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Wienners ライヴレポート

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【Wienners ライヴレポート】 『生配信!BURST POP ISLAND 発売記念ライブ』 2020年7月9日 at 渋谷CLUB QUATTRO

2020年07月09日@渋谷CLUB QUATTRO

撮影:かい/取材:帆苅智之

2020.07.14

Wiennersの本懐はそのライヴパフォーマンスにあると言っていい。だから、今回の生配信がコロナ禍における苦肉の策であることは重々承知しているものの、最初にこの話を聞いた時、無観客で彼らのスペックの何パーセントが発揮できるだろうかと、その企画には懐疑的ではあった。まず参加する観客にとって受ける音圧が全然違う。モッシュ&ダイブがないのは当然としても、会場独特の温度や湿度、匂いは感じ得ないわけだから、観客のテンションの上げ方も通常のライヴとは大きく異なる。そして、オーディエンスが熱を帯びたとてそれをステージへフィードバックさせる物理的な術もない。飛車角落ちどころか、取った駒を使えないチェスのルールで将棋を指すような、相当窮屈なものとなるのではないか。そればかりは仕方がないと、そこは覚悟した。メンバー4人が元気な姿を観せてくれさえすれば、それがファンにとって何よりの朗報となるだろし、それで十分に及第点だろう。彼らの演奏する姿を観るのも久しぶりだし、新作『BURST POP ISLAND』収録曲で初めてそのパフォーマンスを生で披露する楽曲もあるだろうから、これから眼前で繰り広げられることは楽しみではあったけれども、個人的には端から若干諦めムードを抱いていたというのが正直なところである。

2020年7月9日(金)20:00、渋谷CLUB QUATTROから生配信されたライヴは、そんなネガティブな事前予想をいい意味で覆してくれるものであった。無論、本チャンのライヴとは何もかもが違う。少なくとも前半は相当に違和感があった。前述した通り、会場にオーディエンスがいないのだから、歓声や拍手はないし、人の気配がないことはモニターを通じてこちらにも伝わってくる。「起死回生の一発」終わり、最初のMCの場面では明らかな空白があり、否が応でもこれが無観客ライヴであることを感じてしまう。分かっていたことだが、さすがにうら寂しい。

ただ、徐々に...ではあったけれども、無観客であることが気にならなくなるほどに、ライヴシーン映像の抑え方がお見事であった。まず手持ちカメラでメンバー4人を個別に撮るという基本的なシューティングスタイルがこんなにいいとは思わなかった。一観客として観た場合、当たり前なことだが、自分から観える場面はひとつだ。本チャンのライヴでもカットを割ったように観ることも可能だろうけど、そこをズームするのはまず不可能だろう。メンバーに寄るにしても、玉屋2060%(Vo&Gu)、∴560∵(Ba)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)にまでは近づけても、KOZO(Dr)は無理。今回のように彼がドラムを叩きながら見せるニコニコした表情を間近で確認できたのはファンにとっては嬉しいことではなかっただろうか。フロントの3人にしても、玉屋と∴560∵の弦を操る指使いであったり、アサミがサンプラーを操作する姿をドアップで観れたのは貴重な機会だったと思われる。それら4人の演奏シーンが楽曲に合わせてリズミカルにパパッと切り替わっていく様子もとても良かった。スイッチャー(という呼び方でいいのかな?)が彼らの楽曲をよく知っていなければ、こうはならなかっただろう。そこもお見事であった。

個々人のクローズアップ以外の引きの画もその構図が素晴らしく、何度か膝を打つシーンがあった。例えば、歌うアサミの近くで玉屋がギターを弾いているところを正面に写して、その後でベースを弾く∴560∵を入れつつ、それらのシルエットの隙間にきちんとKOZOをとらえるといった具合だ。遠近はありつつ、メンバー4人の姿がひとつの画にちゃんと収まっている。「YA! YA! YA!」などそうしたシーンが随所で観られたが、これもこういうシチュエーションならではの醍醐味だったと言える。いわゆるカメリハを重ねたのかもしれないが、いずれにしても、1カット、1シーンに、しっかりとした態勢でWiennersのライヴを収めようというメンバー、スタッフの意思が感じられるようで、何かグッと来た。そうそう。アンコール1曲目「レスキューレンジャー」で、カメラマンが客席から走ってきてステージへ迫るシーンもとても良かった。あの撮影者はほとんどメンバーのひとりだったと言っていいほどに演者と一体化していた。客席に人があふれていたらこういうことはできないから、“怪我の功名”みたいなものと言えるだろうが、あのシーンも今回の名場面のひとつであったと思う。

新作『BURST POP ISLAND』自体、ライヴ向きなアルバム...いや、ライヴ用に作ったと言ってもいいアルバムである。収録曲が全てアップチューンであることもそうだし、歌詞が示すものからもそれがうかがえるが、無観客であったことで、その彼らが提示しようとしたものが余計に浮き彫りになったように思う。それは本来、皮肉なことに...と言うべきことなのかもしれないが、これもまた“怪我の功名”であったり、“禍を転じて福と為す”であったりと言っていいものだろう。ただ、図らずも...ではあるものの、Wiennersのメッセージが本質的に間違っていないことを証明できたように思う。これは相当に大きいことだったし、それがあったからこそ、メンバーにとっても、これを観たファンにとっても、この日はこれから決して忘れることができない特別な一夜となったと思われる。チャットに“涙”というワードがたくさん踊っていたのはその証左だろう。

『BURST POP ISLAND』収録の「UNITY」にこんなフレーズがある。
《UNITY UNITY とち狂った世界でも 全てはいつか一つになれるかな/UNITY UNITY ぶっ壊れた心だって 元どおり一つになれるかな》《UNITY UNITY ぶっ飛ばして未来へと この声を繋いで守り抜けるかな/UNITY UNITY 結び合って高め合って 絶頂の奇跡は生まれるから》
アルバムの発売が5月。4月には完パケしていたことを自分は確認しているので、楽曲自体はどう考えても新型コロナウイルス感染症が流行する前に作られたものだろう。しかし、その内容は、無観客でしかライヴを開催できない現在の状況と奇妙に符合するものとなった。Wiennersが掲げた“UNITY”は今誰もが希求するものだし、広義にとらえたら世界中においてそのメンタリティーはさまざまな場面で必要なものであろう。優れたアーティストは未来を予見すると言うけれど、今回のライヴは(不幸なことに...ではあるが)その発現でもあったと言える。

不満がないわけではない。栓なきことを言うのも憚られるが、やはり音圧は如何ともし難く、“∴560∵特有のベースのうねりはウチのPCのスピーカーでは再現できない!”とずっと思っていたし、“本来ならここは大合唱だろうなぁ”とか“ここはコール&レスポンスが決まっただろなぁ”と考えると悲しい気分にもなったことも確かだ。だが、それは逆に言えば、本チャンのライヴを求める思いがさらに強くなったということ。それはそのまま、今年年末から来年2月までの期間へスライドされた振替公演の他、これからのWiennersへの約束手形とするしかない。彼らがそれに応えてくれるまで、今しばらくの辛抱だ。

撮影:かい/取材:帆苅智之

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