このフレーズはいつかどこかで使いたいとずっと思っていて…。

BIGMAMA
このフレーズはいつかどこかで使いたいとずっと思っていて…。
2019年4月17日に“BIGMAMA”がニューシングル「mummy mummy」をリリースしました。ドラマ『賭ケグルイ season2』の主題歌として書き下ろされた表題曲。さらにカップリングには「吸血鬼はAB型がお好き」や「Wolfgang in the moon」とタイトルから気になる新曲が収録されております。さて、今日のうたコラムではそんな最新作をご紹介! 今回は特別に、BIGMAMAの作詞を手がけている、ボーカルの“金井政人”さんに単独インタビューを敢行。もともとは「文章を書くのも読むのも大嫌いだった」という彼に、歌詞についてのこだわりや新曲への想いをたっぷりお伺いしましたので、記事を第1弾~第3弾に分けてお届けいたします!では、本日はその第2弾をお楽しみください。 匿名希望で存在不要な その生き様 晒せ 「mummy mummy」/BIGMAMA ― ニューシングルのタイトル曲「mummy mummy」は“木乃伊(ミイラ)”を意味しているんですね。 金井:そうです。実はこのタイトルは最後に決めたんですけど、僕がいくつか候補を提案したなかから、周りに選んでもらって「mummy mummy」になりました。結局この曲の主題は何なのか、どこをポイントに読み解いて欲しいのか、ということを考えたときに、これが一番しっくりくるだろうと。 ― ちなみに他にはどんな選択肢があったのですか? えーっとねぇ…「科学(Science)」とか。すべての曲タイトルに“科目の名前”を振りたいという案も僕のなかではあったんです。そして“怪物に学べ”というテーマで書こうかな、とも思っていました。だけど、まぁハロウィンっぽく“怪物”そのものの名前を並べてみるほうが、作品としてのメッセージが伝わりやすいかなって。 ― ミイラ、とは何の象徴ですか? 金井:没個性かな。「ずーっと長いものに巻かれ続けていると、君が誰だかわからなくなっちゃうよ?」というのが、僕にとっての主題なんですね。タイアップさせていただいているドラマ『賭ケグルイ season2』の内容が“駆け引き”をテーマにしたものなので、どんなやつから負けていくか、倒れていくかというところに注目してみました。すると「どれだけ強く己を持っているか」が重要になってくることが見えてきて。そうやって作品のフィルターを通して汲み取ったものが、歌詞になっていると思います。 出来上がり完成 反対に賛成 狂ってないです 狂ってないです 狂ってないです 長いものにはそう ぐるって巻いて ぐるって巻いて ぐるって巻いたら出来上がりました あれ君どこの木乃伊? 「mummy mummy」 金井:このサビは空耳アワーのような感覚で生まれましたね。ある程度、音像が出来上がってきて「どういうことを歌えば作品に気持ちよく寄り添っていくことができるか」と考えたんです。寄りすぎてベタベタするのも気持ち悪いから、ちょうどいいところを探して。そうしたら先ほどの「ずーっと長いものに巻かれ続けていると、君が誰だかわからなくなっちゃうよ?」というテーマを表す<ぐるって巻いて>というワードと、『賭ケグルイ』というタイトルに繋がる<狂ってないです>というワードが浮かんできました。全体のビジョンが見えた感じですね。 ― 「mummy mummy」のなかで、とくに“書けてよかった”と思うフレーズはありますか? 金井:自分がこっそり良いなと思っているのは<チャンスもピンチ?>というフレーズです。 ピンチはチャンスじゃチャンスもピンチ? 危機感持ってないとアウト ちゃんとキャスティングボードライドしないと 退屈すぎると天国も地獄 混ぜるな危険てさ ねえ 「mummy mummy」 金井:セルフツッコミが入っているというか。<ピンチはチャンス>ってよく言うじゃないですか。でも「じゃあ、逆だったら?」ってフレーズはいつかどこかで使いたいとずっと思っていて。僕自身「このチャンスを逃したらものすごいピンチなんじゃないか?」みたいなことを感じていた時期もあったから。やっとこの曲で言えましたね。 AじゃなくてBはあり得ない Oも違くてABがbetter rhesus monkeyはplusよりminus 理想的不可逆なflavor Aは辛くてBはほろ苦い Oは甘くてABがbetter 喉乾いてカラカラ 干からびちゃうよ Vampire 「吸血鬼はAB型がお好き」/BIGMAMA ― カップリングはまた「mummy mummy」から一転して、ユーモアある楽しい歌詞ですね。これはどんなきっかけから生まれたのですか? 金井:カップリングの曲もせっかくだから、リード曲「mummy mummy」と何かテーマをそろえて書き下ろそうと思ったんですね。とはいえ“巻きモノ”でそろえてもしょうがないなと。それなら“ミイラ”という怪物つながりで、2曲目では“吸血鬼”を、3曲目では“狼男”をテーマにしてみたんです。 それで最初“吸血鬼”で歌詞を書いたんですけど、レコーディング前日に、メンバーで唯一、作詞のディレクションができる柿沼に「何が言いたいかよくわからない。ちょっと真面目すぎる」って言われたんですよね。僕も「なるほど!」と思いました。だってそもそも“吸血鬼”で伝えたいことなんてないから(笑)。むしろ大事なのは“伝えたいことはない”ってことだと。ただ、ツッコミどころがあるとしたら「血って、血液型によって味があるの?」というところだったんです。 AはキリッとBはまろやか OはドロッとABがbetter 「吸血鬼はAB型がお好き」/BIGMAMA 金井:ちなみに、こないだ自分のラジオ番組でもたまたま血液型に詳しい方に話を聞いてみるというコーナーがあったんですけど、よく言われる“血液型の相性”とか“性格”とかは「あなたの思い込みです」って全否定されまして。それでも、血液型について食事の席とかで話すことって少なくないし、僕自身共感することもあるし、純粋にエンタメとして面白いところもあるじゃないですか。 だからこそ「じゃあ吸血鬼は何型が好きか」という着想が生まれて、結果「AB型が好き」というキーフレーズができたんです。もともと音楽は楽しいものなので、単純に言葉で遊べたらいいなと思って完成したのがこの曲ですね。ひたすら<ABがbetter>と言い続けるという…。 ― 金井さんは何型ですか? 金井:O型です。 ― てっきりAB型かと思いました(笑)。 金井:そんな自分を美化した歌詞にはできません(笑)。身近な人間は僕のことを「絶対に0型でしょ」って言いますね。ものごとを決めるのが得意じゃないので。 ― いわゆる“O型の特徴”というと何でしょうね。 金井:何より、絶対的に優柔不断ですね。まぁ血液型に詳しい方には全否定されたわけですけど…。でも、O型のひとが3人いたとしたら「何を食べる?」っていつまでも決められないイメージがあるんですよ。みんながみんな「何でもいいよ」と言い合っているシーンが、自分のなかで想像できるというか。 ― でもきっと、内心「これが食べたい!」という意思があるわけでもないんですよね? 金井:そうそうそう。本っ当に何でもいいんですよ。とくに僕の場合、仕事のストレスとして実は最も抱えがちなのが、どっちでもいいことを自分の責任で決めるというシチュエーションなんですよ。それが結構、ツラいときがあって。たとえば、同じくらい「いいな」と感じているときに「この黄色とこの黄色、どっちがいいと思う?」とか聞かれると、内心「どっちでもいいなぁ…」と思いながらも、どちらかを僕が決めないといけない。 そうやって決め疲れているわけですよ、いろんなことを。「あなたが選んだんでしょ?」という責任がすべて跳ね返ってくるので。だからその分「何を食べる」なんて質問には心から「何でもいいわ」と思うんですね。このように、10年以上のミュージシャン生活で、僕の性質が作り上げられてしまいました。よって、物事をパッと決めてくれるひとと一緒にいるのが、めちゃくちゃ楽ですね。 【第3弾に続く!】 (取材・文 / 井出美緒) ◆紹介曲 「 mummy mummy 」 作詞:金井政人 作曲:BIGMAMA 「 吸血鬼はAB型がお好き 」 作詞:金井政人 作曲:BIGMAMA 【第1弾】はコチラ! 【第3弾】はコチラ! ◆ニューシングル「mummy mummy」 2019年4月17日発売 初回限定盤 UPCH-7484 ¥1,800+税 通常盤 UPCH-5959 ¥1,200+税 <収録曲> 1.「mummy mummy」 2.「吸血鬼はAB型がお好き」 3.「Wolfgang in the moon」