高田渡作曲の歌詞一覧リスト  57曲中 1-57曲を表示

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曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
生活の柄T字路sT字路s山之口貘高田渡歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず 寝たのです 歩き疲れては 草に埋もれて 寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです  近ごろは眠れない 陸をひいては眠れない 夜空の下では 眠れない ゆり起こされては 眠れない  そんな僕の 生活の柄が 夏向きなのでしょうか 寝たかと思うと 寝たかと思うと またも冷気に からかわれて  秋は 秋からは浮浪者のままでは眠れない 秋は 秋からは浮浪者のままでは眠れない  歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず 寝たのです
珈琲不演唱豊崎愛生豊崎愛生高田渡高田渡三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  おはよう可愛い娘ちゃん ご機嫌いかが? 一緒にどう 少しばかりってのを 俺の好きなコーヒーを少しばかり  いい娘だな ねえ、熱いのお願い そう、熱いのお願い そう、最後の一滴が勝負さ 俺の好きなコーヒーを少しばかり  三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  あんたもどう? 少しばかりってのを
座蒲団半田健人半田健人山之口貘高田渡半田健人土の上には床(とこ)がある 床の上には畳がある 畳の上にあるのが座蒲団で その上にあるのが楽という 楽の上にはなんにもないのでしょうか  どうぞお敷きなさいとすすめられて 楽に坐るさびしさよ 土の世界をはるかに見おろしているかのように 住み馴れぬ世界がさびしいよ  土の上には床がある 床の上には畳がある 畳の上にあるのが座蒲団で その上にあるのが楽という 楽の上にはなんにもないのでしょうか
自転車にのってnever young beachnever young beach高田渡高田渡自転車にのって ベルをならし あそこの原っぱまで 野球のつづきを そして帰りにゃ 川で足を洗って 自転車にのって おうちへ帰る  自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから  自転車にのって ベルをならし となりの町まで いやなおつかいに そして帰りにゃ 本屋で立ち読みを 日が暮れてから おうちに帰る  自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから  自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから
仕事さがし高田漣高田漣高田渡高田渡乗るんだよ 電車によ 乗るんだよ 電車によ 雨の日も風の日も 仕事にありつきたいから  飲むんだよ にがいコーヒーをよ 飲むんだよ にがいコーヒーをよ 履歴書を書く為に 仕事にありつきたいから  新聞を見たよ 新聞だって見たよ 電話だってかけたよ 仕事にありつきたいから ずい分 歩いたよ ずい分 ずい分ね いろんな奴にもあったよ 仕事にありつきたいから  乗るんだよ 電車によ 乗るんだよ 電車によ 雨の日も風の日も 仕事にありつきたいから
自転車に乗って高田漣高田漣高田渡高田渡自転車にのって ベルをならし あそこの原っぱまで 野球のつづきを そして帰りにゃ 川で足を洗って 自転車にのって おうちへ帰る  自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから  自転車にのって ベルをならし となりの町まで いやなおつかいに そして帰りにゃ 本屋で立ち読みを 日が暮れてから おうちへ帰る
フィッシング・オン・サンデー高田漣高田漣高田渡高田渡日曜日には 日曜日には あの小川まで のんびりと魚釣りにでも 朝早くから夕暮れまで 糸を下げて一日過ごします  脇にゃ酒でも一本抱きかかえ あの小川まで魚釣りに 日頃の鬱憤を餌にして 糸を垂れて一日過ごします  あの爺さんは魚釣りの名人だ 糸を引き上げるその時 しわがれ声を押し堪え 全身に笑みを浮かべてる そして そして 糸を引き上げると すると魔法のように 竿から夕暮れが 辺り一面に広がるではないか
コーヒーブルース高田漣高田漣高田渡高田渡三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  おはよう可愛い娘ちゃん ご機嫌いかが 一緒にどう 少しばかりってのを  俺の好きなコーヒーを少しばかり  三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダへね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  いい娘だな ひんとにいい娘だな 熱いのお願い そう、熱いのお願い そう、最後の一滴が勝負さ 俺の好きなコーヒーを少しばかり  三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  あんたもどう 少しばかりってのを
銭がなけりゃ高田漣高田漣高田渡高田渡北から南からいろんな人が 毎日家をはなれ 夜汽車にゆられ はるばると東京までくるという 田んぼからはい出 飯場を流れ 豊作を夢みて来たが ドッコイ!そうは問屋が おろさない お役人が立ちふさがって 言うことにゃ わかってるだろうが来年は 勝負なんだよ……!?  銭がなけりゃ君! 銭がなけりゃ 帰った方が身の為さ アンタの故郷へ  東京はいい所さ 眺めるなら申し分なし 住むなら青山に決まってるさ 銭があればネ!  (日当) テズラをどう使おうと アンタの勝手さ だけど妻子恋しさに 酒びたりなんてのは もっての他だよ まして一般人(?)と一緒に 付き合いたいのなら そうだよ! 今いる所が一番いいさ オレのこと聞いてりゃ まずまずさ!? お役人だってテレビでも いってたよ!  銭がなけりゃ君! 銭がなけりゃ 帰った方が身の為さ アンタの故郷へ  大阪はいい所さ 眺めるなら申し分なし 住むなら芦屋に決まってるさ 銭があればネ!
ひまわり高田漣高田漣FOREST BERNARD・訳詞:中島完高田渡知ってますか この春 わたしの岡に 模様のようにやって来て 呼びもしないのにやって来て 室に向かい その模倣をひろげ そして そのあと深く 頭を垂れて死んでいった 向日葵たちを
系図高田漣高田漣三木卓高田渡ぼくがこの世にやって来た夜 おふくろは めちゃくちゃに うれしがり おやじはうろたえて 質屋に走り それから酒屋をたたきおこした  その酒を 飲み終るやいなや おやじは いっしょうけんめい ねじりはちまき 死ぬほど働いて 死ぬほど働いて その通りくたばった  くたばってからというもの こんどは おふくろが いっしょうけんめい 後家のはぎしり 後家のはぎしり がんばって ぼくはごらんの通り  ひのえ馬のおふくろは おふくろはことし60才 おやじをまいらせた 昔の美少女は すごく太って 元気がいいが  じつはせんだって ぼくにも娘ができた 女房はめちゃくちゃに うれしがり ぼくは うろたえて 質屋に走り それから 酒屋を たたきおこしたのだ  ぼくがこの世にやって来た夜 おふくろは めちゃくちゃに うれしがり おやじはうろたえて 質屋に走り それから酒屋をたたきおこした
ブラザー軒高田漣高田漣菅原克己高田渡東一番丁、ブラザー軒。 硝子簾がキラキラ波うち、 あたりいちめん 氷を噛む音。  死んだおやじが入って来る。 死んだ妹をつれて 氷水喰べに、 ぼくのわきへ。  色あせたメリンスの着物。 おできいっぱいつけた妹。 ミルクセーキの音に、 びっくりしながら。  細い脛だして 細い脛だして 椅子にずり上がる 椅子にずり上がる  外は濃藍色のたなばたの夜。 肥ったおやじは小さい妹をながめ、 満足気に氷を噛み、 ひげを拭く。  妹は匙ですくう 白い氷のかけら。 ぼくも噛む 白い氷のかけら。  ふたりには声がない。 ふたりにはぼくが見えない。 おやじはひげを拭く。 妹は氷をこぼす。  簾はキラキラ、 風鈴の音、 あたりいちめん 氷を噛む音。  死者ふたり、つれだって帰る、 ぼくの前を。 小さい妹がさきに立ち、 おやじはゆったりと。  ふたりには声がない。 ふたりには声がない。 ふたりにはぼくが見えない。 ぼくが見えない。  東一番丁、ブラザー軒。 たなばたの夜。 キラキラ波うつ 硝子簾の、向うの闇に。
生活の柄高田漣高田漣山之口貘高田渡歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず寝たのです 歩き 疲れては 草に埋もれて寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです  近ごろは眠れない 陸をひいては眠れない 夜空の下では眠れない ゆり起こされては眠れない 歩き 疲れては 草に埋もれて 寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです  そんな僕の生活の柄が 夏向きなのでしょうか 寝たかと思うと寝たかと思うと またも冷気にからかわれて 秋は 秋からは 浮浪者のままでは眠れない  歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず寝たのです
雨の日高田漣高田漣高木護高田渡たったいっぺんも悪いことをしなかった アリラン爺さんが病みついた 雨の降る日はしがない渡世に理屈をつけろ 貧乏くじはどうだい? 貧乏くじはどうだい? どこかの後家よ どこかの後家よ あたしのあそこいらないか?  おっかあに逃げられた仁義に妙に大きな 耳までが昨日と今日の算盤をはじいている よしんば明日を占い アリラン爺さんが死んでも 人夫には勲章は無く 軒下三寸に雨が降る
火吹竹高田漣高田漣高田豊高田渡毎晩夜通し起きていて 僕は 何んにもしていやしないのです この間の晩火吹竹を作った ブー ブー ブー 火鉢一杯に 真赤な炭が盛れ上がってくる  炭はまた直ぐたつてしまいます ブー ブー 火吹竹の音を聞いていると 外は雪のように静かです ほんとうに 夜通し、僕は 何んにもしていやしないのです
生活の柄ハンバート ハンバートハンバート ハンバート山之口貘高田渡歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず寝たのです 歩き 疲れては 草に埋もれて寝たのです 歩きつかれ 寝たのですが 眠れないのです  近ごろは眠れない 陸をひいては眠れない 夜空の下では眠れない ゆり起こされては眠れない 歩き 疲れては 草に埋もれて寝たのです 歩きつかれ 寝たのですが 眠れないのです  そんな僕の生活の柄が 夏向きなのでしょうか 寝たかと思うと寝たかと思うと またも冷気にからかわれて 秋は 秋からは 浮浪者のままでは眠れない  歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず寝たのです
ブラザー軒ハンバート ハンバートハンバート ハンバート菅原克己高田渡東一番丁、 ブラザー軒。 硝子簾がキラキラ波うち、 あたりいちめん氷を噛む音。  死んだおやじが入って来る。 死んだ妹をつれて 氷水喰べに、 ぼくのわきへ。  色あせたメリンスの着物。 おできいっぱいつけた妹。 ミルクセーキの音に、 びっくりしながら  細い脛だして 椅子にずり上がる。  外は濃藍色のたなばたの夜。 肥ったおやじは 小さい妹をながめ、 満足気に氷を噛み、 ひげを拭く。  妹は匙ですくう 白い氷のかけら。 ぼくも噛む。 白い氷のかけら。  ふたりには声がない。 ふたりにはぼくが見えない。 おやじはひげを拭く。 妹は氷をこぼす。  簾はキラキラ、 風鈴の音、 あたりいちめん氷を噛む音。  死者ふたり つれだって帰る、 ぼくの前を。 小さい妹がさきに立ち、 おやじはゆったりと。  東一番丁、 ブラザー軒。 たなばたの夜 キラキラ波うつ 硝子簾の向うの闇に。
ごあいさつ鎮座DOPENESS鎮座DOPENESS谷川俊太郎高田渡どうもどうもいゃーどうも 何時ぞや色々この度はまた まあまあひとつまーひとつ そんな訳でなにぶんよろしく ナニの方はいずれナニして そのせつゆっくりいゃどうも
あきらめ節高田渡高田渡添田唖蝉坊高田渡地主金持は我儘者で 役人なんぞは威張る者 こんな浮世へ生れてきたが わが身の不運と あきらめる  お前この世へ何しに来たか 税や利息を払うため こんな浮世へ生れてきたが わが身の不運と あきらめる  米は南京 おかずはひじき 牛や馬でもあるまいし 朝から晩まで こきつかわれて 死ぬよりましだと あきらめる  あせをしぼられ 油を取られ 血を吸いとられて そう上に ほうり出されて ふんづけられて これも不運と あきらめる  苦しかろうがまた辛かろが 義務は尽くさにゃならぬもの 権利なんぞをほしがることは できるものだと あきらめる  たとへ姑が鬼でも蛇でも 嫁は柔順(すなお)にせにゃならぬ どうせ懲役するよなものと 何もいわずに あきらめる  借りたお金は催促されて 貸したお金は取れぬもの どうせ浮世は斯様(こう)したものと わたしゃ何時でも あきらめる  おらが一票でうかった議員 今じゃ 汚職の だいべん者 おらあ どうしよう困ったな これも 不運とあきらめる  長いものには巻かれてしまえ 泣く子と資本家にゃ勝たれない 貧乏は不運で病気は不幸 時よ時節と あきらめる  あきらめなされよあきらめなされ あきらめなさるが無事であろ わたしゃ自由の動物だから あきらめきれぬと あきらめる
ブラブラ節高田渡高田渡添田唖蝉坊高田渡今年こそはほんとうにうんと働くぞ 「そして」「あゝして」「こうもする」 うその行きどまりの大晦日 なったなったなったなった大晦日が正月に なってまたおめでたく ブーラブラ  「栄作はんどちらへお出かけはりまっか なんぞボロイことおまへんか」 「アタイもやっぱりその口や」 なったなったなったなった 世の中が不景気になって そうしてまたどうなるもんやブーラブラ  物価がさがったかと町へ出てみれば くらしが苦しくてやり切れぬ 「困る」「困る」のグチばかり なったなったなったなった 失業者が多数になって どうしてまたどうなるもんか ブーラブラ  寒い寒いよ今年は寒い 外国米やラーメンばかり食ったために こんなに寒さが身にしみるのか なったなったなったなった人間が栄養不良に なってまた薄着で ブールブル  ベランメ日本人だ貧乏していても なんで飢死(うえじに)なんかするもんかと 腹はへってもへらず口 なったなったなったなった骨と皮ばかりに なってもまだ生きてる ヒョーロヒョロ  電車の乗っては権威がおちる なんてこといわれても自動車には乗れないし 中途半ぱの エリートさん のったのったのったのった エリートが電車にお客に なってまたつり革で ブーラブラ  衣服はボロになるボロは紙になる 紙はまた金になる またも 貧乏人が泣かされる なったなったなったなったBGの涙がダイヤに なってまた妾の頭で ピーカピカ  親父は片腕をなくし 家をなくしたり かわいいせがれを前にして 昔し話しに花咲かす なったなったなったなったかわいいせがれが 自衛官になってまたみられるもんか ブールブル  鳥は空を飛びまわり 虫さへ青葉に巣を作る おれたちゃ人間 家がない おれたちゃ人間 家がない なったなったなったなった うんとこさと宿なしに なってまたあっちこっちでブーラブラ
鎮静剤和幸和幸マリー・ローランサン高田渡加藤和彦退屈な女より もっと哀れなのは かなしい女です。  かなしい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。  不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。  病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。  捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。  よるべない女より もっと哀れなのは 追はれた女です。  追はれた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。  死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。
銭がなけりゃ高田渡・岩井宏高田渡・岩井宏高田渡高田渡北から南からいろんな人が 毎日家をはなれ夜汽車にゆられ はるばる大阪まで来るという 田んぼからはい出 飯場を流れ 豊作を夢見て来たが ドッコイ! そうは問屋がおろさない お役人が立ちふさがって言うことにゃ わかってるだろが70年は勝負なんだよ  銭がなけりゃ君銭がなけりゃ 帰った方が身のためさ アンタの故郷へ 大阪はいい所さ 住むならアシヤに決まってるさ 銭があればネ  日当をどう使おうとそりゃアンタの勝手さ だけど妻子恋しさに 酒びたりなんてもっての他だよ まして一般人と付き合いたいのなら そうだよ 今いる所が一番いいのさ オレのこと聞いてりゃまずまずさ お役人だってテレビでも言ってたよ  銭がなけりゃ君銭がなけりゃ 帰った方が身のためさ アンタの故郷へ 大阪はいい所さ 住むならアシヤに決まってるさ 銭があればネ
自転車にのって高田渡・岩井宏・加川良高田渡・岩井宏・加川良高田渡高田渡自転車にのって ベルをならし あそこの原っぱまで 野球のつづきを そして帰りにゃ 川で足を洗って 自転車にのって おうちへ帰る  自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから  自転車にのって ベルをならし となりの町まで いやなおつかいに そして帰りにゃ 本屋で立ち読みを 日が暮れてから おうちに帰る
年輪・歯車小室等小室等有馬敲・山之口獏高田渡ふとかれに出あって ふとキスされて ふとかれが好きになって ふとすばらしいとおもって  ふとほほえんで ふと大きな声をあげて ふと未来を夢みて ふと美しい生活をはじめて  ふと子どもに見とれて ふとかれの変化に気づいて ふと捨てられたことをしって ふと涙をながして ふとひとりぼっちになって ふと身よりをたずねて ふと顔のしわをみつめて ふと眼を閉じて  靴にありついて ほっとしたかと思うと そうズボンがぼろになっている ズボンがぼろに  ズボンにありついて ほっとしたかと思うと 上着がぼろぼろになっている 上着がぼろぼろに  上着にありついて ほっとしたかと思うと そうもとに戻ってまた もとに戻ってまた  ぼろ靴をひきづって ぼろ靴をひきづって ぼろ靴をひきづって 靴を探しまわっている  ふとひとりぼっちになって ふと身よりをたずねて ふと顔のしわをみつめて ふと眼を閉じて
コーヒーブルースQuinka, with a YawnQuinka, with a Yawn高田渡高田渡三条へ行かなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  お早よう かわいい娘ちゃん ご機嫌いかが? 一緒にどう 少しばかりってのを オレの好きなコーヒーを 少しばかり  いい娘だな ねえ あついのをおねがい そう あついのをおねがい そう 最後の一滴が勝負さ オレの好きなコーヒーを 少しばかり (クリープを入れない コーヒーなんて……)  三条へ行かなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  あんたもどう? 少しばかりってのを
鎮静剤夏木マリ夏木マリローランサン・訳詞:堀口大学高田渡退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です  悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。  不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です  病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です  捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です  よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です  追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です  死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です
あきらめ節加川良加川良唖蝉坊・高田渡高田渡地主 金持は わがままもので 役人なんぞは いばるもの こんな浮世へ 生まれてきたが わが身の不運と あきらめる  お前この世へ 何しにきたか 税や利息を払うため こんな浮世へ 生まれてきたが わが身の不運と あきらめる  米は南京 おかずはきなこ 牛や馬でも あるまいし 朝から晩まで こきつかわれて 死ぬよりましだと あきらめる  汗をしぼられ 油をとられ 血を吸いとられてその上に ほうり出されて ふんづけられて これも不運と あきらめる  苦しかろうが 又 つらかろが 義務はつくさにゃ ならぬもの 権利なんぞを ほしがることは できぬものだと あきらめる  長いものには まかれてしまえ 泣く子と資本家にゃ 勝たれない 貧乏は不運で 病気は不幸 時世時節と あきらめる  あきらめなされよ あきらめなされ あきらめなさるが 無事であろう 私しゃ自由の動物だから あきらめきれぬと あきらめる
値上げ(変化)藤田陽子藤田陽子有馬敲高田渡Takeshi“Tico”Toki(Little Tempo)値上げは ぜんぜん考えぬ 年内 値上げは考えぬ 当分 値上げはありえない 極力 値上げはおさえたい 今のところ 値上げはみおくりたい すぐに 値上げを認めない  値上げがある としても今ではない なるべく値上げはさけたい 値上げせざるを得ないという声もあるが 値上げするかどうかは検討中である 値上げもさけられないかもしれないが まだまだ時期が早すぎる  値上げの時期は考えたい 値上げを認めたわけではない すぐに値上げはしたくない 値上げには消極的であるが 年内 値上げもやむを得ぬ 近く 値上げもやむを得ぬ 値上げもやむを得ぬ 値上げにふみきろう
自衛隊に入ろう高田渡高田渡高田渡高田渡みなさん方の中に 自衛隊に入りたい人はいませんか ひとはたあげたい人はいませんか 自衛隊じゃ 人材もとめてます  自衛隊に入ろう 入ろう 入ろう 自衛隊に入れば この世は天国 男の中の男はみんな 自衛隊に入って 花と散る  スポーツをやりたい人いたら いつでも 自衛隊におこし下さい 槍でも鉄砲でも 何でもありますよ とにかく 体が資本です  鉄砲や戦車や ひこうきに 興味をもっている方は いつでも自衛隊におこし下さい 手とり 足とり おしえます  日本の平和を守るためにゃ 鉄砲やロケットがいりますよ アメリカさんにも手伝ってもらい 悪い ソ連や中国をやっつけましょう  自衛隊じゃ 人材もとめてます 年令 学歴は問いません 祖国のためなら どこまでも 素直な人を求めます
夜風のブルース高田渡高田渡ラングストン・ヒューズ、訳詞:斎藤忠利高田渡皆さん わっしが北部に来ましたのは 北部は すてき と聞いたので わっしが北部に来ましたのは 北部は すてき と聞いたので こちらに来てから 六ヶ月――― 今にも 気でも狂いそう  今朝も 今朝とて 朝飯に 噛んでみたのが 朝の風 今朝も 今朝とて 朝飯に 噛んでみたのが 朝の風 ところが 今夜の夕飯に とっておいたは 夜の風  ちょっと 踊ってみたいもの ほんの わっしの憂さばらし――― ちょっと 踊って 心の憂さでも はらいたい わっしが踊っているときは 憂さの奴めが 逃げまする  どうして もの憂くなるのかと わっしに聞いてみたくとも どうして もの憂くなるのかと わっしに聞いてみたくとも わっしに聞くには及ばない――― わっしの顔見りゃ すぐわかる!  ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
失業手当高田渡高田渡ラングストン・ヒューズ、訳詞:木島始高田渡一晩じゅう まんじりともせず 愛のことで 明るい 昼が ぼくを つかまえた 知らないまに―――眠りこけて。  「また 仕事に おくれたな」 親方は 云った 「おまえは クビだ!」  それで ぼくは ベッドに もどった そして いちばん 楽しい 夢を みた、 カレドニアの 腕を ぼくの 頭を したにして。  ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
バイバイ高田渡高田渡ヴォルフ・ビアーマン、訳詞:野村修高田渡あいつはキスのとき、おれの血が出るまで噛んだ くちびるを噛んだのよ、てなものじゃない。  おれがわめいても―――あいつは笑うだけ。 そこでおれは がくっときた。  おれは塩胡椒をふってビフテキを焼きあげた 噛むのが好きなあいつの歯のために。  あいつは笑った、そいつを窓から投げだした そしてキスした おれを噛んだ。  おれはあいつの車に張りつけにされた けちなキス泥棒のように。  笑いに笑ってあいつはがたがたにした おれの手足を わるい女め。  いためつけられたおれのアワレな肉体には 無傷な皮膚のカケラも脂肪もなくなった。  でも、おれがあいつにバイバイといったとき あいつは噛んだ じぶんのベッドを。  おれの手傷はとっくにいえている。 いまおれに惚れてるのは、優しいマリー。  でもおれがマリーを腕にだくとき 考えるのは 考えるのは 考えるのは マリーじゃない。   ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
すかんぽ高田渡高田渡ヨアヒム・リンゲルナッツ、訳詞:板倉鞆音高田渡土堤の上ですかんぽは レールの間に立っていた 急行ごとに気を付けをし 人の旅するを眺めていた  埃にまみれ、煙を吸い 肺をわずらい、うらぶられた 哀れな草、弱い茎 眼あり、心あり、耳もある  汽車は去り、汽車は近づく 哀れなすかんぽは 鉄道ばかり見て暮し かつて汽船を見たことなし   ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
ヘイ・ヘイ・ブルース高田渡高田渡ラングストン・ヒューズ、梅田智江、訳詞:斎藤忠利高田渡水でも ヘイ ビールなら ヘイ・ヘイ 水でも ヘイ ビールなら ヘイ・ヘイ 上等のコーン・ウィスキー飲ましてくれりゃ ヘイ・ヘイのヘイで―――よう 乾杯! なあ おい ブルースでも さらりと弾けるんなら 一晩中 弾いて貰いたいね なあ おい ブルースでも さらりと弾けるんなら 一晩中 弾いて貰いたいね 文句云わずに 弾けってことよ なあ 先生 正邪の区別が つかなくなるまでよ  ブルースを弾いてる間中 おいらもうたうぜ で ブルースを弾いてる間中 おいらも うたうぜ どんな風に弾こうが かまわねえや なんとか つけていくからよ  水でも ヘイッて楽しめるからよ ビールなら ヘイ・ヘイだ――― 水でも ヘイ ビールなら ヘイ・ヘイ――― 上等のコーン・ウィスキー飲ましてくれりゃ ヘイ・ヘイのヘイで――― よう 乾杯!  イー・イーのイ・フウ・ウー・ウーのウ!  うま といい まんとひひ と言い 豚の子 猫の子 ライオンと言い みんな あそこから出てきた  ひとの子も 人並にみんな あそこから 出てきたことは出てきたのだが  人の中のある人は あそこでお金を儲けたりして あそこで 差をつけたりしている   ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
向日葵高田渡高田渡バーナード・フォレスト、訳詞:中島完高田渡知ってますか この春 わたしの岡に 模様のようにやって来て 呼びもしないのにやって来て 室に向かい その模倣をひろげ そして そのあと 頭を垂れて死んでいった 向日葵たちを   ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
鎮静剤高田渡高田渡マリー・ローランサン、訳詞:堀口大学高田渡退屈な女より もっと哀れなのは かなしい 女です。  かなしい女より もっと哀れなのは 不幸な 女です。  不幸な女より もっと哀れなのは 病気の 女です。  病気の 女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。  捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない 女です。  よるべない女より もっと哀れなのは 追われた 女です。  追われた女より もっと哀れなのは 死んだ 女です。  死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた 女です。   ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
ブルース高田渡高田渡エミリー・ディキンソン、訳詞:中島完高田渡泣くなんて ちいさなこと ため息つくなんて つまらないこと  だのに このふたつの 大きさを とりかえとりかえして 男も女も 死んでゆく   ※原詩を載せております。 楽曲の歌詞、及びタイトルは一部異なる内容になっております。
火吹竹高田渡高田渡高田豊高田渡毎晩 夜通し起きていて 僕は 何もしてやしないのです このあいだの晩 火吹竹を作りました ぶぅ ぶぅ ぶぅ  火鉢いっぱいに 真っ赤な炭が 燃え上がって来る 炭はまたすぐ 減ってしまいます ぶぅ ぶぅ ぶぅ  火吹竹の音を聴いていると 外は雪のように静かです 本当に夜通し僕は 何もしてやしないのです ぶぅ ぶぅ ぶぅ
ごあいさつ高田渡高田渡谷川俊太郎高田渡どうもどうもいやどうも いつぞやいろいろこのたびはまた まあまあひとつまあひとつ そんなわけでなにぶんよろしく なにのほうはいずれなにして そのせつゆっくりいやどうも
コーヒーブルース高田渡高田渡高田渡高田渡三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  おはよう可愛い娘ちゃん ご機嫌いかが? 一緒にどう 少しばかりってのを 俺の好きなコーヒーを少しばかり  いい娘だな ねえ、熱いのお願い そう、熱いのお願い そう、最後の一滴が勝負さ 俺の好きなコーヒーを少しばかり  三条へいかなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに 好きなコーヒーを 少しばかり  あんたもどう? 少しばかりってのを
自転車にのって高田渡高田渡高田渡高田渡自転車にのって ベルをならし あそこの原っぱまで (この間の) 野球のつづきを そして帰りにゃ 川で足を洗って 自転車にのって おうちへ帰る 自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから  自転車にのって ベルをならし となりの町まで いやなおつかいに そして帰りにゃ 本屋で立ち読みを 日が暮れてから おうちに帰る 自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから  自転車にのって 自転車にのって ちょいとそこまで あるきたいから
値上げ高田渡高田渡有馬敲高田渡値上げはぜんぜん考えぬ 年内値上げは考えぬ 当分値上げはありえない 極力値上げはおさえたい 今のところ値上げは見送りたい すぐに値上げを認めない  値上げがあるとしても今ではない なるべく値上げは避けたい 値上げせざるを得ないという声もあるが 値上げするかどうかは検討中である 値上げもさけられないかも知れないが まだまだ時期が早すぎる  値上げの時期は考えたい 値上げを認めたわけではない すぐに値上げはしたくない 値上げには消極的であるが 年内値上げもやむを得ぬ 近く値上げもやむを得ぬ 値上げもやむを得ぬ 値上げにふみきろう
銭がなけりゃ高田渡高田渡高田渡高田渡北から南からいろんな人が 毎日家をはなれ夜汽車にゆられ はるばると東京までくるという 田んぼからはい出 飯場を流れ 豊作を夢みて来たがドッコイ! そうは問屋がおろさない お役人が立ちふさがって言うことにゃ わかってるだろが来年は勝負なんだよ…!? 銭がなけりゃ君!銭がなけりゃ 帰った方が身の為さ アンタの故郷へ  東京はいい所さ 眺めるなら申し分なし 住むなら青山に決まってるさ 銭があればネ! 日当をどう使おうとそりゃアンタの勝手さ だけど妻子恋しさに酒びたりなんてなもっての他だよ まして一般人(いっぱんじん)と一緒に付き合いたいのなら そうだよ!今いる所が一番いいのさ オレのこと聞いてりゃまずまずさ!? お役人だってテレビでもいってたよ! 銭がなけりゃ君!銭がなけりゃ 帰った方が身の為さ アンタの故郷へ  東京はいい所さ 眺めるなら申し分なし 住むなら青山に決まってるさ 銭があればネ!
ブラザー軒高田渡高田渡菅原克己高田渡東一番丁、ブラザー軒。 硝子簾がキラキラ波うち、 あたりいちめん 氷を噛む音。  死んだおやじが入って来る。 死んだ妹をつれて 氷水喰べに、 ぼくのわきへ。  色あせたメリンスの着物。 おできいっぱいつけた妹。 ミルクセーキの音に、 びっくりしながら。  細い脛だして 細い脛だして 椅子にずり上がる 椅子にずり上がる  外は濃藍色のたなばたの夜。 肥ったおやじは小さい妹をながめ、 満足気に氷を噛み、 ひげを拭く。  妹は匙ですくう 白い氷のかけら。 ぼくも噛む 白い氷のかけら。  ふたりには声がない。 ふたりにはぼくが見えない。 おやじはひげを拭く。 妹は氷をこぼす。  簾はキラキラ、 風鈴の音、 あたりいちめん 氷を噛む音。  死者ふたり、つれだって帰る、 ぼくの前を。 小さい妹がさきに立ち、 おやじはゆったりと。  ふたりには声がない。 ふたりには声がない。 ふたりにはぼくが見えない。 ぼくが見えない。  東一番丁、ブラザー軒。 たなばたの夜。 キラキラ波うつ 硝子簾の、向うの闇に。
朝日楼なぎら健壱なぎら健壱高田渡高田渡ニューオリンズに女郎屋がある 人呼んで朝日楼 たくさんの女が身をくずし そうさ あたいも そのひとりさ  かあちゃんの云うこときいてたら 今頃は普通の女 それが若気のいたりで ばくちうちに だまされた  あたいのかあちゃん仕立屋で ブルージーンなんかこしらえるんだよ あたいのいい人 飲助さ ニューオリンズで 飲んだくれ  飲助に必要なものは スーツケースとトランクだけさ あの人の機嫌のいいのは 酔っぱらってる時だけさ  グラスに酒をみたして じゃんじゃんのみまわす この世で一番の楽しみは そりゃ 旅に出ることさ  かわいい妹に云っておくれ あたいのまねするなと ニューオリンズへ近よるな あの朝日楼へ  妹にうしろがみをひかれ 汽車に乗ってくあたい ニューオリンズへ帰ってく あの囚人の暮しに  ニューオリンズへ帰ろう 命ももうつきる 帰って余生を送ろうか あの朝日楼で  ニューオリンズへ帰ろう 朝日がもう昇る 帰って余生を送ろうか あの朝日のあたる家で
病い高田渡高田渡秋山末雄高田渡こうして 僕は 寝ています  ふとんの下の たたみの下の 床の 下の 大地の 下の 地球の 下の 銀河系の下の  大宇宙に 浮かんで  こうして 僕は 寝ています  ふとんの上の 天井の 上の 屋根の 上の 雲の 上の 大空の 上の 銀河系の上の  大宇宙に 抱かれて
夕暮れ高田渡高田渡黒田三郎・高田渡高田渡夕暮れの町で ボクは見る 自分の場所から はみだしてしまった 多くのひとびとを  夕暮れのビヤホールで ひとり 一杯の ジョッキーを まえに 斜めに 座る  その目が この世の誰とも 交わらない ところを えらぶ そうやって たかだか 三十分か一時間  雪の降りしきる夕暮れ ひとり パチンコ屋で 流行歌の中で 遠い昔の中と  その目は厚板ガラスの向こうの 銀の月を追いかける そうやって たかだか 三十分か一時間  たそがれが その日の夕暮れと 祈り重なるほんのひととき そうやって たかだか 三十分か一時間  夕暮れの町で ボクは見る 自分の場所から はみだしてしまった 多くのひとびとを
酒心高田渡高田渡高田渡高田渡雨が降るといっては呑み 晴れれば 晴れたで呑む 雪で 一杯 紅葉 で一杯 夏の夕立後は さわやかに一杯  春のお酒はたまらない 一分咲いたら 一寸と一杯 二分咲いたら 又 一杯 三分咲いたら 本格的に呑む  散りゆく花に 涙して 酒呑み族はたまらない 酒呑み族はたまらない と 言った具合で 一年 365日 呑む
生活の柄高田渡高田渡山之口貘高田渡歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず 寝たのです 歩き疲れては 草に埋もれて 寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです  近ごろは眠れない 陸をひいては眠れない 夜空の下では 眠れない ゆり起こされては 眠れない 歩き疲れては 草に埋もれて 寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです  そんなぼくの 生活の柄が 夏向きなのでしょうか 寝たかと思うと 寝たかと思うと またも冷気に からかわれて  秋は 秋からは浮浪者のままでは眠れない 秋は 秋からは浮浪者のままでは眠れない  歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐり込んで 草に埋もれては寝たのです 所かまわず 寝たのです 歩き疲れては 草に埋もれて 寝たのです 歩き疲れ 寝たのですが 眠れないのです
さびしいと いま高田渡高田渡石原吉郎高田渡さびしいと いま いったろう ひげだらけの その土塀にぴったり おしつけた その背の その すぐうしろで さびしいと いまいったろう  そこだけが けものの 腹のようにあたたかく 手ばなしの影ばかりが せつなくおりかさなって いるあたりで  背なかあわせの 奇妙な にくしみのあいだで たしかに さびしいと いったやつがいて たしかにそれを聞いた やつがいるのだ  いった口と 聞いた耳とのあいだで おもいもかけぬ フタがもちあがり 冗談のように あつい湯が ふきこぼれる  あわててとびのくのは 土塀やオレの勝手だが たしかに さびしいと いったやつがいて たしかに さびしいと いったやつがいて  たしかにそれを 聞いたやつがいる以上 あのしいの木も とちの木も 日ぐれも みずうみも そっくりオレのものだ
系図高田渡高田渡三木卓高田渡ぼくがこの世にやって来た夜 おふくろは めちゃくちゃに うれしがり おやじはうろたえて 質屋に走り それから酒屋をたたきおこした  その酒を 飲み終るやいなや おやじは いっしょうけんめい ねじりはちまき 死ぬほど働いて 死ぬほど働いて その通りくたばった  くたばってからというもの こんどは おふくろが いっしょうけんめい 後家のはぎしり 後家のはぎしり がんばって ぼくはごらんの通り  ひのえ馬のおふくろは おふくろはことし60才 おやじをまいらせた 昔の美少女は すごく太って 元気がいいが  じつはせんだって ぼくにも娘ができた 女房はめちゃくちゃに うれしがり ぼくは うろたえて 質屋に走り それから 酒屋を たたきおこしたのだ  ぼくがこの世にやって来た夜 おふくろは めちゃくちゃに うれしがり おやじはうろたえて 質屋に走り それから酒屋をたたきおこした
鉱夫の祈り高田渡高田渡高田渡高田渡朝もやの中に ひとつ こだまする 汽笛の音 こたえはいつも ひとつ いつもこだまは ひとつだけ  子供らは 泣きじゃくる 腹をすかし 泣きじゃくる 私に出来るのは ただ 泣きつかれ 寝るのをまつだけ  お願いだ 聞いておくれ 街に住む お偉い方 この子らが 泣かないように 鉱夫の祈りを 聞いておくれ  凍りつく 土の下で 鉱夫の汗は 流され 凍りつく 鉱夫の下に 石炭は 眠りつづける  家族らは 今日もまつ 深く頭をたれて 子供らは 帰りをまつ 今日の日の終りを  お願いだ 聞いておくれ 街に住む お偉い方 この子らが 泣かないように 鉱夫の祈りを 聞いておくれ  お願いだ 聞いておくれ 街に住む お偉い方 この子らが 唄いだすように 鉱夫の祈りを 聞いておくれ
仕事さがし高田渡高田渡高田渡高田渡乗るんだよ 電車によ 乗るんだよ 電車によ 雨の日も風の日も 仕事にありつきたいから  飲むんだよ にがいコーヒーをよ 飲むんだよ にがいコーヒーをよ 履歴書を書く為に 仕事にありつきたいから  新聞を見たよ 新聞だって見たよ 電話だってかけたよ 仕事にありつきたいから  ずい分 歩いたよ 毎日 毎日ね いろんな奴にもあったよ 仕事にありつきたいから  乗るんだよ 電車によ 乗るんだよ 電車によ 雨の日も風の日も 仕事にありつきたいから
こいつは墓場にならなくちゃ高田渡高田渡ニカノール・バラ、訳詞:木島始高田渡他に 説明が つかんじゃないか 窓がない 戸がない 家また家 果てしなく つらなる 自動車ども  で 燐火 ちらちらの 影からすれば で 燐火 ちらちらの 影からすれば おれたち 多分 地獄にいるんだ  あの十字路の下には うけあっていいな あの十字路の下には うけあっていいな 教会がひとつ あるにちがいないや  他に 説明が つかんじゃないか 窓がない 戸がない 家また家 果てしなく つらなる 自動車ども
ごあいさつ小室等小室等谷川俊太郎高田渡どうもどうもいやどうも いつぞやいろいろこのたびはまた まあまひとつまあひとつ そんなわけでなにぶんよろしく なにのほうはいずれなにして そのせつゆっくりいやどうも
三条へ行かなくちゃ小室等小室等高田渡高田渡三条へ行かなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに好きなコーヒーを 少しばかり
フィッシング・オン・サンデー高田渡高田渡高田渡高田渡日曜日には 日曜日には あの小川まで のんびりと魚釣りにでも 朝早くから夕暮れまで 糸を下げて一日過ごします  脇にゃ酒でも一本抱きかかえ あの小川まで魚釣りに 日頃の鬱憤を餌にして 糸を下げて一日過ごします  あの爺さんは魚釣りの名人だ 糸を引き上げるその時 しわがれ声を押し堪えて 全身に笑みを浮かべてる そして そして 糸を引き上げると すると魔法のように 竿から夕暮れが 辺り一面に広がるではないか
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