啼くな小鳩よ岡晴夫 | 岡晴夫 | 高橋掬太郎 | 飯田三郎 | | 啼くな小鳩よ 心の妻よ なまじ啼かれりゃ 未練がからむ たとえ別りょと 互いの胸に 抱いていようよ 面影を 旅ははるばる 果てないとても 呼べば届くよ 夜ごとの夢に 思い出したら 祈ろじゃないか つきぬ縁(えにし)を 身の幸(さち)を さらば小鳩よ 心の妻よ 瞳曇るな また逢う日まで 帽子ふりふり 後(あと)ふり向けば 暁(あけ)の野風が ただ寒い |
国境の春岡晴夫 | 岡晴夫 | 松村又一 | 上原げんと | | 遠い故郷は はや春なれど ここはソ満の 国境(くにざかい) 春と云うても 名のみの春よ 今日も吹雪に 日が暮れて 流れ果なき アムールよ ペチカ燃やして ウォッカ汲(く)めば 窓に流れる バラライカ 祖国離れて 旅する身には なぜか心に しみじみと 響くやさしの セレナーデ たとえ荒野(あれの)に 粉雪降れど やがて花咲く 春じゃもの 咲けよオゴニカ 真赤に咲けよ 燃ゆる血潮の この胸に 明日の希望の 花よ咲け |
上海の花売り娘岡晴夫 | 岡晴夫 | 川俣栄一 | 上原げんと | | 紅いランタン ほのかにゆれる 宵の上海 花売娘 誰の形見か 可愛い耳輪 じっとみつめる 優しい瞳 あゝ 上海の花売娘 霧の夕べも 小雨の宵も 港上海 花売娘 白い花籠 ピンクのリボン 襦子もなつかし 黄色の小靴 あゝ 上海の花売娘 星も胡弓も 琥珀の酒も 夢の上海 花売娘 パイプくわえた マドロスたちの ふかす煙の 消えゆく蔭に あゝ 上海の花売娘 |
男一匹の唄岡晴夫 | 岡晴夫 | 夢虹二 | 佐藤長助 | | 赤い夕陽は 砂漠の果てに 旅を行く身は 駱駝(らくだ)の背中(せな)に 男一匹 未練心はさらさらないが なぜか淋しい 日暮れの道よ 昨日ラマ塔の 花咲く影で チラと見た娘(こ)の 似ている瞳 男一匹 何も云うまい昔の夢だ 空にゃほのかに 七つの星よ 月の出潮は 心が濡れる 吹くなモンゴーの 砂漠の風よ 男一匹 明日(あす)の希望を心に秘めて 行けば鳴る鳴る 駱駝の鈴よ |
港シャンソン岡晴夫 | 岡晴夫 | 内田つとむ | 上原げんと | | 赤いランタン 夜霧に濡れて ジャズがむせぶよ 阜頭(バンド)の風に 明日は出船だ 七つの海だ 別れ煙草は ほろにがい 泣いてくれるな 可愛い瞳よ どうせ船乗り 波風まかせ あすはどこやら 鴎の仲間 青い海見て 暮らすのさ 暗い波止場に いま鳴るドラは どこの船やら 三本マスト せめて今宵は しみじみ酔おか 海は果てない 旅じゃもの |
幸福はあの空から岡晴夫 | 岡晴夫 | 矢野亮 | 渡久地政信 | | 黄昏の並木路 ひとり見てましょう 淋しさに 恋しさに ひとり窓辺で見てましょう やがてつく 街の灯が 暗い心を 照らして 照らして 来る来る 来る来る来る 来るよ 幸福(しあわせ)は あの街から かならず やって来る 来るよ あの頃の思い出を そっと呼びましょう 過ぎし日を 夢の日を そっと小声で呼びましょう やがて出る 月さえも 愛し面影 浮かべて 浮かべて 来る来る 来る来る来る 来るよ 幸福は あの空から かならず やって来る 来るよ 思い出を抱きしめて じっと待ちましょう 苦しみも かなしみも じっと耐(こら)えて待ちましょう やがて来る 幸福に 涙なんかは おさらば おさらば 来る来る 来る来る来る 来るよ 幸福は いつの日にか かならず やって来る 来るよ |
男のエレジー岡晴夫 | 岡晴夫 | 石本美由起 | 岡晴夫 | | 街の灯影に 背中を向けて 一人ふかした 煙草のにがさ 渡る世間を せばめてすねて 生きる男の 身のつらさ こんなやくざに 誰がした 義理と人情の 渡世に生きて 酒と喧嘩に やつれた命 頬の傷跡 淋しく撫ぜて 月に語ろか 身の上を こんなやくざに 誰がした 「夜空に輝く星か きれいだな 人間は自分で自分の運命が 解らねぇところがいいんだろう あゝ故郷(くに)のおふくろに 逢いてえなあ」 泣ける思いも 笑って隠す 青いソフトの 横顔淋し 今の姿じゃ 帰れもすまい 恋し母住む 故郷へ こんなやくざに 誰がした |
港のエトランゼ岡晴夫 | 岡晴夫 | 矢野亮 | 渡久地政信 | | 流れ流れて たどりつく 知らぬ港は 青い霧 もっとお寄りよ 淋しじゃないか どうせ故郷にゃ 帰れぬ二人 俺もお前も エトランゼ 抱いたギターを 爪弾けば すすり泣きする いじらしさ そっと唄およ 切ない胸を 待てど来るやら 花咲く春が 俺もお前も エトランゼ 残る未練に ひかされて 風にまかせた 旅の空 ほって置いてよ 流しの唄は 届くあてない 儚い夢さ 俺もお前も エトランゼ |
東京の空青い空岡晴夫 | 岡晴夫 | 石本美由起 | 江口夜詩 | | 鳩が飛び立つ 可愛い可愛い鳩が 東京の空 青い空 喜びの 鐘が鳴る 若い口笛 吹きながら 柳さらさら 銀座の街を 君と歩けば 明るい心 風がそよ吹く 緑の緑の風が 東京の空 青い空 憧れの 夢が呼ぶ 胸もときめく 恋の午後 お茶をのんだり シネマを見たり 寄せる笑顔に あふれる若さ 月が輝く バラ色バラ色月が 東京の空 青い空 麗(うるわ)しの 灯(ひ)が招く なごりつきない 街角で あすのプランの 指切りすれば さようならよの 別れも愉し |
東京の花売娘岡晴夫 | 岡晴夫 | 佐々詩生 | 上原げんと | | 青い芽をふく 柳の辻に 花を召しませ 召しませ花を どこか寂しい 愁いを含む 瞳いじらし あの笑くぼ ああ 東京の花売娘 夢を見るよに 花籠抱いて 花を召しませ 召しませ花を 小首かしげりゃ 広重描く 月も新たな 春の宵 ああ 東京の花売娘 ジャズが流れる ホールの灯影 花を召しませ 召しませ花を 粋なジャンバーの アメリカ兵の 影を追うよな 甘い風 ああ 東京の花売娘 |
逢いたかったぜ岡晴夫 | 岡晴夫 | 石本美由起 | 上原げんと | | 逢いたかったぜ 三年ぶりに 逢えて嬉しや 呑もうじゃないか 昔なじみの 昔なじみの お前と俺さ 男同志で 酒くみ交す 街の場末の おゝ縄のれん 生れ故郷の 想い出ばなし 今宵しみじみ 語ろじゃないか 昔なじみの 昔なじみの お前と俺さ こんどあの娘(こ)に 出逢ったならば 無事(まめ)で居るよと おゝ言ってくれ 誰が流すか ギターの唄に 遠い思い出 偲ぼじゃないか 昔なじみの 昔なじみの お前と俺さ 夢が欲しさに 小雨の路地で 泣いたあの日が あゝ懐しい |
船は港にいつ帰る岡晴夫 | 岡晴夫 | 高橋掬太郎 | 細川潤一 | | 風の便りも 二月三月 絶えて聞かねば 尚恋し 想い出すほど 逢いたさ見たさ 船は港に いつ帰る 啼くは千鳥か 夜更けの頃は 夢も涙に 濡れて散る 独り明かせば 瀬音もかなし 船は港に いつ帰る どうせマドロス 浮寝の鳥に かけた情の たよりなさ 呼んでみたとて とどかぬ人よ 船は港に いつ帰る |
あんこ可愛いや岡晴夫 | 岡晴夫 | 松村又一 | 上原げんと | | 赤く咲いても 椿の花は ほろり落ちそで 落ちぬとさ あんこ可愛いや 紅椿 どこのどなたに どこのどなたに 落ちる気か 島の御神火 燃えたつ夜は 胸に思いを こがすとさ あんこ可愛いや 紅椿 きょうも岬で きょうも岬で たれを待つ 沖の瀬の瀬で 潮鳴る宵は 夢で千鳥も 嘆くとさ あんこ可愛いや 紅椿 といた黒髪 といた黒髪 胸に抱く |
青春のパラダイス岡晴夫 | 岡晴夫 | 吉川静夫 | 福島正二 | | 晴れやかな 君の笑顔 やさしく われを呼びて 青春の花に憧れ 丘を越えてゆく 空は青く みどり燃ゆる大地 若き生命(いのち) 輝くパラダイス 二人を招くよ 囁くは 愛の小鳥 そよ吹く 風も甘く 思い出の夢に憧れ 丘を越えてゆく バラは赤く 牧場の道に咲く 若き生命 あふるるパラダイス 二人を抱(いだ)くよ 花摘みて 胸にかざり 歌声 高く合わせ 美(うるわ)しの恋に憧れ 丘を越えてゆく ゆらぐ青葉 白き雲は湧きて 若き生命 うれしきパラダイス 二人を結ぶよ |
港に赤い灯がともる岡晴夫 | 岡晴夫 | 矢野亮 | 八洲秀章 | | 暗い空だよ きらりと光る 切れたテープか 鴎の鳥か あゝ 港に赤い灯がともりゃ 残る未練の すすり泣き 今日の出船は 東か西か ドラがしみこむ 俺らの胸に あゝ 港に赤い灯がともりゃ 海が恋しい 船乗りさ (セリフ) 『今度こそこの町へ落ち着こうと、何度考えた かしれねえが、あの海の呼ぶ声を聞くと、なぜ かじっとしちゃいられねえんだよ。そりゃ俺だ ってたまには岸壁にへばりつくこともあるんだ が、いつかまたあの広い海へ出ていってしまう んだ。あばよ、港よ陸よ、あすはまた海へ行く』 歩みつかれて 錨をおろす なれた酒場の あの娘のえくぼ あゝ 港に赤い灯がともりゃ せめて一夜の 陸(おか)の夢 |
南の島に雪が降る岡晴夫 | 岡晴夫 | 矢野亮 | 林伊佐緒 | | 南海の果て マノクワリ 孤塁を守る 我が部隊 故国へ繋ぐ 一筋の 思いをこめし 演劇班 あゝ 南の島に 雪が降る 南の島に 雪が降る 病に細る 首もたげ 食い入る如く 見る瞳 焼けつく飢えも 何かある 写さん恋し 面影を あゝ 南の島に 雪が降る 南の島に 雪が降る 昨日も一人 今日も亦 次々欠ける 戦友よ 十字の砲火 浴びながら 倒れてやまん この舞台 あゝ 南の島に 雪が降る 南の島に 雪が降る 戦う武器と ならずとも 泪で刻む パラシュート 心に積り 溶けやらぬ 思い出語る 日もあらん あゝ 南の島に 雪が降る 南の島に 雪が降る |
憧れのハワイ航路岡晴夫 | 岡晴夫 | 石本美由起 | 江口夜詩 | | 晴れた空 そよぐ風 港出船の ドラの音愉(たの)し 別れテープを 笑顔で切れば 希望(のぞみ)はてない 遥かな潮路 あゝ 憧れの ハワイ航路 波の背を バラ色に 染めて真赤な 夕陽が沈む 一人デッキで ウクレレ弾けば 歌もなつかし あのアロハオエ あゝ 憧れの ハワイ航路 常夏の 黄金月 夜のキャビンの 小窓を照す 夢も通うよ あのホノルルの 椰子の並木路 ホワイトホテル あゝ 憧れの ハワイ航路 |