LIVE REPORT

amazarashi ライブレポート

amazarashi

『amazarashi LIVE TOUR 2013「ねぇママ あなたの言うとおり」』

2013年05月31日@渋谷公会堂

撮影:高岡 弘/取材:宮本英夫

2013.06.20

ステージと客席を隔てる紗幕の向こうから、変化への兆しが見えてきた。ニューアルバム『ねえママ あなたの言うとおり』からの「僕は盗む」で始まったライヴは、幕に映るアニメと音楽との総合アートというスタイルは変わらぬものの、スポットに照らされたメンバーの姿が以前よりもくっきりと見える。「風に流離い」では、秋田ひろむ(Vo&Gu) らしき人物の実写映像が盛り込まれ、アニメからドキュメンタリーへと、amazarashiの世界が転換しつつあることを暗示しているようだ。
バンドの演奏も非常にエネルギッシュで、特に10曲目「ムカデ」で到達した猛烈にヘヴィなロックサウンドは、この日最大のハイライト。映画鑑賞会のようにかしこまった場内の空気をかき乱す荒々しい演奏は、映像を一切使わず、“実体の見えないバンド”というamazarashiのイメージをくつがえす、最上級のライヴバンドそのものだった。日常の幸せを噛み締める美しい朗読曲「春待ち」、辛い現実にうつむき歩く少年に救いの手を差し伸べる「パーフェクトライフ」など、後半の曲には明らかに共通のメッセージがある。あえて言うならそれは“希望”で、「美しき思い出」のあと、この日唯一のMCで、住み慣れた青森県むつ市を離れたことを明かした秋田ひろむは、“どうせ思い出になるのなら、行きたいところに行きたいと思います”と語り、「この街で生きている」を万感の思いを込めて歌い上げた。より生々しく、より希望へ向けて。amazarashiに起きつつある変化は、2013年を生きる全ての音楽ファンにとって他人事ではない。今こそamazarashiの音楽は、より高く鳴らされるべきだ。
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