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  • reGretGirl
    俺をずっと踊らせてくれ。
    俺をずっと踊らせてくれ。

    reGretGirl

    俺をずっと踊らせてくれ。

     2026年8月12日に“reGretGirl”がDigital Single「ラストダンス」を配信リリースしました。終わりへ向かう恋の上で踊り続ける、未練全開な失恋ソング。“気が利く彼氏“を演じる独りよがりな男が、彼女のリズムに必死に合わせ、不器用に踊り続ける情けない心情がストレートに綴られた1曲となっております。    今日のうたではそんな“reGretGirl”の平部雅洋による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは新曲「 ラストダンス 」にまつわるお話です。日々のなかで少しずつ積み重なっていった違和感。やがて<僕>が<俺>に変わり、溢れ出す思いは…。 この度、8月12日に我々reGretGirlはデジタルシングル「ラストダンス」をリリースいたしました。   今作はreGretGirl最大の武器ともいえる、「曲は軽快なのに歌詞は切ない」のまさに真骨頂であり、ラストダンスの名の通り「ラスト」の切なさを歌詞で、「ダンス」の楽しさ軽快さをメロディとリズムで表現しました。   今後ライブでもこの楽曲が我々のステージの盛り上がりを担ってくれること間違いなし、かなりの自信作ができたと自負しております。 メランコリックでグルーヴィーなアッパーチューンにみなさん是非踊らされてください。 今回は、この「ラストダンス」の主人公の気持ちや想いを綴った文章をお届けします。   ---------------   「今日は18時半ぐらいに駅着きそう」 「おっけい!!」   18時25分。最寄駅まで彼女を迎えに行く。数分経って改札から出てくる彼女の表情は明らかに曇っている。「あ、今日はそういう日か、」僕は目に見えないスイッチを入れる。できるだけ笑顔を作り「おかえり!おつかれさま!」とワントーン高い声で出迎える。何を食べたいか聞いても「なんでもいい」しか帰ってこず、また近所の回転寿司屋に入った。   茶碗蒸しを黙って口に運ぶ彼女に、今日あったことを元気よくできるだけ冗談を交えながら話しまくる。注文のタッチパネルしか見ていなくても、雑な相槌しか返ってこなくても、僕はにこやかに話し続ける。到底会話とは呼べない言葉の壁当てを繰り返し、「今日は仕事頑張ったんやからデザートぐらい食べたらええやん!」という言葉に「じゃあ毎日食べていいってことかぁ」とやっと少し笑顔で返してくれた。   もう彼女が何を考えているのかなんてとうの昔に分からなくなってしまった。機嫌を損ねている日の扱いさえ作業のようだ。僕の意見を押し殺すだけで隣にいられるのならいくらでもそうしてきた。なのに近頃はああだこうだ言ってくれない。僕に変わったところはないはずだ。出会った頃のままの気の良い奴を突き通しているつもりだ。   好きなものに真っ直ぐで、意志が強くて、少し頑固なところも僕には全て心地良かった。だからもっと手綱を握っていてくれ。もっと手のひらの上で踊らせてくれ。   あと何小節この生活は続くだろうか。もう出会う前の生活リズムは忘れてしまった。まだこのビートを感じさせてくれ。出会った頃の笑顔と君のリズムで俺をずっと踊らせてくれ。   ---------------   この曲の主人公と彼女の主張を、よかったら自分なりに考察してくれたら嬉しいです。僕はこの2人はどちらも悪いと思っています(笑)。   あと、この主人公の一人称が始めは「僕」なのですが、途中から「俺」に変わっています。彼女に気を使いすぎて自分の感情を押し殺していた主人公の本音が曲の最後に近づくにつれて表れてくるのを表現しました。気づいてくれたらいいな程度なのでこれを読んでいただいた方に届けば幸いです。   今回もこのうたコラムに文章を掲載させていただけますこと、誠に感謝いたします。 最後までご一読いただき、ありがとうございました。 「ラストダンス」是非お聴きください。   <reGretGirl・平部雅洋> ◆紹介曲「 ラストダンス 」 作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋  ◆Digital Single「ラストダンス」 2026年8月12日発売 配信URL: https://rgg.lnk.to/lastdance ◆ライブ情報 <reGretGirl ONEMAN TOUR 2026-2027 "Fall in LOVE"> 2026年9月19日(土) 愛媛 松山サロンキティ OPEN 17:30/START 18:00   2026年9月20日(日) 香川 高松DiME OPEN 17:00/START 17:30   2026年10月25日(日) 栃木 HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2 OPEN 17:00/START 17:30   2026年11月1日(日) 広島 広島Live space Reed OPEN 17:00/START 17:30   2026年11月3日(祝火) 大分 大分DRUM Be-0 OPEN 17:00/START 17:30   2026年11月7日(土) 宮城 仙台Rensa OPEN 17:15/START 18:00   2026年11月12日(木) 北海道 札幌PENNY LANE24 OPEN 17:45/START 18:30   2026年11月14日(土) 北海道 旭川CASINO DRIVE OPEN 17:30/START 18:00   2026年11月23日(祝月) 岡山 岡山IMAGE OPEN 17:00/START 17:30   2026年12月12日(土) 長野 長野CLUB JUNK BOX OPEN 17:30/START 18:00   2026年12月13日(日) 石川 金沢EIGHT HALL OPEN 16:45/START 17:30   2026年12月20日(日) 福岡 福岡DRUM LOGOS OPEN 16:45/START 17:30   2027年2月20日(土) 東京 Spotify O-EAST OPEN 17:00/START 18:00   2027年2月23日(祝火) 愛知 名古屋DIAMOND HALL OPEN 16:30/START 17:30   2027年2月27日(土) 大阪 GORILLA HALL OSAKA OPEN 17:00/START 18:00   〇チケット情報 https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2667696   通常価格:¥4,800 (税込/ドリンク代別)

    2026/08/28

  • 竹内アンナ
    ALRIGHT
    ALRIGHT

    竹内アンナ

    ALRIGHT

     2026年8月12日に“竹内アンナ”が新作『MIXTAPE』をリリースしました。今作には、未発表曲3曲、2025年にリリースされた楽曲3曲、本作のために新たに書き下ろされた2曲の計8曲が収録されております。タイトルの『MIXTAPE』には、時代を超えた“アーカイブ”の意味が込められており、これまでの軌跡を辿るファンはもちろん、初めて彼女の音楽に触れるリスナーも幅広く楽しめる1作です。    さて、今日のうたではそんな“竹内アンナ”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。今回が最終回です。自転車で坂を下るときだけは、なんでもうまくいくような気がしたあの頃。“大人になること”を考えた先で、ふと思うことは…。 京都の夏は、いつだって心にまとわりつく。あの湿気のように、じっとりと、なかなか離れてくれない。   学生時代、通学には自転車を使っていた。行きは地獄のような上り坂。その代わり、帰り道は天国のように快適な下り坂だった。   とりわけ好きだったのは夏の終わり、日が少し沈みかけた頃、一人で自転車に乗る帰り道だった。   坂を下り、風を切っている瞬間だけは、湿気も、将来への漠然とした不安も、昨日送らなきゃよかったと後悔しているメールのことも、全部どうでもよくなった。   あと、通販の買い物かごに鎮座したままの買うほどでもないけれど欲しいもののこと、好きな歌なのに歌詞カードには載っていなくてなんと言っているのか分からないあの一節のこと、ほかにもあれやこれや。   我ながらいろいろと考えすぎではある。そのツッコミも一緒に、風の中へ流させていただきましょう。   不安を忘れられるだけではなかった。むしろ、理由もなく自信が湧き上がってきた。この下り坂を乗りこなしている間だけは、なぜかなんでもうまくいくような気がした。不思議だった。   大人になるって、どういうことだろう。   今はうまくできないことも、大人になれば上手にやりくりできるようになるのだろうか。愛想笑いも、世渡りも、きっとうまくなる。思ってもいないお世辞だって言えるようになるし、失礼で余計な言葉を向けられても、黙ってやり過ごせるようになる。   きっと全部、うまくいくのだろう。たぶん。   未来のことなんて分からないから、ぼんやりと目の前に広がる空に願いを込めた。   夜が、もうすぐ始まろうとしていた。深い青と淡いオレンジが、水面に落とした絵の具のように溶け合っていた。   忘れたくないなあ、と思った。目の前にあるものだけを見ていたかった。   「大丈夫、大丈夫」   小さくささやいた言葉が、風に消えるよりも先に、するりとわたしを包み込んだ。   今はまだ、この根拠のない大丈夫を信じて、自転車を漕ぎ続けたい。   <竹内アンナ> ◆紹介曲「 ALRIGHT 」 作詞:Anna Takeuchi 作曲:Anna Takeuchi ◆新作『MIXTAPE』 2026年8月12日発売   <収録曲> 1. ok, love song 2. PARADISE 3. adabana midnight 4. ハッピーエンドの続きを 5. P.S. I LOVE YOU  6. That's my name 7. 真昼のランデヴー 8. My secret plum

    2026/08/27

  • YONA YONA WEEKENDERS
    想い出の予感
    想い出の予感

    YONA YONA WEEKENDERS

    想い出の予感

     2026年8月26日に“YONA YONA WEEKENDERS”が7th EP『想い出の予感』を配信リリースしました。今作には、「トキオ・ダンジョン」「夜半の月」「パパ」を含む全5曲を収録。それぞれ異なる顔を持つ楽曲たちに通底するのは、"今この瞬間"への眼差しです。喜びも、疲労も、愛おしさも、いつかは遠い記憶になる。その予感ごと抱きしめたくなる夜を、詰め込んだ結成10周年イヤーの集大成となっております。    今日のうたでは、そんな“YONA YONA WEEKENDERS”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、収録曲「夜半の月」「パパ」「トキオ・ダンジョン」「あっ!」「ワン缶」全5曲のセルフライナーノーツ。それぞれの楽曲に込めた思いは…。 M-1「夜半の月」   今年でYONA YONA WEEKENDERSが始まって10年が経つんだそうな。   まるで他人事のような口ぶりだが、かくいう僕も「え、そんなに続いてたんだ?」という感覚が一番しっくりきている。   何か大きなことを成し遂げたわけでもないし、ヨナヨナ始まりの一曲、「明るい未来」の歌詞に出てくるような高級外車を乗り回している未来は、まだ現実になっていない(今は37度のバースデーだから、歌詞的にはあと一年猶予はあるが…)。   結成当時から、相も変わらず毎日を懸命に生きているだけだ。   今年はバンドの10周年イヤーということで、ありがたいことに、雑誌やメディアのインタビューなどで、これまでを振り返る機会が多々ある。   周りの先輩たちは20年目、30年目でバリッバリ現役なので、「いやいや10年目なんてまだケツ真っ青ですわ…」と謙遜しているのだが、改めて振り返ってみると、いやはや、ちゃんと色々あったようだ。   バンド黎明期。   みんなで集まってスタジオに入り、終われば居酒屋になだれ込む。それだけで楽しかった。   今の事務所に拾ってもらって、バンドを支えてくれる仲間が増えた。活動のスピードが一気に加速していくのを感じた。   インディーズデビュー直後にコロナ禍に突入。ライブは中止に次ぐ中止。誰に届いているのかも分からないまま、配信ライブをやった。   先行きが不安な中で息子が誕生し、とにかく必死に働いた。   そして辿り着いたメジャーデビュー。   初めての全国ツアー。チケットは完売。僕たちを見るお客さんのマスク越しの目の輝きを、今でも鮮明に覚えている。   YONA YONA WEEKENDERSが、自分のためだけのバンドではなくなった。そんな、ある種の責任のようなものが芽生えた瞬間だった。   順風満帆にいくかと思いきや、営業マンとの二足のわらじのバランスが取れなくなり、転職を決意。   大型フェスへの出演やメディア露出が増えるも、上昇気流に乗り切れず、歯痒い思いをした。   色々な壁にぶち当たり、メンバーやチームとぶつかることも増えた。   その中でギターのキイチとは、この先のお互いの幸せを考えたうえで、別々の道を歩むことになった。   書き出してみると、それなりに波瀾万丈である。   そんな僕たちが、唯一胸を張って言えることがあるとするならば、それは、“いつ何時でもステージに立ち続けてきたこと”だと思う。   サブスクやAIの登場で、音楽との出会い方はどんどん気軽なものになっている。   そんな時代だからこそ、僕たちは自分たちの生き様をライブで見せること、目の前のお客さんに生音を鳴らすことを、これからも大切にしていきたいし、そんな音楽こそが、人の心を動かすと思っている。   いや、そうであってくれ…。   たとえ不格好でも、地面に這いつくばってでも、ステージに立って歌い続ける。   富を得ようが、何か大きなものを手に入れようが、多分僕たちはこれからも変わらず、毎日を懸命に生きているんだと思う。   そして、その延長線上に、YONA YONA WEEKENDERSも続いていく気がしている。   この曲を聴いてくれたあなたにも、いつかまたライブハウスで会えたら嬉しい。   その時まで、小さな灯を消さずに、僕たちは歌い続けます。     M-2「パパ」   来年、息子が小学生になる。   ついこの前まで赤ちゃんだったはずなのに、気づけばランドセルを背負う。机に座って勉強したり、家で宿題をしたりするのだ。   早い。早過ぎてビビる。   生意気なことも言うようになったし、親の言うことなんて全然聞かない日もある。   でも、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。   僕が生きる理由のひとつになっている。   そんな今の僕が順風満帆かと言われると、全然そんなことはない。   昨年はバンドの編成が変わり、そのバランスを探りながら、とにかく必死にもがいていた一年だった。   ツアーの動員も減ったし、周りを見れば上手くいっているバンドがたくさんいる。   隣の芝生がずっと青く見えていた。   今回のEPについても、過去一くらいメンバーやスタッフと議論を重ねたと思う。   「これでいいのか?」   「もっとこうした方がいいんじゃないか?」   なかなか着地点が見えず、迷いに迷いまくり、落ち込んだ時も、家に帰れば息子がいる。 くだらないことで笑ったり、怒ったり、逆に怒られたり、一緒に寝落ちしたり。   そんな日々を過ごしている中で、今回の「パパ」という曲ができた。   今まで僕は、聴いてくれる人それぞれに解釈を委ねるような歌詞を書くことが多かった。 あえて余白を残して、聴く人の人生や経験によって意味が変わるような歌を作りたいと思っていたからだ。   でもこの曲は、自分史上一番と言っていいほど、どストレートに書き上げた。   ベースのシンゴからも、「本当にこの歌詞でいくんだよね…?」と心配されたほどに。   でも、この曲に関しては、綺麗に整えたり、少し格好つけたりするよりも、最初に書き殴った時の鋭利なテンションを、そのまま残した方がいいという想いがあった。   たとえ局地的でも、誰か一人の心に深く突き刺さる方が、この曲にとっては正しいんじゃないかと思ったからだ。   だからこれは、決して「幸せな父親が息子に向けて書いた歌」ではない。   色んなことに悩んだり、落ち込んだりしながら、それでも大切な誰かを守りたいという気持ちを、ものすごく不器用に、ものすごく真っ直ぐ歌ったラブソングなのだ。   大切な誰かがいるから、もう少し頑張ってみようと思える。   僕にとっては、その「誰か」が息子だった。   そして、そんな大切な「誰か」は、きっとあなたの側にもいるはずだ。     M-3「トキオ・ダンジョン」   18年前、ミュージシャンになって音楽で飯を食う!と意気込み、岡山の田舎からはるばる東京に出てきた。   渋谷スクランブル交差点の人波。   歌舞伎町のネオン。   浅草寺のデカい提灯。   お台場の球体。   すべてが鮮やかで、キラキラして見えた。   当時の僕からすると、東京は夢の街だった。   何者かになれる気がしていたし、音楽をやっていればいつか何かが起こるだろうと思っていた。   まぁ、18年経った今も、結局何者になれたのかはよく分からないが…。   東京という街は、夢を見させてくれる一方で、現実も容赦なく突きつけてくる。   18年前の自分が想像していた未来とは、ずいぶん違う場所にいる。   家族ができて、バンドも10年続いて、メジャーデビューもして、ありがたいことに色んなステージにも立たせてもらった。   それでも、ふとした瞬間に「あれ、俺今何やってんだろう?」と思うことがある。   周りを見れば、自分より才能のある人も、成功している人もいくらでもいる。   焦る。   迷う。   それでも、結局懲りずに歌い続けている。   18年前から、何も変わっていない。   夢を見て、打ちのめされて、それでもまた夢を見る。   「トキオ・ダンジョン」は、そんな東京という迷宮の中を、18年経った今も抜け出せずに彷徨っている僕の心の叫びだ。   きっとこの先も僕はこの街で迷い続けるんだと思う。   でも、迷っている間は、まだ夢を見続けているということなのかもしれない。   そう思えば、トキオ・ダンジョンもまんざら悪くはないところな気がしている。     M-4「あっ!」   ちょうど「パパ」の制作を進めていた頃、偶然にもNHK「みんなのうた」の曲を書かせてもらう機会が訪れた。   なんだかとても感慨深く、一人勝手にエモい気持ちになった。   僕にとって「みんなのうた」は、小さい頃、リビングのテレビで何気なく流れていた番組。   わざわざテレビの前に座って観るというよりは、家族がそれぞれのことをしながら、いつの間にか耳に入ってくる。   そんな、生活の中の風景だった。   そんな場所で自分の曲が流れる…。   そう思うと、どんな名曲を書いてやろうかと、無い脳味噌をフル回転させ、鼻息を荒くしていた。   ある日の夕方、息子と公園で遊んでいた時のこと。   もうそろそろ帰ろうかという時間に、息子が突然、「一日が終わっちゃうのが寂しい」と泣き始めたのだ。   その姿を見て、僕はグッときてしまった。   子どもなりに、「楽しい時間には終わりがある」ということを感じ取った瞬間だったのだと思う。   大人になれば、時間が有限であることなんて嫌というほど分かっている。   でも、子どもがそのことに初めて触れる瞬間を目の当たりにしたことで、改めて「時間って本当にあっという間なんだな」と感じた。   そして、これを歌にしたいと思った。   「あっ!」というのは、何かに気づいた瞬間の「あっ!」。   そしてもう一つ、「あっという間に」過ぎていく時間の「あっ」。   この二つの意味を込めたタイトルだ。   歌詞の中には、夕方の公園だったり、伸びていく影だったり、さよならのチャイムだったり、子どもと過ごしていると出会う様々な場面が登場する。   でも、そんな何気ない瞬間こそ、後になって振り返った時に、宝物のような思い出になっていたりする。   「今を大切にしよう!」なんて、偉そうに言うつもりはない。   ただ、毎日を過ごす中で、ふと「あ、今って大切な時間なんだな」と気づく。   そんなきっかけになればいいなと思って書いた曲だ。   自分が子どもの頃に何気なく聴いていた「みんなのうた」で、今度は自分が作った曲が流れる。   そして、その曲をまた誰かの子どもが、リビングで何気なく聴いているかもしれない。   そう考えると、ちょっと不思議で、すごく嬉しい。   あっという間に過ぎていく毎日の中で、ふと立ち止まって、「あっ!」と何かに気づく。 そんな一瞬を、この曲と一緒に覚えておいてもらえたら嬉しい限りです。     M-5「ワン缶」   この曲が完成して、ようやく『想い出の予感』というEPの最後のピースがハマった気がした。   10年もの時間が経てば、当然色んなものが変わる。   家族ができた。   住む場所も、仕事も変わった。   バンドの編成も変わった。   18年前、岡山から東京に出てきた頃の自分と比べれば、環境は随分と変わったと思う。   でも、じゃあ自分の中身まで変わったか?というと、案外そうでもない。   相変わらず音楽をやっているし、ライブが好きだし、くだらないことで笑っている時間が好きだ。   一日が終わり、コンビニで缶ビールを一本買う。   それを飲みながら、「今日も悪くなかったな」と思えたら、それでいい。   そんなささやかな幸せが、僕にとっては大切なんじゃないか…。   この曲を書きながら、そんなことを考えていた。   37歳になっても、まだまだ飲み足りないし、遊び足りない。   思い通りにならないことも、周りを羨むことだってたくさんある。   それでも、幸せの値打ちを誰かに決められる筋合いはない。   自分たちが「これでいい」と思えるなら、それでいいんだと思う。   10年前の自分からしたら、今の自分はきっと想像していなかった場所にいる。   10年後の自分も、多分今とは全然違う場所にいるんだろう。   家族も、環境も、バンドも、また何かが変わっているかもしれない。   その時もきっと、何かに追われながら、何かを楽しみにしながら、毎日を生きているんだ と思う。 そして夜になったら、また缶ビールを一本開けているかもしれない。   『想い出の予感』というタイトルには、今この瞬間もいつか思い出になるんだろうなという、未来の自分が今の自分を懐かしく思う、その気配のようなものが込められている。   この曲もきっとそうだ。   今はただ一日の終わりに飲むワン缶だけど、いつか振り返った時に、「あの頃はあんな毎日だったな」と思う日が来るはず。   変わっていくものを無理に止める必要もないし、変わらないものを無理に変える必要もない。   君が側にいてくれるなら、ワン缶でいい。   それでいい。それがいい。   そんな何気ない夜を、これからも大切にしていきたい。   YONA YONA WEEKENDERSは、これから先もきっと、こんな感じでやっていくんだろうなぁ。 缶ビールをお供に本コラムを執筆しながら、そんなことを思うのであった。   <YONA YONA WEEKENDERS・磯野くん(Vo.&Gt.) > ◆7th EP『想い出の予感』 2026年8月26日発売 <収録曲>

    2026/08/26

  • DISH//
    僕らだけの合言葉
    僕らだけの合言葉

    DISH//

    僕らだけの合言葉

     2026年8月26日に“DISH//”がニューシングル「アイコトバ」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『うちの弟どもがすみません』のオープニングテーマとして書き下ろした楽曲となっております。家族愛や恋愛など、さまざまな“愛”をテーマに歌詞を綴りながら、“ポップ”で“爽やか”に振り切った、夏を感じるピアノロックです。  今日のうたでは、そんな“DISH//”の北村匠海による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、新曲「 アイコトバ 」にまつわるお話です。重ねてきた時間を振り返りながら思う、“僕ら”だけの合言葉とは…。 僕らだけの合言葉   まずは「ありがとう」から始めよう   僕らだけの「ありがとう」   そこには感謝と愛と少しの後悔   一歩一歩がたまにズレて   一歩三歩になる日もあって   あの頃近くてあの頃遠くてあの頃遠かったり近かったりして今また近くにいる   家族とはそんなものだったりする   僕は照れくさそうに「今日は僕が払うよ」なんて言ってカッコつける   家族はなんだか嬉しそうに「ありがとう」と口を揃える       「ありがとう」を合言葉に、また僕らは近くなっていく。     <DISH//・北村匠海> ◆紹介曲「 アイコトバ 」 作詞:北村匠海 作曲:橘柊生・泉大智

    2026/08/25

  • ニューアヤカ
    I knew it!
    I knew it!

    ニューアヤカ

    I knew it!

     2026年7月22日に“ニューアヤカ”がDigital mini Album『KNEWIT』(読み:ニューイット)をリリースしました。今作には、リード曲「GUM」をはじめ、「指輪を埋めて」「サマーチューン」「viva la 私」「ニッポンチック」「スースー」の全6曲を収録。懐かしさを感じさせるメロディラインと、現代を生きる等身大の視点から紡がれる歌詞が溶け合い、ニューアヤカの音楽性を凝縮した作品となっております。    今日のうたではそんな“ニューアヤカ”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は今作のタイトルにまつわるお話です。テレビっ子だった幼少期から、高校で夢への一歩を踏み出すまで…。歌手を志したきっかけと、夢を信じ続ける思いを綴っていただきました。 テレビを観ることと歌うことが本当に好きな子どもでした。   小学校から帰ってきて、ビデオテープだったら擦り切れてるであろうくらい観たMステ長尺スペシャルの録画を、懲りずにまた流して、歌いながら宿題をしていました。   早送りはしません。 全アーティストの曲、合間に流れるCMのセリフ、CMソング、全部一緒に言えたし歌えました。なんならもうアーティストの出演順も覚えていました。   録画を観終えたと思えば、リアルタイムでしているバラエティを観ながら晩御飯を食べて、お風呂に入ったらまた寝るまでテレビを観て。   根っからのテレビっ子です。   幼稚園から週3で空手を習っていてバリバリのスポーツ女子だった私は、楽器も弾けないし、音楽のことは何も分からない。   でも、心の端っこに歌手になりたいという気持ちを持ち始めました。   それなのにものすごくシャイだった私は誰にも打ち明けられず、   クラス替えの時、必ずと言っていいほど書かされる自己紹介シートの「将来の夢」の欄には、   「ケーキ屋さん」   とか   「まだない(TT)」   と書いて誤魔化していました。   でも、ずっと正直に伝えてみたいという気持ちは持っていたんです。   しっかりとは覚えていませんが、 おそらく小学生5年生くらいの頃、 いつも通りMステの録画を流しながら母に鎌をかけたんです。   「なぁなぁ、あやかが歌手になりたいって言ったらどうする?」   今思えば、母は夢見る小学生に向かってなかなかシビアな言葉を返しました。   「そんなん音楽で食べていける人なんかひと握りやで」   その瞬間、私の顔は引き攣るところまで引き攣ってたと思います。 ただ、それに続けてこうも言いました。   「でもな、ママもちっちゃい時ちょーっとだけピアノ習ったりして歌手になりたいって思ってたときあったわ~。」   私は、   「ふぅ~ん」   とだけ言いました。   心の中では、   「ほな、私が歌手になったらいいやん!ママも嬉しいやん!キラキラーン!」   って感じでした。   まぁ心底シャイな私は、それからも急に楽器を買うなどのムーブは起こせず。   ずっと続けていた空手でそこそこ強くなり、中学1~2年生では大阪府代表選手として全国大会にまで出て、ありがたいことにいくつかの高校からスポーツ推薦で声がかかっていました。   ちなみに、中学校の部活ではバレーボール部キャプテンをしており、   学校が終わったらバレーボールをバシバシ叩き、帰宅後すぐ道着に着替え、道場に向かうという生活を送っていました。   今考えると、   なかなかハードな日々だったと思うのですが、   スポーツで培った集中力というものは役立つもので、   勉強もまぁまぁできたんです。   その結果、   空手の先生になりたいわけでもないし、空手で稼ぎたいとも思ってないし、毎日空手したくないなぁ。   勉強で高校行くか。   という割と冷静な判断に至りました。   そしてもうひとつ、決めたことがあるんです。   軽音学部に入ること。   高校生になって、これまで続けてきたスポーツをきっぱり辞め、小学生の頃からの夢への第1歩を踏み出すことに決めたのです。   高校ではコピバンをして、大学生になると弾き語りでライブハウスに出演するようになり、   「わたしゃ早く売れて忙しくなってそのまま大学を辞めるんだよー!」   なんて思ってたら一瞬で4年が経って普通に卒業し、就職せずにここまできました。   空手をしていた頃、   「あやかは警察官にでもなるんかー?」   と嬉しそうに期待してくれていたおばあちゃんは、開いた口がまだ塞がってないと思います。   スポーツも勉強も、学生の頃はそれなりに上手くやれてこれたから、私の人生はこれからもきっと上手くやれるんだ!   と少し自惚れてた部分がありました。   でも、音楽は本当に全然上手くいかなくて、   私は天才じゃないんだと思い知って、   …というより、それなりに上手くやれるだけじゃダメなんだと気づいたんです。   頭を地面に引きずってるんじゃないかってくらい俯きながら帰ることは今でもいっぱいあります。   でもね、そんな中でも、   私の曲を良いと、   私の声を良いと、言ってくれる人が   要所要所で現れるんです。   小さい頃からいっぱい観てるテレビの中の世界。   その時に、もう一度夢を観られるんです。   だから私は、売れることでその人たちに言ってもらいたいんです。   「やっぱりね!」って。   やっぱりニューアヤカ良いよね!   やっぱりニューアヤカ売れると思ってた!   やっぱり自分の目は、耳は間違ってなかった!って。   あなたの「やっぱり!」を確信に変えるmini albumにしたいと思い、   『KNEWIT』   とタイトルをつけました。   <ニューアヤカ> ◆Digital mini Album『KNEWIT』 2026年7月22日発売 配信リンク: https://nex-tone.link/A00222168   <収録曲> 1. GUM 2. 指輪を埋めて 3. サマーチューン 4. viva la 私 5. ニッポンチック 6. スースー

    2026/08/24

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    sorato

    tomato セルフライナーノーツ

     2026年8月26日に“sorato”がMajor 1st Full Album『空とツキ』をリリース。今作に収録されているのは、彼女の真骨頂である“ノンフィクション・ラブソング”に特化した全11曲です。等身大ながら同世代の“共感必至”となる、soratoの切実さを凝縮した渾身の作品となっております。    今日のうたではそんな“sorato”による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、収録曲「tomato」にまつわるお話です。待ち合わせまでの道で気づいてしまったこと。いつも<君>がくれるトマトが、どんなトマトよりもおいしいその理由は…。 君とびっくりドンキーに行くと、当たり前のように私のサラダはミニトマトがふたつになる。   「また?」   そう言ったあと、自分の声が嬉しそうになっていることに気づく。 口角もきっと上がっている。   「ケチャップはいけるんだけど」   いつもの言い訳を始めてくれたおかげで、ばれずに済んだ。   別にトマトが大好物なわけじゃない。 嫌いじゃないだけで。 それでも君がくれる、というより押し付けてくるトマトは、どんな採れたて農家直送のものより嬉しい。   私はミニトマトがふたつ乗ったサラダを写真に残した。     何でも話せる友達同士だった。 バンドTシャツにスウェット、すっぴんで会うことに抵抗なんてなかったし、ダメダメな恋愛相談をして怒られたこともあった。   その日もいつも通り、飲みに行く約束をしていた。 待ち合わせまでの道で、スマートフォンのカメラを鏡代わりにして前髪を直した。リップを塗り直したところで気づいてしまった。 君への「好き」は、もう友達としてのそれだけじゃなかった。     この口が 君に好きと伝えるためではなく、 君にキスをするためではなく、 今まで通りくだらない話をするために使えますように。 この口が 君が残したトマトをずっと食べ続けられるなら、このままでいい。     チーズが乗ったハンバーグを食べながら、君が観に行きたいというお笑いライブの話をしている。   「今度行こうよ」   と言って、私はひとつめのミニトマトを口に入れた。   <sorato> ◆Major 1st Full Album『空とツキ』 2026年8月26日発売   <収録曲> 01. ハートレート 02. 体温 03. 鼻歌と眠気 04. 声を溶かせば 05. 空白 06. 友達のふり 07. いつかのいつか 08. 最終回 09. 月に願う 10. tomato 11. 明日のツキ  

    2026/08/21

  • 竹内アンナ
    ok, love song
    ok, love song

    竹内アンナ

    ok, love song

     2026年8月12日に“竹内アンナ”が新作『MIXTAPE』をリリースしました。今作には、未発表曲3曲、2025年にリリースされた楽曲3曲、本作のために新たに書き下ろされた2曲の計8曲が収録されております。タイトルの『MIXTAPE』には、時代を超えた“アーカイブ”の意味が込められており、これまでの軌跡を辿るファンはもちろん、初めて彼女の音楽に触れるリスナーも幅広く楽しめる1作です。    さて、今日のうたではそんな“竹内アンナ”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は収録曲「 ok, love song 」にまつわるお話です。恋を「うまくやってきた」はずなのに、今回はどうにもいかない。大人になったからこそ気づく、恋することの可笑しさや愛おしさとは…。 おかしい。何かがおかしい。 誰かの返信を待ってそわそわするタイプじゃなかった。 「会いたい」なんて打っては消して、既読をつけてから15分も返事を考えるような私じゃなかった。 素直に「また会いたい」と言えばいいのに、相手の好みに合わせて、慣れない話題をどうにか膨らませようとした。 膨らむはずもなく、会話は2ラリーくらいであっけなく萎んだ。 送らなきゃよかった。 そう悶えた、23時。私は信号待ちをしていた。   本気になる前に、冗談にする。 会いたいと思っても、もっともらしい理由を探す。 好きかもしれないと思っても、「いや、そういうんじゃないし」とはぐらかす。 傷つかないように。期待しすぎないように。 そうやって、それなりの大人としてうまくやってきた。 でも今回は、どうにも流せない。 それなりの大人になったはずなのに、びっくりするくらい余裕がない。   突然、自分の中に咲いた花に、ずいぶん調子を狂わされている。 なのに心のどこかでは、この不格好さを懐かしんでいる自分もいた。   恋って、上手にやるものだったっけ。 もっとかっこ悪くて、もっとままならないものだった気がする。 大人になればなるほど、「好き」と認めるために理由が必要になる。 未来があるとか、相性がいいとか、傷つかずに済みそうだとか。 でも、本当はそんなもの、いらないのかもしれない。 たぶん。しらんけどね。   今は、こんな自分が少しうれしくて、恥ずかしくて、やっぱり悔しい。 そして、どうしようもなく愛おしかった。不思議。   人間は矛盾だらけ。いつまで経っても、思い描いた理想の自分には追いつけない。 だからこそ、その追いつけなさごと愛していけたらと思う。   信号が青に変わる。 イヤホンから流れてきたラブソングを聴いて、あなたのことを思った。 たまには、そんな「らしくない自分」も、わるくないかも。   <竹内アンナ> ◆紹介曲「 ok, love song 」 作詞:竹内アンナ 作曲:竹内アンナ   ◆新作『MIXTAPE』 2026年8月12日発売   <収録曲> 1. ok, love song 2. PARADISE 3. adabana midnight 4. ハッピーエンドの続きを 5. P.S. I LOVE YOU  6. That's my name 7. 真昼のランデヴー 8. My secret plum

    2026/08/20

  • YU'S
    飾らない弱さの先にいる「あなた」へ――YUTORI-SEDAIからYU'S(ユーズ)へ改名した初めてのEPに込めた想い
    飾らない弱さの先にいる「あなた」へ――YUTORI-SEDAIからYU'S(ユーズ)へ改名した初めてのEPに込めた想い

    YU'S

    飾らない弱さの先にいる「あなた」へ――YUTORI-SEDAIからYU'S(ユーズ)へ改名した初めてのEPに込めた想い

     2026年7月に“YUTORI-SEDAI”から改名を発表した“YU'S”(ユーズ)が、2026年8月19日にNew Digital EP『YU'S』をリリースしました。今作には、先行配信曲「yume」をはじめ、「彼氏募集中」「嫌になっちゃうよ、」「あなたへ」の全4曲が収録されております。    今日のうたでは、そんな“YU'S”の金原遼希(Vo/Gt)による歌詞エッセイをお届けします。新たなバンド名を掲げ、最新作をリリースした今。飾らず、背伸びせず、自分たちの弱さまでもさらけ出して歌うことで見つめ直した、「あなた」との距離とは…。 金原(Vo&Gt):まず、僕たちYUTORI-SEDAIは、新しく「YU'S(ユーズ)」という名前を掲げて、新たなスタートを切ることになりました。   これまで活動してきた中で、僕たちは「聴いてくれる人に寄り添いたい」とみなさんに向けて伝えてきました。だけど、活動の幅を広げていくたびに、どこか俯瞰してカッコつけてしまっている自分に気がついたんです。「アーティストとしてこうあるべきだ」「結果を出さなければいけない」という固定観念や、人にどう思われるか? どう見られるか? という考えに、いつの間にか自分自身が縛られてしまっていました。   でも、僕をはじめ、メンバー3人ともみんな本当はネガティブ思考だし、自分のダメなところや弱さを自分から探しにいってしまうような人間です。そんな僕たちがカッコつけて歌った言葉なんて、きっと誰の心にも届かない。そう思ったからこそ、背伸びをするのをやめて、等身大の弱さも全部ありのままで曝け出そうと決めました。   「対みんな」ではなく、目の前にいる「あなた一人ひとり」と同じ目線で、同じ距離感で歌えるバンドでありたい。その強い覚悟を込めて、「YOU(あなた)」の複数性であり、これまでの「YUTORI-SEDAI」の歩みも大切に受け継ぐ「YU」を残した『YU'S』という名前を、新しいバンド名として決定しました。この改名を機に自分たちの根幹にある軸は変わりませんが、さらに一皮剥けたバンドになるべく新しいバンド名としてリリースをします。   改名後、初のデジタルEP『YU'S』に収録した4曲は、どれもキャラクターが全く違う楽曲たちです。だけど、その全てに僕自身のリアルな経験や感情、そして聴いてくれる「あなた」への想いだけを詰め込みました。「嘘がない」と、心の底から自信を持って言える作品です。 M1.「彼氏募集中」は軽快なポップサウンドに隠された、女の子の強がりと本音を描いた曲です。 振られた女の子が、必死に強がっているけれど本当は寂しくて堪らない……という、これまでの僕たちの王道とも言える女性目線のラブソングです。   一見、軽快でポップなメロディが流れていきますが、歌詞はとても切ないギャップを持たせています。僕が過去の恋愛の中での、「相手にこんな思いをさせてしまっていたんじゃないか」という後悔を主観で書いているので、ポップな曲調の中にもリアルな痛みが隠されています。   特にラストサビの「彼氏募集中、なんて嘘だよ」「あなたに会いたい、どうか戻りたい」という部分は、彼女の本音が溢れ出るような展開になっています。こだわった最後の<さよなら>の響きまで、主人公の心の揺れ動きを感じてほしいです。 M2.「嫌になっちゃうよ、」は、ジリジリしたシンセの音に滲む、アンニュイな恋の不満を描いた曲になります。恋人への不満が爆発しているけれど、結局は相手のことが大好きで堪らないという、ちょっとエッジの効いたリアルな恋愛のワンシーンを描きました。   歌詞に漂うアンニュイな雰囲気や、主人公のピリピリとした焦燥感を表現するために、クリアな音ではなく、あえて少しジリジリとした質感のシンセサイザーの音色をバンドサウンドに混ぜています。また、主人公のイライラしてつい言葉を畳み掛けて相手に話すような様子も韻を多く踏むことで表現しました。   歌詞に関しても、「また飲み会?は?知らねぇよ馬鹿!」など、僕はあまりとげとげしすぎる歌詞は入れないのですが、「嫌になっちゃうよ」は全体の雰囲気も合わせて、普段歌詞にしないような言葉遣いも入れてみました。   <言葉じゃなく行動がさ、愛なんでしょ?>というフレーズに象徴されるように、デジタルな現代の恋愛における、脳内でみんなが抱いている感情を覗き見するような感覚で聴いてもらえたら嬉しいです。 M3.リード曲の「あなたへ」は拙くてもいい、目の前のあなたを照らす決意表明。このEPの代名詞となる楽曲であり、まさに今の僕たちの決意そのものである楽曲です。また、僕自身、J-POPの王道の楽曲がとても好きで、自分で納得できる等身大のメッセージを込め、真っ直ぐに曲にしました。   これまでは、「誰もついてきてくれなくなるかもしれない」と怖がって選べなかった、<"もう駄目だろう"なんてさ、また考え出している>というリアルな弱音から歌が始まります。上手い比喩表現や言葉遊びでカッコつけるのではなく、僕が普段喋っているような拙い言葉で、目の前のあなたへ直接語りかけるような歌詞に徹底的にこだわりました。これまで書いてきた歌詞以上に僕の包み隠さない本心を綴っています。   これまでは「結果」ばかりを追い求めて、一番大切にすべき「あなた」を蔑ろにしていたかもしれない。そんな気づきを経て、<頼りない歌でも あなただけに歌えたらいい>という、僕たちの本心がまっすぐに届くことを願っています。     M4.「yume」は3人の音が紡ぐ、メンバーへの赤裸々な想いを語った歌です。   この曲に関しては、数年前に制作し、ライブでもずっと大切に育ててきた楽曲ですが、改名という大切なタイミングで音源化しました。実はこの曲は、僕が初めてメンバーに向けて書いた曲なんです。数年前、ドラムの櫻井が、「バンドを辞めたいかもしれない」と打ち明けてくれたことがありました。当たり前のように3人で音を鳴らしている日常が、実は当たり前なんかじゃなくて、奇跡みたいな特別さなのだと身を以て痛感した。その時の歯痒さや切なさをそのまま歌詞に閉じ込めています。   あえて3人のバンドサウンドだけで演奏しています。僕たちの「夢」がこれからもずっと続いていく、その誓いの曲でもあります。普段は恥ずかしさもありそこまでメンバーへ面と向かって真面目なことを伝えるタイミングもあまりない中で、僕にとってもすごく大切な1曲です。メンバーへの曲は最初で最後かもしれません(笑)。   今回のEPに収録された4曲は、どれも僕たちがやれることを全て注ぎ込んだ、今のYU'Sの最高到達点です。   僕たちの音楽を愛してくれるあなたのすぐ近くで、この歌たちが一人ひとりの心に寄り添い、照らす力に変わることを信じています。新生YU'Sの始まりの音を、どうかあなたの等身大の心で聴いてください。   <YU'S・金原遼希> ◆New Digital EP『YU'S』 2026年8月19日発売

    2026/08/19

  • chilldspot
    それでも私まだ貧しい中立ってるよ
    それでも私まだ貧しい中立ってるよ

    chilldspot

    それでも私まだ貧しい中立ってるよ

     2026年7月8日に“chilldspot”が新曲「ドラマ」を配信リリースしました。今作は、火曜ドラマ『さよならノワール』の主題歌として書き下ろされたミディアムバラード。傷や孤独を抱えながらも、受け取った光を頼りに、それでも歩みを止めない姿を描いた楽曲となっております。    今日のうたでは、そんな“chilldspot”の比喩根(Vo/Gt)による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、ドラマ『さよならノワール』のために書き下ろされた、新曲「 ドラマ 」のお話です。思うように動けない自分と向き合いながら、それでも立ち上がろうとする心に込めた想いとは…。   ドラマ『さよならノワール』の書き下ろし主題歌として制作した「ドラマ」 曲を作るにあたって最初に浮かんだイメージはゴミ捨て場の中から見える光でした。   お話をいただいた後、ギターの玲山くんから届いたトラックを聞いた時、 ビビッとこれだ!という感覚があり、すぐにメロディと歌詞作りに取り掛かりました。 過去一相談を重ねて進めた結果、チルズポット初のストリングスが入っていたり、今までよりも歌い上げるようなメロディだったりとまた新しいチルズポットが見せられた気がしています。満足。   今回、作詞は私が担当したのですが、ドラマの内容にも沿いつつ、私自身の考え方にもリンクしている部分が多いなと感じます。 人って立ち向かっている時よりも、逃げてしまっている時の方が、心が知らぬ間に罪悪感や不安に蝕まれてしまうと思うんですね。 頑張れている時よりも頑張れていない時、物事に励めている時より何もしたくなくなった時。 理想と現実が違うのに、今を変えようという気持ちだけはあるのに、行動が体がついていかない。 一番大変なのは歩き出す前、体育座りで鉛のように重たい自分を立ち上がらせること。   そんな気持ちがね <踏み込んだ数だけ傷は胸を喰って噛み千切る それでも私まだ貧しい中立ってるよ 待ってるよ> に詰まっているんです。   真剣に真面目にやろうとするほど、その事が嫌になったりもう辞めたくなったりする。 それでも向き合わないと私は私を好きになれないな。って感じます。面倒臭い人間なのです私は…   でも何処かでこの文章やら歌詞やら、はたまた声や各楽器で「いい曲だな」と思ってくれたら 私は救われるし、私の中の急流に立っていられる。   沢山聴いていただけたら嬉しいです。「ドラマ」宜しくお願いします!   <chilldspot・比喩根(Vo/Gt)> ◆紹介曲「 ドラマ 」 作詞:hiyune 作曲:hiyune・ryozan

    2026/08/18

  • ニューアヤカ
    言わせてもらうけど
    言わせてもらうけど

    ニューアヤカ

    言わせてもらうけど

     2026年7月22日に“ニューアヤカ”がDigital mini Album『KNEWIT』(読み:ニューイット)をリリースしました。今作には、リード曲「GUM」をはじめ、「指輪を埋めて」「サマーチューン」「viva la 私」「ニッポンチック」「スースー」の全6曲を収録。懐かしさを感じさせるメロディラインと、現代を生きる等身大の視点から紡がれる歌詞が溶け合い、ニューアヤカの音楽性を凝縮した作品となっております。    今日のうたではそんな“ニューアヤカ”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第1弾は収録曲「 GUM 」にまつわるお話です。あえて強い言葉で始まるこの歌。失恋したばかりのあなたへ。そして、吹っ切れたのか、まだ吹っ切れていないのか、自分でもわからないあなたへ…。 「言わせてもらうけど」 ってめっちゃ怖い言葉じゃないですか。   「言わせてもらうけど」の後に続く言葉なんて、 ほとんどの場合が心を刺してくると想像できます。   「言わせてもらうけど、昨日食器洗ってくれてありがとうね」 なんて言わないですし、言わないでほしいです。   もしもそんな使い方をされたとして、私なら、 「言わせてもらうけど、」の時点でそっとファイティングポーズしてます。 「昨日食器洗ってくれて…」くらいでフライング反撃パンチしてると思います。   それに、そのような反則パンチをしてしまったとしても、   「あんたの言い方が悪いわ」   って逆ギレできます。   だって絶対に文句言われると思うやん!   絶対に謝りません。   何が言いたいかと言うと、   「言わせてもらうけど」には、言われた瞬間にグッと臨戦態勢に突入させる力があるんです。   そんな強い言葉を1発目に持ってきたのが、今回のリード曲「GUM」です。   元カレへの強がりとか、少しの未練とか、そういう本音を詰め込みました。   私が中学生の頃、片想い中の友達とカラオケに行くと、西野カナさんの「GO FOR IT!!」を何回も予約して、声が枯れるまで叫ぶように歌っていたのですが、「GUM」も同じようになると嬉しいなと思っています。   履歴に   GUM / ニューアヤカ GUM / ニューアヤカ GUM / ニューアヤカ GUM / ニューアヤカ GUM / ニューアヤカ   くらい並ぶ感じで。   失恋中の友達と叫ぶように歌うと、スッキリ気持ちいいかもしれません。   あとで入った人が履歴を見て、   「失恋したのか…」   って思われるくらいが丁度いいです。   でもね、ひとつ伝えておくと、   「GUM」って恋人との別れを経験して、強くなろうとしてること、強くなったことを讃える曲なんです。   一見、元恋人を罵っている曲に見えるかもしれません。   まぁそれもありますが、それだけじゃなくて。   強くなった自分自身を讃える曲なんです。   ひねくれたポジティブソングなんです。   だから、   胸を張って歌ってほしいなと思います。   言わせてもらうけど、 元恋人からの元恋人ヅラされたLINEに返信する時間なんて、 この世で1番要らない時間ですからね。   それに気付けたあなたは、もう吹っ切れているし強くなっています。   返信してしまいそう~っていうあなたも、もちろん間違ってはないですよ。   でも、   そんな時は1度、「GUM」を流してみたらどうでしょう。   私、今吹っ切れてるか吹っ切れてないのかわからないので調べても良いですか?   って、珠代パンティーテックス的な流れで「GUM」を歌ってみたら、わかるかもしれません。   あなたの心の咀嚼のそばに、「GUM」がありますように。   <ニューアヤカ> ◆紹介曲「 GUM 」 作詞:ニューアヤカ 作曲:ニューアヤカ ◆Digital mini Album『KNEWIT』 2026年7月22日発売 配信リンク: https://nex-tone.link/A00222168   <収録曲> 1. GUM 2. 指輪を埋めて 3. サマーチューン 4. viva la 私 5. ニッポンチック 6. スースー

    2026/08/17

  • シンガーズハイ
    PLAYBACK
    PLAYBACK

    シンガーズハイ

    PLAYBACK

     2026年8月5日に“シンガーズハイ”が新作EP『PLAYBACK』をリリースしました。新体制始動後初となるフィジカル作品となる今作には、バンドの現在地とその先を見据えた全4曲を収録。シンガーズハイらしい言葉とメロディー、ライブハウスで磨き上げられた熱量を凝縮しながらも、新しいフェーズへの進化を感じさせる内容となっております。    さて、今日のうたではそんな“シンガーズハイ”の内山ショートによる歌詞エッセイをお届けします。音楽を続けるなかで、ひとりの人間として少しずつ変わってきた日々。大人になればなるほど抱くようになった葛藤と、それでも音を鳴らし続ける理由とは…。 音楽を始めた当時は社会にマトモに出たこともない、右も左も分からないような若者でした。「どうせロックバンドなんて大したことない」なんて歌ってきましたが、音楽しか取り柄のないような生活でも続けていればそれなりの社会性を持つようになるものです。   あの頃より日常的な挨拶や、「ありがとう」、「ごめんなさい」をちゃんと言えるようになったと思うし。初対面の人を目の前に顔が引き攣ることもなくなった気がする。家庭を持ってからは情けない飲み歩き方をすることもなくなりました。   自分はこれでないと社会で食っていけない。そう思って飛び込んだ音楽の世界でしたが、それもまた立派な社会だったんだなぁとしみじみ思いますし、そういうコンプレックスを抱えがちな業界だからこそ、尚更“真人間”でありたいと思う気持ちが大きくなったのかもしれません。   これだけ前を向けているというのに歌っていることは全く変わりません。ネガティブな感情が僕の音楽の基盤にあるので、「幸せになると今までのように歌えなくなるのではないか」とよく言われたものだし、自分自身思ってもいましたが、大人になったらなったで怒りや悲しみは付き纏ってくるものでした。   視野を広げていけばいくほど、届かない場所や人がこちらからでも見えてくるということ。信じていたミュージシャンや、自分の音楽を好きだと言ってくれた人間をリスペクトできなくなってしまうようなこと。そしてそんな人たちに傷つけられたこと。思い出したくないことも、自分自身の原動力にしなくてはと常にジタバタもがき続けなくてはなりません。   音楽を嫌いになってしまいそうなときこそ、自分たちがそもそも音楽で何をしたかったのかを思い出します。初めてメンバーたちと誰に見せるわけでもないスタジオで鳴らしたときのこと。音の海の中を泳ぎ回るような感覚。どれだけネガティブな感情を拭いきれなくても、五月蝿くなるほど音を鳴らせばそれだけで自然と笑えてくるものでした。   今回リリースした「PLAYBACK」は、あの頃見ていたものを思い出しながら、それと同時にこれから自分たちが見ていきたい景色に目を向けている一枚になっています。それぞれの瞬間が切り貼り絵のようでなく、グラデーション的に織りなしている。それが常に無理のないスピードで歩き続けて、その時その時を忘れないで居続けた自分たちのようで、今となってはとても愛おしい音楽です。   <シンガーズハイ Vo.Gt内山ショート> ◆新作EP『PLAYBACK』 2026年8月5日発売 <収録曲> 1 FIRE 2 見上げたあの空は 3 アンプリファー 4 B.O.LIE

    2026/08/14

  • 竹内アンナ
    My secret plum
    My secret plum

    竹内アンナ

    My secret plum

     2026年8月12日に“竹内アンナ”が新作『MIXTAPE』をリリースしました。今作には、未発表曲3曲、2025年にリリースされた楽曲3曲、本作のために新たに書き下ろされた2曲の計8曲が収録されております。タイトルの『MIXTAPE』には、時代を超えた“アーカイブ”の意味が込められており、これまでの軌跡を辿るファンはもちろん、初めて彼女の音楽に触れるリスナーも幅広く楽しめる1作です。    さて、今日のうたではそんな“竹内アンナ”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第1弾は収録曲「 My secret plum 」にまつわるお話です。相手を好きな気持ちと、相手を困らせたくない気持ち。その狭間で揺れながら、自分にとってのいちばんの幸せを考えた先に見えてきた、ひとつの答えとは…。 「好き」という感情は、いつだって日常を彩ってくれる、ハッピーな魔法のようなもの。 ありふれたことさえ、特別に輝かせてくれるもの。 ただ、それだけではないのだと気づいたのは、高校生のころだったと思う。   恋は、ときどき、それまで大切にしていたものを人質に取る。 昨日まで仲の良い友達だったのに、 自分の気持ちに気づいた途端、あなたは「好きな人」になっていた。 わたしの許可なんてなく。   恐る恐る確かめるように、あなたの名前を小さく呼んだ。 胸の奥の、今まで触れたことのない場所に、風がヒュッと吹いた気がした。 放課後、いつものように並んで歩いた帰り道のことだった。   あなたの隣は、昨日よりずっと近いのに、ずっと遠い。   伝えなければ、関係は守れるかもしれない。 けれど、「友達だよ」と笑うたびに、自分の心に小さな嘘を重ねることになる。 恋とは、思っていたよりずっと不自由で、残酷なものなのだ。   そんなことを考えながら小石を蹴っているうちに、歩くペースが少しずつ落ちていく。 あなたの半歩うしろを歩く。   あなたは優しい人だから、もしわたしの気持ちを知ったら、 応えられないことをきっと自分のせいのように悲しむだろう。 少し困ったように目を伏せて、わたしを傷つけない言葉を一生懸命に探すのだろう。 そして最後には、「ごめんね」と謝るのだろう。   あなたを悲しませたくなんかないの。 だから、わたしにとっていちばんの幸せとは何だろうと、考えてみる。 あなたと恋人になること?手をつないだり、特別な名前で呼び合ったり? それだけではない気がした。 もっとこう、柔らかくて、自然体でいられるような形。 そうだなあ、あなたがしあわせだったら、それでいいかも。 そんで、これからも一緒に笑えてたらいいかも。 そう思った。   想像していたよりもずっとシンプルな答えが、すぐに自分の中に浮かんだことに驚いた。 自分をないがしろにしているからではない。 見返りを求めずに愛せる自分を、誇りたいわけでもない。 ただ、あなたの幸せがわたしの幸せなのだと、 きれいごとではなく、本気で信じていた。   心の中では、愛の果実が育ちすぎて、すっかり熟していた。 あなたの何気ない言葉をひとつ受け取るたびに甘くなり、 あなたがほかの誰かに向ける笑顔を見るたびに、少しずつ苦くなった。   もしあなたに見つかったら、珍しそうに、 そして不思議そうに眺めて、「一口ちょうだい」なんて言うかもしれない。 けれど、あげられないよ。 今はまだ、甘くて苦いこの果実をかじるのは、わたしだけでいい。 傾いた陽が、わたしたちを柔らかく照らしていた。 振り返って、わたしを待ってくれているあなたに言った。 「また今度、おいしいもの食べに行こう」   <竹内アンナ> ◆紹介曲「 My secret plum 」 作詞:竹内アンナ 作曲:竹内アンナ   ◆新作『MIXTAPE』 2026年8月12日発売   <収録曲> 1. ok, love song 2. PARADISE 3. adabana midnight 4. ハッピーエンドの続きを 5. P.S. I LOVE YOU  6. That's my name 7. 真昼のランデヴー 8. My secret plum

    2026/08/13

  • Penthouse
    ハードロックが好きだった。
    ハードロックが好きだった。

    Penthouse

    ハードロックが好きだった。

     2026年7月29日に“Penthouse”が3rd Album『Neon Garden』をリリースしました。最新曲「一二三」「青く在れ」などを含む全10曲を収録。Penthouseの真骨頂ともいえる洗練されたアンサンブルと多彩なボーカルワークが凝縮され、ポップス、R&B、ソウルを自在に横断する唯一無二のサウンドがさらに進化。活動の過渡期である現在、改めて今の自分たちのルーツやオリジナリティを洗い出し磨き上げたサウンドが集結しています。    さて、今日のうたではそんな“Penthouse”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。最終回は浪岡真太郎が執筆。ハードロックを愛し、J-POPをどこか遠ざけていた自身が、さまざまな出会いを経てPenthouseへ。そして、今作『Neon Garden』でやりたいと思ったことは…。 ハードロックが好きだった。 Penthouseで僕を知ってくれた人からすると意外かもしれない。 幼少期、父の車のステレオからDeepPurpleやらLed Zeppelinが流れてくるのを、何も知らずに聞いていた。思春期になる頃、結局そういうのが肌に合う気がして、深みにハマっていった。いや、当時は認識を拒んでいただけで、人と違う音楽が好きなのがかっこいいと思っていただけかもしれない。ともあれ大学で上京してから8年間、ロン毛の上半身裸の成人男性が4人でデカい音を出すバンドを大真面目にやっていた。   音楽が好きになると、多くの場合、好みは偏る。或いはそれが行きすぎて特定のジャンルを貶めたりする人もいる。だいたい槍玉に上がるのはその時勢いのあるJ-POPだ。僕も一時期、例に漏れずその道を辿った。ハードロックこそが至高だったし、J-POPはダサかった。   8年間続けたハードロックバンドは、売れなかった。 メジャーデビューもし、アメリカツアーもやったが、それだけで食べていくには程遠かった。   目が覚めるきっかけを与えてくれたのは大学のサークルだった。オールジャンルのコピーバンドサークル。そこではジャンルに貴賎はなく、音楽のありとあらゆる「良さ」を正面から受け止める気風が根ざしていた。ハードロックはもちろん、ファンクもレゲエもジャズもJ-POPも歌った。   そこで出会ったメンバーで結成されたのがPenthouseというバンドだった。ハードロックで売れる夢こそ途絶えたが、ここ数年はちゃんとJ-POPというものに向き合う日々を送っている。ハードロックをやり切ったからこそ、一周してきたからこそ、真摯に向き合う覚悟がついたと思う。毎日、J-POPという「全員」が好きになる音楽の奥深さを目の当たりにしている。楽しい。こんなに楽しい仕事はないと思う。   思うのだが、思いながらも、時々振り返る。 疲れた時なんかは、自分が好きな曲を何も考えずに聴く。 Lawrenceというバンド。ニューヨークを中心に活動していて、兄妹が変わるがわるリードボーカルをとる。 ジャンルはレトロPOPとか言われることが多いようだが、ファンクの影響も色濃く感じる。 ファンクというジャンルは、件のサークルでは花形だった。先輩たちの洗練された演奏に憧れ、広くブラックミュージックを聴き漁ったのをよく覚えている。僕が一番好きなハードロックバンド・エアロスミスは、ファンクの影響を受けているらしいという話も腑に落ちるようになった。こういう経験はきっとPenthouseメンバー全員に共通する原体験だ。   彼らLawrenceが最新アルバムで「Hip Replecament」という曲をリリースした時、僕の中に衝撃が走った。どう聴いたってTower of powerの「What is hip?」のオマージュだった。「What is hip?」といえば、例のサークルの当時のアンセムで、僕も何度も歌ったことがある。全く違う場所で、全く関わりがない人たちが、同じ音楽に魅了され、同じような青春を過ごしてきたであろうことに感動した。   同時に、俺もやろう、と思った。今ならできるという確信があった。Penthouseを通じて、今まで300曲アレンジを書いてきたことで、ピアノはミュート奏法にして一部オートワウをかけようとか、バリトンサックスとその他セクションの掛け合いを作ろうとか、アイディアがたくさん湧いてくるようになった。歌とギターには僕のハードロック愛も込めた。   出来上がった楽曲は、普段の表向きのPenthouseからは想像できないようなテイストで、面食らうファンもいるかもしれない。 ただ、サブスク全盛期、アルバム1枚通して聴くなんていうのは律儀な音楽ファンしかやらないことになってしまった今、逆にアルバムでやるべきことはこれなのかもしれないとも思う。Penthouseにハマってくれた人が、音楽の幅を広げる機会を提供できたら嬉しい。僕がこれまで感じてきたような世界の広がりと、そこから生まれる世界との繋がりを、みんなにも感じてほしいと思う。   <Penthouse・浪岡真太郎> ◆3rd Album『Neon Garden』 2026年7月29日発売

    2026/08/12

  • 『ユイカ』
    夏が嫌いだ。
    夏が嫌いだ。

    『ユイカ』

    夏が嫌いだ。

     2026年6月8日に“『ユイカ』”が新曲「 青春は見えない 」をリリースしました。学生時代をコロナ禍で過ごした世代である『ユイカ』が、当時を今の視点で振り返り描いた楽曲。“過ぎた後に初めて気付く青春の日々“が歌詞に込められた、“青春は若者だけのものではない”というメッセージを歌った1曲となっております。    さて、今日のうたでは“『ユイカ』”による歌詞エッセイを3か月連続でお届けします。今回が最終回です。夏という季節ならではの記憶や衝動。夏は嫌いなはずなのに、なぜか新しい一歩を踏み出したくなる。そんな季節への複雑な愛情を綴っていただきました。 夏が嫌いだ。 そんな夏が来る。 てか来た。暑い、暑すぎる、溶ける。 今年は涼しいかも~なんて思っていた3週間前の自分が馬鹿らしい。   昔はもっと過ごしやすかったよなあとか、もっと夏が楽しみだったのになあとか、夏になるといつも過去と比べてしまう。 まだ21回しか夏を経験していないのに、私が知らない夏がもっと沢山あるのに、夏を知りつくした気でいる。 夏は、あの頃を思い出させてくれる。   実家の庭にプールを引っ張り出して、ホースをぐるぐる引き出して水を張る夏。 去年も同じ水着を着ていたから、今年は新しいのを買ってほしくて大して背は伸びてないのにやれ肩が窮屈だの丈が足りてないだの母に必死にプレゼンする夏。 夏休みの宿題を配られたときは7月中に終わらせるぞと意気込んでいたのに、時間のかかる自由研究とか工作を最後まで残しちゃって、8月が終わるギリギリに完成したと思ったら1行日記とかいう先生も別にぜんぶチェックしてないだろって思う地味にめんどくさいやつをカレンダーを振り返りながら最終日に20行くらい書く夏。   旅行に行ったり、海に行ったり花火を見たり、夏の思い出といえばってことはパッと思いつくけど、真剣に考えて思い出すと、意外と些細な出来事の方が夏らしかったりする。 夏を振り返るたびに、私は夏を嫌いという割に、夏を謳歌してたんだと気づく。   何かに挑戦したり、取り組んだりすることに季節なんて関係ないけど、なんとなく夏って始めやすい気がする、冬に音楽活動を始めた私が言うのは嘘みたいだけど。   夏だから薄着になるしダイエットしようとか、夏だから家にいるし新しいゲームしてみようかなとか、夏だからなんか楽器始めてみようかなとか。 何か挑戦してみたいけど、なんかなーって思ってるなら、夏のせいにすればいい。 夏になったから、で色んなことしちゃえばいい。   夏は嫌い、だって色んな好奇心が湧き出てくるから。 色んな私が、何かに挑戦し始めてしまうから。 貴方も、この夏のせいにして何か新しいことしたくなったでしょ。 夏は、始まったばかりだ。   <『ユイカ』>

    2026/08/10

  • ネクライトーキー
    風がただ吹いている
    風がただ吹いている

    ネクライトーキー

    風がただ吹いている

     2026年8月5日に“ネクライトーキー”が『煙とブルー e.p.』をリリースしました。タイトル曲「煙とブルー」は、TVアニメ『ヤニねこ』のエンディングテーマ。原作の大ファンである朝日(Gt)が過去に“いつかヤニねこがアニメ化されるときは主題歌を担当したい”という趣旨のSNS投稿を行っていたことがきっかけで書き下ろした1曲です。さらに今作には、ネクライトーキー流のネクラポップ/ロックを詰め込んだ全4曲が収録。    今日のうたでは“ネクライトーキー”の朝日による歌詞エッセイをお届けします。綴っていただいたのは、収録曲「 風がただ吹いている 」にまつわるお話です。作詞がよくわからない、歌詞は必要なのか。そんな問いを抱きながらも詞先で曲を作ってみたとき、改めて気づいたことは…。 もう曲作りを始めてから十何年経つが、未だに作詞というものがよくわからない。   音に何かしらの方法論があることについては理解できる。結局のところサウンドは振動だし現象だし数字ではあるから、正と負が明確にある。それについて俺が正確に理解できているかどうかはさておき。   歌詞ってなんだろう。言語という限られた不自由なコミュニケーションツールの中で、やれ悲しい嬉しい綺麗だ汚いをあの手この手で表現するのが主な役割なわけだが、要るかな、この役割。いや、別に要らないとまで言い切るわけではないが、音楽というひとつの額縁の中である種の不純さを感じなくもない。だからこそ慎重にもなるし、何を書けばいいかわからなくなる時も多々ある。   ここまでだらだらと前振りなのか言い訳なのかよくわからない文を書き連ねたが、今回リリースしたEPに収録されている「風がただ吹いている」という曲は詞先で作った、という話がしたい。   歌モノの曲作りする人を本当に雑に二分すると、メロディを先に作る人と歌詞を先に作る人に分かれる。そして俺はメロディを先に作る。メロディを作ってからそこにハマる言葉を当てていくことが楽しい。なので歌詞を先に、という順序は選択肢としてそもそも浮かばないのだが、だからこそ逆張りとして先に作詞するという手順を踏みたくなった。   しかしまぁこれがとにかく難しい。曲を作るにあたってまずポエムを書き連ねるのだ。ギターを触るより先に。なんでだ。とにかく筆が進まない。おそらく俺はメロディにいろいろな恥部を隠してもらっていたのかもしれない。   歌詞があてられていない段階のメロディには当然だが言葉が無い。ただ少し湿度のある空気感だけを纏っている。鼻歌と少々のコード進行があれば悲しい、とか楽しい、とか壁を一枚挟んだ向こう側くらいの雰囲気は伝わる。しかしその壁がない状態で生まれる歌詞は、剥き出しすぎる。もはや壁、とかではなく一糸纏わぬまま俺の頭の中を往来闊歩しているのだ。   もちろんそれをそのまま世に発表するわけではないが、みんなも一回ノートにポエムを書くとか、あまつさえそれを朗読してみるとか、やってみてほしい。俺の気持ちがわかると思う。世に出すとか関係なく、言葉というのはありとあらゆる情報が伝わりすぎる。   ここまで書いておいてなんだが件の「風がただ吹いている」は全編において詞先で作ったわけではない。だが、もしかしたらどこが詞先でどこが曲先なのか伝わるんではなかろうか?   別にクイズにしたいわけではないが、聞いてみてもらって「なんかここ剥き出しだな~」と感じる部分があるならその勘はきっと当たっている。その上で、音楽と言葉がどんな関係値で共存しているのかなんてことに想いを馳せるのも楽しいかもしれない。余計なことだからこそ、僕らは、言葉も音楽の一部なんだと、そう思ってもらえるように信じて送り出している。   とはいえ、感じ方は受け取り手に委ねられるのだ。好きに思っちゃってください。その上で「曲も詞もひっくるめて良い歌だな」と思ってもらえたなら、それほど嬉しいことはないから。   <ネクライトーキー・朝日> ◆紹介曲「 風がただ吹いている 」 作詞:朝日 作曲:朝日   ◆Digital EP「煙とブルー e.p.」 2026年8月5日発売   <収録曲> M1. 煙とブルー M2. エレキの気持ち M3. 風がただ吹いている M4. 余計なこと

    2026/08/07

  • NELKE
    中途半端って多分、繋ぎ役だ。
    中途半端って多分、繋ぎ役だ。

    NELKE

    中途半端って多分、繋ぎ役だ。

     2026年7月8日に“NELKE”が配信EP『In Liminal』をリリースしました。“Liminal”は、「境界」「あいだ」「曖昧な状態」を意味する言葉。令和のSNS世代と、昭和のテレビ・アナログ時代の狭間にいる世代のメンバーによって構成されたNELKEが、SNSやライブを通して掴み取ったメジャーシーンでの第一歩として放つEP。まさに“境界”に立つ彼らだからこそ生み出せる楽曲が集結した作品に仕上がっております。    さて、今日のうたではそんな“NELKE”のRIRIKOによる歌詞エッセイをお届けします。「懐かしい」「平成感」と評される自身たちの音楽性を、コンプレックスではなく強みへと変えていった軌跡とは…。過去と未来、SNSとライブ、その境界を行き来するNELKEの音楽観と、EP『In Liminal』に込めた思いを綴っていただきました。 いわゆる平成一桁世代で構成されているのが私たちNELKEです。   5人各々、好きな音楽は違えど 育ってきた音楽は平成の音楽番組や着うたランキング、先輩のバンドを観に行ったライブで鳴り響いていた   J-POP・邦ロック …   更に言うとこの記事を書いている私、Vo./Gt.のRIRIKOはニコニコ動画(仮)時代からのボーカロイド楽曲など(当時は親に隠れて聴きながら)。   テレビ・CD・ライブハウス・流行り始めのインターネットを通じて 音楽というものを自ずと体に染み込ませていました。   そこから随分と時間は経ち、平成が「懐かしい」という感覚になった頃、 私たち5人は2023年、RIRIKO BAND として集まり、その1年後にNELKEとしてバンド活動を始めます。   NELKEの楽曲の感想で多いのが 「懐かしい」「あの頃を感じる」「平成感」。   …そりゃあ、そうよ。 冒頭の文を読んでいただければ分かる通り、私たちのメロディセンスやアイデアの引き出しには必ず「あの頃の音楽」がキラキラとした形で詰め込まれているのですから。   我々が 美しい と思うのがその懐かしさであり、平成感なのです。   そんな私も言われ始めは、「懐かしいってことは、古臭いってこと?」と、若干コンプレックスに感じる言葉でもありました   しかし徐々に、「この懐かしさをどうやって令和に届けていくか」と考えをシフトしていくようになります。   そのきっかけになったのが、NELKEの音楽がSNSで伸びたこと。 毎日投稿しているライブ動画をきっかけに、沢山の方々にバンドを知っていただいたことです。   世はまさに大SNS時代。 NELKEも令和の大海原に果敢に挑みながら、その音楽性を崩すことなく現在進行形で届け続けております。   そして、SNSをきっかけにライブという生の音楽を体感しにきてくださる方も増えていくのですが、ここで必要になってくるのは、見つけてくれた方々の期待に応えるライブ力。   ライブハウスで観た憧れのバンド、かっけぇ先輩、昭和の親から譲り受けた屈しない心、出会うまでに時間がかかった5人が各々で体験してきた下積み時代。   それらを心に宿したNELKEのライブには、きっと説得力があると思います。   で、また、ライブを動画にしてSNSで届けていく…   そりゃあ!中途半端なもんじゃなくどっちかに振り切れたら…と思うこともあったよ!! だけどこれが、私たちNELKEの現在地。   過去と未来を 時代と時代を 画面と生を   きっと終わることのない反復横跳びで、NELKEはこの境目に位置するものとして繋ぎ続けるのです。 中途半端って多分、繋ぎ役だ。   Liminal  =境界・境目・曖昧な状態   NELKEが美しいと思う音楽を、どうやってこれからに届けていこうか なんて話を5人でしながら作り上げたEP『In Liminal』 どうかあなたにも、繋がれていますように。   <NELKE・RIRIKO> ◆配信EP『In Liminal』 2026年7月8日発売   <収録曲> M1 「Bouquet」 M2 「Chapter」 M3 「Greedy!!」 M4 「Echo」

    2026/08/06

  • クロムレイリー
    カオスこそ原動力
    カオスこそ原動力

    クロムレイリー

    カオスこそ原動力

     2026年8月5日に“クロムレイリー”が1stアルバム『Day By Day』をリリースしました。今作には、これまで発表してきた「ひとりの夜」「Always」「陽だまり」に加え、新曲9曲を含む、全12曲が収録されております。    今日のうたでは、そんな“クロムレイリー”のももかによる歌詞エッセイをお届けします。初めての経験が増え、心が大きく動く今だからこそ、自分のなかの不安や混沌とも向き合うことになる。今作を通じて実感した創作の原動力は…。 最近は生まれて初めての体験で溢れている。   初めてのアルバム、新しい出会い、大きな経験。いくつもの初めてに出会うたび、大切にしたいと思うものが増えていく。   その一方で幸せだと自覚するほど、不安になる。新しい物に心が奪われる前に、まず今ある物をちゃんと愛せているのだろうか。   私は私であるはずなのに、自分の言葉と感情が四方八方に飛び回り、頭の中はいつもカオス状態だ。   しかし、私にとってそれは作曲において1番大事にしている瞬間だと思う。   例えば、今作のアルバム『Day By Day』に収録されている「太陽」では、<あなたのせいじゃないよ>と3回繰り返して歌う。   普段の私ならきっとそんな言葉は簡単に、しかも3回も口にしたりはしない。相手が何を抱えていて、私がどこまで見えているのか分からないまま、その全てを肯定することは無責任だと思うからだ。   いつも曲を書き終えたあと、歌詞をメンバーに共有する際に、「本当に私はこんなことを思っていたのか」と驚くことがある。完成した曲が、私自身も知らなかった自分を見せてしまう。   当たり前のようにこの歌詞を綴っていた私は、今思えば感情が飛び回っているカオスの中で、「それの何が悪いんだ」と叫んでいたのかもしれない。   きっとこれからも頭の中が整理されてから曲を書くことはないんだと思う。私を悩ませるカオスこそが私の原動力なのかもしれない。   このアルバムには、そんな“途中”の私がそのまま残っている。   <クロムレイリー・ももか> ◆1stアルバム『Day By Day』 2026年8月5日

    2026/08/05

  • Penthouse
    自分自身を解き放つ応援歌「シルエット」
    自分自身を解き放つ応援歌「シルエット」

    Penthouse

    自分自身を解き放つ応援歌「シルエット」

     2026年7月29日に“Penthouse”が3rd Album『Neon Garden』をリリースしました。最新曲「一二三」「青く在れ」などを含む全10曲を収録。Penthouseの真骨頂ともいえる洗練されたアンサンブルと多彩なボーカルワークが凝縮され、ポップス、R&B、ソウルを自在に横断する唯一無二のサウンドがさらに進化。活動の過渡期である現在、改めて今の自分たちのルーツやオリジナリティを洗い出し磨き上げたサウンドが集結しています。    さて、今日のうたではそんな“Penthouse”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。第2弾は大島真帆が執筆。綴っていただいたのは、収録曲「 シルエット 」にまつわるお話です。自分の「好き」をひとから否定されたとき、自分で否定してしまいそうなとき、この歌が伝えたい思いは…。 昔から私は自分の外見に自信が持てず、「自分は見た目で勝負してるわけじゃないんで」というスタンスを取りながら、三枚目を演じてみたり、そのコンプレックスを隠して生きてきたような気がします。現代ではSNSで知らない人の写真や動画が手軽に見られるようになり、トレンドも簡単にキャッチできるようになりました。一方で、そのトレンドに乗らないといけない、というちょっとした強迫観念に囚われる人もいるのではないでしょうか。   「シルエット」はそんな現代に生きる女性が、ついつい流行りや可愛いあの子の真似をしてしまう自分自身を解き放つための、応援歌的な役割を果たすことができれば良いな、と思いながら書いた曲です。   今回は、Penthouseでは珍しく大島メインの曲になるということで、自ら作詞を買って出たのは良いものの、Penthouseでの1曲通しての作詞は初めてだったこともあり、どんな曲にしようかとかなり頭を悩ませました。最初は、デモに“チューインガム”というキーワードが入っていたことから、お菓子をテーマにした曲という方向性を考えました。でも、チューインガム自体が、楽曲の煌びやかな印象を表すモチーフとして適切なのかなという迷いもあり、今回はこの案はボツにしました。   次に、煌びやかな印象を軸にして、万華鏡をテーマにした歌詞を書き始めました。悪くははないものの、万華鏡というあまり馴染みのない物をキーワードにするのであれば、もう少し何か引っ掛かりを作りたい。キラーフレーズを入れるか韻を気持ちよく踏むのか…考えても考えてもなかなか納得のいく歌詞が出来上がらず途方に暮れていた時、改めてデモを聞き直し、デモに入っていた歌詞の中の“プラダ”を活かし(ちょうど『プラダを着た悪魔2』が盛り上がっていたこともあり)、ファッションやメイクのワードを散りばめた世界観の曲にしよう!と道筋が決まったことで、漸く現在の「シルエット」の方向性に着地するのです。    この主人公のイメージは、20代後半くらいで会社勤めの女性。日々の生活に大きな不満があるわけではないものの、自分のアイデンティティを確立するものもないし、自身の見た目や仕事ぶりに自信があるわけでもない。でもブランド物に身を包んだ華やかな生活や、現在と大きく違う生活を送りたいわけではなく、ただ変わらない日々の中で「ちょっとしたときめき」をファッションやメイクの力を使って見つけたり、作り出したりしたい。そういった誰もが心のどこかに抱く小さな願いを書いてみた曲です。   SNSのあの子のように、たくさんの人から称賛されなくても良いから、自分の良さや変化に気づいてくれる、たった一人に出会えたら…そんな想いをホーンセクションとストリングスが贅沢に響くサウンドの中で、まるでミュージカルの主人公になったつもりで時に切なく、時に力強く表現してみました。   私自身、サラリーマンとして働いていた時は特に、歌手を目指していたはずの自分と現在地のギャップに苦しんだり、活躍する同期やSNSの中の華やかな生活を送る同世代の女の子に嫉妬したり、自分を愛せなくなっていた時期もありました。でも、いつものメイクにほんの少しラメを足してみたり、人からどう見られるかを気にせずに洋服を選んでみたりすることで、昨日よりちょっとだけ自分のことを好きになれる気がして。それだけで人生は少し前向きになるんじゃないか、そんなある種の願いを込めた歌にもなっています。   私も自分の好きな洋服を好きなように着ているだけなのに、それを周りの人に否定されたり笑われたりする度、自分そのものを否定された気持ちになってきました。私と同じようにあなたが自分や、自分の「好き」を人から否定されたり、自分で否定してしまいそうな時に、この歌が背中を押すようにあなたの傍にいられれば幸せです。   <Penthouse・大島真帆> ◆紹介曲「 シルエット 」 作詞:大島真帆・大原拓真 作曲:浪岡真太郎 ◆3rd Album『Neon Garden』 2026年7月29日発売

    2026/08/04

  • SugLawd Familiar
    どうせ世間はサディスティック。だったら笑って歌えばいい。
    どうせ世間はサディスティック。だったら笑って歌えばいい。

    SugLawd Familiar

    どうせ世間はサディスティック。だったら笑って歌えばいい。

     2026年7月29日に“SugLawd Familiar”がMajor 1st Full Album『FURAAMAN ANTHEM』を配信リリースしました。先行配信された収録曲「MAKENAI feat. OZworld」には、同じ沖縄県出身のHIPHOPアーティスト・OZworldが客演として参加。また、CHICO CARLITO、Disry、前川真悟(from かりゆし58)、MINMI といった超豪華アーティストもアルバム楽曲に参加しております。    さて、今日のうたではそんな“SugLawd Familiar”による歌詞エッセイをお届けします。結果や正しさを求められる現実のなかで、それでも信じたいもの。そして、彼らが提示したい“格好よさ”とは…。 気付けば、音楽を始めた頃よりも、ずいぶん上手に音楽を作れるようになりました。   録音にも慣れた。 ラップもこなせるようになった。 大人との打ち合わせでも、たぶん昔よりちゃんと座っていられます。   でも、上手くなったはずなのに、何かが足りない。   高校生の頃は、世の中のことを何も知らないくせに、知っているような顔で全部に噛みついていました。今思えば、だいぶ迷惑です。でも、あの頃の音楽には、上手いとか正しいとか以前に、止められない熱がありました。   大人になって、いろんな事情が分かるようになりました。   売れるために必要なこと。 一曲を世に出すために動いている人の数。 結果が出なければ、別の方法を試さなければいけないこと。   どれも間違っていません。   ただ、正しいことを理解するたびに、自分たちの中の火まで小さくなっている気がしました。   今回の制作中、なかなか結果が出ないなら、これまで一緒にやってきたプロデューサーを替える選択肢もあるのではないか、という話が出ました。   もちろん、それも音楽を前に進めるための現実的な提案です。   それでも僕らは、この仲間と音楽を続けることを選びました。   意地なのか、愛なのか、ただの頑固なのかは、まだ分かりません。おそらく全部です。   誰かに理解されることよりも、信じた仲間と、信じた音を貫くこと。   この曲は、その選択から生まれました。   バカばっかでサディスティック 抑え込まれて増すエナジー   世の中には、腑に落ちないことがたくさんあります。   本気で取り組む人が笑われたり、結果だけを見て、それまでの時間まで簡単に判断されたり。夢を語るより、最初から諦めたような顔をしている方が、賢く見える瞬間もあります。   そして何より、自分たち自身も、過去のヒットに甘えていました。   音楽を始めた頃の衝動を忘れ、慣れた手つきでラップをこなし、「これくらいで格好いいだろう」と思っていた。今回いちばん腹が立った相手は、もしかすると自分たちだったのかもしれません。   『SADISTIC FURAAMAN』は、立派な人間が歌う立派な応援歌ではありません。   上手くいかない。 分かってもらえない。 正直、文句も言いたい。   それでも、黙って腐るくらいなら、全部まとめて歌にしてしまおうという曲です。   僕らが提示したい格好よさは、難しいものではありません。   泥臭くても、笑われても、好きなものに本気で向き合うこと。 倒れないことではなく、転んだあとに笑って立つこと。 そして、一人で格好つけるより、信じた仲間とバカをやること。   どうせ世間はサディスティック。 でも、どうせラストはロマンティックであってほしい。   そんな都合のいい願いを抱えながら、僕らは今日も歌っています。   この曲を聴いたあなたが、何かに抑え込まれそうになったとき、ほんの少しだけ「まあ、気にしなくていいか」と笑えたら嬉しいです。   難しく考えずにみんなの音楽がそばにありますように。   考えすぎると、また大人になってしまうので。   <SugLawd Familiar> ◆Major 1st Full Album『FURAAMAN ANTHEM』 2026年7月29日発売   <収録曲> 01. Carnival 02. DAMN 03. MAKENAI feat. OZworld 04. % feat. CHICO CARLITO , Disry 05. SADISTIC FURAAMAN 06. HOPE 07. Zero 08. シュビドゥバ 09. Skit 10. Say My Name 11. アビスベルSuper Nova 12. ENDLESS SUMMER 13. ノスタルジックなDestination feat. 前川真悟(from かりゆし58) 14. 君がいる砂浜はダンスフロアー 15. 荒野のガンマン 16. Blue Jeans feat. MINMI 17. Be Alright 18. Dear Mama

    2026/08/03

  • 松室政哉
    これっきりのLove you
    これっきりのLove you

    松室政哉

    これっきりのLove you

     2026年7月15日に“松室政哉”が4th EP『これっきりのLove you』をリリースしました。シンガーソングライター・来島エルをフィーチャリングした楽曲「纏い feat.来島エル」を含め、「言葉も感情も溢れる時代に、探せばいつでも見つけられる一等星のような曲になれば」という思いが込められた全4曲が収録されております。    さて、今日のうたではそんな“松室政哉”による歌詞エッセイを3週連続でお届けします。最終回は、収録曲「 これっきりのLove you 」にまつわるお話です。よくもわるくも、人間の感情が可視化されやすい現代。ストレートに何かを伝えられる今だからこそ、大切にしたいものは…。 「これっきりのLove you」は、日本の昭和歌謡へのオマージュとして作った曲だ。 あの時代の楽曲は恋や愛について、とにかく大げさに、ど真面目に、そして情熱的に歌っていた。 「愛してる」という言葉を疑いも逃げもせず、真正面から投げかけてくる。 その姿に僕は昔から惹かれていた。 もちろん、「昔はよかった」という話をしたいわけではない。 時代が一周したとも思っていない。   最近は「ストレートに気持ちを言いにくい時代」という言葉を耳にすることがある。 でも、自分はあまりそうは思っていない。 例えばSNSを見ていると、むしろみんな驚くほど率直だ。 怒り、不安、違和感。 それぞれが自分の言葉でちゃんと外に出している。 混沌とした世の中ではあるけれど、一人ひとりの感情自体は、かなりはっきりと可視化されているように思う。   ただ、その中でどうしても目についてしまうのがネガティブな言葉だ。 人は負の感情に共感しやすい生き物だということは理解している。 でも、誰かを傷つけたり陥れたりする言葉に触れるたび、やっぱり少し寂しい気持ちになる。 せっかくストレートに何かを伝えられる時代なら、それはもっとポジティブなものであってもいいんじゃないか。 そんな思いが、このEPを作る出発点になった。 だから今回は、昭和歌謡の「感情を言い切る」という表現を借りて、今だからこそストレートに愛を歌ってみたかった。   歌い方や唱法をなぞるというよりも、「気持ちを真正面から差し出す」という姿勢に惹かれたのだと思う。 サウンドも同じ発想で作っている。 温かさや人肌感のあるアレンジは、歌詞にある「覚悟」や「感謝」という言葉を過剰に演出せず、そのまま受け止めるための器のようなもの。 まさに、僕ら人間の体温に近い温度感。   この曲が言葉も感情も溢れるこの時代に、探せばいつでも見つけられる一等星のような曲になればいい。 そんな願いを込めて。   <松室政哉> ◆紹介曲「 これっきりのLove you 」 作詞:金木和也 作曲:松室政哉 ◆4th EP『これっきりのLove you』 2026年7月15日発売   <収録曲> 1. これっきりの Love you 2. 纏い feat. 来島エル 3. 嘘つきボレロ 4. 愛なんて  

    2026/07/31

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