない。たとえば夢が叶わなくて落ち込んでいる時に出会った女性と結婚して彼女の実家の家業を継いでみたら予想外な夢が生まれるかもしれない。それこそまさに人生いろいろ、なのだと思うのです。

“くじけたからこそ 出会えた笑顔も
なくしたからこそ 見つけた光も
地図にはなかった そんななにもかもが 宝物”


これは2年前の2018年、JUN SKY WALKER(S)のデビュー30周年記念のベスト・アルバムに入れる新曲としてメンバーの森純太さんと一緒に作らせていただいた「One-Way」の歌詞の一節です。

「ファンの皆さんを主人公に、ジュンスカのメンバーの思いや道程とも重ねた歌詞にしたい」という純太さんからのリクエストでまず思ったのはそこでした。きっとジュンスカの長年のファンの方々の中には夢が叶った方も叶わなかった方もいらっしゃるであろう。叶った方は叶った方なりの喜びや苦しみがあり、叶わなかった方も失望とともにだからこそ出会えた光があると言える方がたくさんいらっしゃるのではないだろうか、と思ったのです。

ジュンスカの皆さんにしてみても、あれだけ輝かしい道を歩いて来られた中にも思い通りに行かなかったことだってたくさんあったに違いないと思います。だけどうまくいかなかったことがあったからこそ得られた大事な宝物のようなことがきっと山ほどあると思うのです。メンバーの方々もファンの方々もそうして歩んで来られた30年。若かりしホコテン時代の姿も収められたMVも相当涙腺に来ます。

そんな大切な楽曲の歌詞を共に書かせていただけたことは本当に幸せでした。お話をいただいた折<10年先もきっと 一緒に眺めようよ 素敵な夜空を>というフレーズは、もう絶対に最後の最後に入れたいと決めていました。「すてきな夜空」というのはご存知ジュンスカ初期の代表曲。その一節が浮かんだ瞬間我ながら胸にキューンと来たのでした(今も来る)。ですのでこの楽曲が初お披露目となった中野サンプラザでの30周年コンサート、アンコールで歌ってくださった宮田和弥さんの歌声に爆発的に感動、大感涙でした。

ちなみに宮田さんのソロ弾き語りLiveシリーズ「Slow Camp」にゲストで呼んでくださった時、この「One-Way」をわたしのピアノ一本と宮田さんのヴォーカルでやらせていただきました。また絶対やりたいな。その日を夢見てまた今日も引きこもってがんばろう。と思います。

<川村結花>

◆紹介曲「One-Way
作詞:森純太・川村結花
作曲:森純太

◆プロフィール

川村結花(シンガー・ソングライター)
大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。

オフィシャルサイト:https://www.kawamurayuka.com

◆歌詞エッセイバックナンバー
【第1回】
【第2回】
【第3回】
【第4回】
【第5回】
【第6回】
【第7回】
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