聖橋であさみちゆき | あさみちゆき | 阿久悠 | 杉本眞人 | | あなたは売れない小説を ためいきついて 書いている 見果てぬ夢と知りながら わたしは横についている 大きな愛だと信じても ついうなだれてしまいそう 貧しいことは 平気でも このままここに いられない だから わたしは鬼になる あなたを捨てて よそへ行く 二年二ヶ月二日目に ここで逢いましょう 聖橋で あなたと暮らした 四畳半 きれいに掃除したあとに 涙のしみた手紙書き 机の上に置いておく 小説書くのもいいけれど あんたは少し 甘ったれ 自分で生きる気になって こういうわたし 見返して そうよ わたしは鬼になる 泣き泣き恐い顔をする 二年二ヶ月二日目に ここで逢いましょう 聖橋で そうよ わたしは鬼になる あなたを捨てて よそへ行く 二年二ヶ月二日目に ここで逢いましょう 聖橋で |
あしたあさみちゆき | あさみちゆき | 阿久悠 | 大野克夫 | | 一日は長いと 思える時も 一瞬のことだと 感じることも その時の心の ときめきしだい それでも明日は 必ず来るわ 夢を見て明るく 暮らしたことも 生きるのが辛くて 迷ったことも 若い日は明日が すべてに思え 悩みを忘れて 眠りについた 明日来る人 明日逢う人 明日待つ人 明日泣く人 明日は明日 今日より光る 明日は明日 今日より歌う 明日は明日 今日より光る 明日は明日 今日より歌う この道で生きると 心に決めて 大股で歩いて 転んだことも 世の中が恐いと 突然感じ 踏み出すことを ためらうことも そんなこと誰でも 一度や二度は 悩ましく思うと 気づいた時に 信じたい未来を 一人でたぐり ようやく元気な 気持ちになった 明日来る人 明日逢う人 明日待つ人 明日泣く人 明日は明日 今日より光る 明日は明日 今日より歌う 明日は明日 今日より光る 明日は明日 今日より歌う 明日は明日 今日より光る 明日は明日 今日より歌う |
あさがおあさみちゆき | あさみちゆき | 高田ひろお | 網倉一也 | 宮崎慎二 | 仕立ておろしの 浴衣着て ひと箸つけた 冷麦の 妹の つたない箸さばき 思い出します あの夏の日 花火見つめる 縁側で ビール片手の 父がいた 傍らで寄り添う 母の手は そっと団扇を あおいでた あの夏は もう帰らない あの夏は もう帰らない 今年の夏も 庭に朝顔は 咲いているでしょうか 鼻緒が切れた 夏祭り ハンカチ裂いて すげ替えた 妹は 片足立ちをして じっと待ってた あの夏の日 氷イチゴと 朝顔と 家族そろった 夏休み 妹も 私も 嫁いでも 忘れられない あの家が あの夏は もう帰らない あの夏は もう帰らない 今年の夏も 庭に朝顔は 咲いているでしょうか あの夏は もう帰らない あの夏は もう帰らない 今年の夏も 庭に朝顔は 咲いているでしょうか 咲いているでしょうか… |
萬年橋から清洲橋あさみちゆき | あさみちゆき | さくらちさと | 網倉一也 | 宮崎慎二 | 浴衣の柄の 赤とんぼ どこへ どこへ 飛んでった… 萬年橋から 清洲橋 夏の夕陽が 染めて行く 母の背中を 追いかけた 理由も知らない 幼い日 母さんあなたは お元気ですか 愛を貫き 生きていますか そのひとと 決して詫びたり しないでほしい 今のわたしは あなたの想い わかります 萬年橋から 清洲橋 路地の奥まで 川風が 風鈴鳴らして 吹きぬける 今も 昔と 同じです 母さんあなたは しあわせですか 風の噂も聞こえて来ない 今はもう 女としての そんな生き方 今のわたしの 胸にせつなく 沁みてくる 浴衣の柄の 赤とんぼ どこへ どこへ 飛んでった… |
鮨屋で…あさみちゆき | あさみちゆき | 井上千穂 | 杉本眞人 | 宮崎慎二 | 小肌を切って 熱燗二合 それと この娘に 中トロサビ抜きで 父と座った 鮨屋のカウンター ちょっと 大人に なった気がした あの日 あなたは 少し酔ってた たくさん食べなよ 好きなもの…… そう言いながら 向けた笑顔は 何故か 寂しく 哀しげだった 父と母との 間のことは どうなってたか 知る由もない あの日が そう 最後です 父とは会えない 娘になった…… この春 わたし 結婚します あの日の 鮨屋で 並んで座りたい 母に 反抗 ばかりの思春期を ごめんなさいと 言える年齢です 誰に似たのか お酒呑みです 血は争えないねと 言う前に 何言ってんだよ 嬉しそうに コツンと頭 小突くね きっと 父と母との 間のことは どちらが悪い 訳でもないと 今なら そう 分かります 少しは わたしも 大人になった…… 父と母との 間のことは 元に戻ることは ないでしょうが それでも ただ 感謝です わたしは あなたたちの 娘です わたしは あなたたちの 娘です |
情島物語あさみちゆき | あさみちゆき | 星野哲郎 | 網倉一也 | 宮崎慎二 | 瀬戸内海の かたすみに ぽつんと浮かぶ 島がある なにもないので 旅人を もてなすことが できなくて 情けないので 村人が つけた名前が 情島 なんにもないと ゆうけれど きてみりゃ そこは 夢の島 とれたばかりの 小魚は 煮てよし 焼いて たべてよし 白い浜辺の お座敷で 飲めば うたうよ さざなみが ポストのような 灯台に かもめが運ぶ ラブレター そんな日暮れの 風景が 汚されないで 残ってる 情あふれる 情島 忘れられない 情島 忘れられない 情島 |
おもいで写真館あさみちゆき | あさみちゆき | 田久保真見 | 網倉一也 | 宮崎慎二 | 眠れない 夜は 窓辺に もたれながら やさしい 月明かりに 想い出を 辿る 瞳を とじれば あの日が見える 木枯らしが めくります 遠いアルバム 春の風の道で 真夏の空の下で 秋の野原で 冬の寒い駅で あなたは あなたは いつもわらっていた ささやかな 夢を 今でも 追い続けて 季節は いくつ過ぎて ふり向けば 遥か 誰も ひとりでは 生きてゆけない 傷ついて 知りました 人のぬくもり 何も見えない夜 明日を信じたくて 朝が来るまで あてもなく歩いた あなたを あなたを 想い続けてた 春のれんげ畑 真夏の水平線 秋の夕焼け 冬の星空に あなたは あなたは いつもわらっていた |
笹鰈(ささがれい)あさみちゆき | あさみちゆき | 高田ひろお | 網倉一也 | 宮崎慎二 | しあわせは 笹鰈 箸でその身を ほぐしつつ 故郷の かあさんを 思い出す 冬の夜 恋破れ 泣いた夜 これであなたも やさしさの 塩加減 できたねと かあさんが 呟いた 笹鰈 笹鰈 かあさんの かあさんの かあさんの味 しあわせは 笹鰈 一夜気持を 干したあと 泣かないで あのひとに さよならを 伝えたの 女には 海のよな 広い心が あるのよと あのときの かあさんの あの言葉 忘れない 笹鰈 笹鰈 かあさんの かあさんの かあさんの味 笹鰈 笹鰈 かあさんの かあさんの かあさんの味 |
黄昏シネマあさみちゆき | あさみちゆき | 田久保真見 | 杉本眞人 | | 十年ぶりに 降りた駅 想い出たずねて ここへ来た 三本立ての 黄昏シネマ 学校帰りに 待ち合わせたね 硬い座席に もたれたら あなたが隣りに いるようで あなたの 遠い青春の 私はきっと エキストラ それでもいい それでもいい 同じ季節を生きた 十年ぶりの この町で あなたは誰かと 暮らしてる ハッピーエンドの 黄昏シネマ 涙がぽろりと こぼれて落ちた 私は今でも ひとりだと あなたに伝える 人もない 私の 遠い青春の あなたはずっと 主人公 まぶしすぎて まぶしすぎて 今も 瞳をそらす あなたの 遠い青春の 私はきっと エキストラ それでもいい それでもいい 同じ季節を生きた |
青春の忘れものあさみちゆき | あさみちゆき | さくらちさと | 網倉一也 | 宮崎慎二 | 坂道の 喫茶店 サイフォンの音と いつも友がいた ひたむきに 語り合い 時には傷つけ 涙流したり どこへ 忘れてきたの 熱い その想い 背中の翼に 気づかずに ただ 明日へ 急いでいた みんな 駆け抜けて 思うのね あの日々が 青春と… アパートの 狭い部屋 煙草とインクと 古本のにおい あの人の 追う夢を 一緒に見るのが 愛と信じてた どこへ 忘れてきたの 純な そのこころ 未来(あす)のあてもなく 何もなく でも 瞳は 輝いてた いつか 振り返り 気づくのね あの日々が 青春と… 若い情熱の 足跡が ただ 青い 落書きでも 胸に 色あせず 残るのね あの日々が 青春と… |
娘から愛をこめて〜ギター・バージョン〜あさみちゆき | あさみちゆき | 阿久悠 | 網倉一也 | | お誕生日おめでとうございます いいえ 忘れる筈がありません どんなに月日が過ぎても どんなに遠く離れても わたしは娘ですから あなたたちの娘ですから 心の糸は繋がっています お元気ですか お元気でしょうね お元気でいて下さい 娘から愛をこめて おめでとう おめでとう 花を贈ります 親不孝ばかりして ごめんなさい そうね 詫びても遅すぎるでしょうね 気持ちはわかっていたのに 素直になればよかったのに わたし子どもでしたね 若いだけのヒヨコでしたね 一度は夢を見たかったのです お元気ですか お元気でしょうね お元気でいて下さい 娘から愛をこめて おめでとう おめでとう 歌をとどけます おめでとう おめでとう 歌をとどけます |