今頃2人は落ち合って、君に伝えているはずなのに…。

SILENT SIREN
今頃2人は落ち合って、君に伝えているはずなのに…。
影、ゆらりゆられて 変わりゆく景色眺めて 声、ゆらりゆられて 見たことない名前を口ずさんで どれだけ ずれてしまったの 狂いのない 標識を たしかに 時間ばかり 流れてく不安に 何度も 何度も 問いただしたの 「さよなら日比谷」/SILENT SIREN 今日のうたコラムでは、2017年12月27日に“SILENT SIREN”がリリースしたニューアルバム『GIRLS POWER』に収録されている「さよなら日比谷」をご紹介いたします。タイトルからもう内容が気になるこの曲。どうして主人公の<私>は、日比谷にさよならを告げているのでしょうか…。先にネタバレをしてしまいますと、実はこの曲、作詞を手がけたボーカル・すぅのリアルな実体験をもとにしたラブソングなんだとか! その実体験とは、日比谷で迷子になってしまったこと。音楽メディアサイト『OKMusic』のインタビューでは“すぅ”本人が、歌詞について「あまり乗ったことのなかった路線だったので、間違えて日比谷で降りてしまって。乗り換えを間違えずに待ち合わせ場所に行っていたら、今頃はちゃんと想いを伝えられていただろうなという歌です」と語っております。 今頃2人は落ち合って 君に伝えているはずなのに I LOVE YOU ちゃんと確かめとくべきだったわ 「さよなら日比谷」/SILENT SIREN それを知った上で歌詞を読んでみると、たしかに、電車と不安の両方に<ゆらりゆられて>いる<私>の姿が見えてきますね。変わりゆく景色眺めたり、見たことない駅の名前を口ずさんたりしながら、待ち合わせの駅から<どれだけ ずれてしまったの>と焦っているのです。そして、早く大切な人に<I LOVE YOU>と伝えたくてたまらないのです。…しかし、今回はあえて違う解釈でも、このラブソングを深読みをしてみました。 たとえば<私>は、実際に日比谷で迷子になったわけではなく、日比谷で暮らしている“誰か”に心が揺れていたとも考えられるのではないでしょうか…。それは愛しているはずの<君>ではない“誰か”です。つまり、恋愛の迷子になっていたということ。そうすると冒頭の<影、ゆらりゆられて>や<声、ゆらりゆられて>というフレーズも“日比谷のあの人”を好きになってしまった“ゆれる私”を表しているような気がしてきませんか? ヒントをくれる声さえ 私の耳には届かなくて まわる まわる まわる まわる 目も眩んでしまう程に惑わす 「さよなら日比谷」/SILENT SIREN また、サビの<ヒントをくれる声>とは、本来の意味ならおそらく“電車のアナウンス”などでしょう。ただ、違う解釈をすれば、イケナイ恋愛をとめようとする“友達の忠告”にも思えてきます。きっと恋の始まりでは<目も眩んでしまう程に惑わ>されて、我を忘れて、その声が<私の耳には届かな>かった…。だけど、あるとき<私>はハッと、本当に大切な人は誰かなのか、本当に行くべきところはどこなのか、気づいたのです。 もう 戻らなくちゃ 今 来た 道を辿って行かなくちゃ 君の元へ、さよなら日比谷 「さよなら日比谷」/SILENT SIREN 歌はこのように幕を閉じてゆきます。心移りしかけていたけれど、本当に愛している人は<君>だとわかったからこそ<どれだけ ずれてしまったの>と焦り、<ちゃんと確かめとくべきだったわ>と自分の過ちを後悔し、<もう 戻らなくちゃ>と決意をしている。そして“日比谷のあの人”に「さよなら」を告げている。タイトルの「さよなら日比谷」とは“さよなら日比谷のあの人”という意味だった…。 と、そんな別の物語の想像も、膨らませることができるのが「さよなら日比谷」の歌詞の面白さです! では、果たして<今 来た 道を辿って>行く主人公は、今度こそちゃんと<君>へ<I LOVE YOU>を伝えることができるのでしょうか。みなさんは、どんな結末を想像しますか…? ◆紹介曲「 さよなら日比谷 」 作詞:すぅ 作曲:クボナオキ ◆5thアルバム『GIRLS POWER』 2017年12月27日発売 初回限定盤 UPCH-29277 ¥3,800+税 通常盤 UPCH-20477 ¥2,800+税 <収録曲> 1.フジヤマディスコ 2.merry-go-round 3.KNiFE 4.Love Balloon 5.パパヤパヤパ 6.ジャストミート 7.AKANE 8.フユメグ 9.さくら咲く青い春 10.Kaleidoscope 11.ODOREmotion 12.さよなら日比谷