川村結花

受け取り方は人それぞれ。

 2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。

 シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第16回をお届けいたします。

第16回歌詞エッセイ:受け取り方は人それぞれ

昨日ぼんやりTVをつけっぱなしにしていたら、1時間くらいのうちに2度、同じ昭和の歌謡曲をCMで耳にしました。しかもそれぞれ別の企業のCMで。当然別のバージョンで。その曲の名は「黄昏のビギン」。言わずと知れた永六輔先生作詞&中村八大先生作曲の黄金コンビによる昭和の大名曲であります。わたしも大好きな曲です。

以前、ちあきなおみさん歌唱バージョンを聴いた時、あまりの素晴らしさに意識が遠くなりました。というか、現実を離れて夢の中を漂っているかのような感じがしました。ちあきなおみさんがなぜそこまですごいすごいと言われるのかが、この時本当の意味でわかったのでした。

そんなちあきなおみさんの代表曲「喝采」。あの曲はご本人の悲しい経験とも重なるらしい、というエピソードを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。曲中の<あなた>はある説では恋人のこと。ある説ではお父上のこと。など、本当のところは勿論わたしには知る由もありませんが、そんなふうに諸説ある曲は、他にも色々と存在します。

他に有名なところでは「なごり雪」。あれは父親目線で巣立ってゆく娘への思いを綴った歌であるという説や、旅立って行く女の子を見送る幼ななじみの男の子の歌であるという説。他にもあるかもしれません。

なににせよ、聴き手によって色々に受け取ることができるのは、歌の醍醐味の一つなのではないかなあと思います。真実はどうであれ、作者の思惑がどうであれ、聴いた人が感じたことがその人にとっての真実であり、その人だけの想いや場面がそこに重なってその人だけの物語を持った歌になるのです。それってなんて素敵なことだろうと思うのです。

わたしが2015年に自分の創業20年記念歌として作った「五線紙とペン」という歌の中にも、<わたしの物語が 誰かの物語になる日を夢見て>というフレーズが出て来ます。自分の作った歌を聴いてくださった方が、ご自身の想いや場面を重ねてくださる。それはシンガーソングライターであるわたしにとって、それ以上幸せなことなんてないくらい幸せなことなのです。

などというお話をした後にこんなお話をするのもなんなんですが、昨年世の中を席巻した瑛人さんの「香水」。ド~ルチェア~ンドガッバーナ~、の、あの強烈なフレーズに瑛人さんの魅力的な歌声と出だしから最後までフォーキーながら華のあるメロディが相まって、知らない人はいないヒット曲となったあの曲。勿論わたしも大好きな曲で、家事をしながらなどご機嫌に歌っていました。

ただ、初めて聴いた頃、すごいいい歌だなと思いながらも、どうもそのド~ルチェア~ンドガッバーナ~のところでいきなり混乱して脳みそがグニャッとなってしまっていたのでした。

「ドルチェ&ガッバーナの香水、て、あのバブルの頃のあれ? ていうか瑛人さんてハタチそこそこでなんでそんな香水知ってんの? あ、そうかこれはもしや、君、とかいうて昔の彼女のハナシみたくなってるけど、ほんまは離れ離れになってしまったお母さんていう設定なん?」とー。

、、、なに言うてんのこの人、とお思いになられたでしょうか。ですよね。あほですわ、わたし。どういうわけかドルチェ&ガッバーナの香水が脳内でディオールのプワゾンという香水に変換されていたのです。ディオールのプワゾンとは、バブル時代を席巻したかなり個性的な香りの香水で、シリーズ自体はまだあるのかもしれませんが、当時流行った緑のボトルのはもう今は多分販売されていないと思われます(知らんけど)。

その緑のボトルがバーンと頭に浮かんでいたわたし、、、バブルといえばワンレンとボディコンとジュリアナと緑のプワゾンが浮かぶわたしとしては、もう、どえらい「君」が浮かんだわけです。そら混乱するわ。ていうかどんな勘違いやねん。なのですが。だいたいド最後に<僕がフラれるんだ>て言うてはるのに。どう考えても恋愛の歌やのに。ごめんなさい瑛人さん。

ただ、、、世の中にお一人くらいは、わたしと同じ勘違いをされた方もいてはるんちゃうやろかと思うのですがいかがでしょうか。特にバブルの頃、青春だった世代の方。「わかるわー」と思ってくださった方、もしいらっしゃいましたらどうぞご一報ください。

ということでこんど5月3日にはなんと1年3ヶ月ぶりのライブも予定しておりますわたくしです。嗚呼うれしい。もう、1年分の思いを胸にめいっぱい歌って弾いて音楽にまみれたいと思います。それではまた来月、です。

<川村結花>

◆LIVE
2021年5月3日(月)青山 月見ル君想フにて開催される 2PIANO4HANDS「川村結花×斎藤有太」に出演決定!

・会場チケット 前売り ¥4,000 (75名限定) |
https://2105032.peatix.com

・配信チケット ¥2,000 |
https://www.moonromantic.com/2105032

◆NEWS
1999年4月1日リリースのアルバム『Lush Life』のミュージック・ビデオ4曲をYouTubeにて公開!

「Every Breath You Take」:https://youtu.be/a1pXqyTJCaw

「ヒマワリ」:https://youtu.be/8WLVFRRaWGc

「home」:https://youtu.be/9p43CoS8zCk

「遠い星と近くの君」:https://youtu.be/DN9JH3-83CA

◆プロフィール

川村結花(シンガー・ソングライター)
大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。

オフィシャルサイト:https://www.kawamurayuka.com

◆歌詞エッセイバックナンバー
【第1回】
【第2回】
【第3回】
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【第7回】
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