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J ライヴレポート

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【J ライヴレポート】 『J LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-』 2019年8月11日 at マイナビBLITZ赤坂

2019年08月11日@マイナビBLITZ赤坂

撮影:Yoshifumi Shimizu/取材:大前多恵

2019.08.16

4年振りのニューアルバム『Limitless』を引っ提げた『J LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-』が8月11日、翌日にFC限定のバースデー公演を残しながら、マイナビBLITZ赤坂にてファイナルを迎えた。1曲目の「Now And Forever」からパワー全開! 続けて「PYROMANIA」を放ち、“この東京、全部燃やせ!”と物騒な煽り文句をJが叫ぶ。美しいギターアルペジオのフレーズに切り替わった瞬間、オーディエンスが一斉にライターで火を灯し光の海を出現させるのはお馴染みの光景だが、毎回見惚れる。Jの歌声は雄々しく、ところどころ掠れるのがまた内なる炎を思わせた。

ソロ活動20年を超えてなお、バンドで音を鳴らすことが楽しいという初期衝動をそのまま音に宿したような「the Beginning」から、6連続で『Limitless』収録曲を畳み掛けると、本人がMCで予告した通り爆音で圧倒。「Don’t Let Me Down」の粘り気あるロックンロールなリフは骨太だが、色気のあるコーラスでも魅了、緩急で引き込む。「at Midnight」のグルーブ感、哀訴するような切々とした歌声、「Fly Again」ではフロアー上方でミラーボールが輝き、会場全体を星空のように照らした。ロマンチックで美しいメロディーを歌いながら、その手元は緻密かつ力強いピッキングを繰り返した。どの曲にもJらしいシンプルさと骨太なロックの力強さ、そして聴き飽きることのない不朽のメロディーラインがあるのだった。

後半は赤と白のライトが激しく明滅する中「break」のエッジの効いたヘヴィなサウンドで度肝を抜くと、続く「BUT YOU SAID I'M USELESS」にはアカペラ歌唱で静かに入っていく。やがて演奏が高ぶりを見せ、ステージを動き回って全身でパフォーマンスするJ。「NOWHERE」のイントロで横顔を見せながら黙々とリフをプレイする立ち姿を見ていて不思議と心に浮かんできたのは、爆音の中にありながらも“寡黙”という言葉だ。グルービーで心地良いこのミディアム曲では“歌ってくれるか?”と曲間で叫び、ファンに歌唱を求める。“お前たちのその胸の炎を俺に見せてくれ!”と煽ると、本編は「Feel Your Blaze」で締め括られる。青空の下駆け出していくような疾走感に満ちたこの曲を、声を枯らすほどの熱量で歌い、ファンにも“もっと!”と求め続けたのだった。

アンコールでのステージでは“最高のライヴになりました”と述べ、自分自身にとって新しいスタートになるツアーだと確信しながら回ってきたツアーだったと振り返る。10枚のアルバムをすでに作り終え、“その次に作るのはどういうものだろう? 熱くドキドキてるのかな?”と自己確認する4年を経て生まれたのが11枚目の『Limitless』であり、アルバムをどういうふうに形容していいか未だに分からないとも正直に吐露した。しかし、同時に全国各地を回って爆音で鳴らしながら、大事なものを刻みつけられた実感もあるという。“みんなと一緒に、最高なロックな人生を突っ走っていきたい”と決意を新たに表明し、“そんな想いが刻まれた『Limitless』を聴いて、観届けてくれたみんな、どうもありがとう。来られなかったみんなにも、ありがとうと感謝の気持ちを伝えてください。頼んだよ!”と最後はやさしく、親しげに語り掛けた声色が印象的だった。“みんな、日常でそれぞれ戦ってると思う。俺のライヴが刺激に、エネルギーになってくれたらいいなと思う”とオーディエンスひとりひとりの人生に想いを馳せる言葉にも、長く活動を続け、さまざまな出会いと別れを経験してきた今だからこその説得力と温かさがあった。

“これからも一緒にロックな人生を歩んでいこうぜ!”と再び叫び、バンドメンバーにもひと言ずつコメントを求めたところ、アルバムが期日通りにリリースされなかったことが暗に仄めかされるたび、“ズキッ!”とリアクションするという微笑ましい場面も。そして、年末恒例の“暴”年会ライヴ開催告知で会場を沸かせると、“今の俺からの、皆へのメッセージです。この曲をプレゼントとします”との言葉から、アルバムのリード曲「Love Song」を届けた。新たにエンドースメント契約を結んだフェンダーの漆黒のベースで粒立った音色を鳴らし、しっとりと深く響く歌い上げ、ラストは「BURN OUT」で思い切り弾け、オーディエンスを解き放つ。最後ひとりステージに残ったJは、“最高のツアーになりました。次は年末。約束だぜ、次会う時まで、何があってもくたばんなよ!”と声を枯らして叫んだ声は会場に、胸に響いた。Jは耳に手を当て、叫び続けるファンの声をしっかりと聴き届け、ステージを去った。

“俺はこれが好きなんだ”という真っ直ぐな想いが隅々まで詰まったような楽曲、サウンド、バンドのグルーブ感、迷いのない言葉。Jの放つメッセージに呼応したオーディエンスの熱さ、その間に築かれた信頼関係も感じられる、激しくも心温かいライヴ空間。10枚のアルバムを作り終えたJが自問自答の末に選び取った、“11枚目も、変わらない軸を貫き通す”という決断こそがツアータイトル“THE BEGINNING”の意味するところだった。

撮影:Yoshifumi Shimizu/取材:大前多恵

J

ジェイ:1992年にLUNA SEAのベーシストとしてメジャーテビュー。97年、LUNA SEA の活動休止を機にソロ活動を開始。翌年LUNA SEA を再開するが、00年12月の東京ドーム公演にて終幕し、本格的にソロ活動をスタートする。03年にはアリーナ・オールスタンディングによる、ソロ活動初の武道館公演を実施。その後もとどまることなく自身の音楽を追求し続け、17年3月にはソロデビュー20周年を記念したベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> [W.U.M.F.]』を発表。現在は10年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。

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