余裕を持って人を好きになれる人ってこの世にいるのかな。

「大切な人を守りたい」と感じることが
本当の愛に思えました。
それに、大切な人を守る事が
自分を守る事にもなる気がした。
人は運命や秘密、約束、身体を
共有し合うことで更に深まりあい、必ず惹き合う。
(あいみょん コメント)


 2019年2月13日に“あいみょん”が2ndアルバム『瞬間的シックスセンス』をリリースします。その収録曲である「あした世界が終わるとしても」は、1月25日から公開されている長編アニメーション映画『あした世界が終わるとしても』の主題歌、さらに「ら、のはなし」は同映画の挿入歌として書き下ろされました。
 
 この映画は、幼い頃に母を亡くして以来、心を閉ざしがちな主人公と、彼を見守ってきた幼なじみの女の子の物語。高校3年生になったふたりがようやく一歩を踏み出そうとした矢先、もうひとつの日本から“もうひとりの僕”が現れる展開となっており、あいみょんがコメントしているように【大切な人を守りたい】という想いが大きなテーマです。

君のいない世界で
僕が生きるとすれば
それはそれはとても
居心地が悪いことだろう
「ら、のはなし」/あいみょん


 さて、今日のうたコラムでは挿入歌「ら、のはなし」をご紹介。歌は<君のいない世界で 僕が生きるとすれば>という淋しい“仮定”で幕を開けます。つまり、大切な人を守りきれなかった世界とも言えるでしょう。それは<とても居心地が悪い>日常。逆に今の現実は<君>がいるからこそ、息がしやすく、生きやすく、居心地がよいということ。

愛しい人のためなら
なんでもできるつもりさ
ただそれは
君がとなりにいてくれた

ら、の話だから。
こんな歌気持ちが悪いだけだから
ああ 余裕を持って人を
好きになれる人ってこの世にいるのかな
「ら、のはなし」/あいみょん

 だから<愛しい人のためなら なんでもできるつもり>という気持ちは、イコール“君がいるこの世界を守りたい”という意志であり、同時に“僕が生き生きと生きるため”のエネルギー作りにもなっているのです。しかし<僕>はまだ<君>のために“なんでもする”と伝える言葉を濁しております。何故ならこれは<ら、の話だから>です。

 二人が恋人同士なのか、それとも<僕>の片想いなのかはわかりません。ただ何にせよ<僕>は、いざというとき<君がとなりにいて>くれる自信がないのでしょう。ゆえに<なんでもできる>なんて伝えるのは相手にとって<気持ちが悪いだけ>だろうと自嘲して、嫌な想いをさせないよう、自分が傷つかないよう先回りをしているのだと思います。
 
 でも、たとえ<君がとなりにいて>くれるかどうかが<ら、の話>=“希望の仮定の話”だとしても、すでに<僕>が<君>のことを“余裕なんてないほど愛しく想っている”ことは事実ですよね。ということは<愛しい人のためなら なんでもできる>という気持ちは<ら、の話>ではなく、もっと確かなものなのではないでしょうか。

ああ 理想なんてものは
早いうちに捨ててしまうのが楽だろうな
「ら、のはなし」/あいみょん

君との恋を望みながら
誰かの不幸を願いつつあるよ
そんな僕の思いつきも
結局は君がとなりにいてくれた

ら、の話だから。
こんな歌気持ちが悪いだけだから
ああ 余裕を持って人を
好きになれる人ってこの世にいるのかな
「ら、のはなし」/あいみょん

 きっと<理想なんてもの>=<ら、の話>を捨ててしまえば、愛に対する期待も不安もなくなるから<楽>にはなるでしょう。しかしそれは、前述した“僕が生き生きと生きるため”のエネルギーの喪失にも繋がる気がしませんか? だって<愛しい人のためなら なんでもできる>気持ちこそが、今の<僕>の日常を彩っているのですから。
 
 大切な人を守る事が、自分を守る事にもなる。そうあいみょんはコメントしておりましたが、好きな人から逃げずに愛する事もまた、自分の人生を愛する事になるのでしょう。今<ら、の話だから。>と言い訳しているあなたも、どうかその“希望の仮定”を簡単に捨ててしまわないで下さい。<愛しい人のためなら なんでもできる>と思える気持ちそのものが、あなたが生きてゆくためのパワーになるのかもしれません…!

◆紹介曲「ら、のはなし
作詞:あいみょん
作曲:あいみょん

◆2ndアルバム『瞬間的シックスセンス』
2018年2月13日発売
WPCL-12996 ¥3,024(税込)※スリーブケース仕様

<収録曲>
01. 満月の夜なら
02. マリーゴールド
03. ら、のはなし
04. 二人だけの国
05. プレゼント
06. ひかりもの
07. 恋をしたから
08. 夢追いベンガル
09. 今夜このまま
10. あした世界が終わるとしても
11. GOOD NIGHT BABY
12. from 四階の角部屋