死んでから死んでからもうずいぶんたつ 痛かった思い出が死後はむず痒くなった 私という存在が何かに紛れてゆくが その何かを呼びたくとも 言葉はもう意味をなさない 見えてはいないのに青空が身近だ 生きていた頃はなにかと騒がしかったが いまは静かになった 前は聞こえなかった音が聞こえる どこか遠くでオーケストラが調弦している と思ったらそれは虹の音だった 私の骨は粉になったらしい それを海に撒き散らしたらしい 私の好みでは草原でもよかったのだが 老いては子に従えと格言は言う これから何が起きるのか もう何も起こらないのか もうちょっと死んでみないと分からない 私は良い人間だっただろうか もうおそいかもしれないが考えてしまう 死んでからも魂は忙しい | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 死んでからもうずいぶんたつ 痛かった思い出が死後はむず痒くなった 私という存在が何かに紛れてゆくが その何かを呼びたくとも 言葉はもう意味をなさない 見えてはいないのに青空が身近だ 生きていた頃はなにかと騒がしかったが いまは静かになった 前は聞こえなかった音が聞こえる どこか遠くでオーケストラが調弦している と思ったらそれは虹の音だった 私の骨は粉になったらしい それを海に撒き散らしたらしい 私の好みでは草原でもよかったのだが 老いては子に従えと格言は言う これから何が起きるのか もう何も起こらないのか もうちょっと死んでみないと分からない 私は良い人間だっただろうか もうおそいかもしれないが考えてしまう 死んでからも魂は忙しい |
死んだ男の残したものは死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども 他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった 死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子ども 他には何も残さなかった 着もの一枚残さなかった 死んだ子どもの残したものは ねじれた脚と乾いた涙 他には何も残さなかった 思い出ひとつ残さなかった 死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球 他には何も残せなかった 平和ひとつ残せなかった 死んだかれらの残したものは 生きてるわたし生きてるあなた 他には誰も残っていない 他には誰も残っていない 死んだ歴史の残したものは 輝く今日とまた来る明日 他には何も残っていない 他には何も残っていない | 小室等 | 谷川俊太郎 | 武満徹 | | 死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども 他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった 死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子ども 他には何も残さなかった 着もの一枚残さなかった 死んだ子どもの残したものは ねじれた脚と乾いた涙 他には何も残さなかった 思い出ひとつ残さなかった 死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球 他には何も残せなかった 平和ひとつ残せなかった 死んだかれらの残したものは 生きてるわたし生きてるあなた 他には誰も残っていない 他には誰も残っていない 死んだ歴史の残したものは 輝く今日とまた来る明日 他には何も残っていない 他には何も残っていない |
賞状勤続十年の賞状を はげた頭の 会長とやらから 頭上高く 差し上げられた時 俺のつらから 涙があふれた 俺の背中で 俺が笑う ケラケラ 俺が笑う 向学に燃えた 少年の心を 引き裂くように 裸行李 一つ 母の顔を見ずに 雪の夜道を兄と歩いた 男なら志を立てよ 十年辛抱しろ 十五もちがう 兄の言葉に やっとの心で 涙を押えた その日からの 俺の ふるさとは 俺の心に はいった 金に困りたくない そんなちっぽけな気持を 向学心にかえて 持ち続けた 胸を突きさす 陽の道を 肌をも凍てる 夜寒の道を 身をかたよらせ 出前を運んだ 幾年も 年は過ぎても 俺の心に 正月の やって来たのは 幾度 幾度だったか はげた頭の 会長とやらの 「右の者は店員の 模範として……」 大きな声が 俺の背中に つんつんしみる | 小室等 | 滝沢耕平 | 小室等 | | 勤続十年の賞状を はげた頭の 会長とやらから 頭上高く 差し上げられた時 俺のつらから 涙があふれた 俺の背中で 俺が笑う ケラケラ 俺が笑う 向学に燃えた 少年の心を 引き裂くように 裸行李 一つ 母の顔を見ずに 雪の夜道を兄と歩いた 男なら志を立てよ 十年辛抱しろ 十五もちがう 兄の言葉に やっとの心で 涙を押えた その日からの 俺の ふるさとは 俺の心に はいった 金に困りたくない そんなちっぽけな気持を 向学心にかえて 持ち続けた 胸を突きさす 陽の道を 肌をも凍てる 夜寒の道を 身をかたよらせ 出前を運んだ 幾年も 年は過ぎても 俺の心に 正月の やって来たのは 幾度 幾度だったか はげた頭の 会長とやらの 「右の者は店員の 模範として……」 大きな声が 俺の背中に つんつんしみる |
詩人の死あなたはもういない 立ち去ったのではない 連れ去られたのでもない 人間をやめただけ 八月のあの炎天下 プラカードを掲げながら 国民でも人民でも市民でもなかった詩人 ただの自分でしかなかったあなた あなたを読むことができる 否定することもできる でももう傷つけることができない 思い出へと追いやらずに私は生き続ける ただひとりのあなたとともに 大勢の呟きと合唱と怒声に逆らって | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | あなたはもういない 立ち去ったのではない 連れ去られたのでもない 人間をやめただけ 八月のあの炎天下 プラカードを掲げながら 国民でも人民でも市民でもなかった詩人 ただの自分でしかなかったあなた あなたを読むことができる 否定することもできる でももう傷つけることができない 思い出へと追いやらずに私は生き続ける ただひとりのあなたとともに 大勢の呟きと合唱と怒声に逆らって |
詩人とつばめまどべに よりそう 影ふたつ ツバメとぼくと いつも 暮らしてた パンを焼き 花をかざり 歌い ものがたりのように 暮らしてた バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ 春がゆき 夏もすぎて 今は ふたりだけの 部屋に 秋が来た かざりも おせじもなく 生きて 幸せだった時を ありがとう バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ バイバイ カバンを 肩にかけ ぼくは ひとり 船に乗る | 小室等 | 若谷和子 | 小室等 | 乾裕樹 | まどべに よりそう 影ふたつ ツバメとぼくと いつも 暮らしてた パンを焼き 花をかざり 歌い ものがたりのように 暮らしてた バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ 春がゆき 夏もすぎて 今は ふたりだけの 部屋に 秋が来た かざりも おせじもなく 生きて 幸せだった時を ありがとう バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ バイバイ カバンを 肩にかけ ぼくは ひとり 船に乗る |
三途川ロックここは地獄の一丁目 三途の河の舟の上 彼は誰どきを振り返る 死出の山道 その果ての 夕焼け火事の沙婆世界 なつかしいとも したわしいとも 生まれかわり 死にかわり 煩悩の血のりにぬめり 色欲の火むらにあえぎ のたうちたしや のたうちたしや 百万遍 | 小室等 | 高橋陸郎 | 小室等 | | ここは地獄の一丁目 三途の河の舟の上 彼は誰どきを振り返る 死出の山道 その果ての 夕焼け火事の沙婆世界 なつかしいとも したわしいとも 生まれかわり 死にかわり 煩悩の血のりにぬめり 色欲の火むらにあえぎ のたうちたしや のたうちたしや 百万遍 |
三条へ行かなくちゃ三条へ行かなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに好きなコーヒーを 少しばかり | 小室等 | 高田渡 | 高田渡 | | 三条へ行かなくちゃ 三条堺町のイノダっていう コーヒー屋へね あの娘に逢いに なに好きなコーヒーを 少しばかり |
ごあいさつどうもどうもいやどうも いつぞやいろいろこのたびはまた まあまひとつまあひとつ そんなわけでなにぶんよろしく なにのほうはいずれなにして そのせつゆっくりいやどうも | 小室等 | 谷川俊太郎 | 高田渡 | | どうもどうもいやどうも いつぞやいろいろこのたびはまた まあまひとつまあひとつ そんなわけでなにぶんよろしく なにのほうはいずれなにして そのせつゆっくりいやどうも |
今夜きみ今夜 きみ スポーツカーにのって 流星を正面から 顔に刺青できるか きみは 風よ 風よ 風よ きみは太陽の顔までとどく だから 顔が存在する 生まれてくる子供のために ピカピカの拳銃を用意せよ 美しくなるために きみも爆発をするんだ 宇宙よ 宇宙よ きみが黙っているから ぼくは引金をひく ピカピカの拳銃を用意せよ 今夜 きみ | 小室等 | 吉増剛造 | 小室等 | | 今夜 きみ スポーツカーにのって 流星を正面から 顔に刺青できるか きみは 風よ 風よ 風よ きみは太陽の顔までとどく だから 顔が存在する 生まれてくる子供のために ピカピカの拳銃を用意せよ 美しくなるために きみも爆発をするんだ 宇宙よ 宇宙よ きみが黙っているから ぼくは引金をひく ピカピカの拳銃を用意せよ 今夜 きみ |
殺すその人は人を殺した 素手ではなく遠くから人を殺した 血は見えなかった 同情も感じなかった その日も空は青く澄んでいた その人は人を殺した 朝起きて顔を洗ってコーヒーを飲んで それから皆と一緒に人を殺した 殺したなどとは思わずに 誰にも咎められずに その人が殺した人は 殺されたとも気づかずに 呼吸が止まり心臓が止まり死体になったが 死んだのではなく殺されたのだ その日も赤ん坊が生まれていた 殺した人もいつか殺されるかも 殺された人もいつか殺していたかも 殺す人も殺される人もひとりになれない 仲良く統計の数字の墓場に眠って 未来の受肉を空しく待っている | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | その人は人を殺した 素手ではなく遠くから人を殺した 血は見えなかった 同情も感じなかった その日も空は青く澄んでいた その人は人を殺した 朝起きて顔を洗ってコーヒーを飲んで それから皆と一緒に人を殺した 殺したなどとは思わずに 誰にも咎められずに その人が殺した人は 殺されたとも気づかずに 呼吸が止まり心臓が止まり死体になったが 死んだのではなく殺されたのだ その日も赤ん坊が生まれていた 殺した人もいつか殺されるかも 殺された人もいつか殺していたかも 殺す人も殺される人もひとりになれない 仲良く統計の数字の墓場に眠って 未来の受肉を空しく待っている |
こどもとおとなきみはこども ぼくはおとな きみはちいさい ぼくはおおきい でもおなじ いのちのおもさ あなたはこども わたしはおとな あなたはよわい わたしはつよい でもおなじ わらいとなみだ きみたちこども ぼくらはおとな きみたちおぼえる たいせつなこと ぼくらはわすれる たいせつなこと | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | きみはこども ぼくはおとな きみはちいさい ぼくはおおきい でもおなじ いのちのおもさ あなたはこども わたしはおとな あなたはよわい わたしはつよい でもおなじ わらいとなみだ きみたちこども ぼくらはおとな きみたちおぼえる たいせつなこと ぼくらはわすれる たいせつなこと |
国境のアゼルバイジャン・コニャックまっすぐに どこまでも 凍てついて 続く道 国境のキオスクで 棚に見つけた アゼルバイジャン・コニャック 頬をなぶる雪を解かす アゼルバイジャン・コニャック きみの心熱くする アゼルバイジャン・コニャック 心配しないで 雪の道でも ドミトリーエフの腕は確かさ さあおやすみ 走り続けた 長い旅路の ひとときを ふたりの愛の アクセルゆるむ 夜更けのモスクワの街 灯まばら アルバート通り 車停めて 朝を待つ 頬をなぶる雪を解かす アゼルバイジャン・コニャック きみの心熱くする アゼルバイジャン・コニャック 心配しないで 笑ってごらん ドミトリーエフがきみに歌うよ さあおやすみ 走り続けた 長い旅路の ひとときを 頬をなぶる雪を解かす アゼルバイジャン・コニャック きみの心熱くする アゼルバイジャン・コニャック 夜が明けたね ぼくは行くよ いつものように キスをくれるね さあおやすみ 走り続ける 長い旅路の ひとときを | 小室等 | 小室等 | 小室等 | | まっすぐに どこまでも 凍てついて 続く道 国境のキオスクで 棚に見つけた アゼルバイジャン・コニャック 頬をなぶる雪を解かす アゼルバイジャン・コニャック きみの心熱くする アゼルバイジャン・コニャック 心配しないで 雪の道でも ドミトリーエフの腕は確かさ さあおやすみ 走り続けた 長い旅路の ひとときを ふたりの愛の アクセルゆるむ 夜更けのモスクワの街 灯まばら アルバート通り 車停めて 朝を待つ 頬をなぶる雪を解かす アゼルバイジャン・コニャック きみの心熱くする アゼルバイジャン・コニャック 心配しないで 笑ってごらん ドミトリーエフがきみに歌うよ さあおやすみ 走り続けた 長い旅路の ひとときを 頬をなぶる雪を解かす アゼルバイジャン・コニャック きみの心熱くする アゼルバイジャン・コニャック 夜が明けたね ぼくは行くよ いつものように キスをくれるね さあおやすみ 走り続ける 長い旅路の ひとときを |
苦業螺旋階段をのぼる 石壁にかこまれた 暗い けわしい 石の階段をのぼる 小さなランプをぶら下げながら 階段が尽きさえすれば 水平線が見えるのである。 あ 階段が尽きさえすれば! 螺旋階段をのぼる 石壁にかこまれた 暗い けわしい 石の階段をのぼる 小さなランプをぶら下げながら とおいむかし 白々しいウソをついたことがある 愛するひとに とおいむかし | 小室等 | 黒田三郎 | 小室等 | | 螺旋階段をのぼる 石壁にかこまれた 暗い けわしい 石の階段をのぼる 小さなランプをぶら下げながら 階段が尽きさえすれば 水平線が見えるのである。 あ 階段が尽きさえすれば! 螺旋階段をのぼる 石壁にかこまれた 暗い けわしい 石の階段をのぼる 小さなランプをぶら下げながら とおいむかし 白々しいウソをついたことがある 愛するひとに とおいむかし |
木を植える木を植える それはつぐなうこと 私たちが根こそぎにしたものを 木を植える それは夢見ること 子どもたちのすこやかな明日を 木を植える それは祈ること いのちに宿る太古からの精霊に 木を植える それは歌うこと 花と実りをもたらす風とともに 木を植える それは耳をすますこと よみがえる自然の無言の数えに 木を植える それは智恵それは力 生きとし生けるものをむすぶ | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 木を植える それはつぐなうこと 私たちが根こそぎにしたものを 木を植える それは夢見ること 子どもたちのすこやかな明日を 木を植える それは祈ること いのちに宿る太古からの精霊に 木を植える それは歌うこと 花と実りをもたらす風とともに 木を植える それは耳をすますこと よみがえる自然の無言の数えに 木を植える それは智恵それは力 生きとし生けるものをむすぶ |
今日までそして明日からわたしは今日まで 生きてみました 時にはだれかの力をかりて 時にはだれかにしがみついて わたしは今日まで 生きてみました そして今わたしは思っています 明日からもこうして 生きて行くだろうと わたしは今日まで 生きてみました 時にはだれかをあざ笑って 時にはだれかにおびやかされて わたしは今日まで 生きてみました そして今わたしは思っています 明日からもこうして 生きて行くだろうと わたしは今日まで 生きてみました 時にはだれかにうらぎられて 時にはだれかと手をとりあって わたしは今日まで 生きてみました そして今わたしは思っています 明日からもこうして 生きて行くだろうと わたしにはわたしの 生き方があるでしょう それはおそらく 自分というものを 知ることから 始まるものでしょう けれどそれにしたって どこでどう変わってしまうか そうですわからないまま 生きてゆく 明日からのそんなわたしです | 小室等 | 吉田拓郎 | 吉田拓郎 | | わたしは今日まで 生きてみました 時にはだれかの力をかりて 時にはだれかにしがみついて わたしは今日まで 生きてみました そして今わたしは思っています 明日からもこうして 生きて行くだろうと わたしは今日まで 生きてみました 時にはだれかをあざ笑って 時にはだれかにおびやかされて わたしは今日まで 生きてみました そして今わたしは思っています 明日からもこうして 生きて行くだろうと わたしは今日まで 生きてみました 時にはだれかにうらぎられて 時にはだれかと手をとりあって わたしは今日まで 生きてみました そして今わたしは思っています 明日からもこうして 生きて行くだろうと わたしにはわたしの 生き方があるでしょう それはおそらく 自分というものを 知ることから 始まるものでしょう けれどそれにしたって どこでどう変わってしまうか そうですわからないまま 生きてゆく 明日からのそんなわたしです |
希望について私は書きしるす希望は全身で笑っているひとりの子どもにある その子の上の青空にある だがもっと強い希望はもう泣く力もなく ぼんやりと座っているひとりの餓えた子どもにある その子の下の大地にある そうしてもっとも強い希望は 死んでしまったすべての子どもにある その子らの姿を思い描くひとつの無名の心にある 風よ どこの国のものでもない風よ なんの主張もせぬ旗を ひるがえせ春の野に | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 希望は全身で笑っているひとりの子どもにある その子の上の青空にある だがもっと強い希望はもう泣く力もなく ぼんやりと座っているひとりの餓えた子どもにある その子の下の大地にある そうしてもっとも強い希望は 死んでしまったすべての子どもにある その子らの姿を思い描くひとつの無名の心にある 風よ どこの国のものでもない風よ なんの主張もせぬ旗を ひるがえせ春の野に |
樹風に吹かれた 吹かれたままの姿で 樹は空に燃えている 子供達は散り行き 夏は旅人 樹は後姿見つめるばかり 日盛り過ぎれば 日盛り過ぎれば もう草原の風は冷たい 遠い街の 祭の音を 樹は背伸びして聞いている かすれた曲に 緑のゆりかご こっそり揺らしながら 日盛り過ぎれば 日盛り過ぎれば もう草原の風は冷たい | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 風に吹かれた 吹かれたままの姿で 樹は空に燃えている 子供達は散り行き 夏は旅人 樹は後姿見つめるばかり 日盛り過ぎれば 日盛り過ぎれば もう草原の風は冷たい 遠い街の 祭の音を 樹は背伸びして聞いている かすれた曲に 緑のゆりかご こっそり揺らしながら 日盛り過ぎれば 日盛り過ぎれば もう草原の風は冷たい |
風と夢どこから吹いてくるのだろう やさしい風 むごい風 どこへ吹いてゆくのだろう 風は怒り 風はほほえむ 傷ついた大地の上に 風が夢を運んでくる 苦しみの昨日から 歓びの明日へと 誰のこころに住むのだろう 楽しい夢 つらい夢 どんな未来見るのだろう 夢は実り 夢ははじける よみがえる大地の上に 夢が風を巻き起こす こころからこころへと ひとりからひとりへと | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | どこから吹いてくるのだろう やさしい風 むごい風 どこへ吹いてゆくのだろう 風は怒り 風はほほえむ 傷ついた大地の上に 風が夢を運んでくる 苦しみの昨日から 歓びの明日へと 誰のこころに住むのだろう 楽しい夢 つらい夢 どんな未来見るのだろう 夢は実り 夢ははじける よみがえる大地の上に 夢が風を巻き起こす こころからこころへと ひとりからひとりへと |
かげろうの唄誰にも叱られず 誰にも知られず 誰にも罰せられず 自分だけのものがほしい 何処にでもあって いつでもあって 誰のものでもない 自分だけのものがほしい もしも空のように もしも水のように 土のように そんな 自分だけのものがないなら 一日のうちに生まれて 生きて 死んでいく かげろうに生まれかわりたい 一瞬の愛が 永遠に続き 永遠の愛が 一瞬に盡きる もしも空のように もしも水のように 土のように そんな そんな自分だけの愛がないなら 一日のうちに生まれて 生きて 死んでいく かげろうに生まれかわりたい | 小室等 | 和田夏十 | 小室等 | | 誰にも叱られず 誰にも知られず 誰にも罰せられず 自分だけのものがほしい 何処にでもあって いつでもあって 誰のものでもない 自分だけのものがほしい もしも空のように もしも水のように 土のように そんな 自分だけのものがないなら 一日のうちに生まれて 生きて 死んでいく かげろうに生まれかわりたい 一瞬の愛が 永遠に続き 永遠の愛が 一瞬に盡きる もしも空のように もしも水のように 土のように そんな そんな自分だけの愛がないなら 一日のうちに生まれて 生きて 死んでいく かげろうに生まれかわりたい |
OVER THE RAINBOWSomewhere Over The Rainbow way up high There's a land that I heard of once in a lull-a-by Somewhere Over The Rainbow, skies are blue And the dreams that you dare to dream really do come true Someday I'll wish up on a star and wake up where the clouds are far behind me Where troubles melt like lemon drops away above the chimney tops that's where you'll find me Somewhere Over The Rainbow blue birds fly Birds fly Over The Rainbow why then oh why can't I | 小室等 | E.Y.HARBURG | HAROLD ARLEN | | Somewhere Over The Rainbow way up high There's a land that I heard of once in a lull-a-by Somewhere Over The Rainbow, skies are blue And the dreams that you dare to dream really do come true Someday I'll wish up on a star and wake up where the clouds are far behind me Where troubles melt like lemon drops away above the chimney tops that's where you'll find me Somewhere Over The Rainbow blue birds fly Birds fly Over The Rainbow why then oh why can't I |
おまえがいれば生活かい まずまずだよ たまにはこんなふうに 酒も飲るし 休みの日は相変らずさ 好きなつり糸垂らして ああやっと 探し当てたよ おまえの言っていた 青い背表紙 あれは愛の本なんだね 意外な面も今知らされた どうして今 今おまえはここに 俺の隣りにいないのか どんなおまえも求めやしない ただ今 今ここに ここに居てくれさえすれば カチリとグラスの氷が 溶けて更ける夜を どうにもできない 明日は明日でおまえのことを 平気で忘れる俺なのに どうして今 今おまえはここに 俺の隣りにいないのか どんなおまえも求めやしない ただ今 今ここに ここに居てくれさえすれば | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 生活かい まずまずだよ たまにはこんなふうに 酒も飲るし 休みの日は相変らずさ 好きなつり糸垂らして ああやっと 探し当てたよ おまえの言っていた 青い背表紙 あれは愛の本なんだね 意外な面も今知らされた どうして今 今おまえはここに 俺の隣りにいないのか どんなおまえも求めやしない ただ今 今ここに ここに居てくれさえすれば カチリとグラスの氷が 溶けて更ける夜を どうにもできない 明日は明日でおまえのことを 平気で忘れる俺なのに どうして今 今おまえはここに 俺の隣りにいないのか どんなおまえも求めやしない ただ今 今ここに ここに居てくれさえすれば |
お早うの朝ゆうべ見た夢の中で ぼくは石になっていた 見知らぬ町で人に踏まれ 声を限りに叫んでた 夜の心のくらやみから 夢はわいてくる さめても夢は消えはしない けれどお早うの朝はくる ゆうべ見た夢の中で ぼくはきみを抱きしめた はだしの足の指の下で 何故か地球はまわってた 夜の心のくらやみから 夢はわいてくる 夢には明日がかくれている だからお早うの朝はくる 夜の心のくらやみから 夢はわいてくる 夢には明日がかくれている だからお早うの朝はくる だからお早うの朝はくる | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | ゆうべ見た夢の中で ぼくは石になっていた 見知らぬ町で人に踏まれ 声を限りに叫んでた 夜の心のくらやみから 夢はわいてくる さめても夢は消えはしない けれどお早うの朝はくる ゆうべ見た夢の中で ぼくはきみを抱きしめた はだしの足の指の下で 何故か地球はまわってた 夜の心のくらやみから 夢はわいてくる 夢には明日がかくれている だからお早うの朝はくる 夜の心のくらやみから 夢はわいてくる 夢には明日がかくれている だからお早うの朝はくる だからお早うの朝はくる |
おしっこ大統領がおしっこしてる おしっこしながら考えている 戦争なんかしたくないんだ 石油がたっぷりありさえすれば テロリストもおしっこしてる おしっこしながら考えている 自爆なんかしたくないんだ 恋人残して死にたくないもの 兵隊さんもおしっこしてる おしっこしながら考えている 殺すのっていやなもんだぜ 殺されるのはもっといやだが 男の子もおしっこしてる おしっこしながら考えている ほんとの銃を撃ってみたいな ゲームボーイじゃまどろっこしいよ 武器商人がおしっこしてる おしっこしながら考えている 銃がなければ平和は守れぬ 金がなければ自由も買えぬ 道で野良犬おしっこしてる おしっこしながら考えている 敵もいなけりゃ味方もいない ただの命を生きているだけ | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 大統領がおしっこしてる おしっこしながら考えている 戦争なんかしたくないんだ 石油がたっぷりありさえすれば テロリストもおしっこしてる おしっこしながら考えている 自爆なんかしたくないんだ 恋人残して死にたくないもの 兵隊さんもおしっこしてる おしっこしながら考えている 殺すのっていやなもんだぜ 殺されるのはもっといやだが 男の子もおしっこしてる おしっこしながら考えている ほんとの銃を撃ってみたいな ゲームボーイじゃまどろっこしいよ 武器商人がおしっこしてる おしっこしながら考えている 銃がなければ平和は守れぬ 金がなければ自由も買えぬ 道で野良犬おしっこしてる おしっこしながら考えている 敵もいなけりゃ味方もいない ただの命を生きているだけ |
おさみし谷の別れ唄夜にかくれてあの人が 一人で村を出るという お淋し谷のお月様 情があるなら道かくせ 道かくせ 春も待たずにあの人が 一人で村を出るという お淋し谷の雪の子よ 今夜はつもって道かくせ 道かくせ 風にふかれてあの人が 一人で旅に出るという お淋し谷の百合の花 忘れさせるなこの谷を この谷を 何も持たずにあの人が 一人で旅に出るという お淋し谷の村ざかい 泣き泣きつくった握り飯 握り飯 夜にかくれてあの人が 一人とぼとぼ遠くなる お淋し谷のお月様 早く夜明けをあの人に あの人に | 小室等 | かぜ耕士 | 小室等 | | 夜にかくれてあの人が 一人で村を出るという お淋し谷のお月様 情があるなら道かくせ 道かくせ 春も待たずにあの人が 一人で村を出るという お淋し谷の雪の子よ 今夜はつもって道かくせ 道かくせ 風にふかれてあの人が 一人で旅に出るという お淋し谷の百合の花 忘れさせるなこの谷を この谷を 何も持たずにあの人が 一人で旅に出るという お淋し谷の村ざかい 泣き泣きつくった握り飯 握り飯 夜にかくれてあの人が 一人とぼとぼ遠くなる お淋し谷のお月様 早く夜明けをあの人に あの人に |
ウォーキング・マンディ・モーニングいつもの路 ウォーキング・マンディ・モーニング 煙草くわえて ウィズこころスモーキン 空は青く どこからどこまでブルー 大通りには 春の陽シャイニング やるせなくって ちょっとウィンドウ・ショッピング ガラスの中で わたしを見ている わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 曲り角で だれかがコーリング 柳と風に ウィズこころブローイング 振り向いたって あなたはどこにもいない いつもの店 さめたブルー・マウンテン 雑誌めくって 頬杖シッティング 窓の向こうは まぶしいサニー・サイド・ストリート 流れてくる ラジオのスウィート・ソング 思い出しそで なんとなくスマイリング カップの中で ゆらゆら揺れてる わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 私だけの ウォーキング・マンディ・モーニング 午前十時の 間抜けたトリッピング 空は青く どこからどこまでブルー 空は青く どこからどこまでブルー | 小室等 | 山元清多 | 小室等 | | いつもの路 ウォーキング・マンディ・モーニング 煙草くわえて ウィズこころスモーキン 空は青く どこからどこまでブルー 大通りには 春の陽シャイニング やるせなくって ちょっとウィンドウ・ショッピング ガラスの中で わたしを見ている わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 曲り角で だれかがコーリング 柳と風に ウィズこころブローイング 振り向いたって あなたはどこにもいない いつもの店 さめたブルー・マウンテン 雑誌めくって 頬杖シッティング 窓の向こうは まぶしいサニー・サイド・ストリート 流れてくる ラジオのスウィート・ソング 思い出しそで なんとなくスマイリング カップの中で ゆらゆら揺れてる わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 私だけの ウォーキング・マンディ・モーニング 午前十時の 間抜けたトリッピング 空は青く どこからどこまでブルー 空は青く どこからどこまでブルー |
いま 生きているということ生きているということ いま生きているということ それはのどがかわくということ 木もれ陽がまぶしいということ ふっと或るメロディを思い出すということ くしゃみをすること あなたと手をつなぐこと 生きているということ いま生きているということ それはミニスカート それはプラネタリウム それはヨハン・シュトラウス それはピカソ それはアルプス すべての美しいものに出会うということ そして かくされた悪を注意深くこばむこと 生きているということ いま生きているということ 泣けるということ 笑えるということ おこれるということ 自由ということ 生きているということ いま生きているということ いまどこかで兵士は傷つくということ いまどこかで産声があがるということ いまどこかで星は流れ いまどこかで虹が立ち いまどこかで火は燃えること いま生きているということ いまだれかが旅立つということ いまだれかがだれかをみつめ いまだれかが決意すること いまだれかが問いかけて いまぼくらは歌うこと いま生きているということ いま地球が廻っているということ いまナイフはきらめくということ いま子兎が跳ね鯨はまどろみ いま種子はまかれ石は彫られ いまぶらんこがゆれていること 生きているということ 鳥ははばたくということ 海はとどろくということ 夜はあけるということ 風が立つこと 静けさということ いま…いまが過ぎてゆくこと 生きているということ いま生きているということ 人は愛するということ あなたの手のぬくみ いのちということ | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 生きているということ いま生きているということ それはのどがかわくということ 木もれ陽がまぶしいということ ふっと或るメロディを思い出すということ くしゃみをすること あなたと手をつなぐこと 生きているということ いま生きているということ それはミニスカート それはプラネタリウム それはヨハン・シュトラウス それはピカソ それはアルプス すべての美しいものに出会うということ そして かくされた悪を注意深くこばむこと 生きているということ いま生きているということ 泣けるということ 笑えるということ おこれるということ 自由ということ 生きているということ いま生きているということ いまどこかで兵士は傷つくということ いまどこかで産声があがるということ いまどこかで星は流れ いまどこかで虹が立ち いまどこかで火は燃えること いま生きているということ いまだれかが旅立つということ いまだれかがだれかをみつめ いまだれかが決意すること いまだれかが問いかけて いまぼくらは歌うこと いま生きているということ いま地球が廻っているということ いまナイフはきらめくということ いま子兎が跳ね鯨はまどろみ いま種子はまかれ石は彫られ いまぶらんこがゆれていること 生きているということ 鳥ははばたくということ 海はとどろくということ 夜はあけるということ 風が立つこと 静けさということ いま…いまが過ぎてゆくこと 生きているということ いま生きているということ 人は愛するということ あなたの手のぬくみ いのちということ |
一日の終りには一日の終りには やさしい顔と 日向の匂いの懐かしい そんな部屋がある 一日の終りには チビリチビリと そこいらにあるよな倖わせを 飲みほしていく この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには ポツリポツリと 柱時計が我が家の今日を 刻みつけている この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには 古い雑誌の やりかけのパズル・ワーク 埋めてみたりする 一日の終りには かすかな記憶 たどりたどって腕枕 そんな夜がある この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 一日の終りには やさしい顔と 日向の匂いの懐かしい そんな部屋がある 一日の終りには チビリチビリと そこいらにあるよな倖わせを 飲みほしていく この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには ポツリポツリと 柱時計が我が家の今日を 刻みつけている この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには 古い雑誌の やりかけのパズル・ワーク 埋めてみたりする 一日の終りには かすかな記憶 たどりたどって腕枕 そんな夜がある この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで |
いたずらがき私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった そのかわりいつもきれいな笑顔を見せた あなたの残していった思い出は ジグソーパズルのひとかけら 過ぎた夏の風景のどこにもはまらない まっ白い紙を前にして いたずらがきしか書けない私 木もれ陽は写真の中で今もまぶしい あなたの忘れていった音楽は かすれた口笛のハ短調 過ぎた夏の青空に今日もこだまする 私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった…… | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった そのかわりいつもきれいな笑顔を見せた あなたの残していった思い出は ジグソーパズルのひとかけら 過ぎた夏の風景のどこにもはまらない まっ白い紙を前にして いたずらがきしか書けない私 木もれ陽は写真の中で今もまぶしい あなたの忘れていった音楽は かすれた口笛のハ短調 過ぎた夏の青空に今日もこだまする 私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった…… |
アルカディアOh! God! こいつに幸せくれるなら 俺の願いは 全部全部 あきらめたっていいんだ Oh! God! こいつの夢さえやれるなら 俺は苦労と いつもいつも お馴染みだから いいんだ Oh! God! 誰もが二人に背を向ける 誰もが二人に指をさす 子犬のように追われて逃げても 意地悪な人生の虜さ 生命の果てまで こいつを抱いて 落ちて行きたい この世から どこにあるのか アルカディア Oh! God! どうして生命が絶てるだろう 声がかれても名前を呼んで 手を取り合ってる二人さ Oh! God! この世が二人を愛さない 俺にもこの世が愛せない だけど行く手は閉ざされふさがれ 冷たい人生の虜さ 生命のかぎりに こいつを抱けば 青く湿った街の灯に 夢のまた夢アルカディア 生命の果てまで こいつを抱いて あ……どこに行けば…… どこに…… | 小室等 | かぜ耕士 | 小室等 | | Oh! God! こいつに幸せくれるなら 俺の願いは 全部全部 あきらめたっていいんだ Oh! God! こいつの夢さえやれるなら 俺は苦労と いつもいつも お馴染みだから いいんだ Oh! God! 誰もが二人に背を向ける 誰もが二人に指をさす 子犬のように追われて逃げても 意地悪な人生の虜さ 生命の果てまで こいつを抱いて 落ちて行きたい この世から どこにあるのか アルカディア Oh! God! どうして生命が絶てるだろう 声がかれても名前を呼んで 手を取り合ってる二人さ Oh! God! この世が二人を愛さない 俺にもこの世が愛せない だけど行く手は閉ざされふさがれ 冷たい人生の虜さ 生命のかぎりに こいつを抱けば 青く湿った街の灯に 夢のまた夢アルカディア 生命の果てまで こいつを抱いて あ……どこに行けば…… どこに…… |
雨は燃えている激しい夏に まばたきもせず 疲れた服 脱ぎ捨てれば 雨は燃えている 雨は燃えている 私の羽根を焼いて いつかあの子が 泣いて通った あの家もこの家も 窓を閉じ始め 雨は燃えている 雨は燃えている あの娘の影を吸いとって 「来年また 来て下さいね」と 今日で終りの 私に優しく 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 激しい夏に まばたきもせず 疲れた服 脱ぎ捨てれば 雨は燃えている 雨は燃えている 私の羽根を焼いて いつかあの子が 泣いて通った あの家もこの家も 窓を閉じ始め 雨は燃えている 雨は燃えている あの娘の影を吸いとって 「来年また 来て下さいね」と 今日で終りの 私に優しく 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて |
雨のベラルーシ思い出の街ベラルーシ きみと過ごしたベラルーシ リンゴの花をきみの 髪に飾ったあの日 まるで昨日のことのようだね きみのいない五月の 雨のベラルーシ 思い出の街ベラルーシ きみと過ごしたベラルーシ きみの肩を抱いて 歩いたソージュの岸辺 ゆるされるなら 時間よ戻れ きみのいない五月の 雨のベラルーシ ゆるされるなら 時間よ戻れ きみのいない五月の 雨のベラルーシ | 小室等 | 小室等 | 小室等 | | 思い出の街ベラルーシ きみと過ごしたベラルーシ リンゴの花をきみの 髪に飾ったあの日 まるで昨日のことのようだね きみのいない五月の 雨のベラルーシ 思い出の街ベラルーシ きみと過ごしたベラルーシ きみの肩を抱いて 歩いたソージュの岸辺 ゆるされるなら 時間よ戻れ きみのいない五月の 雨のベラルーシ ゆるされるなら 時間よ戻れ きみのいない五月の 雨のベラルーシ |
雨が空から降れば雨が空から 降れば オモイデは 地面にしみこむ 雨がシトシト降れば オモイデはシトシトにじむ 黒いコーモリ傘をさして 街を歩けば あの街は雨の中 この街も雨の中 電信柱もポストも フルサトも雨の中 しょうがない 雨の日はしょうがない 公園のベンチでひとり おさかなをつれば おさかなもまた 雨の中 しょうがない 雨の日はしょうがない…‥ しょうがない 雨の日はしょうがない | 小室等 | 別役実 | 小室等 | | 雨が空から 降れば オモイデは 地面にしみこむ 雨がシトシト降れば オモイデはシトシトにじむ 黒いコーモリ傘をさして 街を歩けば あの街は雨の中 この街も雨の中 電信柱もポストも フルサトも雨の中 しょうがない 雨の日はしょうがない 公園のベンチでひとり おさかなをつれば おさかなもまた 雨の中 しょうがない 雨の日はしょうがない…‥ しょうがない 雨の日はしょうがない |
あの日 輝いていたきみに時はめぐり 街は変わっても 路地に入れば 思い出すよ 暗くなるのも忘れて 君と遊んだあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 君は旅立っても トンネル抜ければ 思い出すよ 原っぱの奥の秘密の基地 君と作ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 人は変わっても 坂をのぼれば 思い出すよ 学校からの帰り道 夢を語ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも | 小室等 | 下島三重子 | 小室等 | | 時はめぐり 街は変わっても 路地に入れば 思い出すよ 暗くなるのも忘れて 君と遊んだあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 君は旅立っても トンネル抜ければ 思い出すよ 原っぱの奥の秘密の基地 君と作ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 人は変わっても 坂をのぼれば 思い出すよ 学校からの帰り道 夢を語ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも |
朝八時朝八時 歩道にそれぞれの影をひいて 人々は急ぎ足 ドルと円とフランとポンドが渦巻く 退屈で騒がしい一日の始まり 朝八時 誰もが心の中で何かを呟いていて 誰にも人の呟きが聞こえない ビルの肩からは朝陽 何度くり返しても日ごとに新しい朝陽 朝八時 人波にもまれながら私は呟く いちばん大切な人はただひとり その人が見つからない不幸せ その人を探しつづける幸せ | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 朝八時 歩道にそれぞれの影をひいて 人々は急ぎ足 ドルと円とフランとポンドが渦巻く 退屈で騒がしい一日の始まり 朝八時 誰もが心の中で何かを呟いていて 誰にも人の呟きが聞こえない ビルの肩からは朝陽 何度くり返しても日ごとに新しい朝陽 朝八時 人波にもまれながら私は呟く いちばん大切な人はただひとり その人が見つからない不幸せ その人を探しつづける幸せ |
あげますもぎたてのりんご かじったこともあるし 海に向かってひとりで 歌ったこともある スパゲッティ食べて おしゃべりもしたし 大きな赤い風船 ふくらませたこともある あなたを好きとささやいてそして しょっぱい涙の味ももう知っている そんな私のくちびる…… いまはじめて― あなたにあげます 世界じゅうが声を ひそめるこの夜に | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | もぎたてのりんご かじったこともあるし 海に向かってひとりで 歌ったこともある スパゲッティ食べて おしゃべりもしたし 大きな赤い風船 ふくらませたこともある あなたを好きとささやいてそして しょっぱい涙の味ももう知っている そんな私のくちびる…… いまはじめて― あなたにあげます 世界じゅうが声を ひそめるこの夜に |
赤いクーペ火の山の広がる裾野 ゆるやかにほどける道を モーツアルトが歌ってくれる どこまでも走ってゆきたい サンルーフを開けて君だけをのせて この時代が終わるまで 雲うつすバックミラーに 一瞬に飛び去る時を モーツアルトがよみがえらせる いつまでも走ってゆきたい 地図は破り捨てて君だけをのせて この世界が終わるまで 透き通るフロントグラス その先を誰も知らない モーツアルトもいつかとだえて ひたすらに走ってゆくだけ ほほえみに疲れた君だけをのせて このいのちが終わるまで 止まれないもう止まれない赤いクーペ 悲しみは走りつづける 幸せを連れて | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 火の山の広がる裾野 ゆるやかにほどける道を モーツアルトが歌ってくれる どこまでも走ってゆきたい サンルーフを開けて君だけをのせて この時代が終わるまで 雲うつすバックミラーに 一瞬に飛び去る時を モーツアルトがよみがえらせる いつまでも走ってゆきたい 地図は破り捨てて君だけをのせて この世界が終わるまで 透き通るフロントグラス その先を誰も知らない モーツアルトもいつかとだえて ひたすらに走ってゆくだけ ほほえみに疲れた君だけをのせて このいのちが終わるまで 止まれないもう止まれない赤いクーペ 悲しみは走りつづける 幸せを連れて |
青空に問いかけてほとばしる水の冷たさに 今日がかくれている 見えない太陽に向って鳥たちは歌い おどろいたように地平へとはばたく 答を知らぬきみにできるのはただ 明けてゆく青空に問いかけること 呼びかける声の優しさに 愛がかくれている 小さなほほえみにうずまいて友だちと出会い 悲しみの夜を明日へとめざめる 答を知らぬきみにできるのはただ 明けてゆく青空に問いかけること | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | ほとばしる水の冷たさに 今日がかくれている 見えない太陽に向って鳥たちは歌い おどろいたように地平へとはばたく 答を知らぬきみにできるのはただ 明けてゆく青空に問いかけること 呼びかける声の優しさに 愛がかくれている 小さなほほえみにうずまいて友だちと出会い 悲しみの夜を明日へとめざめる 答を知らぬきみにできるのはただ 明けてゆく青空に問いかけること |