LIVE REPORT

LUNA SEA ライヴレポート

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【LUNA SEA ライヴレポート】 『LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days-』2019年6月1日 at 日本武道館

2019年06月01日@日本武道館

撮影:田辺佳子、橋本 塁/取材:桂泉晴名

2019.06.11

1989年の結成以来、独自のスタイルを作り上げてきたスーパーバンド、LUNA SEA。今年30周年を迎え、結成記念日の5月29日にはNHK総合テレビで放映中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』の第一弾、第二弾オープニングテーマを収録したダブルAサイド・ニューシングル「宇宙の詩 ~Higher and Higher~ / 悲壮美」をリリースし、さらにFC限定のフリーライヴ『The 30th Anniversary FREE LIVE -DEAR SLAVES-』をZepp Tokyoで開催。そして、5月31日と6月1日に日本武道館で行なわれた30周年記念ライヴは、セットリストに歴代の代表曲を組み込み、バンドが歩んできた長い道のりを振り返った。一方、常に音楽へのあくなき探求を続ける彼らは、今回の公演で新たな試みにも挑戦。会場から大歓声が上がった。

30周年記念ライヴ2日目は究極のオープニングナンバーと呼ばれる「LOVELESS」からスタート。「Rouge」「END OF SORROW」「TRUE BLUE」など新旧のヒットナンバーが立て続けに演奏されたあと、RYUICHI(Vo)の躍動するヴォーカルから始まる新曲の「宇宙の詩~Higher and Higher~」を披露。どんな長い歴史があっても、最新曲が披露される時の期待感あふれる気持ちは格別なもの。原曲者のSUGIZO(Gu&Vio)が雑誌のインタビューで“この曲のリズム隊は大地”と解説していたが、J(Ba)のゴリっとしたベースと真矢(Dr)のドラムはまさに大地から沸き上がる鼓動を思わせる。そこへ自由に飛び回るINORAN(Gu)とSUGIZOのギター、RYUICHIの声が乗り、宇宙空間を思わせる壮大なハーモニーを奏でる。まさに今現在のLUNA SEAが詰め込まれたみずみずしいパフォーマンスを見せてくれた。

最新版LUNA SEAの余韻が残る中、ドーンという銅鑼の音が会場に響き渡った。すると真矢のドラムに呼応するようにINORANがステージ後方に設置されたパーカッションをおもむろに叩き始める。予想もしていなかった意外な展開に、客席から驚きの悲鳴が上がる。ドロッとした熱が絡み付いてくる、ダークかつ狂気をはらんだ「FACE TO FACE」。研ぎ澄まされた演奏で、これまで何度も素晴らしいテイクが生まれた同曲。すでに一分の隙もないほど完成されていたが、今回INORANの激しいパーカッションが加わることで、スリリングさが増していき、オーディエンスから大歓声が起こった。

「FACE TO FACE」で高まったボルテージを鎮めるかのようにSUGIZOの流麗なバイオリンの音が流れる。INORANのアコギが加わり、《親愛なるキミへ...》という歌詞が聴こえると、すかさずオーディエンスが反応する。切なく美しい「RAIN」のリアレンジバージョンを3人で演奏。嵐のように激しいSUGIZOのバイオリン、しとしとと優しく降る雨を表すようなINORANのギターが重なり、途中でRYUICHIがファルセットを交えて歌う。この曲が秘める「FACE TO FACE」とはまた違った静かなる狂気の部分を引きずり出す。5月にJとSUGIZOと出演したラジオ番組でRYUICHIが“まだまだ歌が上手くなりたい”と語っていたことを思い出した。もっともっとと表現の高みを目指す姿は、今も昔も変わらない。そして、《キミが来る この場所で 僕は生まれる》と歌う場面で、RYUICHIは客席に向かってゆっくり手を広げた。今年の初めに大きな手術を経た彼。そのしぐさに、ファンに対する万感の想いが込められているように見えた。

会場が暗くなり、真矢のドラムソロを待つ客席。するとステージ後方でライトに照らされたのは笛、小鼓、大鼓、太鼓のお囃子の4人。真矢は能楽師の家系に生まれるというルーツを持つ。お囃子の4人を背後に背負い、ドラムソロを轟かせるが、そこには音を鳴らさない“間”もはさまれ、客席は息を飲むようにシーンと静まり返る。大歓声で応えるシーンもオーディエンスの存在を大いに感じるが、この沈黙のやり取りもLUNA SEAのライヴを形作っていることがよく分かる。そして、LUNA SEAが提示する音楽に対して真っ直ぐ反応する客席の様子から、メンバーがファンについて誇りを込めて“6番目のメンバー”と呼ぶことの意味を感じた。

この日のライヴはラストの定番「WISH」では終わらず、最後に演奏されたのは「FOREVER&EVER」。96年の『UN ENDING STYLE TOUR FINAL Christmas STADIUM~真冬の野外~』や00年の『THE FINAL ACT TOKYO DOME』、10年の『20th ANNIVERSARY WORLD TOUR REBOOT-to the New Moon-』など節目のライヴでもプレイした楽曲である。中盤にあるJの静かな語りの中に、彼らが歩んできた日々で出会ってきた喜びや悲しみ、そして未来に対する希望といったあらゆる感情が混ざり合っていて、オーディエンスの胸を打った。

彼らは12月にニューアルバムをリリースする。これまで一貫してセルフプロデュースを続けていた5人だが、今回U2など世界的アーティストの作品を手掛けてきたスティーヴ・リリーホワイトを共同プロデューサーに迎え、まだ開かれていなかった扉を開けようとしている。30年をひとつの通過点として、LUNA SEAはこれからも多彩な音楽の世界を旅していく。

撮影:田辺佳子、橋本 塁/取材:桂泉晴名

LUNA SEA

ルナシー:1989年、町田プレイハウスを拠点にライヴ活動を開始(当時の表記は“LUNACY”)。90年にバンドの表記を“LUNA SEA”に変更し、翌91年に1stアルバム『LUNA SEA』をリリース。そして、92年にアルバム『IMAGE』でメジャーデビューを果たす。00年12月26日&27日の東京ドーム公演を最後に終幕を迎えるが、07年12月24日の満月のクリスマスイヴに東京ドームにて一夜限りの復活公演を経て、10年に“REBOOT(再起動)”を宣言。13年12月には13年5カ月振りとなる8枚目のオリジナルアルバム『A WILL』を発表する。その後、バンド結成25周年を迎え、自身初の主宰フェスとなる『LUNATIC FEST.』も開催し、17年12月には9枚目のオリジナルアルバム『LUV』をリリース。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 9

    〜Drum Solo (乱序) & Bass Solo〜

  2. 16

    <ENCORE>

  3. 18

    2. Déjàvu

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