指から湧き出る刃物をもって。

 2021年12月8日に“LACCO TOWER”がニューアルバム『青春』をリリースしました。すでに発表されている「閃光」「無戦無敗」「罪」「化物」「約束」をはじめ、タイトル曲「青春」を含む新曲7曲が加わった全12曲が収録。レコ発全国ワンマンツアー<青春旅行>も開催!2022年1月15日、ホームの群馬・高崎clubFLEEZ公演を皮切りにスタート!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースした“LACCO TOWER”の松川ケイスケによる歌詞エッセイをお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「」に通ずるお話です。わたしたちのすぐそばにある「インターネットくん」のおかげで出来るようになったこと、そして、使い方によって生まれる罪とは。是非、歌詞と併せてこのエッセイを受け取ってください。



皆さん、今は携帯電話を見ているだろうか。それともパソコンの画面を見つめているだろうか。どちらにせよ、この記事は「インターネット」を介して皆さんに届けられているかと思う。
 
インターネットの起源は米国から。主に大学・研究機関間を接続するネットワークの構築から始まり、そこでの論文や研究データの交換という非営利用途を主として作られた。今現在、衣食住と並ぶほど必要不可欠になったネット。人間という人生を歩む中で、切っても切れないものになってしまった事は言うまでもない。
 
我々はちょうどこの「インターネットくん」をデビューから見守ってきた世代だ。もてはやされ、重宝され、可愛がられ、応援され、いつしかその使い方が多様化し大人になっていく様を一緒に歩んできた。
 
大人になっていく中で、沢山の経験をした。誰かにフラれ、誰かに恋し、誰かとぶつかり、誰かに裏切られる。その全てが自分の目の前だけではなく、画面の中で行われ始めた(まさに始まった)事も、我々世代特有の経験値の一つだろう。
 
我々は言葉で、力で、何かを壊す事が出来る。同様に何かを愛し、慈しむ事が出来る。人によってその大きさは違い、それが恋人だったり、家庭だったり、会社だったり、国だったりする。
 
その言葉や力に「指」という刃物が加わった。「インターネットくん」の魔法のおかげで、我々は指だけでカンタンに誰かの背中に刃物を突き刺す事が出来るようになった。使い方を守るだけで温かい料理を提供する事だって出来るようになった。
 
誰かに傷つけられた時、「なぜ自分だけこんなに傷つかないといけないのだろう」と思う。でももしかしたら、傷つけた人は「何で私の痛みをあなたは分かってくれないの」と思うのかもしれない。所詮傷は結果である。その道程を知り合い分かち合う事が重要であり、そして困難なのではないだろうか。かくいう自分も、知らず知らずのうちにその双方を繰り返しているのではないかと思うから。
 
だからこそ自分のこの指一つが傷つける事、傷つけられる事の起点になりうる事は忘れずにいたいと思う。起こった結果より一体何が罪だったのか。それを常に頭に思い描き、出来る事なら悲しみではなく喜びのサンドウィッチを腹いっぱい頬張れるように、この刃物を使いたい。
 
この文章を「インターネットくん」が運ぶ事により、誰かが少しでも楽に、そして幸せになる事を願って。
 
<LACCO TOWER・松川ケイスケ>



◆紹介曲「
作詞:松川ケイスケ
作曲:LACCO TOWER

◆ニューアルバム『青春』
2021年12月8日発売

<収録曲>
1 青春
2 化物
3 証明
4 嘘
5 閃光
6 独白
7 口紅
8 罪
9 渦巻
10 約束
11 無戦無敗
12 雪