おんな船頭唄三橋美智也 | 三橋美智也 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | | 嬉しがらせて 泣かせて消えた 憎いあの夜の 旅の風 思い出すさえ ざんざら真菰(まこも) 鳴るなうつろな この胸に 所詮かなわぬ 縁(えにし)の恋が なぜにこうまで 身を責める 呼んでみたとて はるかなあかり 濡れた水棹(みさお)が 手に重い 利根で生まれて 十三、七つ 月よわたしも 同じ年 かわいそうなは みなし子同士 きょうもおまえと つなぐ舟 |
リンゴ村から三橋美智也 | 三橋美智也 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | 川上英一 | おぼえているかい 故郷の村を たよりもとだえて 幾年(いくとせ)過ぎた 都へ積み出す まっかなリンゴ 見るたびつらいよ 俺(おい)らのナ 俺らの胸が おぼえているかい 別れたあの夜 泣き泣き走った 小雨のホーム 上りの夜汽車の にじんだ汽笛 せつなく揺するよ 俺らのナ 俺らの胸を おぼえているかい 子供の頃に 二人で遊んだ あの山・小川 昔とちっとも 変わっちゃいない 帰っておくれよ 俺らのナ 俺らの胸に |
あの娘が泣いてる波止場三橋美智也 | 三橋美智也 | 高野公男 | 船村徹 | | 思い出したんだとさ 逢(あ)いたくなったんだとさ いくらすれても 女はおんな 男心にゃ わかるもんかと 沖のけむりを 見ながら あゝ あの娘(こ)が泣いてる 波止場(はとば) 呼んでみたんだとさ 淋しくなったんだとさ どうせカーゴの マドロスさんは 一夜(いちや)泊りの 旅の鴎(かもめ)と 遠い汽笛を しょんぼり あゝ あの娘は聞いてる 波止場 涙捨てたんだとさ 待つ気になったんだとさ 海の鳥でも 月夜にゃきっと 飛んで来るだろ 夢ではろばろ それをたよりに いつまで あゝ あの娘がたたずむ 波止場 |
かすりの女と背広の男三橋美智也 | 三橋美智也 | 黒田すゝむ・横井弘 | 吉田矢健治 | | かすりの女(むすめ)と 背広の男 指切りしていた 別れの港 小島の鴎も 椿の花も 見て見ぬふりした その涙 都と小島に 三年過ぎた 泣き泣きかすりは お嫁に行った 来なけりゃいいのに 背広の男 今ごろひょっこり やって来た 浮世(うきよ)の常さと 汽笛が鳴った 諦(あきら)めなされと 南(みなみ)風が吹いた どうなることかと 世間は騒ぎ かすりと背広は また涙 |
美智也さのさ三橋美智也 | 三橋美智也 | 藤間哲郎 | 山口俊郎 | | 聞かせてネー 今夜はジックリ ほんとの胸を 聞けば言やせぬ 無理なんぞ こんなあたしが ネエ 重荷なら 好きなあたしも あきらめる あきらめるー そりゃァいけない よく聞いてごらん 時節来るまで この辛さ たとえ離れて ネエ 暮らそうと ほかに気はない 夫婦(めおと)松 許してネー 悲しいときには こらえちゃいても 嬉しいときには 泣けるもの やはり女は ネエ 愚痴ッぽい 愚痴で日も照る 日も曇る |
木曽恋がらす三橋美智也 | 三橋美智也 | 東條寿三郎 | 林伊佐緒 | | 大手振っては 帰れぬものと きめていながら 草鞋(わらじ)をはいた 乙(おつ)な文句に ふり返りゃ 木曽のナー 仲乗りさん 木曽はよいとこ あの娘(こ)のすまい 笠(かさ)に紅葉(もみじ)の 花が散る 折って数えりゃ 一(ひ)ィ二(ふ)ゥ三年(みとせ) 山をきらって 旅人(たびにん)暮らし さんざ姿も やつれたが 木曽のナー 仲乗りさん 木曽はよいとこ 夜毎の夢にゃ いつも聞いたよ 祭り唄 裾(すそ)をはしょって 早瀬を渡りゃ 肌(はだ)にしみ込む 故郷の清さ やっといまさら 知りました 木曽のナー 仲乗りさん 木曽はよいとこ 高峰(たかみね)ぞろい 渡り鳥さえ 宿をとる |
岩手の和尚さん三橋美智也 | 三橋美智也 | 矢野亮 | 吉田矢健治 | | 大寒(おおさむ) 小寒(こさむ) 山からこがらし 降りて来た 岩手の和尚(おしょう)さん 寒がりで すっぽりかぶった 白頭巾(ずきん) それではお里で 踊ろかな トッピキピーヒャラ ピーヒャラリ 笛ッコ吹き吹き やって来た 大寒 小寒 山から小僧が 逃げて来た お寺はひっそり 冬ごもり おかあがしみじみ 恋しゅうて 念仏あげるも うわのそら ナンマイダーブツ ナンマイダー 木魚(もくぎょ)をかついで 抜け出した 大寒 小寒 山からいっしょに 降りて来た 墨染め衣に 風入れて 来てみりゃお里は お祭りだ 吹きゃんせ打たんせ 踊りゃんせ スッテンテレツク テレドンドン 頭巾をぬぐまで 泊まりゃんせ |
縁があったらまた逢おう三橋美智也 | 三橋美智也 | 矢野亮 | 船村徹 | | あばよさよなら 港の鴎 海が呼ぶから 俺らは行くぜ 親の代から マドロス稼業 胸ににじんだ 潮の香りは 一夜じゃ抜けぬ あゝ あてさえないが 御縁があったら 又逢おう あばよさよなら 港の鴎 無理に作った 小粋な笑顔 波止場出るまじゃ くずさぬものさ 一人しょんぼり やけに淋しい あの娘の姿 あゝ そむけた瞳 のぞいちゃいけない 仁義だぜ あばよさよなら 港の鴎 どうせつなげぬ ちぎれたテープ 未練残さず 波間に棄てて 別れ汽笛を 思い切りよく 鳴らしておくれ あゝ マドロスさんは 錨をあげたら 海のもの |
おさらば東京三橋美智也 | 三橋美智也 | 横井弘 | 中野忠晴 | 上野正雄 | 死ぬほどつらい 恋に破れた この心 泣き泣き行くんだ ただひとり 思い出消える ところまで あばよ 東京 おさらばだ やりきれないよ 胸にやきつく あの瞳 この世に生れて ただ一度 真実ほれた 夜も夢 あばよ 東京 おさらばだ どうともなれさ 汽笛ひと声 闇の中 あてさえ知らない 旅の空 傷みを風に さらしつつ あばよ 東京 おさらばだ |
リンゴ花咲く故郷へ三橋美智也 | 三橋美智也 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 生れ故郷を 何で忘れてなるもんか 昨夜(ゆんべ)も夢見て しみじみ泣いた そろそろお山の 雪さえ溶けて 白いリンゴの 花がちらほら あゝ 咲くだろな いとしお前を 何で忘れてなるもんか 木立も芽をふく 鎮守の小路 好きよ好きだと 手をとりあった 紅のたすきが 今も揺れてる あゝ 目の中に 遠く離りょと 何で忘れてなるもんか 待ってておくれよ 必ず帰る 俺とお前と あの日のように 歌をうたって リンゴもぎする あゝ それまでは |
石狩川悲歌三橋美智也 | 三橋美智也 | 高橋掬太郎 | 江口浩司 | | 君と歩いた 石狩の 流れの岸の 幾曲り 思い出ばかり 心につづく あゝ 初恋の 遠い日よ ひとり仰げば ただわびし 木立の丘の 日昏(ひぐ)れ雲 くろかみ清く 瞼(まぶた)に消えぬ あゝ 初恋の 面影よ 君を思えば 身にしみる 石狩川の 夕風よ 二度とは逢(あ)えぬ この道なれば あゝ 初恋の 日が恋し |
おさげと花と地蔵さんと三橋美智也 | 三橋美智也 | 東條寿三郎 | 細川潤一 | 細川潤一 | 指をまるめて のぞいたら 黙ってみんな 泣いていた 日昏(ひぐ)れの空の その向こう さようなら 呼べば遠くで さようなら おさげと 花と 地蔵さんと あれから三年 もう三月 変らず今も あのままで 空見て立って いるのやら さようなら 耳をすませば さようなら おさげと 花と 地蔵さんと なんにもいわずに 手を上げて 爪(つま)立ちながら 見てたっけ 思いはめぐる 茜(あかね)空 さようなら 呼べばどこかで さようなら おさげと 花と 地蔵さんと |
哀愁列車三橋美智也 | 三橋美智也 | 横井弘 | 鎌多俊与 | | 惚れて 惚れて 惚れていながら 行く俺に 旅をせかせる ベルの音 つらいホームに 来は来たが 未練心に つまづいて 落す涙の 哀愁列車 燃えて 燃えて 燃えて過ごした 湯の宿に うしろ髪ひく 灯(ひ)がひとつ こよい逢瀬(おうせ)を 待ちわびる 君のしあわせ 祈りつつ 旅にのがれる 哀愁列車 泣いて 泣いて 泣いているのを 知らぬげに 窓はふたりを 遠くする こらえきれずに 見返れば すがるせつない 瞳(め)のような 星が飛ぶ飛ぶ 哀愁列車 |