LIVE REPORT

Wienners ライヴレポート

Wienners ライヴレポート

【Wienners ライヴレポート】 『GOD SAVE THE MUSIC TOUR 2021』 2021年8月26日 at 渋谷WWW X

2021年08月26日@渋谷WWW X

撮影:かい/取材:帆苅智之

2021.09.06

長引くコロナ禍において、音楽に限らず、あらゆるエンターテインメントにとって難儀な日々が続いている。昨年前半の、もっぱら無観客での配信ライヴという事態は何とか脱したものの、有観客であっても入場者数は上限が定められて、観客は声も出せない。まだまだフルスペックのライヴが望めないのは周知の通りだし、今夏の第5波とも言われる感染拡大においては大型フェスも次々と中止となったことも記憶に新しい。

そんな最悪と言っていい状態の中、Wiennersは『GOD SAVE THE MUSIC TOUR 2021』を敢行し、イベント、フェスにも積極的に参加。“ロックバンドにはライヴしかやることがない!”と言わんばかりに、愚直...と言っては失礼かもしれないが、ライヴバンドとして真っ当な姿勢を貫いてきた。中止、延期を余儀なくされた公演もあったので、決して順風満帆だったとは言えないけれども、このツアーファイナル公演では、その貫き通してきたスタンスが間違じゃなかったことをWiennersは証明したと言える。バンドが確実に成長していること、それを満天下にまざまざと知らしめるようなライヴであった。まずはそこを強調しておきたい。

もっとも分かりやすい変化は、久々に∴560∵(Ba)がパーカッションを鳴らしたこと。バンドサウンドのスケール感をグッとアップさせた格好で、これは相当に良かった。“銀河系パンクバンド”を自称し、ブラストビートも多いWienners。KOZO(Dr)のシャープでキビキビとしたドラミングだけでもフロアーを揺らすに十分だが、そこにトリッキーな打楽器の音が重なり、より本能的に身体が刺激される印象だ。極めて原始的なビート感覚が注入されることで、そのあとに∴560∵が弾くファンキーかつダンサブルなベースも際立つ。しかも、M9「Justce4」、M13「天地創造」だけでなく、アンコールの1曲目、タイトル未定の新曲で、このアンサンブルを響かせた場面に彼らの心意気が感じられた。新曲でそれをやるということは、新たなWiennersのスタイルを求めた結果であろうし、想像するに、現下の状況を鑑みて、より本能に訴えるサウンドを鳴らすのが最善という判断もそこにはあったのだろう。それは大正解だと思うし、その志しは大いに買いたいものだ。

この日のライヴを観て、もうひとつ変化を感じたのは、アサミサエ(Vo&Gu)の存在感である。彼女はバンドの紅一点であるばかりか、その天性の歌声はどこに出しても個性的であって、いい意味での異物感といったものが魅力ではある。そんな彼女の浮いた感じはWiennersの大きな特徴のひとつでもあるのだが、それが今回、少し事情が変わったような印象を受けた。別に声が低くなったとか、“キャラ変”したということではなく(髪の色は変わっていたけど...)、シンガーとしての存在感がアップしたという言い方でいいだろうか。M3「恋のバングラビート」辺りでちょっとばかり“おや?”と思い、M17「FAR EAST DISCO」でそれを確信した。彼女、歌がうまくなっている。玉屋2060%(Vo&Gu)の迫力に負けず、しっかりと対峙しているし、何ならピッチと音程の正確さは彼を凌駕していると言ってもいいのではないだろうか。ミュージシャンとして貫禄を増したと言ってもいい。これもまたWiennersがライヴを重ねてきた大きな成果であろう。アサミサエのスキルアップで、バンドの地力も確実に上がっていた。

もうひとつ。これはWienners自体ということではなく、スタッフワークも確実にアップしていたことを記しておきたい。自分は配信で見させていただいたのだが、画角から何からWiennersのライヴの押さえ方としては完璧だったのではなかろうか。ほぼ手持ちカメラでの撮影で、画が揺れるだけでなく、狙う画が中心からずれることも多く、ピントが合ってないこともあった。しかも、各メンバーの表情だけでなく、楽器を弾く指をかなりアップでとらえていたりする。カットも目まぐるしく変わる。客席からのショットでは、オーディエンスが揚げた腕がステージ上のメンバーに被ったりもする。被るどころか、メンバーをほぼ隠すことすらあった。でも、そこがいい。それだからこそ、良かったのだ。これがライヴハウスの臨場感。モッシュ&ダイブで見える光景はこんな感じだろう。以前、写真家の荒木経惟がライヴハウスで写真を撮っている時、その場にいた他のカメラマンが熱気と湿気で曇るレンズを拭きながら撮影しているのを見て、“馬鹿じゃないの? 曇ったままで撮ればいいのに!”と言った(とか言わなかったとか)というエピソードを思い出した。Wiennersならではのライヴの空気感を見事にシューティング&ミックスしていた。スタッフを含めて、Wiennersはチーム一丸となって、今の音楽エンタテインメントに立ち向かっていることの証しである。

ライヴから少し離れるが、この日の深夜から配信が始まった新曲「GOD SAVE THE MUSIC」のアートワークもそう。もともとWiennersのファンだというアイルランド出身の独立系2Dアニメーター/イラストレーター、Speedoruが担当したもので、バンドに対する愛情が感じられる代物だ。とりわけMVはWiennersのポップでクレイジー、まさに銀河系パンクな音楽性を的確に表現した素晴らしい映像作品に仕上がっている(こちらもぜひチェックを!)。ここからもバンドを取り巻く状態がすこぶるいいことがうかがえる。このまま己を信じて真っ直ぐに突き進むべし! 今のWiennersに言葉をかけるとしたら、それしかない。それほどまでに充実した一日に思えた。

撮影:かい/取材:帆苅智之

Wienners

2009年初頭、玉屋2060%を中心に吉祥寺弁天通りにて結成。パンク畑出身の瞬発力と鋭さを持ちつつも、どこかやさしくて懐かしい香りを放つ男女ツインヴォーカルの4人組ロックバンド。予測不可能だけど体が反応してしまう展開、奇想天外かつキャッチーなメロディーで他に類を見ない音楽性とユーモアを武器にさまざまなシーン、世代、カルチャーを節操なく縦断し続けている。

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