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  • さかいゆう
    さて、“愛”はどう感じることができるのでしょうか?
    さて、“愛”はどう感じることができるのでしょうか?

    さかいゆう

    さて、“愛”はどう感じることができるのでしょうか?

     2021年5月12日に“さかいゆう”がニューアルバム『愛の出番 + thanks to』をリリースしました。CD2枚組でリリースされる今作。『愛の出番』と題されたCD1は“愛”がテーマの作品集。CD2の『thanks to』は今年1月にアナログLPとデジタルリリースされたアルバム全8曲を収録。代表曲「BACKSTAY」を中心とした“歌とピアノ”によるサウンドが、そっと寄り添ってくれる作品となっております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“さかいゆう”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 愛の出番 」に通ずるお話。愛とはどう感じることができるもの? 愛とは自分にとって都合の良い事だけを意味するもの? 愛するとは? 愛されるとは? そして、さかいゆうのある“愛”の記憶とは…? みなさんも“愛”についてじっくりと掘り下げながら、このエッセイと歌詞をお楽しみください! ~歌詞エッセイ:「 愛の出番 」~ 前回、僕が書かせていただいた 「BACKSTAY」の歌詞エッセイ のインスピレーションも助けて、新曲「愛の出番」を書き上げました。 “愛”、言わずもがな誰もが知る言葉ですが、一般的に英語に訳される“LOVE”と同じ意味かと言われると、少々違う気もします。 ドラマ『北の国から』の「誠意って、、なにかね?」さながら、「“愛”って、、なんだろう?」と考え始めると、結局、確たるアンサーには行きつかない…。というか、人の数ほど、さらに言うと本人でさえ、時期や経験によってその意味合いや表現方法の変わる可能性もある「確かにあるけど不確かなモノ」だと感じます。 “愛”という言葉は平安時代あたりから、“かなしい”と読み、“相手をいとおしい、可愛いと感じ、守りたい思いを抱くさま”を意味するそうです。うーん、やはり、“I love you.”とは、近いけど少し違う気がします。 “愛”、それを分かり易い親切な行動で表現したり、言葉で示したり。スピリチュアルな世界に傾倒されている方は、オーラみたいなモノに例えて大きさや質を表現したりします。一般的には、目には見えない事に一応なっているけど、感じる事ができるのが特徴です。 さて、“愛”はどう感じることができるのでしょうか? 何か、自分が親切をされた時に感じるモノなのでしょうか? その時、その親切に“愛”みたいなものを感じるとは思いますが、それは「自分にとって都合の良い行為」の場合には感じやすく、相手が「良い事だと思ってやった事がこちらにとって都合の悪い事」だったらどうでしょう? その時、相手の気持ちだけを汲み取り、それに“愛”と名付ける事はできますが、もしこちらにその余裕がなかったりむしろ害にすらなる場合、“愛”どころか「ありがた迷惑」にも感じるでしょう。 例えば、自分に全く好意を抱いてない相手に「きっといつか振り向いてくれる!私が俺がパートナーとして相応しいんだから!」と一方的に、断られても断られても延々と告白し続ける。それは、こちらからしたら“愛”ですが、相手はどう感じるでしょうか? 「ありがた迷惑」を超え、「ストーカー」という、ここ20~30年くらいで出てきた(たぶん昔もあったでしょうが)新しいジャンルの犯罪と紙一重の出来事になります。 しかも、その“愛”には意外なほど短い賞味期限の時もあり、一旦さめてしまうと、今度は熱を上げていた自分を恥じる記憶に変わるというおかしさもあります。やはり、自分にとって都合の良い事だけを“愛”と感じるのでしょうか? 今のところまだ、「違う!」と抵抗したい。 “愛”、ゾウやライオンの親が子を助け懸命に生きている映像を、見た時に感じるモノでしょうか? この場合、エンタメ産業として当然の制作者側の営利目的な意図も入っているものです。 例えば、ムカデやゲジゲジが心を通わしながら懸命に助け合う番組を、食事時の夕方6時に放送してスポンサーや視聴者が喜ぶでしょうか?笑 それに共感するマイノリティの方は確かにいらっしゃるかもしれませんが(子供の頃から沢山のムカデやゲジゲジと心を通わしながら仲良く暮らしていた人がいたら、感動できるかもしれません)。 やはり、自分にある程度都合の良い世界でしか発揮してくれないような、自分の脳にオキシトシン、ドーパミン、エンドルフィン、セロトニンなんかをもたらしてくれる好意だけが、“愛”なのでしょうか? エーリッヒ・フロム先生の本みたいですが、「愛される」ってのは状態にあるので形容詞で、「愛する」ってのは動詞です。“be loved”、「愛される」ってのは、「愛されている状態にある」ですから、「美しい」とか「悲しい」とか、そう感じてしまった以上どうにもならない“状態”であり、「愛する」は、動詞である以上、「走る」「持つ」「思う」、みたいに、肉体や精神を使って努力できる“行為”と言えます。 愛される為に人は様々な努力をします。金持ちになろうとしたり、有名になろうとしたり、着飾ったり、宝石をつけたり、ダイエットしたり。そこは人間を人間たらしめる、ライオンの立髪だの孔雀の羽だの、動物としての自然なアピール行為とも言えますが、最近ふと考えることがあります。 周りを見渡してみると、「愛してくれよ!」となにかと日々「自分活動」に勤しむ人より、何にも飾らなくても、シンプルに「愛する」事ができる人の方が僕にはなんだか幸せに映るのです。たとえその“愛”が届かない事があっても、愛する事自体に積極的な人や愛する事が好きな人、得意な人の方が幸せそうです。 僕はオフィスオーガスタという事務所に所属しています。少々手前味噌な話になり恐縮ですが、彼らを見ていると、まず「愛する」が先なんです。まず、シンガーの声に恋して、それを愛して、「よし!自分らの愛しているものを、仕事として責任を持って、世の中の人にも知ってもらう為に活動しよう!」となるわけです。 僕はその時、何も彼らに与えていません。振り返ると、歌声とも言えますが、彼らに与えようとして歌っているわけではなく、ただ歌っていただけです。だから、まず彼らが僕の声を愛してくれる事から始まりました。もちろん、そこから長くパートナーとして仕事をしていくわけですから、「オトナの話」にもなるわけですが、さかいゆうに限らず、彼らのシンプルな、「愛する」、がスタートなわけです。 今でも鮮明に覚えています。シンガーソングライターの一般的なデビュータイミングをずいぶん過ぎる、29歳になっていた僕は当時、アルバイトで充実していた整体を本格的に学びながら、音楽はひっそりやろうとも考えていました。 恵比寿にあった、前の前のオーガスタの事務所の会議室で、「さかい君の声に惚れたんだよ。年齢なんて関係ない。いや多少はあるかもしれないからノンビリはしないけど、是非一緒にやりたい。一緒にやれなくても応援はさせてほしい。これ持って行ってくれ。ウチの自慢の所属アーティストたちのフェスだよ」と、渡されたのがオーガスタキャンプのDVD。そして、その人は、低身長ゆえに僕と目線が同じ笑、現社長の齋藤さん。 余談ですが、笑、これもまた鮮明に覚えていることがもうひとつあります。スガシカオさんのNHKホールのワンマンライブの舞台裏打ち上げ挨拶の時でした。同じ高知県出身のオーガスタ創業者の森川さんは、初対面でこう言い放ってきました。 「おんしゃあ(お前)高知らしいな、オレとやらないかんがやないが?」 そう笑。歌声とは全然関係なかったけど笑、突然のその自信に溢れた言葉に、今まで綴ってきたいわゆる“愛”を感じてしまい、「この人らと一緒にやらないかんがやない!?」と心の声は叫んでいました。 そして今に至るわけです。さかいゆう。まあ、エド・シーランよりはほんの少しだけ知名度には欠けるそうですが、僕の言葉がこうして貴方の目に届いてくれているのは、彼らが僕の作る音を愛してくれた事がきっかけでした。 彼らのように、所属アーティストを「愛する」というシンプルな行為を当然だと思いたいのですが、世の中の様々なケースを見ていたら、そんな理想的な関係ばかりではありません。 、、、、。 おっと、、つい、うっかり、いらん事喋りそうなので、少々強引ではありますが、そろそろ締めます。 愛の出番、 本当にそう思います。 <さかいゆう> ◆紹介曲「 愛の出番 」 作詞:さかいゆう 作曲:さかいゆう ◆『愛の出番 + thanks to』 2021年5月12日発売 DVD付初回生産限定盤 POCS-23908 ¥5,500(税込) 通常盤 POCS-23010~1 ¥3,300(税込) CD1:『愛の出番』 1. 愛の出番 2. 嘘で愛して (Tell Me A Lie) 3. 大人だからさ (Getting To Love You) 4. Journey 5. セツナアイ (Dreaming of You) 6. Get it together (Blue Lab Beats Remix) 7. 確信MAYBE (Kenichiro Nishihara Remix) 8. Laughter In The Rain (Urban Soul Ver.) CD2:『thanks to』 1. 崇高な果実 2. His Story 3. ダイヤの指輪 4. 鬼灯 (Live Ver.) 5. BACKSTAY 6. Magic Waltz (A Capella Ver.) 7. 井の頭公園 (Alone Ver.) 8. Hilarious

    2021/05/12

  • Cikah
    見た目だけの恋人同士じゃなく。だって心が欲しかった。
    見た目だけの恋人同士じゃなく。だって心が欲しかった。

    Cikah

    見た目だけの恋人同士じゃなく。だって心が欲しかった。

     2021年4月28日に“Cikah(チカ)”が新曲「AM」をリリースしました。中毒性溢れるメッセージを伝え続ける、話題のR&Bシンガーソングライターの連続配信シングルの第3弾。誰もが内側に込める思いの本当の意味を考えさせられるミディアムバラードとなっており、胸を締め付けられる歌詞と、表現力豊かな声、そして洗練されたサウンドメイクにより、温かい気持ちになる1曲となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Cikah(チカ)”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 AM 」に通ずるお話。好きと伝えるだけが恋じゃない。伝えられない恋も、伝えない恋も、見た目だけじゃわからない恋もある。あなたは今、どんな恋をしていますか…? 是非、歌詞と一緒にこのエッセイを受け取ってください。 ~歌詞エッセイ:「 AM 」~ さようなら、もう好きじゃない。 そう言い聞かせて飲み込んだ気持ちの墓場は、一体どこにあるのだろうか。好きと伝えた恋と、一度も伝えられなかった恋は、何故こんなにも違う残り方をするのだろう。胸の奥に染み付いて、ふと忘れた頃にチクリと痛む棘がすごく疎ましいような、それでいてなんとも懐かしいような気持ちになる。 短く切り揃えた爪の形、湿気に負けてたボサボサの髪、笑い転げてた話の内容、好きなビールの銘柄。甘えたみたいに私の名前を呼ぶ声がどんなだったかはもうはっきりとは思い出せない。それなのに、当時のふたりが好きだったあの曲だけは今でも歌えるのだから嫌になる。まだどこにも発表されてない、私だけが覚えてるあの子の作った歌。 思い出はゆっくりゆっくり薄まって、それから段々と輪郭が曖昧になる。毒々しい刺激的な色も時間をかけて上手に私の中に消化されて、美しい淡さを纏う。あの頃、何がそんなに愛おしくて楽しくてそれから寂しかったのか。当時を振り返っても少しも自分が分からないのだ。そういえばあの子のことも何にも分からなかったな。どうしてあんなに素敵だったのだろう。今でもちっとも分からないままだ。 私たちの背中ってどう見えていただろう。二人で並んで歩く姿や、一つの傘の下で寄り添った背中は、恋人同士に見えていたのかな。手を繋ぐでも口付けるでもなく、心が知りたくてたまらなかった。身体的な温もりや繋がりよりも、その場を色付ける愛の言葉よりも、ただ知りたかった。そんな風に思ったのは後にも先にもあの子だけだった。 もしかして 二人は偶然に ともだちを演じてきたのだとしたら とっても仲が良かった。何だって話せた。多分あの子もそうだった。大切で楽しくて変えの効かない存在だった。掛け替えのないってこんな関係を言うんだろうなと思ったりした。いつもそばに居られるのなら、別に恋人になれなくても良かった。でも誰のものにもならないでね。そう思っていた。 人は大抵、目から入ってきた情報を優先しているなあと思う。この目で見たものが全てというような。例えば、女同士が仲良く寄り添っていても、友達同士仲良いんだなと思われることが多いだろうし、反対に男性と2人でいると恋人同士ですか? などと疑問に持たれることもあるだろう。太っている人はよく食べて、服装が派手な人はあんまり常識が無くて、タトゥーやピアスをしてたらあいつは不良だ、など、中には見た目だけでジャッジするようなとんでもない偏見もある。 実際、わたしは長らくビビットなピンク色の髪の毛をしているし、鼻にピアスも開いている。好きなファッションは個性的なものばかりだし、そういった見た目で自分の価値が知らないうちに判断されているみたいな機会が、望まなくとも向こうからやってきた。それをいつもひどく残念に思う。鼻ピアス=不良の理論に笑ってしまう。アンケートでも取ったの? 一人一人性格や素行を調べたりしたの? 開けてくれたお医者さんにはめちゃくちゃ似合うねって言われたのに! 何をしてたって何を着てたって誰を愛していたってどこに居たってわたしはわたしだ。誰からジャッジされる必要もない。ただのわたしだ。それから、あなたもあなたなのだ。 あの頃の二人は、恋人同士に見えていたかもしれないし、仲の良い親友に見えていたかもしれない。でも本当の答えはそこにはなくて、「分からない」が当時のわたしの持てる想像の限界だった。同時に、見た目の情報ってなんの頼りにもならないのだなあと思った。見た目だけの恋人同士じゃなく。だって心が欲しかった。 いつだって見えないところに真実があると思う。簡単に分かってしまうものも、インスタントで手軽で時間の足りない現代人にとっては素晴らしい。だけど、時間をかけて飲み込んで考えて吐き出して、ようやく「もしかしてこうなのかも?」とぼんやり浮かび上がるような答えがあってもいいと、わたしは思う。 結局、わたしは最後まであの子の気持ちが分からなかった。聞いたりしなかったし、伝えたりもしないことを選んだから。諦めたんじゃなく、選んだのだ。でも、あの子も多分わたしの気持ちが分からなかったよね。そういえば「何考えてるのか分からないよ」とよく言われていたし。 好きと伝えた恋と、好きと伝えられなかった恋。どちらが美しいのかは、大人になった今でも、ちっとも分からない。だけど一つだけ分かったことがある。 あの子がくれた余白分だけ、わたしは歌を書いているのだと今思う。 <Cikah> ◆紹介曲「 AM 」 作詞:Cikah 作曲:Cikah

    2021/05/11

  • Ms.OOJA
    歌詞は絶対に<星降る夜に迎えに行こう>にしようと決めた。
    歌詞は絶対に<星降る夜に迎えに行こう>にしようと決めた。

    Ms.OOJA

    歌詞は絶対に<星降る夜に迎えに行こう>にしようと決めた。

     メジャーデビュー10周年を迎え、来年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”が、7ヶ月連続でデジタルシングルを配信リリース!2021年4月16日に第2弾「星降る夜に」をリリースしました。同曲は、プロデューサー・Ryosuke"Dr.R"Sakaiに加え、シンガーソングライター・麦野優衣とのコライト作品。Ms.OOJAの包み込むようなヴォーカルが癒しを与えてくれるミッドナンバーとなっております。  さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届けいたします。今回はその第3弾。綴っていただいたのは、新曲「 星降る夜に 」のお話です。第1弾、第2弾にも登場した“芸森スタジオ”で生まれたというこの曲。歌詞や歌声、サウンドにも大きく影響している芸森の冬の魅力とは…。是非、その景色や温度も想像しながら、楽曲をお楽しみください。 ~歌詞エッセイ第3弾:「 星降る夜に 」~ Ms.OOJAデビュー10周年記念企画7ヶ月連続配信。10周年と共に来年の3月27日の初の武道館 単独公演を向けて盛り上げていく企画。第二弾が4月16日リリースの「星降る夜に」だ。Uta-Netさんのうたコラムも本来、この7ヶ月連続配信にそって、3月16日にリリースの「FLY」から始まる予定だった。でも、私が勢い余って2月16日リリースの「はじまりの時」のコラムを書いてしまったので、いろいろ調整してもらって、そこから始まっている。 同じ16日リリースなんだから「はじまりの時」から数えて8ヶ月連続リリースでいいじゃないか、とお思いでしょうが(私も思っている)、この7ヶ月連続というところが味噌。ほんのりお知らせしている、7枚揃えた時のジャケ写の仕組みとその先の動きにも関わってくるのでそうなっていて。とにかく2021年は9月まで毎月16日新曲を出すということをやっていくので、何卒よろしくお願いしたい。 ということで「星降る夜に」だ。すでに度々登場している芸森スタジオ。この曲もそこで生まれた曲だ。気づけばこのコラム、芸森の話ばかりになっているけど、そんな機会もなかなかないし、曲作りに欠かせない要素だし、せっかくなので書かせてもらう。 夏にいくことのが多い芸森スタジオ。実は制作の間のお楽しみがあって、それはBBQだ。BBQをやるために夏の制作合宿をしている、と言っても過言ではないくらい、芸森のBBQは最高だ。 暑すぎない過ごしやすい気候の中、テラスでまる1日を完全にオフにして楽しむ。普通に肉を焼きビールを飲み、ハンモックに揺られているだけでも天国のように最高なのだけど、 ここ近年は札幌通いの中で仲良くなった一流料理人たちが持ち寄ってくれる品々のおかげでとんでもないことになっていた。 一昨年などは、ミシュラン2つ星の寿司職人による寿司、札幌でも屈指の焼き鳥、フレンチシェフが石窯で焼くピザ、行列が出来る店のラーメン、バーテンダーの作る本格フルーツカクテルなど、到底BBQのレベルではない料理が振る舞われ、しまいにはテントを張って、そこでスチームサウナをして整えるという、ちょっとしたフェス状態になっていた。さすがにそこまでのBBQはもう出来ないかもしれないとは思うが、そんなオフがあるから頑張って制作に挑める。 そんな夏とは対照的に、冬の芸森には冬ならではの良さがある。シンシンと降り積もる雪が、すべての音を吸収してしまうような静けさの贅沢。車寄せに大きなもみの木があって、雪化粧をしたその幻想的な風景は、なんだかおとぎの世界に迷い込んだような気持ちになる。 2020年12月、1年半ぶりに芸森合宿に挑んだ。コロナ禍の打撃はスタジオにも及んでいた。経営難から閉鎖を余儀なくされる寸前、最後のあがきで行ったクラウドファンディングによって奇跡の復活劇を見せた。ここがなくなって困るのは私なので、もちろん微力ながら参加させてもらったし、ラジオやSNSで知ったファンのみんなが協力してくれて、本当に嬉しかった。 メンバーはおなじみDr.Rこと酒井さんと、初登場のシンガーソングライターの麦野優衣さん。麦野ちゃんはソングライターとして数々の名曲を生み出しているだけでなく、ビルボードツアーではコーラスで参加してくれた素晴らしい才能を持つシンガーさんだ。新しい化学反応を楽しみにしつつ、そんなメンバーで曲作りを行った。 合間にはクリスマス前ということもあって、ボスの高瀬さんと食堂のツリーの飾り付けをしたり、暖炉で焼き芋を焼いたり。なんだかとても冬らしいことをして楽しんだ。そんな雰囲気も手伝ってか、全体的にエバーグリーンな優しく幸せな雰囲気の曲がたくさん生まれた合宿だった。 今回は同年8月にリリースしたカバーアルバム『流しのOOJA』の影響もあって、懐かしく普遍的なメロディーの曲が作りたいと思っていた。サビの頭のメロディーを作りながら、歌詞は絶対に<星降る夜に迎えに行こう>にしようと決めた。降りてきた!芸森の冬の澄み切った空気にきらめく星たちがぴたっと当てはまった。オールディーズな雰囲気で、星降る夜にトレンチコートにスカーフを巻いてクラッシックカーを運転してるような、そんな70年代の映画をイメージしながら曲を作っていった。 実は今回のボーカルは芸森の制作時に録音したものだ。MVにもその時の様子が登場するが、 制作時に録るボーカルというのは、その時にしかパッケージできないものがある。空気感だったりテンションだったり。都内のスタジオできれいにレコーディングをし直したものより、勢いで録ったプリプロの方が良いということが多々ある。そんなこともあっていつもレコーディングで使っているマイクを持って行ったのが大正解だった。芸森の冬の優しい空気がそのままボーカルに含まれていると思う。 そんな優しい曲「星降る夜に」は、新型コロナウィルスが再度猛威を奮っているこの時期に、少し疲れてしまった人たちの心にジワーッと染み込んで癒やしてくれるに違いないと信じている。 <Ms.OOJA> ◆紹介曲「 星降る夜に 」 作詞:Ms.OOJA・Yui Mugino・Ryosuke"Dr.R"Sakai 作曲:Ryosuke"Dr.R"Sakai・Ms.OOJA・Yui Mugino

    2021/05/10

  • 武藤彩未
    女子のわがままな感情と、気持ちをグッと堪える強さを歌詞にしました
    女子のわがままな感情と、気持ちをグッと堪える強さを歌詞にしました

    武藤彩未

    女子のわがままな感情と、気持ちをグッと堪える強さを歌詞にしました

     2021年4月29日に“武藤彩未”がデジタルシングル「今夜のキスで忘れてほしいの」をリリースしました。80年代のシティ・ポップ×現代J-POPを融合させた爽快なシティ・ポップチューンに初挑戦。作詞作曲は、TikTokで異例の270万投稿された #kiminotoriko で話題の「summertime」の作曲家、evening cinema・原田夏樹が担当。歌詞には、恋人の元カノの影を嫌がりながらも、強がって気にしないふりをする女性の恋心が描かれております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った武藤彩未による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 今夜のキスで忘れてほしいの 」のお話。楽曲面、歌詞面の制作過程をそれぞれ明かしてくださいました。みなさんも自分の恋人の“元カノや元カレの存在”がどうしても気になってしまうことはありませんか…? 是非、エッセイを歌詞と併せてお楽しみください。 ~歌詞エッセイ:「 今夜のキスで忘れてほしいの 」~ 前回のリリースに続き、今回も歌ネットさんにて、新曲のコラムを書かせていただくことになりました。4ヶ月ぶりのリリースになる新曲は「今夜のキスで忘れてほしいの」です。25歳の誕生日にリリースだったので、曲も歌詞もより大人になった私をお見せできたらと思い、意識しながら作りました。 私が歌い始めたのが小学生6年生なので、その頃からそんなに経つのかと、自分でも驚いています。昔から応援してくださっている方もいたり、新たに出会ってくださった方もいます。そんな大切な皆さんに送る、私の今の全てを注いで作った1曲になったと思います。 楽曲は、引き続き“レトロポップ”をコンセプトに、私が大好きな昭和歌謡を活かしつつ、懐かしさと今のポップスが融合した音、皆んなに愛される音を作りたいと思いました。とくにシティポップは今とても注目されていて、海外で流行っていたり、若い世代の間でも聴かれていたりということもあり、そのサウンド感を参考にしながら作りました。私も普段からシティポップをかなり研究しているので、メロディやサウンドにもこだわりながら楽曲制作を進めていきました。 今回、曲を提供していただいたのは、evening cinemaの原田夏樹さん。初めてご一緒させていただきましたが、TikTokで大流行した「summertime」をよく聴いていて大好きだったので、今作にぴったりの方だと思い、お願いしました。 原田さんも80'sが大好きで、私のやりたいことをすぐに理解してくださり、出来上がったデモを聴かせていただいたときはただただ感動でした!!まずメロディが素晴らしくて、1度聞けば癖になるキャッチーさ。すぐに口ずさんでいました。キラキラ感も爽やかな感じもこれから始まる夏にぴったりで、ギターのリフだったり、ベースのラインはまさに求めているものでした! そんな最高な曲に、今回も私が歌詞を乗せることになり、どんなことを書こうか考えていた時、ちょうどリアルタイムで友人から恋愛相談を受けました。その時の相談内容が“元カノの存在”でした。 まだ彼氏が元カノと連絡を取っていることを知ってしまった彼女は、それ以降気になって仕方ないし、不安になったり、疑ってしまったり。こんな思いをするなら、別れたい!とすら言っていました。 確かに初恋じゃない限り、誰にでも元カノや元カレの存在はありますよね。過去は消せはしないし、気持ちが戻らない確信もない。そんな女子のわがままな感情と、気持ちをグッと堪える強さを歌詞にしました。元カノの存在が気になり、複雑な感情を抱きながらも、勇気と強さを持って彼に会いに向かっている途中。だから、心の中で相手に話しかけているような、自分に言い聞かせているような、言葉を選んでみました。 歌詞の中に<上書き保存はリップグロスで>というワードがあるのですが、一般的に女子は過去を上書き保存するのが得意と言われています。だけど、気にすることもあるという想いを表現できたらと思ってこのワードを入れてみました。そんな女の子の複雑な気持ちに共感していただけたら嬉しいです! 歌詞はまだまだ自分の課題ですが、毎回挑戦して、いつか松本隆先生のような歌詞を書けるように、引き続き頑張ります!!! ということで、今回は楽曲制作過程についてお話しさせていただきました。是非このエッセイを読んでくださった後に楽曲をもう一度聴いていただきたいです!!よりキラキラ度が増して、共感していただけると思います!老若男女愛される1曲になりますように。 <武藤彩未> ◆紹介曲「 今夜のキスで忘れてほしいの 」 作詞:武藤彩未・小倉祐人 作曲:原田夏樹

    2021/05/07

  • eijun
    歌詞を読んで二人のムズキュン感を味わってみてください。
    歌詞を読んで二人のムズキュン感を味わってみてください。

    eijun

    歌詞を読んで二人のムズキュン感を味わってみてください。

     THE BACK HORNのギタリスト・菅波栄純が作詞・作曲・編曲家としてのソロ活動を“eijun”名義で開始。2021年4月21日に「あいしてぬ (feat. さかな)」をリリースしました。同曲は、片思いの相手に伝えたい思いが溢れだすキュンな恋心が描かれたキラキラなラブポップスとなっております。同時公開されたMVと併せてご堪能あれ…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“eijun”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、まずeijunというソロ活動を始めた理由や目的についてのお話。そして、新曲「あいしてぬ (feat. さかな)」について。気になるタイトルやワンフレーズ、歌詞の背景について明かしてくださいました。是非、歌詞と併せてお楽しみください。 ~歌詞エッセイ:「 あいしてぬ (feat. さかな) 」~ 作詞・作曲・編曲やってます、eijunと申します。コンスタントに楽曲を公開していくプロジェクトを始めましたのでご挨拶をば、ということで。 最近わたくし、めちゃくちゃ作曲欲が高まっていまして。バンドでの作曲はもちろん、外部への楽曲提供もどんどんやっていきたいな、とウズウズしており。このプロジェクトの楽曲を聴いた皆さんに「もっとeijunの作った曲が聴きたい!」と思ってもらうことで、eijunという作家の存在を広められたらなと思っております。たくさん聴いてね! このプロジェクトは「見せる収納」でもあります。作家はみんな「ストック」として楽曲を書き溜めていまして。それを営業の時に「この作家はこんな曲が作れますよ」という感じで資料として渡す。その「ストック」にあたる楽曲を公開しちゃおうと。 そうなると、公開した楽曲がお仕事として採用される可能性はほぼ無くなりますが、その分「eijunという作家はこういう曲を作れる」というのを広く伝えられる。なので正確には、公開した時点で「ストック」というより「カタログ」になるわけですが、そういう「見せる収納」作戦ということです。裏事情をぶっちゃけてしまいましたが(笑)。 バンドの中で20年以上曲を書いてきて、そこではベテランかもしれませんが、作家としては新人です。一からスタートするつもりでやり始めていますし、実際、作家業界では本当に新人ですので。なのでまずは、eijunとしての作家性を皆さんに知ってもらうところからしか始まらないのでは、と思っています。 直接的に仕事に繋がることも大事ですが、「eijunってこういう曲を作るひと」っていうことがリスナーの中で何となくイメージできるようになることもめちゃくちゃ大事なので、たくさん曲を聴いてもらうべく毎日曲作りをしております。がんばるぞー! さて、ここからは「あいしてぬ」という楽曲の歌詞について語っていきたいと思います。まずは「あいしてぬ」というタイトルについて。 すでに「誤字ですか??」「あいしてぬってどういう意味??」などのコメントをSNSなどで頂いてて有り難いわけなのですが、誤字ではありません。文章としてはおかしいのですが、「あいしてない」という意味の「あいしてぬ」です(正直文法よくわかってないので正確にはわかりません笑)。本当は好きなのにツンツンしてしまう気持ちを表現しています。とても気に入ってるし、ひねくれてて自分らしいなあ、と思います。 こういう質問も来ました。「排水溝に詰まった羽の折れた天使ってなんですか??」というものです。こちらは自分の所属するTHE BACK HORNの楽曲「 ミスターワールド 」に出てくる歌詞の引用です。「あいしてぬ」とは真逆のダークで退廃的な曲から力業で引用してるので違和感がすごいですが、自分的に面白いのでOK!って判断してる場所ですね。 この曲のストーリー設定もお伝えしておきましょう。男女がいて、女子の方は男子を好き。でもあまりに友達としてしっくりきすぎててレンアイ的なムードにならない。だいぶもどかしい二人ですね。思いっきり歌詞がストーリーになっているので、歌詞を読んで二人のムズキュン感を味わってみてください(笑)。 何でもない日常的なエピソードがメロディやアレンジによってドラマチックになるのが作っていて楽しいので、今作はその方向性で書きました。イラストにしたり漫画とかに描いて欲しいなあ、と密かに思ってます(笑)。というかイラストは自分で描くかも。そんな感じの楽曲です、「あいしてぬ」。 個人的にも大好きな仕上がりになったので、気になった方はぜひチェックしてください! <eijun> ◆紹介曲「 あいしてぬ (feat. さかな) 」 作詞:eijun 作曲:eijun ◆Digital Single 「あいしてぬ (feat. さかな)」 https://jvcmusic.lnk.to/Aishitenu

    2021/05/06

  • THE BEAT GARDEN
    “ラブソング”なだけじゃないラブソングになってくれたら。
    “ラブソング”なだけじゃないラブソングになってくれたら。

    THE BEAT GARDEN

    “ラブソング”なだけじゃないラブソングになってくれたら。

     2021年4月26日に“THE BEAT GARDEN”が今年初となる新曲「遠距離恋愛」を配信リリースしました。同曲は、2012年に結成して以来、初めて“女性目線”で紡いだバラード楽曲に仕上がっており、作詞はU、作曲はMASATOが手掛けたナンバー。儚くもぬくもりを感じる、感涙の仕上がりとなっております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“THE BEAT GARDEN”のUによる歌詞エッセイをお届け!今回はその【後編】です。綴っていただいたのは、新曲「 遠距離恋愛 」のお話です。前編では、この楽曲の元になった“お出汁”なるものを明かしてくださいましたが、今回はそれを“解く”内容となっております。最後まで是非、歌詞と併せてお楽しみください…! 歌詞エッセイ【後編】:「 遠距離恋愛 」 ~後編 遠距離恋愛のお出汁を解きます~ 「遠距離恋愛」という曲は 前編で記載していただいた 「遠距離恋愛のお出汁」を元に 歌詞を書いていきましたが 初めて女性目線のみの フレーズや文章から 遠距離ソングを書き終わったあとに なんだか違和感というか うーん。 自分はどんな気持ちで歌えばいいのだろう みたいなことになってしまって。 想像の 「わたし」や「あなた」の中に 現実の 「ぼく」と「きみ」をちゃんと入れて もう一度歌詞を書き直していて、 例えば これは一番サビのふた回し目ですが ①書き直す前 おやすみって切り出すのはいつも 決まって私が先なのは あなたが少しでも“寂しいな”って 眠ってほしいなんて ずるいな ②書き直した後 あなたの今の毎日が 思うように進まなくなってしまえば もう少しわたしを思い出すかな なんて願ったら ひどいよね” うん。書き直した後の方が 歌詞の通り “ひどい”です。 でも、大切な人の毎日の “楽しい”や“嬉しい”の中に 自分がいなくなると 不安になるのが本音で 「わたし」の目線を借りて 今の自分の気持ちを 正直に言えた気がしました。 ここからは僕の私情なので 曲を聞く時には忘れて欲しいのですが やっぱり 寂しいことがあった日は 悲しいことがあった時には 自分の作った音楽で 自分の歌うライブで 音楽以外でも握手や会話で 楽しいことがあった 嬉しいことがあったに 変わって欲しい それが 他の人やミュージシャンだったら いやだなと悔しいなと 思う。 だから SNSやDMでも 楽しそうだと嬉しんだけど それだけじゃなくて 遠距離と検索すれば 「別れる」と出るみたいに いつか会えなくなってしまうかもしれないと 思ったりしています。 もう女々しいので。 この曲の話に戻りますが、 同じ街にいても 会いたい人には会えないし 今は 日本全体 世界全体が 距離以上の距離を感じながら 毎日を生きていて だから この「遠距離恋愛」という曲も 僕にとって 誰かにとって “ラブソング”なだけじゃない ラブソングになってくれたら。 そんな風に この曲を信じています。 会いたいが 会いたかったに 変わる前に 「わたし」と「あなた」が 「ぼく」と「きみ」が 一日でも早く会えますように。 THE BEAT GARDEN 『遠距離恋愛』 <THE BEAT GARDEN・U> ◆紹介曲「 遠距離恋愛 」 作詞:U 作曲:MASATO

    2021/05/01

  • THE BEAT GARDEN
    遠距離恋愛と検索したら、「別れる」と出た。
    遠距離恋愛と検索したら、「別れる」と出た。

    THE BEAT GARDEN

    遠距離恋愛と検索したら、「別れる」と出た。

     2021年4月26日に“THE BEAT GARDEN”が今年初となる新曲「遠距離恋愛」を配信リリースしました。同曲は、2012年に結成して以来、初めて“女性目線”で紡いだバラード楽曲に仕上がっており、作詞はU、作曲はMASATOが手掛けたナンバー。儚くもぬくもりを感じる、感涙の仕上がりとなっております。  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“THE BEAT GARDEN”のUによる歌詞エッセイをお届け!今回はその【前編】です。綴っていただいたのは、新曲「 遠距離恋愛 」のお話です。この楽曲の元になった“お出汁”とはどんなものだったのでしょうか。曲の背景がより細部まで見えてくるエッセイを是非、歌詞と併せてお楽しみください…! 歌詞エッセイ【前編】:「 遠距離恋愛 」 はじめまして。 THE BEAT GARDENのUです。 「遠距離恋愛」という曲を 4月26日にリリースしました。 歌ネットさん。 コラムを書かせていただき ありがとうございます。 嬉しいです。 ビートガーデンはお出汁に例えて 自分達の音楽の濃度的なものを話すのですが 今回は 前編では 実際に「遠距離恋愛」の元になった お出汁(メモ帳にあった文章)を 記載させていただきます。 後編では そのお出汁を解いていきたいと思います。 お時間のある時によかったら 読んで見てください。 ~前編 遠距離恋愛のお出汁~ 生まれ育ったこの街を 飽きて燃え尽きて それでも 唯一好きでいられる理由が いなくなった。 二人は遠距離恋愛になった。 ――― あなたが都会の人混みの 一部になって 会いたい時に会えなくなって しばらく経った。 わたしは 逆上がりも七の段も キスも覚えたこの街で 一人でいる。 満員になる姿をあまり見ない 働き初めて2年経つこのカフェも “映え”のおかげで 遠くから人が来るようになった 素直に。嬉しかった。 でも少しだけ あなたがいなくなって ねじれた自分が生まれたのも事実で あなたを奪った「都会」にありそうな サラダやデザートを出して 逆に「田舎ですよ」と自己紹介をしてるみたいで恥ずかしい。なんて、 思うようになってしまった。 だいすきなお店だったのに。 ――― あなたは 駆け引きをしないタイプだった。 すぐ既読をつける人だった。 初めは「おっ」ってなったけど 別に嫌いじゃない むしろ素直で なんだかよかった。 付き合って 勢いで一緒に住んだ割には 相性が良かったし マヨネーズとケチャップを 逆立ちさせるあなたを 愛おしく思った。 バラエティーや YouTubeを見ながら時間が過ぎて 朝早い日に限って 夜に触れ合ったりして すぐ喧嘩もして すぐ仲直りもできた。 そんな思い出ばかりの この部屋に一人でいると 寂しさと悲しさが見分けられなくなって どっちにもあなたがいて 苦しい。 ――― 風に当たりたくて外へ出た まだ夜は冷える。 22時。 今日も既読はつかない。 仕方ない。 遠距離恋愛と検索したら 「別れる」と出た。 この自転車を この胸を どれだけ軋ませても あなたの街へは 辿りつけない気がした。 『遠距離恋愛』 <THE BEAT GARDEN・U> ◆紹介曲「 遠距離恋愛 」 作詞:U 作曲:MASATO

    2021/04/30

  • Kitri
    Hinaだったら、何十年先でも一緒に音楽活動をしていける気がした。
    Hinaだったら、何十年先でも一緒に音楽活動をしていける気がした。

    Kitri

    Hinaだったら、何十年先でも一緒に音楽活動をしていける気がした。

     2021年4月21日に“Kitri”がセカンドフルアルバム『Kitrist II』をリリース!今作には、新曲「未知階段」や3作連続配信シングル「Lily」「人間プログラム」「赤い月」ほか、新曲を含む全10曲が収録。さらに、2019年に行われた『キトリの音楽会#2』東京公演の全曲を収録したライブ映像と昨年末の“キトリのライブ上映会”で限定公開された新曲「君のアルバム」のMVを収録した豪華二枚組となっております。  さて、今日のうたコラムではそんな“Kitri”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 君のアルバム 」のお話です。姉妹二人でたくさんのアルバムの写真を眺め、生まれたというこの歌詞。Mona、Hina、それぞれの視点でこの曲に対する想いを明かしてくださいました。是非、歌詞と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回:「 君のアルバム 」~ <Mona> アルバムをめくったのはいつぶりだろうか。写真のほとんどは、覚えていないような何気ない日常の一コマだ。妹のHinaと同じポーズを取って笑っていたり、二人で人形遊びに熱中していたり。少し大きくなって、それぞれ中学校と高校の制服を着て桜の下で撮っている写真もあった。 私たちにとって共に過ごし育ってきたことはあまりに自然なことで、これまでお互いの存在や関係性について、あえて意識したり言葉にしたりすることもなかった。二人でアルバムを眺めたあと、同じ気持ちになっていたと知ったのは、Hinaの歌詞を読んでからである。この曲「君のアルバム」は、生まれてからKitriとしてデビューするまでの写真を見て、Hinaが歌詞を書いてくれた。 私たちは3歳差の姉妹だ。子ども時代の3歳の差は思っているより大きい。Hinaが道路に飛び出さないよう手を繋いだり、Hinaにピアノの練習をするよう勧めたり、お母さんになったつもりで接していた。そんな中、成長するにつれてHinaが少しずつ頼もしい存在になっていった。先頭に立ってリーダーシップを発揮するような頼もしさとはまた違うが、いつもポジティブに物事を考えて、私の不安や心配事を取り除いてくれる。 そして私たちはKitriを結成した。この世界には、センスのある人や技術がある人は星の数ほどいる。そんな人たちと音楽ができたら、刺激をもらい、自分を高めていけることは間違いない。それでも、私の中ではHinaだけだった。Hinaには性格や趣味、家での気の抜けた姿まで何もかも知られている。お互いの考えそうなことは大体分かるし、顔を見れば体調の変化にも気づく。Hinaだったら、何十年先でも一緒に音楽活動をしていける気がした。 「二人で連弾しながら歌も歌うユニットをやってみん?」 私がそんな言葉を発した日から、姉妹の関係だった私たちは、音楽をする上で大切なパートナーにもなった。 私がHinaを音楽の道に誘ったことで、妹の人生も乗せて音楽活動をすることになった。楽しいことはもちろんたくさんあるが、結果がでない時や、上手くいかない時もある。Hinaが何かに傷ついてしまうのではないかと不安に感じることもあるが、当の本人はいつも楽観的で、気づけば私の方が考え事をしているから、Kitriはちょうど良いバランスで成り立っているのかもしれない。 幸せ 咲いている 描きつづけた道の上 いつまでも変わらないよ そのままでいいシルエット 泣いたり 笑ったり ありふれた日々さえも いつかは懐かしくなる 二人でいる限り 咲く花 <Hina> メジャーデビューすることが決定し、着々と準備を進めていた三年前の夏。「羅針鳥」や「矛盾律」といった大切な数曲のピアノレコーディングを終え、ほっと一息ついていた私たち。そんなところに、いつもお世話になっている事務所のスタッフさんから一通のメールが届いた。件名は「リクエスト」である。 当時の私たちは、Kitriとしてデビューするために作るべき曲、作りたい曲というものが分からず、デモ作りもまだまだ手探り状態だった。そんな時に助けてくれたのは周りの人だ。両親に聞いてみたり、スタッフさんからお題をもらったり、プロデューサーの大橋トリオさんからご意見を頂けることもあった。 その時のメールも、スタッフさんを通して大橋さんからのリクエストが送られてきたのだ。Kitriの「傘」のような曲をまた作れたら良いかもしれないということだった。少し不安定な弱さを持ちながらも、穏やかさと安らぎがあり、サビでは突然視界が開けて眩しい。「傘」はそんな曲だ。 それから数日後、Monaが新曲を作ってくれた。それが「君のアルバム」である。当時はまだそのタイトルではなかったが。 「傘」で降っていた雨は上がり、弱い心は強さと優しさに変わり、サビでは色鮮やかな花が咲き誇った。そんなイメージがすぐに湧いてきた。"感動"という日本語を音楽にするなら、こんな曲だと思えたほどだ。私はそこに歌詞を書いていき、何度もブラッシュアップを繰り返した。まだ私自身、歌詞を書くことに慣れていなかった頃の話だ。 それから二年の時が経ち、2ndアルバムでリリースしたい曲の話し合いを日々進めていた。そこで挙がってきたアイデアの一つとして、私たちの生まれた頃からKitriになるまでの写真でMVを作ろうという話が出た。曲は「君のアルバム」を使いたいと思い、私は歌詞をまたブラッシュアップした。 自宅には、私たちが生きてきた年月よりも多くのアルバムが並んであり、それを片っ端から見ていく作業。Monaと「懐かしいね!」「何でこんなに笑ってるんだろう?」などとワイワイ話しながら写真を選んでいった。Kitriはここから繋がっていたんだと思えるような写真、私たちにとって意味のある写真、大切なできごとのあった写真たちばかりで、何度選び直したことか。 伝えきれない過去も山ほどあるが、ひとまず写真が決定したところで、私は歌詞にする言葉を考えていった。揺れるブランコ。手と手繋いだこと。眠れない夜。背中合わせ…。歌詞を書いていると、色々な思い出が蘇ってくる。いつも自分の隣や前にいて、心強い味方でいくれたのはMonaであり、誰よりも長く同じ時間を共有しているんだと改めて気づいた。一つ一つがかけがえのない思い出だ。 そして私は、Mona以外の人の顔も浮かんでいた。私たちを育ててくれた両親や親戚。生まれた時からずっと仲良しの幼なじみ。滋賀、カナダ、大分、京都など住んだ場所で出会ってきた人たち。Kitriになって出会ったスタッフさんたち。そしてKitriを応援してくれるキトリストの皆さん。色々な人と出会い、色々なことがあった。過去を思い出すだけで目頭が熱くなるのは、私が少し大人になったせいなのだろうか。 今までに出会った人たちのことを思うと、私は歌詞を何度ブラッシュアップしても「幸せ」という言葉を外すことはできなかった。悲しいことや辛いこともあったかもしれないが、それを半分持ってくれる人たちがいる。そして喜びや楽しさを分け合える人たちがいる。目には見えないが、幸せとはそういう人たちの優しさが生み出しているのかもしれない。出会った人たちに感謝を伝えたい。そのお陰で今の私がいるのだから。 ちなみに、この歌詞の<二人>という言葉には「私とあなた」という意味を込めている。私とMona、私と友達、私とキトリストのあなた、といった具合に。 聴いてくれる人それぞれのストーリーと、重ね合わせてもらいたいと願いながら書いた歌詞だ。誰かのために歌ってもらえたり、スライドショーに使ってもらえたり…。そんな曲に育ってくれたなら、これほど嬉しいことはない。これからも曲の成長を見守りつつ、自分自身も成長していこうと思う。そしてまた色鮮やかなアルバムの一ページを作っていきたい。 <Kitri> ◆紹介曲「 君のアルバム 」 作詞:Hina 作曲:Mona ◆セカンドフルアルバム『Kitrist II』 2021年4月21日発売 CD+Blu-ray COZB-1741-2 ¥5,000(税込) <収録曲> 1.未知階段 2.人間プログラム 3.青い春 4.NEW ME 5.羅針鳥(S.A. Rework) 6.小さな決心 7.水とシンフォニア 8.赤い月 9.パルテノン銀座通り 10.Lily 11.君のアルバム

    2021/04/28

  • SAKANAMON
    僕を救ってくれたのはいつも「言葉」と「音楽」でした。
    僕を救ってくれたのはいつも「言葉」と「音楽」でした。

    SAKANAMON

    僕を救ってくれたのはいつも「言葉」と「音楽」でした。

     2021年4月14日に“SAKANAMON”がConcept Mini Album『ことばとおんがく』をリリースしました。今作には、ネクライトーキー・もっさ(Vo&Gt.)が藤森元生との掛け合いで歌唱参加した「かっぽじれーしょん」やNHK みんなのうたに書き下ろした「丘シカ地下イカ坂」など、全8曲が収録。コンセプトである“言葉遊び”と“音楽”を堪能できる1枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“SAKANAMON”の藤森元生による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその最終回。綴っていただいたのは、今作『ことばとおんがく』に通ずるお話です。第1弾では、幼少時代から中学時代までを。第2弾ではバンドを始めた、高校3年間を。そして最終回では、高校を卒業し、SAKANAMONを続けている今に至るまでの軌跡を明かしてくださいました。是非、楽曲と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ最終回:『ことばとおんがく』(後編)~ 高校を無事卒業。東京へ行きます。 完全なる他人が蠢く密集地帯、東京。 人見知りの僕には怖すぎる街です。 音響の専門学校に入るのですが 相変わらずクラスの同級生とは ほぼ会話をしませんでした。 自分からは絶対に話しかけない。 もし話しかけられても頭の中で言葉を噛み砕き、 掻い摘んで喋る事を心掛けました。 自分という人間を理解されるのが怖くて。 いかにボロを出さないかが大事だったんです。 何がしたくて東京来たんだよって話ですよね。 本当は東京でバンドをやりたかったんです。 もっと沢山の人達と音楽の交流がしたかった。 なのに僕はバンドメンバーとの人間関係が嫌になって 上京を目の前にバンドを解散してしまったんです。 バンドメンバーと 「音を楽しむ」事が出来てない奴等が 人に音楽を届けようしてるのは根本的に駄目。 絶望的な矛盾だと思ったんです。 「これからは一人でこっそり音楽しよう。」 そう思った僕は 専門学校卒業したらさっさと地元に帰って ニートぶちかましてやろうと思ってました。 ところが、そんな僕に勇敢にも話しかけてくる 好奇心旺盛な同級生がいたんです。 一人は僕を遊びのバンドに誘ってくれて、 もう一度バンドの楽しさを 思い出させてくれた「Tくん」。 もう一人は森野さんをベースに誘う際に仲介、 通訳をしてくれた「Sさん」。 僕は彼等のおかげで 一番苦手としていた「会話による人間関係」を確立! バンド活動再始動。東京に残る事を決意。 こうしてSAKANAMONを続けている今があるのでした。 僕を救ってくれたのは いつも「言葉」と「音楽」でした。 その互いにある特性を 融合させる事でしか生まれない芸術表現が 「歌」にはあると思っています。 僕はこれからも歌を作り続けます。 歌による伝達手段の可能性を 紡ぎ、突き詰めていきたいです。 今回の『ことばとおんがく』という作品は その大きな足掛かりになったと思っています。 興味を持ってくれた方は是非聴いてみて下さい! <SAKANAMON・藤森元生> ◆Concept Mini Album『ことばとおんがく』 2021年4月14日発売 初回限定盤(CD+DLカード) TLTO-30 ¥2,700(税込) 通常盤(CDのみ) TLTO-31 ¥1,800(税込) <収録曲> 1.ことばとおんがく 2.かっぽじれーしょん feat.もっさ(ネクライトーキー) 3.鬼(Album ver.) 4.レ点 feat.仁井 聡子(FM802 DJ) 5.丘シカ地下イカ坂 6.いろはうた 7.OTOTOTOTONOO 8.PACE

    2021/04/27

  • Ms.OOJA
    私のDNAだと言える、とても自由な曲が生まれた瞬間だった。
    私のDNAだと言える、とても自由な曲が生まれた瞬間だった。

    Ms.OOJA

    私のDNAだと言える、とても自由な曲が生まれた瞬間だった。

     メジャーデビュー10周年を迎え、来年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”が、7ヶ月連続でデジタルシングルを配信リリース!2021年3月16日に第1弾「FLY」をリリースしました。シリアスでディープなトラックに、Ms.OOJAの力強いヴォーカルがマッチしたミッドナンバー。春を迎え新たな一歩を踏み出す人々を鼓舞するメッセージソングに仕上がっております。  さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届けいたします。今回はその第2弾。綴っていただいたのは、新曲「 FLY 」への想いです。北海道札幌市の芸森スタジオという思い入れの強い場所で生まれたというこの曲。10周年も見据えながらの制作だからこそ、彼女が大切にしたいと思ったこととは…。是非、歌詞と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 FLY 」~ 私の制作に欠かせない場所がある、北海道札幌市にある芸森スタジオだ。デビュー翌年の2012年から札幌のラジオ局FM NORTHWAVEでレギュラーラジオ FRIDAYPANTHER(現サタパン)を始めることになり、それまで観光やリリースキャンペーンでしか訪れることのなかった札幌に月に2回通うという日々が始まった。 縁もゆかりもないアーティストを北海道という土地柄なのか、誰もが温かく迎え入れてくれた。音楽好きの優しい人達と美味しいご飯、美味しいお酒、行く度に大好きな場所になっていった。 そして札幌には、ずっと行ってみたかったスタジオがあった。それが芸森スタジオだ。宿泊施設のついた制作スタジオで、坂本龍一さんを始めとする錚々たるアーティストが利用している。そのスタジオをインディーズの頃から近くにいたアーティストが利用している様子をブログなどで見ていて、札幌で制作合宿するなんて、なんて贅沢なんだろう!羨ましく思っていた。 そんな場所でついに自分も合宿をすることになった。2012年夏、一番最初の制作は二人のプロデューサーと参加した。離れのBeeスタジオで、まだまだ要領を得ない制作合宿はビールばかり飲んでいて、メロディーのスケッチをいくつか作っただけで終わった記憶がある。 でも、札幌とはいえ中心部から30分以上離れた山の上、まわりに何もない環境。夏なのに湿度がほとんどなく体が軽くなったような気候。騒音や暑さを気にせず、窓を全開にして外の草木を見ながらの制作は、ここでしか生まれない音があると確信させてくれた。何より、音楽以外のことを考えなくてもいい環境というのは本当にありがたい。決まった時間に出してくれるスタッフの八坂さんの料理は本当に美味しくて、このご飯のために頑張れる!と思うほど。 そんな芸森にもかれこれ9年ほぼ毎年、夏と行ける時は冬にも訪れてたくさんの楽曲を生み出してきた。前フリが長くなったが「FLY」も芸森で生まれた曲だ。 2019年夏、前回の「はじまりの時」と同じく酒井さんとルンヒャンと合宿に挑んだ。10周年も見据えた制作をしていこうとなって、その時に私が思ったのは“もっと自分らしさを出したい”ということだった。 デビューから、歌うことが好きでいろんなチャレンジをしたい!というフレキシブルな性質からいろんな曲を作ってきたし、タイアップや企画に挑戦したり、カバーも大好きでかれこれ100曲ちかく歌って来た。 そこで思ったのは、自分らしい音楽ってなんぞや?という疑問である。今まで好きなように歌って、その経験は何にも代えがたい財産になったが、その分なんだかとっ散らかってしまってるような気がしていた。Ms.OOJAとして「求められるもの」はなんなんだろう? そればかりを考えていた。 泣けるバラード?カバー?元気の出る応援歌? もちろんそういうのも好きだしプロの歌手としてのプライドもあり、いつしか期待に応えようと勝手にがんじがらめになっている自分がいた。本当に表現したいもの、好きなものってなんだろう? と原点に立ち返ってあえて、Ms.OOJAとしてではなく一人の音楽ファンとして曲を作りたいと思った。 アルバムの中にはさまざまな曲があり、その中には私の色が濃く出ている楽曲もある。そして気づいたことは、ファンのみんなは私が私らしく作った曲をちゃんと愛してくれているということ。 表現するのが難しいけど、私のDNAがそのまま入っていて、何の違和感もなく肌にすっと張り付くような楽曲。 コンスタントな合宿や海外でのコライトの経験などによって制作のスピードがアップし、1日1曲の制作ペースが当たり前になっていた近年。酒井さんとルンヒャンという素晴らしい音楽家となら、そのペースでも確実に良い楽曲が生まれるという確信があったが、酒井さんから提案されたのは「今回の合宿は1曲をじっくり時間をかけて作ってみよう」という事だった。 まず1日目にトラックとメロディーを作った、そして二日目からは歌詞を。すごく難しかった。日本語で歌う歌手として、歌詞に英語を極力入れないという自分のルールも破った。もっと自由にもっと解き放って、かっこいい!!と自分が「痺れる音」を追求する制作は苦しくもあり、本当に楽しかった!一週間ほどある日程のほとんどを、この1曲の制作に費した。 Good-bye my Gravity かわせよ Pressure 振り切れよ Loser Good-bye my Morality 見え透いた Future 壊したいのさ FLY TO BE FREE 自分の中の重力やルールやモラルさえもぶち壊して、自由を解き放て!このとても強いメッセージは、私自身に向けられたものだった。そして同時に「もう大丈夫だよ、もっと自分と自分が積み上げてきたものを信じなさい」というメッセージでもあった。自由であることは厳しいことである。厳しさの中に身をおく覚悟を持つことで、自由はやっと生まれる。 新しくも懐かしい、まさに私のDNAだと言える、とても自由な曲が生まれた瞬間だった。 <Ms.OOJA> ◆紹介曲「 FLY 」 作詞:Ms.OOJA・Rung Hyang・Ryosuke“Dr.R”Sakai 作曲:Ryosuke“Dr.R”Sakai・Ms.OOJA・Rung Hyang

    2021/04/26

  • BRADIO
    愛を、今 ―自分を好きになるきっかけのラブソングを― 後編。
    愛を、今 ―自分を好きになるきっかけのラブソングを― 後編。

    BRADIO

    愛を、今 ―自分を好きになるきっかけのラブソングを― 後編。

     2021年4月21日に“BRADIO”がニューアルバム『Joyful Style』をリリース!Major 2nd Albumにして、これぞBest Album。究極ベストなオリジナルフルアルバムがついに完成。Major 3rd シングル「O・TE・A・GE・DA!」、配信限定シングル「幸せのシャナナ」、先行配信シングル「愛を、今」を含む、魂を込めた全10曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“BRADIO”の真行寺貴秋による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回はその後編です。綴っていただいたのは、前編に続き、今作の収録曲「 愛を、今 」のお話。早い段階で歌詞のコアは出来たものの、なかなかその先が出来なかったというこの曲。その難関を突破できた理由とは…? 新たな名曲「愛を、今」という“自分へのラブ・ソング”が完成するまでの軌跡を、彼の言葉とともに最後まで歩んでみてください。そして改めてその歌詞を受け取ってください…! ~歌詞エッセイ後編:「 愛を、今 」~ この曲が日に日に愛せなくなっていた。自分の思い描いているストーリーを綴っているのに、自分の元を離れた詩は、周りの人間にはその真意あるいは解釈があまり思い通りには届いてはくれなかった。まるで自分の物語が、止まり木を見失って漂っている渡り鳥のようだった。なぜ鳥達は空を飛ぶのかを歌っている“つもり”なのに、“その詩の説明”がわざわざ必要だったのだ。今思えば“つもり”じゃ届きやしない。 俯瞰で判断できずに、自分の中での完結というフィルターを通してしまっているその物語は、ゆくあてを見失ってしまっていた。聴き手の解釈で思いを巡らせて“私の為の曲だ”と思ってもらえるまでにはほど遠い状態だった。何度も曲と距離をおいては書いて、破壊してはまた離れてを繰り返す。 ここで一つ言いたいのは、物を作ったり歌詞を書いたりする行為は大変、ではないということ。かといって他の言い方が見つからない、形容しがたい行為であることは間違いない。自分はこれを「大変」だとは言いたくないし、思ってないし、好きでやっているので、そう思うこと自体、文字通り“大それて変”なのである。 この長い真っ暗なトンネルを行く先、結びへと向かう物語のパズルは日々の何気ないところにピースが転がっている。自分は毎度のことながら、何気なさすぎて簡単なことすぎてほとんど気がついていない。それはメンバーとの何気ないやりとりだったり、チームの曲に対する想いのヒアリングだったり、はたまたテレビのニュースや街の景色にも、いたるところに息を潜めている。そんな出口が見えなくなった制作過程のさなかでの確かな頼りは、やはりメンバーとチームの声に耳を傾けるに限る。真っ暗なトンネルで唯一の光といってもいいのかもしれない。 あとは歌詞だけ、という状況はレコーディングが始まってからも続いたが、自体は徐々にではあるが好転し始めてきた。後から思えばそれはメンバーやチームがさりげなく献身的に手を差し伸べていてくれてたからだとわかった。彼らのおかげで、ありのままの自分をさらけ出すことに踏み込めた。これが結びへと向けてこの物語が加速していくキッカケになった。 事実は小説より奇なり。自分のうちに秘めたる気持ち、弱音、今思っていること、見つめ直した自分をさらけ出せば出すほどに歌詞に対する周りの反応が良くなっていくのを感じた。もっと詩的にカッコつけたいのに、自分を書けば書くほど曲が歌詞が愛されていくのがわかったし、自分もこの曲と混ざり合っていくような気持ちになるのがわかった。 コミュニケーションを取りながらも、最終段階では歌詞が出来上がるまでメンバーやチームは何も言ってこなかった。何も言ってこなかったと言えば、ずいぶんとそっけなく寂しげに聞こえるが、彼らはゴール手前で待っていてくれたのだ。それはひしひしと伝わってきた。自分にとって言葉以上の励みになった。 この歌詞を書き終えて思った。自分は皆から愛されている。自分で言うかってなるよ。ただ、そう思えてしまうのは“メンバーやチームといる自分が好きだから”に他ならない。意見を否定されれば、自身の存在や人格も否定されているように思えてしまうなんて、大体にして他人と全部意見が合うなんて奇跡中の奇跡。あるわけない。いろんな人がいてよくて、だからこそ分かり合いたいと思うし、そこで生まれるのが愛であるわけで。自尊心の喪失など、瘡蓋みたいなものだ。傷ついたって、強固になって自分にちゃんと返ってくるし、傷跡が残ればそれは乗り越えた証。 それに、コニュニケーションなくして自分はこの歌詞が書けただろうか。答えはノーだ。それは間違いない。自分が書いた歌詞だが、メンバーとの、チームとの、心と会話のコミュニケーションの賜物なのだ。彼らといるとこんな風に思えるような自分がいるのだ。そしてそれは自分のありのままになる。 世界は広い。少し視野を広げるだけで別世界だ、居場所は必ずある。寒い国や暖かい場所、小さなコミュニティに大きな街。愛せる自分でいられる居場所はある。何処へだって飛び立てる。自分は特別な存在でもなんでもないから飛ぶ手段は選ばない、ただ自分の愛する人生を生きたいと思う。 ん? ちょっとまてよ、何気ないメンバーやチームとの会話、、、もしや俺に歌詞をちゃんと書かせるためにわざと誘導していたんじゃ!? いや、そう言えば、歌詞を書き終わるかもって最後の方とか、二進も三進もいかないどんよりした空気出した時も、やけに誰もなんも言ってこないなって。相当気を使われていたのかっ!? 初めからメンバーやチームの手の内だったわけか!? きっと俺のいないとこで口裏あわせて、今は何も言わないほうがいいとか、ちょっと様子見てみようとか企てていたってわけか!? ふぉー!! 歌詞の為とはいえ、いつの間にか自分自身や日々の何気ないことと向き合わされて、結果自分のこと、良い所も嫌な所も知って、そんで好きになってる!!なんてこった全員グルか!やってくれる!!ここまで相当カッコつけて書いてきたのに一枚食わされたー!いやもうこの勢いでエッセイ終わらそうとしている俺!何が言いたかったのかって、人生楽しむぞ、みんなっ!!! おしまい。 <BRADIO・真行寺貴秋> ◆紹介曲「 愛を、今 」 作詞:真行寺貴秋 作曲:BRADIO ◆Major 2nd full Album『Joyful Style』 2021年4月21日発売 初回生産限定盤A WPZL-31859~60 ¥4,800+税 初回生産限定盤B WPZL-31861~62 ¥3,800+税 通常盤 WPCL-13291 ¥3,000+税 <収録曲> 1.Time Flies 2.幸せのシャナナ 3.サバイブレーション 4.Switch 5.Fitness Funk 6.愛を、今 7.ケツイ 8.O・TE・A・GE・DA! 9.Be Bold! 10.アーモンド・アーモンド

    2021/04/23

  • 川村結花
    受け取り方は人それぞれ。
    受け取り方は人それぞれ。

    川村結花

    受け取り方は人それぞれ。

     2020年にCDデビュー25周年を迎えた、シンガーソングライター・川村結花。今日のうたコラムでは、その記念企画として2020年~2021年の2年を通じてのご本人によるスペシャル歌詞エッセイをお届けしてまいります!更新は毎月第4木曜。  シンガーソングライターとして活躍しながら、様々なアーティストへの楽曲提供も行い、ここ数年はピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている彼女。この連載でどんな言葉を綴ってくださるのでしょうか…!今回は第16回をお届けいたします。 第16回歌詞エッセイ:受け取り方は人それぞれ 昨日ぼんやりTVをつけっぱなしにしていたら、1時間くらいのうちに2度、同じ昭和の歌謡曲をCMで耳にしました。しかもそれぞれ別の企業のCMで。当然別のバージョンで。その曲の名は「 黄昏のビギン 」。言わずと知れた永六輔先生作詞&中村八大先生作曲の黄金コンビによる昭和の大名曲であります。わたしも大好きな曲です。 以前、ちあきなおみさん歌唱バージョンを聴いた時、あまりの素晴らしさに意識が遠くなりました。というか、現実を離れて夢の中を漂っているかのような感じがしました。ちあきなおみさんがなぜそこまですごいすごいと言われるのかが、この時本当の意味でわかったのでした。 そんなちあきなおみさんの代表曲「 喝采 」。あの曲はご本人の悲しい経験とも重なるらしい、というエピソードを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。曲中の<あなた>はある説では恋人のこと。ある説ではお父上のこと。など、本当のところは勿論わたしには知る由もありませんが、そんなふうに諸説ある曲は、他にも色々と存在します。 他に有名なところでは「 なごり雪 」。あれは父親目線で巣立ってゆく娘への思いを綴った歌であるという説や、旅立って行く女の子を見送る幼ななじみの男の子の歌であるという説。他にもあるかもしれません。 なににせよ、聴き手によって色々に受け取ることができるのは、歌の醍醐味の一つなのではないかなあと思います。真実はどうであれ、作者の思惑がどうであれ、聴いた人が感じたことがその人にとっての真実であり、その人だけの想いや場面がそこに重なってその人だけの物語を持った歌になるのです。それってなんて素敵なことだろうと思うのです。 わたしが2015年に自分の創業20年記念歌として作った「 五線紙とペン 」という歌の中にも、<わたしの物語が 誰かの物語になる日を夢見て>というフレーズが出て来ます。自分の作った歌を聴いてくださった方が、ご自身の想いや場面を重ねてくださる。それはシンガーソングライターであるわたしにとって、それ以上幸せなことなんてないくらい幸せなことなのです。 などというお話をした後にこんなお話をするのもなんなんですが、昨年世の中を席巻した瑛人さんの「 香水 」。ド~ルチェア~ンドガッバーナ~、の、あの強烈なフレーズに瑛人さんの魅力的な歌声と出だしから最後までフォーキーながら華のあるメロディが相まって、知らない人はいないヒット曲となったあの曲。勿論わたしも大好きな曲で、家事をしながらなどご機嫌に歌っていました。 ただ、初めて聴いた頃、すごいいい歌だなと思いながらも、どうもそのド~ルチェア~ンドガッバーナ~のところでいきなり混乱して脳みそがグニャッとなってしまっていたのでした。 「ドルチェ&ガッバーナの香水、て、あのバブルの頃のあれ? ていうか瑛人さんてハタチそこそこでなんでそんな香水知ってんの? あ、そうかこれはもしや、君、とかいうて昔の彼女のハナシみたくなってるけど、ほんまは離れ離れになってしまったお母さんていう設定なん?」とー。 、、、なに言うてんのこの人、とお思いになられたでしょうか。ですよね。あほですわ、わたし。どういうわけかドルチェ&ガッバーナの香水が脳内でディオールのプワゾンという香水に変換されていたのです。ディオールのプワゾンとは、バブル時代を席巻したかなり個性的な香りの香水で、シリーズ自体はまだあるのかもしれませんが、当時流行った緑のボトルのはもう今は多分販売されていないと思われます(知らんけど)。 その緑のボトルがバーンと頭に浮かんでいたわたし、、、バブルといえばワンレンとボディコンとジュリアナと緑のプワゾンが浮かぶわたしとしては、もう、どえらい「君」が浮かんだわけです。そら混乱するわ。ていうかどんな勘違いやねん。なのですが。だいたいド最後に<僕がフラれるんだ>て言うてはるのに。どう考えても恋愛の歌やのに。ごめんなさい瑛人さん。 ただ、、、世の中にお一人くらいは、わたしと同じ勘違いをされた方もいてはるんちゃうやろかと思うのですがいかがでしょうか。特にバブルの頃、青春だった世代の方。「わかるわー」と思ってくださった方、もしいらっしゃいましたらどうぞご一報ください。 ということでこんど5月3日にはなんと1年3ヶ月ぶりのライブも予定しておりますわたくしです。嗚呼うれしい。もう、1年分の思いを胸にめいっぱい歌って弾いて音楽にまみれたいと思います。それではまた来月、です。 <川村結花> ◆LIVE 2021年5月3日(月)青山 月見ル君想フにて開催される 2PIANO4HANDS「川村結花×斎藤有太」に出演決定! ・会場チケット 前売り ¥4,000 (75名限定) | https://2105032.peatix.com ・配信チケット ¥2,000 | https://www.moonromantic.com/2105032 ◆NEWS 1999年4月1日リリースのアルバム『Lush Life』のミュージック・ビデオ4曲をYouTubeにて公開! 「Every Breath You Take」: https://youtu.be/a1pXqyTJCaw 「ヒマワリ」: https://youtu.be/8WLVFRRaWGc 「home」: https://youtu.be/9p43CoS8zCk 「遠い星と近くの君」: https://youtu.be/DN9JH3-83CA ◆プロフィール 川村結花(シンガー・ソングライター) 大阪府生まれ。東京芸術大学作曲学科卒業。1995年、アルバム「ちょっと計算して泣いた」でシンガーソングライターとしてデビュー。同時に作詞家作曲家として楽曲提供を行い、主な提供楽曲は、夜空ノムコウ(作曲)をはじめ2019年現在までに100曲以上。2010年「あとひとつ」(作詞作曲共作)でレコード大賞作曲賞を受賞。2017年、アルバム「ハレルヤ」をリリース。ここ数年は、提供楽曲の作詞作曲も行いながら、ピアノ弾き語りのLiveをコンスタントに続けている。 オフィシャルサイト: https://www.kawamurayuka.com ◆歌詞エッセイバックナンバー 【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】 【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回】 【第12回】 【第13回】 【第14回】 【第15回】

    2021/04/22

  • Kitri
    “さよならより言いたい言葉がある”それはどんな言葉なのだろう。
    “さよならより言いたい言葉がある”それはどんな言葉なのだろう。

    Kitri

    “さよならより言いたい言葉がある”それはどんな言葉なのだろう。

     2021年4月21日に“Kitri”がセカンドフルアルバム『Kitrist II』をリリース!今作には、新曲「未知階段」や3作連続配信シングル「Lily」「人間プログラム」「赤い月」ほか、新曲を含む全10曲が収録。さらに、2019年に行われた『キトリの音楽会#2』東京公演の全曲を収録したライブ映像と昨年末の“キトリのライブ上映会”で限定公開された新曲「君のアルバム」のMVを収録した豪華二枚組となっております。  さて、今日のうたコラムではそんな“Kitri”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第2弾。綴っていただいたのは、アルバムリード曲「 青い春 」のお話です。Mona、Hina、それぞれの視点でこの曲に対する想いを明かしてくださいました。出会いと別れの季節…。是非、歌詞と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾:「 青い春 」~ <Mona> ただの笑い話だが、私はいつも曲を作り終えるたびに寝込んでしまう。いや、作り終えるたびにというのは大袈裟かもしれない。4曲に1曲くらいのペースだ。この「青い春」もその1曲だった。フルコーラスが完成し、スタッフにデモ音源をメールで送信した直後、安堵感と疲労感から熱を出してしまった。ちょうど1年前の春のことだ。 その頃、1年後に2ndアルバムをリリースすることを目標に動き出していた。過去に作った曲やアルバムに入れるために作った曲、全部合わせると既に6、7曲はある。良いペースで進んでいるはずなのに、私はどこか焦燥感に駆られていた。そう、アルバムの要となる肝心のリード曲が無い。リード曲はアルバムの顔ともいえる大事なポジションで、そのアルバムのイメージや、アルバムを知ってもらうためのきっかけを作ったりもする。 既にある6、7曲の中から決めることもできるかもしれないが、私も誰もそれでいいねとはならない。リード曲として光を放つ曲を全員が期待して待っていた。こうして、まずは自分や周りの人の心を動かせるような渾身の1曲を作ろうという想いで、「青い春」を書くことになった。 いつも春は出会いや別れを一緒に連れてくる。もう少し別れを惜しむ時間が欲しいのに。もう少し新しい場所へ行く心の準備が欲しいのに。卒業、引越し、転校…。終わりへと向かうカウントダウンは、何度経験しても慣れない。お世話になった先生の最後のピアノレッスンの日、引越し前に友達に会いに行く日、続いていた仕事が終わる日、私はこみ上げる思いを我慢するのに精一杯で、言いたいことのほんの一部しか伝えられていない気がした。 「ありがとう、私に出会ってくれて」 「ずっと大切な存在だよ、元気でね」 一人になって初めて、そんな言葉を心の中で唱えている自分がいる。馴染んだ場所から離れ、つい昨日までの日常が思い出に変わった瞬間、それまで当たり前だった光景や街並みや人々が恋しく思えて感謝が溢れ出す。だから寂しくて仕方ない"終わり"は次のステップの始まりとして、私の背中を押してくれるんだと思うことにしている。きっとまた、新しい場所でもかけがえのない出会いが待っているはずだから。 思い出ばかりが舞い上がる青い春よ もうすこしだけ目を閉じていたい また会えたら 今度は間に合って さよならより言いたい言葉がある 「アルバムのリード曲にしましょう」そう決まったのは、寝込んでから数ヶ月後のことだった。Hinaも周りの人も、おそらく全員違う景色やストーリーを浮かべながらも、この曲を良いと言ってくれた。そして今日、ついにアルバムのリリース日を迎えた。どこかでこのアルバムを手にとって聴いてくれる人がいるなんて、信じられないくらい幸せなことだ。この「青い春」が、これから数えきれないくらいのいろんなストーリーを乗せて、どこまでも飛び立っていくことを心から願っている。 <Hina> さよならより言いたい言葉がある それはどんな言葉なのだろう。私には、想いを伝えたい人が沢山いる。感謝や応援、褒め言葉や挨拶、好きという気持ち、謝りたかったことや許したかったこと。生きていると様々な感情が駆け巡るが、それを言葉にできたりできなかったり、満足や後悔を繰り返しながら大人になっていく。 いつになっても、言葉にするというのは、簡単なようで難しい。一つ一つの言葉には重みがあり、相手の気持ちも伴う。言葉にしないと伝わらないこともあれば、言葉だけでは伝えきれないこともある。だから私は、ある曲に自分の気持ちを託そうと思う。 私たちは今日、『Kitrist II』のリリース日を迎えた。この日が来るまで長いようであっという間だった。惜しみない愛をもって、いつもKitriの音楽に期待を寄せてくれている人たちに届けたい。そう思いながら心を込めて作った一枚だ。 冒頭に書いた一行は、その中の「青い春」という曲の歌詞の一部である。この季節にぴったりな曲だ。そして、私の気持ちにもぴったりな一曲である。 ようやく空は春めき、色鮮やかな花々と穏やかな風を愉しむ今日この頃。ゆっくりと夏に向かいつつ、暖かい空気が広がるこの季節が私は一番好きだ。誰かの門出を祝い、何かを新しく始める。緊張と期待が入り混じったこの時期、私は胸の高鳴りを抑えることができないまま日々を過ごしている。 思い返せば、私はいつも春の中にいた。遠足が楽しみで眠れなかったこと。放課後に友達と話をしたこと。転校初日に緊張したこと。真夜中に流星群を見に行ったこと。ノートが真っ黒になるまでがむしゃらに勉強したこと。合唱のコンクールで悔し涙を流したこと。丘の上の運動場から初日の出をみんなで見たこと…。 意味もなく笑い、小さなことに悩み、人間関係や勉強のことで精一杯だった。その頃はそれが全てだった。何気ない日常が、こんなにも眩しくて愛おしいものだったと気づいたのはいつだっただろうか。 これを青春と呼ぶのであれば、私は今もなお、その真っ只中にいるのかもしれない。私たちは毎日、二度とない貴重な時間を過ごしている。だから未来の私にとっては、今がきらめいて見えるのだろう。今の私にとっては、過去がきらめいて見える。 Kitriを通して、色んな人が私の心に春風を贈ってくれている。その風が運んできた種を、私は育てているところだ。いつか木になり、花を咲かせ、多くの人に春を届けたい。感謝の想いと共に。そんな夢を抱きながら、私なりの青い春を過ごしていようと思う。  <Kitri> ◆紹介曲「 青い春 」 作詞:Mona 作曲:Mona ◆セカンドフルアルバム『Kitrist II』 2021年4月21日発売 CD+Blu-ray COZB-1741-2 ¥5,000(税込) <収録曲> 1.未知階段 2.人間プログラム 3.青い春 ※TBS系テレビ「ひるおび!」4月度エンディングテーマ 4.NEW ME 5.羅針鳥(S.A. Rework) 6.小さな決心 7.水とシンフォニア 8.赤い月 9.パルテノン銀座通り 10.Lily 11.君のアルバム

    2021/04/21

  • SAKANAMON
    言葉での対話よりも音での対話に専念した3年間。
    言葉での対話よりも音での対話に専念した3年間。

    SAKANAMON

    言葉での対話よりも音での対話に専念した3年間。

     2021年4月14日に“SAKANAMON”がConcept Mini Album『ことばとおんがく』をリリースしました。今作には、ネクライトーキー・もっさ(Vo&Gt.)が藤森元生との掛け合いで歌唱参加した「かっぽじれーしょん」やNHK みんなのうたに書き下ろした「丘シカ地下イカ坂」など、全8曲が収録。コンセプトである“言葉遊び”と“音楽”を堪能できる1枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“SAKANAMON”の藤森元生による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第2弾。綴っていただいたのは、今作『ことばとおんがく』に通ずるお話です。第1弾では、幼少時代から中学時代までを明かしていただきましたが、第2弾は自意識過剰を拗らせつつも、一方で“バンド”を始めた、高校3年間について。是非、楽曲と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第2弾:『ことばとおんがく』(中編)~ 15才。 大学に進学する気どころか、就職する気すらなかった。高校にも行きたくなかったのですが、親に「頼むから行ってくれ」と言われたので「お金の無駄になるだろうけど、良いのね?知らないよ?」といった感じで、僕は普通科目が少ない事を理由に、美術を専攻する私立の高校に入りました。 思春期真っ盛り。僕は持ち前の自意識過剰を拗らせ、女子とは話さなくなりました。 話したとしても「はい」と「いいえ」のみの会話。敬語。僕は女子に話しかけられたくないし、女子も僕に話しかけたくない。両思いが成立。みるみる喋る事が下手になっていきました。 結果、皆から「あの人は何を考えてるか分からない」という個性を与えられます。でも「謎めいてて格好良いな」という中二的思考で自分を鼓舞し、全く直そうとは思わないのです。 このような感じで数少ない友達とぼんやり、学生生活を送るのでした。 一方で僕は中学時代の友達とバンドを始めました。学校から帰って夜中までバンド練習。週5日で練習もザラ。ストイックというより他にする事がないのです。 当時、僕の歌には具体的なメッセージがありませんでした。でも歌いたい、表現したい、褒められたい、そんな気持ちだけだけどとにかく伝えたい。なんだかよく分からない事を歌っていました。 そんな音楽でも、表現を共にしてくれる仲間と場所と時間がある事が、どれだけ自分に存在意義を与えてくれたことか。幸せでした。 ライブしてもお客さんは全然呼べず、ほぼ聴いてくれる人は対バンしてくれる先輩方だけだった。それでも、褒めてくれたりアドバイスしてくれたり、表現と意見をぶつけ合える環境に僕はときめいていました。 こうして言葉での対話よりも音での対話に専念した3年間。甘酸っぱさゼロ。童貞臭い糞餓鬼は、おっさんとタバコと酒の臭いが立ち込めるライブ尽くしの青春を終えるのでした。 上京します。 <SAKANAMON・藤森元生> ◆Concept Mini Album『ことばとおんがく』 2021年4月14日発売 初回限定盤(CD+DLカード) TLTO-30 ¥2,700(税込) 通常盤(CDのみ) TLTO-31 ¥1,800(税込) <収録曲> 1.ことばとおんがく 2.かっぽじれーしょん feat.もっさ(ネクライトーキー) 3.鬼(Album ver.) 4.レ点 feat.仁井 聡子(FM802 DJ) 5.丘シカ地下イカ坂 6.いろはうた 7.OTOTOTOTONOO 8.PACE

    2021/04/20

  • Ms.OOJA
    10年一緒にやってきたマネージャーの目を見て、「やる。」と答えた。
    10年一緒にやってきたマネージャーの目を見て、「やる。」と答えた。

    Ms.OOJA

    10年一緒にやってきたマネージャーの目を見て、「やる。」と答えた。

     メジャーデビュー10周年を迎え、来年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”。その日本武道館公演へのアンセムである新曲「はじまりの時」が、中部電力パワーグリッド「全力の電力。」2021年度のCMソングに起用。楽曲のメッセージと人々の暮らしを全力で支え続ける中部電力パワーグリッドの想いが重なった、ドラマティックな1曲になっております。さらに、7ヶ月連続でデジタルシングルを配信リリースが決定!  さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届けいたします。今回はその第1弾。綴っていただいたのは、新曲「 はじまりの時 」への想いです。曲の誕生のきっかけは2018年。そこから数年の時が立ち、誰もが想像しなかった世の中に…。そんな今だからこそ、この曲を放つ意味とは。そして歌に込めた強い想いとは。是非、歌詞と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第1弾:「 はじまりの時 」~  2018年5月、アルバム『PROUD』のアコースティックツアーの初日の新潟公演。ちょうどロシアワールドカップに向けて、ドイツから地元新潟に帰省していた酒井高徳選手が遊びに来てくれた。ライブ後の挨拶では、精悍で爽やか好青年な酒井選手に私もミュージシャンもスタッフも全員メロメロ。 そんな彼が出場するロシアワールドカップなら応援しない手はない!!と、2002年の日韓ワールドカップぶりに、予選リーグの日本戦を見始めたら「日本代表!強い!なにこれ!かっこいい!楽しい!」と感動し、それからというもの集中して観戦するために家で一人、誘いも断り、酒も飲まず、テレビの前で応援した。 日本が1つずつ勝ち進んで行く度に泣きながら歓喜し、気付くと日本戦だけでなく決勝トーナメントのほとんどの試合を観てしまうほどのめり込んでいました。夜中の3時から始まる試合を観終えたら朝の5時、眠たい目に朝日が染みた。ベルギー戦で日本が敗退した時もTVの前でその勇姿を讃え一人泣きながら 「ありがとう!!!」と叫んだ(近所迷惑)。 その後も試合を見続け、決勝戦でフランスに負け準優勝となったクロアチアのイヴァン・ラキティッチとMVPに選ばれたルカ・モドリッチが好きで、その翌日に我が家にやってきた2匹の姉妹保護ネコにラキとルカと名付けた。と、まあそれくらいにワールドカップにドハマリしていた。2018年夏。毎年のように行っている札幌の芸森スタジオでの制作合宿に挑んだ。 盟友・Dr.SAKAIとルンヒャンとのコライト制作初日、まず私は何より日本代表に向けた熱い想いを歌にしたい!と二人にアピールした。 そしてピッチから去ったあとのロッカールームで汗にまみれたユニフォームを投げ捨てる選手達の様子を勝手に想像して作った <汗にまみれた シャツを投げ捨てた> という歌い出しの「はじまりの時」ができた。 それから2年後の2020年、まさかの事態となった。新型コロナウィルスの蔓延だ。人に会えなくなった。ライブが出来なくなった。今までの当たり前は当たり前じゃなくなった。数々のライブが延期になり、中止になり、人を集めることが目的のライブなのにそれが一切出来なくなった時、いかにライブというものに自分が支えられていたんだろうと気づいた人は多かったんじゃないかと思う。ファンもミュージシャン自身も。 配信やできる限りのことをして何かを届けていないと自分の精神も崩壊してしまいそうな日々だった。  そんな中、秋に配信なしの有人のバースデーツアーを行うことを決定した。ことごとく先の見えない情勢の中、何度も何度も協議を重ね、感染症対策のため本来の3分の1の人数しかいれられない、ZEPPライブでは本来ありえない高い金額設定にしなければいけない。そして1日2公演などなど、試練はたくさんあった。はっきりいって、売り切れたとしても赤字にしかならないライブ。みんなが来てくれるかどうかもわからない状態。実際、見送った人もたくさんいたと思う。会場は満席にはならなかった。それでもライブをするからには、観に来てくれる人たちに半端なものは見せられない。  バンドメンバー、スタッフ、照明、衣装、いつも通り今の私が見せられる最高の布陣で挑んだ。私のわがままを叶えてくれたスタッフには本当に感謝している。8月にリリースしたカバーアルバム『流しのOOJA』を中心とした選曲の中、セットリストを考えている時にふと「はじまりの時」を思い出した。 実は2018年に作った時には、ブリッジ部分を作っていなくて未完成の状態だった。もちろんレコーディングもしていなければ、リリースも決まっていない。それでもこの曲を今届けなきゃいけない!と強く思いライブの最後に披露することになった。このライブで感じたことをこのブリッジ部分に入れたいと思ったから、あえて未完成のまま歌うことにした。 ライブで初めて聴くこの曲をファンのみんなは喜んで受け入れてくれた。その反応を目の前で見て、感じながら、メジャーデビュー10年目を迎え、コロナ禍に立ち向かいながらライブをすること、これまでの歌手人生、そしてこれからの歌手人生、様々な思いが2年前サッカー日本代表のために作ったこの曲の歌詞とリンクしていった。  そして、2020年10月28日、38歳の誕生日当日、名古屋ZEPPでの1公演目を終え、2公演目を待っている楽屋で突然マネージャーから、2022年3月27日の武道館公演の打診をされた。しかも今この瞬間に決めないともう押さえられない。という。   大変な挑戦であることは目に見えていた、決して簡単じゃないことも自分が一番良くわかっている。でもこのタイミングでやらないと、きっと一生チャンスは巡って来ないと思った。メジャーデビューから10年一緒にやってきたマネージャーの目を見て、「やる。」と答えた。「よし。」と言って楽屋を出てどこかに連絡をしている様子のマネージャー。もう後戻りは出来ない思った。でもそれで良いと。思った。 いつもどこか逃げながら生きてきたような感覚があった。本当に挑まなきゃならないことから逃げて、自分を守ってきた。失敗したくないから、笑われたくないから。でも本当はそんなこと関係なく、自分が出来ることを納得するまでやりきるかどうか、自分を信じて、失敗したって無様だって、全身全霊で精根尽き果てるまで何かをやりきったのか?歌に向き合ってきたのか? それに気づいた時、私の中で静かに覚悟が決まった。  もしかしたらこの武道館公演が終わった時、私は灰になっているかもしれない。そして歌手をやめてしまうかもしれない。大げさではなく、それくらいの気持ちで挑むべきことだと思っている。 今 手を伸ばせば 繋がる 未来があるだろう 絶望も 希望も連れて行こう 覚悟決めれば それが はじまりの時 そしてそんなバースデーライブを経てブリッジ部分の歌詞が完成した。 逃げない 迷わない 言い訳も後悔もしない 心に誓った あの日の願いを もうごまかしたりなんてしないよ コロナ禍で迎えたメジャーデビュー10周年だったからこそ、持てた覚悟、決断だったかもしれないと今では思っています。そしてそんな10周年にふさわしく今伝えるべき「はじまりの時」は、私の覚悟と決断の歌です。 <Ms.OOJA> ◆紹介曲「 はじまりの時 」 作詞:Ms.OOJA・Rung Hyang・Ryosuke“Dr.R”Sakai 作曲:Ryosuke“Dr.R”Sakai・Ms.OOJA・Rung Hyang

    2021/04/19

  • BRADIO
    愛を、今 ―自分を好きになるきっかけのラブソングを― 前編。
    愛を、今 ―自分を好きになるきっかけのラブソングを― 前編。

    BRADIO

    愛を、今 ―自分を好きになるきっかけのラブソングを― 前編。

     2021年4月21日に“BRADIO”がニューアルバム『Joyful Style』をリリース!Major 2nd Albumにして、これぞBest Album。究極ベストなオリジナルフルアルバムがついに完成。Major 3rd シングル「O・TE・A・GE・DA!」、配信限定シングル「幸せのシャナナ」、先行配信シングル「愛を、今」を含む、魂を込めた全10曲が収録されております。  さて、今日のうたコラムではそんな“BRADIO”の真行寺貴秋による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回はその前編です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 愛を、今 」のお話。まず、この曲のコアが生まれたきっかけとは…。新たな名曲「愛を、今」という“自分へのラブ・ソング”が完成するまでの軌跡を、彼の言葉とともに最後まで歩んでみてください。 ~歌詞エッセイ前編:「 愛を、今 」~ 自分を愛するってなんだろう。って言っているそばから嫌いな所をあげてみる。意見を否定されれば自身の存在や人格さえも否定されているように思えてしまう可愛くない自分。周りの人と比べては毎日が自尊心の喪失の連続で、もはや「コニュニケーションこそが悩みの根源だ」なんて、きっと人並みには純粋であろう。と、思っているだけの心の中に、口には出さなくとも自身の体の内側では啖呵を切っている。こんな薄暗い気持ちが少量だとしても脈々と全身に染み渡っているのだろうと思うと、なんとも自分がちっぽけに感じられてならない。 まだある、まだまだあるが、冒頭から悲壮感が漂いすぎるのもよくないので手短に。例えばこういう書き物にしてもそうだ。言うなれば瞬間に出た自分の言葉ではない。これが顔を付き合わせたインタビューならば、まごついて何も喋れていないか、核心に触れられない、言葉の上澄みをすくった程度のことしか言えていないのがオチだ。言葉を考え選び、センテンスを雰囲気カッコよく構築して、あたかもイケてる自分がしゃべっているかのように書き綴っているわけだから、もはや自分は自分でありながら媒体である。真にカッコいい人間はその一瞬一瞬に、これまでに刻まれてきた生き様が言葉になって行動になっているものだ。 そんな自分はこのエッセイで何を言いたいのか。結びに何を持ってくるのかを今の段階では何も考えていない。結局、取り繕って考えてせっせと書いたところで、突然自分のスペックを超えることなんてありゃしないし、土臭くとにかく書いてみる。それが自分のモットー。あとは委ねます。 2019年10月、山梨県の山中湖付近に泊まり込みで一週間程度、楽曲制作の合宿をおこなった。バンドは翌年に10周年を控えてのそこに向けたアルバム楽曲の制作とあわせて、今思えばそれまでの海外を挟んだ47都道府県ツアーもひと段落し、ライブ生活からの気分転換や新たな環境を欲していたこともあってだったように思う。 自分たちの音を楽しむ感覚から、充実した時間の中で生まれた数曲の原石達。その一つ一つが我々の“子供”であり、これから磨いていくもの、もうすでに輝き始めているもの。それぞれが持つ個性という音色が産声のように演奏と共に鳴り響く。突如生まれ落ちたこの世界の輝きを、眩しくてまだ受け入れられず、光をまぶた越しに認識しながら、優しく無垢な表情を浮かべるその楽曲達。 「愛を、今」はその中の一曲だった。生まれて間もなく、メンバーしかりチームからも愛されたこの「愛を、今」の原石、この子供をサウンド面はもちろん、どんな言葉で一人前に聴いてくれた人達の心に寄り添える音楽にするのか。ここから「愛を、今」との長い生活の始まりだった。 冒頭でも述べた、今この瞬間にも脈々と全身に染み渡っている薄暗い気持ちが“自分へのラブ・ソング”を書こうと思ったきっかけだったなんて、ただの自己満足であり、もっと格好のつく理由でありたかった。ただその反面、「人間らしくて良いじゃないか」というこれまた諦めにも似た慰めの言葉に、いつからか漢気と色気を感じている自分がいる。言う人が違えばガツンとしたセリフなのだが。 子育てを経験したことはないが、前途多難とはよく言ったものだ。歌詞は早い段階である程度の片鱗はできていたものの、曲の方が先に出来上がって歌詞待ちという状況が2020年の夏ごろまで続いた。時間はたっぷりあった。あったが出てこないものは出てこない、そう言うものだと思いたい。あまえです。サビの部分、この曲で伝えたい“自分へのラブ・ソング”のコアが先に述べた早い段階で出来上がっていた部分で、そこから先が全く進まない。 作詞作曲は十人十色。一行出てくればあとはスラスラ書けるなんて人もいるし、最後の一語が数日たっても出てこないって人もいる。自分も後者だろうな。考えすぎる癖がある。音を楽しむ、何も考えずに感覚の赴くままに。それはもちろん心得ているし、感覚なので意識してしてない。気づいたらすでにそうなっている。 ただいつしか、音楽が趣味の領域を出たところで、プラス“考えないことは恐怖”だとも思えるようになっているんだと思う。そして考えれば考えるほど複雑になっていき、当初の目的を見失いがちになる。そこで一旦の破壊をすることがよく制作では起こるのだ。もう一度まっさらにして、そもそもの歌詞のテーマから練り直すだとか、そのままの形で別の道を探れないかだとか。 しかし、ここで新たに生じるのが、見えない壁を超えなくてはならないということ。初期衝動や最初に作った印象ってのは、なかなかにインパクトを心に根ざす。馴染みの語感なんかは特に、最初に見たものを親だと認識してしまう「刷り込み」と同じで、それがしがらみとなり自身でハードルを上げることになる。前のバージョンより良いものをって。だから壊すんですけどね。見えなかった世界が顔を出す快感がそこにはあるんです。 今回の「愛を、今」はテーマは変えずとも何度も何度も描き直した。最初のバージョンとはもう描いている人が違うくらいに性格の違う言葉達になった。この歌が向かう方、その指針は一つ、「人の心に寄り添えるもの」に向けて。 <BRADIO・真行寺貴秋> ◆紹介曲「 愛を、今 」 作詞:真行寺貴秋 作曲:BRADIO ◆Major 2nd full Album『Joyful Style』 2021年4月21日発売 初回生産限定盤A WPZL-31859~60 ¥4,800+税 初回生産限定盤B WPZL-31861~62 ¥3,800+税 通常盤 WPCL-13291 ¥3,000+税 <収録曲> 1.Time Flies 2.幸せのシャナナ 3.サバイブレーション 4.Switch 5.Fitness Funk 6.愛を、今 7.ケツイ 8.O・TE・A・GE・DA! 9.Be Bold! 10.アーモンド・アーモンド

    2021/04/16

  • SAKANAMON
    努力は無駄にはならないが、報われるとも限らないのです。
    努力は無駄にはならないが、報われるとも限らないのです。

    SAKANAMON

    努力は無駄にはならないが、報われるとも限らないのです。

     2021年4月14日に“SAKANAMON”がConcept Mini Album『ことばとおんがく』をリリースしました。今作には、ネクライトーキー・もっさ(Vo&Gt.)が藤森元生との掛け合いで歌唱参加した「かっぽじれーしょん」やNHK みんなのうたに書き下ろした「丘シカ地下イカ坂」など、全8曲が収録。コンセプトである“言葉遊び”と“音楽”を堪能できる1枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“SAKANAMON”の藤森元生による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第1弾です。綴っていただいたのは、今作『ことばとおんがく』に通ずるお話。“ことば”が苦手だった幼少時代、そして、とあることを感じた中学時代。自身の軌跡を遡って明かしてくださいました。是非、楽曲と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第1弾:『ことばとおんがく』(前編)~ 親の話によると、僕は小学一年生に上がる頃になっても滑舌が悪く、上手に言葉を話せなかったらしくて心配したそうです。僕の「ニュアンスが伝われば良い」という漠然としたコミュニケーション方法は当時から培われていたようです。 勉強が出来ない、運動も出来ない、でも努力をしない。僕の小学校生活に必要な能力ステータスは最悪でした。そのくせ自己顕示欲だけは人一倍強いからタチが悪い。 入学当初、名前がゲンキだから「僕元気でしょ?ゲンキ元気!」という持ちネタ一本で存在アピールして頑張っていました。健気でしょ? そんな僕にも好きな授業が出来ました。「図工」です。 皆が僕の作品を見て評価してくれる。解釈してくれる。この行為が、話す事よりも簡単に自分を「表現」して人とコミュニケーション出来る事に気付いたんです。 図工では、人と違う事をするのが悪い事では無く、寧ろ良しとされる。勉強や運動のように人と競わないし争わない。自由で平和で答えの無い世界。 僕は「物を作る事」に魅了され、アイデンティティーになっていきました。 中学校に上がると「歩くのが早いから陸上部に入りなさい」と親に勧められ陸上部に入ります。運動会の徒競走でずっとビリだった僕は、当然陸上部内でも一番遅かったです。 僕は運動会が嫌いです。徒競走が大嫌いです。無理矢理競わされ、沢山の町内の人達の前でビリの自分を晒し者にされ、親に励まされ、豪華なお弁当を惨めに食べるんです。最悪だ!! そんな自分の思い出を払拭すべく、3年間修行の様な辛~い部活動に耐え抜きます。そして3年目の運動会200m走、僕の努力の集大成の日。5人で競います。1位になるぞ! 結果、1位にはなれませんでした。2位。でも、生涯で初めての2位でした。 1位はバスケ部の爽やかTくん。たまに体育館周りをジョギングしてる程度の癖に1位。でもTくんは小学校時代から足早かったから、生まれ持った運動神経、才能です。 この時「報われる努力」と「報われない努力」がある事を同時に学びました。 努力は無駄にはならないが、報われるとも限らないのです。 僕はより一層、競う事から逃げる生活を送り始めるのでした。 <SAKANAMON・藤森元生> ◆Concept Mini Album『ことばとおんがく』 2021年4月14日発売 初回限定盤(CD+DLカード) TLTO-30 ¥2,700(税込) 通常盤(CDのみ) TLTO-31 ¥1,800(税込) <収録曲> 1.ことばとおんがく 2.かっぽじれーしょん feat.もっさ(ネクライトーキー) 3.鬼(Album ver.) 4.レ点 feat.仁井 聡子(FM802 DJ) 5.丘シカ地下イカ坂 6.いろはうた 7.OTOTOTOTONOO 8.PACE

    2021/04/15

  • Kitri
    私の考えを、たった12文字で言い表してくれたのはMonaである。
    私の考えを、たった12文字で言い表してくれたのはMonaである。

    Kitri

    私の考えを、たった12文字で言い表してくれたのはMonaである。

     2021年4月21日に“Kitri”がセカンドフルアルバム『Kitrist II』をリリース!今作には、新曲「未知階段」や3作連続配信シングル「Lily」「人間プログラム」「赤い月」ほか、新曲を含む全10曲が収録。さらに、2019年に行われた『キトリの音楽会#2』東京公演の全曲を収録したライブ映像と昨年末の“キトリのライブ上映会”で限定公開された新曲「君のアルバム」のMVを収録した豪華二枚組となっております。  さて、今日のうたコラムではそんな“Kitri”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 未知階段 」のお話です。Mona、Hina、それぞれの視点でこの曲に対する想いを明かしてくださいました。是非、歌詞と併せて受け取ってください。 ~歌詞エッセイ第1弾:「 未知階段 」~ <Mona> 自分のこれまでの人生に点数をつけたら、何点くらいになるのだろうか。残念ながら、採点してくれる先生は見当たらない。どこを探しても解答がない。「あの時、ちがう道を選んでいたらどうなっていただろう」と、そんなことを思う瞬間もあるけれど、そればかりでも前に進めない。 人生は、複雑で難解なクイズの連続だ。例えばもし突然歌詞が浮かばなくなったら、私は誰かにアドバイスをもらった方がいいのだろうか、それとも自宅に篭って歌詞が浮かぶのを待つべきだろうか。いやもしくはしばらく作詞をやめるのがいいのだろうか。この1曲が自分の未来を変えるとしたら…。何本にも枝分かれした道の中から、自分なりに答えを選んで探さなければならない。そんな風に歩み進めていく今を「未知階段」と名付けてみた。 小学生の頃までは、まだ“未知階段”が目の前にあることさえ知らなかった。今の自分が遠い未来の自分に繋がっていくなんて考えたこともなく、明日の日課表と給食の献立がその時の人生だった。そしてピアノが好きだった私は、何も疑うことなく毎日ピアノを弾いていた。昨日弾けなかった部分が弾けるようになったり、家族に拍手をもらったり、それが何より嬉しかった。 しかしそんな日々は束の間、私は歳を重ねるにつれて“未知階段”を歩いていることを知る。ピアノを練習すればするほどレッスンも練習内容も本格化する。遊ぶよりピアノ、勉強するよりピアノだった。私はピアノ以外に何をしてきたんだろう。何を得て過ごしてきたんだろう。なんとなくピアノが好きで続けてきただけなのに、知らないうちに、気づけば引き返せないくらい狭くて長い一本道の途中にいることを実感した。 そんな“未知階段”の途中では、想定外なことも起こる。高校生の終わりの頃、ピアノを弾き続ける日々の息抜きに曲作りをはじめ、作曲の楽しさに魅了された。24時間あっても足りないほどピアノの宿題は山ほどあるのに、曲を作って歌詞を書き、こっそり歌を歌う時間があまりに楽しい。ただの趣味だと自分に言い聞かせながら、頭のどこかで、作った曲を多くの人に聴いてもらう将来の自分を想像してしまうようになった。それまで視野にも入れていなかった意外な場所に自分の新しい扉を見つけた感覚だった。 <だから今日を 信じてみるよ> 人生は本当に様々なできごとが起こる。遠回りをした上に引き返すこともある。思わぬ良いニュースが舞い込む。聞きたくない言葉を耳にする。めまぐるしく回る毎日の中で、時に無意識に、時に心を決めて自分の道を進んでいく。この人生の正解を知る人がいないのならば、自分の信じたものを正解にしてしまおうと思った。 これからも、失敗したり間違えたりすることもあるだろう。また時々、自分の選択した道について悩む日がくるかもしれない。Kitriになっていない人生を選び直すことはできないし、想像することも難しい。 それでも、Kitriを結成できて生まれた音楽があり、出会えた人たちがいるんだから。「Kitriの曲に救われました」そんな温かい言葉をかけてもらえるんだから。これもきっと正解なんだろう。 <Hina> お気に入りの本を読み終え、なんとも言えない充足感に包まれた昨日。食後のチョコレート1粒に小さな幸せを感じる今日。明日はどんな出来事が待っているだろうか。 地球上の時間軸で考えた時、誰にも分からないのは明日のことだけである。分からないからこそ、未来は自由だ。自由だからこそ、希望も絶望も抱くことができる。その両者は結果を表しているのではなく、単なる人間の想像に過ぎない。何もかも上手くいかず人生のどん底にいた人も、明日になれば奇跡的なラッキーが待っている可能性だって大いにある。人生は未来が分からないからこそ面白いものだと思う。 私は、過ぎたことを後悔し、分からない明日を心配するより、今の自分を大切にしたいと考えるスタイルで生きている。好きなものに触れ、したいことをして、考えたいことを考える。今を楽しむという単純なことでも、明日に希望を見出すには十分だ。 <だから今日を 信じてみるよ> こうした私の考えを、たった12文字で言い表してくれたのはMonaである。2月24日に配信リリースした「未知階段」という曲の歌詞の最後の一行でこの言葉が出てきてくれて、思わず感謝の気持ちが込み上げてきた程だ。人生をテーマにした壮大なこの曲は、今から遡ること約4年、あの日から始まっていた。 「この動画、すごく魅力的だから見てほしい」と、ある日、Monaから一つの動画を紹介された。それは「就活狂想曲」と題されたアニメーション映像だった。就職活動を通して急速に変わり始める周りと、その変化に戸惑いながらも必死で前に進もうと孤軍奮闘する主人公の姿が描かれている。絵の動きや表情、色合い、音楽、一つ一つの細かな芸術が集まり、個性豊かな作品となっている。世の中を少し斜めから見たエッジの効いたストーリーも多くの人の共感を呼んでおり、私もその一人としてこの動画に魅了された。 それから数ヶ月が経った頃、新しい曲を書いたと言われ、Monaから音を受け取った。それが正に「未知階段」である。前述の動画からインスピレーションを受けて書いたというこの曲は、ドラマチックな展開と、より奇抜で尖ったピアノと歌のメロディが心の奥を素手で掴んでくる。そんな曲だと私は感じた。 その時期、まだ私たちは“Kitriらしい音楽”というものを模索中だった。どんな音楽を届けたいのか、どんな音楽をKitriの代名詞にすれば良いのか、と。出来上がった「未知階段」のデモを何度も聴きながら、これはもしかすると、Kitriの第二章、いや第三章くらいを飾る一曲になるのではないかと考えた。 余談にはなるが、この曲があったからこそ「羅針鳥」という曲が生まれたのだと私は思っている。ある意味でKitriのデビューの第一歩はこの「未知階段」から始まっていたとも言えるかもしれない。そこから何度もブラッシュアップを重ね、温めて温めて温め続けて、ようやくリリースに至ることができる今、期待が私の胸を埋め尽くしている。 それにしても、この曲は私の中で、Kitri史上最も難しいと言える曲かもしれない。ピアノレコーディンクでは、数学の応用問題30問を5分で解きなさいと言われているような緊張感があった。初めて歌いながらピアノを弾いた時は、極小の歯車を噛み合わせなければならないような焦燥感があった。しかし今となっては、そういった難しさも楽しめるほど満足感を得られる曲になってくれている。 自分の人生には様々な人物が登場する。家族、親戚、友人、恩師、仕事仲間、応援してくれる人、見知らぬ誰か…。出会ってきた全ての人の行動が自分の人生に作用し、そしてまた自分も全ての人の人生に作用しているのかと思うと、何となく身の引き締まる思いがする。 私の目標は、人生という未知なる階段を楽しみながら登っていくことだ。そこですれ違う人々と言葉を交わし、縁を紡ぎながら、階段の先にある色々な扉を開けてみたい。希望ある未来を想像しながら、今日も今日の私を信じてみよう。 <Kitri> ◆紹介曲「 未知階段 」 作詞:Mona 作曲:Mona ◆セカンドフルアルバム『Kitrist II』 2021年4月21日発売 CD+Blu-ray COZB-1741-2 ¥5,000(税込) <収録曲> 1.未知階段 2.人間プログラム 3.青い春 ※TBS系テレビ「ひるおび!」4月度エンディングテーマ 4.NEW ME 5.羅針鳥(S.A. Rework) 6.小さな決心 7.水とシンフォニア 8.赤い月 9.パルテノン銀座通り 10.Lily 11.君のアルバム

    2021/04/14

  • Hi Cheers!
    人は前に進むためにちゃんとお別れをするのだ
    人は前に進むためにちゃんとお別れをするのだ

    Hi Cheers!

    人は前に進むためにちゃんとお別れをするのだ

     2021年4月7日に“Hi Cheers!”が新曲「monologue」を配信リリースしました。同曲は、白石聖が主演のドラマ『ガールガンレディ』主題歌、Hi Cheers!としては初の書き下ろし楽曲です。月川玲(Ba&Vo)とChie(Gt&Vo)がメインボーカルを務める、儚くも切ないドラマの世界観とマッチしたミディアムバラード楽曲となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Hi Cheers!”の高村風太による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「 monologue 」に通ずるお話です。誰にでもいつかは必ず訪れる別れ。だからこそわたしたちが大事にすべきものとは…。是非、大切なひとを思い浮かべながら、このエッセイと歌詞を読んでみてください。 ~歌詞エッセイ:「 monologue 」~ いつの間にか時は過ぎて気付かぬうちに僕らの前を通り過ぎている。ハッと振り返った時には、祭りの後で残り香のようなものだけが漂っている。 人はやたらと別れというものを明確にしたがると僕は思う。いつの時代も失恋のうたがあって、式典としての卒業式のようなものがあったり。また絶対会おうね!!と言って別れるが、果たして本当にまた会えるのだろうか。 正直、いろんな便利なものを使えば、何年も連絡を取っていない人に対してもコミュニケーションをはかれるし、ましてや共通の友人等がいれば、嫌でも何かしらの近況のようなものを小耳に挟む機会は何かとある。 ただひとつ死別というものを除いて。 僕はまだ強烈な体験としての死別というものに対峙したことはない。祖父、祖母との別れは経験として持ち合わせているが、基本的に年長の家族というものは自分より先に旅立ってしまうし、そうあって然るべきだ。 ただ、全く予期せぬ別れというものに遭遇した時、自分の感情はどうなるのであろうか。自分の中に確かにその人というものが存在していた分、ぽっかりと穴が空いてしまい、そして、その穴が二度と埋まることはないのであろう。ましてちゃんとお別れができず、いつの間にか目の前からいなくなってしまうこともあるだろう。さよならとありがとうも伝えられずに。 僕らは生活の中で明確に別れというものを意識すべきなのだと思う。出会った時点で確実にその終着点は別れなのだ。だからこそ、寄りかかりあう心地よさをより一層感じることができ、お互いがお互いをより一層分かろうと努力できるのではないかと。そして、いつの日か、ここから先は一緒には行けないということに気づきお別れをする。その別れの先にまた新しい出会いがある。 あたらしい自分 あたらしい世界 歩んできた道のりに対して、まったくの未練がないといえば嘘になるだろうが、道が切り替わったのではなく、確かに続いている決して途切れることのない道を歩いているのだから。 人は前に進むためにちゃんとお別れをするのだ。もう今までのようにそばにいることはできないかもしれないけれど、そこまで大切に思える人に出逢えたことがなによりも幸せなことだと思って、ただ先の見えない道をこれからも一人歩いていく。 終わってしまうその日まで。 <Hi Cheers!・高村風太> ◆紹介曲「 monologue 」 作詞:高村風太 作曲:高村風太

    2021/04/13

  • FIVE NEW OLD
    アイスが溶け切る前に。
    アイスが溶け切る前に。

    FIVE NEW OLD

    アイスが溶け切る前に。

     2021年4月7日に“FIVE NEW OLD”がニューアルバム『MUSIC WARDROBE』をリリースしました。KOSE『SUNCUT(R)プロディフェンス』CMソング「Summertime」、アサヒ『MINTIA』CMソング「Breathin’」、ECC ジュニア CMソング「Light Of Hope」のタイアップ3曲と、HIROSHI(Vo/Gt)も出演のドラマ『3Bの恋人』主題歌「Hallelujah」他、初めての日本語詞曲「Vent」、coldrain Masato をゲストボーカルに迎えた「Chemical Heart (feat. Masato from coldrain)」など、彼らの今が詰まった、聴き応え十分なアルバムが完成!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“FIVE NEW OLD”のHIROSHI(Vo/Gt)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作『MUSIC WARDROBE』に宿っている実体験のお話です。当たり前だった日常がガラリと変わったコロナ禍。彼は一体どのように過ごし、どのようなことを考えたのでしょうか。是非、楽曲と併せてこのエッセイもお楽しみください。 ~歌詞エッセイ:「アイスが溶け切る前に」~ 仕事帰りにピスタチオアイスを買った。今、机の横で少しずつ食べごろを迎えようとしている。これを書き終えたら、寝る前にそれを口の中で溶かし、甘い余韻を、歯磨き粉で上塗りしてから床に入ろうという算段だ。アイスの食べごろを逃さぬよう、テンポよく筆を進めねば…。 とは言ったものの、さて何を書こうか。エッセイのお話を頂いて、他のアーティストさんのものを拝読してみたが、まぁ、皆さんの文才の凄まじいこと…!「どないなってんねん!? 皆さん前世か、前職で小説家なさってたんですか?」と、レベルの高さに舌を巻きながら、楽しく読ませて頂きました。…なんて事を言って少しでも文章量を増やそうとしている自分の姑息さは、大学のレポートを白目剥きながら書いていた頃からちっとも変わらないみたいです。お母さん。 アイスが溶けてしまいそうなので、本題に入ろう。 2020年、コロナ禍の世界。FIVE NEW OLDは10周年のアニバーサリーライブを皮切りに、オリンピックイヤーの勢いに任せてどんちゃん騒ぎしてやろうと思っていたのだが、そんな計画などお構いなしに、世界はコロナウィルスの脅威に晒され、当たり前だった日常をガラリと変えた。ライブはもちろん、今まで通りの暮らしを送ることも、友達に会うこともままならない日々。 10年続けてきた音楽漬けの毎日からポッと放り出された僕は当初、この状態が長く続くとは思わずにインドアな非日常を楽しんでいた。家事を放棄してオンラインゲームに没頭し、「Uber Eatsありがてえええ!」と運んで頂いた料理で腹を満たす日々。心の片隅、薄眼でこちらを睨む「罪悪感」をやり過ごしながら、「まぁ、こんなん今だけやしな。」と自堕落の沼に埋もれていた。 ところが、ご承知の通り世界は元に戻らなかったのである。なぜ、どこから湧いてくるのか解明できない謎の「罪悪感」はジワジワと膨れ上がり、自堕落な日々にその「価値」を問いかけ始める。 「俺は一体、何してんだ?」と。 こうなってくると心身ともによろしくないので、何か始めなくては行けないのです。 「さよなら、全ての自堕落。」 ようやく自分の本分を思い出し、曲を作り始めた。 「こんな状況の中で、戦っている人がいるんやなぁ。」とか、「きっと俺みたいに、腐りかけてる人おるんやろうなー。」とか、人に会っていないのもあり、いつも以上に人に想いを馳せやすかったのだろう。「ライブも出来ないし、直接ファンの人達に会いに行けないなら、会いに行ける音楽を作ろう。」ふと、心にそんな気持ちが芽生えてきた。 そこから、メンバーと久々に会って想いを交わして、曲を作り始めた。スタジオに入って一緒に音を鳴らす。それだけで幸せが湧き上がってくる。忘れかけていた熱を取り戻したような感覚だった。アルバムの制作に向けて、自分たちのプライベートスタジオを作り、4人でそこに集まって制作をすると、音を紡いでいくのが楽しくて、嬉しくて、おもちゃで遊ぶ子供みたいだった。 腐りかけていた僕は、このアルバムを作る事で救われていった。 その後の暮らしは自堕落でいることは減っていった(たまにはあったけど)。せっかく時間があるからこそ、手間をかけて暮そう。久々にレコードを集めて見つけたフランク・シナトラの「Fly Me to The Moon」は、リビングをラウンジのように優雅にしてくれる。自分でコーヒーを淹れたくなって、初めて豆から挽いてみたら、まさに「月にだって飛んでいけそう」な幸福感だった。 デジタライズされて簡単にできる事に敢えて自分で手間をかけ、その時間を味わう。それだけで人生には贅沢な幸せが山ほど転がっているのだ。日常を音楽はよりドレスアップしてくれるとフランク・シナトラは教えてくれた。 今回生まれた『MUSIC WARDROBE』には僕自身のそんな実体験が宿っている。幸せな時も、辛い時も、音楽を暮らしの中で身に纏えば、心が、人生が動きだす。効率や、必要性だけじゃない大切なものがある。 さて、そろそろアイスは食べごろだろうか? この先ピスタチオアイスを食べる度に、僕はこのエッセイを思い出すだろう。今回のエッセイは僕にとってピスタチオアイスを美味しくいただく為の「ひと手間」なのだから。 それではこの辺で失礼。 <FIVE NEW OLD HIROSHI(Vo/Gt)> ◆ニューアルバム『MUSIC WARDROBE』 2021年4月7日発売 初回限定盤 WPZL-31819/20 ¥4,500+税 通常盤 WPCL-13280 ¥3,000+税 <収録曲> 1 My house 2 Summertime 3 Breathin' 4 Hallelujah 5 Sleep in Till The Afternoon 6 Don't Be Someone Else 7 Oblivion 8 How to Take My Heart Out 9 Nebula 10 Chemical Heart (feat.Masato from coldrain) 11 Knock Me Out 12 Plane Garden 13 Light Of Hope 14 Vent 15 Moment 16 Awakening

    2021/04/12

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