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amazarashi ライヴレポート

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【amazarashi ライヴレポート】 『Live Tour 2018 「地方都市のメメント・モリ」』 2018年6月22日 at 中野サンプラザ

2018年06月22日@中野サンプラザ

取材:宮本英夫

2018.06.27

4枚目のフルアルバム『地方都市のメメント・モリ』に連動したツアーが全国10カ所+追加公演2カ所の旅の終着地・東京へ到着した。豊川真奈美(Key)の体調不良による不参加というアクシデントはあったものの、秋田ひろむ(Vo&Gu)率いる新編成のバンドは迷いなく前進を続け、チケットは各地軒並みソールドアウト。ツアーを通してこれまで以上にラウドな攻撃性が際立つアルバムの世界観を熟成させてきた、今日はその集大成が見られる最高の場になる。

1曲目「ワードプロセッサー」から凄まじい爆音に乗り暴風雪のような言葉のつぶてがビシビシ飛んでくる。続けざまに「空洞空洞」「フィロソフィー」と強力なラウドチューンを連発する、のっけからこれほど攻撃的なamazarashiは観たことがない。“死にたい夜を超えて“それ”を歌いに来ました”と、秋田が叫ぶように口上を叩き付ける。「たられば」「月曜日」といったメロディアスなロックバラードもあえて抒情性をそぎ落とした硬質なサウンドで、「ムカデ」に至っては爆音とストロボとおぞましい毛虫が蠢く映像がカオスの海の中で溺れている。

今回の映像は歌詞のタイポグラフィが中心で、アニメもスマートなイラスト風になり、かつてのてるてる坊主のキャラクターはもういない。「冬が来る前に」といった昔馴染みの曲を聴きながら時の流れの速さと長さをふと思う。“この町で懸命に生きる美しい人たちを知っているから”と秋田がやさしい声で呟いた。“地方都市”に生まれ育った者の宿命を表現するためには、どぎついほどのラウドネスを含むダイナミックレンジの広さが必要なのだと今気付く。

決められた未来への闘争宣言「ぼくら対世界」で、ギターを外してマイクにしがみつき歌う秋田の姿は闘士のそれだった。やさしさにあふれた「悲しみ一つも残さないで」から希望の光瞬く「スターライト」へ、全19曲が終わった時の脱力感から、ライヴがいかに緊張に満ちたものだったかを再確認した。“必ず生きて会いましょう”と最後に秋田は言った。次の舞台は11月16日、日本武道館。生きるための旅は続く。

取材:宮本英夫

amazarashi

アマザラシ:秋田ひろむを中心としたバンド。2010年のデビュー以来、一切本人のメディア露出がないながらも、絶望の中から希望を見出すズバ抜けて強烈な詩世界が口コミで広まり、瞬く間にリリースされたアルバム全てがロングセールスを続けている。ライヴではステージの前にスクリーンが貼られタイポグラフィーなどを使用した映像が投影されて行なわれるスタイルで、独自の世界観を演出している。

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