美しい世界

Furui Riho
美しい世界
2026年3月4日に“Furui Riho”が3rd Album『Letters』をリリースしました。今作はそのタイトルのとおり、Furui Rihoが誰かに向けた手紙のように想いを綴った楽曲を集めており、聴く人の心に寄り添う、温かくも芯のあるメッセージが詰まった作品。TVアニメ『CITY THE ANIMATION』オープニング主題歌「Hello」などを含むシングル曲に、新曲を加えた全11曲が収録されております。 さて、今日のうたではそんな“Furui Riho”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。第2弾は収録曲「Letters」にまつわるお話です。「この世界は美しい」と信じ込んで生きてきた自身。本当の悲しみに触れ、絶望を知り、それでも思うことは…。 就活の面接で 「あなたは運が良いですか?」と聞かれることがあるらしい。 正解は「はい、運が良いです」と答えることだそうで、 逆境にどう向き合うか、前向きに努力できる人間かどうかを見ているのだという。 実際私は、自分は運が良いほうだと思っているので、 もし私が就活をしていたら、 「はい!」と答えて、採用にぐっと近づいていた可能性もあるが、 そもそも後先考えず、就活もせず、 結果世間から長い間“お祈り”をもらい続けてきた私は、社会に適合することすら難しかった。 なんだか昔から妙な自信があって、 運が良いと自負していたからなのか、 「自分はなんでもできる」と、恥ずかしながら本気で思っていた。 でも振り返ると、私をここまで運んできたのは、私の力というより、私を導いてくれた人がいたからだと思う。 そうやって沢山愛され、恵まれてきた私は、 この世界は「美しい」と信じ込んでいた。 お節介にも人の心をこじ開け、 自分なりの“愛のレシピ”を差し出せば誰かを救える気になり、 そんな勘違いで舞い上がると、愛は簡単に消え失せた。 人は簡単には変わらない。自分の無力さに気づいた。 その無邪気な「傲慢さ」でこれまで誰かを傷つけてきたことが、今とても恥ずかしい。 そうやって世の中の美しさを疑い始めたとき、 とある人に出会った。私と違って、 「生きている意味なんてない」と諦めて笑う人だった。 希望はなく、今にもこの世を終わらせてしまいそうな目で、 悲しそうに泣いていた。 あの夜、その悲しみに私は触れ、本当の絶望を知った。 聖書に「この世は空しい」という言葉があるが、 その時初めて現実になった気がして、 私の中の「美しい」世界は静かに沈んでいった。 体がどんどん重くなり、椅子に張り付けられたまま動けなくなった。 「Letters」は、そんな絶望を悟って生まれた曲だった。 確かに全てが偶然に誕生して、 年月の果てに私が生まれたのなら、 人生は「無」なのだろう、 意味などないのだろう。 でも、本当にそうだろうか。 探すことを諦めているだけじゃないだろうか。 私がとある人にもらった手紙には、 希望が書いてあった。 生まれた意味を教えてくれて、 そこには愛があった。 この世界は、確かに残酷だけれども、 それでも、このくそみたいな世界で、 生きていかなきゃいけない。 どうせ絶望で終わるのなら、 私はその先にあるかもしれない希望に賭けてみたいと、 そう思ってカラカラの体から、絞り出してこの曲を書いた。 激動の日々は過ぎ去っていって、 ついにアルバムがリリースされた。 書き上げたあとに何か変わったかというと、 正直よくわからない。 でも心は、以前よりも深く静かで、 ほんの少しだけ優しくなった気がしている。 <Furui Riho> ◆3rd Album『Letters』 2026年3月4日発売

















