限りあるとわかってるから、昨日より少し手を伸ばす。

わかまつごう
限りあるとわかってるから、昨日より少し手を伸ばす。
2018年9月19日に“わかまつごう”がニューアルバム『すべてのとおりすぎてゆくものたち』をリリースしました。今日のうたコラムではその収録曲から「日々の詩」をご紹介いたします。日々とは、一日一日の積み重ねのこと。昨日やったことが今日に繋がり、今日やったことが明日に繋がり、築かれてゆくもの。そう考えると、未来の自分のためにも、たった一日でも時間の無駄遣いをせずに生きてゆきたいですよね。 少年 どこまでも走っていけ カサブタを沢山作れ 仲直りのやり方は 喧嘩しないとわからないよね 青年 何度も作っては壊せ 闇雲を味方につけて 立ち上がる方法は 転んだやつしかわからないよね 「日々の詩」/わかまつごう そんな未来のために“今やるべきこと”のメッセージを様々な世代へと届けるのが、この「日々の詩」です。まず<少年>時代に大切なこと。それは、夢中になって<どこまでも走って>新しい景色を目にする楽しさを知り、これから必要となる心身の筋力をつけ、生きるエネルギーを膨らませてゆくことでしょう。また、途中で沢山の傷ができても、同じ数だけできる<カサブタ>が“ちゃんと治る”ことを教えてくれます。 人間関係も同じ。喧嘩して、痛みを知って、やがて<仲直りのやり方>がわかる。そこで、人は向き合えば“ちゃんと治る”ことを学ぶのです。だからこそぶつかることを恐れずに、時には自分の意見も真っ直ぐに伝えられるようになってゆくのではないでしょうか。逆に、治ることも知らず、喧嘩を避け、傷を避けるのが当たり前になってしまうと、生きるエネルギーは脆弱なまま育たない気がします。 さらに<青年>時代に大切なことは、自分のなかでの“試行錯誤”です。若さゆえの<闇雲>という名の“情熱”を<味方につけて>、少年時代に見つけた夢を形にしてゆく。何度も、作って壊して建て直して、進んで転んで立ち上がって、理想を追求してゆく。そのように<少年>時代にやったことが<青年>時代に繋がり、<青年>時代にやったことが、また先の自分へと繋がってゆくのでしょう。 同窓生 そろそろバテてきたか? 過去も未来もほっとけないしね 人生はどんなもんか 生きてみないとわからないよね 「日々の詩」/わかまつごう 歌の後半に綴られているのは<同窓生>=“自分と同じ年”の仲間への声。これは同時に、今を生きる主人公の本音の吐露でもあります。これまで<仲直りのやり方>や<立ち上がる方法>は、もう“わかっている”立場として、人生の“後輩”に<わからないよね>と寄り添っておりました。でもここでは<人生はどんなもんか>まだ本当に<わからない>のだと思います。自分もそろそろバテてきた。過去も未来もほっとけない。もっとも主人公のリアルな気持ちが伝わってくるのが、この<同窓生>に対する声なのです。 先輩 そこから何が見えますか もっともっとお話ししたかった 受けとった宝物は 次へ次へと渡しますから 「日々の詩」/わかまつごう そして、主人公がこの「日々の詩」を歌う意味が明らかになるのが終盤。もう会えぬ<先輩>へのメッセージです。先を生きる背中を見せてくれた人たち。その人たちから<受けとった宝物>とはまさに「日々の詩」そのものなのではないでしょうか。つまり<少年>や<青年>に語りかけていた言葉こそが<受けとった宝物>であり、主人公はそれを<次へ次へと>繋いでゆくために、この歌を歌っているということ。 限りあるとわかりながら 永遠を願ってしまう 名前をつけてさようなら 栞を挟んでまた明日 限りあるとわかってるから 昨日より少し手を伸ばす 色ぬりをしてさようなら 栞を挟んでまた明日 「日々の詩」/わかまつごう 限りある日々のなか、先輩から自分に、自分から後輩に、伝わってゆくメッセージが込められているのが、わかまつごうの「日々の詩」です。日々とは、一日一日の積み重ねですが、それは“自分一人”の積み重ねを表すだけではなく、いろんな世代の人たちの積み重ねであることにも気づかされますね…!是非、あなたにとっての先輩や後輩、同窓生を思い浮かべながらこの歌を聴いてみてください。 ◆紹介曲「日々の詩」 作詞:わかまつごう 作曲:わかまつごう ◆3rd ALBUM 『すべてのとおりすぎてゆくものたち』 2018年9月19日発売 全12曲入 ¥2300 <収録曲> 1 日々の詩 2 隔てない 3 おれは信じてる 4 変だ変だ 5 コインランドリー&花 6 散歩がはかどらない 7 とける 8 けしごむ 9 せ・つ・め・い・ふ・よ・う 10 想うだけで嬉しくなる 11 とおりすぎてゆくものたち 12 How about seeking Another one