ぼくらの声は、誰かを愛するためにあるんだ。

 2019年4月1日に“いきものがかり”が新曲「SING!」を配信リリースしました。フジテレビ系『めざましテレビ』のテーマソングとして書き下ろされたこの曲。毎朝、晴れやかであたたかな歌声がわたしたちの心を優しく包み込み、新たな一日をスタートさせるためのパワーを与えてくれております。今日のうたコラムでは、そんな1曲をご紹介!

歌いはじめよう
ぼくらの声は
誰かを愛するためにあるんだ
なんどだって伝えるから
あなたの手よ 優しいままでいて
「SING!」/いきものがかり

 
 「おはよう」「行ってきます」「行ってらっしゃい」が飛び交う朝。そうした当たり前の風景にだって<ぼくらの声は 誰かを愛するためにあるんだ>というフレーズが通じます。わたしたちは日々、無意識のうちに<誰かを愛するため>の声を、愛する誰かへの声を、伝えているのです。でも<優しいままで>い続けるのは、簡単なようで難しい。だからこそ、いきものがかりは<なんどだって伝えるから>と歌うのでしょう。

朝陽が街を照らしてる
行き交うひと みんなそれぞれに
自分という大事なストーリー
ただ懸命に今日を暮らしている
街頭ビジョンで流れるつらいニュース 誰か責める声
でも信号待ちの親子は 笑っていたよ
ちゃんと手をつないで

優しさはきれいな絵空事じゃない
そうぼくらだって ためされてる
想いあうこと 投げ出さず 笑えてるかな
「SING!」/いきものがかり


 では<優しいままで>いるのが難しいときとは、どんな場合でしょうか。たとえば<自分という大事なストーリー>に傷をつけられたようなとき。<ただ懸命に今日を暮らしている>のに報われないとき。<街頭ビジョンで流れるつらいニュース>を目にすれば、つい<誰か責める声>側に回ってしまったり。SNSで棘のある言葉を向けてしまったり…。
 
 そんなふうに、行き場のない自分のつらさを、違うつらさのなかにいる“見知らぬ誰か”にぶつけてしまうひとも少なくないでしょう。しかし、そこから生まれるのは“つらいの連鎖”だけです。きっと、つらいときこそ、<優しいままで>いるのが難しいときこそ、<ぼくら>は<ためされてる>のだと思います。そのつらさを越えられるかどうか。
 
 そして“隣にいる大切なひと”と<想いあうこと>ができるかどうか。その手を<投げ出さず 笑えてる>かどうか。もちろん<信号待ちの親子>にだって大変なことはあるでしょう。それでも<笑っていた>。<ちゃんと手をつないで>いた。その姿からは<ためされ>ながらも<きれいな絵空事じゃない>優しさを、しっかり守り繋いでゆくひとの強さが伝わってきますよね。

怒りや悲しみに心捨てないで
いまできることを つづければいい
見失うなら この手を つかめばいいさ

愛しつづけよう
うまくいかない
くじけそうなときほど顔上げて
それはぜんぶ無駄じゃなくて
つづいていく ぼくらの物語

もっとぼくらは生きていくんだ
自分の手でしあわせを描いて
涙なんてぬぐえること
忘れないで 大丈夫だから
「SING!」/いきものがかり

 また、わたしたちが<優しいままで>あり続けるために大切なのは、ただ“誰かと手を繋ぎ続けること”だけではありません。自分の手で<いまできることを>つづけて、<しあわせを描いて>、<涙なんて>ぬぐってゆくこと。もし怒りや悲しみに支配され、心を見失いそうになったなら“<この手>=音楽”をつかんでみること。そうした“選ぶ強さ”もこの歌は教えてくれているのです。

選びつづけよう
誰かじゃなくて
ぼくらでぼくらの道をなんども
笑えたなら そこにはもう
希望がある 優しいままでいて

歌いはじめよう
ぼくらの声は
誰かを愛するためにあるんだ
もう悲しみに負けないで
あなたの手は ひとりじゃないんだ
この世界よ 優しいままでいて
「SING!」/いきものがかり

 つらいひとが、つらいひとを責めれば、それは“つらいの連鎖”になります。だけど<誰かを愛するため>の声が、<誰かを愛するため>の声と重なれば“愛の連鎖”になる。<優しいまま>の手が、<優しいまま>の手と繋がれば“優しいままの世界”が生まれる。だからどうか今日も、もっと多くの“愛の連鎖”で“優しいままの世界”が広がって欲しい。そんな願いが込められているのが、いきものがかり「SING!」です。

“ありがとう”って伝えたくて あなたを見つめるけど
繋がれた右手は 誰よりも優しく
ほら この声を受けとめている
「ありがとう」/いきものがかり

いつだって真ん中にあるよ
たいせつなものはここにある
つつむような君のその手が優しい 強く握り返すよ
「笑顔」/いきものがかり

帰りたくなったよ 君が待つ街へ
かけがえのないその手に今 もう一度伝えたいから
「帰りたくなったよ」/いきものがかり

泣いて 笑って つないだこの手は
最後の瞬間まで 離しはしないで
この道の先を またふたりで
歩いていこう… 歩いていこう…
「茜色の約束」/いきものがかり

 これまでも、たくさんの“優しい手”を歌い続けてきた、いきものがかり。新時代・令和にもよりいっそう凜と真っ直ぐな歌声で<ぼくらの声は 誰かを愛するためにあるんだ>と、<あなたの手は ひとりじゃないんだ>と、<なんどだって伝え>続けてくれることでしょう。新章の幕開けとなる「SING!」を是非、じっくりとご堪能ください…!

◆紹介曲「SING!
2019年4月1日配信
作詞:水野良樹
作曲:水野良樹
編曲:亀田誠治