まだ私は私の歌を歌える。

yutori
まだ私は私の歌を歌える。
2025年8月27日に“yutori”がニューシングル「月と私のかくれんぼ」をリリース! タイトル曲は、TVアニメ『ウィッチウォッチ』第2クールエンディングテーマです。佐藤古都子の伸びやかで艶のある歌声と、あなたを想う切実な恋心をかくれんぼに喩えた歌詞。それと対照的に高らかでキャッチーなサウンドが特徴の楽曲になっており、ストレートなロックサウンドの楽曲を多くリリースしてきたyutoriの幅の広さを示す1曲に。 さて、今日のうたではそんな“yutori”の佐藤古都子による歌詞エッセイをお届け。自身の全てを捧げた歌「月と私のかくれんぼ」。そして、一文字も歌詞を書けない日々が続いたからこそ、生まれた歌「宇宙からのラブレター」のお話です。ぜひ今作とあわせて、エッセイを受け取ってください。 「月と私のかくれんぼ」 『ウィッチウォッチ』第二クールエンディング曲として書き下ろしたこの曲。 タイアップに選ばれなければ、しばらく曲を書くのをやめようとも思っていた。 私も一人の人間なので、嫉妬や劣等感を抱く。 自分の理想や希望が叶わなかった事は今まで何度あっただろうか。 その度に、才能がない自分に苛立っていた。 だが、『ウィッチウォッチ』の制作チームは「月と私のかくれんぼ」を選んでくれた。yutoriにアニメのエンディングを任せてくれた。 大袈裟でもなくその時の私の全てを捧げたこの曲が選ばれたのが、何よりも嬉しかった。 伝えられた時、安堵と喜びと、まだ私は私の歌を歌えると言う気持ちがあった。 「私は弱い」 だから、音楽に、歌に、詩に、月に縋らないと生きていけないのだと思った。 「宇宙からのラブレター」 「月と私のかくれんぼ」の歌詞を書き終えてから、一文字も歌詞を書けなくなった。 まるで自分が空洞のように思えて、いっその事全て投げ出してやろうと何度も思った。 私は臆病者であり思案するたちなので、何も出来ず、ただベッドの上で丸まり、悶々とする日々が続いた。 考えたのは、私が死んだ後の事。 私が死んだら最愛の君に何をしてほしいか。 私がいなくなった後に君が過ごす時間。 望まなくとも私もいつかは、老いて死ぬ。 その時がいつ来るかは分からない。 その時が来ても、出来る限り君には悲しんで欲しくない。 だから、音楽に、歌に、詩にその想いをのせた。 私が死んだ後には、きっと君は悲しさと寂しさと不安で何も出来なくて苦しい時間を過ごすだろう。 でも、君が夜空を見上げた時に、安心してほしいから出来ることをするよ。 星々を光らせ、流星群を見せ、私はここにいると証明する。 私は今も、過去も、未来も、全ての時間で君を愛している。 そんな君の事だから分かってくれるでしょう? だから、私より先に死なないでね。 なんてことを思った夜に、綴った一曲です。 <佐藤古都子> ◆紹介曲「 月と私のかくれんぼ 」 作詞:佐藤古都子 作曲:佐藤古都子 「宇宙からのラブレター」 作詞:佐藤古都子 作曲:佐藤古都子