詩人とつばめまどべに よりそう 影ふたつ ツバメとぼくと いつも 暮らしてた パンを焼き 花をかざり 歌い ものがたりのように 暮らしてた バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ 春がゆき 夏もすぎて 今は ふたりだけの 部屋に 秋が来た かざりも おせじもなく 生きて 幸せだった時を ありがとう バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ バイバイ カバンを 肩にかけ ぼくは ひとり 船に乗る | 小室等 | 若谷和子 | 小室等 | 乾裕樹 | まどべに よりそう 影ふたつ ツバメとぼくと いつも 暮らしてた パンを焼き 花をかざり 歌い ものがたりのように 暮らしてた バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ 春がゆき 夏もすぎて 今は ふたりだけの 部屋に 秋が来た かざりも おせじもなく 生きて 幸せだった時を ありがとう バイバイ 小さな丸い目よ お前は 高く 飛んでゆけ バイバイ カバンを 肩にかけ ぼくは ひとり 船に乗る |
あの日 輝いていたきみに時はめぐり 街は変わっても 路地に入れば 思い出すよ 暗くなるのも忘れて 君と遊んだあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 君は旅立っても トンネル抜ければ 思い出すよ 原っぱの奥の秘密の基地 君と作ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 人は変わっても 坂をのぼれば 思い出すよ 学校からの帰り道 夢を語ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも | 小室等 | 下島三重子 | 小室等 | | 時はめぐり 街は変わっても 路地に入れば 思い出すよ 暗くなるのも忘れて 君と遊んだあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 君は旅立っても トンネル抜ければ 思い出すよ 原っぱの奥の秘密の基地 君と作ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも 時はめぐり 人は変わっても 坂をのぼれば 思い出すよ 学校からの帰り道 夢を語ったあの日のことを The long bright path to youth 忘れない The long bright path to youth いつまでも |
いたずらがき私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった そのかわりいつもきれいな笑顔を見せた あなたの残していった思い出は ジグソーパズルのひとかけら 過ぎた夏の風景のどこにもはまらない まっ白い紙を前にして いたずらがきしか書けない私 木もれ陽は写真の中で今もまぶしい あなたの忘れていった音楽は かすれた口笛のハ短調 過ぎた夏の青空に今日もこだまする 私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった…… | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった そのかわりいつもきれいな笑顔を見せた あなたの残していった思い出は ジグソーパズルのひとかけら 過ぎた夏の風景のどこにもはまらない まっ白い紙を前にして いたずらがきしか書けない私 木もれ陽は写真の中で今もまぶしい あなたの忘れていった音楽は かすれた口笛のハ短調 過ぎた夏の青空に今日もこだまする 私はあなたに問いかけた あなたは決して答えなかった…… |
夢のまた夢夢のまた夢なんの夢 あの街この街日が暮れて 赤いぞうりの緒が切れた 夢のまた夢なんの夢 夢のまた夢いつの夢 回り燈籠辿るような ひとりぼっちの隠れん坊 夢のまた夢いつの夢 夢のまた夢おそい夢 落ちてくたそがれ追っかけて はぐれた片手のお人形と 夢のまた夢おそい夢 夢のまた夢誰の夢 お背戸の藪の指切りを いつか忘れた花嫁の 夢のまた夢誰の夢 夢のまた夢遠い夢 あの子と二人海の中 それともひとりで船に乗ろ 夢のまた夢遠い夢 夢のまた夢なんの夢 あの街この街日が暮れて 赤いぞうりの緒が切れた 夢のまた夢なんの夢 | 小室等 | 北村魚・及川恒平 | 及川恒平 | | 夢のまた夢なんの夢 あの街この街日が暮れて 赤いぞうりの緒が切れた 夢のまた夢なんの夢 夢のまた夢いつの夢 回り燈籠辿るような ひとりぼっちの隠れん坊 夢のまた夢いつの夢 夢のまた夢おそい夢 落ちてくたそがれ追っかけて はぐれた片手のお人形と 夢のまた夢おそい夢 夢のまた夢誰の夢 お背戸の藪の指切りを いつか忘れた花嫁の 夢のまた夢誰の夢 夢のまた夢遠い夢 あの子と二人海の中 それともひとりで船に乗ろ 夢のまた夢遠い夢 夢のまた夢なんの夢 あの街この街日が暮れて 赤いぞうりの緒が切れた 夢のまた夢なんの夢 |
12階建てのバスどこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる あれは昨晩おそく 彼女に会いたくなった だから会いに行った 彼女は明るく言った あたしに何ができるの おしえてほしい 私達は花火のようになった どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる 今朝 いつもの時間に 私は新聞を読んでいた 電話のベルがなった やさしい彼女からだった そっとしておいてほしい さようなら 私はなんにも答えなかった どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる 午後はコーヒーを入れて 数枚の手紙をかいた きのうのことや 今日のことや 彼女にこう書いてやった こんにちは 君は美しい それから私は街をでた どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる 知ってる人や知らない人 色んな人が乗っている 12階建てのバスが 12階建てのバスが 12階建てのバスが 12階建てのバスが バスがやってくる バスがやってくる | 小室等 | 小島武 | 小室等 | | どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる あれは昨晩おそく 彼女に会いたくなった だから会いに行った 彼女は明るく言った あたしに何ができるの おしえてほしい 私達は花火のようになった どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる 今朝 いつもの時間に 私は新聞を読んでいた 電話のベルがなった やさしい彼女からだった そっとしておいてほしい さようなら 私はなんにも答えなかった どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる 午後はコーヒーを入れて 数枚の手紙をかいた きのうのことや 今日のことや 彼女にこう書いてやった こんにちは 君は美しい それから私は街をでた どこからやってくるのだろう 約束のように バスがやってくる 12階建てのバスがバスがやってくる 知ってる人や知らない人 色んな人が乗っている 12階建てのバスが 12階建てのバスが 12階建てのバスが 12階建てのバスが バスがやってくる バスがやってくる |
一日の終りには一日の終りには やさしい顔と 日向の匂いの懐かしい そんな部屋がある 一日の終りには チビリチビリと そこいらにあるよな倖わせを 飲みほしていく この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには ポツリポツリと 柱時計が我が家の今日を 刻みつけている この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには 古い雑誌の やりかけのパズル・ワーク 埋めてみたりする 一日の終りには かすかな記憶 たどりたどって腕枕 そんな夜がある この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 一日の終りには やさしい顔と 日向の匂いの懐かしい そんな部屋がある 一日の終りには チビリチビリと そこいらにあるよな倖わせを 飲みほしていく この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには ポツリポツリと 柱時計が我が家の今日を 刻みつけている この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで 一日の終りには 古い雑誌の やりかけのパズル・ワーク 埋めてみたりする 一日の終りには かすかな記憶 たどりたどって腕枕 そんな夜がある この人生があり 地球色の空がある 今日もどこかで |
アルカディアOh! God! こいつに幸せくれるなら 俺の願いは 全部全部 あきらめたっていいんだ Oh! God! こいつの夢さえやれるなら 俺は苦労と いつもいつも お馴染みだから いいんだ Oh! God! 誰もが二人に背を向ける 誰もが二人に指をさす 子犬のように追われて逃げても 意地悪な人生の虜さ 生命の果てまで こいつを抱いて 落ちて行きたい この世から どこにあるのか アルカディア Oh! God! どうして生命が絶てるだろう 声がかれても名前を呼んで 手を取り合ってる二人さ Oh! God! この世が二人を愛さない 俺にもこの世が愛せない だけど行く手は閉ざされふさがれ 冷たい人生の虜さ 生命のかぎりに こいつを抱けば 青く湿った街の灯に 夢のまた夢アルカディア 生命の果てまで こいつを抱いて あ……どこに行けば…… どこに…… | 小室等 | かぜ耕士 | 小室等 | | Oh! God! こいつに幸せくれるなら 俺の願いは 全部全部 あきらめたっていいんだ Oh! God! こいつの夢さえやれるなら 俺は苦労と いつもいつも お馴染みだから いいんだ Oh! God! 誰もが二人に背を向ける 誰もが二人に指をさす 子犬のように追われて逃げても 意地悪な人生の虜さ 生命の果てまで こいつを抱いて 落ちて行きたい この世から どこにあるのか アルカディア Oh! God! どうして生命が絶てるだろう 声がかれても名前を呼んで 手を取り合ってる二人さ Oh! God! この世が二人を愛さない 俺にもこの世が愛せない だけど行く手は閉ざされふさがれ 冷たい人生の虜さ 生命のかぎりに こいつを抱けば 青く湿った街の灯に 夢のまた夢アルカディア 生命の果てまで こいつを抱いて あ……どこに行けば…… どこに…… |
雨は燃えている激しい夏に まばたきもせず 疲れた服 脱ぎ捨てれば 雨は燃えている 雨は燃えている 私の羽根を焼いて いつかあの子が 泣いて通った あの家もこの家も 窓を閉じ始め 雨は燃えている 雨は燃えている あの娘の影を吸いとって 「来年また 来て下さいね」と 今日で終りの 私に優しく 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 激しい夏に まばたきもせず 疲れた服 脱ぎ捨てれば 雨は燃えている 雨は燃えている 私の羽根を焼いて いつかあの子が 泣いて通った あの家もこの家も 窓を閉じ始め 雨は燃えている 雨は燃えている あの娘の影を吸いとって 「来年また 来て下さいね」と 今日で終りの 私に優しく 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて 雨は燃えている 雨は燃えている 季節のわかれめ告げて |
今夜きみ今夜 きみ スポーツカーにのって 流星を正面から 顔に刺青できるか きみは 風よ 風よ 風よ きみは太陽の顔までとどく だから 顔が存在する 生まれてくる子供のために ピカピカの拳銃を用意せよ 美しくなるために きみも爆発をするんだ 宇宙よ 宇宙よ きみが黙っているから ぼくは引金をひく ピカピカの拳銃を用意せよ 今夜 きみ | 小室等 | 吉増剛造 | 小室等 | | 今夜 きみ スポーツカーにのって 流星を正面から 顔に刺青できるか きみは 風よ 風よ 風よ きみは太陽の顔までとどく だから 顔が存在する 生まれてくる子供のために ピカピカの拳銃を用意せよ 美しくなるために きみも爆発をするんだ 宇宙よ 宇宙よ きみが黙っているから ぼくは引金をひく ピカピカの拳銃を用意せよ 今夜 きみ |
結詞浅き夢 淡き恋 遠き道 青き空 今日をかけめぐるも 立ち止まるも 青き、青き空の下の出来事 迷い雲 白き夏 ひとり旅 長き冬 春を想い出すも 忘れるも 遠き、遠き道の途中での事 浅き夢 淡き恋 遠き道 青き空 | 小室等 | 井上陽水 | 井上陽水 | | 浅き夢 淡き恋 遠き道 青き空 今日をかけめぐるも 立ち止まるも 青き、青き空の下の出来事 迷い雲 白き夏 ひとり旅 長き冬 春を想い出すも 忘れるも 遠き、遠き道の途中での事 浅き夢 淡き恋 遠き道 青き空 |
遠い昔の春の日の遠い昔の春の日の れんげ咲く 田んぼのあぜに やわらかに 陽はふりそそぐ 女たちは笑っていた 男たちも笑っていた 草も木も石っころも カエルも笑っていた 腹を抱えて ころげまわって 涙流して 生きることの 喜びを笑っていた 遠い昔の春の日の あれは かげろう 遠い昔の春の日に もう帰れない ぼくは もう帰れない ぼくは あいつが笑っていた あいつも笑っていた あいつはどこへ行った あいつはどこへ消えた 大き過ぎる街の 暗すぎる夜の 夜の空に向って 笑って笑って笑って せいいっぱい笑ってみるのですが 遠い昔の春の日の 音は聞こえない | 小室等 | 伊東嘉雄 | 小室等 | | 遠い昔の春の日の れんげ咲く 田んぼのあぜに やわらかに 陽はふりそそぐ 女たちは笑っていた 男たちも笑っていた 草も木も石っころも カエルも笑っていた 腹を抱えて ころげまわって 涙流して 生きることの 喜びを笑っていた 遠い昔の春の日の あれは かげろう 遠い昔の春の日に もう帰れない ぼくは もう帰れない ぼくは あいつが笑っていた あいつも笑っていた あいつはどこへ行った あいつはどこへ消えた 大き過ぎる街の 暗すぎる夜の 夜の空に向って 笑って笑って笑って せいいっぱい笑ってみるのですが 遠い昔の春の日の 音は聞こえない |
都会の朝厚いガラスのむこうに 白い河のような高速道路 音を刻まない街のかなたに 今日がただ急ぐよ 心のままに愛して 心のままに振舞う 悲しみなんか忘れたように 都会の朝はいきづく 淋しいからこそ微笑み 始発のバスにゆられてみれば やがてざわめきとかわる街に やさしい人々がよみがえる 心のままに愛して 心のままに振舞う 悲しみなんか忘れたように 都会の朝はいきづく 赤錆びた橋の上をふたり 今日もわかれる人がいる 鳥は又いつか飛んでくるよ この空を見直したときに 心のままに愛して 心のままに振舞う 悲しみなんか忘れたように 都会の朝はいきづく | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 厚いガラスのむこうに 白い河のような高速道路 音を刻まない街のかなたに 今日がただ急ぐよ 心のままに愛して 心のままに振舞う 悲しみなんか忘れたように 都会の朝はいきづく 淋しいからこそ微笑み 始発のバスにゆられてみれば やがてざわめきとかわる街に やさしい人々がよみがえる 心のままに愛して 心のままに振舞う 悲しみなんか忘れたように 都会の朝はいきづく 赤錆びた橋の上をふたり 今日もわかれる人がいる 鳥は又いつか飛んでくるよ この空を見直したときに 心のままに愛して 心のままに振舞う 悲しみなんか忘れたように 都会の朝はいきづく |
流星花火「下町は田舎みたいだ」って 車に乗り合わせた女の子が言う 下町育ちの小室さんは 「成程……」 と、うなずく 道産児の僕は 「そうかな……」 と、首をかしげる 田舎の縁日には 肌寒い夏の空を 流星花火が 飛び交っていた そいつが違うと 思うのだ | 小室等 | 及川恒平 | 小室等 | | 「下町は田舎みたいだ」って 車に乗り合わせた女の子が言う 下町育ちの小室さんは 「成程……」 と、うなずく 道産児の僕は 「そうかな……」 と、首をかしげる 田舎の縁日には 肌寒い夏の空を 流星花火が 飛び交っていた そいつが違うと 思うのだ |
OVER THE RAINBOWSomewhere Over The Rainbow way up high There's a land that I heard of once in a lull-a-by Somewhere Over The Rainbow, skies are blue And the dreams that you dare to dream really do come true Someday I'll wish up on a star and wake up where the clouds are far behind me Where troubles melt like lemon drops away above the chimney tops that's where you'll find me Somewhere Over The Rainbow blue birds fly Birds fly Over The Rainbow why then oh why can't I | 小室等 | E.Y.HARBURG | HAROLD ARLEN | | Somewhere Over The Rainbow way up high There's a land that I heard of once in a lull-a-by Somewhere Over The Rainbow, skies are blue And the dreams that you dare to dream really do come true Someday I'll wish up on a star and wake up where the clouds are far behind me Where troubles melt like lemon drops away above the chimney tops that's where you'll find me Somewhere Over The Rainbow blue birds fly Birds fly Over The Rainbow why then oh why can't I |
ぼくたちのラストダンスもうなにも 話すことはないと きみの瞳が語ってる 取り返しのつかない 時が流れて 今 ぼくたちのさようなら 開け放つ窓の やわらかな風は 愛の後を やさしく撫でる ゆらめくカーテン 窓際のベッドに 横たわるきみと やすらかな寝息 ああ 今は遠い あの日の景色 もう戻れないあの日の 愛の日々 ああ 鳥たちはすでに 歌うのをやめて 夕闇の梢で 羽を休めてる もうなにも 話すことはないと きみの瞳が 語ってる 取り返しのつかない 時が流れて 今 ぼくたちのさようなら ぼくの言葉が きみを傷つけて きみの涙が ぼくを追いつめる 愛の歯車と 時の歯車が 知らず知らずに ずれてしまった 言い争いは もうやめよう 涙を拭いて 笑ってくれないか 誰のせいでも ありはしない ぼくらは少し 若かった もうなにも 出来ることはないけど きみとぼくのラストダンス 踊り明かそう 踊って踊って 踊り明かして そして ぼくたちのさようなら 変わらないのは あの日のままの きみが笑った ぼくのステップ 今きみはぼくの 腕の中で あの日のように 笑ってる もうなにも 出来ることはないけど きみとぼくのラストダンス 踊り明かそう 踊って踊って 踊り明かして そして ぼくたちのさようなら まるで出会いの 時のようだね きみとぼくのラストダンス 踊り明かそう もっともっと激しく 踊り明かして 今 ぼくたちのさようなら | 小室等 | 小室等 | 小室等 | | もうなにも 話すことはないと きみの瞳が語ってる 取り返しのつかない 時が流れて 今 ぼくたちのさようなら 開け放つ窓の やわらかな風は 愛の後を やさしく撫でる ゆらめくカーテン 窓際のベッドに 横たわるきみと やすらかな寝息 ああ 今は遠い あの日の景色 もう戻れないあの日の 愛の日々 ああ 鳥たちはすでに 歌うのをやめて 夕闇の梢で 羽を休めてる もうなにも 話すことはないと きみの瞳が 語ってる 取り返しのつかない 時が流れて 今 ぼくたちのさようなら ぼくの言葉が きみを傷つけて きみの涙が ぼくを追いつめる 愛の歯車と 時の歯車が 知らず知らずに ずれてしまった 言い争いは もうやめよう 涙を拭いて 笑ってくれないか 誰のせいでも ありはしない ぼくらは少し 若かった もうなにも 出来ることはないけど きみとぼくのラストダンス 踊り明かそう 踊って踊って 踊り明かして そして ぼくたちのさようなら 変わらないのは あの日のままの きみが笑った ぼくのステップ 今きみはぼくの 腕の中で あの日のように 笑ってる もうなにも 出来ることはないけど きみとぼくのラストダンス 踊り明かそう 踊って踊って 踊り明かして そして ぼくたちのさようなら まるで出会いの 時のようだね きみとぼくのラストダンス 踊り明かそう もっともっと激しく 踊り明かして 今 ぼくたちのさようなら |
独り立ちの歌遠い空が晴れた朝には 地平さして 鳥が飛ぶよ ふるい友よ 君にさよなら 雨の日には 手紙書くさ 涙をぬぐい 訪ねてゆこう はるかな空の まだ見ぬ あの人 長い夜の 夢に目覚めて 出かけようと心に決めた 遠い空が晴れた朝には いつもの山脈 ひときは高く | 小室等 | 田槙道子 | 小室等 | | 遠い空が晴れた朝には 地平さして 鳥が飛ぶよ ふるい友よ 君にさよなら 雨の日には 手紙書くさ 涙をぬぐい 訪ねてゆこう はるかな空の まだ見ぬ あの人 長い夜の 夢に目覚めて 出かけようと心に決めた 遠い空が晴れた朝には いつもの山脈 ひときは高く |
ウォーキング・マンディ・モーニングいつもの路 ウォーキング・マンディ・モーニング 煙草くわえて ウィズこころスモーキン 空は青く どこからどこまでブルー 大通りには 春の陽シャイニング やるせなくって ちょっとウィンドウ・ショッピング ガラスの中で わたしを見ている わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 曲り角で だれかがコーリング 柳と風に ウィズこころブローイング 振り向いたって あなたはどこにもいない いつもの店 さめたブルー・マウンテン 雑誌めくって 頬杖シッティング 窓の向こうは まぶしいサニー・サイド・ストリート 流れてくる ラジオのスウィート・ソング 思い出しそで なんとなくスマイリング カップの中で ゆらゆら揺れてる わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 私だけの ウォーキング・マンディ・モーニング 午前十時の 間抜けたトリッピング 空は青く どこからどこまでブルー 空は青く どこからどこまでブルー | 小室等 | 山元清多 | 小室等 | | いつもの路 ウォーキング・マンディ・モーニング 煙草くわえて ウィズこころスモーキン 空は青く どこからどこまでブルー 大通りには 春の陽シャイニング やるせなくって ちょっとウィンドウ・ショッピング ガラスの中で わたしを見ている わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 曲り角で だれかがコーリング 柳と風に ウィズこころブローイング 振り向いたって あなたはどこにもいない いつもの店 さめたブルー・マウンテン 雑誌めくって 頬杖シッティング 窓の向こうは まぶしいサニー・サイド・ストリート 流れてくる ラジオのスウィート・ソング 思い出しそで なんとなくスマイリング カップの中で ゆらゆら揺れてる わたし このまえの 青空の色だけれど あの時見た あの空は もうどこにもない いいこと全部 日曜日で終わってしまった 私だけの ウォーキング・マンディ・モーニング 午前十時の 間抜けたトリッピング 空は青く どこからどこまでブルー 空は青く どこからどこまでブルー |
三途川ロックここは地獄の一丁目 三途の河の舟の上 彼は誰どきを振り返る 死出の山道 その果ての 夕焼け火事の沙婆世界 なつかしいとも したわしいとも 生まれかわり 死にかわり 煩悩の血のりにぬめり 色欲の火むらにあえぎ のたうちたしや のたうちたしや 百万遍 | 小室等 | 高橋陸郎 | 小室等 | | ここは地獄の一丁目 三途の河の舟の上 彼は誰どきを振り返る 死出の山道 その果ての 夕焼け火事の沙婆世界 なつかしいとも したわしいとも 生まれかわり 死にかわり 煩悩の血のりにぬめり 色欲の火むらにあえぎ のたうちたしや のたうちたしや 百万遍 |
のみくらべサアサア皆さん集まって 飲み較べをしようじゃないか 飲み較べをしようじゃないか そこの酒場でやつぎばや 外は早足長雨地雨 私の心は最上川 あの娘の船を海送り 悲しいけれど海送り サアサア飲んで飲み較べ 飲んで飲んで飲み明かし どうだい升酒つぎ込んで グイッと一息いきますか グイッと一息いきますか あんたは強いと聞いてます 流しの音頭で長唄地唄 私は下手な別れ唄 あの娘の振り袖色ぼかし 恋のあやまち色ぼかし サアサア飲んで飲み較べ 飲んで飲んで飲み明かし | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | サアサア皆さん集まって 飲み較べをしようじゃないか 飲み較べをしようじゃないか そこの酒場でやつぎばや 外は早足長雨地雨 私の心は最上川 あの娘の船を海送り 悲しいけれど海送り サアサア飲んで飲み較べ 飲んで飲んで飲み明かし どうだい升酒つぎ込んで グイッと一息いきますか グイッと一息いきますか あんたは強いと聞いてます 流しの音頭で長唄地唄 私は下手な別れ唄 あの娘の振り袖色ぼかし 恋のあやまち色ぼかし サアサア飲んで飲み較べ 飲んで飲んで飲み明かし |
ゆきの季節凍てついた窓 彼方に 幻のような河 あたたかなココア ゆるゆるこしらえ こんな日の 空にせつなく 鳥は雪 吐息は雪 降りてくるはずの 愛の ゆくえを追っている まばらな人影に ひとりきりで私 こんな日の 空にせつなく 鳥は雪 吐息は雪 | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | 凍てついた窓 彼方に 幻のような河 あたたかなココア ゆるゆるこしらえ こんな日の 空にせつなく 鳥は雪 吐息は雪 降りてくるはずの 愛の ゆくえを追っている まばらな人影に ひとりきりで私 こんな日の 空にせつなく 鳥は雪 吐息は雪 |
フライング山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 沙羅双樹の木蔭に憩う 老いたひとりの男に出会った 日暮れし里へのその道を聞けば 遠く指さし 静かに笑った 初めてぼくは知ったのさ 人の命の哀しさを 初めてぼくは知ったのさ 白く続く道の涯てを 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 緑の樹々に陽はそそぐ 光りの中でぼくは飛ぶ 梢を渡って風が吹く 風の背中でぼくは走る 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 石の温もり 夕べの市場 行き交う人々の賑わい 呼び声きいて 翼返せば 光と影がまどろんでいた 初めてぼくは知ったのさ 人の命のみじめさを 初めてぼくは知ったのさ 風と語る石の言葉 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 | 小室等 | 田槙道子 | 小室等 | | 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 沙羅双樹の木蔭に憩う 老いたひとりの男に出会った 日暮れし里へのその道を聞けば 遠く指さし 静かに笑った 初めてぼくは知ったのさ 人の命の哀しさを 初めてぼくは知ったのさ 白く続く道の涯てを 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 緑の樹々に陽はそそぐ 光りの中でぼくは飛ぶ 梢を渡って風が吹く 風の背中でぼくは走る 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 石の温もり 夕べの市場 行き交う人々の賑わい 呼び声きいて 翼返せば 光と影がまどろんでいた 初めてぼくは知ったのさ 人の命のみじめさを 初めてぼくは知ったのさ 風と語る石の言葉 山脈はるか 高原のかなた ひとり旅するところ 古はるか 潮騒のかなた 幻の奇しき都 |
デッドヒート全体 何が欲しいの 一体 何が欲しいの 街角のごみ箱あさって こねくりまわした おとぎ話 それとも 唇あわせて ぬりたくる嘘に嘘 またひとつ嘘が欲しいのかい? でも見ておくれ 僕のポケットからは もう もう何も 何も出てこない ぼくの頭は ディンドン ディンドン 逃げて追いかけて ディンドン ディンドン 全体 何が欲しいの 一体 何が欲しいの 覚めてくりかえす 昨日の夜の夢のつづき 3121、1234 (真夜中の扉の鍵の番号) 3212 (真夜中の扉の鍵の番号) 明日はどうにかなるだろうって でも見ておくれきっと ゼンマイがきれてるんだ 僕の時計はとまったきり 僕の頭は ディンドン ディンドン 逃げて追いかけて ディンドン ディンドン | 小室等 | 田槙道子 | 小室等 | | 全体 何が欲しいの 一体 何が欲しいの 街角のごみ箱あさって こねくりまわした おとぎ話 それとも 唇あわせて ぬりたくる嘘に嘘 またひとつ嘘が欲しいのかい? でも見ておくれ 僕のポケットからは もう もう何も 何も出てこない ぼくの頭は ディンドン ディンドン 逃げて追いかけて ディンドン ディンドン 全体 何が欲しいの 一体 何が欲しいの 覚めてくりかえす 昨日の夜の夢のつづき 3121、1234 (真夜中の扉の鍵の番号) 3212 (真夜中の扉の鍵の番号) 明日はどうにかなるだろうって でも見ておくれきっと ゼンマイがきれてるんだ 僕の時計はとまったきり 僕の頭は ディンドン ディンドン 逃げて追いかけて ディンドン ディンドン |
ユイ・コムロこの子のすること 見てごらん もう 自分が女だってこと 知ってるような 僕の思惑や 心配など この子にとっては何でもないが それでいいさ 僕の愛のふるさとに なったこの子に 僕は僕のすべてを 投げだしてしまうだろう 怒ったり笑ったり 一人前だね くやし泣きすることも 今に覚えるさ この子が結婚 ましてや母に… そのとき 僕はどんな顔して いるのだろう 僕の愛のふるさとに なったこの子に 僕は僕のすべてを 投げだしてしまうだろう | 小室等 | 白石ありす | 小室等 | | この子のすること 見てごらん もう 自分が女だってこと 知ってるような 僕の思惑や 心配など この子にとっては何でもないが それでいいさ 僕の愛のふるさとに なったこの子に 僕は僕のすべてを 投げだしてしまうだろう 怒ったり笑ったり 一人前だね くやし泣きすることも 今に覚えるさ この子が結婚 ましてや母に… そのとき 僕はどんな顔して いるのだろう 僕の愛のふるさとに なったこの子に 僕は僕のすべてを 投げだしてしまうだろう |
逃亡の河高いあの山への道 通い道 愛、愛 遠いふるさとの河 氾濫河(あばれかわ) 夢、夢 三つの顔をもつ俺たち 今日の寝ぐらはあの娘の胸 肩に背に乱れる山桜 高いあの山への道 通い道 雨、雨が降る 遠いふるさとの河 氾濫河(あばれがわ) 霧、霧にかすむ 明日にはぐれた俺たち 誰白波の無縁仏 風に風に揺れる母子草 明日にはぐれた俺たち 誰白波の無縁仏 風に風に揺れる母子草 | 小室等 | 田槙道子 | 小室等 | | 高いあの山への道 通い道 愛、愛 遠いふるさとの河 氾濫河(あばれかわ) 夢、夢 三つの顔をもつ俺たち 今日の寝ぐらはあの娘の胸 肩に背に乱れる山桜 高いあの山への道 通い道 雨、雨が降る 遠いふるさとの河 氾濫河(あばれがわ) 霧、霧にかすむ 明日にはぐれた俺たち 誰白波の無縁仏 風に風に揺れる母子草 明日にはぐれた俺たち 誰白波の無縁仏 風に風に揺れる母子草 |
死んだ男の残したものは死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども 他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった 死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子ども 他には何も残さなかった 着もの一枚残さなかった 死んだ子どもの残したものは ねじれた脚と乾いた涙 他には何も残さなかった 思い出ひとつ残さなかった 死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球 他には何も残せなかった 平和ひとつ残せなかった 死んだかれらの残したものは 生きてるわたし生きてるあなた 他には誰も残っていない 他には誰も残っていない 死んだ歴史の残したものは 輝く今日とまた来る明日 他には何も残っていない 他には何も残っていない | 小室等 | 谷川俊太郎 | 武満徹 | | 死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども 他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった 死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子ども 他には何も残さなかった 着もの一枚残さなかった 死んだ子どもの残したものは ねじれた脚と乾いた涙 他には何も残さなかった 思い出ひとつ残さなかった 死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球 他には何も残せなかった 平和ひとつ残せなかった 死んだかれらの残したものは 生きてるわたし生きてるあなた 他には誰も残っていない 他には誰も残っていない 死んだ歴史の残したものは 輝く今日とまた来る明日 他には何も残っていない 他には何も残っていない |
木を植える木を植える それはつぐなうこと 私たちが根こそぎにしたものを 木を植える それは夢見ること 子どもたちのすこやかな明日を 木を植える それは祈ること いのちに宿る太古からの精霊に 木を植える それは歌うこと 花と実りをもたらす風とともに 木を植える それは耳をすますこと よみがえる自然の無言の数えに 木を植える それは智恵それは力 生きとし生けるものをむすぶ | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 木を植える それはつぐなうこと 私たちが根こそぎにしたものを 木を植える それは夢見ること 子どもたちのすこやかな明日を 木を植える それは祈ること いのちに宿る太古からの精霊に 木を植える それは歌うこと 花と実りをもたらす風とともに 木を植える それは耳をすますこと よみがえる自然の無言の数えに 木を植える それは智恵それは力 生きとし生けるものをむすぶ |
おしっこ大統領がおしっこしてる おしっこしながら考えている 戦争なんかしたくないんだ 石油がたっぷりありさえすれば テロリストもおしっこしてる おしっこしながら考えている 自爆なんかしたくないんだ 恋人残して死にたくないもの 兵隊さんもおしっこしてる おしっこしながら考えている 殺すのっていやなもんだぜ 殺されるのはもっといやだが 男の子もおしっこしてる おしっこしながら考えている ほんとの銃を撃ってみたいな ゲームボーイじゃまどろっこしいよ 武器商人がおしっこしてる おしっこしながら考えている 銃がなければ平和は守れぬ 金がなければ自由も買えぬ 道で野良犬おしっこしてる おしっこしながら考えている 敵もいなけりゃ味方もいない ただの命を生きているだけ | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 大統領がおしっこしてる おしっこしながら考えている 戦争なんかしたくないんだ 石油がたっぷりありさえすれば テロリストもおしっこしてる おしっこしながら考えている 自爆なんかしたくないんだ 恋人残して死にたくないもの 兵隊さんもおしっこしてる おしっこしながら考えている 殺すのっていやなもんだぜ 殺されるのはもっといやだが 男の子もおしっこしてる おしっこしながら考えている ほんとの銃を撃ってみたいな ゲームボーイじゃまどろっこしいよ 武器商人がおしっこしてる おしっこしながら考えている 銃がなければ平和は守れぬ 金がなければ自由も買えぬ 道で野良犬おしっこしてる おしっこしながら考えている 敵もいなけりゃ味方もいない ただの命を生きているだけ |
殺すその人は人を殺した 素手ではなく遠くから人を殺した 血は見えなかった 同情も感じなかった その日も空は青く澄んでいた その人は人を殺した 朝起きて顔を洗ってコーヒーを飲んで それから皆と一緒に人を殺した 殺したなどとは思わずに 誰にも咎められずに その人が殺した人は 殺されたとも気づかずに 呼吸が止まり心臓が止まり死体になったが 死んだのではなく殺されたのだ その日も赤ん坊が生まれていた 殺した人もいつか殺されるかも 殺された人もいつか殺していたかも 殺す人も殺される人もひとりになれない 仲良く統計の数字の墓場に眠って 未来の受肉を空しく待っている | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | その人は人を殺した 素手ではなく遠くから人を殺した 血は見えなかった 同情も感じなかった その日も空は青く澄んでいた その人は人を殺した 朝起きて顔を洗ってコーヒーを飲んで それから皆と一緒に人を殺した 殺したなどとは思わずに 誰にも咎められずに その人が殺した人は 殺されたとも気づかずに 呼吸が止まり心臓が止まり死体になったが 死んだのではなく殺されたのだ その日も赤ん坊が生まれていた 殺した人もいつか殺されるかも 殺された人もいつか殺していたかも 殺す人も殺される人もひとりになれない 仲良く統計の数字の墓場に眠って 未来の受肉を空しく待っている |
すきになるとすきになるのがぼくはすき だれかがぼくをきらいでも ぼくはだれかをすきでいたい すきなきもちがつよければ きらわれたってすきでいられる なにかをすきになるのもぼくはすき すきになるともっとそれをしりたくなる しればしるほどおもしろくなる それがうつくしいとおもえてくる それがそこにあるのがふしぎなきもち だれかをなにかをすきになると こころとからだがあったかくなる かなしいこともわすれてしまう だれともけんかをしたくなくなる すきなきもちがぼくはすき | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | すきになるのがぼくはすき だれかがぼくをきらいでも ぼくはだれかをすきでいたい すきなきもちがつよければ きらわれたってすきでいられる なにかをすきになるのもぼくはすき すきになるともっとそれをしりたくなる しればしるほどおもしろくなる それがうつくしいとおもえてくる それがそこにあるのがふしぎなきもち だれかをなにかをすきになると こころとからだがあったかくなる かなしいこともわすれてしまう だれともけんかをしたくなくなる すきなきもちがぼくはすき |
詩人の死あなたはもういない 立ち去ったのではない 連れ去られたのでもない 人間をやめただけ 八月のあの炎天下 プラカードを掲げながら 国民でも人民でも市民でもなかった詩人 ただの自分でしかなかったあなた あなたを読むことができる 否定することもできる でももう傷つけることができない 思い出へと追いやらずに私は生き続ける ただひとりのあなたとともに 大勢の呟きと合唱と怒声に逆らって | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | あなたはもういない 立ち去ったのではない 連れ去られたのでもない 人間をやめただけ 八月のあの炎天下 プラカードを掲げながら 国民でも人民でも市民でもなかった詩人 ただの自分でしかなかったあなた あなたを読むことができる 否定することもできる でももう傷つけることができない 思い出へと追いやらずに私は生き続ける ただひとりのあなたとともに 大勢の呟きと合唱と怒声に逆らって |
こどもとおとなきみはこども ぼくはおとな きみはちいさい ぼくはおおきい でもおなじ いのちのおもさ あなたはこども わたしはおとな あなたはよわい わたしはつよい でもおなじ わらいとなみだ きみたちこども ぼくらはおとな きみたちおぼえる たいせつなこと ぼくらはわすれる たいせつなこと | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | きみはこども ぼくはおとな きみはちいさい ぼくはおおきい でもおなじ いのちのおもさ あなたはこども わたしはおとな あなたはよわい わたしはつよい でもおなじ わらいとなみだ きみたちこども ぼくらはおとな きみたちおぼえる たいせつなこと ぼくらはわすれる たいせつなこと |
黙って黙っていたい 木のように 黙っていたい 蟻のように 黙っていたい 空のように ただ聞くだけ 風を 川音を 人の沈黙を 幼子の 笑い声を 黙っている 花々とともに 一枚の白紙とともに 動きやまない 雲を追って 今 | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 黙っていたい 木のように 黙っていたい 蟻のように 黙っていたい 空のように ただ聞くだけ 風を 川音を 人の沈黙を 幼子の 笑い声を 黙っている 花々とともに 一枚の白紙とともに 動きやまない 雲を追って 今 |
風と夢どこから吹いてくるのだろう やさしい風 むごい風 どこへ吹いてゆくのだろう 風は怒り 風はほほえむ 傷ついた大地の上に 風が夢を運んでくる 苦しみの昨日から 歓びの明日へと 誰のこころに住むのだろう 楽しい夢 つらい夢 どんな未来見るのだろう 夢は実り 夢ははじける よみがえる大地の上に 夢が風を巻き起こす こころからこころへと ひとりからひとりへと | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | どこから吹いてくるのだろう やさしい風 むごい風 どこへ吹いてゆくのだろう 風は怒り 風はほほえむ 傷ついた大地の上に 風が夢を運んでくる 苦しみの昨日から 歓びの明日へと 誰のこころに住むのだろう 楽しい夢 つらい夢 どんな未来見るのだろう 夢は実り 夢ははじける よみがえる大地の上に 夢が風を巻き起こす こころからこころへと ひとりからひとりへと |
死んでから死んでからもうずいぶんたつ 痛かった思い出が死後はむず痒くなった 私という存在が何かに紛れてゆくが その何かを呼びたくとも 言葉はもう意味をなさない 見えてはいないのに青空が身近だ 生きていた頃はなにかと騒がしかったが いまは静かになった 前は聞こえなかった音が聞こえる どこか遠くでオーケストラが調弦している と思ったらそれは虹の音だった 私の骨は粉になったらしい それを海に撒き散らしたらしい 私の好みでは草原でもよかったのだが 老いては子に従えと格言は言う これから何が起きるのか もう何も起こらないのか もうちょっと死んでみないと分からない 私は良い人間だっただろうか もうおそいかもしれないが考えてしまう 死んでからも魂は忙しい | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 死んでからもうずいぶんたつ 痛かった思い出が死後はむず痒くなった 私という存在が何かに紛れてゆくが その何かを呼びたくとも 言葉はもう意味をなさない 見えてはいないのに青空が身近だ 生きていた頃はなにかと騒がしかったが いまは静かになった 前は聞こえなかった音が聞こえる どこか遠くでオーケストラが調弦している と思ったらそれは虹の音だった 私の骨は粉になったらしい それを海に撒き散らしたらしい 私の好みでは草原でもよかったのだが 老いては子に従えと格言は言う これから何が起きるのか もう何も起こらないのか もうちょっと死んでみないと分からない 私は良い人間だっただろうか もうおそいかもしれないが考えてしまう 死んでからも魂は忙しい |
希望について私は書きしるす希望は全身で笑っているひとりの子どもにある その子の上の青空にある だがもっと強い希望はもう泣く力もなく ぼんやりと座っているひとりの餓えた子どもにある その子の下の大地にある そうしてもっとも強い希望は 死んでしまったすべての子どもにある その子らの姿を思い描くひとつの無名の心にある 風よ どこの国のものでもない風よ なんの主張もせぬ旗を ひるがえせ春の野に | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 希望は全身で笑っているひとりの子どもにある その子の上の青空にある だがもっと強い希望はもう泣く力もなく ぼんやりと座っているひとりの餓えた子どもにある その子の下の大地にある そうしてもっとも強い希望は 死んでしまったすべての子どもにある その子らの姿を思い描くひとつの無名の心にある 風よ どこの国のものでもない風よ なんの主張もせぬ旗を ひるがえせ春の野に |
その日-August6苦しみという名で 呼ぶことすらできぬ苦しみが あなたの皮膚から内臓へ 内臓からこころへ こころから私が決して 行き着くことのできぬ深みへと 歴史を貫いていまも疼きつづける その日私はそこにいなかった 今日 子どもたちの 傷ひとつない皮膚が その日と同じ太陽に輝き 焼けただれた土を養分に 木々の緑が夏を歌う 記憶は無数の文字の上で 鮮度を失いかけている その日私はそこにいなかった 私はただ信じるしかない 怒りと痛みと悲しみの土壌にも 喜びは芽生えると 死によってさえ癒されぬ傷も いのちを滅ぼすことはないと その日はいつまでも 今日でありつづけると | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | 苦しみという名で 呼ぶことすらできぬ苦しみが あなたの皮膚から内臓へ 内臓からこころへ こころから私が決して 行き着くことのできぬ深みへと 歴史を貫いていまも疼きつづける その日私はそこにいなかった 今日 子どもたちの 傷ひとつない皮膚が その日と同じ太陽に輝き 焼けただれた土を養分に 木々の緑が夏を歌う 記憶は無数の文字の上で 鮮度を失いかけている その日私はそこにいなかった 私はただ信じるしかない 怒りと痛みと悲しみの土壌にも 喜びは芽生えると 死によってさえ癒されぬ傷も いのちを滅ぼすことはないと その日はいつまでも 今日でありつづけると |
しーんしずかなのがいい おおごえはききたくない でもかみなりはきらいじゃない しずかなのがいい せかせかはすきじゃない おっとりしてるとほっとする しずかなのがいい げらげらわらうのもわるくないけど にこにこのほうがおちつく しずかなのがいい ばくはつのおとはききたくない ひめいもうめきごえも しずかなのがいい そよかぜがふいてきて ふうりんがなったりするのがすき しずかなのがいい いびきもおならもねごともかわいいけど しーんとしたほしぞらにはかなわない | 小室等 | 谷川俊太郎 | 小室等 | | しずかなのがいい おおごえはききたくない でもかみなりはきらいじゃない しずかなのがいい せかせかはすきじゃない おっとりしてるとほっとする しずかなのがいい げらげらわらうのもわるくないけど にこにこのほうがおちつく しずかなのがいい ばくはつのおとはききたくない ひめいもうめきごえも しずかなのがいい そよかぜがふいてきて ふうりんがなったりするのがすき しずかなのがいい いびきもおならもねごともかわいいけど しーんとしたほしぞらにはかなわない |