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  • Ghost like girlfriend
    シャンプーが無くなるその度に僕は誰かと巡り会う。
    シャンプーが無くなるその度に僕は誰かと巡り会う。

    Ghost like girlfriend

    シャンプーが無くなるその度に僕は誰かと巡り会う。

     2019年6月19日に、岡林健勝によるソロ・プロジェクト“Ghost like girlfriend”が1stフルアルバム『Version』をリリースしました。先日のうたコラムでは今作から 「pink」をご紹介 。この歌の<僕ら>は、わざと愛を見ない振りして<曖昧な関係>を保っているような二人でしたが、1曲のなかでその心が淡く変化してゆく模様が描かれております。 大体3ヶ月毎くらいに僕の髪の匂いは変わる シャンプーが無くなるその度に僕は誰かと巡り会う 「Under the umbrella」/Ghost like girlfriend  さて、今日のうたコラムではさらに、同アルバムから梅雨の季節にピッタリなラブソング「Under the umbrella」をご紹介いたします。どうやら、この歌に描かれている<僕>もまた、自分の“愛”を手放しで信じられる主人公ではなさそう。その原因となっているのが<大体3ヶ月毎くらいに僕の髪の匂いは変わる>というこれまでの経験でしょう。  歌詞を読み進めていくと想像できますが、多分<僕>の<シャンプー>はその時々の恋人により選ばれているもの。しかしそれは<大体3ヶ月毎くらい>で変わり<シャンプーが無くなるその度に僕は誰かと巡り会う>のです。つまり恋人も<大体3ヶ月毎くらい>で変わり、ひとりの恋人とそれ以上、長続きできないということではないでしょうか。 傘を盗られて立ちすくむ僕に話し掛けてくれた 透明な天井のその下で僕ら初めて笑った 「それじゃまた」って手を振り合って びしょ濡れになった身体にシャワーを 買い忘れたシャンプーに気付いた さよなら、また明日 去り際が目蓋から離れない さよなら、また明日 今日は色々と疲れた 「Under the umbrella」/Ghost like girlfriend  そんな<僕>の過去を踏まえた上で、幕を開けるのがこの歌です。まず、冒頭では<僕ら>の“出逢い”が描かれます。シャンプーがなくなり(=独り身になり)、雨のなか買い物に行った主人公。そこで<傘を盗られ>るというアクシデントが起こるのですが、その災難が逆に<君>が<僕に話し掛けてくれた>というラッキーなきっかけに。  そして<君>の“ビニール傘=<透明な天井>”の下で笑い合う二人。相合傘というちょっとした“密室空間”でグッと距離が縮まり、一度きりの縁ではなく「それじゃまた」と言える繋がりが生まれたのでしょう。こうして<僕>は、これまでのジンクスどおり<シャンプー>が無くなり<君>という新しい人と巡り会いました。帰ってから<買い忘れたシャンプー>に気づくほど、高揚した時間であったことが伝わってきますね。 TSUTAYA で「タンポポ」を借りて 雨に刃向えてない姿に昨日の俺みたいって笑って 腹を空かせて まだ止まない雨を聴きながら 平らげた飯の余韻で寝転んだ 髪の匂い、2人揃えて さよなら、また明日 言わなくたっていつの間にか 暑くて布団から脚を起こさぬように出す夜が増えた 「Under the umbrella」/Ghost like girlfriend  些細なきっかけから恋人同士になった二人。ここからは“ビニール傘=<透明な天井>”の下ではなく“部屋の天井”の下で一緒に過ごす時間が描かれてゆきます。映画を観て、ご飯を食べて寝転んで、お揃いのシャンプーで髪の毛から同じ匂いをさせて。そんな日々を繰り返しているうちに、いつの間にか「さよなら」なんて言葉は遠ざかり、<暑くて布団から脚を起こさぬように出す>ような思いやりも日常になりつつあります。 幸せがあまりにも過ぎるとね 不安が降り止まなくなるのはいつも 近付いて、近付き過ぎて、すれ違うから 2人して詰め替えたシャンプーが無くなりそう それだけで何となく怯えてる自分が情けないけど 降り止まない不安は余所目に見るくらいで良いか 幸せの真下で僕ら夢中に過ごせたのなら 「Under the umbrella」/Ghost like girlfriend  とはいえ、ふとしたときによぎるのが<大体3ヶ月毎くらいに僕の髪の匂いは変わる>という自分の経験です。今回もやっぱり同じなんじゃないのか。もうすぐで<2人して詰め替えたシャンプーが無くなりそう>だし。いつも<幸せがあまりにも過ぎると><不安が降り止まなく>なって、終焉を迎えてきたのだという事実も改めて実感しています。    だけど、この恋が今までと違うのは、<降り止まない不安>に押しつぶされず、それを少し客観的に見ることができそうなところ。そして<降り止まない不安>以上に<幸せの真下で僕ら夢中に>過ごしたいというプラスのパワーが勝っているところ。今や二人を守る<透明な天井>は、日常という名の“幸せ”なのでしょう。 だからどうか出来れば変わらずこのまま居られるように さよならはまだいつか 髪の匂いは揃えたままで 「Under the umbrella」/Ghost like girlfriend  こうして幕を閉じてゆく歌。この二人の「さよなら」がずっとずっと遠くでありますように。どれだけ歳を重ねても<髪の匂いは揃えたまま>共に歩み続けられますように。そんなことを願わずにはいられないのが、Ghost like girlfriend「Under the umbrella」です。是非、お揃いの髪の匂いをさせている、大切なひとを想いながら聴いてみてください…! ◆紹介曲「 Under the umbrella 」 作詞:Okabayashi Kensho 作曲:Okabayashi Kensho ◆1stフルアルバム『Version』 2019年6月19日発売 初回限定盤 UPCH-29331/2 ¥3,200 (+tax) 通常盤 UPCH-20517 ¥2,800 (+tax) <収録曲> 1. Last Haze 2. girlfriend 3. Midnight Rendez-Vous 4. sands 5. pink 6. あれから動けない 7. shut it up 8. burgundy blood 9. Under the umbrella 10. fallin’ 11. feel in loud

    2019/07/08

  • ヒグチアイ
    こだわり、に、個性、があると言っても過言ではない。
    こだわり、に、個性、があると言っても過言ではない。

    ヒグチアイ

    こだわり、に、個性、があると言っても過言ではない。

     今秋に“ヒグチアイ”がメジャー3枚目となるニューアルバムをリリースします。さらにその発売に先駆け、2019年6月19日を皮切りにデジタルシングル三部作を配信することが決定。すでに第1弾「前線」が配信中です。さて、今日のうたコラムでは、そんなリリースを記念して“ヒグチアイ”本人がエッセイを執筆してくださいました。    7月~9月の期間に月1度、スペシャルな記事をお届け…!尚、待望のニューアルバムは、ヒグチアイが自身の過去を振り返って、これまでの自分と向き合いながら制作されているとのこと。今回のコラムも、何かの収録曲に、どこかのフレーズに、繋がっているのかもしれません。それではまず、第1回エッセイをじっくりとご堪能ください! 【第一回:ウオノメと幼きわたし】 良い毛抜きを買う。 わたしのこだわりの一つである。 こだわり、に、個性、があると言っても過言ではない。それがどんなに小さなこだわりだとしても。 実家には大量の毛抜きがあった。家系なのか、足の裏にウオノメがよくできる家族だった。ウオノメ、というのは直径5ミリほどのイボで、中心にある芯を抜くと治る、と樋口家では言われていた。母親が、ウオノメの芯を抜くのが、死ぬほど好きだった。それはもう、すごかった。母は、巻き爪で、よくその爪を自分で抜いていた。ぼろぼろで血だらけになった足を見て満足げだった。 母に見つかるとウオノメの芯を抜かれてしまう。そしてあんな風にぼろぼろの血だらけにされてしまう。そう思ったわたし、兄、妹は、こっそり自分でウオノメの芯を抜いていたのだ。そしてその作業をするうちに、わたしにもその血が流れていることを知った。わたしは、ウオノメの芯を抜くのが死ぬほど好きだと。 家にあった毛抜きは、先が四角く持ち手まで同じ太さの「定番毛抜き」、そして先が少し細くなっている「台形毛抜き」、そして先がとても細く少し曲がっている「ピンセット毛抜き」の三種類だった。わたしの一番のお気に入りはピンセット毛抜き。どんな隙間でも追い求められるし、掴めば離さない、それはサバンナで生きる蛇のようでもあった。 実はこのピンセット毛抜きがうちの一番人気。常にトップを走り続ける看板ピンセットだったため、よく借り出されていた。家族五人暮らしだったため、ウオノメ時期が重なるとかなりの確率で借りることができない。 「あ、あのさ、ピンセット毛抜きどこ行ったかな?」なんて言おうもんなら母親の餌食になる。そして、芯を抜き終わった誰かは元の場所に毛抜きを戻したりなんかしない。自分の手元に置いて、常に監視していたいのだ。束縛したいのだ。だってピンセット毛抜き以外毛抜きじゃないの…。 大人になり、ウオノメの出来ない身体になったわたしはもうピンセット毛抜きへの依存はなくなった。しかし、驚いたことに、大人の女性というのは、毛抜きが必要な生き物だったのだ。わたしはピンセット毛抜きを探した。いやピンセット毛抜きよりもっといい毛抜きがあるのかもしれない。Amazonをかき分け、楽天市場で迷子になり、そしてたどり着いた東急ハンズで出会った。壁一面に並んだ毛抜きの中でそいつは輝いて見えた。値段も意味わからんぐらい高かった。 買った。買ってやった。そして勝った。勝ったのだ。 以来一度も浮気せずその毛抜きを使い続けている。 こだわり、に、個性、があると言っても過言ではない。それがどんなに小さなこだわりだとしても。そしてそのこだわりは幼少期に作られたものがとても多い。思い返してみてほしい。あなたのこだわりはなんですか? <ヒグチアイ> ◆3rd Album 今秋リリース決定! 先行デジタルシングル三部作 第一弾「 前線 」配信中 ▶iTunes ▶AppleMusic ▶Spotify <LIVE> ■ヒグチアイ アルバムリリース記念 新曲披露独演会 [ 闇市 ] 2019年8月3日(土) 代官山 晴れたら空に豆まいて 2019年8月10日(土) 大阪 GANZ toi,toi,toi ■HIGUCHIAI presents 好きな人の好きな人 - 氷 山 - 2019年8月24日(土) 渋谷CLUB QUATTRO act:mol-74 / ヒグチアイ +1act(後日発表) ■HIGUCHIAI band one-man live 2019 2019年11月16日(土) 東京 Veats shibuya 2019年11月24日(日) 大阪 梅田 Banana Hall

    2019/07/05

  • Ghost like girlfriend
    愛がどうとか面倒なこと、言い出さないところが好きさ。
    愛がどうとか面倒なこと、言い出さないところが好きさ。

    Ghost like girlfriend

    愛がどうとか面倒なこと、言い出さないところが好きさ。

    芝付(しばつき)の御宇良崎(みうらさき)なるねつこ草 逢ひ見ずあらば吾(あれ)恋ひめやも (『万葉集』巻14-3508 相聞歌 作者未詳)  万葉集にこんな歌がございます。登場する【ねつこ草】とは7月4日の誕生花でもある“ネジバナ”のことであり【あなたに逢うことがなければ、私は恋に苦しむことはなかったのに】と、ひとが恋焦がれる姿と花がねじれて咲く姿を重ねて詠まれていると言われているんだとか。みなさんも恋愛で心身がねじれるような想いをしたことありませんか…?    しかし、世の中には、そうした苦しみや憂鬱をあえて避けることで続くような関係もあるんですよね。今日のうたコラムでは、一見冒頭の恋歌とは正反対に思えるラブソングをご紹介。2019年6月19日、岡林健勝によるソロ・プロジェクト“Ghost like girlfriend”がリリースした1stフルアルバム『Version』に収録されている新曲「pink」です。 「水色と黒との間がオレンジって何でだろうね」 午後5時の空見て電話を掛けてきた君が言う 「会いたくなったから来て」と 何ら予想外でもない事を言い出されても 「はいはい」と面倒そうに 予定を切り上げる自分のダサさに笑う 散々なわがままに振り回されたって夜に 言う事聞かせてしまえば良いし 曖昧な関係 愛がどうとか面倒なこと 言い出さないところが好きさ 「pink」/Ghost like girlfriend  歌詞から想像するに、二人は<会いたくなった>ときに気軽に会うような<曖昧な関係>です。もっと言えばお互いに“都合の良い”関係なのかもしれません。そして、そんな関係が心地よいからこそ<愛がどうとか面倒なこと 言い出さないところが好き>なのでしょう。また、この関係性はいくつか綴られている“色”にも表れていると思います。    今、二人は<水色と黒との間がオレンジ>の<午後5時の空>状態なのです。水色は、開放感や自由をイメージさせ、黒からは先の見えない未来やふとしたときの孤独が伝わってきます。そこにオレンジの、陽気さや楽しさやぬくもりが加わる。そんな空のように、この<曖昧な関係>は絶妙なバランスで美しく保たれているのではないでしょうか。    とはいえ、二人の間に恋愛感情がないわけではないこともわかりますよね。<午後5時の空>を見て電話を掛けたくなる相手。「会いたくなったから来て」と言いたくなる相手。そう言われたら<予定を切り上げ>てでも会いに行きたくなる相手。<散々なわがままに振り回されたって>いいと思える相手。それはたしかに“好きなひと”でしょう。 雨のち晴れみたいな事が世の中多過ぎる 最後は笑えるって言われてもね それまでは憂鬱だなんて身が持たないわ 何者同士なんだろう その憂鬱を避けて出来た僕らの関係は 灰色の空の下で僕らは相変わらず手を繋いで笑う やんわり愛が芽吹けば摘み取り見て見ぬ振り おかげで苦しむ事も無い 今まではそうやって冷めてようとしてたけど 少しの苦しみくらいなら良いかな 「pink」/Ghost like girlfriend  さて、歌の中盤では、二人が<曖昧な関係>を続けてきた理由が明かされます。やはりお互い<憂鬱>や<苦しむ事>をわざと避けてきたのです。<雨のち晴れみたいな事>が嫌だから。<やんわり愛が芽吹けば摘み取り見て見ぬ振り>して。きっとそれは人一倍、恋愛における<雨>を恐れている証です。怖いから<愛>に気づかぬ振りをするのです。  それでも<憂鬱>や不安や迷いは心のどこかにあるはず。その象徴が<灰色の空>というワードでしょうが、二人は何食わぬ顔をして<手を繋いで>笑います。だけど、この歌の途中、ほんの少し変化が生じるのです。まず<今まではそうやって冷めてようとしてた>自分を認め、さらに<少しの苦しみくらいなら良いかな>と“愛への覚悟”のひとことをこぼしているのです。 夜が明ける頃、君のいびきでいつも起きて空を眺めてる きっと君は知らないだろう 空がピンク色にもなるっていう事を 散々なわがままに振り回されたって夜に 言う事聞かせてしまえば良いし 曖昧な関係 愛がどうとか面倒なこと 言い出さないところも好きさ 「pink」/Ghost like girlfriend  空のピンク色。それは、主人公の胸に密かに広がり続けている淡い愛情です。また、本当は<君>にも知ってほしいと思い始めた感情です。ゆえに歌の前半に綴られていた<愛がどうとか面倒なこと 言い出さないところが好きさ>というフレーズが、最後の最後では<愛がどうとか面倒なこと 言い出さないところも好きさ>と変わっているのでしょう。    この「が」から「も」への変化は、いつかは<愛がどうとか面倒なこと>も言い出してくれたら…という期待も含まれている気がしませんか? まるで空のように、淡く柔く移り変わってゆく主人公の心模様が見えてくるかのようです。そして、実はこの歌の主人公にとっても、冒頭でご紹介した万葉集の歌は、無縁ではなかったのでしょう。今、好きなひとと曖昧な関係を続けているあなた。ぜひ、その想いを重ねながら、Ghost like girlfriend「pink」を聴いてみてください…! ◆紹介曲「 pink 」 作詞:Okabayashi Kensho 作曲:Okabayashi Kensho ◆1stフルアルバム『Version』 2019年6月19日発売 初回限定盤 UPCH-29331/2 ¥3,200 (+tax) 通常盤 UPCH-20517 ¥2,800 (+tax) <収録曲> 1. Last Haze 2. girlfriend 3. Midnight Rendez-Vous 4. sands 5. pink 6. あれから動けない 7. shut it up 8. burgundy blood 9. Under the umbrella 10. fallin’ 11. feel in loud

    2019/07/04

  • スピッツ
    氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ。
    氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ。

    スピッツ

    氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ。

     2019年6月19日に“スピッツ”がニューシングル「優しいあの子」をリリースしました。朝ドラ『なつぞら』の主題歌として書き下ろされたこの歌。ドラマで描かれているのは、東京で戦争孤児になった少女が北海道・十勝に移り住むことになり、そこで様々な経験を重ね、豊かな感性を身につけ、やがて上京しアニメーターを目指すという物語です。 重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて めげずに歩いたその先に 知らなかった世界 「優しいあの子」/スピッツ  さて、そんな『なつぞら』を軽快なメロディーで彩るのがこの歌。歌詞には、ドラマのヒロインをはじめ、夢を追うすべてのひとのリアルが描かれております。まず、夢を叶えるため、わたしたちは<重い扉を押し開け>るところからスタートしなければならないんですよね。開くはずないと思っていた扉を。開けるための力が足りなかった扉を。  なんとかこの“手”で<重い扉を押し開け>るという第1ステージをクリアするわけです。ところが、扉を開けたのに夢の目的地すら見えません。ただただ<暗い道が続いてて>何をすればいいかという手段も、この道で合っているという確信もありません。それでも今度は、この“足”で<めげずに歩>き続ける。それが第2ステージの課題でしょう。 氷を散らす風すら 味方にもできるんだなあ 切り取られることのない 丸い大空の色を 優しいあの子にも教えたい ルルル… 「優しいあの子」/スピッツ  すると、たどりつくのが“<知らなかった世界>=第3ステージ”です。そこで“心”が出会う新しい価値観の数々。たとえば、今まで<氷を散らす風>は“冷たい向かい風”でしかなかったけれど、考え方や向き合い方により<味方にもできる>という学びも然り。誰にも<切り取られることのない>可能性や自由を象徴するような<丸い大空の色>の実感も然り。  そして、大切なのはその<知らなかった世界>を<教えたい>と思う<優しいあの子>の存在です。きっと<あの子>と歌の主人公には、物理的にも精神的にも“距離”があるのだと思います。だから“君”や“あなた”じゃなくて<あの子>なのでしょう。さらに<あの子>はあの<重い扉>を押し開ける前の世界にいる子なのではないでしょうか。    「優しい」とは、つつましやかで穏やかで、思いやりがあって親切で、心が温かいことを意味する素敵な言葉です。ただし、もともとは動詞「やす(痩す)」の形容詞形で“身がやせ細るような思いである”ことを表した語でもあります。深読みかもしれませんが<あの子>はそんな両方の意味をイメージさせる<優しい>存在である気がするのです。 口にする度に泣けるほど 憧れて砕かれて 消えかけた火を胸に抱き たどり着いたコタン 芽吹きを待つ仲間が 麓にも生きていたんだなあ 寂しい夜温める 古い許しの歌を 優しいあの子にも聴かせたい ルルル… 「優しいあの子」/スピッツ  でもだからこそ、主人公は<優しいあの子にも教えたい>のでしょう。<氷を散らす風すら 味方にもできる>ことや<切り取られることのない 丸い大空の色>があること。扉の向こうにも<芽吹きを待つ仲間が>生きていること。そして<寂しい夜温める 古い許しの歌>があること。それらはすべて<優しいあの子>の救いにもなるはずだから。 怖がりで言いそびれた ありがとうの一言と 日なたでまた会えるなら 丸い大空の色を 優しいあの子にも教えたい ルルル… 「優しいあの子」/スピッツ  同時に<優しいあの子にも教えたい>という想いは、主人公自身のパワーにもなっているように感じます。いつか<日なたでまた会えるなら>伝えたいから、もっともっとこの“手”で“足”で“心”で実感したいと思えるのでしょう。言葉にしきれない景色は<ルルル…>の鼻歌で描きながら、主人公はまだまだ先のステージへと進んでいくのです。    切り取られることのない丸い大空の色や、寂しい夜温める古い許しの歌を、想像して心があたたまる、スピッツ「優しいあの子」を是非、じっくりと歌詞を味わいながら聴いてみてください…! ◆紹介曲「 優しいあの子 」 作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

    2019/07/03

  • 三浦大知
    「今なら」なんてもう届かない。
    「今なら」なんてもう届かない。

    三浦大知

    「今なら」なんてもう届かない。

     2019年6月12日に“三浦大知”がニューシングル『片隅/Coner』をリリースしました。今作の表題曲はいずれも、モデルとしても活躍している“Koki,”が作曲を手がけたことでも話題に。さて、今日のうたコラムではその最新作から「片隅」をご紹介。先日、最終回を迎えたドラマ『白衣の戦士!』の挿入歌として起用されており、好評を博していた楽曲です。 いつも同じ場所で 同じ愛を そっと ただ 渡してくれた シャワーの音 耳を塞ぐ 日々の終わりは穏やかで 胸に残る もどかしさも 床に流れたふりをする 「片隅」/三浦大知  三浦大知のシングルとして約4年半ぶりのバラードであり、高いヴォーカルが際立つこの歌。歌詞から伝わってくるのは、大きな虚無感や後悔、喪失感です。なぜなら<いつも同じ場所で 同じ愛を そっと ただ 渡してくれた>大切なひとを失ってしまったから。そして、タイトルにもなっている「片隅」というワードも大きなポイントなのです。  きっとかつての<僕>にとっての<君>は、いつでも当たり前に「片隅」にいた存在だったのでしょう。別に自分の人生の中心にいるわけでも、大幅を占めているわけでも、大それた愛情表現をしてくるわけでもない。ただ“定位置”で“変わらぬ愛”を静かに与えてくれるのが<君>でした。つまり日常の1ピースが<君>だったということでしょう。    でもだからこそ、喪失は致命的なのです。代わりのきかない<君>という「片隅」の1ピースを失った<僕>の“日常=パズル”は、どうしたって未完成です。すると「片隅」の<同じ場所>に<同じ愛>が“ない”ことだけが、残ったものより際立ちます。なんとか<床に流れたふり>をしてみても、常に“ない”ことが頭の「片隅」にあります。それは今、そばにいるときよりずっと<君>が<僕>を占めているということなのです。 カーテンの音 耳に障る 日々の始まりは不安で 窓を超えて 差し込む陽が 心を照らすふりをする 「片隅」/三浦大知  ゆえに<僕>は<シャワーの音>や<カーテンの音>といった、日常の“音”を拒んでいるのでしょう。今夜も<君>のいない<日々の終わり>は穏やかに流れてゆく。寝て起きたら、また<差し込む陽が 心を照らすふり>をして、不安な<日々の始まり>を告げる。<君>がいない日常が当たり前になってゆくのがツライ。本当に“聞きたい音”を耳にできないのが悲しい。そんな痛みを伴った感情が表れていますよね。 「今なら」 なんて もう 届かない いつも同じ場所で 同じ愛を そっと ただ 渡してくれた 広くて狭い部屋の片隅 光る記憶 いつも同じ場所で 同じ愛を そっと ただ 渡してくれた 近くて遠い部屋の片隅 声を探してる 君を探してる 「片隅」/三浦大知  そしてサビでは<いつも同じ場所で 同じ愛を そっと ただ 渡してくれた>というフレーズが、その記憶を何度も繰り返し再生するかのように、歌い上げられております。大きな虚無感や後悔、喪失感に埋もれながらも<光る記憶>を頼りに、今<僕>は生きているのでしょう。もう一度だけでも、心から“聞きたい音=君の声”に会いたくて…。    みなさんにも<いつも同じ場所で 同じ愛を そっと ただ 渡して>くれているひとが近くにいませんか? そんな「片隅」の誰かを失ってしまいませんように。また、喪失に苦しんでいるあなたはいつか「片隅」の“愛された”記憶が、日々の支えに、お守りになる日が訪れますように。是非、三浦大知「片隅」を聴いてみてください…! ◆紹介曲「 片隅 」 作詞:Daichi Miura 作曲:Koki, ◆『片隅 / Coner』 2019年6月12日発売 CD+DVD AVCD-16922/B ¥1,500(税抜) CD+Blu-ray AVCD-16923/B ¥2,000(税抜)

    2019/07/02

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    イチオシ!

    8組のアーティストの“特別な言葉”をご紹介!

    誰かの言葉が温かくて あなたの笑顔が温かくて 一つ一つ喜びが積もっていく これが一番の幸せ 「しあわせの詩」/Uru  7月1日は【こころの日】と呼ばれています。1998年に日本精神科看護技術協会が制定した記念日だそう。さて、わたしたちの“こころ”は日々、様々なもので作られてゆきますが、そのもっとも大きなエネルギーとなるのは【言葉】でしょう。夜眠る前に<誰かの言葉>をふと思い出して幸せな気持ちになったり、いざというときのお守りになったり。    そこで今日のうたコラムでは、歌ネットインタビューの回答をもとに、8組のアーティストの【特別な言葉】をご紹介。活動をする上で座右の銘になっている言葉。強く背中を押してくれた言葉。おもしろいと思った言葉。考え方を変えさせてくれた言葉などなど。彼らの歌詞にも繋がっているかもしれない、ひとつひとつの言葉をご堪能ください…! <Uru(2017年取材)> 私はこう…一つのことをやると決めると頑固になりやすいというか、手を抜くということにすごく罪悪感があるんです。でも友人に「もうちょっと肩の力を抜いて、上手に手を抜くことで見えてくることってたくさんあるから」ってアドバイスをされて、それは大きな救いになりましたね。 カバー動画をやっていたときも、やるって決めたんだから人より頑張らないと見つけてもらえないし、ちゃんと歌手になれないって思ったので、遊びに誘われても全て断っていたんです。メールとかLINEのやり取りとかもわざと冷たくして…。でもそれは間違っていて、逆に何も書けないし、何もできなくなってしまいました。それで、友達にさっきのアドバイスをもらったこともあり、たまに遊んだり、散歩したりするようになって、そこでみた景色や生まれた感情が歌に反映できるってことがわかりました。今までなんてことをしていたんだって思いましたね(笑)。だから、それでも離れずにそばにいてくれた友人には今でも凄く感謝しています。 <コレサワ(2018年取材)> どこで知ったかは忘れてしまったんですけど【近くで見たら悲劇でも、遠くから見たら喜劇だ】って言葉ですね。どんなにつらいことや恥ずかしいことも、遠くから見たらエンターテインメントになるんだなって、ハッとさせられました。「彼氏はいません今夜だけ」も、自分が当事者になったらめちゃくちゃ嫌だけど、遠くから見たら面白かったりするじゃないですか。だから、どんなことも歌って良いんだなって気づいたし、これはコレサワの音楽を作っていく上で大事にしたいなって思っています。 <大原櫻子(2018年取材)> たとえば友だちが言ってくれた「そのときに素直になればいいんじゃない?」とか。やる前から心配していても、その場に立たないと自分の感情はわからないから、その瞬間に素直になれば良いんだって。あと、寝る前にストレッチをしているとき、ポロッと父から言われた「喋ってないからって、わからないと思わないで」という言葉も印象的だったかな。つまり「喋らなくてもわかっているよ」ということなんですよね。私が喋っていなくても「櫻子の出ている歌番組を見れば、今何をどう思っているかとか、ちゃんと伝わっているよ」って。しかも不思議なことに、友だちにも同じことを言われたんです。でも、本当にそのとおりだなぁと思うし、そういうことを言ってくれる人が回りにいることはありがたいですねぇ。 <家入レオ(2018年取材)> 最近、ズトーンって来たのは、RADWIMPS・野田洋次郎さんの『ラリルレ論』ですね。ご自身がツアー中に書いていた日記をそのままエッセイにしてらっしゃるんですけど、それがとにかく凄くて。とくに印象的だったのが「女性を好きになるとき、もちろん男性としてその人に惹かれるんだけど、自分のなかの女性的な部分に反応して、初めて恋になる」という内容でした。なんとなくわかる気がするんです。私も男性を好きになる要因の一つとして、自分のなかにいる男性がその人のことを素敵だと思ったから、恋になるというか。ただ異性としての「カッコいい」「カワイイ」だけなら、いつか尽きるじゃないですか。そうじゃなくて、同性として見たときに尊敬できるって、やっぱり強いなぁって。そんなことを考えましたね。 <井上苑子(2016年取材)> メジャーデビューちょっと前に、私が音楽活動のことでいろいろ切羽詰まって、悩んで、曲が書けなくなっちゃった時期があるんですよね。そんなとき、まさに歌詞に書いた<あたしが泣いた日に 一緒に泣いてくれた>友達がいて。女優さんをしている子なんですけど、その子自身もこれからどういう方向性に行こうって悩んでいたらしく、お互いにぐちゃぐちゃになってしまって。でも、だからこそ励まし合って、とりあえず悩んでいたこと全部忘れて、スタバ飲んで(笑)、もう一回明日からやってみよう!って思うことができて。そのときに言ってくれた「みんなが見たいのは苑子の笑顔だよ!」って言葉に、一番背中を押されましたね。 <chay(2016年取材)> 【練習は不可能を可能にする】という言葉ですね。ギターをはじめた19歳の頃、音楽塾に通っていたんですけど、そこがものすごいスパルタ教室だったんです。「今日までにこれ弾けるようにならないと帰さない」とか「明日までにこれ弾けるようにしてこい」っていう厳しさで。初心者にとっては「こんなの弾けるわけない!」って言いたくなるようなフレーズを突きつけてくるんですよ(笑)。でも諦めそうになっても、同じフレーズを何時間も何百回も練習をしていると、ある日突然めちゃくちゃ簡単に弾けるときが来るんです。その“不可能が可能になる瞬間”の達成感と喜びをギターを通して初めて味わいました。こんなにも幸せなことなんだって。だからその言葉は今も大切にしていますね。 <BIGMAMA・金井政人(2019年取材)> ずっと忘れがたいのは、父からの「お前が巻き込んだひとたちを、絶対に不幸にするな」という言葉かな。これは僕が「ミュージシャンになります」と言った、次の日に言われたんですけど、今でも胸に深く刻まれていますね。まず「幸せにしろ」じゃないところがいいなって。自分の力で誰かを幸せにできるなんて、簡単に思うのはおこがましい。それは家庭を持ったときに、初めて口にするべき言葉なんだろうなって。 だけど「不幸にするな」という言葉は、「損をさせない」とか「出来る範囲のことをし尽くす」とか「困ったときにきちんと助ける」とか、たくさんの解釈ができて。さらに「お前が巻き込んだひとたち」という“巻き込んだひとの範囲”をどこまで僕が設定するかも考えないといけませんよね。周りのスタッフたちなのか、メンバーなのか、ファンの方々なのか。そうやっていろんなことを僕に考えるきっかけを与えてくれた言葉なので、すごく大切にしているんです。 <槇原敬之(2019年取材)> 僕ね、うちの父や母に優しく触れられた記憶は全くないんですよ。これは別に悪いことじゃなくて、今すごく仲も良いんですけど、かなり忙しく働いている世代だったので仕方なくて。だけど一度だけ、まだ小学生くらいのときに、僕が突然、何かを買いに行かなくちゃならなくて、親に知らせず夜中に出て行ったことがありまして。そうしたら、僕が帰ってきた途端に向こうから母親が出てきて「あーよかった!いなくなったのかと思った!」って言ったんです。正直、その場面というか、そのひと言で、僕はずっと生きてきたところがあります。 「あ、なんだ、心配してくれているんだ」って。こう…商売人の息子として育って、父親と遊んだこともないし、コミュニケーションも少なくて、でもあの涙目の母親を見て、ブワーッ!っと自分のなかに流れ込んできた何かがあったんですよね。「大丈夫だよ、これくらい!」って言いながらも、すっごく嬉しかったなぁ。未だに思い出しますね。でも、母親にその話をしてみたら「覚えてない」って言われて、ガックーンってなったんですけど(笑)。なんか自分も、好きなひとだったり、犬や猫だったり、会社のひとだったり、周りの人たちだったりの<特別な場面>になれたらいいなぁって思いますね。  当人でなくとも、グッと来る言葉、印象的な言葉が並んでいますよね。また、大事なのはその言葉自体だけではなく、その言葉にいつ、どんなときに触れたか、どんなひとが言ってくれたかということも、すべて含めて“こころ”の大切になるのだとわかります。こころの日、是非あなたにとっての大切な言葉も、思い出して噛み締めてみてください。

    2019/07/01

  • wacci
    辛辣な言葉が飛び交った。それでもリリースに至ったのは…。
    辛辣な言葉が飛び交った。それでもリリースに至ったのは…。

    wacci

    辛辣な言葉が飛び交った。それでもリリースに至ったのは…。

     日常を切り取り、どんな人のそばにでも寄り添って歌う5人組バンド“wacci”が、昨年8月に配信したシングル「別の人の彼女になったよ」が、リリースから10ヶ月経った今も尚、話題となり続けております。MVは総再生数が530万回を突破、コメント数はなんと4,000件超え。歌ネットでもウィークリー最高8位を記録とますます歌詞の注目度が上昇中なんです。    尚、YouTubeのコメント欄にはユーザー自身の恋愛エピソードが次々と投稿され、なかには“36,000いいね”を記録する超ド級のエピソードも現れ、SNSで拡散されていきました。さて、そんな名曲「別の人の彼女になったよ」の歌詞エッセイを、ついにボーカル・橋口洋平本人が執筆!今日のうたコラムで、お届けいたします。是非、ご熟読を…! ~「別の人の彼女になったよ」歌詞エッセイ~ “好き”と“幸せ”は必ずしもイコールではなくて でも両方とても大切で。 忘れられない恋愛より 自分のための恋愛を選んだ人の 少しだけ後ろを振り返る歌です。 前の彼氏はこういう人。 今の彼氏はこういう人。 書いたのはそれだけ。 最後は少し気持ちを吐露してますが、 このシチュエーションの奥にある心理描写は あなたに委ねます。 wacci初の、女性目線で描いた一曲。 是非聞いてみてください。  これは「別の人の彼女になったよ」という曲に対して、僕が書いたセルフライナーノーツである。なんかもっともらしいことを、改行多めで「っぽい感じ」で書いているが、要は色んな受け取り方があっていい歌ですよ、と、基本的にはこの歌の答えはあなたに丸投げしますよ、と、伝えたかったのだ。  書き手である僕が断定的に説明してしまうと、この歌の持つ可能性が狭まってしまう気がして怖かった。それくらいこの「別の人の彼女になったよ」という曲は世に出る前から、賛否両論色んな意見をもらっていたし、よくわからないが何か力を秘めた曲として存在していた。  「別の人の彼女になったよ」を作ったのは、周りにこの歌の主人公のように思っている女友達が少なからずいて、そんな話を立て続けに聞いたことがきっかけだ。今彼氏がいて、その彼は年上で包容力があって、大切にしてくれて優しくて仕事もしっかりしてて、人間的に尊敬できる部分がたくさんあって。何の不満もないはずなんだけど、少し息苦しさを感じていて、見合うような女性でいなきゃとちょっぴり背伸びをしている自分に気づいていて。  そんな時にふと、長年付き合っていて、一緒にいて楽で、馬鹿みたいに笑いあえる瞬間がたくさんあって、かっこ悪い部分を存分に見せあえて、甘えあえて、許しあえた、一般的には「ダメ男」と言われても仕方ないタイプの元彼を、なんか思い出してしまう。  そんなことを話してくれる人が周りにたくさんいた時期があった。だいたいみんな30歳前後。人生は恋愛が全てではないが、恋愛に重きを置いている人ならば「結婚」や「将来」についても具体的に考えるようになる時期であり、恋愛に対する価値観が変わるタイミングでもあるのかもしれない。  しかし彼女たちはみんな、それでも元彼とは戻る気などさらさらなかったし、例えヨリを戻すことになっても、必ずうまくいかないことをわかっていた。さらに言えば、自分達は今「幸せ」であるとすら、感じていた。あくまでつぶやきであり、ぼやき。「好き」と「幸せ」は必ずしもイコールではないこと、過去が少し輝いて見えるのは「ないものねだり」であることを、もう知っていたのだ。  そんな話を聞きながら、なるほどなるほどと、わかったような感じで頷いていた時に、自分のiPhoneメモに記録してあった「別の人の彼女になったよ」というフレーズを思い出した。この話をあくまでヒントにして、元カレへの想いを「別の人の彼女になったよ」という歌い出しで歌ってみたらどうだろう。  未練があるようにも聞こえつつ、言い切らずに終わる歌。彼女たちのような絶妙なバランスの気持ちも汲みつつ、はたまたそれが強がりにも、逆に本音にも聞こえるような歌。まあ少し話を盛っているが(そこまで考えてたかは定かではない笑)、そういう物語をその時書ける気がしたのだ。数日後、半日くらいで書いた。ここまでテーマが決まっているととても早い。  しっかり者の今の彼氏と、ダメだけど明るく、憎めない元彼。そしてその間で揺れる自分。未練の歌ととるか、逆に元カレへの決別の歌ととるか、一瞬立ち止まって振り返っているだけの歌ととるか、そこはしっかりとは言わず、でも誰もがわかるシチュエーションを描きながら展開していった。そして、言葉を想いが追い越しているようにも取れる、最後の1行をさして、この歌を終わりにした。   <あなたも早くなってね 別の人の彼氏に 私が電話をしちゃう前に>  出来上がった時は久しぶりの満足感があった。しかしその後すぐに「大丈夫かなこれ」という不安に包まれた。女性目線で、ここまで踏み込んだ歌を出すのは、リスクも大きいと感じたからだ。案の定スタッフからは否定的な意見をたくさんもらった。「wacciっぽくない」「こんな歌誰が聞きたいの?」「なんか聞いてて嫌な気持ちになる」と、これまでにないほど辛辣な言葉が飛び交った。  それでもリリースに至ったのは、メンバー全員がこの歌を信じて猛プッシュしてくれたこと、そしてスタッフも「これだけ賛否両論が沸き起こるということは、何かあるかも?」というまだ見ぬ可能性にかけてくれたというところが大きい。  たくさんの人に届くように、シンプルでまっすぐな、誰も傷つけない言葉を選んできた僕らwacciにとって、大好きだと言う人と大嫌いだと言う人が早い段階から同時に発生しているこの歌はすごく新鮮で、なんだかんだ言いながら、皆なんとなくワクワクしていたように思う。「別の人の彼女になったよ」は、結局元のデモから歌詞も一字一句変えることなく配信シングルとしてリリースされた。  結果としてこの歌は、さまざまな聞かれ方をされて広がっていった。女性であれば、単純に元カレへの想いを歌った切ない歌と捉えてもらったり、逆に今の彼氏がいるのに元カレへの想いをなんか正当化しちゃってる嫌な女の歌とも捉えられたり。男性であれば、自分の前の彼女に重ねて聞くと染みるという声や、逆に自分を今の彼氏に重ねて聞いて、ちゃんと好きで誠実に向き合ってるのに、こう思われてたらと思うと泣けるなんて感想ももらったりした。  一度最後まで聞くと未練たっぷりの歌になっているのだが、初めて聞くと1番のサビまではその真逆の歌に聞こえる感じも、きっと多角的な聞かれ方をする要因だと思う。そしてそれはきっと、未練とは少し違う想いをヒントにして書き始めたからではないかと、今になって思う。  とにかく、好きと嫌いを色んなところで生み出しながら、僕ら史上類を見ないペースでこの歌は届いていった。今なお、たくさんのミュージシャンにカバーもされながら広がり続けている。踏み出してみて、リリースしてみて良かったと、心から思う。  ところで、この歌を語る上で一番議題に上がるのが、最後の1行についてだ。「彼女は電話をするのか、しないのか」というところ。面白いほどにこの答えが分かれてくるのが、この歌の面白いところだ。この歌を書いたきっかけは上記に記した通り。きっと僕に元カレへの想いをこぼしてくれた彼女たちは電話をしないし、今はもうそんな想いを抱いていたことすら過去のことかもしれない。    しかし、これはそんな話をヒントに僕が書いた物語であり、歌である。この歌の主人公がどんな答えを出して、どんな人生を歩んでいくのかはやはり、あなたに委ねたい。歌はリリースしてあなたに聴かれた瞬間から、もうあなたのものなのだから。 <wacci・橋口洋平> ◆紹介曲「 別の人の彼女になったよ 」 作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

    2019/06/28

  • NakamuraEmi
    仕事と世間と自分と戦い、女は元気だと世界は言う。
    仕事と世間と自分と戦い、女は元気だと世界は言う。

    NakamuraEmi

    仕事と世間と自分と戦い、女は元気だと世界は言う。

     2019年5月29日に“NakamuraEmi”がニューシングル「ばけもの」をリリースしました。この歌は、先日最終回を迎えたドラマ『ミストレス~女たちの秘密~』の主題歌です。ドラマを動かしていったのは、シリアスな秘密を持つ4人の女たち。今の日本を生きる女性たちが感じている【生きづらさ】を真正面から描きながら【幸せとは?】を大テーマに展開してゆく物語が話題となりました。 この人は私を幸せにはしてくれない 世にも恐ろしいことに 自分のせいな事もわかっている 仕事と世間と自分と戦い 女は元気だと世界は言う 本当は言いたい「だって」を飲み込んで 不安はお風呂で流したつもり 顔と髪をなんとか整え チョコを片手に今日も行く 「ばけもの」/NakamuraEmi  さて、そんな女性たちの心に寄り添うのがこの歌。まず「ばけもの」とは【あるものが本来の姿を変え、別の姿で出現したものであり、ひとに恐怖をあたえるもの】を意味する言葉です。そしてこの歌では、冒頭からさっそく“2つ”のばけものが描かれております。ひとつは<この人は私を幸せにはしてくれない>という“他者への失望・諦め”でしょう。  しかしその“他者への失望・諦め”とはもともと<自分のせい>で作り出されたものであり、本来の姿は“自分自身に対する感情”なのです。さらに、もうひとつのばけものは<女は元気だ>という“世界の思い込み”です。だけど、その正体は<仕事と世間と自分と戦い>クタクタな姿。それでも<本当は言いたい「だって」を飲み込んで>不安を隠す姿。  そんな“他者への失望・諦め”と“世界の思い込み”というばけものを恐れながらも<顔と髪をなんとか整え チョコを片手に今日も行く>主人公。「だって」強くないとやっていけないじゃん。「だって」弱みは見せられないじゃん。「だって」負けてられないじゃん。…そうやって飲み込んだ本音はまた本来の姿を変え、別の姿で出現するのです。 神様が与えた 女の辛抱強さ それを時に 我慢に変えた それが時に 美徳になった 完璧がやけに美しく見えた 勘違いした私は ややこしい鍵を自分にかけた 「ばけもの」/NakamuraEmi  何度も「だって」を飲み込める<女の辛抱強さ>は、やがて“なんでも我慢で乗り越えられる、弱みを見せない完璧な女こそ美しい”という誤った<美徳>のばけものに姿を変えます。結果、そのばけものから呪いをかけられるかのように<私は ややこしい鍵を自分にかけた>のでしょう。誰かに頼ったり、甘えたり、隙を見せたりする自分が出てこないようにする<ややこしい鍵>です。 「20代終わりだどうしよー」と騒いでた頃が懐かしい レディの嗜み 恥じらい 様になってきた最近だけど 玄関開けてなだれ込む ヒール カバンも放り出し 下着 ヘアゴム外したら 解放された気がして Tシャツズボンに入れて寝たいし 野菜よりお肉が食べたい 肌荒れ隠して余計に荒れて 「だって」つって大泣きしたい 女を生き抜くために 弱さを丸めて捨てたけど 残念ながらその弱さ 私らしさでもありました 顔も髪も怠けてさ チョコもコーヒーも両手にさ 明日もちょっと頑張ってみますか やっとお風呂で流せた気がする 「ばけもの」/NakamuraEmi  とはいえ、どんなに<ややこしい鍵>をかけたって、胸の内に溜まってゆく本当の気持ち。誤った<美徳>を護るための、ヒール、カバン、下着、ヘアゴムといった“武装”から解き放たれたとき、ボロボロ本音が溢れ出します。そして<女を生き抜くために><丸めて捨てた>自らの弱さに改めて触れ、同時に、閉じ込めていた<私らしさ>を知る主人公。様々な「ばけもの」の正体に気づき、呪いが解けた瞬間でしょう。  わたしたちが「ばけもの」を恐れるのは、その正体がよくわからないからなんですよね。だけど“本来の姿”を知ったとき「なんだ、こんなものに怯えていたのか…」と気が抜けたりするものです。この歌の<私>も然り。弱い自分を愛おしく思えたとき<顔も髪も怠けてさ チョコもコーヒーも両手にさ 明日もちょっと頑張ってみますか>という心境にたどりつけたのです。 神様が与えた 女の切り替え それはまさに 魔法みたいで それはもう 答えみたいで 変わるわよ女は 一瞬一瞬 よくみておいて みておかないと 女は化け物って いうでしょう? 私を幸せにできるのは 世にも恐ろしいことに ややこしい私です 「ばけもの」/NakamuraEmi  歌の終盤。ラストでは<女は化け物>というワードがポジティブに伝わってきます。歌の冒頭で<この人は私を幸せにはしてくれない>と俯いていたけれど、1曲のうちに魔法みたいに切り替えて、自分なりに“私を幸せにできるのはややこしい私”という答えを出し。女は恐ろしいくらいに、弱くも強くも変化できる、しなやかな「ばけもの」なのです。    女性のみなさん。あなたが恐れている「ばけもの」は何ですか? その正体、実は、誰かや自分自身のちょっとした思い込みなのかもしれません。そんな「ばけもの」との戦闘中も、休戦中も、いつだってあなたがあなたらしくいられますように。チョコもコーヒーも両手に是非、NakamuraEmi「ばけもの」を聴いてみてください…! ◆紹介曲「 ばけもの 」 作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ 作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ

    2019/06/27

  • イチオシ!
    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第3弾!
    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第3弾!

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    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第3弾!

    大切なのはどんな選択をするのかじゃない。 自分がした選択を強く生きるかどうか。 (ドラマ『サバイバル・ウェディング』より)  ひとはそれぞれ様々な選択をしますが、人生において“詩を書く”という選択をし、その道を強く生きている方々が“作詞家”です。さて、歌ネットにはそんなプロの作詞家たちに“作詞論”を語っていただく『言葉の達人~伝えるための作詞術~』というコーナーがございます。2018年4月のリニューアルを経て、現時点で計184名の達人がご登場。    では、その言葉の達人たちが“詩を書く”という選択をした理由には、一体どのようなものがあるのでしょうか。そこで今日のうたコラムでは『言葉の達人』ダイジェストとして【Q.なぜ“詩をかくこと”を選んだのでしょうか】という質問に対する回答を厳選!【第1弾】~【第3弾】に分けて、お届けいたします。本日はラスト【第3弾】です! <第108回:相田毅さん> ~代表作~ 代表作 「俺たちに明日はある」/SMAP 「サクラ咲ケ」/嵐 「大阪ロマネスク」/ 関ジャニ∞ など多数。 A.音楽が好きだった…音楽のそばにいて、いい音楽が生まれる瞬間に携わっていたかった。レコード会社に入ったのもそのため。で、コピーライターをしていたんだけど…コピーより歌詞の方が、もっと音楽の根幹にいられると思ったのね。感動の爆心地にいたかったんだ。 <第119回:MOMO"mocha"N.さん> ~代表作~ 「忘れないよ」/青山テルマ 「The Meaning of Us」/安室奈美恵 「The Answer」/三浦大知 など多数。 A.子供の頃から、心で感じていることを言葉で忠実に現せた時のきもちよさというか、安堵感のようなものがありました。パーソナルな悲しみや、話す宛のない感情を歌にして手放して行くことで救われる自分がいて、今に至ります。 <第125回:SPINさん> ~代表作~ 「BANG THE BEAT」/氷室京介 「Love So Sweet」「MONSTER」/嵐 「Keep the faith」/KAT-TUN など多数。 A.自分が歌えないからですね(笑)。もし僕が、自分が歌いたいように歌えたら、誰かの言葉を自分なりに解釈して、自由に歌ったでしょう。でも哀しいけど、僕の歌声は、僕が望んだ声じゃない。だからその気持ちを、メロディーの力を借りて、前向きな力に変えて、言葉にしているんです。だから、メロディーがないと、とたんに哀しい言葉が裸で並んでしまう。もし良かったら、僕が書いた長編自由詩「マリア」を読んでみてください。僕の哀しみだけがあふれていて、我ながら目を背けたい程つらくなる(笑)。でもそれが僕自身だから、正直に付き合っていかないと。 <第127回:Mio Aoyamaさん> ~代表作~ 「Mission of Love」「New Day」/V6 「Love@1st Sight」/AAA 「風花便り」/Do As Infinity など多数。 A.幼少の頃から、音楽、小説、映画、マンガ、ゲームなど、エンタメ全てが大好きでした。特に音楽は、迷ったり、悩んだりした辛い時期には、そっとキズを手当してくれる包帯でした。私は作詞家以外に、小説や童話、脚本の仕事もしているのですが、これらは呼吸することと同じで、選んだ、という感覚はありません。単純に、中二病をこじらせただけかもしれませんが。 <第139回:RUCCAさん> ~代表作~ 「楔-kusabi-」/KAT-TUN 「わすれもの」/テゴマス 「STORY」/AAA など多数。 A.「鬱屈した日常」「未来への閉塞感」「誰かより劣っているという思い込み」こそ、原動力だったかもしれません。あとは、教育熱心だった会社員の父と相容れず、間逆の生き方を模索した結果ですかね。(今では一緒にお酒も飲みます) <第147回:高橋久美子さん> ~代表作~ 「空のカーテン」/ももいろクローバーZ 「泣き虫ファイター」/東京カランコロン 「シャングリラ」「風吹けば恋」/チャットモンチー など多数。 A.中学生のときの国語の授業で詩を作っていたのですが、それ以降、詩作にはまって授業以外でも詩を書くようになりました。一番身近で奥深い芸術だと思っています。 <第153回:カミカオルさん> ~代表作~ 「Wishful Thinking」/SHINee 「Forever Together」/三代目J Soul Brothers 「Blow You Away!」/三浦大知 など多数。 A.敢えて選んだ記憶はないですが、気づいたら考えや想いをつらつら書くのが好きでしたし、混乱しやすい自分が整い、心が落ち着いていたので「言葉」はずっと理解者でした。本も好きですし、空想の世界にずっと浸っていたい夢見る子ちゃんだったかもです。コピーライターになりたい、と中学生のとき思った記憶もあります。 <第155回:只野菜摘さん> ~代表作~ 「Chai Maxx」「仮想ディストピア」/ももいろクローバーZ 「ORANGE RIUM」/でんぱ組.inc 「episode Solo」/アイカツスターズ! など多数。 A.自分という樹が1本あって、何になるのかはわからないけれど彫っていったら、いつの間にか「もしかしたら作詞家なのかもしれない」という形になり、今も彫り続けているかんじです。 <第159回:山本加津彦さん> ~代表作~ 「好きな人がいること」/JY 「空」/JUJU 「赤い糸」/手嶌葵 など多数。 A.「詩を書く」という気持ちでいると、この世界への感じ方が変わるんです。今まで何も感じていなかった、例えばビルの色、電車の音、他人、また、時を超えてその場所での何10年も前や、未来を想像して、そこに何があるんだろう、とか考えたりするようになります。詩を書くことは、虚しいと思っていたこの世界に、酔いしれる方法の一つです。 <第167回:ヤマモトショウさん> ~代表作~ 「今夜がおわらない」/ふぇのたす 「ダンス・ファウンダー」/フィロソフィーのダンス 「とびきりのおしゃれして別れ話を」/SHE IS SUMMER など多数。 A.バンドをやろうと思った時に、普通はボーカルが書くことが多いかと思うのですが自分で書いたほうがよいものができるなと思ったので書きはじめました。作詞というのは音楽の素養と、文や詩をかくという素養の両方が求められていて、これは面白いなとすぐに思い、それ以来試行錯誤していますが、ずっと続けています。  言葉の達人たちの十人十色な回答、いかがでしたでしょうか。もしかしたら今、あなたの胸の内にある“何か”もいつか“詩を書く”という選択に繋がるのかもしれません。尚、最新版の『言葉の達人』第184回にはHYの仲宗根泉さんがご登場。是非、こちらもチェックしてみてください…! 【『言葉の達人』バックナンバーはこちら!】

    2019/06/26

  • イチオシ!
    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第2弾!
    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第2弾!

    イチオシ!

    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第2弾!

    大切なのはどんな選択をするのかじゃない。 自分がした選択を強く生きるかどうか。 (ドラマ『サバイバル・ウェディング』より)  ひとはそれぞれ様々な選択をしますが、人生において“詩を書く”という選択をし、その道を強く生きている方々が“作詞家”です。さて、歌ネットにはそんなプロの作詞家たちに“作詞論”を語っていただく『言葉の達人~伝えるための作詞術~』というコーナーがございます。2018年4月のリニューアルを経て、現時点で計184名の達人がご登場。    では、その言葉の達人たちが“詩を書く”という選択をした理由には、一体どのようなものがあるのでしょうか。そこで今日のうたコラムでは『言葉の達人』ダイジェストとして【Q.なぜ“詩をかくこと”を選んだのでしょうか】という質問に対する回答を厳選!【第1弾】~【第3弾】に分けて、お届けいたします。本日は【第2弾】です! <第67回:大森祥子さん> ~代表作~ TVアニメ『けいおん!』主題歌 TVアニメ『おジャ魔女どれみ』主題歌 TVアニメ『デジモンアドベンチャー』挿入歌 など多数。 A.言葉に興味があり、何か“書く職業”に就きたいと漠然と思っていました。ただ、デビューがまだ高校生の頃でしたので、「選んだ」という感覚は特にありません。私の詞を読んでくださった方がいて、導いてくださった方々がいて、書くことが好きで好きで続けてこられて、現在に至る、という感じです。 <第68回:真名杏樹さん> ~代表作~ 「砂の男」 / 少年隊 「YOU」 (共作)/ BEGIN 「TOMORROW」(共作) / 岡本真夜 など多数。 A.これは難しい質問ですね。AとBとCの理由が混在してるような…。A=歌中心の家庭環境で育ち、歌以外の知識がなかったから。B=インドに友人と旅して、お約束の発病、1か月隔離入院中、歌を再発見したから。C=体力のない子供で、強くなれ強くなれと、オトナ達にいつも言われ続けた。そんな期待の重さゆえ、文学、映画、音楽などに逃避したかったから。 <第74回:山本成美さん> ~代表作~ 「永遠」/BoA 「かたちあるもの」/柴咲コウ 「シルバーリング」/嵐 など多数。 A.とにかく小さい頃から音楽が好きだった。歌うこと、聞くこと、踊ること…。中学のとき、学級歌の歌詞をクラスのみんなで作って、その中から私の作った歌詞が選ばれたときはスゴく嬉しくて。そのとき、私って才能があるのかも?!って思ったんです(笑)。 そういう勘違い?から今に至ってます。歌詞を通じて、自分の中の何かを表現したかった。 <第75回:田中秀典さん> ~代表作~ 「冬恋」/関ジャニ∞ 「ふたつの祈り ~X'mas Love to you~」/ゴスペラーズ 「Wish」/伊藤由奈 など多数。 A.小さい頃から言葉の韻を踏んだり、物事を別の何かに比喩してみたり、などの言葉遊びが好きでした。音楽に目覚めた10代半ばで、“メロディーに歌詞が合わさった時の化学反応”にのめり込みました。現在も、その無限大の可能性を追いかけています。 <第76回:いしわたり淳治さん> ~代表作~ Superfly/「愛をこめて花束を」 中孝介/「真昼の花火」 新垣結衣/「進化論」 など多数。 A.言葉は誰でも使っているツールですが、それを誰よりも上手く扱う詩人という職業は、もしかしたら世界でいちばん恰好良い職業なのではないかしらとあるとき思ったからです。 <第88回:ヒロイズムさん> ~代表作~ 「LIFE」/中島美嘉 「I can be free」/JUJU 「あきれるくらい僕らは願おう」/TOKIO など多数。 A.小さい頃から気が付いたらノートの片隅に書きものをしていた気がします。人と何か違うという意識が強かったのがきっかけの一つです。 <第89回:岡嶋かな多さん> ~代表作~ 「Steal My Night」/安室奈美恵 「いいんじゃない」/Hey! Say! 7 「Eternal Flame」/Do As Infinity など多数。 A.想う事が、本当に沢山あって、それを歌詞に、曲にして、歌うことが、自分の生きる道なのかな、と、感じたからです。 <第92回:亜美さん> ~代表作~ 「そばにいて」/JUJU 「愛ing-アイシテル-」/Hey!Say!JUMP 「MOTHER/FATHER」/KAT-TUN など多数。 A.欲張りな私は、歌って、コーラスして、歌詞書いて、曲書いて、とやらせてもらってますが、歌詞を書くという事は幼稚園からやってました。詩じゃなくて、歌詞を。「うた」にしてはじめて気持ちをちゃんと伝えられると気づいたからだと思います。今でもコトバだけで人に気持ちを伝えるのはヘッタクソです。だから作詞をすることは、自分のバランスをとれる秘密兵器だと思います。 <第99回:菜穂さん> ~代表作~ 「ハレルヤ」/AAA 「かげろう」/ 柴咲コウ 「milestone」/DEEP など多数。 A.詩を書くことを選んだ、という実感もありません。子供の頃から、歌詞を描いていました。想っていること、感じていることをノートに書き留めておかないと、もったいないような気持ちでずっと過ごしてきました。小学校の頃から書き続けているノートが、いっぱいすぎて、引っ越しの度にその大量さに泣かされます。けれど1冊も捨てられません。歌詞のノートというより、日記のような、手紙のようなものですが、宝物です。 <第100回:多田慎也さん> ~代表作~ 「曇りのち、快晴」/嵐 「風の向こうへ」/嵐 「still…」/嵐 など多数。 A.なぜでしょう(笑)。いいメロディーラインに、これ!っていう言葉がのると、背中がぞくっとする感じ。その瞬間のために作詞をしていると思います。 【ラスト・第3弾に続く!】 【『言葉の達人』バックナンバーはこちら!】

    2019/06/25

  • イチオシ!
    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第1弾!
    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第1弾!

    イチオシ!

    プロの作詞家たちが“詩を書くこと”を選んだ理由とは?第1弾!

    大切なのはどんな選択をするのかじゃない。 自分がした選択を強く生きるかどうか。 (ドラマ『サバイバル・ウェディング』より)  ひとはそれぞれ様々な選択をしますが、人生において“詩を書く”という選択をし、その道を強く生きている方々が“作詞家”です。さて、歌ネットにはそんなプロの作詞家たちに“作詞論”を語っていただく『言葉の達人~伝えるための作詞術~』というコーナーがございます。2018年4月のリニューアルを経て、現時点で計184名の達人がご登場。    では、その言葉の達人たちが“詩を書く”という選択をした理由には、一体どのようなものがあるのでしょうか。そこで今日のうたコラムでは『言葉の達人』ダイジェストとして【Q.なぜ“詩をかくこと”を選んだのでしょうか】という質問に対する回答を厳選!【第1弾】~【第3弾】に分けて、お届けいたします。まず本日は【第1弾】です! <第2回:森浩美さん> ~代表作~ 「shake」/SMAP 「Shinin'on Shinin'love」/MAX 「愛されるより愛したい」/Kinki Kids など多数。 A.若い時には勘違いという病にかかります。作詞家のほうが売れる気がした…ということです。選択理由はそれです。だから売れてから必死になってやってきました。 <第4回:吉元由美さん> ~代表作~ 「SUMMER CANDLES」/杏里 「別れの余韻」/和田アキ子 「Jupiter」/平原綾香 など多数。 A.感性にあっていたからでしょう。中学校の時の作文の先生のコメントで「君は作詞家になったらいい」とあったことを最近思いだしました。 <第5回:SATOMIさん> ~代表作~ 「月のしずく」/RUI 「UNLIMITED」/V6 「雪の華」/中島美嘉 など多数。 A.気が付いたら趣味で書いてました…。ストレス発散のひとつだったのかも知れません。言葉を書くと云うよりも、妄想をしていると楽しいんですよね(笑)。 <第10回:松井五郎さん> ~代表作~ 「悲しみにさよなら」/安全地帯 「東京」/矢沢永吉 「恋一夜」/工藤静香 など多数。 A.他にもやりたいことがたくさんあるので、書くことを選んだという意識がありません。むしろ、書いたものを選んでいただけた。 <第17回:岩里祐穂さん> ~代表作~ 「PIECE OF MY WISH 」/今井美樹 「MESSAGE」/上戸彩 「Kisses」/松たか子 など多数。 A.言葉と、音楽が、好きだったから。 <第26回:湯川れい子さん> ~代表作~ 「センチメンタル・ジャーニー」/松本伊代 「恋におちて」/小林明子 「火の鳥」/中島美嘉 など多数。 A.ずっと純粋詩が好きで、中学時代から書き溜めた詩が、ノートに10冊以上。たまたま歌の詩を頼まれたので、ただ人の歌を評論しているよりも楽しそうだから。 <第27回:松尾潔さん> ~代表作~ 「電話のむこう」/黒沢薫 「Unchained Melody」/稲垣潤一 「恋のダウンロード」/仲間由紀恵 with ダウンローズ など多数。 A.それまで作編曲に重きを置いてプロデュースしていたのですが、楽曲のイメージを決定付けるコトバの力を次第に思い知り、自ら関わる必要を強く感じるようになりました。 <第47回:zoppさん> ~代表作~ 「青春アミーゴ」/修二と彰 「サヤエンドウ」/NEWS 「抱いてセニョリータ」/山下智久 など多数。 A.学生時代に洋楽の訳詞をしてて、作詞の奥深さに感動したからです。その感動を自分も誰かに共有してもらいたいという思いから作詞家を目指そうと思いました。 <第48回:星野哲郎さん> ~代表作~ 「三百六十五歩のマーチ」/水前寺清子 「男はつらいよ」/ 渥美清 「みだれ髪」/美空ひばり など多数。 A.寝たきりの闘病生活中「頭脳と手を使って生きる方法はないか」と考え、少年時代に受験雑誌に短歌・俳句・詩なと投稿し、賞金を貰ったことを思いだし、投稿マニアから、懸賞作家、そしてプロへと進みました。 <第55回:森由里子さん> ~代表作~ 「TATTOO」/中森明菜 「come」/安室奈美恵 「残像」/郷ひろみ など多数。 A.仕事にしたいと思ったのは、詩を書くことと音楽が好きだったから、これに尽きます。 【第2弾に続く!】 【『言葉の達人』バックナンバーはこちら!】

    2019/06/24

  • スカート
    いつかは「愛してる」とか「ベイベー」とか言ってみたい。
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    いつかは「愛してる」とか「ベイベー」とか言ってみたい。

     2019年6月19日に澤部渡によるソロプロジェクト“スカート”がニューアルバム『トワイライト』をリリースしました。今日のうたコラムでは、そのインタビューを第1弾~第4弾に分けてお届けいたします!第1弾ではスカートの軌跡と音楽性について、第2弾&第3弾ではニューアルバム収録曲について、第4弾では澤部さんの作詞論についてお伺い。いよいよ本日は、ラスト・第4弾をご堪能ください! ― 澤部さんが歌詞を書くときに大切にしていることは何ですか? 机が綺麗な状態であることですね(笑)。自分の家だと机が汚すぎて、作詞できなくなっちゃって、最近はファミレスとかで書いています。僕はペンで書くんですよ。だからどうしても机が綺麗じゃないと。あとマンガとか好きな詩集とかもよく持っていきますよ。そこからインスピレーションを得ることも多々あります。 ― 澤部さんにとって歌詞を書くこととはどんなことなのでしょうか。これまでのお話をお伺いしていると、ご自身の感情を発散させているわけではなさそうですよね。 そうなんですよねぇ。自分でもいっつもそれを考えるんです。僕にとって歌詞を書くことって何なんだろう。まぁ…本当ならマンガが書ければそれが一番良いと思っているんですよ。でもそれが無理だから、曲を書いているというところもあって。歌詞でマンガを体現しているというか。マンガみたいに曲を書きたいって常々思っています。とにかくマンガ大好きですね。今も鞄に『ガラスの仮面』が入っていて、また1から読み返しちゃっています(笑)。 ― 本当にマンガお好きなんですねぇ。ちなみに今イチオシの作品というと? 今はねぇ、もちろん今回のジャケットを手がけてくれた鶴谷香央理さんであることは大前提としまして。こないだ新刊で出た、田島列島さんというマンガ家さんの『水は海に向かって流れる』という作品が最高でした。(※アマゾンリンク)あらすじだけ読むと、暗くて複雑なんですけど、言葉のやりとりとかが絶妙で、そんなに暗い話にはなっていないんですよ。めちゃくちゃ面白いですよ! ― 歌詞面で影響を受けたアーティストというと、どなたが浮かびますか? たくさんいますね。まず松本隆さんも大好きですし。やっぱり“はっぴいえんど”を初めて聴いたときはすっごい衝的でしたよ。当時は小学生ぐらいだったんですけど、シングルが出ていてその歌詞がね、聴いたことのない言葉遣いで。抽象的な言葉から情景が沸き立つような感じが、大好きでした。受けた影響は大きいですね。 ― 澤部さんが歌詞でよく使う好きな言葉はありますか? 今回はあまり使わなかったんですけど【窓】とか好きなんですよね。想像がしやすいから。向こう側とこちら側というか。あと【ここにいない・いる】というニュアンスの言葉も多いなと気づきました。 とくにこのアルバムの最後は「トワイライト」の<君とここにいないだなんて!>と「四月のばらの歌のこと」の<ここにいるのに>と続きましたし、「花束にかえて」でも<それでも青い鳥は そこにはいない>って書きましたしね。 意識して不在を歌ったアルバムにしたつもりはなかったんですけど、意外とそうだったのかもしれないと後から歌詞を読み返して思いましたね。あー、今の自分のモードはこれだったんだぁ!ってハッとしました(笑)。 ― 逆に、あまり使わないようにしている言葉はありますか? 普段だったら使わないけど使っちゃった系だったら、「君がいるなら」の<何もなくても 君がいるなら 僕はまだ歩いてゆける>とか、そういうフレーズかなぁ。あと「沈黙」でも<抱き合う>とか、そういうこう…関係を匂わせるワードは久しぶりに使ったかもしれません。 ― あまり恋愛めいた言葉は使いませんか? 使わない使わない。でもやっぱりね…みんなラブソング好きじゃないですか(笑)。そう考えると分が悪いなぁっていつも思うんですけど。まぁ今回は自分のわりに、ラブソングっぽく取れるものが多いかなぁって。 だけど改めて「好き」とか「愛してる」とか「抱きしめる」とか言わないと、なかなかラブソングは成立しないんだなっていうことは、思いましたね。どうしても“ザ・ラブソング”にはならないんですよねぇ。 ― ありがとうございました!最後に、これから挑戦してみたい新たな歌詞はありますか? そりゃラブソングですよ~!毎回なんか上手くいかないから。いつかは「愛してる」とか「ベイベー」とか言ってみたいと思います。そのいつかがいつ来るかはわかりませんけど(笑)。 【第1弾】はコチラ! 【第2弾】はコチラ! 【第3弾】はコチラ! (取材・文 / 井出美緒) ◆Major 2nd Album『トワイライト』 2019年6月19日 初回限定盤 PCCA-04799 ¥3,200+税 通常盤 PCCA-04800 ¥2,600+税 <収録曲> 01.あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?) 02.ずっとつづく 03.君がいるなら(映画『そらのレストラン』主題歌) 04.沈黙 05.遠い春(映画『高崎グラフィティ。』主題歌) 06.高田馬場で乗り換えて 07.ハローと言いたい 08.それぞれの悪路 09.花束にかえて(映画『そらのレストラン』挿入歌) 10.トワイライト 11.四月のばらの歌のこと 【アルバム歌詞一覧】

    2019/06/21

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    性根が腐っているので、じゃあどうしてやろうと考えたわけです(笑)。
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    性根が腐っているので、じゃあどうしてやろうと考えたわけです(笑)。

     2019年6月19日に澤部渡によるソロプロジェクト“スカート”がニューアルバム『トワイライト』をリリースしました。今日のうたコラムでは、そのインタビューを第1弾~第4弾に分けてお届けいたします!第1弾ではスカートの軌跡と音楽性について、第2弾&第3弾ではニューアルバム収録曲について、第4弾では澤部さんの作詞論についてお伺い。本日は、第3弾をご堪能ください! ― アルバムでもっとも暗く響く「花束をかえて」の前に収録されている「それぞれの悪路」も悲しい響きを持っていますが、これはどんなきっかけから生まれたのでしょうか。 これはねぇ…、お話しようか迷ったんですけど、うちの実家で飼っていた猫が死んじゃって。それを歌えないかなと思ったことがきっかけなんです。でも直接的すぎるとあからさまに悲しいだけの歌になっちゃうから、いろいろ考えたんですね。で、実家から「そろそろ猫がダメかも」と連絡をもらって「わかった、今すぐ行きますわ」って高速道路に乗って、実家へ向かったときの気持ちを思い出したんです。 その高速がなんというかねぇ…今まで走ったことがないような道に思えたんですよ。そこでふと浮かんだのが、サン=テグジュペリの『夜間飛行』という小説で。荷物を運ぶ飛行船で働いているひとの話なんですけど、彼らは危険な仕事に携わっているんですよ。いや、これは話すと長くなる(笑)。とにかくその小説になぞらえながら、猫の死をなんとか歌詞にできないかと思って出来上がったのがこの曲なんですよね。 過ぎてゆく時間と 折り合いがつかなくて 頭の中ではオンボロ飛行機が往く 何処へ急ぐ? ああ この窓から 君の街が見えたらいいのに ああ きっと違う道だってあったな 雲の切れ間 見つけたいのに 「それぞれの悪路」 ― お話を聴いてから改めて歌詞を読んでみると、すごく腑に落ちます…。 あと、飛行機で雲の上に行ったとき<雲の切れ間>があれば、そこに山脈とか障害物がないとわかって、下に降りていくことができるんですね。でもそれがないと、ずっと切れ間を探して飛び続けるか、イチかバチか突入していくしかないんです。そのうちに燃料が切れそうになっていく…というイメージで。実は曲も、よく聴くと最後の1音まで演奏しているのってドラムだけなんですよ。最初にギターがいなくなって、次にベースもいなくなって、だんだん飛行機の部品がボロボロ落ちていく状態を表現してみました。 ― 悲しい…。 そうそう、そういうあらゆる部分で悲しみを表した曲なんですよ。これは地味だし、あまり多くのひとに好かれる歌詞ではないと思うんですけど、とっても気に入っていますね。この歌だけは自分で録音もしているんですよ。パーカッション以外の全部の楽器。すごくプライベートなことが源になっている歌だからと思って、最初からこれだけは自分で録ることを決めていましたね。 だから「花束にかえて」も含め、わりとアルバムのB面は暗いです。スカートのアルバムは毎回、前半後半をA面B面として考えて曲順を組んでいるんですよ。B面は「高田馬場で乗り換えて」で少し景気のイイ感じで幕を開け、「ハローと言いたい」「それぞれの悪路」で徐々に落として、「花束にかえて」を最も暗く聞かせて、そして「トワイライト」がエンドロールで、「四月のばらの歌のこと」は後日談みたいな位置づけです。 ― なるほど!最後の「四月のばらの歌のこと」は解釈が難しかったのですが、後日談というイメージだったのですね。 そうなんです。作詞という面だと、この歌が昔の歌詞に近いかな。すごく抽象的ですよね。わりとここ最近は物語っぽく書いているつもりだったので、そこからハミ出た、昔のやり方で1曲書きたいと思って。スタジオの空き時間でスラスラっと書きました。 ― では、アルバムのなかで「書けて良かった」と思うフレーズを教えてください。 もう違う景色か それでも夕暮れは私たちを等しく染めない 「トワイライト」 ここかなぁ。当たり前のことなんだけど、別々の場所にいれば、たとえお互いどんな景色を見ていようが、どんな気持ちでいようが、夕暮れには等しく染められないんだと。かなり良い表現ができたなと思っています。あとは「沈黙」で急に<不安になる>って言い出すのもすごく好きなんですよね。 破れた金網の 隙間から何が見えた? ああ なんて言葉! 不安になる 「沈黙」 ― その前の<ああ なんて言葉!>というフレーズで、主人公はどんな言葉を聞いてしまったんだろうかという想像も膨らみます。 ね(笑)。もしかしたら<口に出せば 消えてしまいそう>な言葉だったのかもしれないし。あと誰かに言われたんじゃなくて、こんなことを言おうとしてしまった自分に対する言葉なのかもしれないし。さらに、スカートの歌詞であまりなかった表現としては「高田馬場で乗り換えて」で“環七”って道路の名前をふいに入れられたのも良かったな。 この歌は“マルコメ”味噌のタイアップで書いた曲なんですけど、ほとんど制約がなかったんです。歌詞に少しでもマルコメの要素があれば何でも大丈夫みたいなことを言われて。自分は性根が腐っているので、じゃあどうしてやろうと考えたわけです(笑)。で、マルコメの本社が高田馬場にあるところに目を付けたんですよ。 いちばん 好きな コートを羽織って いつもの通り 高田馬場で乗り換えれば 馴染みの発車メロディが 背中を押すんだ 「高田馬場で乗り換えて」 ― あ~!だから“高田馬場”なんですね! で、西武新宿線の高田馬場駅の<発車メロディ>はマルコメCMソングの“マルコメマルコメマルコメマルコメ~♪”なんですよ。出来上がったときは「やってやったぞ!」と思いました(笑)。この目線で書くひとはいないだろうなぁって。そして、こんなふうに東京のローカルを歌えるというのも、東京のローカルバンドとしての役目だったんだろうとも思いますし。今回のアルバムではそんな歌も収録できてよかったです。 【第1弾】はコチラ! 【第2弾】はコチラ! 【第4弾】はコチラ! (取材・文 / 井出美緒) ◆Major 2nd Album『トワイライト』 2019年6月19日 初回限定盤 PCCA-04799 ¥3,200+税 通常盤 PCCA-04800 ¥2,600+税 <収録曲> 01.あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?) 02.ずっとつづく 03.君がいるなら(映画『そらのレストラン』主題歌) 04.沈黙 05.遠い春(映画『高崎グラフィティ。』主題歌) 06.高田馬場で乗り換えて 07.ハローと言いたい 08.それぞれの悪路 09.花束にかえて(映画『そらのレストラン』挿入歌) 10.トワイライト 11.四月のばらの歌のこと 【アルバム歌詞一覧】

    2019/06/20

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    「こんなにスカートっぽい歌詞がまだ書けるんだ!」って。
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    「こんなにスカートっぽい歌詞がまだ書けるんだ!」って。

     2019年6月19日に澤部渡によるソロプロジェクト“スカート”がニューアルバム『トワイライト』をリリースしました。今日のうたコラムでは、そのインタビューを第1弾~第4弾に分けてお届けいたします!第1弾ではスカートの軌跡と音楽性について、第2弾&第3弾ではニューアルバム収録曲について、第4弾では澤部さんの作詞論についてお伺い。本日は、第2弾をご堪能ください! ― ニューアルバムのタイトル『トワイライト』とは“薄明かり”を意味する言葉なんですよね。 あと“夕暮れ”や“黄昏”の表現で使われることも多いみたいで、今回はそういう意味合いでも使いました。これは収録曲のタイトルにもなっているんですけど、すごく迷ったんですよ。僕は毎回タイトルで苦労するんですけど、「トワイライト」はとくに苦しみましたね。 夕暮れを切り取った内容なので、それにふさわしい言葉を考えて考えたんです。でも日本語にするなら、そのまんま「夕暮れ」とかにせざるを得ないし、それだと直接的すぎるなぁって。そんななかでちょっと自分にとって不思議なワードのひとつだった「トワイライト」という言葉が浮かんで。日常の会話では使わないんだけれども、結構みんな聴いたことがあって、なんとなくほの明るい雰囲気も想像できる。そこが良いなぁと思って、決めましたね。 ― 今作には映画『そらのレストラン』主題歌「君がいるなら」と挿入歌「花束にかえて」も収録されております。映画を観ましたが、どちらの曲も流れるシーンにピッタリ寄り添っていて心地よかったです。 あ~よかった!実は最初「花束にかえて」をエンディング(主題歌)にできないかなと思っていたんですよ。まだ歌詞をつける前だったんですけど、すごい良い曲ができたから。でも3分半ではエンドロールに時間が足りないという話になりまして(笑)。とはいえこの曲はもう完全に3分半で出来上がっている作品だから「新しい曲を書きます」と新たに「君がいるなら」を書いたんです。 何もなくても 君がいるなら 僕はまだ歩いてゆける はじまりなら いつでも傍に 転がるような気がするよ 「君がいるなら」 ― この2曲の歌詞は正反対の性質である気がします。まず「君がいるなら」はこのアルバムでもっとも明るく響き、<君>が絶対的な希望ですよね。 そうそうそう。多分、普段の自分だったら<君がいるなら 僕はまだ歩いてゆける>なんて歌えてないんですよ。ここはもう作品に歌わせてもらったという感じがしましたね。物語に寄ったというか、ここで楽曲が前を向かなくてどうする!って思って。その感覚は結構おもしろかったですね。タイアップだからこその明るい言葉が引き出されました。 防波堤の影に腰おろす二人 せめて波は私の味方でいてよ 「花束にかえて」 ― 一方で「花束にかえて」は<君>が隣にいるのに<せめて波は私の味方でいてよ>と、強い孤独感が伝わってきます。 はい、行く当てのない、感情の拠り所のない二人を俯瞰で描きました。どちらも言いあぐんでいる感じが良いなぁと思います。なんかどちらかというと「君がいるなら」より「花束にかえて」のほうがスカートらしくて、出来上がったときに「こんなにスカートっぽい歌詞がまだ書けるんだ!」ってビックリしたと同時に、大きな手ごたえを感じたんです。逆に「君がいるなら」のほうは完全に『そらのレストラン』があったからこそ生まれた曲ですね。 ちょっと今回のアルバムの場合、この2曲が全体の性質を決める宿命を背負っていた気がします。とくに「花束にかえて」が出来たとき、次のアルバムは全体でこの歌が最も暗く響くような構成の作品にしないといけないなって、直感的に思ったんですよ。そして結果的に、うまくそういう流れを作り出すことができたんじゃないかなと。 ― アルバムの入り口である「あの娘が暮らす街(まであとどれぐらい?)」は、歌詞に<あの娘が暮らす街まであとどれぐらい?>というフレーズがありますが、タイトルではなぜあえて“( )”を使っているのでしょうか。 これは、僕が好きなビーチ・ボーイズの曲に「Don't Talk (Put Your Head On My Shoulder)」ってタイトルがあるんですけど、昔のロックだと結構そういう括弧書きが多くて。なんかそれ…良いなぁって。主題としては「あの娘が暮らす街」だけでも十分なんですけど、そのあとに(まであとどれくらい?)ってつけたら、急に情緒が出る気がするんですよ。僕は2つ前ぐらいのアルバム収録曲でも同じことをやっていて「想い(はどうだろうか)」っていうタイトルがあるんですよ。それも完全に同じ理由ですね。味をしめました(笑)。 なにかが変わる予感は今はしないけど 間違っててもいい 果てまで行こうよ 「ずっとつづく」 ― 2曲目「ずっとつづく」はここがキラーフレーズですね。 先ほど「自分が思っていることなんて、1曲のうちに1割も入っていない」と言いましたけど、この曲は珍しく僕の感情がわりとない交ぜになっていて、とくにここのフレーズはそうなんですよ。今31歳なんですけど、そういう年齢感がふいに出ましたね。 僕はマンガが大好きで、歌詞を書くときは結構、参考にするために読み返したりするんですね。なぜか少女マンガ中心に。で、あるときにそれをワーッと読み切ったあと「なんで僕はこの世界(マンガの世界)にいなくて、この世界で結婚していないんだろう。これはおかしなことだ!」と思って書いた歌詞なんですよ(笑)。 ― なぜマンガの主人公じゃないのかと(笑)。 多分、現実だったらうまくいかないこともあるし、不安なことしかないんだろうけれども、マンガの世界だったらそういうのを乗り越えて、どんな逆境も二人で手を取り合ってやっていけるのに…!みたいなね(笑)。そんなリアルと理想が入り混じった気持ちで書きました。だからすごくナードな歌詞なんですよね。 ― この<なにかが変わる予感は今はしないけど>というフレーズもそうですが、澤部さんはあまり大きな希望を与えるような言葉をお書きにならないですよね。ザ・応援歌のような。 うん、絶対に嫌です(笑)。なんでなんだろうな。やっぱり無責任って思っちゃうんでしょうね。自分が責任を持てるのは、架空の世界を描くことだけなんだろうな…っていう悲しい事実にまたぶち当たるわけです。となるとやっぱり、スカートの音楽なんて必要なひといるのかな!?とか思っちゃうんですけど(笑)。がんばろ。 ― いやいや、必要なひといます。わたしは「ハローと言いたい」も好きです。 嬉しい!結構ね、自分でもこの歌詞はうまく書けたと思えるんですよ。何か<君>と気さくにやり取りをしたいという気持ちなんだろうけど、それをいろいろ考えてみたところで「ハロー」としか言えないみたいな。そういうもどかしさもあるんだろうなって。この歌における「ハロー」は言葉というより記号ですね。主人公が頭のなかで描く親しさの象徴みたいなね。 いつからか僕ら 口数も減って 歩く速さも変わってしまったのかな 「ハロー」「ハロー」 気休めに問うばかり 「ハローと言いたい」 あと、個人的には<そこから僕を見てて 何か見えなくなりましたか?>というフレーズも気に入っています。パッと書いてみて、言いたいことが言えた感じがしました。まぁこの歌って悪く言うと、関係性を強いているんですけど、そういう<僕>をみてどう思うかということを知りたいんでしょうね。あと“僕はちゃんと変わっていけているのか?”とか。変われていないんじゃないかと思っている自分を誤魔化している部分もあるかもしれない。 ― うまく言語化できない想いを「ハロー」というワードに託しているところといい、言葉にできない部分の余白があるのもこの歌の魅力ですね。 ありがとうございます。本当にどの主人公も、言葉に出来なかった、言葉にしなかったなりの“何か”が必ずあると思います。あと僕は歌詞における余白ってすごく大事だと思っていて。あまり言葉にしすぎず、ある程度は曲に任せたいなという気持ちが大きいですね。 【第1弾】はコチラ! 【第3弾】はコチラ! 【第4弾】はコチラ! (取材・文 / 井出美緒) ◆Major 2nd Album『トワイライト』 2019年6月19日 初回限定盤 PCCA-04799 ¥3,200+税 通常盤 PCCA-04800 ¥2,600+税 <収録曲> 01.あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?) 02.ずっとつづく 03.君がいるなら(映画『そらのレストラン』主題歌) 04.沈黙 05.遠い春(映画『高崎グラフィティ。』主題歌) 06.高田馬場で乗り換えて 07.ハローと言いたい 08.それぞれの悪路 09.花束にかえて(映画『そらのレストラン』挿入歌) 10.トワイライト 11.四月のばらの歌のこと 【アルバム歌詞一覧】

    2019/06/19

  • スカート
    常々、音楽を通して“自分じゃなくなりたい”と思っている。
    常々、音楽を通して“自分じゃなくなりたい”と思っている。

    スカート

    常々、音楽を通して“自分じゃなくなりたい”と思っている。

     2019年6月19日に澤部渡によるソロプロジェクト“スカート”がニューアルバム『トワイライト』をリリースしました。今日のうたコラムでは、そのインタビューを第1弾~第4弾に分けてお届けいたします!第1弾ではスカートの軌跡と音楽性について、第2弾&第3弾ではニューアルバム収録曲について、第4弾では澤部さんの作詞論についてお伺い。まず本日は、第1弾をご堪能ください! ― 澤部さんは2006年からこのプロジェクトを始動させたそうですが、今さらながら、なぜ“スカート”というアーティスト名になさったのでしょうか。 当時は単に思いつきだったんですよ!大学で音楽活動をスタートするにあたって、何かバンド名を考えなきゃなぁと思ったときに、パッと“スカート”って良いんじゃないかなと。でも後付けで考えてみると、子どもの頃からずっと女性的なモノへの憧れが強いということは理由のひとつだったかもしれません。セクシャルな面ではなく純粋に「どうして自分は女性ではなかったんだ?」という気持ちがどこかにあって。その思いの象徴が「スカート」という言葉だったんじゃないかなと。 ― もう高校の頃から宅録はなさっていたんですよね。一番最初にオリジナル曲を作ったのもその頃でしたか? 遊びで作ったものならもう少し前にもありましたけど、今でもちゃんと形として残っているような曲を作り始めたのはその頃からだと思います。歌詞は今よりもっと抽象的でしたね。まぁ今でもそうなんですけど、何を言っているのかよくわからない感じといいますか(笑)。かつ、情景というより、もっと感情寄りでした。あとは単純に言葉の雰囲気だけで綴ったりとか。そういう歌詞が好きなんです。 ― 他のインタビューで「いまだに誰がスカートを聴いているんだろうと思っている」とおっしゃっていたのを拝見したのですが、そもそも作り始めた当初は“こういうひとに聴いてほしい”というような願望ってありましたか? う~ん、難しいなぁ、あったのかなぁ…。僕はどういうつもりで作っていたんだろう。いや、なんか…自分のためだった気がしますね。自分が聴いて、自分が良いと思うものを作っていたと思います。実際に出来上がったものを何度も繰り返し聴いていましたし。 ― ご自身が好きなものとはどのような音楽だったのでしょうか。 ずっと意識していたことがひとつあって。僕の同級生や先輩は、わかりやすくロックやパンクにかぶれて、いわゆる「学校なんてつまんない」とか「大人は敵」とかそういう反発心を歌っていたんですね。でも、それって絶対に10年後に同じ気持ちではないじゃないですか。だから自分は、10年20年経っても、同じ気持ちで歌えるものを作りたいと思ったんです。もちろん最初の頃の歌詞を今読んでみるとちょっと照れくさいところはあるんですけど、でも不自然ではないというか。 ― 先ほど「昔の歌詞は今よりもっと抽象的だった」とおっしゃっていましたが、澤部さんの歌詞は今でも設定や物語をあまり固定しすぎないところが魅力のひとつだと感じました。 はい、しっかりと描き切ってしまうよりは、それぞれの尺度で聴くことができるものにしたいということは未だに思っていますね。性別や結末もボンヤリさせることが多いです。ただ果たしてそんな歌をどれだけのひとが必要としているのか…(笑)。 ― そんなネガティブな…(笑)。 なんか…やっぱりインディーズでやっていた頃と違って、少しずつ聴いてくれるひとが増えてくればくるほど、音楽って“共感”とか“共有”の重要度が大きいんだなって実感するんです。そして悲しい気持ちになるんです(笑)。僕としては、そうじゃないと思っていたんですけどね。大人になるにつれて、あぁみんなそういうものを求めているのか、と。 ― 澤部さんにとっては、音楽ってどのような存在・役割のものなのでしょうか。 音楽を聴くことによって、自分の視点じゃないものが手に入ることが新鮮だと思うんですよね。それがすごく気持ちいいなぁって。マンガとか映画とか文学とかでも同じなはずなんですけど。でもなぜか音楽だけは、聴いているひとに“寄り添う”という役割を強く求められている気がして。その事実を、最近までは自分の中でも掴めていませんでした。でもまぁ、どうしたって僕はその“共感型”の音楽に寄ることはできないので、しょうがないなという気持ちなんですけどね。 ― 歌詞の中で、感情の面だとどこを切り取って描くことが多いですか? そこもまた「哀しみ」とか「怒り」とかわかりやすく一つの感情を描くことって少なくて、あらゆる感情の中間を表現している歌詞が多いと思いますね。昔はよく「曇天の美学」だとかいう話をしていました。晴れてもいないし、雨も降っていないという。そのときそのときの微妙な感情の揺れを、普段みなさんが耳にするような言葉で表現して、ザラつきを持たせられたらいいなと。そういう性質がずっとスカートの音楽にはあると思います。 ― また、歌詞を読んでいて、澤部さんご自身の気持ちを全面に描いている曲って少ないような気がしたのですが。 そうそう、その通りです。とにかく僕は常々、音楽を通して“自分じゃなくなりたい”と思っているので(笑)。だから描くのはあくまで歌の登場人物の気持ちです。自分が思っていることなんて、1曲のうちに1割も入っていないですね。あんまり「自分はこうだ!」みたいなことを書くのも得意じゃなくて。アーティストによっては、そこに今の自分の一瞬を記録するという美しさもあると思うんですけど。僕の場合はそれよりも“長く聴けるものを”という気持ちが強いんですよね。 【第2弾】はコチラ! 【第3弾】はコチラ! 【第4弾】はコチラ! (取材・文 / 井出美緒) ◆Major 2nd Album『トワイライト』 2019年6月19日 初回限定盤 PCCA-04799 ¥3,200+税 通常盤 PCCA-04800 ¥2,600+税 <収録曲> 01.あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?) 02.ずっとつづく 03.君がいるなら(映画『そらのレストラン』主題歌) 04.沈黙 05.遠い春(映画『高崎グラフィティ。』主題歌) 06.高田馬場で乗り換えて 07.ハローと言いたい 08.それぞれの悪路 09.花束にかえて(映画『そらのレストラン』挿入歌) 10.トワイライト 11.四月のばらの歌のこと 【アルバム歌詞一覧】

    2019/06/18

  • イチオシ!
    アーティストにとっての“理想の恋愛像”とはどんなもの!?
    アーティストにとっての“理想の恋愛像”とはどんなもの!?

    イチオシ!

    アーティストにとっての“理想の恋愛像”とはどんなもの!?

    あなたが夢みてた 理想の恋ってなんだったっけ? いい事ばかりじゃない 教科書にも書いてないよ 「恋を諦めかけているあなたへ」/erica  6月17日の誕生花は、スイカズラ。別名を忍冬(ニンドウ)といい、花言葉は【献身的な愛】だそうです。突然ですが、みなさんが夢みている<理想の恋>とはどんなものですか? 与える恋。与えられる恋。リードする恋。ついてゆく恋。イーブンな関係の恋。それぞれ理想が浮かぶでしょう。なかには、まさに【献身的】であることを理想となさっている方もいらっしゃるはず。  さて、今日のうたコラムではそんな“理想の恋愛像”に注目してみました。これまでの歌ネットインタビューをもとに、冒頭で歌詞をピックアップしたericaをはじめ、10名のアーティストの【理想の恋愛とは?】の回答を一挙ご紹介。ときに頷きながら、ときに心のなかで反論を唱えながら(?)、10個の“理想の恋愛像”をご一読ください…! <erica(2019年取材)> 私はですねぇ、理想と現実が違うんですよ。理想は、毎日スキンシップをし合えるような関係。手も繋ぎたいし、一緒に寝たいし、休日もベタベタしたい。だけど実際の経験を振り返ってみると…まず連絡さえくれない(笑)。人前でベタベタしたくないひと、自分のやりたいことを優先しているひと、何故かそういうひとを好きになってしまうんですよ。だから「 あなたへ贈る歌2 」には私の“こうでありたい”という願望も入っています! <黒木渚(2017年取材)> やっぱり理想と現実って違うなぁと思っていまして…。哀しいことに、私はかなりダメ男に引っかかる率が高いんです。年下とかバンドマンとかに「してやられたぁ!」みたいな経験がわりと多くて…。だからこそ憧れるのは、ちょっとおじさんと呼ばれるくらいの年齢で、余裕のある男性とお付き合いをすることですね。本当にただほんわかと思い合いたい。あと、子供みたいに扱われたい(笑)。大体、私がいつも上になってしまうパターンが多かったので、そういう恋愛が理想ですねぇ。 <家入レオ(2018年取材)> もし、刺激だけを求めるのであれば、思い切り好きになって、なんでもしてあげたい!みたいに思えたら良いかなぁ。でもそれってホント続かないんですよね、全然(笑)。それに私は音楽でやりたいことがまだまだたくさんあるし…。って考えると、お互いそれぞれやりたいことがあるというのが理想です。 <MACO(2017年取材)> 理想の恋愛かぁ…。やっぱり「 僕だけのBaby 」にある<僕には君がいないと 君には僕がいないと お互い一瞬でダメになる>みたいな、お互いがいないと絶対に無理くらいの関係が一番の理想ですね。これ以上の人には絶対に出会わないと思えるような関係。すぐ壊れちゃうような軽い恋愛は絶対にイヤですね。だからこそ、信頼し合えていなきゃダメだなぁと思います。 <chay(2016年取材)> 何気ない小さな幸せを共有できる人がいてくれたらいいなぁと思います。すっごいオシャレなデートをするよりは、素朴で他愛もないことで一緒に盛り上がれるような恋愛をしたいですね。 <ハジ→×井上苑子(2017年対談)> Q.色々なラブソングがある中、自分だったらこんな恋愛してみたいな~!って思う歌はありますか? ハジ→:やっぱり苑ちゃんの歌になっちゃうけど「 ふたり 」とか「 大切な君へ 」の学校感!ああいうのを聴くと学生に戻りたくなるよね。僕は男子校だったんですよ。だから高校には女子がいなくて。中学時代も野球一筋だったからまったく恋愛とかしてなかったし。だからそういう意味でも、いいなぁ、こんな恋愛してみたかったなぁ、って思いながら聴いていますね。 苑子:私は「 指輪と合鍵。feat. Ai from RSP 」が羨ましいですね。指輪と合鍵もらいたい!とか思うし。めっちゃもらいたい。合鍵とかもらいたい!もらったことなーい!!! <高橋優(2016年取材)> 僕の理想は…う~ん、話していて面白い人がすごく好きなので、なんか同じ映画を観たあとに、いつまでも話が尽きないような時間とかいいですねぇ。 <片平里菜(2016年取材)> 「 そんなふうに愛することができる? 」という楽曲でも描いているような恋愛かなぁ。男女間の愛情って、すごく“所有”や“独占”の欲が強いし、好きだから近づきたい、触れたい、という感情は当たり前だとは思うんですけど…。でもそれより、お互いを認め合うとか、その人と一緒にいて心穏やかで、自由で自然な自分でいられるとか、そんな関係がもしあるのなら、そういうものを信じたいですね。 <back number・清水依与吏(2016年取材)> そのテーマは長らく考えていなかったですねぇ。20代前半くらいに置いてきてしまっている気がします。昔はもっとスラっと言えたのになぁ。理想のシチュエーションの妄想とかはほとばしるんですよ。でも理想の恋愛って聞かれて、今何も思い浮かばない事態に自分でも驚いています(笑)。まぁ楽しいのが一番だし、出来ればずっとイチャイチャしていたいですけどね!ただ結局はひとつの感情だけじゃ数ヶ月しか一緒にいられないというか、幸せな時期は続かないということを思い知っちゃっているからかなぁ…。 でも、だからこそずっと一緒にいるためには“好き”って気持ちよりむしろ、お互いのダメなところとか喜怒哀楽の相性の方が重要なのかもって思うところはあるかもしれないですね。いい加減なところとか、ワガママなところとか。で、長いこと続いていくなかで、マンネリっぽくなってきて(あぁこのまま終わっちゃうのかなぁ…)って時に“結婚”ってものがあってもいいと思うし…、なんか、語り尽くせないですね。すみません、話がまったくまとまらなくて(笑)。でも、答えが出せないからこそ、まだまだ歌っていけるのかもしれないなぁとも思いますね。 誰かが言うような 理想の恋人とは程遠い 鈍臭い僕なのに 一緒にいて笑っている君をずっと見つめてる 「君の背景」/高橋優  いかがでしたでしょうか。様々な“理想の恋愛像”を知っていただき、みなさんもご自身の理想を浮かべていただいたかと思います。しかし現実では、高橋優「君の背景」に綴られているように<誰かが言うような 理想の恋人とは程遠い>ひとが、生涯の伴侶になることも多々。だからこそ面白いのが恋愛なんですよね…!この記事を読んでいるあなたとどなたかが、ともに幸せになりますように。

    2019/06/17

  • 平井堅
    誰かが君の名を適当に呼んでた、僕が呼んだ方が君に近い気がするよ。
    誰かが君の名を適当に呼んでた、僕が呼んだ方が君に近い気がするよ。

    平井堅

    誰かが君の名を適当に呼んでた、僕が呼んだ方が君に近い気がするよ。

     2019年5月29日に“平井堅”が配信シングル「いてもたっても」をリリースしました。この曲は、映画『町田くんの世界』主題歌。平井堅が脚本を読み、主人公・町田くんの見ている世界に音をつけられたらという気持ちで書き下ろした楽曲です。そんな主人公・町田くんは、運動も勉強もできないけれど、たったひとつの才能を持っております。  その才能とは【すべてのひとを分け隔てなく愛する】こと。しかし【ひとが大好き】な優しさ溢れる彼が、あるきっかけで【ひとが大嫌い】な女の子に出会ったことにより、初めて【わからない感情】と向き合うことに…。そして、恋を知り、自分自身を知り、彼はまわりのすべてのひとを巻き込みながら、驚天動地の物語を動かしてゆくのです。 いつもはストンと眠りに落ちるのに 心臓のコトバが気になって眠れない 君も知らないね君の耳たぶが 時々ほら僕に笑いかけて困ります 誰かが君の名を適当に呼んでた 僕が呼んだ方が君に近い気がするよ 僕もまだ知らないこの揺れる気持ちが 時々ほら僕を追い越して困ります 「いてもたっても」/平井堅  そんな町田くんや、初めての恋に落ちたすべての方の想いを描くのが、平井堅「いてもたっても」です。実はこの曲、歌詞のなかに一度も【好き】というワードは綴られておりません。なぜなら<僕>はおそらく、胸の内にある“何か”が【好き】という感情だということも<まだ知らない>から。でも“初恋”ゆえの変化は次々と実感せざるを得ないのです。    まず<君>がいるときもいないときも<君>への【好き】は、四六時中<僕>の日常のそばにあるようです。ひとりで眠るときも、その<耳たぶ>を見つめているときも、どこかで<誰かが君の名を>呼ぶ光景を目にしたときも、もう<僕>は当たり前のようにいつも<君>が【好き】なのでしょう。つまり<僕>の日常は<君>まみれ状態。  すると<僕>自身にも【好き】の副作用が表れます。これまでの“感性”がグッと広がり、大きく変容したのです。だから<心臓のコトバが気になって眠れな>かったり、<君の耳たぶ>が時々<僕に笑いかけて>いるように感じたり、さらには<君の名>の呼び方にさえ敏感になり、初めて“嫉妬”という感情の芽が揺れたり。新しい<僕>の心の扉が何枚も何枚も開いている様子が伝わってきますね。 いつももっとここに あともうちょっとここに いて欲しくてコトバを 探す 探す 探す 「いてもたっても」/平井堅  いつも相手が気になる、目で追ってしまう、妄想が広がる、嫉妬が芽生える、もっとここにいて欲しいと想う。それらの症状を起こす原因は、紛れもなく【好き】という感情です。だけど<僕>にはまだその原因がわかりません。それでもとにかく<君>のそばにいたい。それゆえに、うまく声にならない<心臓のコトバ>をなんとか“翻訳”して伝えようとしているのが、この歌の<僕>なのではないでしょうか。 君が「またね」と言うたびに 君が「ごめん」と言うたびに だっていてもたってもいられずに なんでか泣きそうになる 君が瞬きするたびに 君がくしゃみをするたびに ただ聞き流してた恋の歌 なんでか口ずさむ 誰も教えてくれないし 本当は誰も知らないし だっていてもたってもいられない 今だけ下さい 会えば会うほど足りなくなっていく 会えば会うほどわからなくなっていく もうこれは僕じゃない 「いてもたっても」/平井堅  そして“翻訳”した<心臓のコトバ>が溢れ出すのがサビフレーズ。なんで<泣きそうになる>のか。なんで<ただ聞き流してた恋の歌>を<口ずさむ>のか。それは【好き】だから。そう多くの方がわかるでしょう。でも恋をするとどうしてそんな状態になってしまうのか、そんなときはどうしたらいいのか、そもそもなぜ恋をするのか、それは<本当は誰も知らない>のかもしれません。    誰しも当たり前に恋をしているように思えますが、実は<もうこれは僕じゃない>と大きな“変化”を何度も繰り返しながら、常に新しい自分を作り上げているのでしょう。恋とは。好きとは。改めてそんなことを考えさせてくれる、平井堅「いてもたっても」を是非、あなたの恋心も重ねながらご堪能ください…! ◆紹介曲「 いてもたっても 」 2019年5月29日配信 作詞:平井堅 作曲:平井堅

    2019/06/14

  • 椎名林檎
    ねえせめて愛されてみたかった。ひと度でも。
    ねえせめて愛されてみたかった。ひと度でも。

    椎名林檎

    ねえせめて愛されてみたかった。ひと度でも。

     2019年5月27日に“椎名林檎”がデビュー20周年のラストを飾る、5年ぶりオリジナルアルバム『三毒史』をリリースしました。今作には、番組やCMのテーマ曲を含む全13曲が収録。テーマは、人間の内面に巣食う三つの煩悩【貪(貪り)・瞋(怒り)・癡(愚かさ)】です。今日のうたコラムでは、そんな【三毒】溢れる新曲「TOKYO」をご紹介いたします。 同じ夢で目覚めた。なぜ今また昔の男など現れる。 眉や目でさえ憶えていない相手じゃ遥か朧の月。 曖昧模糊。そんな顔を見て過ごしていた、妙な場面。 夢は十中八九晴れ模様清々しく。精々願望を映し出しているようで、 莫迦に幸せそうに燥いでいたっけ。 ああしんどいわ。頭のみ冴えている。 どことも誰とも繋がらないこの命。ああ重いわ。 持て余した自我。急いで夢の途中に戻して。起きていたくない。 「TOKYO」/椎名林檎  夢からの目覚めで幕を開ける歌。ここから徐々に主人公の【三毒】が明らかになってゆくのです。まず“<同じ夢>を見る”という現象には、心の奥に抱えている想いや叶えられない願いが反映されていることが多いんだとか。つまり強烈な【貪(貪り)】の表れ。そして、その“求めているもの”は、今さら夢に現れる<昔の男>が象徴しております。  夢占いにおいて、必ずしも“昔の恋人が夢に出てくること=相手への未練”ではありません。この主人公にとっても<昔の男>は<眉や目でさえ憶えていない相手>であり<曖昧模糊>であることから、彼に特別な感情を抱いているわけではなさそう。そうではなく“昔の恋人が夢に出てくること=恋愛の象徴・理想”である場合があるのです。  だからこそ<夢は十中八九晴れ模様清々しく><莫迦に幸せそうに燥いでいた>主人公。そんな恋愛を強く求め続けてきた証でしょう。しかし、現実にあるのは<どことも誰とも繋がらないこの命>と<持て余した自我>のみ。もはや夢でもいいから幸せでいたい。起きていたくない…。<同じ夢で目覚め>るたびに、手に入らぬものを思い知り、現状を拒絶する姿から、いっそう【貪(貪り)】が際立ちます。 微熱を帯びた瞼が居直ると、現の世界は荒れ模様忌々しく。 傘も携え用意周到だった。だのに濡れている自分。不幸なんだって。 まあしんどいよ。しとどに泣く足。どこへも誰へも続いていないこの道。 まあ酷いよ。踏み外した過去。行けども帰れども責められて 失せてしまいたい。そう当座凌ぎに必死の人生。 悲しくてもう耐えられない。ねえせめて愛されてみたかった。ひと度でも。 「TOKYO」/椎名林檎  さらに【瞋(怒り)】と【癡(愚かさ)】も色濃く描かれてゆきます。怒りの矛先は<現の世界>です。<傘も携え用意周到だった>のは、自分を護るため。いつか隣を歩く誰かを護るため。平凡に幸せに進んでゆくため。でも、そのどれも叶っておりません。日々を一緒に行く人も、たどり着くべき場所もない。傘なんて意味がないほど荒れた自分の人生の<不幸>を痛感する。そして「どうして?」という怒りが湧いてくるのです。  また【癡(愚かさ)】のひとつは<踏み外した過去>にあるのでしょう。それはきっとどんなに月日が立っても逃げられないような、逃げても逃げても誰かに見つかって指をさされるような出来事。主人公はその【癡(愚かさ)】を<責められ>るたび必死に<当座凌ぎ>をして、いつだって「もう許してください」という気持ちだったのではないでしょうか。神様や世間に。  だけど「どうして?」と「許して」の人生は<悲しくてもう耐えられない>という限界まで今、来ているのです。溢れ出す<ねえせめて愛されてみたかった。ひと度でも。>という【貪(貪り)】の声。ひと度でも、ということは、夢に現れた<昔の男>とのかつての恋愛でも“愛されていた”とは感じられなかったということでしょう。すがる“愛された思い出”さえ見当たらない、深い深い孤独が伝わってきますね。 どんな最期を迎えて死ぬんだろう。変わらず誰にも甘えず、 ずっとひとりなら長いわ。高が知れた未来。 短く切上げて消え去りたい。飲み込んで東京。 「TOKYO」/椎名林檎  こうして幕を閉じてゆく歌。ここでさらなる【癡(愚かさ)】が綴られている気がします。希望を放棄し<高が知れた未来>と自分を見限ってしまう愚かさです。人生を放棄し<短く切上げて消え去りたい>と願ってしまう愚かさです。しかし、この主人公のように【三毒】にジワジワと侵されて“東京に飲み込まれてゆく”人間は、少なくないのでしょう…。 有難う 果てしのないこの世に宙ぶらりん 醜いも甘いも全部知り尽くしたい 愛そう愛し愛されて食べて飲んで きもちいいおいしい頓知 生きていりゃもう御の字 「ジユーダム」/椎名林檎  尚、そんな「TOKYO」と相反するアルバム収録曲が「ジユーダム」です。どうか「TOKYO」の主人公が、ドン底の今をもう少しだけ踏ん張って<食べて飲んで>生きてゆけますように。そして、いつかは<生きていりゃもう御の字>と思える日がやってきますように。 ◆紹介曲「 TOKYO 」 作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎 ◆紹介曲「 ジユーダム 」 作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎 ◆ニューアルバム『三毒史』 2019年5月27日発売 初回限定生産盤 UPCH-29327  ¥3,600(税抜) 通常盤 UPCH-20513 ¥3,000(税抜)

    2019/06/13

  • Superfly
    格好いい私になれ。
    格好いい私になれ。

    Superfly

    格好いい私になれ。

     2019年6月12日に“Superfly”がニューシングル『Ambitious』をリリースしました。タイトル曲は歌詞先行公開中【注目度ランキング】の首位も記録。現在放送中の吉高由里子主演ドラマ『わたし、定時で帰ります。』主題歌として書き下ろされた楽曲です。ドラマに登場するのは、それぞれ悩みを抱え、もがきながら毎日を過ごし、懸命に働く人々。 すれ違う スーツの群れは夜よりダーク 白い靴 踏まれそうになる駅のホーム うつむいて 画面のリンク スケートしながら あの人の悪い噂を拡散中 「Ambitious」/Superfly  そんな登場人物や、今を生きるすべてのひとへの希望を歌うのが、この歌です。タイトルの「Ambitious」とは【野心を持って・大きな望みを持って】という意味の言葉。若い頃や新しく物事を始めようとするとき、わたしたちはみんな「Ambitious」の精神を胸に、まだ誰にも何にも汚されていない<白い靴>で歩みはじめるのではないでしょうか。  しかしその<白い靴>が、永遠に真っ白なままであるのは難しいこと。それは<夜よりダーク>なものに<踏まれそう>になったり、ぶつかったり、流されたり、ときには潰されてしまったりするから。ここはドラマの内容とリンクし“<夜よりダーク>なもの=<スーツの群れ>”であり、仕事のブラックな面に侵されている人々をイメージさせます。  また、本当は様々な心の疼きがあるはずなのに<スーツの群れ>の一員となると、没個性的。やがて当人も気づかないまま、誰かの“<白い靴>=純真な想い”を踏みそうになっている現状も伝わってきますね。そして、誰しも自分の心を保つため、間違った方法で現実逃避する可能性があるのです。たとえばSNSで<あの人の悪い噂を拡散>したり。無自覚のうちに没個性に陥り、同時に誰かの個性や気持ちにも鈍くなってしまっているがゆえでしょう。 ねぇ、今宵も夜空に月が綺麗ですよ? 見上げてごらん Cry Cry Cry オー ノー ノー 「Ambitious」/Superfly  でも、だからこそSuperflyは<うつむいて>いる人々に呼びかけるのです。「月が綺麗ですね」という言葉が「I LOVE YOU(愛しています)」を意味することは有名ですが、するとこの歌の<今宵も夜空に月が綺麗ですよ?>とは“愛を忘れていませんか?”というメッセージを伝えようとしているように思えます。その声が届き、スマホから目を離し、ふと空を見上げたとき<Cry Cry Cry>…やっと心が涙になって溢れ出すのです。 今はきらい oh yeah でも私は生きている 簡単に手に入るほど未来は楽じゃない 心配ない oh yeah 明日も起きようね 憧れを手放さないでね 格好いい大人たち 「Ambitious」/Superfly 夢はきらい oh yeah ほら、急かさないでちょうだい 憧れを手放さないでね 大変ね 大人たち ひらひら 星は流れる ゆっくり歩いてゆけばいい この手になんにもなくたって 「Ambitious」/Superfly  今はきらい。夢はきらい。それが、ほんの少し<白い靴>に傷や汚れがついた現在の<私>の本音なのでしょう。さらに<スーツの群れ>のうちの誰かもまた、同じ想いを抱いているのかもしれません。だけど傷や汚れは必ずしも悪いことではありません。痛みや汚れを知って得るものもある。そしてまた歩んでゆけるように心を手入れすれば良いのです。何度でも<生きている>限り。  心配ない。明日も起きよう。憧れを手放さないで。ゆっくり歩いてゆけばいい。この手になんにもなくたって大丈夫。そんなひとつひとつの言葉が心を洗い流している気がします。自身を鼓舞し、自信を取り戻している気がします。そうやって流れる星を<ひらひら>と感じられるようなしなやかな心が、息づいてゆくのではないでしょうか。 今はきらい oh yeah でも私は生きていく 生み出したい oh yeah この小さな体から 夢が見たい oh yeah 明日に行かなくちゃ 憧れは手放さないまま 格好いい私になれ 「Ambitious」/Superfly  歌の終盤。さらに“希望”や前向きな“意志”を含んだ言葉が放たれておりますね。<私は生きている>が<私は生きていく>になり。手に入れたり、手放したりではなく<生み出したい>と想いが生まれ。<夢はきらい>が<夢が見たい>に変わり。そして“大変な大人たち”をどこか俯瞰で見ていた主人公が<格好いい私になれ>と“自分事”で捉えるようになっているのです。  大人になって、夢や憧れを手放してしまっているかもしれないあなた。きっと新しいチャンスはどこにでもあります。いくつになっても<格好いい私>になることはできます。そのために頑張る力を与えてくれる、Superfly「Ambitious」がその心に届きますように…! ◆紹介曲「 Ambitious 」 作詞:越智志帆・jam 作曲:越智志帆 ◆25th Single『Ambitious』 2019年6月12日発売 通常盤 WPCL-13049 ¥1200(税抜) 初回限定盤DVD WPZL-31609~10 ¥2300(税抜) 初回限定盤Blu-ray WPZL-31611/2 ¥2800(税抜) <収録曲> 1.Ambitious 2.覚醒 3.氷に閉じこめて

    2019/06/12

  • イチオシ!
    あのアーティストの“子ども時代”とは…?本日は後編!
    あのアーティストの“子ども時代”とは…?本日は後編!

    イチオシ!

    あのアーティストの“子ども時代”とは…?本日は後編!

    大事なことには出会い続ける。 たぶん、四十になっても、五十になっても、 出会うんだろう。だけど、 若い頃に出会った大事が人生を決めてしまう。 幼い胸に刻まれた大事に従って、 ひとは生きていくんだと思う。 (宮下奈都『つぼみ』より引用)  こちらは作家・宮下奈都さんの小説『つぼみ』に綴られていた一節です。ひとの性格は二十歳を過ぎるとほとんど変わらなくなるとはよく聞きますが、それは二十歳以前の『幼い胸に刻まれた大事に従って』生きてゆくからなのでしょう。そして音楽もまた、それぞれのアーティストの『若い頃に出会った大事』が大きな“核”になるのだと思います。    そこで今日のうたコラムでは、これまでの歌ネットインタビューをもとに、様々なアーティストの“子ども時代”についての回答を一挙ご紹介いたします!本日の【後編】では、ビッケブランカ、吉澤嘉代子、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)、井上苑子、MACO、片平里菜、海蔵亮太、大原櫻子の言葉をピックアップ。じっくりとご堪能ください…! <ビッケブランカ(2018年取材)> 僕は小学校の頃が人生で一番楽しかったと思っていて、そこがピーク。仲良しのみんなで、何の責任もなく、本当にこう…シンプルに人間関係を楽しめていたときですよね。それは恋愛も同じで、僕が小学校の頃、好きだったヤスヨちゃん…。でもヤスヨちゃんはこないだ消防士と結婚したので、僕の初恋は終わりました…。 恋愛でも僕はその時代を一番美しいと思っているところがあって。僕はあのヤスヨちゃんへの「好き」こそ、本当の「好き」だと思ってしまっているわけです。大人になると、もちろん体の関係もあれば…ね? お金もかかってきて。結婚とかはもっと先の話になるとしても、いろんな要素が混ざってくるじゃないですか。 <吉澤嘉代子(2014年取材)> 妄想が激しくて、かなりエキセントリックな子供だったと思います(笑)。おじいちゃんから聞いた話なんですけど、私は近所の公園にいた鯉を自分のペットだと思っていたみたいで、鯉に手紙を書いたこともあったみたいなんですよ。妄想と現実がいつもごっちゃになっている感じでしたね。幼稚園の頃には「せっちゃん」という男の子が夢に出てきて。 (夢で)せっちゃんと私は居酒屋で働いていて、まわりに内緒で付き合っていたんです。それで起きてからもせっちゃんが本当に居ると思い込んでしまっていて、お母さんに「私の彼氏を紹介するわ」って言って、せっちゃんは居ないのにお母さんにずっと紹介していたんです。そしたら、お母さんが泣いてしまって…。せっちゃんの顔がハッキリと思い出せなかったので、その後も、男の子を見つけると「本当はせっちゃんなんだよね?」って話しかけたり、かなり痛い子どもだったと思います(笑)。 <Mrs. GREEN APPLE 大森元貴(2017年取材)> 兄貴がいるんですけど、僕は三兄弟の末っ子で、真ん中と7才差、一番上とは14才も年が離れているんですよ。だから幼い頃は、兄貴が家や車で流している音楽を自然に聴いていましたね。とくにモンパチ(MONGOL800)さんは大好きで、僕が音楽を始めるきっかけにもなりました。あとお父さんも高校の頃、ドラムをちょっとやっていたりもしたし。特別に音楽一家というわけじゃないんですけど、そういうところからいろんな曲に触れる機会が多かったんです。 <井上苑子(2016年取材)> お母さんが専門学校のボイストレーナーで、小さい頃から私もそのスクールに通うことになったんです。ちょうど子ども教室の生徒数が足りなかったらしく、連れられていって。そしたらオーディションがあり、入賞したら授業料が免除ということで、お母さんに「免除になったら通っていいよ」って言われました(笑)。そこで大塚愛さんの「PEACH」を歌い、みごと入賞することができてスクールに通うようになり、すぐ路上ライブを始めましたね。路上ライブを始めたからには、もうこれしかないんだろうなぁというか、私は歌で生きていくんだろうなぁと思いました。 <MACO(2014年取材)> 小さい頃は、両親がフォークや洋楽をよく聴いていたので、小さいながらに真似して歌っていて、中学・高校生になった時には、学際に出て歌うぐらい、歌うことが大好きになっていました。洋楽をちゃんと聴くようになったのは、中学生の時で、ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、アヴリル・ラヴィーンが来日したのがきっかけです。 <片平里菜(2014年取材)> 本当に人見知りで内向的な性格でした。独りで絵を書いたり、段ボールで何か作ったり、物語を書いたり…。そういうのは昔から好きでしたね。中学3年の頃から「音楽でプロを目指す」と決めていたので、私の中で学校は正直どうでもよくて、高校の3年間はバンド活動をしながら、歌の練習をしたり、オーディションを受けたりしていました。 <海蔵亮太(2019年取材)> 幼稚園の頃から、毎週水曜日、キャッツというカラオケ屋さんで歌っていました。僕は上に兄と姉がいるんですけど、毎週リリースされるいろんなアーティストの新曲を、僕に歌わせようと二人して持ってくるので、それを覚えなきゃいけないという任務がありまして(笑)。食わず嫌いなしで何でも。 たとえばかつて放送されていた音楽番組『THE夜もヒッパレ』で発表されるランキングの上位5曲ぐらいは、毎週何かしら覚えて歌っていましたね。ぶっちゃけ、小学校の頃なんて、学校の課題もあるのに新しい歌も次々と本気で歌えるようにしなきゃいけないという状態で、もはやカラオケという課題に追われている感じでした(笑)。多分、今以上に忙しかったと思います。 <大原櫻子(2015年取材)> (小さい頃)歌手になろうと思ったことはなかったんですよ!ずっと女優になりたくて。でも歌は大好きで、子どもの頃から英語の曲だったり演歌だったりいろんなジャンルの曲を聴いていました。一番最初に買ったCDが、ミュージカル「アニー」のものだったと思います。まず、アメリカの映画の方を観て衝撃を受けて、それからミュージカルのCDも買いました。「アニー」は女優を目指そうと思ったきっかけの作品でもあるんですけど、「ハイド・アンド・シーク」っていう、ロバート・デ・ニーロさんとダコタ・ ファニングさんの出演している映画がありまして、その映画もお芝居を始める大きなきっかけになった作品です。  いかがでしたでしょうか。子どもの頃に夢中だったもの。とりまいていた環境。習慣。幼いながらに抱いていた価値観。様々なものがそのひとの人生の年輪の“中心”となっていることがわかるのではないでしょうか。みなさんの『若い頃に出会った大事』といえば、どんなものですか? それは“今”にどのように繋がっていますか? 【前編】はコチラ!

    2019/06/11

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