黄昏のビギンちあきなおみ | ちあきなおみ | 永六輔 | 中村八大 | | 雨に濡れてた たそがれの街 あなたと逢った 初めての夜 ふたりの肩に 銀色の雨 あなたの唇 濡れていたっけ 傘もささずに 僕達は 歩きつづけた 雨の中 あのネオンが ぼやけてた 雨がやんでた たそがれの街 あなたの瞳うるむ星影 夕空晴れた たそがれの街 あなたの瞳 夜にうるんで 濡れたブラウス 胸元に 雨のしずくか ネックレス こきざみに ふるえてた ふたりだけの たそがれの街 並木の陰(かげ)の初めてのキス 初めてのキス |
かもめの街ちあきなおみ | ちあきなおみ | ちあき哲也 | 杉本眞人 | 倉田信雄 | やっと店が終わって ほろ酔いで坂を下りる頃 白茶けたお天道が 浜辺を染め始めるのさ そんなやりきれなさは 夜眠る人にゃ分らないさ 波止場に出れば カモメがブイに2、3羽 一服しながら ぼんやり潮風に吹かれてみるのが あたしは好きなのさ カモメよ カモメよ 淋しかないか 帰る故郷があるじゃなし おまえも一生 波の上 あたしも一生 波の上 あ~あ~ ドンブラコ いろんな人が居たし いろんな人が居なくなった 泣いてくれるのは カモメと霧笛ばかり 一服しながら あれこれ取り止めなく懐かしむのが あたしは好きなのさ カモメよ カモメよ 風邪などひくな 絹の寝床があるじゃなし おまえも一生 波の上 あたしも一生 波の上 あ~あ~ ドンブラコ カモメよ カモメよ あ~あ~ |
夜間飛行ちあきなおみ | ちあきなおみ | 吉田旺 | 中村泰士 | | 最後の最後まで 恋は私を苦しめた 指をつきぬけ涙が あふれそうよ そして 今…… 翼に身をゆだね 私は旅立つ 遥か雲の下に 広がる街あかり あそこで愛されて あそこで別れた このままずっと どこへもおりず この夜の果て 二度と帰らないの そして帰らないの あなたは気付くでしょう いつか私のまごころに だけど哀しい目をして 探さないで もういいの…… 不幸を身にまとい 異国へ旅立つ 女のかなしみは 夜空の星になり きらきら消えてゆく 私は泣かない このままずっと どこへもおりず この空の果て 二度と帰らないの そして帰らないの |
夜霧よ今夜も有難うちあきなおみ | ちあきなおみ | 浜口庫之助 | 浜口庫之助 | | しのび会う恋を つつむ夜霧よ 知っているのか ふたりの仲を 晴れて会える その日まで かくしておくれ 夜霧 夜霧 僕等はいつも そっと云うのさ 夜霧よ今夜も有難う 夜更けの街に うるむ夜霧よ 知っているのか 別れのつらさ いつか二人で つかむ幸せ 祈っておくれ 夜霧 夜霧 僕等はいつも そっと云うのさ 夜霧よ今夜も有難う 夜霧よ今夜も有難う |
秘恋ちあきなおみ | ちあきなおみ | ポルトガル民謡・日本語詞:吉田旺 | ポルトガル民謡 | | いいの私 このままで ひどい女と いわれても 人目さけて 忍び逢う あなただけしか見えない 春の雪が 舞い散る 髪に指に はらはら… より添う愛 白くかくして 降りつづけ いつまでも あなたそんなに つらい眸をして 自分だけ 責めないで いいの私 このままで けして悔やみは しないけど あなたを待つ あのかたの 涙おもうと苦しい 雪の花が 舞い飛ぶ 暗い空に はらはら… こごえそうな 夢をつつんで 降りつもれ どこまでも あなた私を離さないで この命つきるまで あなただけが 生きがい… |
涙の酒ちあきなおみ | ちあきなおみ | 伊吹とおる | 小池青磁 | | 男一途の 火の恋を 何んで涙で けされよう 未練ばかりが ただつのる 夜の暗さを はしご酒 浴びておぼれて なお酔えぬ 酒のにがさを かみしめる 露地の屋台の 灯にさえも 男心が 泣ける夜 涙ぐんでた あの顔に なんで嘘など あるもんか 噂なんだぜ 噂だと 胸にきかせる はしご酒 |
玄海ブルースちあきなおみ | ちあきなおみ | 大高ひさを | 長津義司 | | 情け知らずと わらわば笑え ひとにゃ見せない 男の泪 どうせ俺らは 玄海灘の 波に浮寝の かもめ鳥 紅い灯(ほ)かげの グラスに浮ぶ 影が切ない 夜更けのキャバレー 酔うて歌えど 晴れない胸は ドラよお前が 知るばかり 嵐吹きまく 玄海越えて 男船乗り 往く道ゃひとつ 雲の切れ間に キラリと光る 星がたよりの 人生さ |
酒場川ちあきなおみ | ちあきなおみ | 石本美由起 | 船村徹 | | あなたの憎くさと いとしさが からだのなかを 流れます 子犬のように 捨てられた 女の恋の みじめさを 酒と泣きたい 酒場川 男のこころも 読めないで おぼれるだけの 恋でした 死ぬより辛い 裏切りを 怨んでみても 無駄なのね 涙こぼれる 酒場川 私と暮らした アパートで あなたは誰と いるのでしょう グラスの酒に 酔いしれて 心の傷を 洗いたい ネオン悲しい 酒場川 |
港が見える丘ちあきなおみ | ちあきなおみ | 東辰三 | 東辰三 | | あなたと二人で 来た丘は 港が見える丘 色褪せた桜 唯一つ 淋しく 咲いていた 船の汽笛 咽(むせ)び泣けば チラリホラリと 花片(はなびら) あなたと私に 降りかかる 春の午後でした あなたと別れた あの夜は 港が暗い夜 青白い灯り 唯一つ 桜を照らしてた 船の汽笛 消えて行けば チラリチラリと 花片 涙の雫で きらめいた 霧の夜でした あなたを想うて 来る丘は 港がみえる丘 葉桜をソヨロ 訪ずねる 潮風 浜の風 船の汽笛 遠く聞いて ウツラトロリと 見る夢 あなたの口許 あの笑顔 遠い夢でした 遠い夢でした |
朝日楼(朝日のあたる家)ちあきなおみ | ちあきなおみ | アメリカ民謡・訳詞:浅川マキ | アメリカ民謡 | | 私が着いたのは ニューオリンズの 朝日楼という名の 女郎屋だった 愛した男が 帰らなかった あの時私は 故郷(くに)を出たのさ 汽車に乗って また汽車に乗って 貧しい私に 変わりはないが 時々想うのは ふるさとの あのプラットホームの薄暗さ 誰か言っとくれ 妹に こんなになったら おしまいだってね 私が着いたのは ニューオリンズの 朝日楼という名の 女郎屋だった |
喝采<'89年バージョン>ちあきなおみ | ちあきなおみ | 吉田旺 | 中村泰士 | 高田弘 | いつものように幕が開き 恋の歌うたうわたしに 届いた報らせは 黒いふちどりがありました あれは三年前 止めるアナタ駅に残し 動き始めた汽車に ひとり飛び乗った ひなびた町の昼下がり 教会のまえにたたずみ 喪服のわたしは 祈る言葉さえ 失くしてた つたがからまる白い壁 細いかげ長く落として ひとりのわたしは こぼす涙さえ忘れてた 暗い待合室 話すひともないわたしの 耳に私のうたが 通りすぎてゆく いつものように幕が開く 降りそそぐライトのその中 それでもわたしは 今日も恋の歌 うたってる |
百花繚乱ちあきなおみ | ちあきなおみ | 水谷啓二 | 倉田信雄 | 倉田信雄 | 覚えてますか 初めて誰かを 愛した頃の 春の日差しを 生まれたことの 喜びに似た 胸のときめき そして切なさ スミレ 撫子 人知れず つのる想い艶やかに しとしと雨が 続くこともある 思い通りに 雲が晴れずに だけど時には それもいいかと 縁側に立ち ため息ついた アヤメ シャクナゲ くよくよと 悩むよりもしっとりと (あ…) 四季それぞれに華があり 愛それぞれに人がいる 人それぞれに恋をして 百花繚乱 したたかに 桔梗 コスモス 振り返る 路に揺れてひっそりと 枯れ葉を叱る 木枯らしを過ぎて ひとりぽっちの 雪に埋もれる だけど時には それもいいかと 両手に息を 吹きかけてみる 椿 ツワ蕗 寒々と また来る春 待ちながら (あ…) 四季それぞれに華があり 愛それぞれに人がいる 人それぞれに恋をして 百花繚乱 (あ…) 四季それぞれに華があり 愛それぞれに人がいる 人それぞれに恋をして 百花繚乱 したたかに 百花繚乱 したたかに |
新宿情話ちあきなおみ | ちあきなおみ | 猪又良 | 船村徹 | 船村徹 | 新宿は 西口の 間口五尺の ぽん太の店が とうとうつぶれて 泣いてるヒロ子 三畳一間で よかったら ついておいでよ ぼくんちに 東京は 広いから 親も故郷も 知らない人が ヒロ子の他にも いっぱいいるさ 泣くのはいいけど 泣いたなら ぼくの笑顔が 見えなかろ これからは どうなるの 赤いランプの 最終電車 しょんぼり見送る ヒロ子の涙 風呂敷包を 中にして つなぐ手と手に 霧がふる |
紅とんぼちあきなおみ | ちあきなおみ | 吉田旺 | 船村徹 | 南郷達也 | 空(から)にしてって 酒も肴も 今日でおしまい 店仕舞 五年ありがとう 楽しかったわ いろいろお世話に なりました しんみり しないでよ…ケンさん 新宿駅裏 紅とんぼ 想い出してね…時々は いいのいいから ツケは帳消し みつぐ相手もいないもの だけどみなさん 飽きもしないで よくよく通って くれました 唄ってよ 騒いでよ…しんちゃん 新宿駅裏 紅とんぼ 想い出してね…時々は だからほんとよ 故里(くに)へ帰るの 誰も貰っちゃ くれないし みんなありがとう うれしかったわ あふれてきちゃった 想い出が 笑ってよ なかないで…チーちゃん 新宿駅裏 紅とんぼ 想い出してね…時々は |
スタコイ東京ちあきなおみ | ちあきなおみ | 北原じゅん | 北原じゅん | | ハア おらが東京サ 来る時に 故郷(くに)の おっ母の 言う事にゃ 東京ッて言うとか スタコイとこだで あっちぁさ 行ったら 気をつけろ 「電車ッコサ 乗るにも ぼやぼやこいでて ドアコのあいだコサ はさまるな ドアコがひとりで パシャランとくれば 骨こは ポキリで 体は ペシャンコ それだば おめえは パアだべさ」 せがれや せがれや わかったな ハア おらが東京サ 来る時に 故郷の おっ母の 言う事にゃ 東京って言うとか スタコイとこだで あっちぁさ 行ったら 気をつけろ 「きれいな おなごは 沢山いるはんで まなこさ すっくるかえして たまげるな あんまりきょろきょろ やってれば あにさま ちょっと ちょっと こっちゃこうなんて 持ってる ゼゼコは パアだべさ」 せがれや せがれや わかったな ハア おらが東京サ 来る時に 故郷の おっ母の 言う事にゃ 東京って言うとか スタコイとこだで あっちぁさ 行ったら 気をつけろ 「スリも多いし 泥棒も多い おまえみたいな 田舎者あ えさコにゃ ちょうどエエ ええとこ 来たなと パックリ来れば 財布もパアー 着物もパアー それだば おめえは アッパッパー」 せがれや せがれや わかったな ハア スタコイ スタコイ スタコイナ スタコイ スタコイ スタコイナ |
冬隣ちあきなおみ | ちあきなおみ | 吉田旺 | 杉本眞人 | 倉田信雄 | あなたの真似して お湯割りの 焼酎のんでは むせてます つよくもないのに やめろよと 叱りにおいでよ 来れるなら 地球の夜更けは 淋しいよ…… そこからわたしが 見えますか この世にわたしを 置いてった あなたを怨んで 呑んでます 写真のあなたは 若いまま きれいな笑顔が にくらしい あれからわたしは 冬隣 微笑むことさえ 忘れそう 地球の夜更けは せつないよ…… そこからわたしが 見えますか 見えたら今すぐ すぐにでも わたしを迎えに きてほしい 地球の夜更けは 淋しいよ…… そこからわたしが 見えますか この世にわたしを 置いてった あなたを怨んで 呑んでます |
伝わりますかちあきなおみ | ちあきなおみ | 飛鳥涼 | 飛鳥涼 | | 淡い紅を かるくのせて 想い出追えば 娘にかえる 恋を知れば 夜が長く 街ち人の名を つぶやいた頃 一人のために女は 時を旅して 綺麗になる あなたの腕のつよさは 消えない ぬくもり 今も たどれるものなら もう一度 もう一度 全てを無くす愛なら あなたしかない 愛するくらい 愛されたいと 願う心が 重荷でしたね 恋の色は 夕暮れの空 うす紅に はかなく落ちた 伝わりますか 今夜は 悪い女に なっています あなたの守る倖せ 消えてくださいな なりふりかまわぬ恋を もう一度 もう一度 全てを無くす愛なら あなたしかない さびしい夜は 娘心が 悪戯します 今もたどれるものなら もう一度 もう一度 全てを無くす愛なら あなたしかない さびしい夜は 娘心が 悪戯します |
紅い花ちあきなおみ | ちあきなおみ | 松原史明 | 杉本眞人 | 倉田信雄 | 昨日の夢を 追いかけて 今夜もひとり ざわめきに遊ぶ 昔の自分が なつかしくなり 酒をあおる 騒いで飲んで いるうちに こんなにはやく 時は過ぎるのか 琥珀のグラスに 浮かんで消える 虹色の夢 紅い花 想いを込めて ささげた恋唄 あの日あの頃は 今どこに いつか消えた 夢ひとつ 悩んだあとの 苦笑い くやんでみても 時は戻らない 疲れた自分が 愛しくなって 酒にうたう いつしか外は 雨の音 乾いた胸が 思い出に濡れて 灯りがチラチラ 歪んでうつる あの日のように 紅い花 踏みにじられて 流れた恋唄 あの日あの頃は 今どこに いつか消えた 影ひとつ 紅い花 暗闇の中 むなしい恋唄 あの日あの頃は 今どこに 今日も消える 夢ひとつ 今日も消える 夢ひとつ |