思い出すのはいつだって青春の瞬き。

 2021年12月8日に“LACCO TOWER”がニューアルバム『青春』をリリースしました。すでに発表されている「閃光」「無戦無敗」「罪」「化物」「約束」をはじめ、タイトル曲「青春」を含む新曲7曲が加わった全12曲が収録。レコ発全国ワンマンツアー<青春旅行>も開催!2022年1月15日、ホームの群馬・高崎clubFLEEZ公演を皮切りにスタート!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースした“LACCO TOWER”の松川ケイスケによる歌詞エッセイをお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、タイトル曲「青春」に通ずるお話です。あなたにとっての“青春”を思い浮かべながら、エッセイを読み進めてみてください。



学校の帰り道、何度目かのわざとらしい会話を繰り広げ、ようやく一緒に下校をするタイミングを掴み取った。勿論、想いを伝えるわけもなく、もじもじしながら別の話をひたすら続ける。あっという間に互いの分かれ道に差し掛かり、「また明日ね」の言葉と共にあの子は向こうを向く。かわいらしいその背中にそっと「好きです」と伝えた後で、情けなさと嬉しさとが肩を組み歩き出す。
 
恐らく「青春」なんて言葉を聞いたとき、思い浮かぶ情景はこんな感じではないだろうか。他にも「仲間と目指した県大会。この決勝戦、絶対に負けられない!」や、「1年の時からずっと頑張ってきた。今日その結果が出る。」や、「結局、アイツとは仲直りできなかった。いつか前みたいに話せる日が来るだろうか。」など。皆様の頭の中にも思い浮かんだシーンはたくさんあると思う。
 
では、思い描いたその全てのシーンに登場した人物は何歳くらいの人だろう? 話の前後や温度感、登場人物も色味もそれぞれではあると思うが、登場人物としては恐らく「若者」が多かったのではないだろうか。今度はそのシーン全てをカテゴリで見てみよう。先ほど仮に挙げたシーンは「出会いと別れ」「恋愛」「挑戦」「勝負」「後悔」などに分かれると思う。
 
では、「青春」とは、若者だけのものだろうか? いや、我々(勿論これを読んでくれている皆様も)は、今この瞬間にも「出会いと別れ」「恋愛」「挑戦」「勝負」「後悔」に心を病んだり、絞ったり、温めたりしているのではないだろうか。無論、私もそうだ。
 
今回アルバムのタイトルトラックにもなっている「青春」。
 
前述したシーンと同じなんてことはないけど、紛れもなく同じカテゴリを体験している、年齢的には「若者」ではない我々。それをキャリア20年のバンドが歌う。甘酸っぱいなんてもんじゃない。5分じゃ語り尽くせない事も多すぎる。ただ、我々大人が歩んでいる今現在は紛れもなく「青春」だという事。それを今回のアルバムでは表現したかった。
 
かわいらしいあの背中にそっと「好きです」と伝えられなかった後悔の後で、情けなさと嬉しさとが肩を組み歩き出す。
 
「また明日ね」の言葉と共に私達が向かう明日にとって、この曲が少しでも応援歌になれれば幸いである。これからも、情けなさと嬉しさとが肩を組みながら。

<LACCO TOWER・松川ケイスケ>



◆紹介曲「青春
作詞:松川ケイスケ
作曲:LACCO TOWER

◆ニューアルバム『青春』
2021年12月8日発売

<収録曲>
1 青春
2 化物
3 証明
4 嘘
5 閃光
6 独白
7 口紅
8 罪
9 渦巻
10 約束
11 無戦無敗
12 雪