たとえば今日、本当に世界が終わるなら。

音羽-otoha-
たとえば今日、本当に世界が終わるなら。
2025年12月17日に“音羽-otoha-”に初のフルアルバム『LAST PLANET』をリリースしました。今作では、自身を取り巻く様々な世界と向き合う中で紡いだ全12曲を収録。さらに、全編自筆によるコミックと全収録曲の歌詞が融合した40ページに及ぶ漫画も収録。ファーストアルバムに新たな角度から光を照らす、作品性の高いブックレットは、クリエイター・音羽-otoha-ならではの魅力が詰まっております。 さて、今日のうたではそんな“音羽-otoha-”による歌詞エッセイを3回に渡りお届け。第1弾は、収録曲「 地球最後の一日 」にまつわるお話です。“世界の終末”の噂が広まり、その予言の日を迎えた今日。教室の隅で<僕>が思うことは…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。 狭い教室の隅で、僕は窓の外を見ていた。 「なあ、今日世界終わるらしいぜ。」 「知ってるそれ!バズってたやつじゃん?」 「俺、昨日ずっと解説動画見てたわ!」 「なにあんた、信じてんの?」 「まっさかぁ~。」 耳障りな談笑が聞こえる。 数ヶ月前、都内のとあるアマチュア無線機に、突如謎のモールス信号が届いた。 ところどころ途切れていたが、有識者たちが解読したところ、どうやらそれは世界の終末を予言するような内容らしかった。 世間は一気に大騒ぎになった。 信じ込んで怯える声もあったが、大半の人間がネタとして面白がり、SNSは『終末カウントダウン』で持ちきりだった。 そんな中で迎えた、予言の日。それが今日だ。 馬鹿馬鹿しい、と最初は鼻で笑った。でも、どこか胸の奥がざわついた。 それは恐怖でも期待でもなかった。同時に、どちらでもあるような気がした。 「お前ら授業始まんぞー、席つけー。」 数学教師が、いつも通り気だるそうに声をかける。 ──たとえば今日、本当に世界が終わるなら。 きっとこの授業なんか、こんな息苦しい教室なんか、抜け出したって誰も叱らない。 でも、抜け出したとして、僕は一体どこへ向かいたいんだろう。 どこへ逃げたって、何も変わらないんじゃないだろうか。 ふと、机から少しはみ出た地学基礎の教科書に目が止まる。 幼い頃からずっと好きだったもの。それは空や星に関する話だった。 (......あの宇宙の中になら、いつか見つかるだろうか。) どうせ世界は終わらない。 それでも僕にとっては、すでに毎日が終末なんだ。 机の陰に隠れて、僕はこっそりと宇宙のページを眺め続けた。 <音羽-otoha-> ◆紹介曲「 地球最後の一日 」 作詞:音羽-otoha- 作曲:音羽-otoha- ◆フルアルバム『LAST PLANET』 2025年12月17日発売 <収録曲> M1. 地球最後の一日 M2. 狂信者のパレード -The Parade of Battlers M3. あのミュージシャンのせいで M4. engine M5. 電光石火 M6. pineapple tart M7. Do Re Mi M8. 人生階段 M9. さよなら僕の初恋 M10. 闇夜のダンサー -Dancer in the Dark Night M11. no man’s world M12. 大生解


















