改札を抜ければ
わたしは右手を
ポケットに詰め込んで
寂しさをぎゅっと
握り潰してるみたいだ
秒速で過ぎてく
あなたの温もり
ずっと冷めないでいてって
ねぇ お願い
「遠距離恋愛」/the peggies
久しぶりに会えた楽しいデート時間は終わり、一人きりで<あなた>のいない街へ帰らなければならない場面から幕を開ける歌。さっきまで繋いでいたであろう<右手>にはまだ確かに<あなたの温もり>が残っているけれど、冷たい風がだんだんとその温度をさらっていってしまうのでしょう。そして<わたし>は、おそらく三つの想いを胸に、自分の右手をポケットへと詰め込んだのだと思います。
一つは、まだ残っている温度や温かい記憶に対する<ずっと冷めないでいて>という名残惜しい想い。もう一つは、彼の愛情に対する<ずっと冷めないでいて>という少しの不安も入り混じった想い。そして、そんな名残惜しさも不安も<寂しさ>も、ぎゅっと<握り潰して>明日からまた強く生きていかなきゃ…という想いです。この三つの想いは、続く歌詞のところどころに滲んでおります。
今日からまた来る 会えない日々は
あなたとの一日を夢みたくする
わたしが帰ったら
わたしのぜんぶ なかった事にしてね
そして明日からはまた
あなたの一日を始めるの
「遠距離恋愛」/the peggies
今日からまた来る 会えない日々は
わたしの心を強くするけど
わたしは帰っても
あなたのぜんぶ
ちゃんと忘れないでいるから
次会う時は また
昨日の事のように愛してね
「遠距離恋愛」/the peggies
本当のことを言えば<あなた>にだって、自分が帰ったあと<ちゃんと忘れないで>いてほしいのではないでしょうか…。だけど、遠距離恋愛がうまくいかなくなる大きな理由としてよく挙げられるのは【お互いへの信用がないこと】【寂しさに耐えられないこと】【相手の負担になってしまうこと】です。だからこそ<わたし>は<わたしが帰ったら わたしのぜんぶ なかった事にして>あなたはあなたの日常を生きていいからね、と“強がり”を言っているような気もしませんか…?
ただ一方で<帰っても あなたのぜんぶ ちゃんと忘れないでいる>ことは<わたし>の名残惜しさや寂しさだけを示したフレーズではなさそう。きっと、大切なたった<一日>の思い出が<今日からまた来る 会えない日々>を支えるのです。その日、たくさん笑ったこと。幸せだったこと。今、ちゃんと愛されていること。愛していること。一緒にいるときに感じたすべてが“大丈夫”の保証であり、離れていても生きてゆける強さ、自信に繋がってゆくのでしょう。
全てが思い出に変わってく
だけど ちゃんと
次会う時に思い出してくれれば良いよ
あなたがあなたでいるための約束だから
今日からまた来る 会えない日々を
あなたなしでも生き抜く事が
二人を繋ぐために今わたしができる事
今日からまた来る 会えない日々に
わたし時々すごく涙が出そうになるけど
ほらね またね笑って会えるから
そんな二人を今は、わたし、信じていようと思うの
「遠距離恋愛」/the peggies
好きな人との時間があるからこそ、一人の時間も頑張れる。一人の時間があるからこそ、好きな人との時間がよりいっそう愛おしく感じられる。そんな理想的な関係を築くために一番大切なのはやはり、信じきることです。強がりな部分だってあるけれど、それでも<二人を今は、わたし、信じていようと思う>という意志を持つ<わたし>と、恋人にそう思わせることができる<あなた>は、きっとこれからも末永く続いてゆくのではないでしょうか。
今日も東京の街で一人
だけど大丈夫だから
昨日の事のように愛してね
「遠距離恋愛」/the peggies
すべての遠距離恋愛のみなさまに、この歌が届きますように。そしていつか、この「遠距離恋愛」の物語の続編を描いた楽曲も聴いてみたいですね…!
◆mini album「super boy ! super girl !!」
2018年1月24日発売
通常盤 ESCL-4956 ¥2,000(税込)
<収録曲>
1.GLORY
2.ネバーランド
3.恋の呪い
4.遠距離恋愛
5.ハートビート
6.I 御中~文房具屋さんにあった試し書きだけで歌をつくってみました。