LIVE REPORT

THE PINBALLS ライブレポート

THE PINBALLS

『「PLANET GO ROUND」RELEASE TOUR ONEMANシリーズ』

2017年04月21日@代官山UNIT

撮影:澤田孝志/取材:山口智男

2017.05.08

この夜、古川貴之(Vo&Gu)は“マジ最高! ほんと嬉しい!”と客席に語りかけたところで感極まってしまい、思わず言葉を詰まらせた。それはイントロのリフを奏でた途端、客席から歓声が上がって、ライヴの流れがさらにハジけるきっかけになった「片目のウィリー」を歌い終わった直後のことだった。

その後、涙がこぼれそうになるのを堪え、古川は続けた。“人生で最高。なんでかって言ったら、みんなの顔が良い笑顔だから(笑)。声が出ないことが多くて、ライヴが怖かった。いいCDを作ってもニセモノじゃんって言われるんじゃないかって。でも、声は枯れてるけど、(今日は)声が出るんだよね。みんなの顔を見てると、魂が震えるんだよ”。

このくだりのせいで、古川はアンコールの際、森下拓貴(Ba)から“出ておいで。泣き虫ボーイ...いや、おじさん(笑)”と呼ばれたのだが、それでもここがこの日一番の観どころだったと思う。ライヴを観ながら、「朝焼けの亡霊」「way of 春風」といった曲が持つ胸をギュッと掴む切なさや、そういう曲を余計なもので飾らないストイックなバンドアンサブルについてもレポートでは書かなきゃと考えていたが、古川が感情のほとばしりとともに胸の内を吐露したこのくだりだけ書けば、バンドの魅力は伝わると思った。

メンバー全員、ぴしっとスタイリッシュにキメながら、その内面まで見せすぎて、クールになり切れないカッコ良さがTHE PINBALLSにはある(と言ったら、ギタリストの中屋智裕ら、他の3人は“いや、俺たちはクールになり切れる”と反論するかもしれないけれど)。

昨年11月にリリースした5thミニアルバム『PLANET GO ROUND』を引っ提げ、全国7カ所を回ったリリースツアー。そのファイナルとなった東京公演は“行くぞー!!!”といつも以上に気合の入った古川の雄叫びとともに始まると、バンドは『PLANET GO ROUND』の全7曲を軸に新旧の代表曲を散りばめた全22曲を披露した。

『PLANET GO ROUND』のリリース前から精力的にライヴを重ねてきたせいか、バンドの調子はかなり上がってきたようだ。曲間を空けずに森下のベースや石原 天のドラム、あるいは4人揃ってのジャムセッションでつなげながら緊張感を高めつつ、ファンの間で特に人気の高い「まぬけなドンキー」では出だしのアレンジを変え、ライヴならではの遊び心もアピール。「欠ける月ワンダーランド」では、バンドがさりげなく交えた4ビートに観客は体を揺らした。

バンドが演奏を終えても観客が帰ろうとしなかったのは、満足できなかったからではない。この時間がいつまでも続いてほしいと願ったからだ。その想いに応え、バンドは結局4回ステージに戻ってきた。ラストは「さよなら20世紀」。バンドとファンのひとりひとりが出会えた奇跡を称える想いを込め、演奏した。最後にMCで古川が言っていた“枯れた声”も聴きどころだったことを付け加えておきたい。「くたばれ専制君主」や「真夏のシューメイカー」の絶唱は、その嗄れ声による精いっぱいのパフォーマンスがあったからこそ。それも含め、筆者が見た中でベストと言えるライヴだったが、もちろん、通過点に過ぎないと期待している。
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