さめざめ

平成最後の好きな人が自分の生涯を共にする相手ではなかったとしても

 2019年4月10日に“さめざめ”がニューアルバム『ネオフューチャーメンヘラ』をリリースしました。今日のうたコラムでは、今作から、歌詞先行公開時より注目度ランキング3位を記録していた人気曲「ラストセックスフレンド」をご紹介いたします。第1弾、第2弾に続き、さめざめ“笛田サオリ”本人がフレーズごとに込めた想いを綴る歌詞エッセイの最終章・第3弾!歌詞と併せて彼女の生の言葉をお楽しみください。

~「ラストセックスフレンド」歌詞エッセイ~

 この曲はアルバムの中で最後の最後にできた曲。セックスフレンドなんて決してなりたかったわけじゃない。好きになって夢中になって、どうしても一緒にいたいから選んだもの。カッコつければ「名前のない関係」かもしれないけど、きっと好きな人からすれば私は「セックスフレンド」だった。好きな人に失恋をしてしまった今、私はあの人を最後のセックスフレンドにしようと決めた。きっともう二度とあんなに苦しすぎる恋をしない。

一番、悲しいシーンで一時停止したまま
帰る場所なんてなかったから適当な灯り探して
自分を騙していた、君にとって大切なものだと
そんな変な顔をしないでよ いつもみたいに笑って


 この話は、好きな人に想いを伝えてフラれたところから始まっている。<自分を騙していた>はアルバムリード曲「一生あたし女の子宣言」の<鈍感にもなれちゃうクズ>とイコールである。自分にとって知りたくない現実だからこそ、自分の良いように自分を洗脳し、自分を騙した。<適当な灯り>=身近にいる自分に優してくれる人を探した。

 <そんな変な顔をしないでよ>はアルバム収録曲「あなたしかいなかったあたしなんて死んでくれ。」の<変なこと言わないから>と話が繋がっている。自分が伝えた想いに対して、好きな人が自分の想いとは相反する表情を見せた。それを<変な顔>と表現した。5曲目の「ラストセックスフレンド」の次に「あなたしかいなかったあたしなんて死んでくれ。」が続いてるのは、本当に物語の続編の曲だから。

心の奥の奥の奥の部屋で泣いているんだよ
だけど出会う前のあたしになんて
戻りたくないの、もう戻れないの

 人の前では陽気なふりをしたり、笑ったりしているときほど、一人の時は死んだ魚の目をしていた。誰にも見せることのない部屋で押し殺しながら泣いているのは“さめざめ”だから。

好きだけじゃどうにもできない
好きなとこいっぱいあるのに
ああ、君の恋になれなかった
これで最後、これが最後と誓った


 好きな人のことを思って素直に出てきた言葉。好きって言葉ほど無力なものはないと思った。<最後>は二つの決意の意味合いがある。もうこれで会わないという最後の決意。もう一つはセックスフレンドという存在をこれで最後にしたいという決意。

一番、優しいシーンもつめを折って残したまま
誰にも分からなくていいの あたしたちだけのもの


 この曲は私が生きた3つの時代背景を描きたいと思った。私が生まれた昭和の名残を出すために<カセットテープ>のつめを折るという言葉を使った。

他人(ひと)が思うよりずっとずっとずっとこれは恋だったの
その目に惹き込まれたあの日から
分かっていたよ、だけど正しいことがすべてじゃない


 初めて好きな人と見つめ合ったときに感じたこと。目を合わせたときに一瞬でその人の目に惹きこまれた。<だけど正しいことがすべてじゃない>この曲で一番、芯のある言葉だと思う。「一生あたし女の子宣言」や「異常な乙女」にも出てくる“正しさ”という言葉は今回のアルバムの裏テーマだ。

好きだけじゃどうにもできない
好きなほど前は見えなくて
ああ、君の恋になりたかった
超えてしまった、永遠なんてもう死んだの

 二十代の頃、失恋をしたときに人生の先輩に言われた言葉。「永遠なんてないんだよ。」そう言われた時、当たり前なのに永遠がないことに悲しすぎて泣いてしまった。そのときやっと知った、永遠が手に入らないものだって。

君のいないこの街は詰まんないね、月もきたないね
平成最後の好きなひとよ、一生忘れない 
一生、一生、一生忘れない

 月がきれいだと好きな人のことを思い出した。月がきれいだと好きな人に連絡をした。<平成最後>という言葉、ありきたりだからこそ作品に残したかった。昭和に生まれ、平成最後のこの4月に作品をリリースし令和に向かっていくことへの決意。

好きだけじゃどうにもできない
好きなとこいっぱいあるのに 
ああ、君の恋になれなかった 
これで最後、これが最後と誓っても
もう二度と会えないくらいならキスも何もしなくていいから
心殺してもそばにいたい
それくらい恋だった、君はあたしの恋だった
あたしのことを見つけてくれてありがとう

 この歌詞を書いたときは、<もう二度と会えないくらいならキスも何もしなくていいから>と思っていたのに、いざ本当に失恋をしてしまうとキスも何もしないのにそばにいるということがこんなにも辛いと思わなかった。現実は心を殺せなかった。<あたしのことを見つけてくれてありがとう>普通はプロポーズされた女性が男性に言う言葉。でもあえてこの言葉を言う。だって、私にとってはそれくらいの好きだった人だから。

 平成最後の好きな人が自分の生涯を共にする相手ではなかったとしても、間違いなく出会ってから惹かれあって一緒に過ごした時間に嘘はない。楽しかったから。彼女じゃなかっとたしてもそばにいたあの日々は、死ぬ前に走馬灯の中で流れる思い出の一つだろう。もうキスをすることもない好きな人へ、最後にちゃんとお礼を言いたい。現実では変な顔されそうだから言えなかったけど、「あたしのことを見つけてくれてありがとう」。

<さめざめ・笛田サオリ>

【第1弾「一生あたし女の子宣言」歌詞エッセイ】

【第2弾「どうでもいいから愛しあおうよ。feat.後藤まりこ」歌詞エッセイ】

◆紹介曲「ラストセックスフレンド
作詞:笛田サオリ
作曲:笛田サオリ

◆ニューアルバム
『ネオフューチャーメンヘラ』
SMZM-0010 ¥2,800+税

<収録曲>
01. 一生あたし女の子宣言
02. どうでもいいから愛しあおうよ。 feat. 後藤まりこ
03. SAYONARA at room
04. 夜、それは限りなく
05. ラストセックスフレンド
06. あなたしか見えなかったあたしなんて死んでくれ。
07. 異常な乙女
08. デェトスポット
09. プリプリアイラブユー ~プロポーズ願書受付中~
10. あたしに生まれて 
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