さめざめ

二人の声に一緒にあなたの声も混ざって歌って欲しい。

 2019年4月10日に“さめざめ”がニューアルバム『ネオフューチャーメンヘラ』をリリースしました。幸せになれない恋ばかり繰り返す女子たちに、圧倒的な支持のある楽曲を生み出し続けてきた彼女は今年で結成10周年。今作にも、報われない恋をする女性の心を描き切った、共感力の高い、聴けば聴くほどクセになる全10曲が収録されているんです。
 
 今日のうたコラムでは、そんなニューアルバムから“後藤まりこ”とコラボレーションした新曲「どうでもいいから愛しあおうよ。feat.後藤まりこ」をご紹介いたします。今回も第1弾に引き続き、さめざめの“笛田サオリ”本人がフレーズごとに込めた想いを綴ってくださいました。尚、4月12日には歌詞エッセイ最終章・第3弾を公開予定です…!


~「どうでもいいから愛しあおうよ。feat.後藤まりこ」歌詞エッセイ~

 今回はそれぞれが抱える「生きづらさ」をテーマにしました。性別も肌の色も容姿も見えないコンプレックスも誰かが抱えて生きているものに対して、そんなのどうでもいいくらいの衝動で生きて欲しい、目に見えないものを大切にして欲しい、という強い願いと自分自身への決意を後藤まりこさんと歌わせていただきました。二人で歌ったからこそみんなに届けられるものになったと思います。

オギャーオギャーって生まれてきた時には決まっていたんだ
血も直系も名前も顔も環境も
なんか違うって思いながら思春期になって
このまま死んでたまるかって閃いた

 私は4歳にして人生で初の円形脱毛症になるほど幼稚園という環境で息が詰まりそうな気持ちで生きていた。小学生の頃はスクールカーストの最下級にいる生徒でいじめにも遭っていた。いじめっ子たちに体育館裏に呼び出されて土下座をさせられたこともあった。学校を休む勇気も非行に走る勇気もなくて、人の印象に残らないように目をつけられないように生活していた。でも、高校生の頃に音楽で自己表現をすることを覚えた時、このままの自分の生き方で終わりたくないと思った。

いけないことはいけないって言われれば言われるほど
その心理が知りたくなって
叶わぬもの叶えたくて
この衝動、大量生産したくなったの

 大人になればなるほど、一般常識で「いけない」と言われるものに興味を持つようになった。いけないと括られたものほど衝動というものは抑えられなくなっていく。

あたしはあたし、あなたはあなたは、そんなのどうでもいい
黒くても白くてもそんなのどうでもいい・いい
男とか女とかそんなのどうでもいいから
目に映るものだけがすべてじゃない

 ここ数年、新宿二丁目で飲むことが増えて感じたこと。性別という概念なんてどうでもいいし、世の中で白黒はっきりさせなきゃいけないものだってどうでもいい。目に映るものだけを真実と呼ぶのはとても残酷で、目に映るもの以外を大切にしたいと思った。

生まれたからには「使命」があるって信じていたいな
これか?あれか?どれなんだ?ってのたうち回っても
みんなと同じ風になれないしなりたくないの
唯一、同じなのはこの空の下

 後藤まりこさんを「ミドリ」の頃から見ていて現在に至るまで、突き進んでいく勇者のような生き様に自分にないものをたくさん感じて憧れを抱いていた。後藤まりこさんこそ「使命」を感じて歌っているように見える。私は「さめざめ」を見つけるまで、十代の頃はアイドルを目指し、一時期は作家を目指し、バンドをやったりしたけどやっと「さめざめ」を見つけることができた。後藤さんも私も全く違う音楽の生き方をしてきたけど、これからも唯一無二な存在でいて欲しいし、いたいと願っている。

好きなものは好きだってなんで言っちゃいけないの?
なんで隠さなきゃいけないの?
息しづらい、生きづらい
この街でちゃんと呼吸をさせてよ

 自分が東京を選んでこの街で生きていると言うのに、時に心は行方不明になり呼吸がしづらくなる。自由を謳いやすいこの街でさえも上手く生きるのは難しい。

ぼくはぼく、きみはきみ、そんなのどうでもいい
名前とか秘密とかそんなのどうでもいい・いい
大人とか子供とかそんなのどうでもいいから
目に映るものだけがすべてじゃない
目に映るもの以外のすべてが愛

 後藤まりこさんはお話をする際にご自身のことを「僕」と呼ばれるので、それをあえて歌詞に入れてみた。二人で歌うからこそ、よりこの曲で伝えたいものが伝わった気がする。

他人のせいにしたくないの 
今、ここで生きてること ここで悶えていること
自分のせいにしたいから、この衝動に従ってゆこうよ

 私がよく思ってること。他人にああしろこうしろと言われて上手くいかないと結局、他人のせいにしてしまう。それなら自分のせいにしてやりたいように、衝動のまま生きていきたい。

あたしはあたし、あなたはあなたは、そんなのどうでもいい
黒くても白くてもそんなのどうでもいい・いい
男とか女とかそんなのどうでもいいから
目に映るものだけ見てんじゃないよ
ぼくはぼく、きみはきみ、そんなのどうでもいい
名前とか秘密とかそんなのどうでもいい・いい
ちゃんと見て、もっと見て、あたしの中のあたしを
目に映るものだけがすべてじゃない
目に映るもの以外のすべてが愛

あいあいあいあい
あいあいあい あいあいあい
あいあいあい あいあいあい

 私の声と後藤さんの声が混ざり合った時、違う生き方をしてきた同世代の私たちがその瞬間この作品で愛を産み出すことができた。今回は後藤さんのコケティッシュな声や息づかいなどを贅沢にも自分の楽曲で発揮していただいた。フューチャーリングの初めての相手が後藤まりこさんで私は本当に幸せだ。歌詞には表記してない最初と最後の「どうでもいいから愛しあおうよ。」の二人の声に一緒にあなたの声も混ざって歌って欲しい。あえて歌詞に表記しなかったのは、タイトルとしての価値をより輝かせたかったからだ。

<さめざめ・笛田サオリ>

【第1弾「一生あたし女の子宣言」歌詞エッセイ】

◆紹介曲「どうでもいいから愛しあおうよ。 feat. 後藤まりこ
作詞:笛田サオリ
作曲:笛田サオリ

◆ニューアルバム
『ネオフューチャーメンヘラ』
SMZM-0010 ¥2,800+税

<収録曲>
01. 一生あたし女の子宣言
02. どうでもいいから愛しあおうよ。 feat. 後藤まりこ
03. SAYONARA at room
04. 夜、それは限りなく
05. ラストセックスフレンド
06. あなたしか見えなかったあたしなんて死んでくれ。
07. 異常な乙女
08. デェトスポット
09. プリプリアイラブユー ~プロポーズ願書受付中~
10. あたしに生まれて 
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