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  • reGretGirl
    悲しいかな、離れてしまっても生活も人生も終わらない。
    悲しいかな、離れてしまっても生活も人生も終わらない。

    reGretGirl

    悲しいかな、離れてしまっても生活も人生も終わらない。

     2021年12月29日に“reGretGirl”が1st EP『生活e.p.』をリリースしました。作詞・曲を手掛ける平部(Vo.)が得意とする「リアリティのある失恋ソング」を追求した全4曲を収録。楽曲世界の舞台は、アートワークでも写っている平部の地元、大阪・和泉府中です。この地で起こった“一つの恋の終わり”を追体験できるような内容となっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“reGretGirl”の平部雅洋による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は【後編】です。綴っていただいたのは、3曲目「 LDK 」と4曲目「 オールディーズ 」のお話。それぞれの歌の“生活”がより鮮やかにくっきりと見えてくる歌詞エッセイ。是非、歌詞と併せてお楽しみください。 ―「生活e.p.」後編   ~M.3「 LDK 」~   “できる時にできる人がやる”制度で行う家事も気がつけば家にいる事が多い僕の仕事になっていた。メイク道具を前に朝の顔から昼の顔へ変わっていく様子を眺めていると、今日の天気予報がテレビから聞こえてくる。午後から雨が降るらしい。   バタバタと家を飛び出していく姿を見送り、洗濯物を部屋に干しはじめた頃、「傘忘れた…(泣)」と連絡が入る。「また?(笑) 帰り駅まで迎えにいくから今日も仕事がんばっといで」と機嫌を取るような日々を送っていた。   ふたり同じリズムで過ごしていくうちに、見えるようになったものと、見えなくなっていくものがあった。顔には出さない不安は部屋の彼方此方に隠れていて、共に暮らす様になるまで気が付かず、全てを曝け出せない君の思いやりの様なものは、毎日一緒にいるのに遠くにいるように感じさせた。   美味しくできあがった日も美味しくできなかった日もその料理の愛情を食べているのだと思えば、それだけで毎日が満たされていたはずだったのに。     ~M.4「 オールディーズ 」~   新しい靴を買った。帰り道に見た夕焼けが綺麗だった。誰かに見せるわけでもない写真を撮ってしまうのは、以前は見せる相手がいたからで、今は写真を撮る癖だけが残っている。   「アナタは本当優しいから」と言った君の優しさが、耳元を飛び回る羽虫のブーンという音の様に鬱陶しく頭の中で鳴り続ける。見上げた夜空は雲ひとつなく澄んでいて、半分に欠けた月明かりが窓から差し込む。眠れない夜は美しい光を浴びても報われはしない。“取り戻す”という救われる唯一の方法は有るはずなのに無いに等しいからだ。   色褪せるしかない記憶の干渉に浸っているのもどうせ僕だけなのだろう。同じ時間を同じだけ過ごして来たのに、どうしてひとりで打ち拉がれているのだろうか。いくら足掻いても無かった事にはできないのに、どうして僕を置いていったのだろうか。     生活は都合良く変貌しなかった。お互いの人生を委ね合う覚悟と責任から逃れようと、必死で抱き合った日々には虚無が待ち構えていて、臆病な愛情は日常の上で静かに崩壊していく。か細い一本の糸でしか繋がれないふたりは、「ずっと一緒にいられる」と己に嘘をつき、薄っすら遠くに見え続ける終わりに向かって歩いていた。“あの時つき合った嘘”とは互いが自分についた嘘だったのだ。   悲しいかな、離れてしまっても生活も人生も終わらない。“Life goes on”ふたりの人生は交わらない別の所で続いてゆく。   <reGretGirl Vo./Gt 平部雅洋> ◆紹介曲 「 LDK 」 作詞:Masahiro Hirabe 作曲:Masahiro Hirabe 「 オールディーズ 」 作詞:Masahiro Hirabe 作曲:Masahiro Hirabe ◆1st EP『生活e.p.』 2021年12月29日発売 完全限定生産盤 COCP-41654 ¥3,850(税込)   <収録曲> 1.ロードイン 2.シャンプー 3.LDK 4.オールディーズ

    2022/01/12

  • Tani Yuuki
    似ているからこそぶつかり合う、違うからこそわかることもある。
    似ているからこそぶつかり合う、違うからこそわかることもある。

    Tani Yuuki

    似ているからこそぶつかり合う、違うからこそわかることもある。

     YouTubeやTikTokでの活動を軸にストリーミング再生累計1億回超えを果たした、23歳のシンガー・ソングライター“Tani Yuuki”。2021年12月8日に1stアルバム『Memories』をリリースしました。今作には、シングル曲「Myra」「Unreachable love song」「W/X/Y」や新曲を含む全14曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“Tani Yuuki”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲「 W/X/Y 」のお話です。タイトルは、染色体の女性WX(XX)と男性(XY)が掛け合わされていて、細胞レベルの恋を歌うこの曲。描かれている<僕>と<君>の物語や感情がより鮮明に見えてくる歌詞エッセイを是非、歌詞と併せてお楽しみください…!   朝、香ばしく温かい匂いで目が覚めた。大きなあくびをしながら「おはよう」と僕が言うと、視界の外から山彦のように「おはよう」と返ってきた。寝癖と寝巻きで着飾った君が2人分のトーストを焼いている。僕はその横で2人分のコーヒーを淹れた。   机の前に並んで腰を下ろし、かったるい口で「いただきます。」垂れ流しのテレビからはニュースが聞こえている。それを右から左へ聞き流しながら朝食を頬張り、開かない喉にコーヒーで流し込んだ。食事が終わると君の食べっぱなしの食器を片付け、一週間たっぷり溜め込んだ洗濯物をやっつけようと風呂場へ向かう。   その途中ふと、目をやると、脱ぎ散らかした寝巻きが足跡のようにクローゼットへ続いていた。ため息を一つ落とし、一歩一歩辿るように拾い集め洗濯機にダンクシュートを決める。その不意をついて後ろから君が抱きついてくるまでがいつもの流れだ。   家事がひと段落するとガラッと空いた予定に胸が高まった。君も同じだった。なんでもできる、なにをしようか? 今日は休日、晴れ、あえて外に出ないなんてのもありだ。ゆっくりと時間は流れ、陽が昇っていく。2人で買った置き時計と日陰の向きが正午を知らせていた。   映えないスナックとアルコールを傍に、映画を見る。贅沢な時間だ。膝にかけたブランケットからは君の体温が伝わってくる。初めは感情を揺さぶってきた光るお伽話も、いつしか心地よい子守唄に変わり、まどろみを抱く中、ひとときの特別を噛み締めていた。   何かに気づいたようにハッと目を覚ますと映画は終わり、陽は傾き、半分こしていたブランケットはいつの間にか君の胸元までかぶさっていた。夜が冷やした部屋の空気に身震いをし、はだけたブランケットをそっと君の肩まで戻す。   僕らは似ているようで全然違う、全然違うようでどこか似ている。君の寝顔を見つめながら幸せと、あらぬ不安を抱き涙が出た。   この先、最高と呼べる瞬間も、最悪と言える瞬間も幾度となく繰り返すだろう。その度に拳は開いてあいこでしょ、酸いも甘いも半分こしよう。似ているからこそぶつかり合う、違うからこそわかることもある。噛み合わないのなら一歩ずつ寄り添ってみよう。それでもダメなら割り切っていこう。至らない僕でごめんね、いつもありがとう。2人対の細胞、ずっと一緒にいよう。W/X/Y <Tani Yuuki> ◆紹介曲「 W/X/Y 」 作詞:Tani Yuuki 作曲:Tani Yuuki  ◆1stアルバム『Memories』 2021年12月8日デジタルリリース   <収録曲> 01決別の唄 02.W/X/Y 03.おかえり 04.Myra 05.非lie心 06.Unreachable love song 07.Night Butterfly 08.油性マジック 09.百鬼夜行 10.曖昧ミーマイン 11.愛言葉 12.記憶 13.We are free 14.Life is beautiful  

    2022/01/11

  • reGretGirl
    生活の上に成り立つのが恋愛で、恋愛に振り回されるのが生活だ。
    生活の上に成り立つのが恋愛で、恋愛に振り回されるのが生活だ。

    reGretGirl

    生活の上に成り立つのが恋愛で、恋愛に振り回されるのが生活だ。

     2021年12月29日に“reGretGirl”が1st EP『生活e.p.』をリリースしました。作詞・曲を手掛ける平部(Vo.)が得意とする「リアリティのある失恋ソング」を追求した全4曲を収録。楽曲世界の舞台は、アートワークでも写っている平部の地元、大阪・和泉府中です。この地で起こった“一つの恋の終わり”を追体験できるような内容となっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“reGretGirl”の平部雅洋による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、1曲目「 ロードイン 」と2曲目「 シャンプー 」のお話。それぞれの歌の“生活”がより鮮やかにくっきりと見えてくる歌詞エッセイ。是非、歌詞と併せてお楽しみください。 ―「生活e.p.」前編   はじめに、「生活e.p.」をリリースし、歌ネットでこの歌詞エッセイを二回に渡り掲載させていただける事に感謝を述べたいと思います。エッセイやセルフライナーノーツのように作品の解説を行なっている感じはないのですが、「生活e.p.」を聴くにあたり、作品をより良い方向に掘り下げられる文章になっているかと思います。     生活の上に成り立つのが恋愛で、恋愛に振り回されるのが生活だ。切っても切れない関係は、身がすくむ程心地よく、その尊さに怖気付いてしまいそうになるのだ。   ~M.1「 ロードイン 」~   「―まもなく2番線に20時9分発、関空紀州路快速、関西空港、和歌山方面行きが8両で参ります。危ないですのでホーム黄色の線より内側にお下がりください。電車の到着が遅れました事を深くお詫び申し上げます―」   JR阪和線は数分遅延し、仕事帰りの君を乗せ2番ホームに到着した。改札の向こう側から僕を見つけ、パッと表情に華が咲く。小走りで駆け寄り、「今日はどうする!?どこ行く!?何食べる!?」と息をつく間も無く投げつけてくる言葉が、この瞬間をいかに待ち望んでいたかを思わせ頬が緩んだ。主人に飛びつく子犬の様なその姿を肴に一杯飲めてしまえそうで、これから深くなるであろう夜への期待は高まった。   「金曜の夜は最強」らしい。調子良く飲み進めるのに付いて行くのがやっとで、よく二軒目に利用する店に入る頃、僕はかなり酔っ払っていた。「ひとりで酔うと虚しくなるのに一緒に酔うと本当に楽しいよな」と毎回言ってしまう。「わかった、わかった」と軽くあしらいながらも、目尻が下がりニヤニヤしている顔を見ると、君も酔っているのだなと思えて嬉しかった。皿に溜まっていくピスタチオの殻は、帰る時間を知らせているようで「続きは家で飲むか」と席を立ち上がった。アーケードをフラフラ歩く僕らの手はしっかり繋がっていた。     ~M.2「 シャンプー 」~   風呂上がり、君の髪を乾かす事が僕の一日で一番重要な仕事だった。   「あとでまた使うから」とコードを繋いだままのドライヤーは、会社のビンゴ大会で当てた高級なものだ。鏡の前の椅子に座らせ「お客さん今日はどんな感じでヤっちゃいます?ちょっと冒険しちゃう?」と鼻に付く話し方をするといつも笑ってくれた。   櫛を片手に丁寧に。ワンレンボブヘアーの毛先は内巻きに。ドライヤーの騒々しい風音の中、「なんて??」「なんも言ってないで!!」的なふたりしか笑えないお決まりのやりとり。コンタクトを外した目はどんどん眠たそうになっていく。永遠に続くかの様にゆっくり流れる夜の時間を贅沢に使い、髪が乾く頃には半分眠っていた。   “きっと明日も”がドライヤーの風と共に舞い上がる、ふたりは同じ髪の匂いがしていた。   <reGretGirl Vo./Gt 平部雅洋> ◆紹介曲 「 ロードイン 」 作詞:Masahiro Hirabe 作曲:Masahiro Hirabe 「 シャンプー 」 作詞:Masahiro Hirabe 作曲:Masahiro Hirabe ◆1st EP『生活e.p.』 2021年12月29日発売 完全限定生産盤 COCP-41654 ¥3,850(税込) <収録曲> 1.ロードイン 2.シャンプー 3.LDK 4.オールディーズ

    2022/01/07

  • LACCO TOWER
    指から湧き出る刃物をもって。
    指から湧き出る刃物をもって。

    LACCO TOWER

    指から湧き出る刃物をもって。

     2021年12月8日に“LACCO TOWER”がニューアルバム『青春』をリリースしました。すでに発表されている「閃光」「無戦無敗」「罪」「化物」「約束」をはじめ、タイトル曲「青春」を含む新曲7曲が加わった全12曲が収録。レコ発全国ワンマンツアー<青春旅行>も開催!2022年1月15日、ホームの群馬・高崎clubFLEEZ公演を皮切りにスタート!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースした“LACCO TOWER”の松川ケイスケによる歌詞エッセイをお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 罪 」に通ずるお話です。わたしたちのすぐそばにある「インターネットくん」のおかげで出来るようになったこと、そして、使い方によって生まれる罪とは。是非、歌詞と併せてこのエッセイを受け取ってください。 皆さん、今は携帯電話を見ているだろうか。それともパソコンの画面を見つめているだろうか。どちらにせよ、この記事は「インターネット」を介して皆さんに届けられているかと思う。   インターネットの起源は米国から。主に大学・研究機関間を接続するネットワークの構築から始まり、そこでの論文や研究データの交換という非営利用途を主として作られた。今現在、衣食住と並ぶほど必要不可欠になったネット。人間という人生を歩む中で、切っても切れないものになってしまった事は言うまでもない。   我々はちょうどこの「インターネットくん」をデビューから見守ってきた世代だ。もてはやされ、重宝され、可愛がられ、応援され、いつしかその使い方が多様化し大人になっていく様を一緒に歩んできた。   大人になっていく中で、沢山の経験をした。誰かにフラれ、誰かに恋し、誰かとぶつかり、誰かに裏切られる。その全てが自分の目の前だけではなく、画面の中で行われ始めた(まさに始まった)事も、我々世代特有の経験値の一つだろう。   我々は言葉で、力で、何かを壊す事が出来る。同様に何かを愛し、慈しむ事が出来る。人によってその大きさは違い、それが恋人だったり、家庭だったり、会社だったり、国だったりする。   その言葉や力に「指」という刃物が加わった。「インターネットくん」の魔法のおかげで、我々は指だけでカンタンに誰かの背中に刃物を突き刺す事が出来るようになった。使い方を守るだけで温かい料理を提供する事だって出来るようになった。   誰かに傷つけられた時、「なぜ自分だけこんなに傷つかないといけないのだろう」と思う。でももしかしたら、傷つけた人は「何で私の痛みをあなたは分かってくれないの」と思うのかもしれない。所詮傷は結果である。その道程を知り合い分かち合う事が重要であり、そして困難なのではないだろうか。かくいう自分も、知らず知らずのうちにその双方を繰り返しているのではないかと思うから。   だからこそ自分のこの指一つが傷つける事、傷つけられる事の起点になりうる事は忘れずにいたいと思う。起こった結果より一体何が罪だったのか。それを常に頭に思い描き、出来る事なら悲しみではなく喜びのサンドウィッチを腹いっぱい頬張れるように、この刃物を使いたい。   この文章を「インターネットくん」が運ぶ事により、誰かが少しでも楽に、そして幸せになる事を願って。   <LACCO TOWER・松川ケイスケ> ◆紹介曲「 罪 」 作詞:松川ケイスケ 作曲:LACCO TOWER ◆ニューアルバム『青春』 2021年12月8日発売 <収録曲> 1 青春 2 化物 3 証明 4 嘘 5 閃光 6 独白 7 口紅 8 罪 9 渦巻 10 約束 11 無戦無敗 12 雪

    2022/01/06

  • 空想委員会
    空想委員会は誰かにとっての全速力ガールになれるのか。
    空想委員会は誰かにとっての全速力ガールになれるのか。

    空想委員会

    空想委員会は誰かにとっての全速力ガールになれるのか。

     2021年12月29日に“空想委員会”がニューアルバム『世渡り下手の愛し方』をリリース!2年間の活動休止を経て、今年4月から活動を再開した彼らの再スタートを飾る今作。三浦隆一(Vo.&Gt.)の作品を中心に、佐々木直也(Gt.)、岡田典之(Ba)が制作した楽曲も含め、全12曲が収録。デビュー当時から“恋愛弱者”たちの思いを歌う曲が人気だった彼らですが、今作には、社会人の日々の葛藤や恋愛をテーマにした楽曲も…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“空想委員会”の三浦隆一(Vo.&Gt.)による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回となります。彼らにとって大切な“ガールシリーズ”の楽曲。今回、ニューアルバムの入り口を飾ったのも「 全速力ガール 」という新たなガールシリーズ楽曲です。では、その楽曲を世に出したことでどんな影響があったのでしょうか。今の想いを明かしてくださいました。是非、最後までお楽しみください。 2021年の4月に活動を再開した空想委員会は、12月28日にデビュー10周年を迎えることができました。そして12月29日には新しいアルバム『世渡り下手の愛し方』をリリースしました。前回のエッセイでは「 全速力ガール 」に込めた想いを書かせていただきました。今回はその曲を世に出したことが私個人、そして空想委員会にどのような影響を及ぼすのかについて書きたいと思います。   「全速力ガール」を世に出したことにより、私の中に生まれた感情は「私自身が誰かにとっての全速力ガール」になりたいという想いでした。曲を聞いてくれた方に私個人やバンドとしての活動を観ていただき、その姿によって誰かを勇気付け、励まし、引っ張りたいという欲が出てきたのです。   バンドを始めた頃の私は音楽の力を信じていました。自分が音楽から沢山のものをもらい、日々の暮らしの中で支えてもらってきた実感があったからです。   しかし、空想委員会でデビューし、音楽活動を続けていくうちにだんだんと音楽の力を信じられなくなってきました。仕事として音楽をやるうちに、音楽を好きだと心から言えなくなっていたのです。   バンドの活動を休止した時は、音楽を聴くことすらも嫌になっていた私ですが、音楽と距離を置いた生活をしているうちにだんだんと音楽への苦手意識も薄れ、昔好きだった曲を聴くようになりました。それはバンドを始めるずっと前、学生の頃に聴いていた曲たちです。それを聴いていくうちに「やっぱり音楽は素晴らしいし、私は音楽が好きだ」と思えるようになりました。音楽を聴くと力をもらうし、前向きになれる自分に気付きました。   いつの間にか私はまた音楽に救われ、音楽の力を信じるようになっていました。     「全速力ガール」という曲を世に出した今、私は音楽の力を信じています。そして自分は誰かにとっての「全速力ガール」になれると本気で思っています。2年間の活動休止があったからこそ、また今新たな気持ちで音楽に向き合えているし、デビューから10年も活動を続けられてきたという事実が自信となり背中を押してくれています。   やっと私はステージの真ん中に立って、100%音楽の力を信じて歌を歌えるようになったのです。長い時間がかかり、力を貸してくれたスタッフの皆さんにも応援し続けてくれたファンの方にも心配をかけ、お待たせすることになってしまいましたが、ここからの活動を是非見ていただきたいです。   音楽の力を信じ、歌い続けることで関わってくださる全ての人を牽引できるように頑張りたいと思います。空想委員会は誰かにとっての「全速力ガール」に必ずなると約束します。 <空想委員会・三浦隆一> ◆紹介曲「 全速力ガール 」 作詞:三浦隆一 作曲:三浦隆一 ◆4th Full Album『世渡り下手の愛し方』 2021年12月29日発売 BZCS-1195 ¥3,000(税込)   <収録曲> 1.全速力ガール 2.縋る蜃気楼 3.愛しき地獄 4.トリガー 5.Dodo 6.コイアイ 7.大河の一滴 8.1783 9.Re:gain 10.ラブソングゾンビ 11.will 12.積み木遊び

    2022/01/05

  • イチオシ!
    迎春!あなたの恋に効く楽曲を6つのテーマ別にピックアップ!
    迎春!あなたの恋に効く楽曲を6つのテーマ別にピックアップ!

    イチオシ!

    迎春!あなたの恋に効く楽曲を6つのテーマ別にピックアップ!

     みなさま、明けましておめでとうございます。年末年始は『第63回 輝く!日本レコード大賞』や『第72回NHK紅白歌合戦』など様々な音楽番組をご堪能されましたでしょうか。2022年はほんの少しでも去年より前に前に。マスクなしでお喋りできて、ライブで歌って叫んではしゃげる日に希望を抱きながら、進んでいきたいですね…!    さて、新年初となる『今日のうたコラム』では、あなたの恋を応援いたします。その恋に効く楽曲のフレーズを、【あなたの理想になりたくて】、【本音が言えなくなった恋】、【抜け出せない沼恋…】、【恋の脇役…】、【ただ会いたい、逢いたい。】、【死ぬほど愛して…】、6つのテーマ別にピックアップしてご紹介。今、恋をしているあなたに寄り添う1曲と出逢えますように。 【 あなたの理想になりたくて 】 ~もっと見てほしいから、好きになってほしいから、背伸びをしているあなたへ。~   二人でいられる 今この瞬間が いつまでも続くものだったら 叶わない恋でも 叶えられるように 理想の女の子になりたいよ いつかはあなたに 想いが届いて 「好きだよ」と言ってもらえたらなぁ 「 恋する気持ち 」/足立佳奈    今日のために切った髪も あなた好みの色の服も 気付いてくれるといいな 今夜だけ ヒロインは私一人 「 冬のプレゼント 」/もさを。     変われ 変われって 何度も唱えていた something new 動きだす 大事な君に似合うような私になれるように 君色に染まる 「 リュネット 」/瀬川あやか    恋愛なんて詳しくないし 経験とか微塵もないから あなたの理想に 近づきたいな どうすればいいんですか 「 サニー 」/まるりとりゅうが    ダッシュしたって 今更遅すぎかも? 立ち止まっては作戦を練り直して やっぱりアタシはまだ諦めたくないから 毎晩ちっぽけな一歩 理想に近づけて アナタの心を射止められるように頑張るから まだ頑張るから 見ていてね 「 アシアトコンパス 」/LiSA  【 本音が言えなくなった恋 】 ~言えないからすれ違う。好きだけど好きだから、本音を口にできないあなたへ。~   どうして? 向き合っているのに伝わらないの 暗い部屋ひとりで待っていたのは私の方 「 リスポーン 」/Saucy Dog   「もっと早く帰ってきて」 その一言が言えないのは 君のお荷物になりたくないから 「もっと早く帰ってきて」 その一言が言えないから 今晩のシチューに溶かしておくね 「 明日の夜は何が食べたい? 」/SHISHAMO   何も知らないくせに、って 知らせなかっただけなのにね ずるいんだ わたしもきみも 「 キラキラ 」/緑黄色社会   こんなに一緒にいるんだし 当たり前のようにそばにいてくれるから ありがとうもごめんなさいも僕は言わなくなってた   追いかけながら少し僕は泣いてて だけどもしかしたらあなたも泣いていて どうしてこんなふうに最初から思いやれなかったのか 「 おまえさん 」/back number   特別なことなどひとつだってないと思っている 君があの日 本当に食べたいと思ったものとか そういうちょっとしたレベルでゆっくりと戻れなくなって 僕たちはすれ違ってきて 君はすり減らしすぎてしまった 今じゃもう何の意味もないことだけが残ったなあ 僕らは何になれたらよかったのだろうとか もう君は居ないよ 「 独り 」/odol 【 抜け出せない沼恋… 】 ~堕ちたら最後。抜け出したくても抜け出せない、恋の沼でもがいているあなたへ。~   いつだって手の平の上で 踊らされてる気がしてさ ただの遊びだったのなら もっと早くに捨てて欲しかった 「 ピアス 」/あたらよ   私の頬には赤く残った左手の跡 右利きのあなたの最初で最後の優しさだった 「死ぬまでお前と一緒にいるのが俺の夢なんだ」 もうやだ あの日にもどって もどって もどって 「 棘 」/BLUE ENCOUNT  「君に会いたい」って言葉 君には痛いと聞こえてしまうかな もういっそ もう一生 言わない方がいいかもな 「 いやいいや 」/當山みれい 君は思わせぶりがうまいから 沼から抜け出せないまま沈んで 勝手にハッピーエンド描いてさ ずっと 君しか嫌だ 「 私じゃなかったんだね。 」/りりあ。 キャンセル待ちしてるような恋だけど 私は懲りずにまだここにいるから あの子に飽きたらこっちきて 都合がいいなんて知ってます 「 キャンセル待ちの恋 」/Anly 【 恋の脇役… 】 ~ヒロインにはなれないから…。恋の脇役を演じてしまっているあなたへ。~   あなたを好きになるわけにはいかないの私 恋に落ちるわけにはいかないの私 どうやらここでは 脇役だから だけど気づけば またあなたを浮かべてる私 会いたいなんて思ってしまってる私 あくまで主役はあなたとあの子 台詞は間違えないよ 「 劇 」/wacci    物語の主人公は 報われないことなんてなくて この物語の続きは 私の目線じゃない   そうやって見切りをつけて 歩くほど強くないから 思えば思うほど 溢れて 落ちてゆく 「 エンドロール 」/川崎鷹也    泣きたい時にいつだって 夕暮れ時だとは限らない 大体いつも一人だけ 浮いているような気がする ガラスの靴も履けなければ 悲劇のヒロインにもなりきれず 村人A か Bあたり か弱いセリフなんてない 「 赤を塗って 」/SUPER BEAVER    Remember me もうすぐ あなたはあの娘と結婚するけれど ときには思い出して 夢の中のわき役でいいから 「 わき役でいいから 」/松任谷由実    「一緒にいたいの」重くないように 他の女(ヒト)より上手に言うわ   「今度いつ逢える?」約束なんて 自信がない女(ヒト)がすること   この身体ごと夜をあげるわ だから心をちょうだい 「 ミスキャスト 」/福山雅治   【 ただ会いたい、逢いたい。 】 ~自分の本当の気持ちと向き合えば向き合うほど、恋しくなってゆくあなたへ。~   会いたくて 会いたくて 溢れ出す想いに絶対値はなくて 世界は愛につつまれた 相乗りして伝えよう 「 会いたくて 」/Ado    今、君に恋してるみたい 気のないふりはもうできない だって、溢れそうなんだもん 夏空の下、2人で会いたいの 「 今、君に恋してるみたい 」/ひらめ     会いたくて仕方ないのは あたしだけなのかな 説明してください   だんだん薄れていく愛の狭間に 隠された暗号は解読不可能で さよならか 「 ランドマーク 」/佐藤千亜妃  あと数秒だけでもいい あと数回だけでもいい ただ聞きたいだけなのに ただ会いたいだけなのに   ただ会いたい 「 残響 」/映秀。     探してた欠片が 何かは知っていた ただ過ぎる日々は 気づけばなくなった 支えたい 頼りたい 会いたいな 寂しいんだ 溢れ出す想いは一言でいうよ 君がほしい 「 Spell On Me 」/SHE'S       【 死ぬほど愛して… 】 ~この命をかけてもいいぐらいに愛している、本気で死ぬ気で愛してほしいあなたへ。~   あたしが死んでも彼女はつくらないでね 恋をしないで あたし以外と あたし以外とは あたしが死んでも日記は開かないでね 時々ね あなたの悪口書いているの それもまぁ だけどまぁ 許して 「 あたしが死んでも 」/コレサワ  言えない 言えないよ 今君が死んでしまっても 構わないと思っているのは 言えない 言えないよ ほんとは小さなその胸の 中に僕がいつまでも生きてたいと 願うからで 「 いえない 」/RADWIMPS あなたの髪を切らなきゃ 真っ黒な其の眼があたしの眼に光を射てば呼吸が出来る いまは還らない影など全く厭だけれど あなたには殺されても良いわ 「 シドと白昼夢 」/椎名林檎      わたしの最後はあなたがいい あなたとこのままおサラバするより 死ぬのがいいわ 死ぬのがいいわ 三度の飯よりあんたがいいのよ あんたとこのままおサラバするよか 死ぬのがいいわ 死ぬのがいいわ 「 死ぬのがいいわ 」/藤井風     もっと抱いてもっと このまま死んでもいいから$ わたしをわたしを 月と飲み干して   あなたの血に流れて 記憶の細胞を壊して   生まれ変わりたくなどない この生であなたと終わりたい 生まれ変わりたくなどない この生であなたと終わりたい 「 月光 」/DREAMS COME TRUE どんな恋をしているときでも、きっとその心のお守りになる音楽があります。是非、今のご自身の味方になってくれる歌を探してみてください。尚、『LINE MUSIC』で掲載中の 【 歌ネットプレイリスト 】 では、今回ご紹介した楽曲をはじめ、様々なテーマをもとにオススメの楽曲をセレクトしております。こちらも併せてチェックを!    また、あなたのイチオシフレーズは、是非 【 コトバのキモチ 】 コーナーへのご投稿くださいませ…!では、2022年も歌ネットを何卒よろしくお願いいたします。

    2022/01/01

  • イチオシ!
    コロナ禍での音楽への想い…。10組のアーティストの言葉をご紹介!
    コロナ禍での音楽への想い…。10組のアーティストの言葉をご紹介!

    イチオシ!

    コロナ禍での音楽への想い…。10組のアーティストの言葉をご紹介!

     2021年『今日のうたコラム』年内ラスト更新です。今年も様々なアーティストに執筆いただいた歌詞エッセイ。さらに、インタビューや特集、ピックアップ記事などなど、ユーザーのみなさま、ご愛読いただき誠にありがとうございます。そして、様々な形で音楽や言葉を届け続けてくださっているアーティストのみなさま、心より感謝申し上げます。    新型コロナが収束したとは言い難い2021年。それでも、感染症対策を行いながら少しずつライブもできるようになり、2020年よりは光が見えてきた気がしますね。歌ネットのインタビューでは、アーティストのみなさまがコロナ禍にどんなことを感じていたのか、どうやって曲を生み出したのか、語っていただく機会も多くございました。今回は今年のまとめとして、その言葉たちを一挙ご紹介いたします…! < 石崎ひゅーい > コロナ禍になって、生活だったり、音楽を作る環境だったり、演奏する環境だったりが変わっていって。そうなったときに、ひとと会えない分、音楽とすごく密になったなと。とにかく音楽のことを考えざるを得ないし、音楽ってどんなときも苦楽をともにするパートナーなんだって思ったんですよ。どんな時代になっても、音楽はそばにいてくれるし、そばにある。要するに音楽と結婚しているみたいなことなのかなって思えたんですよね。 ― コロナ禍は、歌詞の言葉選びにも影響がありましたか?   めちゃくちゃありました。すごく混とんとしていたし、いろんな弊害がみんなの生活のなかにあったから、そんなときに届けたい歌、届けなきゃいけない歌っていうのは、シンプルなものだろうなと思って。寄り道しないで、まっすぐ心に届くようなものを作らなきゃという意識は強くありましたね。 < 足立佳奈 > とくにコロナ禍は、自分を見つめ直す時間が多くなり、かなり大きな転機になったと思います。しかも20歳になって、2020年にアルバム『I』をリリースしてすぐ、というタイミングとも重なったので。ツアーもできなかったりして、あのときは何をしていいかわかりませんでした。みなさんもお仕事や活動が止まってしまっていたはずなんですけど、自分と同じことを誰もが思っているとは思えずに、「私だけが止まっているんだろうな」って不安に感じてしまって。でも、自分の過去を振り返る機会ができたことは大きかったです。だからこそ今回のアルバムは、私が過去に出会ったいろんな<あなた>に向けて1曲1曲を作ることができました。     < sumika・片岡健太 > 会えないからこそ、想像するしかないというか。「名前がついてないこの気持ちを、どういう言葉にしたら正しく伝わるんだろう」ということをすごく考えていました。あとニュースとかSNSとか、言葉尻ひとつで揚げ足を取られるような風潮もありましたし。失言が許されない。だから作品だけではなく、自分が発信するすべての言葉に対してセンシティブになっていた時期でもありましたね。     < 大原櫻子 > いちばんショックが大きかったのは『ミス・サイゴン』という舞台が中止になったことでしたね。この作品は、1年間オーディションをやって勝ち取った役だったんです。だからもう…積み上げてきたつみきをバーンッ!って払いのけられた感じ。でも誰のことも責められないじゃないですか。なんか、こんなことってあるんだなぁ…って。でもだからこそ「 チューリップ 」という歌を書こうと思えたんです。ただ生きているって、素晴らしいことなんだなって気づけたから、それを歌にしたくて。     < ビッケブランカ > 気落ちしたって言ったほうがアーティスティックですけど、それがまったくなかったんですよね。曲が書けなくなって困っているひとも多いじゃないですか。でも僕は「こんな情勢ごときで曲作りに影響なんてあってたまるか!」って気持ちがありました。   ― コロナ禍だからこその歌詞を意識されることもなく。   全然なかった。そんなんやったら終わりだと思った。そこを気にされるアーティストもいるんですけど、柔道にたとえると、そっち側の方は柔道選手で、僕は柔道家なんですよ。点を取るため、勝つために頭で考えて試合をするのが柔道選手。試合で勝つ負ける以前に、礼節の問題や相手への敬意を重視するのが柔道家。だから僕としては「コロナ禍だから夏の歌を書いてもみんなに受け入れてもらえない」みたいなことを考えるのは違うわけです。そこを創造するのが僕らの仕事というか。だからいつもどおりの自分で今回のアルバムも作りました。     < 吉澤嘉代子 > 自分の歌を聴いてくれるひとと会えなくなったことで「自分の仕事ってなんだったっけ?」と思ってきて。作ったものはすごく好きなんですけど、自分そのものをどう抱きしめて生きていったらいいかわからないのが日頃の悩みだったので、ますます自分にできることがよくわからなくなりましたね。だけど、向き合う時間が多かったからこそ、子どもの頃から解消できなかった悩みとか、こう…ラスボスみたいな存在と対峙する1年でした。それはそれで大切な時間だったんじゃないかなと思います。   対峙できたからといって、すべてが解決するわけではないんですけど。でもとくにライブって、個人的なことで感情が振り回されているとやりづらいというか。主人公のなかに没頭していきたいと思うので、多分なるべくそのこと以外を考えないようにフィルターをかけてきたんですね。だからライブがなくなったことで、自分のなかに降りていく時間になった気がします。     < 平井大 > 僕はそもそもあんまり人に会うのが好きじゃないから、逆にすごく楽でした(笑)。家からラジオ出演もできるし、出張のときの品川駅の人混みも味わわなくていいし、平和な一年だったんですよね。それに、意外と向き合ってみると、日々の感情って違って。天気によっても大きく左右されますし、飼っている犬と散歩に行くときの気持ちも違う。ちゃんと心にフォーカスしていくと気づくんです。そういう感情の変化は、生まれてくる曲に繋がっていたと思いますね。     < wacci・橋口洋平 > 最初は、(コロナ禍を)切り離して作ろうと思っていたんですよね。でも一昨日なんかも、夏の歌を書こうと思って書きはじめたんですけど…。たとえば、みんなでビーチに集まってキャッキャッ的なシーンを描きたくても、「いやコロナだしな…」って。ちょっと制限されている感覚がありますね。どうなるかもわからないし。もしかしたらずっとこのままかもしれないじゃないですか。だからタイトルに「~コロナ終息後~」とか入れようかなとか考えます(笑)。   あとつい最近、コロナ禍だからこそ遠距離恋愛をテーマにした歌を書いてほしいという依頼もいただいて。そのときは“離れていても繋がっている方法”みたいなものを歌詞に取り入れましたね。「付き合いたてでまだ写真も少ないから、寂しいときはLINEのトーク画面を見返している」みたいな。そういう“会えないあるある”をたくさん考えて。それもまたコロナ禍に寄り添っているのかなって思います。     < Uru > 私の曲は、心の中のジクジクと湿っていて痛い部分に手で触れて撫でるような歌詞が多いですが、素直に涙を流せるような曲も良いけれど、この状況だからこそ、心の底から元気が湧いてくるような前向きな曲も届けたいと思い、作ったりしていました。   人と会うことで得ていた自分の感情の気づきみたいものは確かに少なくなっています。でも、毎日のニュースやSNS、自分の元に届くメッセージなどで目や耳に入ってくる、自分とは違う場所でも一生懸命に毎日を過ごしている方の苦しみや痛みを知ると、胸がギュっと狭くなって絞られていくような感覚になります。   昨年、悲しいニュースが続いた時期には、ちょうど前回のシングル「 振り子 」をリリースする事が決まっていて、取材の時にその想いを話していると涙が止まらなくなってしまうほどに、自分の届ける音楽や歌詞のあり方について真剣に考えました。     < 竹原ピストル > このコロナ禍で変な意味じゃなく「のし上がってやる!」とか「俺が天下を取ってやるんだ!」みたいな気持ちが自然とスッと落ち着いて。そして、自分を応援してくれているひとたちが現状、コロナ禍で暮らしをしていて、ひょっとしたら同じようにイライラもやもやしているかもしれないから、何か楽しませることをしてあげられないものだろうかって。これまでの恩返しというか。どうにか全力でみんなの暇つぶしになることはできないだろうかって。そういう意識になっているんですよね。   内には向かなかった気がします。とにかく喜んでもらえそうなことを思いついたらやって。無観客配信ライブもその延長線上にあるものだし。だけれども、別に生演奏だろうが、画面越しだろうが、ひとに何か出し物を観てもらうってことへの執着という意味でのギラギラは色褪せなかったかもしれません。常に「何か楽しんでもらおう」という気持ちではずっとギラギラしていましたね。    以上、10組のアーティストの言葉をピックアップさせていただきました。それぞれに異なる想いはありますが、誰もがただただ真っすぐに誠実に音楽と向き合っていたことは同じですね。そんなアーティストたちが2022年はどんな歌詞を届けてくれるのか、今から楽しみです…!それではみなさま、よいお年を。くれぐれもお身体にはお気をつけて。そして来年も何卒、よろしくお願いいたします!  

    2021/12/29

  • 空想委員会
    全速力ガールとはどんな存在か。
    全速力ガールとはどんな存在か。

    空想委員会

    全速力ガールとはどんな存在か。

     2021年12月29日に“空想委員会”がニューアルバム『世渡り下手の愛し方』をリリース!2年間の活動休止を経て、今年4月から活動を再開した彼らの再スタートを飾る今作。三浦隆一(Vo.&Gt.)の作品を中心に、佐々木直也(Gt.)、岡田典之(Ba)が制作した楽曲も含め、全12曲が収録。デビュー当時から“恋愛弱者”たちの思いを歌う曲が人気だった彼らですが、今作には、社会人の日々の葛藤や恋愛をテーマにした楽曲も…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“空想委員会”の三浦隆一(Vo.&Gt.)による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「全速力ガール」のお話です。これまで様々な「ガールシリーズ」の歌を生み出してきた彼。今回の「ガール」は一体どんな想いから生まれたのでしょうか。是非、楽曲と併せてエッセイをお楽しみください…! 空想委員会の最新アルバム『世渡り下手の愛し方』に収録されている「全速力ガール」という曲があります。これが最新形の「ガール」ということになります。今回は「全速力ガール」で歌われている「ガール」のことを分析・解説することで、曲を通して三浦が伝えたかったことを読み取っていきたいと思います。   前回のエッセイでも解説しましたが、曲中に登場する「ガール」とは、その時に「三浦が足りないと感じている要素を持った理想の姿」が投影されています。もちろん今回も「全速力ガール」に実際のモデルは存在するのですが、やはり今回もその存在と自分を比較することで生まれる物語が描かれています。     「全速力ガール」で歌われているのは、そこそこの力で頑張るコツを知ってしまった主人公(三浦)の迷いです。自分の居場所がある程度確保されていて、どのくらい頑張ればその場所に居続けられるのかも知っている。しかしその先の未来には未知の要素も大きな希望もなく、ちょっと物足りなく感じてしまっています。     そんな自分の状態を知っていながら、近いところには全力で頑張っている存在「全速力ガール」がいます。その姿を目の当たりにすると自分を否定されているような気分になり、目を背けたくなる存在です。しかし、一方でそんな風に頑張れる「全速力ガール」のことを羨ましく思っている自分にも気付いています。   今のままでいいのか?と自分に問います。そして、また走り出そうと決意するところまでを歌っています。     この曲のテーマは、空想委員会が活動休止することなく動き続けていたら、生まれなかったのではないかと思います。バンドが止まり、個人で動くようになったからこそ生まれた感情です。   それが曲になり、活動再開後の最初のリリースとなるフルアルバムのリード曲になるとは、本当に不思議だし、面白いなと思います。そして自分宛に書いたようなこの歌詞が、既に曲を聴いてくださったリスナーの方から「刺さる歌詞だ」と言ってもらえるのも本当に不思議だし嬉しいです。   きっと私みたいなことを考えている人が世の中にはいて、そういう方々に届いているのだと思います。いろいろな立場でいろいろな人が曲を聞いてくれていると思いますが、誰もが共通して存在を感じている「全速力ガール」のことを曲にできたのではないかと思います。   バンドを始めたばかりの頃や、がむしゃらに走るしか走り方を知らなかった頃の自分には絶対に書けなかったであろう曲を、こうして歳を取ってから書けたことは音楽をやり続けてきた人間としてとても誇らしいです。いい曲ができました。 <空想委員会・三浦隆一> ◆4th Full Album『世渡り下手の愛し方』 2021年12月29日発売 BZCS-1195 ¥ 3,000(税込)   <収録曲> 1.全速力ガール 2.縋る蜃気楼 3.愛しき地獄 4.トリガー 5.Dodo 6.コイアイ 7.大河の一滴 8.1783 9.Re:gain 10.ラブソングゾンビ 11.will 12.積み木遊び

    2021/12/27

  • CHIHIRO
    失恋ソングを書き続ける意味。
    失恋ソングを書き続ける意味。

    CHIHIRO

    失恋ソングを書き続ける意味。

     デジタル時代の恋愛ソングのカリスマとして、女性から圧倒的な支持を得るシンガーソングライター“CHIHIRO”が『失恋セラピー三部作』としたデジタルシングルを3ヶ月連続でリリース!2021年9月15日に第1弾「もうByeBye」、10月20日に第2弾「後悔のまえに」、そして11月17日に第3弾「恋人ごっこ」をリリースしました。いずれも恋愛迷子になってしまった女性に向けた、恋愛処方箋となるような楽曲となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“CHIHIRO”による歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届け!今回が最終回です。これまでの多くの失恋ソングや切ないラブソングを描き続けてきた彼女。どんな想いで歌詞を書いているのか、失恋ソングを書き続ける意味とは何なのか、明かしてくださいました。是非、歌詞と併せてお楽しみください。 シンガーソングライターのCHIHIROです。 今まで書いてきた曲は260曲以上。 その中でも私の代表作は失恋ソングだったり 切なく恋の終わりを描いた曲が多く たくさんの恋の終わりを描いてきました。   私はどの曲もただ悲しい苦しいだけの想いだけの歌にしないようにしてます。悩んでいる恋からどう立ち上がるか、新しい自分にどう向き合えるか、そのもがきと前に進もうとする姿をちゃんと描いてます。   恋の中で失恋が一番辛くて痛い。ちゃんと向き合わないと次に進めないってわかってても向き合い方が分からなかったり、未練が残っていたり...。   光が見えない真っ暗なトンネルにいて ゴールすら見えない。   そんな女の子たちに音楽で歌詞で 光を照らしてあげれたらと思い いつも書いています。   今日は今までの曲も振り返りながら 歌詞を紹介していきます。   ー「 RESET 」ー 好きすぎて 想いすぎて 私ばっかり疲れちゃったよ 愛してくれる それだけで報われるのに 君がいないとか 今までの私には選べなかったの でもねもう心がもたない 私リセットしたい   ー「 好きだけどサヨナラ 」ー 大好きでも大好きでも叶わない恋がある 追いかけても追いかけても届かない恋がある こんな恋選んだのは私で 終わりを決めるのも私   ー「 もうおしまい 」ー 私だけが本気だった 私だけが恋してた こんな涙もうおしまいにしよう 過去にする 君の事を さよなら 愛してた   ー「 恋人ごっこ 」ー 恋人がいるのに 好きになってごめん 肩書きが欲しかったわけじゃないの私 さよならできない心が弱い でも戻るね 元の場所に 幸せになって 幸せになる   この4曲は どうしても叶わない恋、 ダメだってわかっててはまった恋、 負のスパイラルから抜け出せない恋を描きました。   私自身もすごく経験があるけど、頭でわかってても自分にとって辛い決断をすることは勇気がいるし難しいもの。   でも幸せがここじゃないって思ったら、自分のために決断する勇気が必要で。そんな想いで書きました。   どんな出会いでも意味がないものなんてひとつもなくて。うまくいかなかったとしてもその恋に何かを学べるし、それをこの先の自分に生かせたらいいと思うんです。生かして自分が強く成長できた先に私は運命に出会えると私は思っています。   最近リリースしたばかりの新曲「恋人ごっこ」の歌詞には、シンデレラのように王子様が探してくれる待つんじゃなくて、自分の靴で歩いて幸せを見つけるんだよっていうメッセージを込めました。   今生きてる世界はおとぎ話じゃない。 ハッピーエンドが絶対あるとも限らない。 人生も恋も行き先は誰も探してくれないし 誰も決めてくれない。   決断は全て自分なんです。   何が起こってもいい決断ができるように 自分を幸せにしてあげるというパワーで 前を向いて歩いてくしかないんです。   私が失恋ソングを書き続ける意味は、私の書いた言葉やメロディーの1小節でも一言でもいいから、聞いてくれた人の前を向く力になれたらいいなと思うから。   正解も不正解もない恋愛に 自分なりの答えが出せるように。 そのお手伝いが少しでも できたらいいなと思ってます。   私は音楽で歌詞でこれからも届けたいし、 聴いてくれる人の心の奥に届いて浄化できるような ラブソングになれば嬉しいです。   <CHIHIRO> ◆紹介曲「 RESET 」 作詞:CHIHIRO 作曲:CHIHIRO 「 好きだけどサヨナラ 」 作詞:CHIHIRO 作曲:CHIHIRO 「 もうおしまい 」 作詞:CHIHIRO 作曲:CHIHIRO 「 恋人ごっこ 」 作詞:CHIHIRO 作曲:CHIHIRO

    2021/12/24

  • 川村結花
    今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。
    今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。

    川村結花

    今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。

    2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は連載ラスト・第24回をお届けいたします。是非、最後までお楽しみください。 第24回歌詞エッセイ:乾杯のうた 今年もいよいよド年末。この文章がUPされるのは23日なので、もうあと1週間と1日で2021年は終わり、なのであります。そしてここ最近は日が暮れると、近所のビルの広場にある巨大クリスマスツリーにスマホ片手の人たちやカップルに子供たちが集まり、今を味わい尽くせとばかりに賑わっています。赤に青に緑にとめまぐるしく変化する光をキラキラ放つ大きなもみの木。みんなの夢を乗せた光の束。その場所にいてぼんやりしているだけで、なんだかハッピーな気分としみじみした気分が交互にやって来て、切なくて幸せなキュンとする何かでわたしの心はいっぱいになるのです。   それが26日になると、まるでそれまでが幻だったかのように灰色の足場が組まれて、ハイ来年までサヨウナラ、と撤去されます。その淡々とした撤去作業の中、鳴り響く鉄骨の無表情な音を聞いていると「ああなんだか夢って儚いなあ、、、」という気持ちになって、また色々物思い始め言葉やメロディが湧いてくる、、、のもつかのま、「いや浸っとる場合やないがな、おせちの用意の買い物いかな。」という現実に引き戻され、バタバタ動いているうちに年が変わって行く、というのが年末の常です。今年もそうなることでしょう。   などと思いながら、昨年の12月のこのエッセイを読み返してみたら、「なんか今年は実感湧かん」と書いてありました。そう、2020年は1年丸ごとワープしてしまったかのようであったなあとこないだも音楽仲間と話したばかりです。それを思えば、今年2021年は僅かではあったけれどとても心に残る幸せなライブができたこと、そして夏ごろは刺激的なCo-Writeでの歌作りを結構な曲数リモートで行えたことなど、やれたことがあったということで、いつもならそれほど感じ入ることもない巨大クリスマスツリーの風景も年末への思いもことさらだったのかもしれません。   今年もここに居れてよかった。音楽人として生きれてよかった。この先どうなるかわからないことこの上ない世の中で、音楽業界でわたしも年を取って行くけれど、これからも音楽を生業として生きて行きたい生き残りたいぶちかましたい大笑いしたい。今ほどそう強く感じている時はなかったかもしれません。     よくぞ今日まで よくぞ今日まで わたしたち 生き抜いて来たよね 乾杯 ここにいるわたしたちに 乾杯 たたえあおう     これはわたしの曲「 乾杯のうた 」の一節です。わたしは来年55になります。そんなどえらい年齢になってもまだ全然、もがいて悩んでやっかんで羨んで凹んで倒れてもうあかんのかなあと泣いてまた思い直してピアノに向かって。そんなこんなを続けながら時々、本当に時々、「続けて来てよかった」と幸せで眠れない夜があります。そんな夜にこれからもまだ何度も出会いたいのです。だから来年も歩き続けよう。そして大好きな人たちとお互いを讃えあって乾杯したい。   そんなわけでー。 2020年1月よりこのページにて連載エッセイを続ける機会をくださいましたこと、この場をお借りして歌ネット様へ感謝申し上げます。そしてこのページを読んでくださった方、いつも楽しみにしてくださっていた方へ。これからもどうぞ信じる道を歩いていてください。お互いの道の途中で出会うことがあったらきっと讃えあって乾杯しましょう。その日が訪れることを楽しみにこの2年間のエッセイを終わらせていただくこととします。本当にありがとうございました。ではまたいつかどこかで。   川村結花より。 ◆紹介曲「 乾杯のうた 」 作詞:川村結花 作曲:川村結花  ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【 第1回 】 【 第2回 】 【 第3回 】 【 第4回 】 【 第5回 】 【 第6回 】 【 第7回 】 【 第8回 】 【 第9回 】 【 第10回 】 【 第11回 】 【 第12回 】 【 第13回 】 【 第14回 】 【 第15回 】 【 第16回 】 【 第17回 】 【 第18回 】 【 第19回 】 【 第20回 】 【 第21回 】 【 第22回 】 【 第23回 】

    2021/12/23

  • LACCO TOWER
    思い出すのはいつだって青春の瞬き。
    思い出すのはいつだって青春の瞬き。

    LACCO TOWER

    思い出すのはいつだって青春の瞬き。

     2021年12月8日に“LACCO TOWER”がニューアルバム『青春』をリリースしました。すでに発表されている「閃光」「無戦無敗」「罪」「化物」「約束」をはじめ、タイトル曲「青春」を含む新曲7曲が加わった全12曲が収録。レコ発全国ワンマンツアー<青春旅行>も開催!2022年1月15日、ホームの群馬・高崎clubFLEEZ公演を皮切りにスタート!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースした“LACCO TOWER”の松川ケイスケによる歌詞エッセイをお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、タイトル曲「 青春 」に通ずるお話です。あなたにとっての“青春”を思い浮かべながら、エッセイを読み進めてみてください。 学校の帰り道、何度目かのわざとらしい会話を繰り広げ、ようやく一緒に下校をするタイミングを掴み取った。勿論、想いを伝えるわけもなく、もじもじしながら別の話をひたすら続ける。あっという間に互いの分かれ道に差し掛かり、「また明日ね」の言葉と共にあの子は向こうを向く。かわいらしいその背中にそっと「好きです」と伝えた後で、情けなさと嬉しさとが肩を組み歩き出す。   恐らく「青春」なんて言葉を聞いたとき、思い浮かぶ情景はこんな感じではないだろうか。他にも「仲間と目指した県大会。この決勝戦、絶対に負けられない!」や、「1年の時からずっと頑張ってきた。今日その結果が出る。」や、「結局、アイツとは仲直りできなかった。いつか前みたいに話せる日が来るだろうか。」など。皆様の頭の中にも思い浮かんだシーンはたくさんあると思う。   では、思い描いたその全てのシーンに登場した人物は何歳くらいの人だろう? 話の前後や温度感、登場人物も色味もそれぞれではあると思うが、登場人物としては恐らく「若者」が多かったのではないだろうか。今度はそのシーン全てをカテゴリで見てみよう。先ほど仮に挙げたシーンは「出会いと別れ」「恋愛」「挑戦」「勝負」「後悔」などに分かれると思う。   では、「青春」とは、若者だけのものだろうか? いや、我々(勿論これを読んでくれている皆様も)は、今この瞬間にも「出会いと別れ」「恋愛」「挑戦」「勝負」「後悔」に心を病んだり、絞ったり、温めたりしているのではないだろうか。無論、私もそうだ。   今回アルバムのタイトルトラックにもなっている「青春」。   前述したシーンと同じなんてことはないけど、紛れもなく同じカテゴリを体験している、年齢的には「若者」ではない我々。それをキャリア20年のバンドが歌う。甘酸っぱいなんてもんじゃない。5分じゃ語り尽くせない事も多すぎる。ただ、我々大人が歩んでいる今現在は紛れもなく「青春」だという事。それを今回のアルバムでは表現したかった。   かわいらしいあの背中にそっと「好きです」と伝えられなかった後悔の後で、情けなさと嬉しさとが肩を組み歩き出す。   「また明日ね」の言葉と共に私達が向かう明日にとって、この曲が少しでも応援歌になれれば幸いである。これからも、情けなさと嬉しさとが肩を組みながら。 <LACCO TOWER・松川ケイスケ> ◆紹介曲「 青春 」 作詞:松川ケイスケ 作曲:LACCO TOWER ◆ニューアルバム『青春』 2021年12月8日発売 <収録曲> 1 青春 2 化物 3 証明 4 嘘 5 閃光 6 独白 7 口紅 8 罪 9 渦巻 10 約束 11 無戦無敗 12 雪

    2021/12/22

  • 空想委員会
    空想委員会が歌う「ガール」とはなんなのか。
    空想委員会が歌う「ガール」とはなんなのか。

    空想委員会

    空想委員会が歌う「ガール」とはなんなのか。

     2021年12月29日に“空想委員会”がニューアルバム『世渡り下手の愛し方』をリリース!2年間の活動休止を経て、今年4月から活動を再開した彼らの再スタートを飾る今作。三浦隆一(Vo.&Gt.)の作品を中心に、佐々木直也(Gt.)、岡田典之(Ba)が制作した楽曲も含め、全12曲が収録。デビュー当時から“恋愛弱者”たちの思いを歌う曲が人気だった彼らですが、今作には、社会人の日々の葛藤や恋愛をテーマにした楽曲も…!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“空想委員会”の三浦隆一(Vo.&Gt.)による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾です。綴っていただいたのは、彼らの“ガールシリーズ”と呼ばれる楽曲についてのお話。歌詞で描かれる「ガール」とは一体、どんな存在なのでしょうか。今作の入り口を飾るのも「全速力ガール」というタイトルの新曲。是非、エッセイと併せてお楽しみください! 空想委員会の楽曲には「ガールシリーズ」と呼ばれる曲たちがあります。タイトルに「○○ガール」と付く曲です。過去に発表した曲はアッパーの曲もあればバラードもあり、曲調に統一性はないのですが、その曲たちはファンの皆さんの間では名曲揃いだと言われています。   今回は作詞を担当している私、三浦が自分の曲ながら「ガール」とはなんなのかを分析・解説していきたいと思います。   曲中に登場する「ガール」はどんな存在なのか改めて見てみると、掴み所がなく未知の存在であり、しかし身近に存在している、芯があって強いキャラクターです。曲の物語は様々ですが、その存在に関しては一貫しています。   何故このような登場人物が曲に出てくるのかを考えてみると、いつもその存在に振り回されたり、刺激されたり、鼓舞されたりする主人公(三浦)がそこにはいます。つまりこれは自分(三浦)と最も遠い存在、対極にある存在であるということに気付きました。   ガールシリーズに登場する「ガール」には、モデルとなった実在する人物がいるのですが、その人物はあくまでもきっかけでしかなくて、曲中で歌われるのは抽象化されたキャラクターになります。     その「ガール」が登場することで私と「ガール」との間に物語が生まれます。それを歌うことによって私は日々の生きづらさだったり、不器用すぎる自分の不甲斐なさだったり、それでもなんとか前進したいという想いを歌ってきました。     曲を作ったタイミングにより、自分に足りないと感じているものや、自分が理想としているものは変わるので「ガール」のキャラクターも変わっていくのですが、そこに確実にあるのは「足りない自分」と「理想の姿であるガール」の関係性です。   自分が思い描いている理想の形を「ガール」に投影することによって、私は曲を作ってきたのだとわかりました。名曲揃いだと言われる所以も、もしかしたらそこにあるのかもしれません。他の曲より、一層気持ちが入っているというか、そこには怨念みたいなものが宿っているがために名曲と言っていただけるのかもしれません。     空想委員会はもうすぐデビュー10周年を迎えます。10年前から歌い続けている曲たちをずっと歌い続けられるのは、未だ追いつけない「ガール」の存在があるからです。そしてこれから先の人生においても必ず「足りない自分」と「理想の姿であるガール」の関係性は形を変えて現れると思います。きっとまた次の「ガール」を歌う曲ができることでしょう。   <空想委員会・三浦隆一> ◆4th Full Album『世渡り下手の愛し方』 2021年12月29日発売 BZCS-1195 \ 3,000(税込)   <収録曲> 1.全速力ガール 2.縋る蜃気楼 3.愛しき地獄 4.トリガー 5.Dodo 6.コイアイ 7.大河の一滴 8.1783 9.Re:gain 10.ラブソングゾンビ 11.will 12.積み木遊び

    2021/12/21

  • TENSONG
    聴いた人に合った寄り添い方ができる楽曲を届けたい。
    聴いた人に合った寄り添い方ができる楽曲を届けたい。

    TENSONG

    聴いた人に合った寄り添い方ができる楽曲を届けたい。

     2021年11月19日に“TENSONG”が9th SG Digital「Bye Myself」をリリースしました。コロナ禍に限らず、孤独を感じている人に対して「1人で頑張るだけでなく、誰かと一緒に頑張る選択肢を与えたい」というメンバーの想いが込められているこの曲。MVは、歌詞に込められた感情を具現化したタイポグラフィとメンバー3人の力強い表情がマッチした作品に仕上がっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“TENSONG”のたか坊(Vo.)による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 Bye Myself 」に込めた想いです。今、「ひとりぼっち」だと感じているあなたへ。きっとその孤独に寄り添ってくれる、エッセイと歌詞を是非、併せて受け取ってください。 この曲「Bye Myself」はコロナ禍を経て書き上げた楽曲です。   コロナ前は大学に通学し、友達と授業を受け、ご飯に行き、そしてメンバー3人で音楽を作るという生活を送っていました。しかし、コロナ禍で家から出ることも憚れる日が増え、この日常を送ることが困難になり…同じ経験をした人も少なくないはずです。   大切な人にこそ会いづらい生活を通して、「ひとりぼっち」という言葉を多く耳にしました。ただ、ここで感じたのはコロナ禍で「ひとりぼっち」という言葉を使うようになっただけで、コロナに関わらず日常生活に「ひとりぼっち」は多く存在しているということでした。   受験、就活、仕事をはじめ、全ての人が「ひとりぼっち」を感じながら、努力しなければいけない瞬間があると思います。   コロナ禍でこのことに気付き、「ひとりぼっち」に焦点を当てた音楽を作ろうと決め、出来上がったのがこの「Bye Myself」という作品です。   目標に向かって努力しなければいけない時、1人で頑張らなくちゃ!と気負う人が多く居ると思います。そんな人に向けて、「1人で頑張るだけでなく、誰かと頑張る選択肢もあるんだよ」というメッセージを届けたい一心で制作しました。   僕たちTENSONGのグループ名は「十人十色」から取っていて、聴いた人に合った寄り添い方ができる音楽を届けたいというコンセプトのもと音楽活動をしています。   この「Bye Myself」も、人々の日常に存在する「ひとりぼっち」の時間にそっと寄り添う音楽になってくれるよう願っています。   <TENSONG・たか坊(Vo.)> ◆紹介曲「 Bye Myself 」 作詞:たか坊 作曲:たか坊 

    2021/12/20

  • 松本千夏
    期待したい未来。
    期待したい未来。

    松本千夏

    期待したい未来。

     2021年8月25日にデジタルシングル「歌って」でメジャーデビューを果たした“松本千夏”。10月20日にデジタルシングル「ばかみたい」、11月24日に「さえたろう」、そして12月15日には「ふがいない」と多くの楽曲をリリースしてきました。「ふがいない」は、言いたいことが言えない、もどかしくて気持ちがぐるぐると渦巻く心情を綴った楽曲。ピアノを基調としたHIP HOPサウンドや言葉を詰め込んだラップ詞など、松本千夏の新境地と言える1曲となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“松本千夏”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、新曲「 ふがいない 」に通ずる想い。今、自分自身に対して“ふがいない”という気持ちを抱いている方へ。この歌詞とエッセイが届きますように…! 私はオモテとウラと生きている。   私のオモテは、ギターを弾いて歌うこと。 ラジオパーソナリティで目に見えない誰かへ心を開いて伝えること。   私のウラは、不甲斐ないと感じること。 私の不甲斐ないは、水道の蛇口をひねったように勢いよく溢れる。   人を傷つけてしまったとき。   目標を達成できないとき。   怖くて目標すら立てられないとき。   人の期待に応えられないとき。   自分に期待できなくなったとき。   嫉妬してしまう時。   人に優しくできないとき。   たった一言が言えないとき。   いらない一言を言ってしまった時。   誰かに言ったことがそのまま自分に跳ね返ってきたとき。   大したことないことにびびってるとき。   泣いてる友達に何を言えばいいのかわからなくなった時。   大切な人を失った時。それを後悔してしまうとき。   私は抱え切れない程の不甲斐ないを感じて生きている。   きっとみんなもそう。   一人一人違った不甲斐ないがあって、一人一人それぞれの方法で乗り越えたり、流したり、忘れたりしている。   もう、どうしようも出来ないことを何度も考えながら、もうどうしようも出来ないことでまた悲しくなってしまう。   そんな、オモテとウラを感じて生きながら、「いつか」を夢見て、人は生きていくのだと思う。   期待したい未来を思いながら「いつか」は自分で作るしかないんだって思う。 <松本千夏> ◆紹介曲「 ふがいない 」 作詞:松本千夏 作曲:松本千夏 ◆楽曲リンク https://chinatsu-matsumoto. lnk.to/Fugainai

    2021/12/17

  • スカート
    詩の書き方が変わってしまった。
    詩の書き方が変わってしまった。

    スカート

    詩の書き方が変わってしまった。

     2021年12月15日、澤部渡のソロプロジェクト“スカート”がニューシングル『海岸線再訪』をリリースしました。収録曲には、JBL「Tour Pro+ TWS」 WEB CMソングに起用された「海岸線再訪」を表題曲に、Paraviオリジナルストーリー『最愛のひと~The other side of 日本沈没~』イメージソングを含む、計3曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放ったスカート・澤部渡による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲「 海岸線再訪 」のお話。以前と作詞の方法が変わった彼が、新しい方法でどのようにこの曲の歌詞を完成させたのか。ワンフレーズを引用しながら、その軌跡を明かしてくださいました。じっくりとお楽しみください…! 詩の書き方が変わってしまった。昔から紙にペンで書くことが多かったのですが、今回の『海岸線再訪』に収録されている曲のほとんどをPCで仕上げました。次第に環境が、時代がそれを許さなくなってしまった形です。   まず環境。実家を出て、はじめて暮らしたシェアハウスではどんなに部屋が汚くても、居間だけはきれいだったので、夜中にそこで書いたりしたものだけど、シェアハウスが解体されて以降はノートを広げられるきれいな机がない、というしょうもない悩みが発生。喫茶店を転々とした時期もありましたが、最終的には深夜営業のファミリーレストランに落ち着きました。   そして時代。働き方改革なのか、それとも採算取れないからなのか、とにかく各ファミリーレストランは深夜営業の終了を高らかに宣言。それと同時に新型コロナウイルスの蔓延。完全に八方塞がりになってしまいました。   1年はぼんやりすることができましたが、締め切りというものが確実に我々に近づいてきます。そこで私はPCでの作詞を決意します。Wordもあったけど、普段から原稿を書いていたテキストエディットを使用することにしました。昼間から書くことも挑戦しましたがやはり真夜中の方が集中できるようでした。   「どう悩んだか」が残るから、という理由で紙に書いていたので、せめて「どう悩んだか」がわかるように一回書いたら消さず、どんどん書き足して行って、スクロールせずに表示できるところまで書いたら新しくファイルを立ち上げる、という方法でなんとか完成しました。   たとえば「 海岸線再訪 」なら、最初に書いてあるのは<風は悪くはない><ああ 何を見たんだ><ひとつもありゃしない>というものです。これらはメロディを作っていた段階から思いついていた言葉でした。   少し具体的な話をすると<透かして見えたものは 通り過ぎただけの いつかの海岸線>という詩の部分は、もともと<いびつにゆがんだ景色はいつかの海辺じゃないか>というメロディーに当てる当てない以前の走り書きをもとに、<透過して見えるのは いつかの海辺じゃないか><透かして見えたものは (9文字) いつかの海辺じゃないか>と変化していきました。   ギリギリまで<いつかの海辺じゃないか!>という詩が当てられていていましたが、その前の(9文字)と書かれた部分に<通り過ぎただけの>というフレーズが入ったこともあってか、清書する段階で<海岸線>という言葉に変更され、「海岸線再訪」は完成しました。   PCで作業してみて、なぜ頑なに紙で書いてきたんだろう、とも思いますし、また引きこもりになってしまった、という気持ちもあります。私にとって外に出て、詩を書くということはなにか社会的な行為のつもりだったのでしょうか。   <スカート・澤部 渡> ◆紹介曲「 海岸線再訪 」 作詞:澤部渡 作曲:澤部渡   ◆New Single『海岸線再訪』 2021年12月15日発売   <収録曲> M1.海岸線再訪 ※JBL『Tour Pro+ TWS』WEB CMソング M2.背を撃つ風 ※Paraviオリジナルストーリー「最愛のひと~The other side of 日本沈没~」イメージソング M3.この夜に向け ※「大きなサイズの店 フォーエル」 CMソング

    2021/12/16

  • 吉田山田
    愛された記憶。
    愛された記憶。

    吉田山田

    愛された記憶。

     2021年12月1日に“吉田山田”ニューアルバム『愛された記憶』をリリースしました。吉田山田初の試みとして兼ねてから親交のあるアーティスト、wacci、チャラン・ポ・ランタン、→Pia-no-jaC←、ワタナベタカシ、木田健太郎(リアクション ザ ブッタ)とのコラボ曲が収録。全11曲入りのアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“吉田山田”の吉田結威と山田義孝による歌詞エッセイを3日連続でお届け。今回は最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲であり、アルバムタイトル曲である「 愛された記憶 」のお話です。それぞれが持つ「愛された記憶」から生まれたこの曲。みなさんにとっての大切な景色は何ですか? 是非、歌詞と併せてエッセイをお楽しみください…! いつも通りには活動できなくなった世界で、よく思い出していたのは昔のことでした。僕らはミュージシャンとして、ラジオやテレビで、そしてステージの上で「愛される」ことで自分の居場所を見つけ、十数年生きてくることができました。生きていくにはどこかに居場所が必要で、居場所となるのは愛される場所です。今思えば、僕らは失われてしまった居場所を補完するために、思い出の中を旅したのかもしれません。   この曲に出てくる世界は、僕の中では小学校時代の自分の見ていた世界です。僕が昔のことを思い出す一番のきっかけはいつも匂いです。季節が変わる時の匂いや、夕方の匂い、雨上がりの匂い、どこかの家の煮物の匂い、タバコの匂い、洗濯物が乾いていく匂い。   だからこの曲は「匂い」から始まります。匂いをきっかけに思い出す記憶はいつも断片的で、ハッキリといつのどこの誰との思い出なのかは分からないことが多いですが、何故か無性に涙がこぼれそうになることがあります。   過ぎ去ってしまった時間を想ってなのか、もう会えなくなってしまった人のことを想ってなのか、似たような季節の似たような時間帯になにか悲しいことがあったのか。それは定かではありませんが、思い出すのはいつもそんな少し寂しく、どこか物足りない感情です。でもそんな感情が鉤爪となって、心のどこかに引っ掛かるから思い出として残るのかなとも思います。だから思い出した時、少しチクッとするのかもしれません。   この曲を作って分かったことは、人は愛されているその時は、愛されていることになかなか気付けないということ。大体は後になって、「ああ、あれは愛だったんだな。」と気付くものなのかもしれないと思いました。即効性はないかもしれないけど、でもだからこそ「自分の居場所がない」と感じてしまった時に、いつでも思い出の中に自分の居場所を見つけることも出来るんだと教えられました。   <吉田結威>   陽が沈むのが早くなる頃だと、新宿の夕方のチャイムはたしか4時半だった。ぼくが小さい頃、両親は共働きで小規模な商店街でお惣菜屋さんをやっていたから、大体いつも1人で近くの小さな公園で遊んでいた。4時半になると『夕焼け小焼け』のチャイムが鳴って公園からだんだんと人がいなくなる。空がオレンジとピンクを滲ませたような鮮やかな色からだんだん淡く暗い色に変わっていく。   母親が迎えに来てくれるのが遅い日はチャイムの音がとても寂しく、そしておどろおどろしく聴こえた。誰もいなくなった途端、ブランコも鉄棒もジャングルジムも急にただの冷たい鉄のカタマリに思えた。「遅くなってごめんね!」と走る母親にしがみついて泣きそうになったのを覚えている。   「愛された記憶」を思い返す時、温かさだけじゃなくてそこには寂しさがついてくるのは何故なんだろう。ぼくだけだろうか? きみもそうなんだろうか?   先日、僕等はデビュー12周年を迎えた。10周年の節目を越えて一つの区切りとしてベストアルバムをリリースした。そして、その日に緊急事態宣言が発令され、全てのライブやイベントが中止になりCDショップが営業を停止した。たっぷりと出来た時間の中でゆっくりと曲を作っていった。自分の心を整理するように湧いてくるメロディや言葉を沢山の曲にした。   世の中の状況に反して、穏やかな歌詞が多く出てきた事に自分自身少し驚いた。アルバムのタイトルを決める時、相方から“『愛された記憶』はどうかな?”と案が出た。とてもしっくりきた。それから「愛された記憶」という曲をそれぞれの原風景を重ねながら2人で作っていった。   台所から聴こえる母親の鼻歌。 公園の冷たい鉄棒。 風で揺れてる洗濯物。 父親の背中で寝たふりをした事。   鮮明に覚えている記憶の殆どが特別な1日ではなくて、何気なく眺めた平凡な風景だった事を不思議に思う。   言葉に変えなかった気持ちはいつまでも残り続けるものなのか。それとも言葉に変えたかった気持ちがいつまでも残り続けているのか。それはわからないけど多分ずっと忘れない。ただ、曲を作りながらはっきりした事がある。   歌を好きになった理由も 今日まで唄い続けている理由も そして明日からも唄い続けていく理由も 全部「愛された記憶」の中にあるという事。   <山田義孝> ◆紹介曲「 愛された記憶 」 作詞:吉田山田 作曲:吉田山田 ◆8th ALBUM『愛された記憶』 2021年12月1日発売 通常盤(ボーナストラック入り) PCCA-06086 ¥2,970(税込)   <収録曲> M1. 世界が変わる M2. ひとつぶ  M3. こんがらがって M4. 才能開花前夜   M5. 好き好き大好き M6. グレープフルーツ M7. 鳥人間になりたい M8. おばけ M9. それでも M10. 愛された記憶 M11. てと手 BONUS TRACK. イ~ハ~

    2021/12/15

  • 吉田山田
    僕が描きたかった「て」と、山田が描きたかった「手」。
    僕が描きたかった「て」と、山田が描きたかった「手」。

    吉田山田

    僕が描きたかった「て」と、山田が描きたかった「手」。

     2021年12月1日に“吉田山田”ニューアルバム『愛された記憶』をリリースしました。吉田山田初の試みとして兼ねてから親交のあるアーティスト、wacci、チャラン・ポ・ランタン、→Pia-no-jaC←、ワタナベタカシ、木田健太郎(リアクション ザ ブッタ)とのコラボ曲が収録。全11曲入りのアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“吉田山田”の吉田結威と山田義孝による歌詞エッセイを3日連続でお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 てと手 」のお話です。二人がステージから見て、強く印象に残っていたとある光景。一体それぞれどんなことを感じたのでしょうか。是非、歌詞と併せてお楽しみください。 山田がデモを作ってきてくれて、最初に聴いた時から気に入っていた曲でした。47都道府県ツアーの香川公演でステージから見えた光景から発想して作ったことは、一聴して分かりました。   手を握りあう親子のことは僕もよく覚えています。僕はその親子を見た時、少し羨ましい気持ちが残りました。親御さんに対してではなく、仲良く手を繋いでいるその子どもの方に羨ましさを感じました。自分はあと何回、親の手を握ることができるでしょう。恐らく、片手で数えられるか、多くても両手で数えられる程度じゃないかなと思ったら、なんだかその親子を取り巻く状況や、空気感がとても羨ましく思えたのです。   元々山田が作ってきたデモは、どちらかといえば親側に感情移入した歌詞でした。完成した作品の1コーラス目はほぼ原形から変えていないので、歌詞を見ていただければ分かると思います。   しばらく「いい曲」として保存していたこの曲でしたが、ある日「あ、この曲に子ども側の気持ちも盛り込めたら完成するかもしれない」と思いつきました。しかも、僕は山田と同じ光景を目にしても自然と子ども側に感情移入していたので、自分ならスッと書けるんじゃないかなと思い、2コーラス目の制作を任せてもらえないかとお願いしました。そこからは思ったとおりスラスラと書き上げることができて完成に至りました。   47都道府県ツアー等に出掛けると、食べるものも寝る時間もお風呂に入る時間も目にする風景も大体同じです。それでも感じることがそれぞれ全然違うところを楽しめるようになったら、それなりに素敵な2人組なのかな、なんてことを思いました。一人の想いを一貫して深く掘り下げて作る曲も、もちろん素晴らしいですが、別々の視点を持った2人で一つの作品を作ると、こんなに面白いこともあるんです。   僕が描きたかった「て」と、山田が描きたかった「手」、両方の視点からこの曲を楽しんで下さい。   <吉田結威> 吉田山田の作品の中に2013年にリリースした「 日々 」という曲がある。幼い頃に共働きだった両親の代わりによく遊んでもらっていた、近所の畳屋のおじいさんとおばあさんの日常を切り取って歌にしたもの。NHK『みんなのうた』で放送となったこの曲をきっかけに、沢山の方々が家族でライブに来てくれるようになった。   ライブでは必ず「日々」を唄った。   何千回唄っても飽きる事が無いのは、ステージから見える様々な家族の風景が重なると、また新しい曲に生まれ変わるからかもしれない。親子三世代それぞれ違う歌詞で涙している家族。人生で初めてライブを観に来たという老夫婦。小さな子供を肩車して聴いているお父さん。ステージから見える沢山の表情に何度も泣きそうになるのを堪えながら唄った。   ある日のライブ、並んで座っている小さな男の子とお母さんが目に入った。「日々」を唄い始めた時、お母さんが男の子の手をぎゅっと握りしめながら聴いてくれていた。唄いながら暫くしてまた目をやるとお母さんが大粒の涙を拭っていた。隣に座っている男の子は心配そうな顔でチラチラと母親の顔を見ていた。もしかしたらあまり見た事のない母親の涙だったのかもしれない。少し気になりながらも想いを込めて唄を届けた。   唄い終わった後にもう一度2人を見ると、男の子が小さな手で包み込むようにお母さんの手の上に手を重ねて握りしめていた。「お母さん大丈夫だよ」と男の子の声が聞こえてくるような、そんな表情だった。ステージを降りてからも、家に帰ってからも、数日経ってもその2人のやり取りが焼きついていた。   繋がっていた2人の手。 「守られていたのはどっちなんだろう」 そんな事が気になった。   「守っているようで 守られていて 守られているようで 守っている」 いつかその手が離れる時が来ても、温もりはずっと手の平に残っていて、寄り添い守りあっているものなのかもしれない。   出逢いで歌が生まれて 歌でまた新しい出逢いが生まれていく。 そして時間と想いが重なり どんどん家族のようになっていく。 こんな事を繰り返しながら唄い生きていきたい。   <山田義孝> ◆紹介曲「 てと手 」 作詞:吉田山田 作曲:山田義孝 ◆8th ALBUM『愛された記憶』 2021年12月1日発売 通常盤(ボーナストラック入り) PCCA-06086 ¥2,970(税込)   <収録曲> M1. 世界が変わる M2. ひとつぶ  M3. こんがらがって M4. 才能開花前夜   M5. 好き好き大好き M6. グレープフルーツ M7. 鳥人間になりたい M8. おばけ M9. それでも M10. 愛された記憶 M11. てと手 BONUS TRACK. イ~ハ~

    2021/12/14

  • 吉田山田
    実は物凄く恥ずかしい事を曝け出し合っていると気がつく。
    実は物凄く恥ずかしい事を曝け出し合っていると気がつく。

    吉田山田

    実は物凄く恥ずかしい事を曝け出し合っていると気がつく。

     2021年12月1日に“吉田山田”ニューアルバム『愛された記憶』をリリースしました。吉田山田初の試みとして兼ねてから親交のあるアーティスト、wacci、チャラン・ポ・ランタン、→Pia-no-jaC←、ワタナベタカシ、木田健太郎(リアクション ザ ブッタ)とのコラボ曲が収録。全11曲入りのアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“吉田山田”の吉田結威と山田義孝による歌詞エッセイを3日連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 それでも 」のお話です。wacciとの共作によるこのラブソングは、一体どのように生まれたのでしょうか。是非、歌詞と併せてエッセイをお楽しみください…! 今回のアルバムで、様々なアーティストとコラボさせてもらって気付けたことは本当にたくさんあって、その中でも特に収穫だったのが、「コミュニケーションをとることの楽しさ」でした。   コミュニケーションをとることは、誰もが多かれ少なかれ日常生活の中でやっていることなのですが、それが「後世に残る作品になる」というハードルをひとつ設けることによって、より密度の濃いコミュニケーションが必要になります。しかもお互いに音楽を生業にしている者同士ですから。その作業はとても繊細で、実は難しく、刺激的で楽しい作業なんだと、改めて再確認することができました。   これまで長い時間をかけて挑戦と失敗と成功を重ねて、丁寧に答え合わせをしてきた山田とは、実は物凄い速さでコミュニケーションがとれるようになっていたことにも改めて気付くことができました。   まだ慣れていない人と、お互いに人生をぶつけあってモノを作っている時の、独特の緊張感を久しぶりに感じることができました。この感覚は今後また「吉田山田」で曲を作る時にいい刺激になると思います。   その中でも、この「それでも」という曲は、ライバルでもあり、友でもあり、ファンでもあるwacciと作った一曲です。それはそれは刺激的な時間でした。   曲が完成してから、幾度か歌っていくうちに気が付いたのは、この曲は「正しさ」とはなにかを歌っているんだなということ。   「正しさ」と「感情」の間でずっと揺れている主人公。こんなの、男が3人顔つき合わせて作るには一番向いてないテーマです。後になって気が付きました。そりゃ三者三様全く違った価値観があるはずです。人間の最も「個性」が現れる部分といっても過言ではないでしょう。よく3人共が納得出来る置き所を見つけられたなと、今になって感心してしまいました。でもそれも、同じ時代をそれぞれの場所で闘ってきたミュージシャン同士の信頼があったからこそできたことなのかもしれません。   <吉田結威>   気がつけばデビューしてからの12年間でリリースした楽曲は100曲を越えている。その半分以上が2人で歌詞を紡いだものだ。慎重に、そして互いのアイデアを尊重しながらもお互いの歌詞を書き足し、書き換えながらのキャッチボールで1曲を作っていく。当たり前に続けている作業中、ふと我に返り、実は物凄く恥ずかしい事を曝け出し合っていると気がつく。   恋愛の曲であれば特に。   心のチンチンを隠していては人の心に刺さる良い曲は作れないからだ。背伸びした歌詞、自分を良く見せようと選んだ言葉、本音を隠した上辺だけの歌詞はお互い分かってしまう。改めて2人で歌詞を紡ぐ事の異常性と大変さを確かめた。そして良い化学変化が起きた時の感動は何倍にもなる事も僕等は知っている。   今回のアルバム『愛された記憶』は、これまで殆どして来なかった挑戦が詰まっている。「コラボ」とは違う、1から一緒に作っていく「曲の共作」がその1つ。心許せる盟友と呼べるアーティストとでなければ絶対に成功し得ない挑戦だ。そんなオファーを快く引き受けてくれたアーティストの1人が、wacciの橋口君だ。共作するにあたって、彼が最初に僕らのデモの音源から選んだ曲の方向性は「恋愛ソング」。心のチンチンを見せ合う姿勢だった。   暫くして第一稿が橋口君から送られてきた。第一稿にも関わらずサビだけ、とか1番だけ、とかでは無く既にフル尺が出来上がっていた。フルチン状態で届いたのだ。飾らず、そしてありのままの自分を隠さず曝け出した本当に男らしいものだった。その素晴らしい歌詞とメロディに感化され溢れた僕等のアイデアと感性も重ねて「それでも」の歌詞とメロディが出来上がった。アレンジはwacciの小野君、そして曲の演奏はwacciメンバー全員で作り上げてくれた。僕等2人だけでも、そしてwacciだけでもきっと生み出せなかった素晴らしい曲が完成した。   心から好きだと思える曲がまた1曲増えた。 wacciメンバー全員に感謝します。   是非ここに書いた文章を全て忘れて、まっさらな気持ちで1曲聴いてください!   <山田義孝> ◆紹介曲「 それでも 」 作詞:吉田山田・橋口洋平(wacci) 作曲:吉田山田・橋口洋平(wacci) ◆8th ALBUM『愛された記憶』 2021年12月1日発売 通常盤(ボーナストラック入り) PCCA-06086 ¥2,970(税込)   <収録曲> M1. 世界が変わる M2. ひとつぶ  M3. こんがらがって M4. 才能開花前夜   M5. 好き好き大好き M6. グレープフルーツ M7. 鳥人間になりたい M8. おばけ M9. それでも M10. 愛された記憶 M11. てと手 BONUS TRACK. イ~ハ~

    2021/12/13

  • 松本千夏
    生涯憧れている親友。
    生涯憧れている親友。

    松本千夏

    生涯憧れている親友。

     2021年8月25日に、デジタルシングル「歌って」でメジャーデビューを果たした“松本千夏”が10月20日にデジタルシングル「ばかみたい」をリリース。11月24日に「さえたろう」をリリースしました。「さえたろう」は、中学生の頃の友達と、大人になって久しぶりに再会した実話を基に制作した楽曲。離れ離れになってしまったからこそ感じる友達への想いが込められております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“松本千夏”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、11月にリリースした新曲「 さえたろう 」についてのお話です。彼女の唯一無二の親友・さえたろうへの想い。みなさんも、自分にとって大きな存在の友達を思い浮かべながら、この歌詞とエッセイを受け取ってください。 中学の頃、2人で何度も歌ったYUIの「 Good-bye days 」。歌手になりたいなんて恥ずかしくて言えなかったけど、2人ならなんだかなれる気がしていた。   誰にも言えない話も何故だかできたし、2人でいるだけで最強な気がした。   “さえたろう”は私にとって特別な存在。   負けず嫌いな私は、ミュージカルのオーディションで絶対に負けたくなくて、きっとみんなの発表を睨みつけていたかも。   でも、さえたろうは違った。 当時、一番最年少だったのに、ヘラヘラ笑って先生の前に立ち、堂々と楽しそうに演じて皆を笑わせた。さえたろうはいつでも自然体で皆を笑わせるのが得意だし、ダンスも演技も歌も器用にこなして、他の子よりズバ抜けていた。 そんなさえたろうに私は虜になった。   物凄く負けず嫌いな私なのに、さえたろうには悔しいなんて一切ない。 むしろ、悔しさよりも誇りに思う自分がいた。   親友だけど、さえたろうはいつも私より大人で、そして優しくて、自分に厳しい人だった。     高校1年生の時、突然さえたろうと連絡が取れなくなった。 毎週会うのを楽しみにしていたミュージカルにも来なくなった。 連絡が取れない理由も、ミュージカルで会えなくなった理由も分からず、私は毎日泣いていた。 今思い返すと突然いなくなる感じも、さえたろうらしかったなって思える。   大人になって再会したさえたろうは、素敵なママになっていた。可愛い2人の子ども達の面倒を見ている姿は、相変わらず優しくてかっこいいさえたろうだった。   再会してどうしても伝えたかったこと。   「さえたろうにはずっと敵わないよ」   と伝えたら 恥ずかしそうに笑って 昔みたいにふざけて茶化しながら   「ちーちゃんにはとっくのとうに負けてるよ」 と言った。   全然分かってないなと思った。 さえたろうは、やっぱりずっとかっこいい。   さえたろうの凄さを伝えまくったら、さえたろうは涙目になってた。     さえたろうは、いつも私よりも一足先に大人になっている。誰よりも才能があるのに、自然体で皆を笑わせて只々優しい。   いつか自分もさえたろうみたいになりたいって今でも思う。   <松本千夏> ◆紹介曲「 さえたろう 」 作詞:松本千夏 作曲:松本千夏 ◆配信リンク: https://chinatsu-matsumoto.lnk.to/saetaro

    2021/12/10

  • Hello Sleepwalkers
    大学生の頃、僕は一日中銃を撃ちまくっていた。
    大学生の頃、僕は一日中銃を撃ちまくっていた。

    Hello Sleepwalkers

    大学生の頃、僕は一日中銃を撃ちまくっていた。

     2021年12月8日に“Hello Sleepwalkers”がニューアルバム『夢遊ノ果テヨリ』をリリースしました。2018年より活動を休止していた彼らが、デビュー10周年を迎えた今年10月5日に活動再開。今作にはHello Sleepwalkersらしいギターサウンドが散りばめられた楽曲だけでなく新たな一面を感じられるものや、シュンタロウ(Vo.)が参加しているクリエイティブプロジェクト・Yamato(.S)の楽曲「Fire」がリアレンジされて収録。    さて、今日のうたコラムではそんな“Hello Sleepwalkers”のシュンタロウ(Vo.)による歌詞エッセイをお届けいたします。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 電脳の海 」のお話です。ゲームという広大な海に何度も潜り、何度も溺れ、そして帰ってきた彼。その海を知っている彼だからこそ、生み出せたこの曲。是非、歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。  僕はゲームが好きだ。好きすぎて以前『LIFE is a GAME?』という曲を書いた。もしも人生がゲームだったら、というテーマで面白半分に書いた曲だ。そして今回、「 電脳の海 」というゲームを題材にした曲をアルバムに収録したので、その経緯を綴ろうと思う。   電脳の海へ行こうぜ 君のパパにもママにも内緒で    という歌詞からこの曲は始まる。ゲーミングモニターの向こうは広大な海だ。僕はそこで何度も溺れ、そして何とか帰ってきた。    大学生の頃、僕は一日中銃を撃ちまくっていた。顔や性別、国籍も知らないプレイヤー達と戦場に出た。都合の良いことに、電源を入れるとそこには常に誰かいた。朝も夜もお構いなしでのめり込み、一日=24時間というサイクルが破綻してしまった。    僕の大学生活は首の皮一枚で繋がっている状態だった。危うく留年するところだったが、メジャーデビューが決まり、断腸の思いでゲーム機を手の届かない場所にしまった。恐らく人生で一番真面目だった大学4年生の僕は、必死に卒業論文を書いた。そして大切な人生の数%を浪費したことに気付き、「今後この沼にハマる訳にはいかない」と心に決め、無事卒業し上京したのだった。    それから数年間は、音楽活動が忙しかったこともあり、安全かつ適度に遊んでいた。決してどっぷりと浸からないように、浅瀬でチャパチャパと水遊びをしていたくらいのものだった。    2018年にHello Sleepwalkersが活動休止することになり、僕はまた海に飛び込んでいった。改めて飛び込んだ海は全く違う温度で、違う水質だった。単純に『楽しい』からというより、半分現実逃避だったのかもしれない。敵キャラクターに銃弾を撃ち込み、最後の一人になるまで倒し続ける。それが全てだった。そうすれば存在が承認されたし、心も満たされた。何より実生活の心配ごとや面倒ごとを考えなくて済んだ。そうして僕は数年間、足の届かない深さまで泳いでいった。    活動再開を決めた頃には、数年が経った感覚すら無かった。気がつけば30代で、精神的には何一つ成長をしていない。鏡に映るのは髪も髭もボサボサで、アンデッドみたいな生物だった。    それでも『僕』が『Hello Sleepwalkersのシュンタロウ』であることを取り留めてくれていたのは紛れもなく音楽とバンドメンバー、そして周りで支えてくれた人たちの存在だった。そうして僕はまた前を向き始めることができた。    「電脳の海」(さらに言えばアルバム『夢遊ノ果テヨリ』の楽曲全て)は、その期間を経た僕にしか歌えなかっただろうし、このアルバムが復活一作目として相応しい作品だという自信もある。なのでゲームには感謝しているし、未だに好きなままだ(以前の様にはやっていないけれど)。    この数年間に意味があったのか、価値があったのか、楽曲を聴いてくれた人に何か刺されば、それが答えだと思う。    長い海水浴だった。ふやけた身体で、また地を踏みしめていこうと思う。 <Hello Sleepwalkers・シュンタロウ> ◆紹介曲「 電脳の海 」 作詞:シュンタロウ 作曲:シュンタロウ ◆「夢遊ノ果テヨリ」 2021年12月8日発売 <収録曲> M1.「SCAPEGOAT」 M2.「20世紀少年」 M3.「虚言症」 M4.「恋煩い」 M5.「電脳の海」 M6.「過去の色素」 M7.「Fire(HSW Version)」

    2021/12/09

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