ちゃんとって言葉が嫌いになった、そうだ、僕らは子供だった。

サカグチアミ
ちゃんとって言葉が嫌いになった、そうだ、僕らは子供だった。
大切な思い出って 支えになるし お守りになるし 居場所になるんだなぁって思います。 (ドラマ『anone』より) 卒業が目の前に迫ってきた今日この頃。ドラマ『anone』第1話で放たれたセリフが沁みますね…。自分の過去が、今と未来にとっての支えに、お守りに、居場所になる。今日のうたコラムでは、そんな想いにも通じる新たな“卒業ソング”をご紹介いたします。2018年3月21日に“坂口有望”がリリースする1stフルアルバム『blue signs』の収録曲「お別れをする時は」です!尚、すでに2月7日からシングルとして配信リリースがスタート。 私の心配をしてくれた 君のその心は もっと自分に使ってね もっと大事にしてね 話の断線に気づかない 君のその癖は きっとこれからも誰かをちょっと困らせるからね 「お別れをする時は」/坂口有望 まず、この歌に綴られている<君>は、ただひとりの大切な人を表しているようでもあり、フレーズによって大切な人ひとりひとりを表しているようでもあるのが印象的ですね。卒業でお別れをする相手とは、友達や先生、または家族や恋人である方もいるでしょう。しかし、たとえ相手が誰であっても、自分にとっての<君>を思い浮かべて聴くことができるのも「お別れをする時は」の魅力の一つ。 いつも<心配をしてくれた>あの人。いつも<話の断線に気づかない>あの人。今、みなさんの身近にもいませんか? そんな<君>の性格や癖をよくわかっているのは、一緒に長い月日を重ねてきたから。その過去を踏まえた上で<私>は、これからの<君>にメッセージを贈っているのがわかります。そして、いつも<心配してくれた>こと、いつも<ちょっと困らせ>られたこと、それらの大切な思い出がこれからの<私>にとっての支えに、お守りに、居場所になってゆくのではないでしょうか。 部活の活気が冬を壊して グラウンドの夕陽が人を泣かした 大人になってしまうなよ なんとなく なんとなくで生きていたから 壁を前にして足がすくむような毎日でした ちゃんとって言葉が嫌いになった そうだ 僕らは子供だった 「お別れをする時は」/坂口有望 うかつにも もう春は来ていて イヤホン越し うたが人を生かした 全部言葉にしないでよ 変わりたいとかじゃなく変わってしまうものだから 何を盾にして何を救うかは誰もわからないし さよならって言葉が怖くなった どうか 元気でいてほしいな 「お別れをする時は」/坂口有望 ただ、お別れする<君>に対して笑顔でメッセージを手渡しているようなシーンが想像できる一方で、視線を自分の心の内に向けたとき、そこに疼く感情はポジティブなものばかりではないようです。戻れないあの頃への寂しさ、本当は<大人になってしまうなよ>と言いたい気持ち、今まで<なんとなくで生きていたから>こその自信の無さ、ずっと<僕らは子供だった>ことの気づき、そして<変わりたいとかじゃなく変わってしまう>どうしようもなさ。 きっと卒業を間近にして、そうしたいろんな気持ちがブワーッと押し寄せているのです。だけど、うまく言葉にし切れないし、全てを言葉にして小綺麗にまとめてしまいたくはない…。それゆえに<全部言葉にしないでよ>という本音が溢れているのだと思います。また、みんな子供のままお別れしてしまうその先が<わからない>不安もあるがゆえに<さよならって言葉が怖くなった>のでしょう。そんな複雑でリアルな模様も綴られているから尚更<どうか 元気でいてほしいな>という願いが響きますね…。 何度でも 何度だって 言い聞かせてたはずなのに 明日には 明日には ここに居れる気がするから ああ やっぱ さみしくなってしまうな そうさ お別れをする時は ありがとう さようなら またいつか会おう! 壁を前にして足がすくんでも大丈夫だろう ちゃんとって言葉も向き合ってくよ そうさ 僕ら大人になった 少しはさ 「お別れをする時は」/坂口有望 それでも歌の終盤、タイトルでもある「お別れをする時は」というフレーズが登場した後は、ポジティブなメッセージの強さがまたグッと増しております。怖かった<さようなら>をはっきりと口にし<またいつか会おう!>という言葉に繋げ、自信のなさの原因だった<壁を前にして足がすくむ>ことも<大丈夫だろう>と胸を張り、かつては嫌いだった<ちゃんとって言葉>にも<向き合ってくよ>と意志を掲げているのです。 もしかしたらそれは“「お別れをする時は」前向きにならなきゃ!”という強がりなのかもしれません。でも、それぞれ<ちゃんと>頑張ってゆくことを宣言し、明るく<ありがとう さようなら またいつか会おう!>とお別れできることは、たとえ強がりだとしても<僕ら大人になった>証。そして、このお別れの時の大切な思い出も<僕ら>のこれからにとって何度でも、支えになるし、お守りになるし、居場所になるのでしょう。 今年、自分が卒業をするという方も、大切な人の門出を見送るという方も、是非、春空の下じっくりと、坂口有望「お別れをする時は」を聴いてみてください…! ◆1st Album「blue signs」 2018年3月21日発売 通常盤(CD) ESCL-5036 ¥3,000(tax in) 初回生産限定盤(CD+DVD) ESCL-5034~35 ¥4,000(tax in) <収録曲> 1「空っぽの空が僕はきらいだ」 2「おはなし」 3「お別れをする時は」 4「月には内緒で」 5「厚底」 6「14才の唄-Album Ver.-」 7「紺色の主張」 8「15歳の詩」 9「さよならロマン」 10「ばかやろう」 11「革命を」 12「好-じょし-」 13「地球-まる-」 14「16さいのうた-Album Ver.-」
























